特許第6443671号(P6443671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443671
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】福祉車両及びベルトガイド
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/00 20060101AFI20181217BHJP
   A61G 3/08 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61G5/00 707
   A61G3/08 701
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-17939(P2015-17939)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-140522(P2016-140522A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100184262
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 義則
(72)【発明者】
【氏名】入江 知行
(72)【発明者】
【氏名】南 昌宏
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−111069(JP,A)
【文献】 特開平11−113966(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0356090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/08
A61G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室フロアの載置スペースに載置された車椅子を固縛する固縛ベルトと、
前記固縛ベルトを車体に連結するための車体連結部と、
前記車室フロアに固定され、前記固縛ベルトを挿通することで、前記車体連結部と前記車椅子との間の前記固縛ベルトの配置を規制可能なベルトガイドと、を備え、
前記ベルトガイドが、互いに異なる位置に複数固定され、
前記車椅子の形態及び大きさに応じて前記ベルトガイドが選択されて該ベルトガイドに前記固縛ベルトを挿通することで、前記車体連結部と前記車椅子との間に配置される前記固縛ベルトの配置が変更される、福祉車両。
【請求項2】
前記車体連結部はリトラクタを有する、請求項1に記載の福祉車両。
【請求項3】
前記載置スペースの隣接位置に前記固縛ベルトの配置が許容されない領域が設けられ、少なくとも一つの前記ベルトガイドは前記領域の周縁部又は周縁部より外側に固定されている、請求項1又は2に記載の福祉車両。
【請求項4】
固縛ベルトを挿通してガイドするベルトガイドにおいて、
固定位置に固定されるベース部と、
一端側が前記ベース部に揺動自在に支持され、他端側に前記固縛ベルトの一方面及び両側縁をガイドする凹部が設けられた第1ガイド部と、
前記第1ガイド部と共に揺動自在であり、前記凹部との間に前記固縛ベルトの挿通間隙が形成される第2ガイド部と、を備え、
前記挿通間隙は、前記凹部より外側に前記固縛ベルトを幅方向に挿脱可能な端部開口を有していることを特徴とする、ベルトガイド。
【請求項5】
前記第1ガイド部及び第2ガイド部は屈曲形状に形成され、前記第2ガイド部の一端側は前記第1ガイド部の一端側に連結され、前記第2ガイド部の他端側は前記第1ガイド部の凹部の内側に配置されている、請求項4に記載のベルトガイド。
【請求項6】
前記第1ガイド部の一端と他端との間の間隙が、前記挿通間隙から連続した前記第2ガイド部により覆われている、請求項5に記載のベルトガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室フロアに車椅子を載置して固縛ベルトで固定できる福祉車両及びベルトガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室フロアに車椅子を載置して固縛ベルトで固定できるようにした福祉車両が知られている。特許文献1では、長さ調整可能な固縛ベルトを車室フロアに連結して設け、固縛ベルトと車椅子のフレーム等のベルト部材とを着脱可能に連結する車両の車椅子固縛装置が開示されている。特許文献2,3のように、ベルトを用いて乗員や物品を固縛したり係止したりする構造も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−209946号公報
【特許文献2】特開平11−147449号公報
【特許文献3】特開2004−123364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の福祉車両では、載置される車椅子近傍の車室フロアに固縛ベルトを連結するとすれば、載置して固定できる車椅子の形態や大きさ次第で制約が大きくなる。一方、車椅子から離間した位置で車室フロアに固縛ベルトを連結するとすれば、車室フロアと車椅子との間に架け渡される固縛ベルトが空間中に配置されることになり、車室空間を使用する際に邪魔になっていた。空間中に配置される固縛ベルトが後部シートと大きく干渉するため後部シートが使用できないこともあった。
【0005】
そこで本発明は、固定可能な車椅子の形態や大きさの自由度が大きく、しかも車椅子を固定していても車室空間を使用する際に固縛ベルトが邪魔にならないようにした福祉車両とベルトガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明では以下の手段を講じる。
[1] 車室フロアの載置スペースに載置された車椅子を固縛する固縛ベルトと、
前記固縛ベルトを車体に連結するための車体連結部と、
前記車室フロアに固定され、前記固縛ベルトを挿通することで、前記車体連結部と前記車椅子との間の前記固縛ベルトの配置を規制可能なベルトガイドと、を備え、
前記ベルトガイドが、互いに異なる位置に複数固定されており、
前記車椅子の形態及び大きさに応じて前記ベルトガイドが選択されて該ベルトガイドに前記固縛ベルトを挿通することで、前記車体連結部と前記車椅子との間に配置される前記固縛ベルトの配置が変更される、福祉車両。
[2] 前記車体連結部はリトラクタを有する、前記[1]に記載の福祉車両。
[3] 前記載置スペースの隣接位置に前記固縛ベルトの配置が許容されない領域が設けられ、少なくとも一つのベルトガイドが前記領域の周縁部又は周縁部より外側に固定されている、前記[1]又は[2]に記載の福祉車両。
[4] 固縛ベルトを挿通してガイドするベルトガイドにおいて、
固定位置に固定されるベース部と、
一端側が前記ベース部に揺動自在に支持され、他端側に前記固縛ベルトの一方面及び両側縁をガイドする凹部が設けられた第1ガイド部と、
前記第1ガイド部と共に揺動自在であり、前記凹部との間に前記固縛ベルトの挿通間隙が形成される第2ガイド部と、を備え、
前記挿通間隙は、前記凹部より外側に前記固縛ベルトを幅方向に挿脱可能な端部開口を有していることを特徴とする、ベルトガイド。
[5] 前記第1ガイド部及び第2ガイド部は屈曲形状に形成され、前記第2ガイド部の一端側は前記第1ガイド部の一端側に連結され、前記第2ガイド部の他端側は前記第1ガイド部の凹部の内側に配置されている、前記[4]に記載のベルトガイド。
[6] 前記第1ガイド部の一端と他端との間の間隙が、前記挿通間隙から連続した前記第2ガイド部により覆われている、前記[5]に記載のベルトガイド。
【発明の効果】
【0007】
本発明の福祉車両によれば、固縛ベルトを挿通することで固縛ベルトの配置を規制可能なベルトガイドを備えているので、車体連結部と車椅子との間に配置される固縛ベルトをベルトガイドに挿通することにより、固縛ベルトの配置や経路をそのベルトガイドに対応させることができる。そのため、載置する車椅子の形態や大きさが種々存在しても、固縛ベルトを車体連結部から直接車椅子に到達させたり、適切な位置のベルトガイドに固縛ベルトを挿通させたりして車椅子を固縛することができ、固縛ベルトの配置や経路を車椅子の形態や大きさに適した位置に設定することができ、車室空間を使用する際に固縛ベルトが邪魔にならない。その結果、固定可能な車椅子の形態や大きさの自由度が大きく、しかも車椅子を固定していても車室空間を使用する際に固縛ベルトが邪魔にならない福祉車両を提供することができる。
【0008】
本発明のベルトガイドによれば、第1ガイド部の凹部と第2ガイド部との間に固縛ベルトの挿通間隙が設けられているので、挿通された固縛ベルトを第1ガイド部及び第2ガイド部により囲んでガイドできるため、固縛ベルトの位置を保ち易い。そして挿通間隙が固縛ベルトを幅方向に挿脱可能な端部開口を有しているので、固縛ベルトを挿通間隙に挿通させたり、挿通間隙から離脱させる際、固縛ベルトを端部側から挿通間隙に挿通させたり離脱させたりする必要がなく、固縛ベルトの挿脱が容易である。そのため、使用するベルトガイドを自由に選択することができ、例えば車椅子の形態や大きさに適した位置のベルトガイドを使用して固縛ベルトを邪魔にならないように配置することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態において、福祉車両の車室内に車椅子を収容した状態の水平方向の配置の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態において、福祉車両の車室内に車椅子を収容した状態の垂直方向の配置の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る福祉車両に使用するベルトガイドの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る福祉車両に使用するベルトガイドの分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態において、福祉車両の車室内に他の車椅子を収容した状態の水平方向の配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る福祉車両は、図1及び図2に示すように、車室フロア11に左側後席シート12と、右側後席シート13と、車椅子20を載置するための載置スペース11aと、が設けられており、車両後方の後部開口から車椅子20を車室内に収容可能となっている。
【0011】
本実施形態では、左側後席シート12及び右側後席シート13はそれぞれ独立に車両前方側にスライド又は折り畳み可能に車室フロア11に装着され、左側後席シート12及び右側後席シート13と後部開口との間の車室フロア11の連続した領域を広げることが可能となっている。
【0012】
本実施形態では、車両前方側に移動させた左側後席シート12の後方側の領域が車椅子20を載置するための載置スペース11aとなっている場合を以下説明するが、載置スペース11aを、右側後席シート12の後方側に設定してもよい。載置スペース11aの車幅方向における隣接位置には右側後席シート13を配置した状態のままでも、載置スペース11aに車椅子20が載置可能な広さを有している。この載置スペース11aは他の車室フロア11と区画されたり異なったりする構造とする必要はなく、車室フロア11の一部でよい。
【0013】
載置スペース11aに載置する車椅子20の種類は特に制限がなく、例えば普通車椅子、リクライニング車椅子等であってもよい。車椅子20の展開状態や折り畳み状態等の形態、幅や長さ等の大きさも、車室内に収容可能な範囲で任意である。
【0014】
車室フロア11には車椅子20を固定するために、車椅子20を固縛する固縛ベルト31と、固縛ベルト31を車体に連結するための車体連結部32と、複数のベルトガイド40と、が備えられている。これらのベルトガイド40は、車室フロア11に固定され固縛ベルト31を挿通することで車体連結部32と車椅子20との間の固縛ベルト31の配置を規制可能である。
【0015】
固縛ベルト31は、柔軟性を有する帯状材料により形成されており、一端側が車体連結部32に離脱不能に連結され、他端側に車椅子20のフレームや大車輪等に係脱可能なフック等の係合部材33が装着されている。固縛ベルト31は長尺に形成されており、車両後方側の車外に配置された乗り入れ前の車椅子20まで延長して係合可能な長さとなっている。
【0016】
車体連結部32は、車体に固定されて固縛ベルト31を巻取り可能なリトラクタ32aと、リトラクタ32aより前方側の車体に固定されたベルト係止部材32bと、を備えている。リトラクタ32aは、固縛ベルト31を常時巻取り方向に付勢しており、長尺の固縛ベルト31の殆どを巻取り可能となっている。また衝撃荷重が負荷された際には、巻出しを阻止する機能を有している。
【0017】
複数のベルトガイド40のそれぞれは、図3及び図4に示すように、固定位置に固定されるベース部41と、一端側がベース部41に揺動自在に支持され、他端側に固縛ベルト31の一方面及び両側縁をガイドする凹部43が設けられた第1ガイド部44と、第1ガイド部44と共に揺動自在であり、凹部43との間に固縛ベルト31の挿通間隙45を形成する第2ガイド部46と、を備えている。
【0018】
挿通間隙45には、凹部43の外側となる第1ガイド部44の先端に、固縛ベルト31を幅方向に挿脱可能な端部開口45aが設けられており、端部開口45aを通して固縛ベルト31を幅方向に挿通間隙45に容易に挿入でき、また取り出して離脱させることが可能となっている。
【0019】
ベルトガイド40のベース部41は、車体の車室フロア11への固定部41aと、固定部41aに固定された筒状の受け部41bと、を備えている。第1ガイド部44はパイプ材を屈曲形状に形成されており、全体の軸線が略C字状となっている。第1ガイド部44の一端側は受け部41bに回動自在に挿入されて支持されており、他端側に凹部43が形成されている。第1ガイド部44の凹部43は、固縛ベルト31の幅と同等の長さを有して直線状に設けられ、固縛ベルト31の一方面を摺動させて支持する外側支持部43aと、外側支持部43aの両端に屈曲して設けられ、固縛ベルト31の各側縁を摺動させて支持する側縁支持部43bと、を有しており、固縛ベルト31と接する部位が円弧状に形成されている。
【0020】
第2ガイド部46はパイプ材を屈曲形状に形成されたもので、全体の軸線が略C字状となっている。一端側は第1ガイド部44の一端側にボルト止めで連結されており、第2ガイド部46の他端側は凹部43の内側に配置されている。第2ガイド部46の他端側は、第1ガイド部44の一方の側縁支持部43b及び外側支持部43aに沿って配置されており、これらの間の間隙が略一定に保たれて挿通間隙45が形成されている。第2ガイド部46の中間部は、第1ガイド部44の一端と他端との間の間隙に配置されており、第1ガイド部44の屈曲形状により形成されている内側空間44aの側周側の開口が第2ガイド部46により塞がれている。
【0021】
本実施形態では、このような複数のベルトガイド40が、図1に示すように、それぞれ載置スペース11aに載置された車椅子20の幅方向における互いに異なる位置となるように、車室フロア11に固定されている。この実施形態では、車椅子20の前方を車両前方の向きに合わせて載置するため、複数のベルトガイド40は車幅方向に異なる位置にそれぞれ固定されている。さらにこれらは前後方向にも異なる位置となっている。
【0022】
複数のベルトガイド40が、それぞれ異なる位置に固定され得ることで、載置スペース11aに載置された車椅子20の形態や大きさなどに応じ、近接位置に配置される最適なベルトガイド40を選択して使用することができる。選択されたベルトガイド40に対応して、車室フロア11に固定されている車体連結部32と車椅子20との間における固縛ベルト31の配置や経路も種々変更することができる。
【0023】
図2に示すように幅広タイプの普通車椅子20を載置する場合、車幅方向外側のベルトガイド40を選択して固縛ベルト31を挿通させて使用している。このベルトガイド40は、右側後席シート13のシートクッション13aが配置されている領域の周縁部又は周縁部より外側に固定されているため、車体連結部32から当該ベルトガイド40までの間は、右側後席シート13のシートクッション13aの下方に固縛ベルト31が配置されており、シートクッション13aの周縁部で折れ曲がり、固縛ベルト31がこの位置から上方に向けて延びて車椅子20に係合している。
【0024】
次に、福祉車両及びベルトガイド40の使用方法について説明する。
福祉車両に車椅子20を収容するには、初期状態では係合部材33が車体連結部32のベルト係止部材32bに接触しているので、右側後席シート13を前方側に寄せて、固縛ベルト31を引き出してベルトガイド40に挿通させる。なお、次回以降は、係合部材33がベルトガイド40に係止された状態となるので、右側後席シート13を前方側に寄せる必要はない。そして左側後席シート12を前方側に移動させて載置スペース11aを確保する。右側後席シート13は使用可能な状態にすることができる。次に、左右の固縛ベルト31をそれぞれリトラクタ32aから引き出し、収容する幅広タイプの車椅子20に応じて車幅方向外側のベルトガイド40を選択して、各ベルトガイド40の端部開口45aから固縛ベルト31を挿通間隙45に挿入して固縛ベルト31を凹部43に支持させる。
【0025】
続いて、固縛ベルト31をベルトガイド40によりガイドしつつ、さらに引き出し、固縛ベルト31の係合部材33を車両後部開口の後方に配置した車椅子20に係合させる。その際、車椅子20を折り畳んだ状態としてもよい。そして後部開口に設けたスロープやリフト等を使用して車椅子20を車室内に収容し、載置スペース11aに載置する。
【0026】
車椅子20の移動に伴い固縛ベルト31の引き出し量が減少するため、固縛ベルト31がベルトガイド40によりガイドされつつリトラクタ32aが巻き取られながら、固縛ベルト31が車椅子20に従動する。車椅子20が載置スペース11aに配置されると、車椅子20の近接位置に存在して予め選択されたベルトガイド40により、固縛ベルト31の配置及び経路が規制され、この部位に折れ点が形成された状態で、固縛ベルト31により車椅子20が固定される。その後は左側後席シート12を前方側へ寄せて右側後席シート13を使用可能な状態にして、車椅子20の固定状態を保つことができる。
【0027】
次に、図5に示すように幅狭タイプのリクライニング車椅子20を載置する場合には、予め一方側、例えば右側の後席シート13及び他方側、例えば左側の後席シート12を前方側に寄せておき、車幅方向外側のベルトガイド40の挿通間隙45に支持されていた固縛ベルト31を、ベルトガイド40の端部開口45aから引き出して離脱させておく。
収容する車椅子20に応じてベルトガイド40を選択し、当該ベルトガイド40の端部開口45aから各固縛ベルト31を挿通間隙45に挿入して凹部43に支持させる。車両の進行方向に向かって右側の固縛ベルト31は図1の幅広タイプの車椅子20の場合よりも前方側で車幅方向内側のベルトガイド40に挿通させて車椅子20に係合させる。車両の進行方向に向かって左側の固縛ベルト31はベルトガイド40を使用しないで車椅子20に係合させる。
そして、図1の幅広タイプの普通車椅子20の場合と同様に車椅子20を車室に収容し、載置スペース11aに載置して固定する。その後は左側後席シート12及び右側後席シート13を前方側へ寄せた状態で車椅子20の固定状態を保つことができる。
【0028】
以上のような福祉車両によれば、固縛ベルト31を挿通することで固縛ベルト31の配置を規制可能なベルトガイド40を備えているので、リトラクタ32aと車椅子20との間に配置される固縛ベルト31をベルトガイド40に挿通すれば、固縛ベルト31の配置や経路をそのベルトガイド40に対応させることができる。
そのため、載置する車椅子20の形態や大きさが種々存在しても、固縛ベルト31をリトラクタ32aから直接車椅子20に到達させたり、適切な位置のベルトガイド40に固縛ベルト31を挿通させたりして車椅子20を固縛することができる。それ故、固縛ベルト31の配置や経路を車椅子20の形態や大きさに適した位置に設定でき、車室空間を使用する際に固縛ベルト31が邪魔にならない。
特に、複数のベルトガイド40が互いに異なる位置に固定されているので、載置する車椅子20の形態や大きさが種々存在しても、その形態及び大きさに応じた適切な位置のベルトガイド40を選択して固縛ベルト31を挿通させることができ、これによりリトラクタ32aと車椅子20との間に配置される固縛ベルト31の配置を変更できる。そのため車室空間中の車椅子20から離間した位置に固縛ベルト31が配置されないようにし、車室空間を使用する際に固縛ベルト31が邪魔にならないようにすることができる。
【0029】
本実施形態の福祉車両では、車体連結部32がリトラクタ32aを有するので、邪魔にならずに長尺の固縛ベルト31を常時車体に連結しておくことができ、使い勝手がよい。
【0030】
本実施形態の福祉車両では、載置スペース11aの車幅方向における隣接位置に固縛ベルト31の配置が許容されない領域に右側後席シート13が配設されており、少なくとも一つのベルトガイド40が、右側後席シート13のシートクッション13aが配設された領域の周縁部又は周縁部より外側に固定されている。そのため車体連結部32から延びる固縛ベルト31をそのベルトガイド40に挿通して車椅子20を固縛すれば、右側後席シート13のシートクッション13aに干渉することなく固縛ベルト31を配置することができる。これにより車室フロア11を有効利用することができ、右側後席シート13を配置した状態のままで車椅子20をしっかりと固定して載置スペース11aに配置することが可能である。
【0031】
本実施形態において説明したベルトガイド40によれば、第1ガイド部44の凹部43と第2ガイド部46との間に固縛ベルト31の挿通間隙45が設けられているので、挿通された固縛ベルト31を第1ガイド部44及び第2ガイド部46により囲んでガイドできるため、固縛ベルト31の位置を保ち易い。この挿通間隙45に固縛ベルト31を幅方向に挿脱可能な端部開口45aが設けられているので、固縛ベルト31を挿通間隙45に挿通させたり、挿通間隙45から離脱させる際、固縛ベルト31を端部側から挿通間隙45に挿通させたり離脱させたりする必要がなく、固縛ベルト31の挿脱が容易である。そして、使用するベルトガイド40を自由に選択することができ、例えば車椅子20の形態や大きさに適した位置のベルトガイド40を使用することで固縛ベルト31を邪魔にならないように配置することも容易である。
【0032】
本実施形態において説明したベルトガイド40によれば、第2ガイド部46の一端側は第1ガイド部44の一端側に連結され、第2ガイド部46の他端側は凹部43の内側に配置されているので、ベルトガイド40の厚みを薄く形成することができ、不使用時に車室フロア11に配置されていても邪魔になり難い。
【0033】
本実施形態において説明したベルトガイド40によれば、第1ガイド部44の一端と他端との間の間隙が、挿通間隙45から連続する第2ガイド部46により覆われているので、固縛ベルト31を挿通開口に収容させる際、屈曲形状の第1ガイド部44の内側に形成された内側空間に固縛ベルト31が入り込むことを防止でき、さらに第2ガイド部46上で固縛ベルト31をスライドさせて挿通開口に収容させることができる。そのため固縛ベルト31をベルトガイド40に挿通させるための作業が容易である。
【0034】
実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
【0035】
車室フロア11に複数のベルトガイド40を固定した例について説明したが、車室フロア11に一つのベルトガイド40を固定したものであってもよい。その場合、固縛ベルト31をベルトガイド40に挿通する場合と挿通しない場合とで、車体連結部32と車椅子20への係合位置との間に配置された固縛ベルト31の配置及び経路を変更することが可能である。
【0036】
2本の固縛ベルト31を用いて載置スペース11aに載置された車椅子20を固定した例について説明したが、固縛ベルト31の本数は自由であり、1本で固定できれば1本でもよく、3本以上使用することも当然に可能である。さらに固縛ベルト31とともに他の固定手段を用いて車椅子20の他の部位を固定することもできる。リトラクタ32aとして固縛ベルト31を巻取り方向に付勢するものについて説明したが、巻き取り及び巻き出し可能な駆動装置が装着されたものであってもよい。
【0037】
載置スペース11aの車幅方向の隣接位置における固縛ベルト31の配置が許容されない領域に、右側後席シート13が配設された例について説明したが、固縛ベルト31の配置が許容されない領域は特に限定されるものではない。例えばこの領域が車両前後方向の隣接位置であっても本願発明を適用でき、さらにその領域にはシートに代えて又はシートとともに他の内装部品等が配設されていてもよく、シートや他の部材等が配設されていない予め設定された空間であってもよく、当該領域に固縛ベルト31が干渉しないようにすることができる。
【符号の説明】
【0038】
11 車室フロア
11a 載置スペース
12 左側後席シート
13 右側後席シート
13a シートクッション
20 車椅子
31 固縛ベルト
32 車体連結部
32a リトラクタ
33 係合部材
40 ベルトガイド
41 ベース部
41a 固定部
41b 受け部
43 凹部
43a 外側支持部
43b 側縁支持部
44 第1ガイド部
44a 内側空間
45 挿通間隙
45a 端部開口
46 第2ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5