(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被洗浄物が収容される洗浄槽と、この洗浄槽内の被洗浄物へ液体を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄槽内の下部に連接された液貯留部と、この液貯留部への給水手段と、前記液貯留部からの排水手段と、前記液貯留部への洗剤供給手段と、前記液貯留部の液体を前記洗浄ノズルへ循環供給する循環手段と、この循環手段が有する循環ポンプ内からの水抜き手段とを備え、
前記排水手段は、前記液貯留部の下部からの排水路と、この排水路に設けられる排水弁とを備え、
前記水抜き手段は、前記循環ポンプのケーシング下部からの水抜き路と、この水抜き路に設けられる水抜き弁とを備え、
前記循環ポンプは、前記液貯留部よりも下方に設けられ、
前記排水路には、前記排水弁より上流において、分岐路が分岐して設けられており、その分岐路が、前記循環ポンプの吸込口に接続されており、
前記液貯留部および前記循環ポンプ内から排水後の前記液貯留部への給水開始時、前記循環ポンプ内に水を溜めて前記循環ポンプを回転させることで前記循環ポンプ内を水洗いした後、前記循環ポンプを止めると共に前記水抜き弁を開けて前記循環ポンプ内から排水した後、前記水抜き弁を閉じて給水を開始する
ことを特徴とする洗浄器。
前記制御手段は、前記濯ぎ工程において、前記給水手段による給水と、前記循環手段による循環と、前記排水手段による排水とのセットを設定回数繰り返すが、各セットの排水中または排水後、前記水抜き弁を開けて前記ポンプ内からも排水する
ことを特徴とする請求項2に記載の洗浄器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の洗浄器において、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄後、洗浄槽内から洗浄液を排水し、その後、新たに給水した水を濯ぎ水として被洗浄物を濯ぎすることが行われる。ところが、濯ぎ不足が生じると、被洗浄物の変色や孔食の他、中毒性前眼部症候群の原因にもなり得る。一方、無駄に濯ぎを多く実施することは、水や電気の使用量を増し、ランニングコストが増加する。
【0005】
従来、循環ポンプとして渦巻きポンプが使用されるケースが少なくないが、洗浄工程後の排水時、循環ポンプ内から排水し切れずに、循環ポンプ内に洗浄液が残るおそれがある。具体的には、インペラを回転させるモータを水平に配置し、インペラが収容されるケーシングには、モータ軸と同軸方向に吸込口、モータ軸と鉛直方向に吐出口が設けられるが、この場合、洗浄工程後に洗浄槽内(より詳細には液貯留部としての収集スペース内)から排水しても、ケーシングの下半分には、洗浄濃度の洗浄液が残ることになる。そのような状態で、濯ぎ水として新たに水を供給して、循環ポンプを作動させると、残った洗浄液が濯ぎ水と混ざり合い、洗剤濃度が減少しにくくなる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、洗浄工程後の排水時に循環ポンプ内からも洗浄液を確実に排水して、その後の濯ぎを迅速に且つ確実に行うことができる洗浄器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、この洗浄槽内の被洗浄物へ液体を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄槽内の下部に連接された液貯留部と、この液貯留部への給水手段と、前記液貯留部からの排水手段と、前記液貯留部への洗剤供給手段と、前記液貯留部の液体を前記洗浄ノズルへ循環供給する循環手段と、この循環手段が有する循環ポンプ内からの水抜き手段とを備え
、前記排水手段は、前記液貯留部の下部からの排水路と、この排水路に設けられる排水弁とを備え、前記水抜き手段は、前記循環ポンプのケーシング下部からの水抜き路と、この水抜き路に設けられる水抜き弁とを備え、前記循環ポンプは、前記液貯留部よりも下方に設けられ、前記排水路には、前記排水弁より上流において、分岐路が分岐して設けられており、その分岐路が、前記循環ポンプの吸込口に接続されており、前記液貯留部および前記循環ポンプ内から排水後の前記液貯留部への給水開始時、前記循環ポンプ内に水を溜めて前記循環ポンプを回転させることで前記循環ポンプ内を水洗いした後、前記循環ポンプを止めると共に前記水抜き弁を開けて前記循環ポンプ内から排水した後、前記水抜き弁を閉じて給水を開始することを特徴とする洗浄器である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、循環ポンプからの水抜き手段を備えるので、洗浄工程後の排水時、循環ポンプ内からも確実に排水することができる。これにより、その後の濯ぎ工程において、洗剤濃度を迅速に下げることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は
、前記各手段を制御する制御手段は、前記給水手段による水に前記洗剤供給手段による洗剤を混入した洗浄液を前記循環手段により循環させて前記被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記循環手段を停止した状態で前記排水手段により前記液貯留部から洗浄液を排水する排水工程と、前記給水手段による水を濯ぎ水として前記循環手段により循環させて前記被洗浄物を濯ぎする濯ぎ工程とを順次に実行し、前記制御手段は、前記排水工程またはその終了後、前記水抜き弁を開けて前記ポンプ内からも排水した後、前記濯ぎ工程を開始
し、前記濯ぎ工程において、前記液貯留部へ濯ぎ水を給水する際、前記循環ポンプ内に水を溜めて前記循環ポンプを回転させることで前記循環ポンプ内を水洗いした後、前記循環ポンプを止めると共に前記水抜き弁を開けて前記循環ポンプ内から排水した後、前記水抜き弁を閉じて給水を開始することを特徴とする請求項1に記載の洗浄器である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、洗浄工程後の排水工程またはその終了後、水抜き弁を開けて、循環ポンプ内からも確実に排水できるから、その後の濯ぎ工程において、洗剤濃度を迅速に下げることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記濯ぎ工程において、前記給水手段による給水と、前記循環手段による循環と、前記排水手段による排水とのセットを設定回数繰り返すが、各セットの排水中または排水後、前記水抜き弁を開けて前記ポンプ内からも排水することを特徴とする請求項2に記載の洗浄器である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、濯ぎ工程において、給水、循環および排水のセットを設定回数繰り返すが、各セットの排水中または排水後、水抜き弁を開けて循環ポンプ内からも排水することで、その後の濯ぎを迅速に且つ確実に行うことができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記被洗浄物は、前記洗浄槽に洗浄ラックを介して出し入れされ、前記洗浄槽内に上下複数段に設けられる前記洗浄ノズルの内、少なくとも最上部および最下部の各洗浄ノズル以外の洗浄ノズルは、前記洗浄ラックに設けられており、前記洗浄槽に前記洗浄ラックを収容した状態で、前記循環ポンプからの液体を前記洗浄ラックの洗浄ノズルへ供給可能に、前記洗浄槽の側の前記循環ポンプからの配管と前記洗浄ラックの側の前記洗浄ノズルへの配管とが着脱可能に接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄器である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、洗浄ラックを介して、洗浄槽に対し被洗浄物を容易に出し入れすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗浄器によれば、洗浄工程後の排水時に循環ポンプ内からも洗浄液を確実に排水して、その後の濯ぎを迅速に且つ確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の洗浄器1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。本実施例の洗浄器1は、ウォッシャーディスインフェクターとして利用できるものである。
【0018】
本実施例の洗浄器1は、被洗浄物を収容する洗浄槽2と、この洗浄槽2内の被洗浄物へ液体を噴射する洗浄ノズル3と、洗浄槽2内の下部に連接された液貯留部4と、この液貯留部4への給水手段5と、液貯留部4からの排水手段6と、液貯留部4への薬液供給手段7と、液貯留部4内の液体を洗浄ノズル3へ循環供給する循環手段8と、この循環手段8が有する循環ポンプ9内からの水抜き手段10とを備える。さらに、洗浄器1は、液貯留部4内の液体を加熱する第一ヒータ11と、洗浄槽2内へ空気を送り込む送風機12と、この送風機12から洗浄槽2内への空気を加熱する第二ヒータ13とを備えるのが好ましい。
【0019】
被洗浄物は、特に問わないが、たとえば鉗子などの医療器具である。洗浄槽2内には、上下複数段に洗浄ノズル3が設けられるが、被洗浄物は上下の洗浄ノズル3間に配置される。この際、洗浄槽2内に上下複数段に設けられる網棚(図示省略)に、被洗浄物が載せられる。また、被洗浄物は、所望によりバスケットなどに収容されてもよい。
【0020】
洗浄槽2は、被洗浄物が収容される中空容器である。洗浄槽2は、本実施例では略矩形の中空ボックス状である。洗浄槽2は、扉(図示省略)により開閉可能とされる。扉を開けることで、洗浄槽2に対し被洗浄物を出し入れすることができる。扉は、洗浄槽2の正面に設けられるが、洗浄槽2の正面および背面の双方に設けられてもよい。
【0021】
洗浄槽2は、少なくとも左右の側壁に、洗浄槽2内の下方へ開口する空洞部としてのジャケット14を備えるのがよい。本実施例では、洗浄槽2の上壁と左右側壁とに、連続的にジャケット14が形成されている。具体的には、洗浄槽2の上壁および左右側壁は、内壁と外壁との二重構造とされており、内壁と外壁との間に隙間を開けてジャケット14が構成される。その際、ジャケット14は、洗浄槽2の前後においては閉じられており、左右側壁において下方へ開口している。このように、左右のジャケット14は、洗浄槽2内の下端部において開口している。なお、洗浄槽2が背面に扉を備えない場合、洗浄槽2の背面にもジャケット14を設けてもよい。
【0022】
洗浄ノズル3は、洗浄槽2内に、上下複数段に設けられる。本実施例では、洗浄槽2の一側部に、上下複数段にアーム状の支持部材15の基端部が保持され、各支持部材15は、洗浄槽2の一側部から左右方向中央部へ向けて延出する。そして、その延出先端部に、洗浄ノズル3の長手方向中央部が垂直軸まわりに回転自在に保持される。洗浄ノズル3は、支持部材15内を介して供給される流体(液体や空気)を噴射させるノズル孔(図示省略)を複数形成されている。支持部材15を介して洗浄ノズル3内に流体が供給されると、その流体は洗浄ノズル3のノズル孔から噴射される。この噴流により、洗浄ノズル3は、支持部材15の端部の軸受部まわりに回転する。なお、洗浄槽2内の上端部に設けられる洗浄ノズル3は、下方へのみ流体を噴射し、洗浄槽2内の下端部に設けられる洗浄ノズル3は、上方へのみ流体を噴射し、上下両端部以外の洗浄ノズル3は、上下両方へ流体を噴射する。
【0023】
液貯留部4は、洗浄槽2内の下部に連接される。言い換えれば、洗浄槽2は、下部に液貯留部4を備える。本実施例では、液貯留部4は、洗浄槽2の左右方向中央部の下部に、前後方向へ延出して設けられる。具体的には、洗浄槽2の下壁は、左右両端部が左右方向内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面2aに形成されており、左右方向中央部は下方へ略矩形状に凹んで形成されている。そして、その下方への凹部が液貯留部4とされる。洗浄ノズル3から洗浄槽2内へ噴射された液体は、洗浄槽2内の下方へ落下し、傾斜面2aにより液貯留部4に集められる。
【0024】
給水手段5は、洗浄槽2下部の液貯留部4に、給水路16を介して給水する。本実施例では、給水路16からの給水は、洗浄槽2を介して液貯留部4に送られる。給水路16には、洗浄槽2へ向けて、逆止弁17と給水弁18とが設けられる。給水路16を介した洗浄槽2内への給水は、洗浄槽2の上部からジャケット14内へ行われる。従って、給水路16からの水は、左右のジャケット14を介して、洗浄槽2内下部へ排出され、液貯留部4へ供給される。
【0025】
図示例では、給水路16を一本のみ示しているが、所望により常温水と温水の各給水路16を並列に設けてもよい。その際、常温水と温水の各給水路16を途中で合流させて、所望温度として洗浄槽2内へ給水可能としてもよい。さらに、水道水の他、軟水またはRO水など、異なる種類の液体から選択したものを洗浄槽2内へ給水可能に、給水路16を並列に設けてもよい。
【0026】
液貯留部4付きの洗浄槽2には、液位検出器(図示省略)が設けられる。液位検出器は、その構成を特に問わないが、たとえば、液貯留部4の底部に設置した圧力センサから構成される。この場合、液貯留部4(および洗浄槽2)内の液位に応じて、水圧が変わることを利用して液位を把握する。なお、洗浄槽2には、所定以上の液体を外部へ排出するオーバーフロー路19が設けられる。
【0027】
排水手段6は、洗浄槽2下部の液貯留部4から、排水路20を介して排水する。排水路20には、排水弁21が設けられている。排水弁21を開くことで、液貯留部4内の貯留水を外部へ排水することができる。
【0028】
薬液供給手段7は、液貯留部4内の貯留水に、給液路22を介して薬液を供給する。具体的には、薬液が貯留された薬液タンク23が、給液路22を介して洗浄槽2と接続され、給液路22には薬液ポンプ24が設けられている。薬液ポンプ24の作動を制御することで、薬液タンク23から洗浄槽2内への薬液の供給量を調整することができる。なお、薬液タンク23および給液路22のセットを並列に複数設けておき、薬液の種類を変更可能としてもよい。たとえば、アルカリ性洗剤、酵素配合洗剤、潤滑防錆剤、乾燥促進剤など、所望の薬液を貯留した薬液タンク23を複数備え、被洗浄物や工程に応じて、使用する薬液を変更してもよい。薬液が洗剤の薬液供給手段7を、特に洗剤供給手段ということがある。
【0029】
循環手段8は、液貯留部4内の貯留液を、洗浄ノズル3へ循環供給する。具体的には、循環手段8は、循環ポンプ9と循環配管25とを備える。循環ポンプ9は、液貯留部4の下方側部に設けられる。排水路20には、排水弁21より上流において、分岐路26が分岐して設けられており、その分岐路26が、循環ポンプ9の吸込口9bに接続される。一方、循環ポンプ9の吐出口9cは、適宜の循環配管25を介して、洗浄ノズル3の支持部材15に接続される。従って、循環ポンプ9を作動させると、液貯留部4内の液体を、循環配管25および支持部材15を介して洗浄ノズル3へ供給することができ、洗浄ノズル3から噴射された液体は、液貯留部4に戻される。
【0030】
循環ポンプ9は、典型的には渦巻きポンプから構成され、ケーシング9a内でインペラ(図示省略)を回転させることで、吸込口9bから液体を吸い込んで吐出口9cへ吐出する。具体的には、渦巻きケーシング9aと、このケーシング9a内で回転するインペラと、このインペラを回転させるモータ(図示省略)とを備える。ケーシング9aは、一側部の吸込口9bを水平に向ける一方、吐出口9cを上方へ向けて配置される。ケーシング9aの他側部には、モータが水平に配置され、水平に延出する駆動軸は、ケーシング9a内のインペラに接続される。これにより、モータを回転させると、駆動軸によりケーシング9a内でインペラを回転させ、吸込口9bから液体を吸い込んで吐出口9cへ吐出できる。
【0031】
水抜き手段10は、循環ポンプ9内から排水する手段である。具体的には、循環ポンプ9のケーシング9aの下部には、下方へ向けて水抜き路27が接続されており、その水抜き路27には水抜き弁28が開閉可能に設けられる。水抜き弁28を開けることで、ケーシング9a内の滞留水を外部へ排水することができる。
【0032】
第一ヒータ11は、液貯留部4内の液体を加熱する。第一ヒータ11は、電気ヒータであってもよいが、図示例では蒸気ヒータである。蒸気ヒータは、液貯留部4内に配置される蒸気管を備え、この蒸気管内には給蒸路29を介して蒸気が供給される。給蒸路29に設けた給蒸弁30の開閉または開度を制御することで、液貯留部4内の液体の温度を調整することができる。蒸気ヒータへ供給された蒸気の凝縮水は、ドレン排出路31を介して排出される。蒸気ヒータからのドレン排出路31には、蒸気トラップ32と逆止弁33とが設けられている。
【0033】
洗浄槽2の上部には、送風機12からの給気路34が接続される。送風機12からの給気路34は、第二ヒータ13より下流において分岐され、第一給気路34aが給気弁35を介して前記循環配管25に接続され、第二給気路34bが洗浄槽2上部のジャケット14に接続される。送風機12からの空気は、第二ヒータ13で加熱された後、第一給気路34a、循環配管25および支持部材15を介して、洗浄ノズル3から噴射される一方、第二給気路34bおよびジャケット14を介して、左右のジャケット14の下端部から洗浄槽2内へ供給される。
【0034】
洗浄槽2の上部には、外部への排気路36が接続される。排気路36からの排気は、一部が外部へ排気されつつ、残部が循環路37を介して送風機12の吸込口へ戻される。この戻し量を所望に保つために、排気路36にはオリフィス38が設けられる。従って、送風機12には、洗浄槽2からの排気と、フィルタ39を介した新規空気(外気)とが供給される。言い換えれば、空気を一部入れ替えながら、送風機12により、洗浄槽2との間で空気を循環させることができる。
【0035】
洗浄器1は、さらに加熱タンク40を備えてもよい。加熱タンク40は、後の工程で用いる液体を予め加熱するのに用いられる。本実施例では、加熱タンク40は、設置スペースの関係上、洗浄槽2の上部(真上)に設けられる。
【0036】
加熱タンク40には、タンク給水路41を介して水が供給される。タンク給水路41にはタンク給水弁42が設けられており、タンク給水弁42の開閉を制御することで、加熱タンク40への給水を制御することができる。本実施例では、加熱タンク40には、水位検出器(図示省略)が設けられており、少なくとも満水状態(設定水位までの給水状態)と空水状態とが検知可能とされる。水位検出器の検出信号に基づきタンク給水弁42を制御して、加熱タンク40に設定水位まで給水することができる。なお、加熱タンク40には、所定以上の水を溢れされるオーバーフロー路43が設けられている。
【0037】
加熱タンク40には、第三ヒータ44が設けられる。第三ヒータ44は、図示例では電気ヒータとされるが、場合により第一ヒータ11と同様の蒸気ヒータであってもよい。第三ヒータ44により、加熱タンク40内の液体を設定温度まで加熱することができる。典型的には、後述する除染工程で使用する熱水を製造することができる。
【0038】
加熱タンク40と洗浄槽2とは、熱水路45により接続されており、熱水路45には熱水弁46が設けられている。熱水路45は、下流(洗浄槽2側)において、給水路16と共通管路とされている。熱水弁46を開くことで、加熱タンク40から洗浄槽2内へ熱水を供給することができる。
【0039】
洗浄槽2には、さらに、超音波振動子47を設けてもよい。本実施例では、洗浄槽2の下壁の左右の傾斜面2aに、それぞれ超音波振動子47が設けられている。
【0040】
液貯留部4には、第一温度センサ48が設けられる。第一温度センサ48の検出温度に基づき第一ヒータ11を制御(本実施例では給蒸弁30を制御)することで、液貯留部4内の貯留水、ひいては洗浄ノズル3から噴射する液体の温度を調整することができる。
【0041】
送風機12から洗浄槽2への給気路34には、第二ヒータ13の設置位置よりも下流側に、第二温度センサ49が設けられる。第二温度センサ49の検出温度に基づき第二ヒータ13を制御することで、洗浄槽2内への給気温度を調整することができる。
【0042】
加熱タンク40には、第三温度センサ50が設けられる。第三温度センサ50の検出温度に基づき第三ヒータ44を制御することで、加熱タンク40内の貯留水を所望温度に調整することができる。
【0043】
洗浄器1は、さらに制御手段としての制御器(図示省略)を備える。具体的には、給水弁18、排水弁21、水抜き弁28、給気弁35、タンク給水弁42、熱水弁46、循環ポンプ9、薬液ポンプ24、第一ヒータ11(給蒸弁30)、第二ヒータ13、第三ヒータ44、送風機12、超音波振動子47、液貯留部4の液位検出器、加熱タンク40の水位検出器、第一温度センサ48、第二温度センサ49および第三温度センサ50などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、洗浄槽2内の被洗浄物の洗浄や濯ぎなどを図る。
【0044】
以下、本実施例の洗浄器1の運転について具体的に説明する。初期状態において、各弁18,21,28,35,42,46は閉じられ、各ポンプ9,24、各ヒータ11,13,44、送風機12および超音波振動子47は停止している。この状態で、洗浄槽2内には、被洗浄物が収容され、洗浄槽2の扉は気密に閉じられる。
【0045】
本実施例の洗浄器1は、予洗工程、洗浄工程、超音波洗浄工程、濯ぎ工程、除染工程および乾燥工程の内、選択された工程を実行する。どの工程をどのような順序で行うかは、運転開始に先立ち、ユーザにより制御器に設定される。典型的には、少なくとも洗浄工程と濯ぎ工程とを順次に含んだ内容で設定される。そして、所定の運転開始ボタンにより運転開始が指示されると、制御器は、選択された工程を順次に実行する。以下、各工程の具体的内容を説明する。
【0046】
≪予洗工程≫
予洗工程は、薬液を投入しない水で、被洗浄物を洗浄する工程である。具体的には、まず、給水弁18を開けて、液貯留部4に給水する。液貯留部4に設定水位(たとえば
図1の液位X)まで水が貯留されると、液位検出器によりそれを検知して給水弁18を閉じる。その後、循環ポンプ9を作動させて、液貯留部4からの水を、循環配管25および支持部材15を介して洗浄ノズル3へ供給し、洗浄ノズル3を回転させながら、洗浄ノズル3のノズル孔から被洗浄物に噴射する。これにより、被洗浄物は、上下の洗浄ノズル3から噴射される水で洗浄される。各洗浄ノズル3から噴射された水は、洗浄槽2下部の液貯留部4へ戻される。設定時間だけ水を循環させた後、循環ポンプ9を停止する。そして、排水弁21を開けて液貯留部4から排水し、排水完了後には排水弁21を閉じる。なお、予洗工程では、本実施例では常温水を循環させるが、場合により第一ヒータ11などにより所定温度に加熱した温水を循環させてもよい。
【0047】
≪洗浄工程≫
洗浄工程は、薬液(洗剤)を投入した水(洗浄液)で、被洗浄物を洗浄する工程である。洗浄工程は、基本的には予洗工程と同様である。そこで、ここでは、洗浄工程が予洗工程と異なる点について説明する。洗浄工程では、液貯留部4に設定水位まで水を貯留後、薬液ポンプ24を作動させて、液貯留部4内の貯留水に洗剤を投入する。さらに、第一ヒータ11を作動させて、液貯留部4内の貯留水を設定温度(たとえば40℃)まで加熱する。但し、循環ポンプ9を作動させながら、液貯留部4内の貯留水を設定温度まで加熱してもよい。また、給水路16または熱水路45により、設定温度の温水を給水できる場合には、その温水を利用してもよい。いずれにしても、液貯留部4内に洗浄液を準備した後、循環ポンプ9を作動させて、被洗浄物を洗浄液により洗浄する。洗浄液の循環中、第一温度センサ48の検出温度に基づき第一ヒータ11を制御して、洗浄液の温度を設定温度に維持する。設定時間だけ洗浄液を循環させた後、循環ポンプ9を停止する。そして、排水弁21を開けて液貯留部4から排水し、排水完了後には排水弁21を閉じる。
【0048】
なお、このような洗浄工程について、循環ポンプ9を停止後の排水操作のみを特に排水工程とよび、それ以前の洗浄工程(洗浄工程本体)と分けて説明する場合がある。同様に、次に述べる超音波洗浄工程についても、超音波振動子を停止後の排水操作のみを特に排水工程とよび、それ以前の洗浄工程(超音波洗浄工程本体)と分けて説明する場合がある。
【0049】
そして、これら排水工程中またはその終了直後(つまり次工程への移行前)、水抜き手段10により、循環ポンプ9内からも確実に排水するのが好ましい。たとえば、排水工程による排水完了後(具体的には液位検出器により排水確認後)、水抜き弁28を所定時間だけ開放して閉鎖する。あるいは、これに代えてまたはこれに加えて、排水工程中にも水抜き弁28を開放し続けてもよい。いずれにしても、水抜き弁28を開くことで、循環ポンプ9内に溜まっていた洗浄液を外部へ排水することができる。
【0050】
≪超音波洗浄工程≫
超音波洗浄工程は、被洗浄物を超音波洗浄する工程である。具体的には、まず、給水弁18を開けて、洗浄槽2内に給水する。この際、洗浄槽2内の被洗浄物が水没するまで、洗浄槽2内に給水する。洗浄槽2内の被洗浄物が水没するのであれば、必ずしも洗浄槽2内の上部まで給水する必要はない。洗浄槽2内に所望水位まで水が貯留されると、液位検出器によりそれを検知して給水弁18を閉じる。その後、超音波振動子47を作動させることで、被洗浄物を超音波洗浄する。この際、循環ポンプ9を作動させて、洗浄ノズル3からの水の噴射を併用してもよい。洗浄槽2内の上方に配置された被洗浄物は、場合により超音波が当たり難く洗浄効果が薄れる場合があるが、洗浄ノズル3からのジェット洗浄を併用することで、洗浄ノズル3からの液体の噴射とそれによる貯留水の流動とにより、すべての被洗浄物を効果的に洗浄することができる。なお、超音波洗浄工程では、洗浄工程と同様に、貯留液に薬液を混入してもよいし、第一ヒータ11により貯留液を所望温度に加熱してもよい。設定時間だけ超音波洗浄を行った後、超音波振動子47や循環ポンプ9を停止する。そして、排水弁21を開けて洗浄槽2および液貯留部4から排水し、排水完了後には排水弁21を閉じる。
【0051】
≪濯ぎ工程≫
濯ぎ工程は、予洗工程と同様の工程であり、液貯留部4に水を貯留した後、循環ポンプ9を作動させて、洗浄ノズル3から水を噴射して、被洗浄物を濯ぐ工程である。この際、第一ヒータ11により貯留水を設定温度まで加熱してもよい。設定時間だけ水を循環させた後、循環ポンプ9を停止する。そして、排水弁21を開けて液貯留部4から排水し、排水完了後には排水弁21を閉じる。
【0052】
前述したとおり、典型的には、濯ぎ工程前には、給水手段5による水に薬液供給手段7による洗剤を混入した洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄工程(超音波洗浄工程でもよい)と、排水手段6により液貯留部4から洗浄液を排水する排水工程とが順に実行される。そして、典型的には、排水工程の終了直後、水抜き手段10により循環ポンプ9内から洗浄液の残留水を排水する。その後、給水手段5による水を濯ぎ水として循環手段8により循環させて被洗浄物を濯ぎする濯ぎ工程が実行される。濯ぎ工程の開始前に、洗浄槽2および液貯留部4からだけでなく、循環ポンプ9からも、洗浄液を確実に排水しておくことで、濯ぎ工程のおいて迅速で確実に洗剤濃度を低下させることができる。なお、循環配管25内の洗浄液は、排水手段6により排水可能であり、仮に残留しても水抜き手段10により排水される。
【0053】
本実施例では、濯ぎ工程を設定回数(少なくとも1回)繰り返す。具体的には、給水手段5による給水と、循環手段8による設定時間の循環と、排水手段6による排水とのセットを設定回数(たとえば2回)繰り返す。給水−循環−排水のセットを複数回繰り返す場合、各回(特に最終回以外)の排水中または排水直後、水抜き手段10により循環ポンプ9内からも排水するのが好ましい。
【0054】
ところで、給水−循環−排水のセットを設定回数繰り返して濯ぎを実施する際、少なくとも最終回において、排水時に排水の電気伝導度を計測し、その電気伝導度が設定値以下であれば、その回で被洗浄物の濯ぎを終了するが、設定値を超えていれば、濯ぎ工程(前記セット)の回数を一つ増加させてもよい。そして、その追加されたセットを実行中、やはり排水時に排水の電気伝導度を計測し、その電気伝導度が設定値を超えていれば、もう一回、濯ぎ工程を追加する一方、設定値以下であれば、濯ぎ工程を終了するのがよい。そして、このような処理を、排水の電気伝導度が設定値以下になるまで繰り返すのがよい。
【0055】
但し、給水として、たとえば水道水とRO水とが切り替えられることを考慮し(つまり給水の電気伝導度が変化し得ることを考慮し)、排水の電気伝導度が設定値以下になるまで前記セットを繰り返すことに代えて、排水と給水との電気伝導度の差が設定値以下になるまで前記セットを繰り返してもよい。すなわち、給水の電気伝導度も計測し、排水の電気伝導度Aと給水の電気伝導度Bとの差(A−B)が設定値α以下であるかを確認し、設定値α以下であれば、その回で被洗浄物の濯ぎを終了するが、設定値αを超えていれば、濯ぎ工程の回数を一つ増加させるよう制御してもよい。
【0056】
≪除染工程≫
除染工程も、基本的には予洗工程と同様であるが、水温が異なる。除染工程では、循環水は、熱水(80℃以上100℃未満の高温水)とされる。第一ヒータ11で熱水まで加熱してもよいが、予め加熱タンク40において熱水を用意しておき、給水路16からの給水の代わりに、加熱タンク40から熱水を給水すれば、運転時間の短縮を図ることができる。除染工程では、被洗浄物に噴射される液体の温度を確実に消毒温度に維持できるように、循環ポンプ9の出口側にも第一温度センサ48を設けておき、その温度に基づき第一ヒータ11を制御するようにしてもよい。なお、除染工程後、所望により、仕上げ工程を行ってもよい。仕上げ工程は、前記洗浄工程と同様であるが、洗剤の代わりに潤滑防錆剤および/または乾燥促進剤を用いる点が異なる。
【0057】
≪乾燥工程≫
乾燥工程は、被洗浄物を熱風により乾燥させる工程である。具体的には、送風機12を作動させると共に給気弁35を開放すればよい。また、第二ヒータ13を作動させることで、洗浄槽2内へ熱風を送り込むことができる。この際、第二温度センサ49の検出温度に基づき第二ヒータ13を制御することで、熱風の温度を所定温度に維持することができる。送風機12からの熱風は、第一給気路34a、循環配管25および支持部材15を介して、洗浄ノズル3を回転させながら、洗浄ノズル3のノズル孔から噴射される。また、これと並行して、送風機12からの熱風は、第二給気路34bおよびジャケット14を介して、洗浄槽2内の底部へ供給される。これら熱風は、洗浄槽2の上部の排気路36から導出され、前述したように一部を入れ替えながら送風機12により循環される。
【0058】
つまり、送風機12および第二ヒータ13の作動により、洗浄槽2内に熱風を循環させることができ、その際、オリフィス38を介して循環空気の一部を外部へ排出する一方、フィルタ39を介して送風機12に新規空気を取り込むことで、循環空気の一部の入れ替えが徐々になされる。水分を含んだ空気の外部への排出と、その排出分を補うための新規空気の取り込みにより、洗浄槽2内を乾燥に適した相対湿度に保つことができる。
【0059】
本実施例の洗浄器1によれば、循環ポンプ9からの水抜き手段10を備え、濯ぎ工程の直前、水抜き手段10により、循環ポンプ9内からも確実に排水することができる。これにより、濯ぎ工程において、洗剤濃度を迅速に下げることができる。また、濯ぎ工程において、給水、循環および排水のセットを繰り返す場合、各セットの終了時にも所望により水抜き手段10により循環ポンプ9内からも排水することで、その後の濯ぎを迅速に且つ確実に行うことができる。
【0060】
このようにして、濯ぎ回数を、従来に比べて減らすことも可能となる。濯ぎ回数を減らすことで、水や電気の使用量を減らし、ランニングコストを削減することができる。
【0061】
本発明の洗浄器1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、循環ポンプ9からの水抜き手段10を備え、被洗浄物の洗浄後で濯ぎ前に、循環ポンプ9内の滞留水を排水するのであれば、その他の構成および制御は、適宜に変更可能である。
【0062】
たとえば、水抜き手段10による循環ポンプ9からの排水は、洗浄工程後(濯ぎ工程前)に限らず、予洗工程後に行ったり、洗浄器1の運転開始前もしくは運転終了後に行ったりしてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、基本的には、洗浄工程、排水工程および濯ぎ工程を順次に行う場合において、液貯留部4からの排水後に水抜き弁28を開けて循環ポンプ9内からも排水したが、このような排水後の濯ぎ工程において、洗浄槽2内へ濯ぎ水を給水する際、次のように制御してもよい。つまり、排水弁21を閉じる一方、水抜き弁28を開いた状態で、給水弁18を開けて洗浄槽2内へ給水する。これにより、給水された水は、循環ポンプ9内を通過して、水抜き路27へ排水され、循環ポンプ9内を水洗いすることができる。そして、所定時間経過後、水抜き弁28を閉じることで、液貯留部4に水を貯留することができる。このような操作は、濯ぎ工程において、給水−循環−排水のセットを繰り返す際には、各セットにおける給水時に行うこともできる。
【0064】
あるいは、このような操作に代えて、洗浄槽2内への給水開始時、まずは循環ポンプ9内に水を溜めて循環ポンプ9を回転させ、循環ポンプ9内を水洗いした後、循環ポンプ9を止めると共に水抜き弁28を開けて全量排水した後、水抜き弁28を閉じて給水を開始してもよい。
【0065】
また、前記実施例において、加熱タンク40および超音波振動子47は、場合により省略可能である。
【0066】
さらに、前記実施例では、被洗浄物は、洗浄槽2内の網棚に対し出し入れされたが、洗浄槽2内に洗浄ラックを出し入れ可能とし、その洗浄ラックの網棚に被洗浄物を収容可能としてもよい。その場合、上下複数段に設けられる洗浄ノズル(特に最上部および/または最下部の洗浄ノズル以外の洗浄ノズル)3は、洗浄ラックに設けられる。洗浄ラックには、前記実施例と同様に、一側部に、上下複数段にアーム状の支持部材15が設けられ、各支持部材15に洗浄ノズル3が回転可能に保持される。そして、洗浄槽2に洗浄ラックを収容した状態で、循環ポンプ9からの液体(または送風機12からの空気)を洗浄ラックの洗浄ノズル3へ供給可能に、洗浄ラック側の支持部材15への流体供給口と、洗浄槽2側の循環ポンプ9からの配管25の流体吐出口とが、着脱可能に接続される。なお、洗浄ラックは、下端部にキャスターが設けられたワゴン状とされてもよい。また、前記実施例において洗浄槽2内の上下両端部に設けられた洗浄ノズル3の内、一方または双方は、洗浄ラックに設けるのではなく、洗浄槽2の側に設けられてもよい。