(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート本体への法線方向からみたときに、前記保持手段は、前記培養領域よりも前記取付領域から離れた位置で、前記カバーシートを保持している、請求項1に記載の微生物培養シート。
前記シート本体への法線方向からみたときに、前記保持手段は、前記培養領域よりも前記取付領域に接近した位置でも、前記カバーシートを保持している、請求項2に記載の微生物培養シート。
前記保持手段は、前記カバーシートを前記シート本体に対して剥離可能且つ再接合不能に接合する接合要素を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微生物培養シート。
前記カバーシートが前記シート本体から剥離されると、前記カバーシートまたは前記シート本体のうちの少なくとも一方の前記接合要素と重なる位置に、剥離情報が表示される、請求項4に記載の微生物培養シート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0018】
≪第1の実施の形態≫
図1は、本発明の第1の実施の形態による微生物培養シート1を示す平面図であり、
図2は、
図1に示す線II−IIに沿った微生物培養シート1の断面図である。
【0019】
微生物培養シート1は、例えば食品中あるいは環境中の微生物を測定するために用いられる。
図1及び
図2に示すように、微生物培養シート1は、微生物を培養するための培養領域11と、当該培養領域11外方の非培養領域12とを含むシート状のシート本体10と、このシート本体10を覆うシート状のカバーシート20とを備えている。
【0020】
図1に示すように、シート状のシート本体10への法線方向nd(
図2参照)からみたときに、シート本体10及びカバーシート20は、矩形状の形状を有している。なお、本明細書において「シート本体10への法線方向nd」とは、シート本体10を全体的かつ大局的に見た場合において当該シート本体10の平面方向と一致する面に対する法線方向ndをいう。本実施の形態では、シート本体10への法線方向ndは、後述するシート本体10の裏面14に対する法線方向と一致する。
【0021】
具体的には、シート本体10は、平面視において、直線状の基端縁10aと、基端縁10aに対向する直線状の先端縁10dと、基端縁10a及び先端縁10dの端部間を延び、互いに対向する直線状の側縁10bおよび側縁10cとを含んでいる。同様に、カバーシート20は、平面視において、直線状の基端縁20aと、基端縁20aに対向する直線状の先端縁20dと、基端縁20a及び先端縁20dの端部間を延び、互いに対向する直線状の側縁20bおよび側縁20cとを含んでいる。
【0022】
本実施の形態では、平面視において、カバーシート20の基端縁20a及び一対の側縁20b、20cは、対応するシート本体10の基端縁10a及び一対の側縁10b、10cに重なっている。また、平面視において、カバーシート20の先端縁20dは、シート本体10の先端縁10dとずれている。具体的には、カバーシート20の先端縁20dは、シート本体10の先端縁10dからはみ出し、当該先端縁10dよりも外方に突出している。これにより、カバーシート20の先端縁20d付近を掴みやすくなり、カバーシート20をシート本体10から容易に捲り上げることができるようになる。
【0023】
また、
図2に示すように、シート本体10は、カバーシート20に面する表面13と、カバーシート20とは反対側に面する裏面14と、を有している。シート本体10の表面13には、上述した培養領域11及び当該培養領域11外方の非培養領域12が配置される。
【0024】
一方、カバーシート20は、シート本体10に面する内面23と、シート本体10とは反対側に面する外面24と、を有している。
【0025】
また、
図1に示すように、カバーシート20は、基端縁20aに沿って設けられた取付領域21を介して、シート本体10に取付けられている。カバーシート20が取付領域21を介してシート本体10に取付けられていることにより、カバーシート20を取付領域21を起点としてシート本体10に対して容易に捲り上げることができる。
【0026】
図示する例では、取付領域21は、平面視において、基端縁20aに沿って一対の側縁10b、10cの間を延びる帯状の領域として形成されている。したがって、取付領域21の長手方向d1は、一対の側縁10b、10cの対向する方向に一致する。典型的には、取付領域21には、接着剤が塗布される。この接着剤を介して、カバーシート20の取付領域21とシート本体10の非培養領域12とが接合される。
【0027】
また、
図1に示すように、シート本体10は、培養領域11を取り囲むと共に、培養領域11と非培養領域12とを区画する枠体15を有している。この枠体15によって、培養領域11に供給される微生物を含む検液が、枠体15を超えて拡がることを防止することができる。
図1に示す例では、枠体15は、平面視において円形状の輪郭を有する例が示されている。しかしながら、枠体15の輪郭は、特に限定されることはなく、方形、楕円形、多角形、不定形等であってもよい。
【0028】
ここで、培養領域11とは、微生物を培養するための領域をいう。本実施の形態では、培養領域11は、後述のように少なくとも栄養成分を含む乾式の培地で構成されている。乾式の培地は、溶媒を含んだ培地液を乾燥させて溶媒を揮発させることにより得られる。そして、この培養領域11に微生物を含む検液を接種して、微生物を培養することができる。
【0029】
培養領域11は、前述した栄養成分に加えて、例えば固着剤、可塑剤およびゲル化剤や不織布を更に含んでいる。更に、培養領域11は、発色指示薬や選択剤等を含んでいてもよい。培養領域11の各成分は、培養の対象となる微生物に応じて適宜選択される。なお、培養領域11は単層で構成されていてもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
【0030】
一方、非培養領域12とは、シート本体10のうち、培養領域11以外の領域を指す。非培養領域12には、例えば、ID番号、使用期限、商標、一次元コードや二次元コードが印字される。
【0031】
ところで、培養領域11で培養した微生物の測定データの信頼性を補償するためには、使用前までの培養領域11の無菌性を維持する必要がある。そこで、本実施の形態の微生物培養シート1は、シート本体10の培養領域11を覆うようにカバーシート20を保持する保持手段30を有している。
【0032】
本実施の形態の保持手段30は、シート本体10とカバーシート20との間で、当該シート本体10の表面13とカバーシート20の内面23とを剥離可能に接合する接合要素31からなる。
【0033】
図1に示す平面視において、接合要素31は、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置に設けられている。すなわち、接合要素31は、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置で、カバーシート20を保持している。
図1に示す接合要素31は、側縁10bと先端縁10dとにて規定される角領域付近に位置している。もっとも、このような例に限定されず、接合要素31は、角領域付近ではなく培養領域11と先端縁10dとの間の中央領域付近に位置していてもよい。
【0034】
本実施の形態の接合要素31は、カバーシート20がシート本体10から剥離されると、カバーシート20をシート本体10に再び接合することができなくなるようになっている。言い換えると、接合要素31は、カバーシート20を保持した状態を解除されると、カバーシート20を再び保持することができなくなる。
【0035】
図3に、接合要素31の層構成を示す。
図3に示すように、接合要素31は、第1粘着層31aと、離型層31bと、基層31cと、第2粘着層31dとを、カバーシート20側からシート本体10側に向かってこの順で含んでいる。
【0036】
基層31cは、接合要素31を構成する各層を保持するために設けられている。基層31cをなす材料としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0037】
カバーシート20と基層31cとの間に第1粘着層31aが配置され、第1粘着層31aは、カバーシート20と基層31cとを接合する。また、シート本体10と基層31cとの間に第2粘着層31dが配置され、第2粘着層31dは、シート本体10と基層31cとを接合する。粘着層31a、31dとしては、例えばアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を用いることができる。
【0038】
基層31c上に離型層31bが部分的に配置されている。すなわち、基層31cに離型層31bがパターン状に配置されている。離型層31bは、第1粘着層31aに対して非粘着性を示す。非粘着性を示す離型層31bが基層31cに部分的に配置されることにより、第1粘着層31aと基層31cとの間の接合力を弱めることができ、第1粘着層31aと基層31cとの接合に剥離性を付与する。一例として、離型層31bをなす材料として、例えばシリコーン系離型剤やフッ素系離型剤を用いることができる。
【0039】
また、
図3に示すように、カバーシート20の接合要素31と重なる位置に、カバー印刷層26が印刷されており、シート本体10の接合要素31と重なる位置に、本体印刷層16が印刷されている。各印刷層16、26には、カバーシート20がシート本体10から剥離されたことを知らせる剥離情報が印刷されている。剥離情報としては、カバーシート20がシート本体10から剥離されたことを視覚で認識可能なものであればよく、例えば、絵柄や模様や文字が挙げられる。本実施の形態では、カバーシート20がシート本体10から剥離されると、シート本体10及びカバーシート20に、「開」という文字が表示されるようになっている(
図4参照)。なお、カバーシート20がシート本体10に接合された
図1に示す状態において、印刷層16、26に設けられた「開」という文字を隠蔽するために、カバー印刷層26の外面24側を向く面に、暗色系の着色が施されている。
【0040】
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の微生物培養シート1の作用について
図4も参照して説明する。
図4は、カバーシート20をシート本体10から捲り上げた状態を示す斜視図である。
【0041】
先ず、
図1に示すように、微生物培養シート1を使用する前の保管状態において、カバーシート20が、接合要素31を介してシート本体10に接合されてシート本体10の培養領域11を覆っている。
【0042】
図4に示すように、カバーシート20をシート本体10から剥離して捲り上げると、培養領域11が露出する。このとき、シート本体10に印刷された本体印刷層16に「開」という剥離情報が表示され、カバーシート20に印刷されたカバー印刷層26にも「開」という剥離情報が表示される。
【0043】
続いて、露出された培養領域11に、微生物を含む検液を接種する。その後、カバーシート20で培養領域11を再び覆う。ただし、接合要素31は、カバーシート20がシート本体10から剥離されると、カバーシート20をシート本体10に再び接合することができなくなる。したがって、カバーシート20で培養領域11を再び覆っても、カバーシート20とシート本体10とが接合要素31を介して再び接合されることはない。
【0044】
その後、微生物培養シート1をインキュベータ内に保管して、培養領域11に接種された微生物を培養する。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、微生物を培養するための培養領域11を含むシート本体10と、シート本体10に取付領域21を介して取り付けられ、当該シート本体10を覆うカバーシート20と、を備え、カバーシート20は、保持手段30によって、シート本体10の培養領域11を覆うように保持されており、保持手段30は、カバーシート20を保持した状態を解除されると、カバーシート20を再び保持することができなくなる。つまり、保持手段30は、カバーシート20を保持した状態を解除されると、カバーシート20を解除した状態を維持される。このような形態によれば、保持手段30がカバーシート20を保持した状態を維持している限り、カバーシート20がシート本体10の培養領域11を保護した状態が維持されていることが保証される。したがって、微生物培養シート1を使用する前まで、保持手段30がカバーシート20を保持した状態を維持することで、培養領域11の無菌性を保証することが可能となる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、平面視において、保持手段30は、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置で、カバーシート20を保持している。この場合、培養領域11を越えた位置でカバーシート20をシート本体10に固定することができるため、カバーシート20で培養領域11をより隙間無く覆うことができる。この結果、培養領域11の無菌性を高い信頼性で保証することが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、保持手段30は、カバーシート20をシート本体10に対して剥離可能且つ再接合不能に接合する接合要素31を含む。この場合、保持手段30を簡易な態様で実現することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、カバーシート20がシート本体10から剥離されると、カバーシート20またはシート本体10のうちの少なくとも一方の接合要素31と重なる位置に、剥離情報16、26が表示される。この場合、カバーシート20がシート本体10から剥離されたことを利用者がより確実に認識することが可能となる。
【0049】
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0050】
上述した実施の形態では、
図1に示すように、保持手段30が単一の接合要素31からなる例を示したが、接合要素31の構成は、上述した例に限定されない。
図5乃至
図10に、接合要素31の他の構成例を示す。このうち、
図5に示す例では、平面視において、複数の接合要素31が、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置に設けられている。とりわけ、平面視において、一の接合要素31が、一の側縁10bと先端縁10dとにて規定される角領域付近に配置されていて、他の接合要素31が、他の側縁10cと先端縁10dとにて規定される別の角領域付近に位置している。この場合、カバーシート20でシート本体10の培養領域11をより隙間なく覆うことができるため、培養領域11の無菌性を高い信頼性で保証することが可能となる。
【0051】
図6に示す例では、平面視において、一の接合要素31が、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置に設けられていて、他の接合要素31が、培養領域11よりも取付領域21に接近した位置に設けられている。とりわけ、平面視において、一の接合要素31が、シート本体10の一の側縁10bと先端縁10dとにて規定される角領域付近に位置していて、他の接合要素31が、カバーシート20の一の側縁20c及び取付領域21の近傍となる領域に位置している。
【0052】
図7に、
図6に示す微生物培養シート1において、カバーシート20をシート本体10から捲り上げた状態を示す。
図7に示すように、カバーシート20をシート本体10から剥離して捲り上げると、カバーシート20及びシート本体10の各接合要素31と重なっていた位置に、「開」という剥離情報16、26が表示される。
【0053】
図6及び
図7に示す微生物培養シート1は、環境検査において特にメリットを発揮する。すなわち、環境検査においては、カバーシート20をシート本体10から浮かせて、露出した培養領域11に先ず滅菌水を注入する。このとき、先端縁10d寄りの接合要素31は、シート本体10とカバーシート20とを接合した接合状態を解除されて、再接合不能となる。これに対して、基端縁10a寄りの接合要素31は、シート本体10とカバーシート20とを接合した接合状態を維持される。したがって、先端縁10d寄りの接合要素31が接合状態を解除され、基端縁10a寄りの接合要素31が接合状態を維持される場合、滅菌水を注入する工程が行われたと判断することができる。
【0054】
次に、カバーシート20でシート本体10の培養領域11を再び覆う。これにより、培養領域11に注入された滅菌水を培養領域11内でムラが生じないように拡げ、培養領域11をムラなくゲル化させることができる。
【0055】
続いて、
図7に示すように、カバーシート20をシート本体10から捲り上げて、培養領域11を露出させる。この状態を例えば15分程度維持して、培養領域11に環境中の菌を取り込む。このとき、基端縁10a寄りの接合要素31も、接合状態を解除されて再接合不能となる。したがって、先端縁10d寄りの接合要素31及び基端縁10a寄りの接合要素31の両方が接合状態を解除された場合、菌の取り込み工程も行われたと判断することができる。
【0056】
その後、カバーシート20でシート本体10の培養領域11を再び覆う。そして、微生物培養シート1をインキュベータ内に保管して、培養領域11に接種された微生物を培養する。
【0057】
このように、
図6及び
図7に示す微生物培養シート1によれば、先端縁10d寄りの接合要素31及び基端縁10a寄りの接合要素31の接合状態及び解除状態の組合せから、環境検査の進行状況についても把握することができる。加えて、先端縁10d寄りの接合要素31の解除状態を目印として、使用済みの微生物培養シート1であるかについて判断することも可能となる。こられの結果、微生物培養シート1による環境検査を容易に行うことに寄与する。
【0058】
次に、
図8に示す例では、平面視において、単一の接合要素31が、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置に設けられている。
図8に示す接合要素31は、先端縁20dに沿って一対の側縁10b、10cの間を延びる帯状の領域として形成されている。
【0059】
続いて、
図9に示す例では、保持手段30は、各々に対応するカバーシート20の側縁20b、20cに沿って設けられた一対の接合剤32と、カバーシート20のうちの各接合剤32に接合された部分が他の部分から分離可能となるように、カバーシート20に形成された一対の分離補助手段33と、を含んでいる。
【0060】
図9に示す平面視において、各接合剤32は、カバーシート20の取付領域21が設けられた位置からシート本体10の先端縁10dが設けられた位置まで帯状に延びている。一方、各分離補助手段33は、平面視において、接合剤32と培養領域11との間となる領域内を側縁20cと平行に延びている。
図9に示す各接合剤32は、平面視において、カバーシート20の基端縁20aから先端縁20dまで直線状に形成されている。
【0061】
一例として、分離補助手段33は、カバーシート20に断続的に形成された切れ目からなるミシン目や、カバーシート20に連続的に形成された溝からなるハーフカットラインであってもよい。
【0062】
他方、
図10に示す例では、接合要素31が、シート本体10の非培養領域12のうちの、取付領域21と重なる部分以外の全域に、設けられている。接合要素31は、カバーシート20をシート本体10に対して剥離可能且つ再接合不能に接合する。本実施の形態の接合要素31は、いわゆる感圧タイプの接合剤からなる。
【0063】
図11に、接合要素31含む微生物培養シート1の断面を示す。
図11に示す接合要素31は、単層にて構成されている。このような感圧タイプの接合剤の一例として、生天然ゴムラテックスやメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト共重合した生天然ゴムラテックスに代表される天然ゴム系接合剤が挙げられる。
【0064】
図12に、
図10に示す微生物培養シート1において、カバーシート20をシート本体10から捲り上げた状態が示されている。
図12に示すように、接合要素31は、カバーシート20がシート本体10から剥離された後は、カバーシート20をシート本体10に再び接合することができなくなる。
【0065】
図10乃至
図12に示す接合要素31によれば、シート本体10の広範な範囲と、カバーシート20とを、剥離可能且つ再接合可能に接合することができる。このため、カバーシート20で培養領域11をより隙間無く覆うことができ、培養領域11の無菌性を高い信頼性で保証することが可能となる。
【0066】
≪第2の実施の形態≫
次に、
図13乃至
図15を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図13及び
図14は、それぞれ、本発明の第2の実施の形態における微生物培養シート1を示す平面図及び断面図である。
図15は、カバーシート20をシート本体10から捲り上げた状態を示す斜視図である。
図13乃至
図15を参照して説明する第2の実施の形態は、保持手段30の構成が異なるが、その他の構成は、第1の実施形態及びその変形例と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態及びその変形例と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0067】
図13及び
図14にように、本実施の形態の保持手段30は、シート本体10とカバーシート20とに掛け渡された破断可能な複数の破断テープ34を含む。各破断テープ34は、シート本体10の裏面14から、シート本体10及びカバーシート20の側縁10c、20cの周りを通って、カバーシート20の外面24まで延びている。
【0068】
図13に示す平面視において、一の破断テープ34は、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置に設けられ、他の破断テープ34は、培養領域11よりも取付領域21に接近した位置に設けられている。
図13に示す平面視において、一の破断テープ34は、シート本体10の側縁10cと先端縁10dとにて規定される角領域付近に位置し、他の破断テープ34は、カバーシート20の取付領域21及び側縁10cの近傍となる領域に位置している。もっとも、このような例に限定されず、接合要素31は、角領域付近ではなく培養領域11と先端縁10dとの間の中央領域付近に位置していてもよい。
【0069】
図15に、カバーシート20がシート本体10から捲り上げられた状態を示す。
図15に示すように、カバーシート20がシート本体10から捲り上げられると、各破断テープ34が破断される。したがって、破断テープ34は、カバーシート20がシート本体10から捲り上げられると、カバーシート20をシート本体10に再び接合することができなくなる。言い換えると、破断テープ34は、カバーシート20を保持した状態を解除されると、カバーシート20を再び保持することができなくなる。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、微生物を培養するための培養領域11を含むシート本体10と、シート本体10に取付領域21を介して取り付けられ、当該シート本体10を覆うカバーシート20と、を備え、カバーシート20は、保持手段30によって、シート本体10の培養領域11を覆うように保持されており、保持手段30は、カバーシート20を保持した状態を解除されると、カバーシート20を再び保持することができなくなる。このような形態によれば、保持手段30がカバーシート20を保持した状態を維持している限り、カバーシート20がシート本体10の培養領域11を保護した状態が維持されていることが保証される。したがって、微生物培養シート1を使用する前まで、保持手段30がカバーシート20を保持した状態を維持することで、培養領域11の無菌性を保証することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、平面視において、保持手段30は、培養領域11よりも取付領域21から離れた位置で、カバーシート20を保持し、且つ、培養領域11よりも取付領域21に接近した位置でも、カバーシート20を保持している。このような形態によれば、上述のように、環境検査の進行状況について容易に把握することができ、微生物培養シート1による測定作業を容易に行うことに寄与する。
【0072】
また、本実施の形態によれば、保持手段30は、カバーシート20とシート本体10とに掛け渡された破断可能な破断テープ34を含む。この場合、カバーシート20がシート本体10から捲り上げられると、破断された破断テープ34がシート本体10及びカバーシート20に残留する。このため、破断された破断テープ34を目視にて確認することで、利用者がカバーシート20がシート本体10から剥離されたことをより確実に認識することが可能となる。