(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のエンジンの冷却装置においては、エンジンの始動時等の冷間運転時には、冷却水温度が低いので、冷却水温度が所定値(例えば45℃)以下のときには、冷却水の温度を上昇させるために冷却水をエンジン内で循環させるようにしている。しかしながら、冷却水温が所定値以下であるエンジンの冷間運転時であっても、エンジン始動時の冷却水温度がマイナス温度のとき、エンジンのシリンダヘッドの温度は上昇して高温となるが、冷却水温度が低いのでシリンダブロックが低温の状態であり、その結果、シリンダヘッドがシリダブロックに比べてより大きく熱変形(膨張)し、エンジン全体は、逆台形形状に変形し、シリンダヘッド信頼性が低下することがある。本発明者らは、このようなエンジン冷間運転時の問題を見出し、この問題を解決するために鋭意研究を進めた。
【0007】
そこで、本発明は、従来技術の持つ問題点を解決するためになされたものであり、エンジンの冷間運転時においてエンジンのシリンダヘッドの信頼性の低下を防止することができるエンジンの冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンを冷却する冷却水をエンジン内で循環させる第1冷却水経路と、冷却水をエンジンとエンジン外部の熱交換器との間で循環させる第2冷却水経路と、冷却水の流れを第1冷却水経路及び第2冷却水経路に切り換える切換弁と、この切換弁を、エンジンの冷却水温度が第1設定値よりも低いとき冷却水の流れを第1冷却水経路に切り換え、エンジンの冷却水温度が第1設定値以上のとき冷却水の流れを第2冷却水経路に切り換える切換制御手段と、を有するエンジンの冷却装置であって、エンジンの
複数の排気バルブ間の温度を検出又は推定する排気バルブ周辺温度検出手段を有し、切換制御手段は、
エンジン始動時のエンジンの冷却水温度がマイナス温度であり且つ切換弁が第1冷却水経路に切り換えられた状態において、排気バルブ周辺温度検出手段により検出された
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上になったとき、切換弁を第2冷却経路に切り換えることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、切換制御手段が、
エンジン始動時のエンジンの冷却水温度がマイナス温度であり且つ切換弁が第1冷却水経路に切り換えられた状態において、
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上になったとき、切換弁を第2冷却経路に切り換えるようになっている。この結果、本発明によれば、冷却水が第1冷却水経路を流れるエンジン冷間運転時に
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上の高温となっても、冷却水を第2冷却水経路に流すようにしたので、冷却水は第2冷却水経路において熱交換器により冷却され、排気バルブ周辺の温度上昇を抑制することができ、それにより、
シリンダヘッドがシリンダブロックに比べて大きく熱変形することを抑制して、エンジンの信頼性低下を防止することができる。
また、このように構成された本発明においては、排気バルブ周辺温度検出手段が、複数の排気バルブ間の温度を検出又は推定するので、より正確に排気バルブ周辺の温度を検出又は推定することができ、切換弁の切換え操作をより正確に行うことができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、第2冷却水経路は、冷却水をエンジンとヒータコアとの間で循環させるヒータ冷却水経路と、冷却水をエンジンとラジエータとの間で循環させるラジエータ冷却水経路と、を備え、切換制御手段は、
エンジン始動時のエンジンの冷却水温度がマイナス温度であり且つ切換弁が第1冷却経路に切換えられた状態において、排気バルブ周辺温度検出手段により検出された
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上になったとき、切換弁をヒータコア冷却水経路に切り換える。
このように構成された本発明においては、切換制御手段が、
エンジン始動時のエンジンの冷却水温度がマイナス温度であり且つ切換弁が第1冷却経路に切換えられた状態において、
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上になったとき、切換弁をヒータコア冷却水経路に切り換えるので、冷却水が第1冷却水経路を流れるエンジン冷間運転時に
複数の排気バルブ間の温度が所定温度以上の高温となっても、冷却水をヒータコア冷却水経路に流すようにしたので、冷却水はヒータ冷却水経路において冷却され、排気バルブ周辺の温度上昇を抑制することができ、それにより、
シリンダヘッドがシリンダブロックに比べて大きく熱変形することを抑制して、エンジンの信頼性低下を防止することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、排気バルブ周辺温度検出手段は、エンジンの運転状態を示すパラメータに基づいて
複数の排気バルブ間の温度を推定する。
このように構成された本発明においては、排気バルブ周辺温度検出手段が、エンジンの運転状態を示すパラメータに基づいて
複数の排気バルブ間の温度を推定するので、高価な温度センサを用いなくても、排気バルブ周辺温度を検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエンジンの冷却装置によれば、エンジンの冷間運転時においてエンジンのシリンダヘッドの信頼性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置について説明する。最初に、
図1により、本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置を示す全体構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、エンジン(内燃機関)1は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド4を備えている。
図1では、便宜上シリンダブロック2とシリンダヘッド4は分離して描かれているが、両者は一体構造である。
【0016】
エンジン1には、ヒータコア6及びラジエータ8が近傍に配置されている。エンジン1は、これらのヒータコア6及びラジエータ8が冷却水経路により接続されている。
ヒータコア6は、冷却水と熱交換する熱交換器であり、冷却水がエンジン1内のウオータジャケット10aを通る間に吸収した熱の一部を熱媒体として用いて車室内に温風を出すようになっている。
ラジエータ8も、冷却水と熱交換する熱交換器であり、エンジン1から放出された熱を吸収した冷却水から熱を大気中に放出するようになっている。
【0017】
この冷却水経路は、エンジン1内に冷却水を循環させるエンジン内冷却水経路10と、エンジン1とヒータコア6との間で冷却水を循環させるヒータコア冷却水経路12と、エンジン1とラジエータ8との間で冷却水を循環させるラジエータ冷却水経路14である。
エンジン内冷却水経路10は、エンジン1のシリンダブロック2とシリンダヘッド4のそれぞれの内部に設けられたウオータジャケット10aと、このウオータジャケット10aのエンジン1の出口側から出て入口側に戻るようにエンジン1の外部に配置された外部経路10bとからなる。
【0018】
ヒータコア冷却水経路12は、エンジン1の出口側からヒータコア6の入口に冷却水を流す入口側経路12aと、ヒータコア6の出口からエンジン1の入口側に冷却水を戻す出口側経路12bとからなる。
ラジエータ冷却水経路14は、エンジン1の出口側からラジエータ8の入口に冷却水を流す入口側経路14aと、ラジエータ8の出口からエンジン1の入口側に冷却水を戻す出口側経路14bとからなる。
【0019】
エンジン内冷却水経路10の外部経路10bのエンジン1の出口側には、冷却水温度を検出する出口側水温センサ16が設けられている。また、エンジン内冷却水経路10の外部経路10bのエンジン1の入口側には、ウオータポンプ18が設けられている。このウオータポンプ18は、エンジン1に接続され、エンジン1の回転に同期して回転するようになっている。エンジン1の回転数は変動するので、これに伴い、ウオータポンプ18の回転数も変動する。このウオータポンプ18には、入口側水温センサが内蔵されている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、エンジン内冷却水経路10の外部経路10b、ヒータコア冷却水経路12の入口側経路12a、ラジエータ冷却水経路14の入口側経路14aの接続部には、切換弁20が配置されている。なお、
図1には、2つの弁体が記載されているが、実際は、
図2に示すように、単一の弁体22を備えている。
【0021】
この切換弁20の弁体22は、
図3に示すDCモータ24により回転駆動されるようになっている。DCモータ24は、モータ24aと、このモータ24aの軸に直結されたウオームギヤ24bを備え、このウオームギヤ24bのウオームホイールには、上述した弁体22が結合され、弁体22が回転駆動される。
【0022】
次に、
図1に示すように、制御ユニット26が設けられ、この制御ユニット26には、後述するエンジンの自動停止を行うための自動停止制御ユニット28を有する。この自動停止制御ユニット28は、エンジンを自動停止させるための自動停止制御部30及び再始動制御部32を備えている。
制御ユニット26は、さらに、排気バルブ周辺温度を推定する排気バルブ周辺温度推定部34、及び、切換弁20の開度を制御する切換制御部36を有する。
【0023】
次に、
図4A乃至
図4Cにより、切換弁20の切換え動作(切換え操作)について説明する。切換弁20は、弁体22を備え、この弁体22には、2つの切欠部22a,22bが形成され、これらの切欠部22a,22bを通って冷却水が流れるようになっている。
【0024】
図4Aは、切換弁20の弁体22の開度が0度の場合を示しており、この開度では、エンジン1の冷却水がエンジン内冷却水経路10を流れ、冷却水がヒータコア冷却水経路12とラジエータ冷却水経路14の何れにも流れない状態となっている。この切換弁20の開度位置により、エンジンの始動時等の冷間運転時において、冷却水の温度が上昇する。
【0025】
図4Bは、切換弁20の弁体22の開度が59度の場合を示しており、この開度では、エンジン1の冷却水がエンジン内冷却水経路10及びヒータコア冷却水経路12を流れ、冷却水がラジエータ冷却水経路14に流れない状態となっている。この切換弁20の開度位置により、エンジンの半暖機運転時においてヒータコアへの熱供給がなされる。
【0026】
図4Cは、切換弁20の弁体22の開度が119度の場合を示しており、この開度では、エンジン1の冷却水がエンジン内冷却水経路10、ヒータコア冷却水経路12、ラジエータ冷却水経路14に流れる状態となっている。この切換弁20の開度位置により、エンジンの暖機運転時においてヒータコアにより保温とラジエータによる冷却が両立する。
【0027】
次に、
図1に示された制御ユニット26の自動停止制御ユニット28について説明する。エンジンの自動停止は、アイドリングストップ制御と呼ばれ、それ自体は周知技術である。そのため、ここでは、自動停止制御ユニット28の概要のみを説明する。
【0028】
先ず、自動停止制御ユニット28の自動停止制御部30は、エンジンの運転中に、予め定められたエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定し、成立した場合には、エンジンを自動停止させる制御を実行する。
自動停止制御ユニット28の再始動制御部32は、エンジンが自動停止した後、予め定められた再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを自動的に再始動させる制御を実行する。
【0029】
ここで、自動停止制御部30における自動停止条件は、例えば、車両が停止状態にあること、アクセルペダルの開度がゼロであること、ブレーキペダルが踏み込まれていること、エンジンが暖機運転状態であること、バッテリの残容量が所定値以上であること、エアコンの負荷が比較的すくないこと等である。自動停止制御部30は、これらの複数の条件の全てが揃ったときに、自動停止条件が成立したと判定し、自動停止を実行する。
【0030】
再始動制御部32における再始動条件は、例えば、ブレーキペダルがリリースされたこと、アクセルペダルが踏み込まれたこと、エンジンの冷却水温が所定値未満になったこと、バッテリの残容量の低下量が許容値を超えたこと、エンジンの停止時間(自動停止後の経過時間)が所定の自動停止期間(例えば2分間)を経過したこと、エアコン作動の必要性が生じたこと、等である。再始動制御部32は、これらの複数の条件の少なくとも1つが成立したときに、再始動条件が成立したと判定し、再始動を実行する。
【0031】
エンジンの始動時等の冷間運転時であっても、エンジン始動時の冷却水温度がマイナス以下となるような場合、シリンダブロックが低温にも係わらず、シリンダヘッドが高温となり、両者の熱膨張率が異なることにより、エンジン全体が逆台形形状に変形し、エンジンの信頼性が低下することがある。このため、本実施形態では、以下説明するように、シリンダヘッドの排気バルブ周辺温度を推定するようにしている。なお、シリンダヘッドに温度センサを取り付け、直接、排気バルブ周辺温度を検出するようにしてもよい。
【0032】
図5により、シリンダヘッドの排気バルブ周辺温度の推定の手順を説明する。
図5に示すように、排気バルブ周辺温度推定部34は、エンジン回転数(rpm)、充填効率(シリンダ内空気量)、燃料噴射量、点火タイミングから、各シリンダにおける発生熱量を算出する。次に、この各シリンダの発生熱量をシリンダブロックとシリンダヘッドに分配する。このシリンダヘッドにおける発生熱量から、排気バルブ38周辺である複数の排気バルブ38間の温度を推定する。ここで、複数の排気バルブ38間の温度は、シリンダヘッドにおいて最も高温となる領域(
図5に示すAの領域)であり、正確に、シリンダヘッドにおける熱変形量を推察することができる。
【0033】
次に、
図6により、本実施形態によるエンジンの冷却装置における切換20弁の切換え操作の際の制御内容を説明する。
図6においてSは、各ステップを示す。
先ず、S1において、イグニッションキーであるキーがONか否かを判定する。キーON でなければ、エンジンが始動していないので、S2に進み、切換弁を全開の状態に設定する。切換弁が全開の状態とは、
図4Cに示す開度119度の状態であり、冷却水が、エンジン内循環経路10、ヒータコア冷却水経路12、ラジエータ冷却水経路14の全てに流れるようになっている。
【0034】
S1において、キーON であれば、エンジンが始動して冷間運転時であるので、S3に進み、切換弁を全閉の状態に設定する。切換弁が全閉の状態とは、
図4Aに示す開度0度の状態であり、冷却水が、エンジン内循環経路10のみに流れるようになっている。
【0035】
次に、S4に進み、出口側水温センサ16により検出された冷却水温度を読み込む。次に、S5に進み、始動時水温に応じた切換え開始水温αを設定する。
この切換え開始水温αは、
図7に示すように、始動時水温が−10度以上の場合には、50度である。また、始動時水温が−10未満の場合には、
図7に示すように、切換え開始水温αは、50度より低い温度となる。このように、本実施形態では、切換え開始水温αは、一定値ではなく、エンジン始動時の冷却水温度により、切換え開始水温αの値を変化させている。
【0036】
次に、S6に進み、排気バルブ間の温度を推定する。この排気バルブ間の温度は、上述した
図5に示された手順により算出して推定される。
【0037】
次に、S7に進み、エンジンが自動停止中であるか否かを判定する。このエンジンが自動停止中か否かの判断は、上述した自動停止制御ユニット28の自動停止制御部30及び再始動制御部32からの信号により判定する。
自動停止中の場合には、S8に進み、切換弁の開度を現在の開度に保持(固定)する。この場合には、切換弁の開度が
図4Aに示す全閉状態で保持される。
【0038】
次に、S7において、自動停止中でないと判定された場合には、S9に進み、冷却水温度がS5で設定した切換開始温度α(例えば50℃)より大きいか否かを判定する。冷却水温度が切換開始温度α以下の場合には、S10に進み、排気バルブ間の温度が所定温度(例えば150℃)より大きいか否かを判定する。ここで、排気バルブ間の温度は、S6において推定された温度である。
【0039】
S9において、冷却水温度が切換開始温度αより大きいと判定された場合には、S11に進み、切換弁を開度59度に切り換える。この切換弁が開度59度の状態とは、
図4Bに示す状態であり、冷却水が、エンジン内循環経路10及びヒータコア冷却水経路12に流れ、ラジエータ冷却水経路には流れないようになっている。
【0040】
S10において、排気バルブ間の温度が所定温度(例えば150℃)より大きいと判定された場合には、同様に、S11に進む。S11において、同様に、切換弁を開度59度に切り換える。
このように、本実施形態においては、エンジンが冷間状態、即ち、冷却水温度が切換開始温度α(例えば50℃)より低い場合であっても、排気バルブ間の温度が所定温度(例えば150℃)より大きい場合には、切換弁を開度59度に切り換え、それにより、冷却水をヒータコア冷却水経路12に流し、冷却水の温度を低下させることができるようになっている。
【0041】
次に、S12に進み、S7と同様に、エンジンが自動停止中であるか否かを判定する。自動停止中の場合には、S13に進み、切換弁の開度を現在の開度(59度)に保持(固定)する。この場合には、切換弁の開度が
図4Bに示す59度に保持される。
【0042】
次に、S12において、自動停止中でないと判定された場合には、S14に進み、冷却水温度が所定温度(例えば90℃)より大きいか否かを判定する。冷却水温度が90度以下の場合には、S12に戻る。冷却水温度が90度より大きい場合には、S15に進む。
【0043】
S15においては、切換弁は、冷却水温度が所定の目標温度となるように、その開度がフィードバック制御される。このとき、切換弁20は、開度59度(
図4Bに示された開度)〜開度119度(
図4Cに示された開度)の間の開度となるように制御される。切換弁20の開度が大きくなるほど冷却水のラジエータ冷却水経路20へ流れる割合が大きくなるので、その分、冷却水の水温が低下するようになっている。
【0044】
次に、S16に進み、S7及びS12と同様に、エンジンが自動停止中であるか否かを判定する。自動停止中の場合には、S17に進み、切換弁の開度を現在の開度(S15においてフィードバック制御により設定された開度)に保持(固定)する。この場合には、切換弁の開度が現在の開度に保持される。
【0045】
上述した
図6に示した切換弁の制御では、S8、S13、S17において、自動停止中は、切換弁の開度を現在の開度に保持(固定)するようにしているが、本実施形態は、これに限定されない。例えば、切換弁の開度を微少量だけ調整するようにしてもよい。この場合にも、自動停止中に、切換弁を切換え操作しても、乗員の耳障りとなるような音の発生を制限することができる。
【0046】
次に、上述した本実施形態によるエンジンの冷却装置の作用効果を説明する。
先ず、本実施形態によるエンジンの冷却装置は、エンジン1を冷却する冷却水をエンジン内で循環させるエンジン内冷却水経路10と、冷却水をエンジン1とヒータコア6との間で循環させるヒータコア冷却水経路12と、冷却水をエンジン1とラジエータ8との間で循環させるラジエータ冷却水経路14と、を備え、切替弁制御部36により、切換弁20を、エンジンの冷却水温度が例えば50℃(第1設定値)よりも低いとき冷却水の流れをエンジン内冷却水経路10に切り換え、エンジンの冷却水温度が50℃(第1設定値)以上のとき冷却水の流れをヒータコア冷却水経路12及び/又はラジエータ冷却水経路14に切換えるようにしている。
【0047】
しかしながら、エンジンの冷却水温度が例えば50℃(第1設定値)よりも低いときでも、排気バルブ周辺の温度が例えば150℃以上になったとき、切換弁24をヒータコア冷却水経路12及びラジエータ冷却水経路14に切換え、冷却水を冷却して温度を低下させるようにしている。
【0048】
この結果、本実施形態によれば、冷却水がエンジン内冷却水経路10を流れるエンジン冷間運転時に排気バルブ周辺の温度が例えば150℃以上の高温となっても、冷却水をヒータコア冷却水経路12及び/又はラジエータ冷却水経路14に切換えて流すようにしたので、冷却水はこれらの冷却水経路12,14において熱交換により冷却され、排気バルブ周辺の温度上昇を抑制することができ、それにより、エンジンの信頼性低下を防止することができる。
【0049】
本発明の実施形態によるエンジン冷却装置においては、切換制御部36が、切換弁20がエンジン内冷却水通路10に切換えられた状態でも、排気バルブ周辺の温度が例えば150℃以上の高温になったとき、切換弁20をヒータコア冷却水経路12に切り換えて、冷却水をヒータコア冷却水経路に流すようにしたので、冷却水はヒータコア冷却水経路12において冷却され、排気バルブ周辺の温度上昇を抑制することができ、それにより、エンジンの信頼性低下を防止することができる。
【0050】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、複数の排気バルブ間の温度を検出又は推定するので、より正確に排気バルブ周辺の温度を検出又は推定することができ、切換弁の切換え操作をより正確に行うことができる。
【0051】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、エンジンの運転状態を示すパラメータに基づいて排気バルブ周辺温度を推定するので、高価な温度センサを用いなくても、排気バルブ周辺温度を検出することができる。
【0052】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、切換制御部36が、自動停止制御部30によりエンジン1が自動停止しているとき、切換弁20によるエンジン1の冷却水温度に応じたエンジン内冷却水経路10、ヒータコア冷却水経路12、ラジエータ冷却水経路14の切換え操作及び切換弁20の開度の調整を制限するので、エンジン1が自動停止しているとき、切換弁20の切換え操作時に生じる耳障りな音の発生を抑制することができる。
【0053】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、切換制御部36が、エンジン1が自動停止しているとき、切換弁20を自動停止前の切換状態の開度に保持するので、エンジン1が自動停止しているとき、切換弁20の切換え操作時に生じる耳障りな音の発生を確実に防止することができる。
【0054】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、再始動制御部32が、エンジン1が自動停止してから所定の自動停止期間(例えば2分間)が経過したとき、エンジン1を再始動するので、エンジン1の冷却水の温度変化が少なく、冷却水経路10、12、14の切換え操作に制御に影響を与えることがない。
【0055】
本発明の実施形態によるエンジンの冷却装置においては、切換制御部36が、冷却水の流れを切換弁20により、冷却水温度が例えば50℃(第1設定値)よりも低いときエンジン内冷却水経路10に切換え、冷却水温度が第1設定値以上で第1設定値よりも高く設定された例えば90℃(第2設定値)よりも低いときヒータコア冷却水経路12に切換え、冷却水温度が第2設定値以上のときラジエータ冷却水経路14に切り換えるようにしているので、エンジンの冷却水を最適な状態に制御することができる。