(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、昨今の表示装置において、表示機構(表示セル、表示パネル)の観察者側に、画像を表示する表示領域と、当該表示領域を取り囲むように形成された非表示領域と、を含む前面板が配置されることがある。前面板を表示機構とともに用いる理由の一つとして、意匠性の改善効果が期待されている。
【0003】
通常、
図12及び
図13に示すように、表示セル130は、画像を表示するための表示領域Aa1の周囲に、額縁領域とも呼ばれる非表示領域Aa2を有している。この非表示領域Aa2には、配線等が配置されている。このため前面板100が用いられていない装置110Aでは、表示セル130を収容するケース112Aが、当該装置110Aの前面の周縁上にも配置され、表示セル130の非表示領域Aa2を前方から隠蔽している。一方、
図14及び
図15に示すように、前面板100を設けた装置110Bにおいては、前面板100に隠蔽機能を付与することにより、ケース112Bが装置の前面を広範囲に覆う必要がなくなる。すなわち、前面板100の裏面に隠蔽層101を形成しておけば、前面板の表面によって画成されるフラット面によって、当該装置の前面を画成することができ、意匠性を大幅に向上させることができる。加えて、ケースと同様に、前面板100にも図形等の絵柄103を設けることが可能である。
【0004】
昨今では、前面板100の隠蔽層101を加飾層として形成し、前面板に意匠性を積極的に付与することも検討されている。例えば、
図16に示すように、ガラス基材201、ガラス基材上に形成された有彩色顔料を含んだ有彩色樹脂層202、及び、有彩色樹脂層202の裏面に形成されたメタリック層203を含んだ前面板200も開発されつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、有彩色樹脂層202は、所望の色の顔料を含んだ樹脂組成物を硬化させることによって形成される。したがって、有彩色樹脂層202の色調を調整しようとすると、有彩色樹脂層202の厚みを変化させるか、或いは、樹脂組成物を都度調整する必要がある。しかしながら、有彩色樹脂層202の厚みを変化させたとしても、濃淡を調整することしかできず、加えて、隠蔽性の観点から調整代も十分ではない。また、多種類の樹脂組成物を作製および保管しておくことは、前面板の製造コストを上昇させてしまうことになる。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、加飾層の微妙な色調の調整を容易且つ安価に実現可能な表示装置用前面板、および、この表示装置用前面板を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による前面板は、
透光性基材と、
前記透光性基材に積層された加飾層と、を備え、
前記加飾層は、
金属層、メタリック色材を含む樹脂層及び白色色材を含む樹脂層のいずれかからなる第1層と、
金属層、メタリック色材を含む樹脂層、白色色材を含む樹脂層及び有彩色色材を含む樹脂層のいずれかからなる第2層であって、前記第1層の前記透光性基材側に設けられ且つ前記第1層が形成されている領域内に所定のパターンにて形成された第2層と、を含む。
【0009】
本発明による前面板において、
前記第1層および前記第2層の一方が、有彩色色材を含む樹脂層であり、
前記第1層および前記第2層の他方が、白色色材を含む樹脂層または有彩色色材を含む樹脂層であるようにしてもよい。
【0010】
本発明による前面板において、
前記加飾層が、前記第2層上に前記所定のパターンにて形成され且つ前記第2層と前記第1層との間に位置する第3層をさらに含み、
前記第2層は、有彩色色材を含む樹脂層であり、
前記第3層は、金属層またはメタリック色材を含む樹脂層であるようにしてもよい。
【0011】
本発明による前面板において、前記第1層が、白色色材を含む樹脂層であるようにしてもよい。
【0012】
本発明による前面板において、JISZ8722(1982)の条件cに準拠して測定された前記第1層の可視光反射率が、70%以上であるようにしてもよい。
【0013】
本発明による前面板において、
前記第1層が、金属層またはメタリック色材を含む樹脂層であり、
前記第2層が、白色色材を含む樹脂層または有彩色色材を含む樹脂層であるようにしてもよい。
【0014】
本発明による前面板において、前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みの1/30以下であるようにしてもよい。
【0015】
本発明による前面板において、前記加飾層は、前記第1層の前記透光性基材とは反対側に積層された遮光層を、さらに含むようにしてもよい。
【0016】
本発明による前面板において、光学濃度OD値で表した前記遮光層の透過率は、3以上であるようにしてもよい。
【0017】
本発明による表示装置は、上述した本発明による前面板のいずれかを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加飾層の微妙な色調の調整を容易且つ安価に実施することができ、これにより、容易且つ安価に表示装置の意匠性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「円」、「四角形」、「同一」等の用語等については、厳密な意味に縛られることなく、実際の使用において同等と判断され得る範囲を含めて解釈することとする。
【0021】
図1〜
図11は本発明の一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。以下に説明する一実施の形態では、本発明による前面板を携帯端末用の表示装置に適用した例を説明する。しかしながら、本発明による前面板を含んだ表示装置は、携帯端末に限られることなく種々の装置に適用することができる。
【0022】
図1及び
図2は、それぞれ、表示装置15を含んだ携帯端末11を示す平面図または縦断面図である。
図3は、
図2の縦断面図の部分拡大図にて、表示装置15に含まれた前面板20を示している。
図4は、前面板20の一変形例を示す縦断面図である。
図5〜
図8は、前面板20の加飾層30に含まれる第2層32のパターン例を示す平面図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、携帯端末11として構成された装置10は、表示装置15と、表示装置15を収容するケース12と、を有している。表示装置15は、画像を形成する画像形成装置としての表示機構18と、表示機構18に積層された前面板20と、を有している。
図2に示すように、表示装置15の表示機構18は、画像が表示される表示領域A1と、表示領域A1を周状に取り囲む非表示領域A2と、を画成する。表示機構18は、特に制限されることなく種々の表示機構、例えば、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置等を用いることができる。
【0024】
以下で詳しく説明するように、前面板20は、非表示領域A2において、優れた隠蔽性を発揮し得る。したがって、
図12及び
図13に示された従来例と異なり、ケース12は、表示装置15を側方から支持するだけでよく、装置10の前面において表示セル30の非表示領域A2を覆う必要はない。これにより、装置10の前面には、ケース12が殆ど露出しておらず、表示セル30の前面側基板50によって画成される段差のないフラットな面として形成され得る。このため、装置10は、デザイン性において優れる。
【0025】
なお、装置10は、携帯端末11として機能するために必要となる回路等を適宜含んでいるが、図示を省略している。携帯端末11として機能するための構成は、既知の構成と同様にすることができる。したがって、携帯端末11として機能するための構成についての説明は省略する。以下、ケース12に支持された表示装置15の前面板20について説明する。
【0026】
図3に示すように、前面板20は、透光性基材25と、透光性基材25に積層された加飾層30と、を有している。透光性基材25は、加飾層30を支持する部位であるとともに、表示装置15の最も観察者側の表面を形成する部位となる。したがって、好ましくは、透光性基材25が十分な強度や落下時の衝撃に対する耐性を有している。とりわけ表示装置15がタッチパネル機能を有している場合には、透光性基材25は、接触位置を検出される面をなす。このような用途においては、外力が透光性基材25に頻繁に加えられるようになるので、透光性基材25の強度や衝撃耐性がより重要となる。透光性基材25は、一例として、強化処理された無アルカリガラスから形成され得る。
【0027】
図示された例において、加飾層30は、透光性基材25の背面側(表示機構18の側)を向く面上に、非表示領域A2の全領域に亘って形成されている。加飾層30は、非表示領域A2内において、表示機構18の回路や配線等を隠蔽しながら、装置10や表示装置15の意匠性を向上させる層である。
【0028】
まず隠蔽性の観点から、加飾層30が形成されている部分での可視光に対する透過率が、光学濃度(OD)で表して、4以上となっていることが好ましい。なお、光学濃度にて表される透過率の値(OD)は、垂直入射した入射光の強度I
inと垂直に透過した透過光の強度I
outとを用いた「log
10(I
in/I
out)」によって特定される。また、意匠性を向上させる観点から、加飾層30は、製品名や製造名を表示する絵柄部39が形成されていてもよい(
図1参照)。絵柄部39は、情報を表示する文字や記号等に限られることなく、模様やパターン等であってもよい。
【0029】
図3に示すように、加飾層30は、具体的な構成として、第1層31及び第2層32を含んでいる。第1層31は、ベタ膜として形成されている。図示された例において、第1層31は、非表示領域A2の全領域に亘って形成されている。第2層32は、透光性基材25上の第1層31によって覆われている領域内に設けられている。すなわち、第2層32は、透光性基材25と第2層32との間となる領域に配置されている。そして、第2層32は、ベタ膜ではなく、所定のパターンで形成されている。
【0030】
第1層31は、次の(a)、(b)及び(c)のいずれかの層として形成されている。一方、第2層32は、次の(a)、(b)(c)及び(d)のいずれかの層として形成されている。
(a)金属層
(b)メタリック色材を含む樹脂層
(c)白色色材を含む樹脂層
(d)有彩色色材を含む樹脂層
【0031】
まず、(a)の金属層は、金属からなる薄膜の層である。例えば、スパッタリングや真空蒸着等の気相成長法で形成したクロム、アルミニウム、マグネシウム、銀等の金属薄膜とすることができる。
【0032】
次に、(b)のメタリック色材を含む樹脂層について説明する。メタリック色材とは、メタリック顔料であり、典型的には、樹脂中に分散し得る粉状の金属のことである。このような金属としては、アルミニウムや銀、銅、金等を例示することができる。そして、メタリック色材を含む樹脂層は、感光性樹脂硬化物としての樹脂バインダからなる主部と、主部中に分散した色材と、を含む塗膜として形成される。典型的には、色材分散レジスト塗膜として形成され得る。
【0033】
(c)の白色色材を含む樹脂層および(d)の有彩色色材を含む樹脂層は、一例として、白色顔料や有彩色顔料を含んだ樹脂層として形成される。白色色材としては、典型例として酸化チタンを用いることができる。一方、有彩色は、色味の無い明度のみの無彩色と区別される色である。すなわち、有彩色は、赤、緑、青等の色味があり且つ明度、色相および彩度を有する色である。白色色材を含む樹脂層および有彩色色材を含む樹脂層は、感光性樹脂硬化物としての樹脂バインダからなる主部と、主部中に分散した色材と、を含む塗膜として形成される。典型的には、色材分散レジスト塗膜として形成され得る。
【0034】
第2層32のパターンは、特に限定されるものではなく、一例として
図5〜
図8に示すようなパターンを採用することができる。
図5に示された例では、第2層32は、四角形形状、とりわけ正方形形状に形成された一定のドットが分散してなるパターンを有している。また、
図6に示された第2層32は、円形状に形成された一定のドットパターンを形成している。一方、
図7に示された第2層32は、円形状に形成された大きさの異なるドットパターンを形成している。とりわけ、
図7に示された第2層32では、円形状の大きさが、中心において最も大きく周縁に向けてしだいに小さくなっている。すなわち、
図7に示された第2層32では、グラディエーションパターンを形成している。なお、
図5〜
図7に例示されたパターンにおいて、第2層32が、ドットパターンではなく、ドット部分が第2層の非形成部となっているネガパターンとして形成されていてもよい。さらに、
図8に示された例においては、第2層32がストライプパターンにて形成されている。
【0035】
このような加飾層30では、
図5〜
図8から理解され得るように、第2層32が形成されていない領域に、第1層31が視認されるようになる。このため、第1層31及び第2層32の組み合わせが観察されるようになる。そして、第2層32のパターンを変更することにより、第1層31及び第2層32の組み合わせによって種々のデザインを表現することができる。すなわち、加飾層30のデザイン性を大幅に広げることができ、結果として、装置10の意匠性を効果的に上昇させることができる。この際、第1層31及び第2層32のそれぞれに用いられる二種類の材料を用意しておくだけでよい。したがって、デザインの幅を広げることに対して、大幅な製造コストの上昇を引き起こすこともない。
【0036】
とりわけ第1層31は、金属層(a)、メタリック色材を含む樹脂層(b)、又は、白色色材を含む樹脂層(c)となっており、優れた反射性を有することになる。したがって、第1層31は、第2層32の間に露出した部分に入射する光だけでなく、第2層32に覆われた部分に第2層32を透過して入射する光をも、高い反射率で反射することになる。この結果、第1層31のみによって表現される色調および第2層32のみによって表現される色調の両方と異なる色調を安価且つ容易に表現することが可能となる。また、第1層31が設けられている領域の全域において、反射光量を確保し得ることにもなり、これにともなって、加飾性を積極的に発揮することができる。なお、本件発明者らが鋭意実験を繰り返したところ、JISZ8722(1982)の条件cに準拠して測定された第1層31の可視光反射率を70%以上に設定することが、ここで説明した視覚効果を確保する上で有効であった。なお、ここでいう可視光反射率は、第1層31単独での反射率であり、その測定は、実際の第1層31と同一材料を用いて同一厚みに形成された第1層31の試験サンプルに対して実施され得る。
【0037】
ところで、第2層32がなす所定パターンは、人間の目によって分解可能な程度の大きさであってもよいし、分解不可能な大きさであってもよい。第2層32がなす所定パターンが人間の目によって分解可能な大きさである場合、すなわち、第2層32のパターンが認識され得る場合、第1層31及び第2層32の組み合わせによって、絵柄、模様またはパターン自体に関連した意匠性の拡充を図ることができる。その一方で、第2層32がなす所定パターンが人間の目によって分解不可能な大きさである場合、すなわち、第2層32のパターンが認識され得ない場合、主として、第1層31及び第2層32の組み合わせによる色調に関連した意匠性の拡充を図ることができる。第2層32による所定のパターンについては、ドットパターンやストライプパターン等である場合にはその配列ピッチや大きさ又は線幅を、ネガパターンである場合には第2層32の非形成部の配列ピッチや大きさを、500μm以下とすれば、人間の目で簡単に分解できなくなる。
【0038】
なお、第2層32のパターンは、地模様としての視覚効果を目的としており、この点において、絵柄部39による視覚効果と区別されるべきである。第2層32によるパターンと絵柄部39との間における視覚効果の相違をもたらす構成上での相違として、第2層32によるパターンのピッチが小さいことを挙げることができる。ここで説明する第2層32による所定のパターンについては、ドットパターンやストライプパターン等である場合にはその配列ピッチや大きさ又は線幅が、ネガパターンである場合には第2層32の非形成部の配列ピッチや大きさが、1000μm以上2000μm以下となっていることが上述してきた作用効果を確保する上で好ましく、500μm以上1000μm以下となっていることがより好ましく、10μm以上500μm以下となっていることがさらに好ましい。
【0039】
ここで、前面板20に含まれる第1層31及び第2層32の好適な例について、さらに説明する。
【0040】
まず、第1層31および第2層32の一方が、有彩色色材を含む樹脂層(d)であり、第1層31および第2層32の他方が、白色色材を含む樹脂層(c)または有彩色色材を含む樹脂層(d)であるようにしてもよい。この例によれば、第1層31および第2層32の一方をなす有彩色と、第1層31および第2層32の他方をなす白色または有彩色との組み合わせにより、種々の色調を表現することができる。上述したように、第1層31および第2層32をなす二種類の原料を調整しておくとともに、第2層32のパターンを変更することにより、幅の広い色調を安価且つ容易に実現することができる。
【0041】
このような態様の一具体例として、
図9に示すように、白色色材を含む樹脂層(c)を第1層31に用い、有彩色色材を含む樹脂層(d)を第2層32に用いることができる。
図9に示された加飾層30では、反射率が高くなる傾向を有した第1層31によって、第2層32の有彩色と組み合わされた色調を、積極的に表現することが可能となる。
【0042】
次の例として、
図10に示すように、第1層31が、金属層(a)又はメタリック色材を含む樹脂層(b)であり、第2層32が、白色色材を含む樹脂層(c)又は有彩色色材を含む樹脂層(d)であるようにしてもよい。このような例において、透光性基材25上の第1層31で覆われる領域に対する第2層32が形成されている領域の割合が低い場合、白色または有彩色の色味を付与された金属光沢感を強く表現することができる。その一方で、透光性基材25上の第1層31で覆われる領域に対する第2層32が形成されている領域の割合が高い場合には、白または有彩色をメタリック調で表すことができる。
図10に示された例では、反射率が低くなる傾向を有した有彩色色材を含む樹脂層(d)を第2層32として用いた場合、すなわち、透過率が高くなる傾向を有した有彩色色材を含む樹脂層(d)を第2層32として用いた場合に、金属層(a)又はメタリック色材を含む樹脂層(b)からなる第1層31による上述の視覚効果が引き立つようになる。
【0043】
さらに、
図4に示すように、加飾層30が、第2層32と同一のパターンで第2層32上に形成され且つ第2層32と第1層31との間に位置する第3層33をさらに含むようにしてもよい。この例において、第3層33は、金属層(a)又はメタリック色材を含む樹脂層(b)とし得る。
図4に示す例によれば、第1層31とメタリック調に視認される第2層32との組み合わせによる視覚効果を確保することができる。一具体例としては、
図11に示すように、透過率が高くなる傾向を有した有彩色色材を含む樹脂層(d)を第2層32として用いることにより、上述したように、第3層33による視覚効果を引き立たせて、メタリック感を増すことができる。また、
図11に示すように、反射率が高くなる傾向を有した白色色材を含む樹脂層(c)を第1層31に用いることにより、第2層32及び第3層33によるメタリック調有彩色と組み合わされた色調を、積極的に表現することが可能となる。
【0044】
ところで、上述してきたように、第1層31の反射率が高くなっており、第2層32の透過率が高くなっていれば、第1層31及び第2層32の組み合わせによる色調を強調することが可能となる。この観点から、第2層32の厚みt
2は、第1層31の厚みt
1よりも薄くなっていることが好ましい。また、
図4に示された例のように第3層33が設けられる場合には、第2層32の厚みt
2と第3層33の厚みt
3の合計が、第1層31の厚みt
1よりも薄くなっていることが好ましい。
【0045】
また、前面板20の表示機構18に対面する側の面の非表示領域A2内に、配線が形成されることがある。典型的な例として、タッチパネル機能を有する表示装置15では、非表示領域A2内の加飾層30上に配線が形成される。そして、第2層32の厚みt
2が厚いと、第2層32上に形成された第1層31の表面に凹凸が形成される。この凹凸が大きい場合には、非表示領域A2に形成される配線が断線してしまうといった可能性が生じる。この点について本件発明者らが鋭意検討を行ったところ、断線の可能性を排除する観点から、第2層32の厚みt
2を、第1層31の厚みt
1の1/30以下とすることが有効であることが知見された。また、
図4に示された例のように第3層33が設けられる場合には、第2層32の厚みt
2と第3層33の厚みt
3の合計が、第1層31の厚みt
1の1/30以下となっていることが好ましい。
【0046】
さらに、上述したように、非表示領域A2に配置される加飾層30には隠蔽性が要求される。そして、図示された加飾層30は、
図3及び
図4に示すように、第1層31の透光性基材25とは反対側に積層された遮光層35を、さらに含んでいる。図示された遮光層35は、非表示領域A2の全領域に亘って形成されている。したがって、遮光層35は、第1層31が形成されている領域と同一の領域に設けられている。上述したように、加飾層30全体としての透過率を光学濃度OD値で表して4以上に安定して確保する観点から、光学濃度OD値で表した遮光層35の透過率を3以上にすることが好ましい。
【0047】
なお、第1層31の反射率が高い場合、表示機構18側から第1層31へ光が入射すると、表示装置15内に迷光が発生する。このような迷光は、表示機構18に組み込まれたスイッチング素子の誤作動を引き起こすことにもなる。したがって、非表示領域A2の隠蔽性を確保するといった観点のみからだけでなく、遮光層35を設けることは有効である。そして、迷光の発生を防止するといった観点においても、光学濃度OD値で表した遮光層35の透過率を3以上にすることが好ましい。
【0048】
遮光層35は、例えば、感光性樹脂の硬化物としての樹脂バインダからなる主部と、主部中に分散された光吸収性粒子と、を含む塗膜として形成される。典型的には、チタンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を光吸収性粒子として用い、遮光層35を顔料分散レジスト塗膜として形成することができる。
【0049】
以上のように本実施の形態によれば、加飾層30が、金属層(a)、メタリック色材を含む樹脂層(b)及び白色色材を含む樹脂層(c)のいずれかからなる第1層31と、金属層(a)、メタリック色材を含む樹脂層(b)、白色色材を含む樹脂層(c)及び有彩色色材を含む樹脂層(d)のいずれかからなる第2層32と、を含んでいる。そして、第2層32は、透光性基材25上の第1層31によって覆われる領域内に所定のパターンにて形成されている。このような加飾層30では、第1層31及び第2層32の組み合わせが観察されるようになる。そして、第2層32のパターンを変更することにより、第1層31及び第2層32の組み合わせによって種々のデザインを表現することができる。とりわけ第1層31は、金属層(a)、メタリック色材を含む樹脂層(b)、又は、白色色材を含む樹脂層(c)となっており、優れた反射性を有することになる。結果、第1層31のみによって表現される色調および第2層32のみによって表現される色調の両方と大きく異なる色調を表現することが可能となる。すなわち、加飾層30のデザイン性を大幅に広げることができ、結果として、装置10の意匠性を効果的に上昇させることができる。この際、第1層31及び第2層32に用いられる材料は、一定とすることができる。したがって、デザインの幅を広げることに対して、大幅な製造コストの上昇を引き起こすこともない。
【0050】
以上、本発明を図示する一実施の形態に基づいて説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。例えば、前面板20が、保護層をさらに含むようにしてもよい。