特許第6443786号(P6443786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6443786
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】熱転写シート
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/42 20060101AFI20181217BHJP
   B41M 5/44 20060101ALI20181217BHJP
   B41M 5/395 20060101ALI20181217BHJP
   B41M 5/385 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B41M5/42 310
   B41M5/44 310
   B41M5/395 300
   B41M5/385 300
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-541708(P2018-541708)
(86)(22)【出願日】2018年2月28日
(86)【国際出願番号】JP2018007551
【審査請求日】2018年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-161225(P2017-161225)
(32)【優先日】2017年8月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】今倉 ゆず
(72)【発明者】
【氏名】廣川 純子
【審査官】 樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−281890(JP,A)
【文献】 特開平03−034894(JP,A)
【文献】 米国特許第5985422(US,A)
【文献】 特開2001−232955(JP,A)
【文献】 特開2001−322360(JP,A)
【文献】 特開2004−284155(JP,A)
【文献】 特開2015−091647(JP,A)
【文献】 特開2002−113961(JP,A)
【文献】 特開平09−323480(JP,A)
【文献】 特開2001−219654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M5/382−5/52
B42D15/02
B42D25/00−25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、蛍光層と、熱溶融性インキ層と、をこの順に備える熱転写シートであって、
前記蛍光層が、蛍光発色材料、及び酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体を含むことを特徴とする、熱転写シート。
【請求項2】
前記基材を中心として、前記熱転写シートの前記熱溶融性インキ層が設けられた側から励起波長365nmの紫外線を照射し、前記蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をA、
前記基材を中心として、前記熱転写シートの前記熱溶融性インキ層が設けられていない側から励起波長365nmの紫外線を照射し、前記蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をBとしたときに、A及びBが下記式を満たす、請求項1に記載の熱転写シート。
B/A≧3
【請求項3】
蛍光層の厚みが、0.1μm以上、1.5μm以下である、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
【請求項4】
前記蛍光層における前記蛍光発色材料の含有量が、0.1質量%以上、60質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項5】
前記基材と前記蛍光層との間に、剥離層をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項6】
前記蛍光層が、第1の粒子及び前記第1の粒子とは異なる第2の粒子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項7】
前記第1の粒子が、融点が120℃以上のフィラーである、請求項6に記載の熱転写シート。
【請求項8】
前記第1の粒子の一次粒子径が、0.1μm以上、2μm以下である、請求項6又は7に記載の熱転写シート。
【請求項9】
前記第2の粒子の融点が、120℃未満である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項10】
前記第2の粒子が、ワックスである、請求項6〜9のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項11】
前記蛍光層における前記第1の粒子及び前記第2の粒子の含有量の和が、15質量%以上、65質量%以下である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項12】
前記剥離層が、ビニル系樹脂を含む、請求項5〜11のいずれか一項に記載の熱転写シート。
【請求項13】
前記剥離層におけるビニル系樹脂の含有量が、2質量%以上、25質量%以下である、請求項12に記載の熱転写シート。
【請求項14】
前記剥離層に含まれるビニル系樹脂が、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体である、請求項12又は13に記載の熱転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写シートに関し、より詳細には、基材と、蛍光層と、熱溶融性インキ層と、を備える熱転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂フィルム等の基材及び着色材を含有する熱溶融性インキ層を備える熱転写シートに対して、サーマルヘッド等を用いてエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の被転写体上に、熱溶融性インキ層を転写することにより画像の形成を行う、熱溶融転写方式が知られている。
熱溶融転写方式により形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れているため、該方式は、文字パターンや線画等の2値画像の記録に適している。また、熱溶融転写方式によれば、宛名、顧客情報、ナンバリング、バーコード等の可変情報を、コンピューター及び熱溶融転写型プリンターを用いて、被転写体に記録することができる。
【0003】
また、偽造や改竄防止が求められる書類、金券、カード等の画像形成に用いられる熱転写シートにおいては、熱溶融性インキ層に、可視光下においては透明又は無色であるが、赤外線や紫外線等を照射することにより、可視光を発する蛍光発色材料を含有させることが行われている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1において提案されている熱転写シートは、形成した画像における蛍光発色材料の蛍光強度の観点から問題があった。そして、この問題を解決するため、特許文献2においては、熱溶融性インキ層とは別に蛍光層を備える熱転写シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平8−2719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、近年、熱転写シートには、印字スピードを高く設定した場合であっても、印字抜けやかすれが生じない高速転写適性が強く求められている。
本発明者らは、特許文献2において提案される、蛍光層を、熱溶融性インキ層とは別に備える熱転写シートにおいては、その高速転写適性に改善の余地があるとの知見を得た。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、高速転写適性に優れた熱転写シートであって、高い蛍光強度及び耐擦過性を有する画像を形成することのできる熱転写シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱転写シートは、基材と、蛍光層と、熱溶融性インキ層と、をこの順に備える熱転写シートであって、蛍光層が、蛍光発色材料、並びにビニル系樹脂を含むことを特徴とする。
【0009】
一実施形態において、基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられた側から励起波長365nmの紫外線を照射し、蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をA、基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられていない側から励起波長365nmの紫外線を照射し、前記蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をBとしたときに、A及びBが下記式を満たす。
B/A≧3
【0010】
一実施形態において、上記蛍光層に含まれるビニル系樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及び酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体の少なくとも何れか1つである
【0011】
一実施形態において、蛍光層の厚みは、0.1μm以上、1.5μm以下である。
【0012】
一実施形態において、蛍光層における蛍光発色材料の含有量は、0.1質量%以上、60質量%以下である。
【0013】
一実施形態において、上記熱転写シートは、基材と蛍光層との間に、剥離層をさらに備える。
【0014】
一実施形態において、蛍光層は、第1の粒子及び第1の粒子とは異なる第2の粒子を含む。
【0015】
一実施形態において、第1の粒子は、融点が120℃以上のフィラーである。
【0016】
一実施形態において、第1の粒子の一次粒子径は、0.1μm以上、2μm以下である。
【0017】
一実施形態において、第2の粒子の融点は、120℃未満である。
【0018】
一実施形態において、第2の粒子は、ワックスである。
【0019】
一実施形態において、蛍光層における第1の粒子及び第2の粒子の含有量の和は、15質量%以上、65質量%以下である。
【0020】
一実施形態において、剥離層は、ビニル系樹脂を含む。
【0021】
一実施形態において、剥離層におけるビニル系樹脂の含有量は、2質量%以上、25質量%以下である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、印字スピードを高く設定した場合であっても、抜けやかすれが生じない良好な画像を形成することができる、高い高速転写適性を有する熱転写シートを提供することができる。
また、本発明によれば、高い蛍光強度及び耐擦過性を有する画像を形成することができる熱転写シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す概略断面図である。
図2】本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す概略断面図である。
図3】余剥離が発生した印字パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(熱転写シート)
本発明による熱転写シート10は、図1に表すように、基材11と、蛍光層12と、熱溶融性インキ層13をこの順に備える。また、一実施形態において、図2に表すように、本発明による熱転写シート10は、基材11と蛍光層との間に、剥離層14を備える。また、一実施形態において、図1及び2に表すように、本発明による熱転写シート10は、背面層15を備える。
【0025】
一実施形態において、基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられた側から励起波長365nmの紫外線を照射し、蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をA、基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられていない側から励起波長365nmの紫外線を照射し、蛍光層を発光させ、蛍光分光光度計により測定した470nmの蛍光強度をBとしたときに、A及びBが下記式(1)を満たす。
B/A≧3 (1)
より好ましくは、A及びBが下記式(2)を満たす。
B/A≧3.5 (2)
A及びBが、上記式を満たすことにより、本発明の熱転写シートを用いて形成される画像の蛍光強度を十分なものとすることができる。
また、例えば、本発明の熱転写シートは、基材を中心に、熱溶融性インキ層が設けられた側が外側、熱溶融性インキ層が設けられていない側が内側となるように巻き取られた場合に、巻き取られた状態では、該熱転写シートにより形成される画像が、赤外線や紫外線等を照射することにより、可視光を発することを第三者に知られてしまうのを防ぐことができる。
また、一実施形態において、蛍光強度Bは10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
【0026】
以下、本発明による熱転写シートが備える各層について説明する。
【0027】
(基材)
基材は、熱転写時に加えられる熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドによる熱)に耐え得る耐熱性を有し、基材上に設けられる剥離層等を支持できる機械的強度や耐溶剤性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。
【0028】
基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体及びテレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体等のポリエステル系樹脂、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド及びポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、スチレン系樹脂、並びにセロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース系樹脂等から構成されるフィルム(以下、単に「樹脂フィルム」という。)を使用できる。
上記した樹脂の中でも、耐熱性及び機械的強度という観点から、PET及びPEN等のポリエステル系樹脂が好ましく、PETが特に好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を包含することを意味する。
【0029】
また、上記した樹脂フィルムの積層体を基材として使用することもできる。
樹脂フィルムの積層体は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法及びエクストリュージョン法等を利用することにより作製できる。
【0030】
基材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、強度という観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムを使用することが好ましい。
【0031】
また、蛍光層や背面層等との密着性の向上及び耐ブロッキング性の向上という観点から、基材は、その表面に凹凸を有することが好ましい。
基材表面への凹凸形成手段としては、例えば、マット材練り込み加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、マットコーティング加工及びケミカルエッチング加工等が挙げられる。マット材練り込み加工は、無機物又は有機物を練り込んだ樹脂により、基材を形成する加工法である。マットコーティング加工は、基材表面に、有機物又は無機物を含むコート材をコーティングし、基材表面に凹凸を付与する加工法である。
【0032】
基材の厚さは、2.0μm以上、12.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上、6.0μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを上記数値範囲とすることにより、基材の機械的強度と、熱転写時の熱エネルギーの伝達を良好なものとすることができる。
なお、本発明において、熱転写シートが備える各層の厚さは、樹脂包埋法を利用して測定した。
具体的には、エポキシ樹脂で、カットした熱転写シート(試験片)を包埋した後、超薄切片法(ミクロトームとダイヤモンドカッターによるカット)により、試験片の厚さ方向に切断面を形成し、この切断面をイオンスパッタリング((株)日立ハイテクノロジーズ製、E−1045、ターゲット:Pt、電流:15mA、10秒)した後、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−4800TYPE I、加速電圧:3.0kv、エミッション電流:10μA、作動距離:8mm、検出器:Mix)を使用することにより、試験片の断面画像を取得し、この画像から計測した。
【0033】
(蛍光層)
蛍光層は、蛍光発色材料及びビニル系樹脂を含んでなる。
本発明において、蛍光発色材料とは、可視光下においては透明又は無色であるが、ある波長域の光(例えば、赤外線や紫外線等)を照射することにより、可視光を発する材料のことを指す。なお、本発明において、可視光領域とは、400nm超、750nm未満の波長光域を指し、赤外光域とは、750nm以上、2500nm以下の波長光域を指し、紫外光域とは280nm以上、400nm以下の波長光域を指す。
また、本発明において、ビニル系樹脂には、(1)ビニル基を有する単量体の単独重合体、(2)2種以上のビニル基を有する単量体の共重合体および(3)ビニル基を有する単量体とビニル基を有しない単量体との共重合体が含まれる。
なお、本発明において、アクリロイル基やスチレン基等は、ビニル基に含まれず、したがって、(メタ)アクリル系樹脂やスチレン系樹脂は、ビニル系樹脂には含まれない。
【0034】
蛍光発色材料は、有機系の蛍光発色材料であっても、無機系の蛍光発色材料であってもよいが、有機系の蛍光発色材料は、バインダー樹脂と相溶化し、可視光下での不可視性に優れるため、偽造防止等の観点から蛍光発色材料による印字が施されていることを知られたくない場合に好ましい。なお、蛍光層は、2種以上の蛍光発色材料を含んでいても良い。
【0035】
有機系の蛍光発色材料としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、ビフェニル誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、イミダゾロン誘導体、フルオレセインやエオシン等の色素、並びにアントラセン等のベンゼン環を持つ化合物が挙げられる。
【0036】
無機系の蛍光発色材料としては、Ca、Ba、Mg、Zn、Cd等の酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩等の無機結晶蛍光体を主成分とし、Mn、Zn、Ag、Cu、Sb、Pb等の金属元素又はランタノイド類等の希土類元素を活性剤として添加して焼成したものが用いられる。
具体的には、BaSi:Pb、Sr:Eu、BaMgAl1627:Eu、MgWO、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb,Mn、MgGa:Mn、ZnSiO、(Ce,Tb)MgAl1119、YSiO:Ce,Tb、Y:Eu、YVO:Eu、(Sr,Mg,Ba)(PO:Sn、3.5MgO・5MgF・GeO:Mn等が挙げられる。
【0037】
蛍光層における蛍光発色材料の含有量は、0.5質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以上、55質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上、45質量%以下であることがさらに好ましい。
蛍光発色材料の含有量を上記数値範囲とすることにより、本発明の熱転写シートを用いて形成した画像の蛍光強度及び耐擦過性を両立できる。
【0038】
ビニル基を有する単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリル硫酸ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これらの中でも、本発明の熱転写シートの高速転写適性という観点から、N−ビニル−2−ピロリドンを使用することが好ましい。
【0039】
ビニル系樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリ酪酸ビニル、ポリラウリル酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、PVA、ポリビニルフェノール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン(PVP)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体(PVP−VA)等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の熱転写シートの高速転写適性という観点から、PVA、PVP、PVP−VAが好ましく、PVP−VAが特に好ましい。
なお、蛍光層は、上記ビニル系樹脂を2種以上含んでいてもよい。
【0040】
蛍光層におけるビニル系樹脂の含有量は、30質量%以上、85質量%以下であることが好ましく、40質量%以上、80質量%以下であることがより好ましい。
ビニル系樹脂の含有量を上記数値範囲とすることにより、本発明の熱転写シートの高速転写適性をより向上できる。
【0041】
蛍光層は、ビニル系樹脂以外にもバインダー樹脂を含んでいても良く、その具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、テルペン樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。
【0042】
一実施形態において、蛍光層は、第1の粒子及び第1の粒子とは異なる第2の粒子を含む。驚くべきことに、蛍光層に2種類の粒子を含有させることにより、熱転写シートを用いて画像を形成する際、本来転写を予定していない箇所にまで熱溶融性インキ層が転写され、画像のつぶれ等が生じる、余剥離が発生してしまうことを効果的に防止できる(余剥離防止性)。
【0043】
蛍光層における第1の粒子及び第2の粒子の含有量の和は、15質量%以上、65質量%以下であることが好ましく、18質量%以上、63質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上、60質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
【0044】
第1の粒子は、融点120℃以上のフィラーであることが好ましい。余剥離防止性という観点からは、該フィラーの融点は、140℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0045】
第1の粒子の一次粒子径は、0.1μm以上、2μm以下であることが好ましく、0.4μm以上、1.2μm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
なお、本発明において、一次粒子径は、熱転写シートの垂直断面の電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個の粒子について、同様に粒径を計測し、それらを平均したものを一次粒子径とした。
なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0046】
第1の粒子としては、例えば、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド共重合体、ベンゾグアナミンメラミン−ホルムアルデヒド共重合体及びメラミン−ホルムアルデヒド共重合体等の熱可塑性樹脂粒子、(メタ)アクリル系樹脂粒子、ケイ素含有樹脂粒子(シリコーン)、フッ素含有樹脂粒子、並びにシリカ、アルミナ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン及びガラスビーズ等の無機材料粒子等が挙げられる。
【0047】
第1の粒子としては、市販されるものを使用してもよく、日本触媒(株)製のエポスター(登録商標)S6、エポスター(登録商標)S、エポスター(登録商標)S12、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のトスパール(登録商標)120、綜研化学(株)製のMX−40T、信越化学工業(株)製のQCB−100及び(株)喜多村製のKTL−500F等が挙げられる。
【0048】
蛍光層における第1の粒子の含有量は、5質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、8質量%以上、33質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上、30質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
【0049】
蛍光層に含まれる第2の粒子の融点は、120℃未満であることが好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
余剥離防止性という観点から、第2の粒子の融点は、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
また、第2の粒子の融点は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。これにより、熱転写シートの耐ブロッキング性を向上できる。
【0050】
第2の粒子としては、例えば、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス及びモンタンワックス等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス及びポリエチレンワックス等の合成ワックス、マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸等の高級飽和脂肪酸、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級飽和一価アルコール、ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級エステル、ステアリン酸アミド並びにオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらの中でも、余剥離防止性の観点から、カルナバワックス及びパラフィンワックスが好ましい。
【0051】
第2の粒子としては、市販されるものを使用してもよく、コニシ(株)製のWE−65及びWE−95等が挙げられる。
【0052】
蛍光層における第2の粒子の含有量は、5質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、8質量%以上、33質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上、30質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
【0053】
蛍光層に含まれる第1の粒子と、第2の粒子との比(第1の粒子の含有量/第2の粒子の含有量)は、質量基準で、1/5以上、5/1以下であることが好ましく、1/3以上、3/1以下であることがより好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの余剥離防止性をより向上できる。
【0054】
一実施形態において、蛍光層は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記したワックス、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の添加材を含んでいてもよい。
【0055】
蛍光層の厚みは、0.1μm以上、1.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、1.0μm以下であることがより好ましい。蛍光層の厚みを上記数値範囲とすることにより、本発明の熱転写シートの高速転写適性及び耐擦過性をより向上できると共に、これにより形成される画像の蛍光強度をより向上できる。
【0056】
蛍光層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、蛍光層形成用塗工液とし、これをロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、リバースグラビアコーター、バーコーター及びロッドコーター等の公知の手段により、基材又は剥離層上に塗布して塗膜を形成させ、次いでこれを乾燥させることにより形成できる。
【0057】
(熱溶融性インキ層)
熱溶融性インキ層は、着色材及びバインダーを含んでなる。
熱溶融性インキ層に含まれる着色材としては、要求される色調等に応じ、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料及び染料から適宜選択して使用できる。
例えば、バーコード印字に本発明の熱転写シートを使用する場合には、特に十分な黒色濃度を有し、光や熱等により変色又は褪色しない着色材が好ましい。このような着色材としては、例えば、ランプブラック等のカーボンブラック、グラファイト及びニグロシン染料等が挙げられる。また、カラー印字に本発明の熱転写シートを使用する場合には、他の有彩色の染料又は顔料が用いられる。さらに、白色印字に本発明の熱転写シートを使用する場合には、酸化チタンや炭酸カルシウム等が用いられる。
【0058】
熱溶融性インキ層における着色材の含有量は、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、50質量%以下であることがより好ましい。着色材の含有量を上記数値範囲内とすることにより、視認性の高い画像を形成できる。
【0059】
熱溶融性インキ層に含まれるバインダーとしては、上記したワックス及び上記したバインダー樹脂が挙げられる。
【0060】
熱溶融性インキ層におけるバインダー樹脂の含有量は、30質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上、80質量%以下であることがより好ましい。
【0061】
一実施形態において、熱溶融性インキ層は、本発明の特性を損なわない範囲において、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の添加材を含んでいてもよい。
【0062】
熱溶融性インキ層の厚みは、0.3μm以上、5.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、2.0μm以下であることがより好ましい。
【0063】
熱溶融性インキ層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、熱溶融性インキ層形成用塗工液とし、これをロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、リバースグラビアコーター、バーコーター及びロッドコーター等の公知の手段により、蛍光層上に塗布して塗膜を形成させ、次いでこれを乾燥させることにより形成できる。
【0064】
(剥離層)
一実施形態において、本発明の熱転写シートは、基材上に、剥離層を備える。剥離層は、熱転写時に被転写体上へ転写される層であり、熱転写シートが剥離層を備えることにより、本発明の熱転写シートの転写性を向上できる。
【0065】
一実施形態において、剥離層はワックスを含む。使用することのできるワックスとしては上記した通りである。また、剥離層は、ワックスの中でも、カルナバワックス又はパラフィンワックスを含むことが好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの転写性を向上できる。
また、剥離層は、蛍光層に含まれるワックスと同一のワックスを含むことが好ましい、これにより、剥離層と蛍光層との密着性を改善することができ、本発明の熱転写シートの耐ブロッキング性を向上できる。
なお、剥離層は、上記ワックスを2種以上含むことができる。
【0066】
剥離層におけるワックスの含有量は、60質量%以上、98質量%以下であることが好ましく、75質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの転写性を向上できる。
【0067】
一実施形態において、剥離層はバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、PVA、ポリビニルピロリドン(PVP)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体(PVP−VA)等のビニル系樹脂、PET、PBT及びPEN等のポリエステル系樹脂、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、PE、PP及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、テルペン樹脂並びにフェノール樹脂等が挙げられる。
上記したバインダー樹脂の中でも、剥離層は、ビニル系樹脂を含むことが好ましく、PVA、PVP、PVP−VAを含むことがより好ましく、PVP−VAを含むことが特に好ましい。これにより、剥離層と蛍光層との密着性を改善することができ、本発明の熱転写シートの耐ブロッキング性を向上できる。
なお、剥離層は上記バインダー樹脂を2種以上含むことができる。
【0068】
剥離層におけるバインダー樹脂の含有量は、2質量%以上、25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、20質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上、15質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの高速転写適性及び耐ブロッキング性をより向上できる。
【0069】
また、剥離層は、イソプレンゴム、ブチルゴム及びニトリルゴム等のゴム類を含むことができる。剥離層がゴム類を含むことにより、剥離層の弾力性を向上させることができ、熱転写シートと被転写体との密着性を向上させることができる。
【0070】
剥離層の厚みは、0.1μm以上、5.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上、3.0μm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の熱転写シートの耐ブロッキング性をより向上できる。
【0071】
剥離層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、剥離層形成用塗工液とし、これをロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、リバースグラビアコーター、バーコーター及びロッドコーター等の公知の手段により、基材上に塗布して塗膜を形成させ、次いでこれを乾燥させることにより形成できる。
【0072】
(背面層)
一実施形態において、本発明の熱転写シートは、基材の、熱溶融性インキ層が設けられていない側の面に、背面層を備える。熱転写シートが背面層を備えることにより、熱転写時の加熱によるスティッキングやシワ等の発生を防止できる。
【0073】
一実施形態において、背面層は、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン変性ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素変性ウレタン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、シリコーン樹脂、具体的には、アクリル変性シリコーン樹脂がサーマルヘッドと背面層の焼き付き、カスの発生防止の観点から好ましい。
【0074】
また、一実施形態において、背面層は、イソシアネート化合物等との併用により硬化する2液硬化型の樹脂をバインダー樹脂として含む。このような樹脂としては、ポリビニルアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、特に制限なく従来公知のイソシアネート化合物を使用できるが、その中でも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートが挙げられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
【0075】
一実施形態において、背面層は、無機又は有機の微粒子を含む。背面層が、このような微粒子を含むことにより、熱転写時の加熱によるスティッキングやシワ等の発生をより防止できる。
【0076】
無機微粒子としては、例えば、タルク及びカオリン等の粘土鉱物、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の水酸化物、硫酸カルシウム等の硫酸塩、シリカ等の酸化物、グラファイト、硝石、並びに窒化ホウ素等の無機微粒子が挙げられる。
有機微粒子としては、(メタ)アクリル系樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、シリコーン系樹脂、ラウロイル系樹脂、フェノール系樹脂、アセタール系樹脂、スチレン系樹脂及びポリアミド系樹脂等からなる有機樹脂微粒子、又はこれらを架橋材と反応させた架橋樹脂微粒子等が挙げられる。
【0077】
背面層の厚みは、0.01μm以上、5.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上、2μm以下であることがより好ましい。
【0078】
背面層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、背面層形成用塗工液とし、これをロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、リバースグラビアコーター、バーコーター及びロッドコーター等の公知の手段により、基材上に塗布して塗膜を形成させ、次いでこれを乾燥させることにより形成できる。
【実施例】
【0079】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、濃度や固形分等の記載があるものについては、すべて換算前の質量部を記載した。
【0080】
塗工液の作成
下記組成からなる背面層形成用塗工液、剥離層形成用塗工液A〜G、蛍光層形成用塗工液A〜V及びa〜b、並びに熱溶融性インキ層形成用塗工液A〜E及びa〜bを準備した。また、剥離層形成用塗工液、蛍光層形成用塗工液及び熱溶融性インキ層形成用塗工液の組成について、それぞれ表1〜3にまとめた。
【0081】
<背面層形成用塗工液>
・アクリル変性シリコーン樹脂 10質量部
(ナトコ(株)製、ポリアロイNSA−X55)
・メチルエチルケトン(MEK) 20質量部
・トルエン 20質量部
【0082】
<剥離層形成用塗工液A>
・カルナバワックス 100質量部
(コニシ(株)製、WE−95)
・水 25質量部
・イソプロパノール(IPA) 75質量部
【0083】
<剥離層形成用塗工液B>
・カルナバワックス 88質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体(PVP−VA) 9.6質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 25質量部
・IPA 75質量部
【0084】
<剥離層形成用塗工液C>
・カルナバワックス 98質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・PVP−VA 1.6質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 25質量部
・IPA 75質量部
【0085】
<剥離層形成用塗工液D>
・カルナバワックス 94質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・PVP−VA 4.8質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 25質量部
・IPA 75質量部
【0086】
<剥離層形成用塗工液E>
・カルナバワックス 90質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・PVP−VA 8質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 25質量部
・IPA 75質量部
【0087】
<剥離層形成用塗工液F>
・カルナバワックス 80質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・PVP−VA 16質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 25質量部
・IPA 75質量部
【0088】
<剥離層形成用塗工液G>
・パラフィンワックス 40質量部
(コニシ(株)製、WE−65、固形分40%)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 10質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0089】
<蛍光層形成用塗工液A>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 9.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0090】
<蛍光層形成用塗工液B>
・蛍光発色材料 2質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 9質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0091】
<蛍光層形成用塗工液C>
・蛍光発色材料 6質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 7質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0092】
<蛍光層形成用塗工液D>
・蛍光発色材料 0.6質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 9.7質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0093】
<蛍光層形成用塗工液E>
・蛍光発色材料 0.2質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 9.9質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0094】
<蛍光層形成用塗工液F>
・蛍光発色材料 10質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0095】
<蛍光層形成用塗工液G>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・ポリビニルピロリドン(PVP) 4.75質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP K−15)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0096】
<蛍光層形成用塗工液H>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%水溶液)
・ポリビニルアルコール(PVA) 4.75質量部
((株)クラレ製、クラレポバールPVA105)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0097】
<蛍光層形成用塗工液I>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 7.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子(フィラー) 1質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0098】
<蛍光層形成用塗工液J>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 7.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・カルナバワックス 2.5質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0099】
<蛍光層形成用塗工液K>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 7.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 0.5質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 1.25質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0100】
<蛍光層形成用塗工液L>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 0.75質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0101】
<蛍光層形成用塗工液M>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 0.5質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 2.5質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0102】
<蛍光層形成用塗工液N>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 1質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 1.25質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0103】
<蛍光層形成用塗工液O>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 3.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 1.5質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 3.75質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0104】
<蛍光層形成用塗工液P>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子(フィラー) 0.75質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S12、一次粒子径1.2μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0105】
<蛍光層形成用塗工液Q>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子(フィラー) 0.75質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S、一次粒子径0.2μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0106】
<蛍光層形成用塗工液R>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・シリコーン粒子(フィラー) 0.75質量部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、トスパール(登録商標)120、一次粒子径2.0μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0107】
<蛍光層形成用塗工液S>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・(メタ)アクリル系樹脂粒子(フィラー) 0.75質量部
(綜研化学(株)製、MX−40T、一次粒子径0.4μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0108】
<蛍光層形成用塗工液T>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・シリカ粒子(フィラー) 0.75質量部
(信越化学工業(株)製、QCB−100、一次粒子径0.2μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0109】
<蛍光層形成用塗工液U>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・フッ素系樹脂粒子(フィラー) 0.75質量部
((株)喜多村製、KTL−500F、一次粒子径0.5μm)
・カルナバワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−95、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0110】
<蛍光層形成用塗工液V>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・PVP−VA 6.5質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、PVP/VA E−335、50%エタノール液)
・熱硬化性樹脂粒子 0.75質量部
((株)日本触媒製、エポスター(登録商標)S6、一次粒子径0.4μm)
・パラフィンワックス 1.875質量部
(コニシ(株)製、WE−65、固形分40%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0111】
<蛍光層形成用塗工液a>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・(メタ)アクリル系樹脂 10.5質量部
(三井化学(株)製、ボンロン(登録商標)S−476、固形分45%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0112】
<蛍光層形成用塗工液b>
・蛍光発色材料 1質量部
(ハンツマン社製、UVITEX(登録商標)NFW、25%溶液)
・ポリエステル系樹脂 15.8質量部
(東洋紡(株)製、バイロナール(登録商標)MD−1500、固形分30%)
・水 20質量部
・IPA 20質量部
【0113】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液A>
・カーボンブラック 50質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・合成石油樹脂 20質量部
(東洋アドレ(株)製、セラマー1608)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0114】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液B>
・酸化チタン 60質量部
(石原産業(株)製、R−630)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 20質量部
(三井デュポンケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・合成石油樹脂 20質量部
(東洋アドレ(株)製、セラマー1608)
・MEK 40質量部
・トルエン 60質量部
【0115】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液C>
・カーボンブラック 50質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・テルペンフェノール 20質量部
(ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターT100)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0116】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液D>
・カーボンブラック 50質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・テルペンフェノール 20質量部
(ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターT100)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0117】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液E>
・カーボンブラック 50質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・パラフィンワックス 20質量部
(日本精蝋(株)製、HNP−10)
・シリカ 10質量部
(日本アエロジル(株)製、アエロジルR972)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0118】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液a>
・カーボンブラック 45質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・蛍光発色材料 10質量部
(DOUBLE BOND CHEMICAL社製、DOUBLETEX OB)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 27質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・合成石油樹脂 18質量部
(東洋アドレ(株)製、セラマー1608)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0119】
<熱溶融性インキ層形成用塗工液b>
・カーボンブラック 35質量部
(三菱ケミカル(株)製、C/B#44)
・蛍光発色材料 30質量部
(DOUBLE BOND CHEMICAL社製、DOUBLETEX OB)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 21質量部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV250)
・合成石油樹脂 14質量部
(東洋アドレ(株)製、セラマー1608)
・MEK 10質量部
・トルエン 200質量部
【0120】
実施例1
厚さ4.5μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面に、上記背面層形成用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ0.06μmの背面層を形成させた。
【0121】
次に、PETフィルムの他方の面に、上記剥離層形成用塗工液Aを塗布、乾燥し、厚さ0.70μmの剥離層を形成させた。
【0122】
上記のようにして形成した剥離層上に、上記蛍光層形成用塗工液Aを塗布、乾燥し、厚さ0.40μmの蛍光層を形成させた。
【0123】
上記のようにして形成した蛍光層上に、上記熱溶融性インキ層形成用塗工液Aを塗布、乾燥し、厚さ0.80μmの熱溶融性インキ層を形成させ、熱転写シートを得た。
【0124】
実施例2〜38及び比較例1〜4
剥離層形成用塗工液、蛍光層形成用塗工液及び/又は熱溶融性インキ層形成用塗工液を、表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを得た。
なお、実施例9においては、熱溶融性インキ層の厚さも変更した。また、比較例1及び2においては、蛍光層を設けなかった。
【0125】
<<蛍光強度比の測定>>
上記実施例1において得られた熱転写シートに対し、基材を中心として、熱溶融性インキ層が設けられた側から励起波長365nmの紫外線を照射し、蛍光層を発光させ、紫外線を照射した側から、蛍光分光光度計(日本分光(株)製、FP−6600)にて470nmの蛍光強度を測定したところ、5であった。
次いで、熱転写シートに対し、基材を中心として、熱溶融性インキ層が設けられていない側から同様に紫外線を照射し、蛍光強度を測定したところ、32であった。
基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられた側から紫外線を照射して測定した蛍光強度Aと、基材を中心として、熱転写シートの熱溶融性インキ層が設けられていない側から紫外線を照射して測定した蛍光強度Bとの比(B/A)は、6.40(32/5)であった。その他の実施例及び比較例においても、蛍光強度比を同様に測定、算出し、表4にまとめた。
【0126】
<<蛍光強度試験>>
上記実施例及び比較例において得られた熱転写シート、及び被転写体として二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムと無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムとの積層フィルム(以下、OPP−CPP積層フィルムという。)を用いて、OPP−CPP積層フィルムのOPPフィルム面側に、2ドットの文字パターン及びバーコードを印字した。
なお、溶融熱転写型プリンターとしては、解像度300dpiのサーマルヘッドを備えるMarkem Imaje社製のSD3Cを、印字スピード15m/分、印字濃度(Darkness)130%の条件にて使用した。
【0127】
上記のようにして印字した文字パターン及びバーコードに対して、励起波長365nmの紫外線を照射し、発光させ、紫外線を照射した側から、蛍光分光光度計(日本分光(株)製、FP−6600)にて470nmの蛍光強度を測定し、下記評価基準に従い評価した。評価結果を表4にまとめた。なお、蛍光強度の値についても合わせて表4にまとめた。
(評価基準)
A:蛍光強度が15以上であった。
B:蛍光強度が10以上、15未満であった。
NG:蛍光強度が10未満であった。
【0128】
<<高速転写適性試験>>
蛍光強度試験における溶融熱転写型プリンターに替え、解像度300dpiのサーマルヘッドを備えるMarkem Imaje社製のSDX60を使用し、印字濃度(Darkness)130%、印字スピードを表1に示されるスピードに変更し、蛍光強度試験同様、OPP−CPP積層フィルムのOPPフィルム面側に、2ドットの文字パターン及びバーコードを印字した。
このようにして印字した文字パターン及びバーコードの状態を目視により確認し、下記評価基準に従い高速転写適性を評価した。評価結果を表4にまとめた。
(評価基準)
A:抜け、かすれがない文字パターン及びバーコードを印字することができていた。
B:印字された文字パターン及びバーコードにわずかに抜け、かすれがあった。
NG:印字された文字パターン及びバーコードに抜け、かすれがあった。
【0129】
<<耐擦過性試験>>
蛍光強度試験において印字されたバーコードを人差し指にて3往復擦過し、次いで、励起波長365nmの紫外線を照射し、発光させた。印字されたバーコードの耐擦過性を下記評価基準に従い評価した。評価結果を表4にまとめた。
(評価基準)
A:バーコード印字した箇所以外の発光は見られなかった。
B:擦過により蛍光発色材料がとられて若干非印字領域を汚染し、バーコードを印字した箇所以外が若干発光するが、バーコードの視認は可能であった。
NG:擦過により蛍光発色材料がとられて非印字領域を汚染し、バーコードを印字した箇所以外も発光し、バーコード視認が難しい。
【0130】
<<余剥離防止性試験>>
上記実施例及び比較例において得られた熱転写シート、及び被転写体として、OPP−CPP積層フィルム及び解像度300dpiのサーマルヘッドを備える溶融熱転写型プリンター(Markem Imaje社製、SD3C)を準備した。
OPP−CPP積層フィルムのOPPフィルム面側に、印字スピード30m/分、印字濃度(Darkness)130%の条件で、熱転写シートが備える転写層を転写し、文字パターン「8」を10個形成した。印字されたパターンを目視により観察し、下記評価基準に従い、熱転写シートの余剥離防止性を評価した。評価結果を表4にまとめた。
(評価基準)
A:形成された印字パターンにつぶれがなく、熱転写シートが高い余剥離防止性を有することが確認できた。
B:印字した10個の印字パターン「8」のうち、図3に示すような、つぶれが生じているものが2個以下であり、実用上問題なかった。
C:印字した10個の印字パターン「8」のうち、図3に示すような、つぶれが生じているものが3個以上であり、熱転写シートの余剥離防止性に問題があった。
【0131】
<<耐ブロッキング性試験>>
上記実施例及び比較例において得られた熱転写シートをそれぞれ2枚用意し、熱溶融性インキ層と、背面層とが向き合うように重ね合わせ、1.176MPaの圧をかけ、45℃において24時間静置した。静置後、2枚の熱転写シートを剥がし、下記評価基準に従い、熱転写シートの耐ブロッキング性を評価した。評価結果を表4にまとめた。
(評価基準)
A:2枚の熱転写シートを容易に剥がすことができた。
B:熱溶融性インキ層と背面層とが貼り付いており、2枚の熱転写シートを剥がすのに力を加える必要があった。
C:熱溶融性インキ層と背面層とが強く貼り付いており、2枚の熱転写シートを剥がすことができなかった。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【符号の説明】
【0136】
10:熱転写シート
11:基材
12:蛍光層
13:熱溶融性インキ層
14:剥離層
15:背面層
【要約】
[課題]高速転写適性に優れた熱転写シートであって、高い蛍光強度及び耐擦過性を有する画像を形成することのできる熱転写シートの提供。
[解決手段] 本発明の熱転写シートは、基材と、蛍光層と、熱溶融性インキ層と、をこの順に備える熱転写シートであって、蛍光層が、蛍光発色材料、並びにビニル系樹脂を含むことを特徴とする。
図1
図2
図3