【文献】
Phosphorus, Sulfur and Silicon and the Related Elements,1994年,88(1-4),p.53-65
【文献】
Journal of the American Chemical Society,2004年,126(15),p.4800-4802,Supporting Infomation S1-S23
【文献】
Spectrochimica Acta, Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy,2003年,59A(5),p.1017-1024
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、エネルギー線硬化樹脂がコーティング、インキ、電子材料などの分野で広く用いられている。エネルギー線硬化樹脂は、エネルギー線重合性組成物にエネルギー線、例えば紫外線や電子線などを照射することにより重合、硬化させることによって得られる。このエネルギー線で硬化させる技術は、例えば木工用塗料、金属などのコーティング材、スクリーン印刷やオフセット印刷用インキ、電子基板に用いられるドライフィルムレジスト、また、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤などさまざまな用途に用いられている。
【0003】
そして、このエネルギー線重合性組成物は、主に重合性化合物とエネルギー照射により重合性化合物の重合を開始させる重合開始剤より構成されている。重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合があり、ラジカル重合が古くから最も広く用いられている。このラジカル重合では、ラジカル重合開始剤を用い、エネルギー線、主に紫外線を照射することにより、ラジカル重合開始剤によりラジカルを発生させ、ラジカル重合性化合物の重合を開始させている。また、カチオン重合ではカチオン重合開始材によりカチオンを発生させカチオン重合性化合物の重合を開始させている。
【0004】
ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型のラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。
【0005】
水素引き抜き型ラジカル重合開始剤としては、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体(特許文献1、2)、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体(特許文献3)が挙げられる。水素引き抜き型ラジカル重合開始剤は比較的安価で入手容易であるが、水素供与体が必要であり、ラジカル発生効率が悪く感度が低い等の問題がある。
【0006】
分子内開裂型光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤が知られている。これらはカルボニル基に隣接した結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤等がある。具体的な化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、「イルガキュア」はビーエーエスエフ社の登録商標)等があり、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名ダロキュア1173、「ダロキュア」はビーエーエスエフ社の登録商標)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名イルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名イルガキュア2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名イルガキュア127)等がある。さらに、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907)あるいは2−ベンジルメチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369)、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTPO、「ルシリン」はビーエーエスエフ社の登録商標)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名イルガキュア819)、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(商品名イルガキュアOXE−01)等が挙げられる(特許文献4)。
【0007】
しかしながら、これらの分子内解列型光重合開始剤は分子構造中の構成元素として、窒素原子、硫黄原子又はリン原子を含んでいることから、これらの原子を含む化合物は、生体に対する活性が高く、これらの重合開始剤は安全性に懸念が抱かれることが多い。
【0008】
一方、エネルギー線として紫外線を用いた重合反応において、近年、照射源としてLED(発光ダイオード)が用いられるようになってきた。LEDの特徴としては、水銀ランプと異なり、発熱が少なく、かつ長寿命なことから、近年LEDを用いた紫外線硬化技術の開発が加速している。このLEDの代表的なものとしては、中心波長が395nmのものや中心波長が365nmのLEDなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、それ自身、窒素原子や硫黄原子さらにはリン原子を含有せず、環境に優しい炭素原子、水素原子、酸素原子及び珪素原子のみからなり、波長が300nmから400nmまでの範囲の光を含むエネルギー線に対して活性である新しい光ラジカル重合開始剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、従来技術のこれらの欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討した結果、(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物が窒素原子、硫黄原子及びリン原子を含有しない化合物であること、当該化合物に波長が300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより、光エネルギーを吸収して励起し、ラジカル種を発生すること、さらに当該(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を光ラジカル重合開始剤として含む光ラジカル重合性組成物に、波長300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより、当該光ラジカル重合性組成物がすみやかに硬化することを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。まず、第一発明では、下記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
上記一般式(1)において、nは1又は2であり、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0015】
第二発明では、下記一般式(2)で表される5−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を提供する。
【0016】
【化2】
【0017】
上記一般式(2)において、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0018】
第三発明では、下記一般式(3)で表される2−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を提供する。
【0019】
【化3】
【0020】
上記一般式(3)において、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0021】
第四発明では、下記一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とシリル化剤を反応させることからなる(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の製造方法を提供する。
【0022】
【化4】
【0023】
上記一般式(4)において、nは1又は2であり、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0024】
第五発明では、下記一般式(5)の5−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とシリル化剤とを反応させることを特徴とする5−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の製造方法を提供する。
【0025】
【化5】
【0026】
上記一般式(5)において、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0027】
第六発明では、下記一般式(6)の2−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とシリル化剤とを反応させることを特徴とする2−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の製造方法を提供する。
【0028】
【化6】
【0029】
上記一般式(6)において、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0030】
第七発明では、下記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤を提供する。
【0031】
【化7】
【0032】
上記一般式(1)において、nは1又は2であり、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0033】
第八発明では、第七発明に記載の光ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物を含有する光ラジカル重合性組成物を提供する。
【0034】
第九発明では、第八発明に記載の光ラジカル重合性組成物に、波長が300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することを特徴とする、光ラジカル重合性組成物の重合方法を提供する。
【0035】
第十発明では、第八発明に記載の光ラジカル重合性組成物を重合してなる重合物を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物は、その骨格中に1,4−ナフトキノン構造とシリルオキシ基の両方を併せ持つ、新規な光ラジカル重合開始剤として有用な化合物であり、かつ、当該化合物は、窒素原子、硫黄原子及びリン原子を有さず、炭素原子、水素原子、酸素原子及びケイ素原子のみからなる環境に優しい化合物である。さらに、本発明の(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を光ラジカル重合開始剤として含む光ラジカル重合性組成物は、波長が300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することによりすみやかに硬化する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(化合物)
以下、本発明を詳細に記述する。本発明は、下記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物である。
【0039】
上記一般式(1)において、nは1又は2であり、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0040】
上記一般式(1)において、nが1であり、置換シリルオキシ基の置換位置が5位である場合は下記一般式(2)で表される5−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物となる。
【0042】
上記一般式(2)において、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0043】
上記一般式(1)において、nが1であり、置換シリルオキシ基の置換位置が2位である場合は下記一般式(3)で表される2−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物となる。
【0045】
上記一般式(3)において、R
1、R
2、R
3は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から12のアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から11のアラルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基のいずれかを示しのいずれかを示し、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0046】
上記一般式(1)、(2)及び(3)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物において、R
1、R
2、R
3で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、n−ヘキシル基、テキシル基(1,1,2−トリメチルプロピル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基又はドデシル基等の炭素数1から12のアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、p−クロロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−メチルフェニル基、m−メトキシフェニル基、1−ナフチル基又は2−ナフチル基等の炭素数6から10のアリール基が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、p−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、p−メトキシベンジル基、1−ナフチルメチル基又はフェネチル基等の炭素数7から11のアラルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はn−ブトキシ基等の炭素数1から8のアルコキシ基が挙げられる。
【0047】
また、上記一般式(1)乃至(3)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物及び一般式(4)乃至(6)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物において、X及びYで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基又はドデシル基等の炭素数1から12のアルキル基が挙げられる。
【0048】
上記一般式(2)で表される5−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の具体例としては、例えば次のものが挙げられる。すなわち、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、5−(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(トリフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、5−(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
【0049】
上記一般式(3)で表される2−(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の具体例としては、例えば次のものが挙げられる。すなわち、2−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2−(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(トリフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(トリメチルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(トリエチルシリルオキシ)−3ーメチル−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(トリブチルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(トリフェニルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルテキシルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルフェニルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(メチルジフェニルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(エチルジフェニルシリルオキシ)−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−(トリメチルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(トリエチルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(トリブチルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(トリフェニルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルテキシルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(ジメチルフェニルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(メチルジフェニルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−(エチルジフェニルシリルオキシ)−3−クロロ−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
【0050】
上記一般式(1)乃至(3)で表させる(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の他には例えば、6−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、6−(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(トリフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、6−(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、1−(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、6−(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、1,5−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(トリフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,3−ビス(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン又は2,3−ビス(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
【0051】
更には、2,5−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(トリフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2−(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、2,5−ビス(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス[トリ(i−プロピル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(トリブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(トリフェニルシリルオキシ−1,4−ナフトキノン、1,5−ビス[トリ(p−メチルフェニル)シリルオキシ]−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(ジメチル−t−ブチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(ジメチルテキシルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(ジメチル−n−オクチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(ジメチルフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(メチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5,8−ビス(エチルジフェニルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
【0052】
上記に挙げた化合物の中でも、合成の容易さと光ラジカル重合開始剤としての性能の高さから、2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン、5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンが好ましい。中でも、2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンが特に好ましい。
【0053】
(製造方法)
次に、本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の製造方法について説明する。本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物は、下記一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とシリル化剤とを反応させることにより製造することができる。
【0055】
上記一般式(4)において、nは1又は2であり、X、Yは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示す。
【0056】
上記一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物の具体例としては、例えば次のものが挙げられる。すなわち、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン,5.8−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−3―メチル−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−3―クロロ−1,4−ナフトキノン及びそれらにアルキル基が置換した化合物等が挙げられる。
【0057】
シリル化剤としては、好適にはハロゲン化シラン化合物又はビストリアルキルシリルアセトアミドが使用される。ハロゲン化シラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ(n−プロピル)クロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジメチル−t−ブチルクロロシラン、ジメチルテキシルクロロシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジエチルフェニルクロロシラン、エチルジフェニルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェニルオキシクロロシラン、ジメトキシフェニルクロロシラン、メトキシジフェニルクロロシラン、ジエトキシフェニルクロロシラン、エトキシジフェニルクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジブトキシジクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、ブトキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリエチルブロモシラン、トリイソプロピルブロモシラン、トリブチルブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、ジメチル−t−ブチルブロモシラン、ジメチル−n−オクチルブロモシラン、ジメチルフェニルブロモシラン、メチルジフェニルブロモシラン、ジエチルフェニルブロモシラン、エチルジフェニルブロモシラン、ジメチルジブロモシラン、ジエチルジブロモシラン、ジプロピルジブロモシラン、ジブチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリブロモシラン、プロピルトリブロモシラン、ブチルトリブロモシラン、フェニルトリブロモシラン、テトラブロモシラン、トリメトキシブロモシラン、トリエトキシブロモシラン、トリプロポキシブロモシラン、トリブトキシブロモシラン、トリフェニルオキシブロモシラン、ジメトキシフェニルブロモシラン、メトキシジフェニルブロモシラン、ジエトキシフェニルシラン、エトキシジフェニルシラン、ジメトキシジブロモシラン、ジエトキシジブロモシラン、ジプロポキシジブロモシラン、ジブトキシジブロモシラン、メトキシトリブロモシラン、エトキシトリブロモシラン、プロポキシトリブロモシラン、ブトキシトリブロモシラン、フェノキシトリブロモシラン、テトラブロモシラン等が挙げられる。また、ビストリアルキルシリルアセトアミドとしては、ビストリメチルシリルアセトアミド、ビストリエチルシリルアセトアミド、トリプロピルシリルアセトアミド等が挙げられる。
【0058】
これらのシリル化剤の中では、反応性が高いとの観点から、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、ジメチル−t−ブチルクロロシラン、ジメチルテキシルクロロシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン又はビストリメチルシリルアセトアミドが好ましい。
【0059】
シリル化剤の使用量は、上記一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物に含まれる水酸基1分子に対し、通常1.0当量倍以上、1.5当量倍以下、好ましくは1.1当量倍以上、1.3当量倍以下である。シリル化剤の使用量が1.0当量倍未満の場合は、未反応のヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物が増加し、1.5当量倍を超えて添加した場合は、生成した(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の単離収率が低下するため好ましくない。
【0060】
反応温度は、通常0℃以上、150℃以下、好ましくは15℃以上、80℃以下である。反応温度が0℃未満の場合は、反応速度が遅すぎて反応に時間が掛かかり、150℃を超えて加熱した場合は、副反応が起きて生成物の純度が低下する。反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.5〜20時間である。通常、反応は大気圧下で行い、反応容器内部はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
【0061】
シリル化剤がハロゲン化シラン化合物の場合は、塩基性化合物存在下に反応させる。すなわち、一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とハロゲン化シラン化合物とを反応させ、一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を製造する際、塩基性化合物を添加することが必要である。シリル化剤がビストリアルキルシリルアセトアミドの場合は、ビストリアルキルシリルアセトアミド自らが塩基性化合物としても働くので、更に塩基性化合物を添加しなくても反応が進行する。
【0062】
使用する塩基性化合物としては、一級アミン、二級アミン、三級アミン及びピリジン類が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が挙げられ、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン等が挙げられ、三級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、ピリジン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
【0063】
塩基の使用量は、上記一般式(4)で表されるヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物に含まれる水酸基1分子に対し、通常1.0当量倍以上、1.5当量倍以下、好ましくは1.1当量倍以上、1.3当量倍以下である。塩基の使用量が1.0当量倍未満の場合は、未反応のヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物が増加し、1.5当量倍を超えて添加した場合は、生成した(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物の単離収率が低下するため好ましくない。
【0064】
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。本発明の(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物は加水分解を受けやすいため、溶媒としては水非混和性のトルエン、塩化メチレン等が好ましい。
【0065】
反応終了後、反応混合物をヘキサン等の貧溶媒に添加し、濃縮して析出した結晶をろ過・乾燥することにより、さらに必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
【0066】
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物は、光ラジカル重合において重合開始能を有するので、光ラジカル重合開始剤として用いることができる。
【0067】
本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物は、その骨格中にシリルオキシ基とナフトキノン構造の両方を併せ持つ、新規な光ラジカル重合開始剤構造を有する化合物である。
【0068】
本発明の光ラジカル重合開始剤の作用機構は明らかでないが、波長が300nm〜400nmの光を吸収して、本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物が励起され、そののちラジカル種が発生するためと考えられる。
【0069】
(光ラジカル重合性組成物)
本発明の上記一般式(1)で表される(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物からなる光ラジカル重合開始剤とラジカル重合性化合物とを混合することにより、光ラジカル重合性組成物とすることができる。当該光ラジカル重合性組成物は、波長が300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより、容易に光重合させることができる。
【0070】
本発明で用いるラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル等又はこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0071】
アクリル酸エステルとしては、単官能アクリレートとしてアクリル酸メチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、イソステアリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられ、二官能アクリレートとして、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0072】
多官能アクリレートとして、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。さらには、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等も使用可能である。
【0073】
メタクリレート化合物としては、単官能メタクリレートとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0074】
二官能メタクリレートとして、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート等が挙げられ、多官能メタクリレートとしては、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0075】
これらのラジカル重合性化合物は、単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0076】
本発明の光ラジカル重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対して0.01重量部以上10.0重量部未満、好ましくは0.05重量部以上3.0重量部未満である。光ラジカル重合開始剤の添加量が0.01重量部以下だと、光重合速度が遅くなってしまい、一方、光ラジカル重合開始剤の添加量が10.0重量部を超えると、重合物の物性が悪化するため好ましくない。
【0077】
なお、本発明の光ラジカル重合性組成物には、本発明の光ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の光ラジカル重合開始剤以外の光ラジカル重合開始剤を含有させることができる。更にまた、光ラジカル重合増感剤、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止材、安定剤、滑剤、可塑剤などの各種樹脂添加剤も含有させることができる。
【0078】
(重合方法)
当該光ラジカル重合性組成物の重合はフィルム状で行うこともできるし、塊状に硬化させることもできる。フィルム状に重合させる場合は、当該光ラジカル重合性組成物を液状にし、例えばポリエステルフィルムまたはタックフィルムなどの基材上に、例えばバーコーターなどを用いて光ラジカル重合性組成物を塗布し、波長が300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射して重合させる。
【0079】
(塗布)
フィルム状に重合させる場合に用いられる基材としてはフィルム、紙、アルミ箔、金属等が主に用いられるが特に限定されない。基材としてのフィルムに用いられる素材としてはポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。当該基材フィルムの膜厚は通常100μm未満の膜厚のものを使用する。光重合性組成物を塗布して得られる塗膜の膜厚を調整するために使用するバーコーターは特に指定しないが、膜厚が1μm以上100μm未満に調整できるバーコーターを使用する。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
【0080】
(雰囲気)
また、フィルム状に重合させるときは、酸素存在下では酸素阻害のためフィルム表面のべたつきがなかなか取れず、光ラジカル重合開始剤の大量添加が必要となる。よって酸素非存在下で重合させることが望ましい。そのような重合方法としては、窒素ガス、ヘリウムガス等の雰囲気で行うことが挙げられる。また、タックフィルムまたはポリエチレンフィルム等で塗布したラジカル重合組成物を覆った後に、ラジカル重合させる方法も有効である。
【0081】
(照射源)
このようにして調製した光ラジカル重合性組成物からなる塗膜に、波長が300nmから400nmまでの範囲の光を含むエネルギー線を1〜2000mW/cm
2程度の強さで光照射することにより、光重合物を得ることができる。用いる照射源としては395nmの光を中心波長とする紫外LED、385nm光を中心波長とする紫外LED及び375nmの光を中心波長とする紫外LED、365nmの光を中心波長とする紫外LEDが好ましい。フュージョン社製のD−バルブ、V−バルブ等の無電極ランプや、キセノンランプ、ブラックライト、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等も使用することができる。また、太陽光によっても重合硬化させることもできる。
【0082】
(タック・フリー・テスト)
本発明の光ラジカル重合性組成物が光重合したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)を用いた。すなわち、光ラジカル重合性組成物に光を照射すると、重合し硬化して組成物のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定することにより、光重合時間を測定した。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。特記しない限り、すべての部および百分率は重量%である。
【0084】
生成物の確認は下記の機器による測定により行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
【0085】
(合成実施例1)5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンの合成
温度計、攪拌機付きの100mL三つ口フラスコに5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1.74g(10ミリモル)、トリメチルシリルアセトアミド2.4g(12ミリモル)、トルエン12gを仕込み橙色のスラリーとし、50℃で1時間加熱した。その後、n−ヘキサン15g加え、濾液を濃縮し、5−トリメチルシリルオキシ−1,4−ナフトキノンの赤色油状物晶1.85g(7.5ミリモル)を得た。原料の5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンに対する単離収率は75モル%であった。
【0086】
(1)融点:室温油状
(2)IR(ヌジョール、cm
−1):2990,2935,1660,1640,1457,1287,1246,833,777,750,730,698cm
−1.
(3)
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):δ=0.17(s,9H),6.73−6.84(m,2H),7.11(d,J=9Hz,1H),7.52(t,J=9Hz,1H),7.69(d,J=9Hz,1H).
【0087】
(合成実施例2)5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンの合成
温度計、攪拌機付きの100mL三つ口フラスコに5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1.74g(10ミリモル)、トリエチルクロロシラン1.81g(12ミリモル)、トルエン12gを仕込み橙色のスラリーとし、トリエチルアミン1.1g(11ミリモル)のトルエン2g溶液を加えた。50℃で5時間加熱した後、n−ヘキサン15g加えた。析出したトリエチルアミンの塩酸塩を濾別して除き、濾液を濃縮し、5−トリエチルシリルオキシ−1,4−ナフトラキノンの赤色油状物1.87g(6.5ミリモル)を得た。原料の5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンに対する単離収率は65モル%であった。
【0088】
(1)融点:室温油状
(2)IR(ヌジョール、cm
−1):2960,2925,2890,1661,1584,1459,1331,1300,1285,1237,1069,1002,965,793,776,725cm
−1.
(3)
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):δ=0.51(q,J=8Hz,6H),0.90(t,J=8Hz),6.79−6.88(m,2H),7.15(d,J=9Hz,1H),7.55(t,J=9Hz、1H),7.70(d,J=9Hz,1H).
【0089】
(合成実施例3)2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンの合成
温度計、攪拌機付きの100mL三つ口フラスコに2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン1.74g(10ミリモル)、トリイソプロピルクロロシラン2.30g(12ミリモル)、トルエン12gを仕込み黄土色のスラリーとし、トリエチルアミン1.1g(11ミリモル)のトルエン2g溶液を加えた。50℃で1時間加熱した後、n−ヘキサン15g加えた。析出したトリエチルアミンの塩酸塩を濾別して除き、濾液を濃縮し、2−トリイソプロピルシリルオキシ−1,4−ナフトラキノンの赤色油状物2.57g(7.8ミリモル)を得た。原料の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンに対する単離収率は78モル%であった。
【0090】
(1)融点:室温油状
(2)IR(ヌジョール、cm
−1):2960,2870,1681,1654,1605,1577,1255,1209,988,880,769,724,680,628.cm
−1.
(3)
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):δ=1.08(d,J=8Hz,18H),1.28−1.39(m,3H),6.28(s,1H),7.64−7.72(m,2H),8.01−8.07(m,2H).
【0091】
(評価実施例1)5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
ラジカル重合性化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート100重量部に対し、光ラジカル重合開始剤として、合成実施例1で得た5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを1.0重量部添加し、光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、「ルミラー」は東レ株式会社の登録商標)上に調製した光ラジカル重合性組成物を膜厚が30ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。塗布後、この塗布膜をタックフィルムで覆い、ついで空気雰囲気下、紫外LED(イワサキ社製、中心波長365nm、照射強度20mW/cm
2)を用いて光照射したところ、重合し硬化していることを確認した。タックフリータイムは0.2秒であった。
【0092】
(評価実施例2)5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を合成実施例2で得た5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは0.1秒であった。
【0093】
(評価実施例3)2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を合成実施例3で得た2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは2.0秒であった。
【0094】
(評価比較例1)光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)を用いる場合の光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、「イルガキュア」はビーエーエスエフ社の登録商標)1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは3.5秒であった。
【0095】
(評価比較例2)光ラジカル重合開始剤として2−エチル−9,10−アントラキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2−エチル−9,10−アントラキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは3.0秒であった。
【0096】
(評価比較例3)光ラジカル重合開始剤として2−メチル−1,4−ナフトキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2−メチル−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは40秒であった。
【0097】
(評価比較例4)光ラジカル重合開始剤として2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(365UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例1と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは50秒であった。
【0098】
(評価実施例4)5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
ラジカル重合性化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート100重量部に対し、光ラジカル重合開始剤として、合成実施例1で得た5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを1.0重量部添加し、光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、「ルミラー」は東レ株式会社の登録商標)上に調製した光ラジカル重合性組成物を膜厚が30ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。塗布後、この塗布膜をタックフィルムで覆い、ついで空気雰囲気下、紫外LED(Phoseon社製、中心波長395nm、照射強度50mW/cm
2)を用いて光照射したところ、重合し硬化していることを確認した。タックフリータイムは0.1秒であった。
【0099】
(評価実施例5)5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を合成実施例2で得た5−(トリエチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例8と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは0.1秒であった。
【0100】
(評価実施例6)2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノンを光ラジカル重合開始剤とする光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を合成実施例3で得た2−(トリイソプロピルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例8と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは3.0秒であった。
【0101】
(評価比較例5)光ラジカル重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)を用いる場合の光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、「イルガキュア」はビーエーエスエフ社の登録商標)1.0重量部とすること以外は、評価実施例4と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは75秒であった。
【0102】
(評価比較例6)光ラジカル重合開始剤として、2−エチル−9,10−アントラキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2−エチル−9,10−アントラキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例4と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは4.0秒であった。
【0103】
(評価比較例7)光ラジカル重合開始剤として2−メチル−1,4−ナフトキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2−メチル−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例4と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは52秒であった。
【0104】
(評価比較例8)光ラジカル重合開始剤として2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを用いる場合の光重合速度評価実験(395UV−LED照射)
光ラジカル重合開始剤として、5−(トリメチルシリルオキシ)−1,4−ナフトキノン1.0重量部を2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン1.0重量部とすること以外は、評価実施例4と同様にして光ラジカル重合性組成物を調製し、塗布後紫外LED光を照射した。タックフリータイムは210秒であった。
【0105】
評価実施例1〜3及び評価比較例1〜4の結果を表1に、評価実施例4〜6、評価比較例5〜8の結果を表2にまとめた。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
表1及び表2から次のことが明らかである。すなわち、本発明の(置換シリルオキシ)−1,4−ナフトキノン化合物を光ラジカル重合開始剤として用いた光ラジカル重合性組成物は、従来用いられている光ラジカル重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)やアントラキノン系光ラジカル重合開始剤である2−エチル−9,10−アントラキノン、同じナフトキノン系化合物である2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを光重合開始剤として用いた場合に比べ、照射波長が365nm及び395nmのいずれにおいても、高速で硬化していることがわかる。