【文献】
葉山書緯, 外2名,“ノンローカルミーンフィルタのためのHDR画像とLDR画像の協調法”,映像情報メディア学会技術報告,日本,(一社)映像情報メディア学会,2014年 1月14日,第37巻, 第56号,p.45-48
【文献】
Di Xu, 外2名,“Correction of Clipped Pixels in Color Images”,IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics,2011年,第17巻, 第3号,p.333-344
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が前記第1の値よりも大きい場合に、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が大きいほどダイナミックレンジの最大階調値が大きい表示用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が前記第2の値よりも小さい場合に、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が小さいほどダイナミックレンジの最大階調値が小さい表示用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が前記第1の値以下且つ前記第2の値以上である場合に、前記取得手段で取得された輝度レンジ値に応じた重みで前記第1画像データの階調値と前記第2画像データの階調値を合成することにより、前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が前記第1の値以下且つ前記第2の値以上である場合に、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が大きいほど前記第2画像データに近い表示用画像データが生成され、且つ、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が小さいほど前記第1画像データに近い表示用画像データが生成される重みを使用する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が前記第1の値以下且つ前記第2の値以上である場合に、前記取得手段で取得された輝度レンジ値と前記第2画像データの階調値との組み合わせに応じた重みで前記第1画像データの階調値と前記第2画像データの階調値とを合成する処理を画素毎に行うことにより、前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記取得手段で取得された輝度レンジ値が大きいときに前記取得手段で取得された輝度レンジ値が小さいときに比べて大きく、且つ、前記第2画像データの階調値が小さいときに前記第2画像データの階調値が大きいときに比べて大きい重みを、前記第2画像データの階調値の重みとして使用して、前記合成画像データを生成する
ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
なお、以下では、画像処理装置が画像表示装置である場合の例を説明するが、これに限らない。画像処理装置は、画像表示装置と別体の装置であってもよい。
なお、以下では、画像データの画素値がYCbCr値(Y値、Cb値、及び、Cr値の組み合わせ)であり、Y値(輝度値)を調整する例を説明するが、これに限らない。例えば、画像データの画素値は、RGB値(R値、G値、及び、B値の組み合わせ)であってもよい。そして、R値、G値、及び、B値のそれぞれが調整されてもよい。
【0017】
図1は、本実施例に係る画像処理装置(画像表示装置)100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、デコード処理部102、調整値処理部103、ブレンド部104、ゲイン調整部105、表示部106、等を有する。
なお、画像処理装置100が画像表示装置と別体の装置である場合には、表示部106は画像表示装置に設けられる。
【0018】
画像処理装置100には、HDRファイル101と輝度レンジ値YRが入力される。
HDRファイル101は、第1画像データと輝度差分データを含むデータファイルである。
【0019】
第1画像データは、第2画像データの階調圧縮(ダウンサンプリング)した画像データである。第1画像データは、例えば、8bit階調の画像データである。本実施例では、第1画像データを“ベース画像データ”と記載し、第2画像データを“HDR画像データ”と記載する。
【0020】
輝度差分データは、ベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値との対応関係を表す輝度差分データである。輝度差分データは、例えば、輝度比率データ、輝度変換テーブルデータ、等である。輝度比率データは、画素単位(又は所定数の画素からなる領域単位)で、ベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値との比率である輝度比率を表すデータである。具体的には、輝度比率データは、画素単位(又は所定数の画素からなる領域単位)で、ベース画像データの階調値に対するHDR画像データの階調値の比率またはその逆数を表すデータである。輝度変換テーブルデータは、ベース画像データのダイナミックレンジを拡大するレンジ拡大処理における入力階調値と出力階調値との対応関係を表すルックアップテーブルデータである。レンジ拡大処理は、ベース画像データで表現しきれていない輝度を再現する処理と言うこともできる。本実施例では、輝度差分データとして輝度変換テーブルデータが使用される。
【0021】
ベース画像データは、例えば、トーンマップを用いてレンジ縮小処理(HDR画像データのダイナミックレンジを縮小する画像処理)を行うことによって生成された画像データである。トーンマップは、レンジ縮小処理における入力階調値と出力階調値との対応関係を表すルックアップテーブルデータである。そして、上述した輝度変換テーブルデータは、トーンマップの入力階調値と出力階調値を入れ替えたルックアップテーブルデータである。そのため、輝度変換テーブルデータは“逆トーンマップ”と呼ぶことができる。
【0022】
輝度レンジ値YRは、表示用画像データのダイナミックレンジを調整する処理で使用される調整値である。本実施例では、ユーザ操作に応じた輝度レンジ値YRが取得される。表示用画像データは、表示部106(画像表示装置)に入力される画像データである。
【0023】
なお、輝度差分データは、画素単位(又は所定数の画素からなる領域単位)で、ベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値の一方から他方を減算した差分値である輝度差分値を表すデータであってもよい。
なお、本実施例では、画像処理装置100の外部からHDRファイル101が取得される例を説明するが、これに限らない。例えば、画像処理装置100は、HDRファイル101を含む複数のデータを記憶する記憶部を有していてもよい。そして、記憶部からHDRファイル101が取得されてもよい。例えば、ユーザ操作に応じて、記憶部が記憶している複数のデータの中からHDRファイル101が選択され、選択されたHDRファイル101が記憶部から取得されてもよい。
【0024】
デコード処理部102は、HDRファイル101に含まれるベース画像データに、HD
Rファイル101に含まれる逆トーンマップを用いたレンジ拡大処理を施す。それにより、HDR画像データ(ベース画像データの元画像データ)が生成される。そして、デコード処理部102は、生成したHDR画像データを出力する。
レンジ拡大処理後の画像データの階調値が表示部106で表示可能な階調値の上限値よりも大きい場合には、デコード処理部102は、上限値よりも大きい階調値を上限値に制限するリミット処理を行う。表示部106で表示可能な階調値は、表示部106に入力可能な階調値と言うこともできる。そして、レンジ拡大処理後の画像データの階調値が表示部106で表示可能な階調値の下限値よりも小さい場合には、デコード処理部102は、下限値よりも小さい階調値を下限値に制限するリミット処理を行う。レンジ拡大処理後の画像データの階調値が上限値よりも大きい場合、及び、レンジ拡大処理後の画像データの階調値が下限値よりも小さい場合には、ベース画像データにレンジ拡大処理とリミット処理を施すことにより、HDR画像データが生成される。
【0025】
調整値処理部103、ブレンド部104、及び、ゲイン調整部105により、表示用画像データが生成される。本実施例では、取得(入力)された輝度レンジ値YRに基づいて、輝度レンジ値YRが連続的に変化した際に表示用画像データのダイナミックレンジが連続的に変化するように、表示用画像データが生成される。
【0026】
調整値処理部103は、輝度レンジ値YRを取得し、取得した輝度レンジ値YRに応じてブレンド率Blendとゲイン値Gainを決定する。そして、調整値処理部103は、決定したブレンド率Blendとゲイン値Gainを出力する。
ブレンド率Blendは、ベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値を合成する際のHDR画像データの階調値の重みを表す。ベース画像データの階調値の重みは、ブレンド率Blendから算出することができる。
ゲイン値Gainは、画像データの階調値に乗算する補正値(係数)である。
【0027】
なお、調整値処理部103では、HDR画像データの階調値の重みではなく、ベース画像データの階調値の重みが決定されてもよい。HDR画像データの階調値の重みと、ベース画像データの階調値の重みと、の両方が決定されてもよい。
また、補正値として、画像データの階調値に乗算する係数ではなく、画像データの階調値に加算する加算値が決定されてもよい。
【0028】
ブレンド部104は、調整値処理部103から出力したブレンド率Blendに応じて、HDR画像データの階調値と、ベース画像データの階調値と、を合成することにより、合成画像データを生成する(ブレンド処理)。そして、ブレンド部104は、合成画像データを出力する。
【0029】
ゲイン調整部105は、ブレンド部104から出力された合成画像データの階調値を、調整値処理部103から出力された補正値(ゲイン値Gain)を用いて補正することにより、表示用画像データを生成する(ゲイン調整処理)。具体的には、ゲイン調整部105は、合成画像データの各階調値にゲイン値Gainを乗算することにより、表示用画像データを生成する。そして、ゲイン調整部105は、表示用画像データを出力する。
【0030】
なお、表示用画像データを生成する際に行われる画像処理は、ブレンド処理とゲイン調整処理に限らない。例えば、表示用画像データを生成する際に、エッジ強調処理、ぼかし処理、補間画素生成処理、IP(インタレース−プログレッシブ)変換処理、フレームレート変換処理、等の他の画像処理がさらに実行されてもよい。
【0031】
表示部106は、ゲイン調整部105から出力された表示用画像データに基づく画像を画面に表示する。表示部106としては、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズ
マ表示パネル、等を使用することができる。
【0032】
本実施例では、ベース画像データの階調値を“BI”、HDR画像データの階調値を“HI”、表示用画像データの階調値を“PI”と記載する。
本実施例では、表示部106が以下の表示能力を有する場合の例を説明する。
・表示画像(画面に表示された画像)の輝度の下限値が0.01(cd/m
2)である。
・表示画像の輝度の上限値が1000(cd/m
2)である。
・表示画像のコントラスト比の最大値が100000:1である。
なお、表示部106の表示能力は、上述した表示能力より高くても低くてもよい。
【0033】
本実施例では、ベース画像データの取り得る階調値の最大画を“BI_H”または“100%白”と記載する。以下では、階調値BI_Hが1.0であり、100%白の表示輝度(画面上の輝度)が100(cd/m2)である場合の例を説明する。本実施例では、100%白の表示輝度を“標準輝度”と記載する。
また、本実施例では、ベース画像データの取り得る階調値の最小値を“BI_L”または“0.1%黒”と記載する。以下では、階調値BI_
Lが0.001であり、0.1%黒の表示輝度が0.1(cd/m2)である場合の例を説明する。
【0034】
なお、階調値BI_Hは1.0より大きくても小さくてもよいし、100%白の表示輝度は100(cd/m
2)より高くても低くてもよい。
また、階調値BI_Lは0.001より大きくても小さくてもよいし、0.1%黒の表示輝度は0.1(cd/m
2)より高くても低くてもよい。
【0035】
表示輝度の上限値に対応する表示用画像データの階調値PI_Hは、以下の式1−1を用いて算出することができる。表示輝度の下限値に対応する表示用画像データの階調値PI_Lは、以下の式1−2を用いて算出することができる。上述したように、本実施例では、階調値BI_Hが1.0、標準輝度が100、表示輝度の上限値が1000、表示輝度の下限値が0.01である。そのため、本実施例では、階調値PI_Hは10であり、階調値PI_Lは0.0001である。
PI_H=BI_H×表示輝度の上限値/標準輝度 ・・・(式1−1)
PI_L=BI_H×表示輝度の下限値/標準輝度 ・・・(式1−2)
デコード処理部102では、各階調値が0.0001≦HI≦10の値であるHDR画像データが生成される。
【0036】
本実施例では、階調値PI=1.0よりも大きい階調値を有する画素は、100%白の画素の表示輝度(標準輝度)よりも高い表示輝度で表示される。本実施例では、表示画像の領域のうち、階調値PIが1.0よりも大きい領域を“オーバーホワイト領域”と記載する。
また、本実施例では、階調値PI=0.001よりも小さい階調値を有する画素は、0.1%黒の画素の表示輝度よりも低い表示輝度で表示される。本実施例では、表示画像の領域のうち、階調値PIが0.001よりも小さい領域を“アンダーブラック領域”と記載する。
【0037】
本実施例では、表示画像(表示用画像データ)のダイナミックレンジを調整する処理を“輝度レンジ調整”と呼ぶ。本実施例では、ユーザ操作に応じて表示画像のダイナミックレンジが調整される。また、上述したように、輝度レンジ調整では、輝度レンジ値YRが使用される。本実施例では、輝度レンジ値として0以上且つ100以下の値が使用される。また、本実施例では、輝度レンジ値の初期値として、75が使用される。
なお、輝度レンジ値の上限値、下限値、及び、初期値は上述した値(0、100、及び
、75)より小さくても大きくてもよい。
【0038】
調整値処理部103は、少なくとも以下の条件1,2が満たされるように、ブレンド率Blendとゲイン値Gainを決定する。
条件1:輝度レンジ値YRが第1の値である場合に、HDR画像データと同じ表示用画像データが生成される。
条件2:輝度レンジ値YRが第1の値よりも小さく且つ第2の値以上である場合に、輝度レンジ値YRが小さいほどダイナミックレンジが狭く、且つ、輝度レンジ値YRが小さいほどダイナミックレンジの最大階調値がベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値に近い表示用画像データが生成される。
本実施例では、第1の値が75(初期値)であり、第2の値が25である場合の例を説明する。
本実施例では、0≦YR<25を“区間1”、25≦YR≦75を“区間2”、75<YR≦100を“区間3”と記載する。
【0039】
なお、第1の値は75より大きくても小さくてもよい。また、第2の値は25より大きくても小さくてもよい。初期値は、第1の値より大きくても小さくてもよい。第1の値は輝度レンジ値YRの上限値であってもよいし、第2の値は輝度レンジ値YRの下限値であってもよい。
【0040】
調整値処理部103、ブレンド部104、及び、ゲイン調整部105の処理について、より詳細に説明する。
図2は、調整値処理部103の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、調整値処理部103は、ブレンド率決定部1031、ゲイン値決定部1032、等を有する。
【0041】
本実施例では、不図示の記憶部に、輝度レンジ値とブレンド率との対応関係を表すルックアップテーブルであるブレント特性情報が予め記録されている。
ブレンド率決定部1031は、ブレンド率特性情報から、輝度レンジ値YRに対応するブレンド率Blendを読み出し、読み出したブレンド率Blendを出力する。
なお、ブレンド特性情報は、ルックアップテーブルに限らない。例えば、ブレンド特性情報は、輝度レンジ値とブレンド率との対応関係を表す関数であってもよい。そして、ブレンド特性情報を用いて、輝度レンジ値YRからブレンド率Blendが算出されてもよい。
【0042】
また、本実施例では、不図示の記憶部に、輝度レンジ値とゲイン値との対応関係を表すルックアップテーブルであるゲイン特性情報が予め記録されている。
ゲイン値決定部1032は、ゲイン特性情報から、輝度レンジ値YRに対応するゲイン値Gainを読み出し、読み出したゲイン値Gainを出力する。
なお、ゲイン特性情報は、ルックアップテーブルに限らない。例えば、ゲイン特性情報は、輝度レンジ値とゲイン値との対応関係を表す関数であってもよい。そして、ゲイン特性情報を用いて、輝度レンジ値YRからゲイン値Gainが算出されてもよい。
【0043】
ブレンド部104は、ブレンド率決定部1031から出力されたブレンド率Blendに応じて、HDR画像データの階調値と、ベース画像データの階調値と、を合成することにより、合成画像データを生成する。具体的には、以下の式2を用いて合成画像データの階調値MIを算出する処理を画素毎に行うことにより、合成画像データが生成される。
MI=(Blend/100)×HI+(1−Blend/100)×BI
・・・(式2)
【0044】
ゲイン調整部105は、ブレンド部104から出力された合成画像データの階調値を、ゲイン値決定部1032から出力されたゲイン値Gainを用いて補正することにより、表示用画像データを生成する。具体的には、以下の式3を用いて表示用画像データの階調値PIを算出する処理を画素毎に行うことにより、表示用画像データが生成される。なお、上述したように、式3から得られた階調値PIが表示部106で表示可能な階調値の範囲外の値である場合には、リミット処理が行われる。
PI=Gain×MI ・・・(式3)
【0045】
図3は、ブレンド特性情報(輝度レンジ値とブレンド率との対応関係)の一例を示す図である。
図4は、ゲイン特性情報(輝度レンジ値とゲイン値との対応関係)の一例を示す図である。
本実施例では、
図3,4に示すブレンド特性情報とゲイン特性情報が使用される場合の例を説明する。
【0046】
図3のブレンド特性情報では、区間1のブレンド率として0(一定値)が設定されている。そして、
図4のゲイン特性情報では、区間1のゲイン値として、輝度レンジ値の増加に伴って0.1から1.0に線形に増加するゲイン値が設定されている。
【0047】
そのため、輝度レンジ値YRが区間1の値(第2の値(25)よりも小さい値)である場合には、輝度レンジ値YRが小さいほどダイナミックレンジの最大階調値が小さい表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、ブレンド率Blend=0が使用される。それにより、ベース画像データと同じ合成画像データが生成される。そして、輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って増加し、且つ、1.0よりも小さいゲイン値Gainが使用される。それにより、輝度レンジ値YRが小さいほど小さい階調値を有する表示用画像データが生成される。換言すれば、輝度レンジ値YRが小さいほど暗い表示用画像データが生成される。また、本実施例では、輝度レンジ値YRが下限値である場合に、ゲイン値Gain=0.1が使用される。それにより、ベース画像データの階調値の0.1倍の階調値を有する表示用画像データが生成される。
なお、ゲイン値の下限値は、0.1より大きくても小さくてもよい。
【0048】
また、
図3のブレンド特性情報では、区間2のブレンド率として、輝度レンジ値の増加に伴って0から100に線形に増加するブレンド率が設定されている。そして、
図4のゲイン特性情報では、区間2のゲイン値として1.0(一定値)が設定されている。
【0049】
そのため、輝度レンジ値YRが区間2の値(第2の値以上且つ第1の値以下の値)である場合には、ゲイン値Gain=1.0が使用される。ゲイン値Gain=1.0を使用した場合、合成画像データと同じ表示用画像データが生成される。そのため、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRに応じた重みでベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値を合成することにより、表示用画像データが生成される。
【0050】
そして、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って0から100に増加するブレンド率Blendが使用される。それにより、輝度レンジ値YRが大きいほどHDR画像データに近い表示用画像データ(=合成画像データ)が生成される。また、輝度レンジ値YRが小さいほどベース画像データに近い表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、ブレンド率Blend=100が使用される。それにより、HDR画像データと同じ表示用画像データが生成され、条件1が満たされる。輝度レンジ値YRが第2の値(25)で
ある場合には、ブレンド率Blend=0が使用される。それにより、ベース画像データと同じ表示用画像データが生成される。そして、輝度レンジ値YRが第2の値より大きく且つ第1の値よりも小さい場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って連続的に増加するブレンド率Blendが使用される。そのため、表示用画像データの階調値は、輝度レンジ値YRの増加に伴ってベース画像データの階調値からHDR画像データの階調値に連続的に変化する。換言すれば、表示用画像データのダイナミックレンジは、輝度レンジ値YRの増加に伴ってベース画像データのダイナミックレンジからHDR画像データのダイナミックレンジに連続的に変化する。その結果、条件2が満たされる。
【0051】
また、
図3のブレンド特性情報では、区間3のブレンド率として100(一定値)が設定されている。そして、
図4のゲイン特性情報では、区間3のゲイン値として、輝度レンジ値の増加に伴って1.0から10に線形に増加するゲイン値が設定されている。
【0052】
そのため、輝度レンジ値YRが区間3の値(第1の値(75)よりも大きい値)である場合には、輝度レンジ値YRが大きいほどダイナミックレンジの最大階調値が大きい表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、ブレンド率Blend=100が使用される。それにより、HDR画像データと同じ合成画像データが生成される。そして、輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って増加し、且つ、1.0よりも大きいゲイン値Gainが使用される。それにより、輝度レンジ値YRが大きいほど大きい階調値を有する表示用画像データが生成される。換言すれば、輝度レンジ値YRが大きいほど明るい表示用画像データが生成される。また、本実施例では、輝度レンジ値YRが上限値である場合に、ゲイン値Gain=10が使用される。それにより、HDR画像データの階調値の10倍の階調値を有する表示用画像データが生成される。
なお、ゲイン値の上限値は、10より大きくても小さくてもよい。
【0053】
図3のブレンド特性情報では、輝度レンジ値の連続的な変化に伴って連続的に変化するブレンド率が設定されている。そして、
図4のゲイン特性情報では、輝度レンジ値の連続的な変化に伴って連続的に変化するゲイン値が設定されている。
そのため、輝度レンジ値YRが連続的に変化した場合に、表示用画像データの明るさ、階調値、及び、ダイナミックレンジは連続的に変化する。
【0054】
図5(a)〜5(g)を用いて、本実施例に係る表示用画像データとそのダイナミックレンジについてより詳細に説明する。
図5(a)〜5(g)は、本実施例に係る画像データとそのダイナミックレンジ(輝度レンジ)の一例を示す図である。
図5(a)〜5(g)において、画像データ(画像データが表す画像)に記載されている数字は、その数字が記載されている領域の階調値である。
図5(a)〜5(g)は、
図3,4に示す情報を使用した場合の例を示す。
【0055】
図5(a)は、HDR画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(b)は、ベース画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(c)は、輝度レンジ値YR=100のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(d)は、輝度レンジ値YR=75のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(e)は、輝度レンジ値YR=50のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(f)は、輝度レンジ値YR=25のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図5(g)は、輝度レンジ値YR=0のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
【0056】
図5(a)〜5(g)から、表示用画像データの階調値の上限値が10であり、表示用画像データの階調値の下限値が0.0001であることがわかる。即ち、表示用画像データの最大ダイナミックレンジ(最大輝度レンジ)が階調値=0.0001〜10のダイナミックレンジであることがわかる。最大ダイナミックレンジは、取り得るダイナミックレンジの最大レンジである。
図5(a)から、HDR画像データが、最小階調値=0.0005且つ最大階調値=5.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。換言すれば、HDR画像データの階調値が、0.0005以上且つ5.0以下の値であることがわかる。
図5(b)から、ベース画像データが、最小階調値=0.001且つ最大階調値=1.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。
【0057】
輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図5(f)に示すダイナミックレンジから
図5(g)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRが小さいほど大きいシフト量でベース画像データのダイナミックレンジを低階調側にシフトしたダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。その結果、輝度レンジ値YRの低下に伴い表示用画像データの輝度が連続的に低下する。
【0058】
輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図5(d)に示すダイナミックレンジから
図5(f)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。
図5(d)に示すダイナミックレンジはHDR画像データのダイナミックレンジと等しく、
図5(f)に示すダイナミックレンジはベース画像データのダイナミックレンジと等しい。
図5(e)に示すように、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75よりも小さい場合には、HDR画像データのダイナミックレンジよりも狭く且つベース画像データのダイナミックレンジよりも広いダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75よりも小さい場合には、以下の条件3,4を満たすダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。
条件3:最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも小さく、且つ、ベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも大きい。
条件4:最小階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値よりも大きく、且つ、ベース画像データのダイナミックレンジの最小階調値よりも小さい。
【0059】
換言すれば、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値が、オーバーホワイト領域の階調値から100%白の階調値に連続的に低下する。そして、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値が、アンダーブラック領域の階調値から0.1%黒の階調値に連続的に増加する。
【0060】
輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図5(d)に示すダイナミックレンジから
図5(c)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRが大きいほど大きいシフト量でHDR画像データのダイナミックレンジを高階調側にシフトしたダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。その結果、輝度レンジ値YRの増加に伴い表示用画像データの輝度が連続的に増加する。
図5(c)では、ダイナミックレンジの最大階調値が上限値に制限されている。
【0061】
以上述べたように、本実施例によれば、輝度レンジ値に応じたブレンド率とゲイン値を用いて、ベース画像データとHDR画像データとから表示用画像データ生成される。具体的には、上述した条件1,2を満たすように、表示用画像データが生成される。それにより、表示用画像データのダイナミックレンジを好適に調整することができる。具体的には、HDR画像データと同じ表示用画像データだけでなく、ベース画像データと同じ表示用画像データを得ることができる。さらに、輝度レンジ値が連続的に変化した場合に、表示用画像データのダイナミックレンジを連続的に変更することができる。
【0062】
以下、
図23(a)〜23(e)を用いて、本実施例の効果についてより詳細に説明する。
図23(a)は、HDR画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図23(b)は、ベース画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図23(c)は、
図23(a)のHDR画像データの各階調値にゲイン値=0.5を乗算することにより生成された画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図23(d)は、
図23(a)のHDR画像データの階調値のうち2.5よりも大きい階調値を2.5にクリップ(制限)した画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図23(e)は、本実施例で述べた方法で生成された画像データとそのダイナミックレンジを示す。具体的には、
図23(e)は、ブレンド率Blend=50とゲイン値Gain=1を用いて
図23(a)のHDR画像データと
図23(b)のベース画像データから生成された画像データとそのダイナミックレンジを示す。つまり、
図23(c),23(d),23(e)に示されている画像データは、
図23(a)のHDR画像データの高輝度部の輝度を互いに異なる手法でおおよそ半減した画像データである。
【0063】
HDR画像データの各階調値に0.5を乗算するという単純な手法では、高輝度領域(HDR画像データの階調値が5や2.5である領域)以外の領域の輝度がベース画像データに比べ非常に低い値に変換されてしまう。例えば、
図23(c)に示すように、HDR画像データの階調値0.5が、ベース画像データの階調値0.5よりも小さい階調値0.25に変換されてしまう。その結果、画像全体の印象がベース画像データと大きく異なる画像データが得られてしまう。
【0064】
HDR画像データの階調値のうち2.5よりも大きい階調値を2.5にクリップするという単純な手法では、高輝度領域のコントラストが大幅に低減してしまう。例えば、
図23(d)に示すように、HDR画像データの階調値5.0と、HDR画像データの階調値2.5と、の両方が階調値2.5に変換されてしまい、高輝度領域のコントラストが大幅に低減してしまう。その結果、画像全体の印象がベース画像データと大きく異なる画像データが得られてしまう。
【0065】
これに対して、本実施例の手法では、ベース画像データの特徴を考慮して画像データが生成される。具体的には、本実施例の手法では、HDR画像データの階調値とベース画像データの階調値がブレンド率Blendを用いて合成され、合成後の階調値にゲイン値Gainが乗算される。それにより、
図23(e)に示すように、高輝度領域のコントラストの低下を抑制することができると共に、画像全体の印象がベース画像データに近い画像データを得ることができる。
【0066】
以上述べたように、本実施例によれば、ゲイン調整処理のみを行う手法、リミット処理のみを行う手法、といった単純な手法と比較して、高輝度領域のコントラストが高く且つ画像全体の印象がベース画像データに近い画像データを得ることができる。
【0067】
なお、本実施例に係る画像データは、静止画像データであってもよいし、動画像データであってもよい。動画像データを処理する場合には、動画像データのフレーム毎にベース画像データと輝度差分データを取得すればよい。輝度差分データは、動画像データのシー
ン毎に取得されてもよい。そして、デコード処理部102では、フレーム毎に、ベース画像データと輝度差分データとからHDR画像データが生成されればよい。フレーム毎に輝度差分データが取得される場合には、HDR画像データを生成するために使用する輝度差分データが、フレーム毎に切り替えられればよい。シーン毎に輝度差分データが取得される場合には、HDR画像データを生成するために使用する輝度差分データが、シーン毎に切り替えられればよい。
【0068】
なお、上述したように、表示部106の表示能力は特に限定されない。例えば、表示部106は以下の表示能力を有していてもよい。
・表示画像の輝度の下限値が0.01(cd/m
2)である。
・表示画像の輝度の上限値が500(cd/m
2)である。
・表示画像のコントラスト比の最大値が50000:1である。
この場合、階調値PI_Hは10となり、階調値PI_Lは0.0001となる。
【0069】
なお、輝度レンジ値とブレンド率の対応関係、及び、輝度レンジ値とゲイン値の対応関係は、
図3,4に示す対応関係に限らない。上述した条件1,2が満たされれば、どのような対応関係が使用されてもよい。例えば、区間1,3において、輝度レンジ値の変化に伴ってゲイン値が指数関数的に変化してもよい。区間2において、輝度レンジ値の変化に伴ってブレンド率が指数関数的に変化してもよい。
また、
図3,4の例では、ブレンド率とゲイン値の一方が輝度レンジ値の変化に伴って変化する場合に、ブレンド率とゲイン値の他方が一定に保たれる。即ち、輝度レンジ値の変化に伴って、ブレンド率とゲイン値が排他的に変化する。しかしながら、条件1,2を満たせば、輝度レンジ値の変化に伴ってブレンド率とゲイン値の両方が変化する区間が存在していてもよい。例えば、区間1、区間2、及び、区間3のうちの少なくともいずれかの区間において、輝度レンジ値の変化に伴ってブレンド率とゲイン値の両方が変化してもよい。
【0070】
なお、上述したように、輝度差分データは、逆トーンマップに限らない。例えば、輝度差分データとして輝度比率データが取得され、輝度比率データを用いてHDR画像データが生成されてもよい。輝度比率データから逆トーンマップが生成され、生成された逆トーンマップを用いてHDR画像データが生成されてもよい。逆トーンマップは生成されずに、輝度比率データからHDR画像データが生成されてもよい。
【0071】
なお、本実施例では、ユーザ操作に応じた輝度レンジ値を取得する例を説明したが、これに限らない。例えば、画像処理装置や画像表示装置の動作モードに応じて輝度レンジ値が決定されてもよい。具体的には、大電力モード、中電力モード、及び、小電力モードを含む複数の動作モードのいずれかが設定されてもよい。大電力モードは、画像表示装置の消費電力が大きい動作モードであり、中電力モードは、大電力モードよりも消費電力が小さい動作モードであり、小電力モードは、中電力モードよりも消費電力が小さい動作モードである。そして、大電力モードが設定されている場合に輝度レンジ値YR=75が設定され、中電力モードが設定されている場合に輝度レンジ値YR=50が設定され、小電力モードが設定されている場合に輝度レンジ値YR=25が設定されてもよい。
【0072】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
実施例1では、区間2において、ベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値を合成することにより、表示用画像データが生成される。そのため、実施例1では、ベース画像データの重みの増加(輝度レンジ値YRの低下)に伴って、低階調側の階調値が増加してしまう。換言すれば、輝度レンジ値YRの低下に伴って、低階調側の階調値を有する画像領域(低階調領域)の表示輝度が増加してしまう。
そこで、本実施例では、区間2において、輝度レンジ値YRに依らず、ダイナミックレンジの最小階調値がHDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と同じ表示用画像データを生成することができる構成について説明する。具体的には、区間2において、輝度レンジ値YRの低下に伴って表示用画像データの最小階調値が増加せず、輝度レンジ値YRの低下に伴って表示用画像データの最大階調値が低下するように、表示用画像データを生成することができる構成について説明する。このような構成によれば、輝度レンジ値YRの低下に伴う低階調領域の表示輝度の増加を抑制することができる。
以下では、実施例1と異なる構成や処理について詳しく説明し、実施例1と同様の構成や処理については説明を省略する。
本実施例に係る画像処理装置は、実施例1(
図1)と同様の構成を有する。但し、本実施例では、調整値処理部103の処理が実施例1と異なる。
【0073】
図6は、本実施例に係る調整値処理部103の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施例に係る調整値処理部103は、第1ブレンド率決定部2011、第2ブレンド率決定部2012、ブレンド率合成部2013、ゲイン値決定部2014を備える。
【0074】
第1ブレンド率決定部2011、第2ブレンド率決定部2012、及び、ブレンド率合成部2013により、ブレンド率Blendが決定される。本実施例では、画素毎に、輝度レンジ値YRとHDR画像データの階調値との組み合わせに応じて、ブレンド率Blendが決定される。そして、ブレンド部104では、ブレンド率Blendを用いてベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値とを合成する処理を画素毎に行うことにより、合成画像データが生成される。
【0075】
本実施例では、不図示の記憶部に、輝度レンジ値と第1ブレンド率との対応関係を表すルックアップテーブルである第1ブレンド特性情報が予め記録されている。
第1ブレンド率決定部2011は、第1ブレンド特性情報から、輝度レンジ値YRに対応する第1ブレンド率Blend_1を読み出し、読み出した第1ブレンド率Blend_1を出力する。
なお、第1ブレンド特性情報は、ルックアップテーブルに限らない。例えば、第1ブレンド特性情報は、輝度レンジ値と第1ブレンド率との対応関係を表す関数であってもよい。そして、第1ブレンド特性情報を用いて、輝度レンジ値YRから第1ブレンド率Blend_1が算出されてもよい。
【0076】
本実施例では、不図示の記憶部に、HDR画像データの取り得る階調値と第2ブレンド率との対応関係を表すルックアップテーブルである第2ブレンド特性情報が予め記録されている。
第2ブレンド率決定部2012は、第2ブレンド特性情報から、HDR画像データの階調値HIに対応する第2ブレンド率Blend_2を読み出し、読み出した第2ブレンド率Blend_2を出力する処理を、画素毎に行う。
なお、第2ブレンド特性情報は、ルックアップテーブルに限らない。例えば、第2ブレンド特性情報は、階調値と第2ブレンド率との対応関係を表す関数であってもよい。そして、第2ブレンド特性情報を用いて、階調値HIから第2ブレンド率Blend_2が算出されてもよい。
【0077】
ブレンド率合成部2013は、第1ブレンド率決定部2011から出力された第1ブレンド率Blend_1と、第2ブレンド率決定部2012から出力された第2ブレンド率Blend_2と、を合成することにより、ブレンド率Blendを決定する。本実施例では、第1ブレンド率Blend_1に第2ブレンド率Blend_2を加算することに
より、ブレンド率Blendが算出される。第1ブレンド率Blend_1に第2ブレンド率Blend_2を加算した合成ブレンド率が100よりも大きい場合には、100よりも大きい合成ブレンド率を100に制限することにより、ブレンド率Blendが決定される。そのため、ブレンド率Blendとして、0以上且つ100以下の値が得られる。そして、ブレンド率合成部2013は、決定したブレンド率Blendを出力する。
ブレンド率合成部2013は、ブレンド率Blendを決定して出力する処理を画素毎に行う。
【0078】
なお、ブレンド率の合成方法は上記方法に限らない。例えば、第2ブレンド率Blend_2として、第1ブレンド率Blend_1に乗算する値が取得されてもよい。そして、第1ブレンド率Blend_1に第2ブレンド率Blend_2を乗算することによりブレンド率Blendが算出されてもよい。
【0079】
ゲイン値決定部2014は、実施例1のゲイン値決定部1032と同じ処理を行う。
【0080】
図7は、第2ブレンド特性情報(階調値と第2ブレンド率との対応関係)の一例を示す図である。
本実施例では、第1ブレンド特性情報として実施例1(
図3)のブレンド特性情報が使用され、ゲイン特性情報として実施例1(
図4)のゲイン特性情報が使用される場合の例を説明する。そして、本実施例では、
図7に示す第2ブレンド特性情報が使用される場合の例を説明する。
【0081】
第2ブレンド特性情報では、ベース画像データのダイナミックレンジの最小階調値0.001以下の合成画像データの階調値としてHDR画像データの階調値と同じ階調値が得られるように、第2ブレンド率が設定されている。
図7の例では、HDR画像データの階調値HI=0.001以下の階調範囲の第2ブレンド率として100%(一定値)が設定されている。階調値HI=0.001以上且つ階調値HI=0.1以下の階調範囲に対して、階調値の増加に伴って100%から0%に線形に減少する第2ブレンド率が設定されている。そして、階調値HI=0.001以上の階調範囲の第2ブレンド率として0%(一定値)が設定されている。
【0082】
図3に示す第1ブレンド特性情報と、
図7に示す第2ブレンド特性情報と、を用いた場合の、輝度レンジ値YRとブレンド率Blendとの対応関係の一例を、
図8に示す。
図8には、3つの階調値HI=0.001,0.01,0.1について対応関係が示されている。
【0083】
HDR画像データの階調値HI=0.001の画素に対しては第2ブレンド率として100%が得られる。そのため、
図8の一点鎖線で示すように、階調値HI=0.001の画素に対しては、輝度レンジ値YRに拘らず、ブレンド率Blendとして常に100%が得られる。
階調値HI=0.01の画素に対しては第2ブレンド率として50%が得られる。そのため、
図8の破線で示すように、階調値HI=0.01の画素に対しては、輝度レンジ値YRが区間1の値であるときのブレンド率Blendとして50%が得られる。
そして、階調値HI=0.1の画素に対しては第2ブレンド率として0%が得られる。そのため、
図8の実線で示すように、階調値HI=0.1の画素に対しては、実施例1と同じブレンド率Blendが得られる。
【0084】
したがって、HDR画像データの階調値HI=0.001以下の画素については、合成画像データの階調値として、輝度レンジ値に拘らず、階調値HIと同じ値が設定される。そして、0.001<階調値HI<0.1の画素については、輝度レンジ値YRが小さい
場合に、合成画像データの階調値として、実施例1よりも小さい(暗い)階調値が設定される。そして、階調値HI=0.1以上の画素については、合成画像データの階調値として、実施例1と同じ階調値が設定される。
【0085】
輝度レンジ値の区間1〜3のそれぞれにおける処理について説明する。
【0086】
輝度レンジ値YRが区間1の値(第2の値(25)よりも小さい値)である場合には、輝度レンジ値YRが小さいほどダイナミックレンジの最大階調値が小さい表示用画像データが生成される。
具体的には、輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、
図8に示すように、HDR画像データの画素の階調値が小さいほど大きいブレンド率Blendが使用される。それにより、以下の条件5,6を満たすように、合成画像データが生成される。
条件5:HDR画像データの画素の階調値が小さいほど当該画素の階調値がHDR画像データの当該画素の階調値に近い合成画像データが生成される。
条件6:HDR画像データの画素の階調値が大きいほど当該画素の階調値がベース画像データの当該画素の階調値に近い合成画像データが生成される。
そして、輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、実施例1と同様に、輝度レンジ値YRの増加に伴って増加し、且つ、1.0よりも小さいゲイン値Gainが使用される。それにより、輝度レンジ値YRが小さいほど小さい階調値を有する表示用画像データが生成される。
【0087】
輝度レンジ値YRが区間2の値(第2の値以上且つ第1の値以下の値)である場合には、実施例1と同様に、ゲイン値Gain=1.0が使用される。そのため、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、合成画像データと同じ表示用画像データが生成される。即ち、輝度レンジ値YRとHDR画像データの階調値との組み合わせに応じた重みでベース画像データの階調値とHDR画像データの階調値とを合成する処理を画素毎に行うことにより、表示用画像データが生成される。
【0088】
輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、HDR画像データの階調値HIに拘らず、ブレンド率Blend=100が使用される。それにより、HDR画像データと同じ表示用画像データ(=合成画像データ)が生成され、条件1が満たされる。
そして、輝度レンジ値YRが第1の値よりも小さく且つ第2の値以上である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って100%まで連続的に増加し、且つ、階調値HIの低下に伴って100%まで連続的に増加するブレンド率Blendが使用される。また、HDR画像データの取り得る階調値の最小値と、輝度レンジ値YRの下限値と、の組み合わせに対応するブレンド率Blendとして、0%が使用される。それにより、実施例1で述べた上限2と、以下の条件7,8と、を満たすように、表示用画像データ(=合成画像データ)が生成される。条件2,7,8が満たされることにより、実施例1で述べた条件1も満たされる。
条件7:HDR画像データの画素の階調値が小さいほど当該画素の階調値がHDR画像データの当該画素の階調値に近い表示用画像データが生成される。
条件8:輝度レンジ値YRが大きいほどHDR画像データに近い表示用画像データが生成される。
【0089】
輝度レンジ値YRが区間3の値(第1の値(75)よりも大きい値)である場合には、輝度レンジ値YRが大きいほどダイナミックレンジの最大階調値が大きい表示用画像データが生成される。
具体的には、輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、実施例1と同様に、HDR画像データの階調値HIに拘らず、ブレンド率Blend=100が使用される。それにより、HDR画像データと同じ合成画像データが生成される。
そして、輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴って増加し、且つ、1.0よりも大きいゲイン値Gainが使用される。それにより、輝度レンジ値YRが大きいほど大きい階調値を有する表示用画像データが生成される。
【0090】
図9(a)〜9(g)を用いて、本実施例に係る表示用画像データとそのダイナミックレンジについてより詳細に説明する。
図9(a)〜9(g)は、本実施例に係る画像データとそのダイナミックレンジ(輝度レンジ)の一例を示す図である。
図9(a)〜9(g)において、画像データ(画像データが表す画像)に記載されている数字は、その数字が記載されている領域の階調値である。
図9(a)〜9(g)は、
図3,4,7に示す情報を使用した場合の例を示す。
【0091】
図9(a)は、HDR画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(b)は、ベース画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(c)は、輝度レンジ値YR=100のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(d)は、輝度レンジ値YR=75のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(e)は、輝度レンジ値YR=50のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(f)は、輝度レンジ値YR=25のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図9(g)は、輝度レンジ値YR=0のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
【0092】
図9(a)〜9(g)から、表示用画像データの階調値の上限値が10であり、表示用画像データの階調値の下限値が0.0001であることがわかる。
図9(a)から、HDR画像データが、最小階調値=0.0005且つ最大階調値=5.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。
図9(b)から、ベース画像データが、最小階調値=0.001且つ最大階調値=1.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。
【0093】
輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図9(f)に示すダイナミックレンジから
図9(g)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRが小さいほど大きいシフト量で
図9(f)に示すダイナミックレンジを低階調側にシフトしたダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。その結果、輝度レンジ値YRの低下に伴い表示用画像データの輝度が連続的に低下する。
図9(g)では、ダイナミックレンジの最小階調値が下限値に制限されている。
【0094】
輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図9(d)に示すダイナミックレンジから
図9(f)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。
図9(d)に示すダイナミックレンジはHDR画像データのダイナミックレンジと等しい。そして、
図9(f)に示すダイナミックレンジの最大階調値はベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値と等しく、
図9(f)に示すダイナミックレンジの最小階調値はHDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と等しい。
図9(e)に示すように、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75よりも小さい場合には、HDR画像データのダイナミックレンジよりも狭く且つベース画像データのダイナミックレンジよりも広いダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75より
も小さい場合には、以下の条件9,10を満たすダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。
条件9:最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも小さく、且つ、ベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも大きい。
条件10:最小階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と等しい。
【0095】
換言すれば、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値から100%白の階調値に連続的に低下する。そして、そして、輝度レンジ値YRに拘らず、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値として、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と同じ値が設定される。これは、HDR画像データの階調値が小さいほど大きい第2ブレンド率Blend_2が取得されることに起因する。
それにより、輝度レンジ値YRが連続的に変化した場合に、HDR画像データと同じ階調値から、ベース画像データに非常に近い階調値まで、表示用画像データの高階調領域の階調値を連続的に変更することができる。高階調領域は、高階調側の階調値を有する画像領域である。表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値と同じ階調値を有する画素については、HDR画像データと同じ階調値から、ベース画像データと同じ階調値まで、表示用画像データの階調値を連続的に変更することができる。
さらに、輝度レンジ値YRの低下に伴う低階調領域の階調値の増加を抑制することができる。
【0096】
輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図9(d)に示すダイナミックレンジから
図9(c)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRが大きいほど大きいシフト量でHDR画像データのダイナミックレンジを高階調側にシフトしたダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。その結果、輝度レンジ値YRの増加に伴い表示用画像データの輝度が連続的に増加する。
図9(c)では、ダイナミックレンジの最大階調値が上限値に制限されている。
【0097】
以上述べたように、本実施例によれば、実施例1で述べた条件1,2を満たすように、表示用画像データが生成される。さらに、本実施例によれば、表示用画像データを生成する際に、輝度レンジ値とHDR画像データの階調値との組み合わせに応じたブレンド率が使用される。それにより、表示用画像データのダイナミックレンジを好適に調整することができる。具体的には、HDR画像データと同じ表示用画像データだけでなく、高階調領域の階調値がベース画像データの階調値に非常に近い表示用画像データを得ることができる。また、輝度レンジ値の低下に伴う低階調領域の階調値の増加を抑制することができる。さらに、輝度レンジ値が連続的に変化した場合に、表示用画像データのダイナミックレンジを連続的に変更することができる。
【0098】
なお、輝度レンジ値と第1ブレンド率の対応関係、階調値と第2ブレンド率の対応関係、及び、輝度レンジ値とゲイン値の対応関係は、
図3,4,7に示す対応関係に限らない。上述した条件1,2が満たされれば、どのような対応関係が使用されてもよい。
なお、輝度差分データは、逆トーンマップに限らない。例えば、輝度差分データは輝度比率データであってもよい。
【0099】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
実施例1,2では、ベース画像データとHDR画像データを用いて表示用画像データを
生成する例を説明した。
本実施例では、ベース画像データと輝度差分データを用いて表示用画像データを生成する例を説明する。
【0100】
図10は、本実施例に係る画像処理装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、画像処理装置300は、表示部106、輝度差分データ変換部301、画像変換部302、等を有する。
なお、
図10において、実施例1(
図1)と同じ機能部及びデータには実施例1と同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
画像処理装置300には、実施例1と同様に、HDRファイル101と輝度レンジ値YRが入力される。
本実施例では、実施例1と同様に、HDRファイル101に含まれている輝度差分データが逆トーンマップである場合の例を説明する。
【0102】
輝度差分データ変換部301と画像変換部302により、ベース画像データ、輝度差分データ、及び、輝度レンジ値YRに基づいて、表示用画像データが生成される。
輝度差分データ変換部301は、輝度レンジ値YRに基づいて輝度差分データが表すHDR画像データの階調値を補正することにより、ベース画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表す補正輝度差分データを生成する。換言すれば、輝度差分データ変換部301は、輝度レンジ値YRに基づいて輝度差分データを補正輝度差分データ(変換輝度差分データ)に変換する。そして、輝度差分データ変換部301は、変換輝度差分データ(変換逆トーンマップ)を出力する。
画像変換部302は、輝度差分データ変換部301から出力された変換逆トーンマップを用いてベース画像データの階調値を表示用画像データの階調値に変換することにより、表示用画像データを生成する。換言すれば、画像変換部302は、変換逆トーンマップを用いてベース画像データを表示用画像データに変換する。そして、画像変換部302は、表示用画像データを出力する。
【0103】
輝度差分データ変換部301の処理についてより詳細に説明する。
本実施例では、不図示の記憶部に、複数のルックアップテーブル(ベース画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表すルックアップテーブル)が予め記録されている。
そして、予め用意された複数のルックアップテーブルと、HDRファイル101に含まれている逆トーンマップと、を用いて、変換逆トーンマップが生成される。
【0104】
本実施例では、
図11に示す3つのルックアップテーブルLUT1〜LUT3が予め用意されている場合の例を説明する。
図11には、HDRファイル101に含まれている逆トーンマップLUT0も図示されている。
本実施例では、LUT0〜3を用いて、変換逆トーンマップLUT4が生成される。
なお、予め用意されるルックアップテーブルの数は3つより多くてもよい。
【0105】
輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、LUT0と同じLUT4が生成される。そのため、輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、HDR画像データと同じ表示用画像データが生成される。
LUT0と同じLUT4を用いた場合には、ベース画像データの階調値BI=0.001は、表示用画像データの階調値PI=0.0001に変換される。階調値BI=1.0は、階調値PI=5.0に変換される。そして、階調値BIの増加に伴って階調値PIが線形に増加するように、階調値BIが階調値PIに変換される。階調値BI=0.001
は、ベース画像データの取り得る階調値の最小値であり、階調値BI=1.0は、ベース画像データの取り得る階調値の最大値である。階調値PI=0.0001は、HDR画像データの取り得る階調値の最小値であり、階調値PI=5.0は、HDR画像データの取り得る階調値の最大値である。
以後、ベース画像データの取り得る階調値の最小値を“ベース最小値”と記載し、ベース画像データの取り得る階調値の最大値を“ベース最大値”と記載する。また、HDR画像データの取り得る階調値の最小値を“HDR最小値”と記載し、HDR画像データの取り得る階調値の最大値を“HDR最大値”と記載する。
【0106】
輝度レンジ値YRが100である場合には、LUT1と同じLUT4が生成される。
LUT1と同じLUT4を用いた場合には、階調値BI=1.0に対応する階調値PIとして、HDR最大値(階調値HI=5.0)よりも大きい階調値PIが得られる。具体的には、ベース最大値よりも小さい所定の階調値まで階調値BIが増加したときに階調値PIが上限値に達するように、階調値BIの増加に伴って階調値PIが増加する。より具体的には、0.001≦階調値BI≦0.5の階調範囲では、階調値BIの増加に伴って階調値PIが0.001から10(上限値)まで線形に増加するように、階調値BIが階調値PIに変換される。そして、0.5≦階調値BIの階調範囲では、階調値BIが階調値PI=10(上限値)に変換される。
【0107】
輝度レンジ値YRが第2の値(25)である場合には、LUT2と同じLUT4が生成される。
LUT2と同じLUT4を用いた場合には、階調値BI=0.001は、階調値PI=0.0001に変換される。階調値BI=1.0は、階調値PI=1.0に変換される。即ち、階調値BI=1.0に対応する階調値PIとして、ベース最大値と等しい階調値PIが得られる。そして、階調値BIの増加に伴って階調値PIが線形に増加するように、階調値BIが階調値PIに変換される。
【0108】
輝度レンジ値YRが0である場合には、LUT3と同じLUT4が生成される。
LUT3と同じLUT4を用いた場合には、階調値BI=0.001は、階調値PI=0.0001に変換される。階調値BI=1.0は、階調値PI=0.1に変換される。即ち、階調値BI=1.0に対応する階調値PIとして、ベース最大値よりも小さい階調値PIが得られる。そして、階調値BIの増加に伴って階調値PIが線形に増加するように、階調値BIが階調値PIに変換される。
【0109】
HDR最小値は、表示用画像データの階調値の下限値である可能性が高い。そして、表示用画像データの階調値の上限値と下限値、及び、画像処理装置に入力される画像データ(ベース画像データ)のダイナミックレンジは、予め把握することができる。そのため、それらの情報を用いることにより、LUT1〜LUT3を予め生成することができる。
なお、複数のルックアップテーブル(ベース画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表すルックアップテーブル)は予め用意されていなくてもよい。例えば、逆トーンマップLUT0から、ベース画像データのダイナミックレンジと、HDR画像データのダイナミックレンジと、が把握されてもよい。そして、ベース画像データのダイナミックレンジ、HDR画像データのダイナミックレンジ、及び、表示用画像データの階調値の上限値と下限値、に基づいて、複数のルックアップテーブルが生成されてもよい。それにより、HDR画像データのダイナミックレンジやベース画像データのダイナミックレンジが変化する場合において、より好ましい複数のルックアップテーブルを生成することが可能となる。
【0110】
図12を用いて、輝度差分データ変換部301の処理の流れの一例について説明する。
図12は、輝度差分データ変換部301の処理の流れの一例を示すフローチャートである
。
【0111】
まず、輝度差分データ変換部301が、第1の値(75)<輝度レンジ値YR≦100であるか否かを判断する(S3011)。即ち、輝度レンジ値YRが区間3の値であるか否かが判断される。輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、S3012に処理が進められ、輝度レンジ値YRが区間3の値でない場合には、S3014に処理が進められる。
【0112】
S3012では、輝度差分データ変換部301が、LUT0とLUT1を選択する。そして、S3013に処理が進められる。
S3013では、輝度差分データ変換部301が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT0とLUT1を合成することにより、LUT4を生成する。具体的には、以下の式4を用いてLUT4が生成される。
LUT4=
((YR−75)/25)×LUT1+((100−YR)/25)×LUT0
・・・(式4)
【0113】
S3014では、輝度差分データ変換部301が、第2の値(25)≦輝度レンジ値YR≦第1の値(75)であるか否かを判断する。即ち、輝度レンジ値YRが区間2の値であるか否かが判断される。輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、S3015に処理が進められ、輝度レンジ値YRが区間2の値でない場合には、S3017に処理が進められる。
【0114】
S3015では、輝度差分データ変換部301が、LUT0とLUT2を選択する。そして、S3016に処理が進められる。
S3016では、輝度差分データ変換部301が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT0とLUT2を合成することにより、LUT4を生成する。具体的には、以下の式5を用いてLUT4が生成される。
LUT4=
((YR−25)/50)×LUT0+((75−YR)/50)×LUT2
・・・(式5)
【0115】
S3017では、輝度差分データ変換部301が、0≦輝度レンジ値YR<第2の値(25)であると判断し、LUT2とLUT3を選択する。即ち、S3017では、輝度レンジ値YRが区間1の値であると判断され、LUT2とLUT3が選択される。そして、S3018に処理が進められる。
S3018では、輝度差分データ変換部301が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT2とLUT3を合成することにより、LUT4を生成する。具体的には、以下の式6を用いてLUT4が生成される。
LUT4=
(YR/25)×LUT2+((25−YR)/25)×LUT3
・・・(式6)
【0116】
画像変換部302では、以下の式7を用いて、ベース画像データの階調値BIが表示用画像データの階調値PIに変換される。式7において、LUT4(x)のxは、LUT4の入力階調値である。
PI=LUT4(BI) ・・・(式7)
【0117】
このように、本実施例では、予め用意された複数のLUTと、HDRファイル101に含まれているLUT(逆トーンマップ)と、の中から2つのLUT(第1LUTと第2L
UT)が選択される。そして、輝度レンジ値YRに応じた重みで第1LUTと第2LUTを合成することにより、LUT4(変換逆トーンマップ)が生成される。
【0118】
それにより、LUT4として、第1LUT、第2LUT、または、中間LUTを生成することができる。中間LUTは、第1LUTの変換特性(階調値BIの変化に対する階調値PIの変化を表す特性)と、第2LUTの変換特性と、の間の変換特性を有するLUTである。
【0119】
輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、以下の条件11,12を満たす変換逆トーンマップが生成される。
条件11:ベース最大値に対応する表示用画像データの階調値がHDR画像データの取り得る階調値の最大値よりも小さい。
条件12:輝度レンジ値YRが小さいほどベース最大値に対応する表示用画像データの階調値が小さい。
【0120】
輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRが小さいほどベース最大値に対応する表示用画像データの階調値がベース最大値に近い逆トーンマップが生成される。なお、輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、HDRファイル101に含まれている逆トーンマップと同じ変換逆トーンマップが生成される。
【0121】
輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、以下の条件13,14を満たす変換逆トーンマップが生成される。
条件13:ベース最大値に対応する表示用画像データの階調値がHDR最大値以上である。
条件14:輝度レンジ値YRが大きいほどベース最大値に対応する表示用画像データの階調値が大きい。
【0122】
図13(a)〜13(g)を用いて、本実施例に係る表示用画像データとそのダイナミックレンジについてより詳細に説明する。
図13(a)〜13(g)は、本実施例に係る画像データとそのダイナミックレンジ(輝度レンジ)の一例を示す図である。
図13(a)〜13(g)において、画像データ(画像データが表す画像)に記載されている数字は、その数字が記載されている領域の階調値である。
図13(a)〜13(g)は、
図11に示すLUTを使用した場合の例を示す。
【0123】
図13(a)は、HDR画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(b)は、ベース画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(c)は、輝度レンジ値YR=100のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(d)は、輝度レンジ値YR=75のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(e)は、輝度レンジ値YR=50のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(f)は、輝度レンジ値YR=25のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図13(g)は、輝度レンジ値YR=0のときの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
【0124】
図13(a)〜13(g)から、表示用画像データの階調値の上限値が10であり、表示用画像データの階調値の下限値が0.0001であることがわかる。
図13(a)から、HDR画像データが、最小階調値=0.0005且つ最大階調値=5.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。
図13(b)から、ベース画像データが、最小階調値=0.001且つ最大階調値=1.0のダイナミックレンジを有していることがわかる。
【0125】
輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図13(f)に示すダイナミックレンジから
図13(g)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値が、100%白の階調値から連続的に低下する。そして、輝度レンジ値YRに拘らず、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値として、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と同じ値が設定される。その結果、輝度レンジ値YRの低下に伴い表示用画像データの輝度が連続的に低下する。
【0126】
輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図13(d)に示すダイナミックレンジから
図13(f)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。
図13(d)に示すダイナミックレンジはHDR画像データのダイナミックレンジと等しい。そして、
図13(f)に示すダイナミックレンジの最大階調値はベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値と等しく、
図13(f)に示すダイナミックレンジの最小階調値はHDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と等しい。
図13(e)に示すように、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75よりも小さい場合には、HDR画像データのダイナミックレンジよりも狭く且つベース画像データのダイナミックレンジよりも広いダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。具体的には、輝度レンジ値YRが25よりも大きく75よりも小さい場合には、以下の条件15,16を満たすダイナミックレンジを有する表示用画像データが生成される。
条件15:最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも小さく、且つ、ベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値よりも大きい。
条件16:最小階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と等しい。
【0127】
換言すれば、輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、輝度レンジ値YRの低下に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値から100%白の階調値に連続的に低下する。そして、そして、輝度レンジ値YRに拘らず、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値として、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と同じ値が設定される。
それにより、輝度レンジ値YRが連続的に変化した場合に、HDR画像データと同じ階調値から、ベース画像データに非常に近い階調値まで、表示用画像データの高階調領域の階調値を連続的に変更することができる。表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値と同じ階調値を有する画素については、HDR画像データと同じ階調値から、ベース画像データと同じ階調値まで、表示用画像データの階調値を連続的に変更することができる。
さらに、輝度レンジ値YRの低下に伴う低階調領域の階調値の増加を抑制することができる。
【0128】
輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、輝度レンジ値YRの増加に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジが、
図13(d)に示すダイナミックレンジから
図13(c)に示すダイナミックレンジへ連続的に変化する。具体的には、輝度レンジ値YRの増加に伴い、表示用画像データのダイナミックレンジの最大階調値が、HDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値から連続的に増加する。そして、輝度レンジ値YR
に拘らず、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値として、HDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値と同じ値が設定される。その結果、輝度レンジ値YRの増加に伴い表示用画像データの輝度が連続的に増加する。
【0129】
以上述べたように、本実施例によれば、輝度レンジ値YRに応じて輝度差分データが補正輝度差分データに補正される。そして、補正輝度差分データを用いてベース画像データが表示用画像データに変換される。それにより、表示用画像データのダイナミックレンジを好適に調整することができる。
【0130】
なお、逆トーンマップと複数のルックアップテーブルは、
図11に示すLUT0〜4に限らない。実施例1で述べた条件1,2が満たされれば、どのような変換特性を有するルックアップテーブル(逆トーンマップを含む)が使用されてもよい。逆トーンマップと複数のルックアップテーブルが示す階調値BIと階調値PIの対応関係は、階調値BIの増加に伴って階調値PIが非線形に増加する対応関係であってもよい。
なお、輝度差分データの補正方法は、上述した方法に限らない。例えば、複数のLUTを用いずに、輝度差分データを輝度レンジ値YRに応じた補正値で補正することにより、補正輝度差分データが生成されてもよい。
なお、輝度差分データは、逆トーンマップに限らない。例えば、輝度差分データは輝度比率データであってもよい。
【0131】
<実施例4>
以下、本発明の実施例4に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
実施例3では、ベース画像データと輝度差分データを用いて表示用画像データを生成する例を説明した。
本実施例では、HDR画像データと輝度差分データを用いて表示用画像データを生成する例を説明する。
【0132】
図14は、本実施例に係る画像処理装置400の機能構成の一例を示すブロック図である。
図14に示すように、画像処理装置400は、デコード処理部102、表示部106、第1輝度差分データ変換部401、第2輝度差分データ変換部402、画像変換部403、等を有する。
なお、
図14において、実施例1(
図1)と同じ機能部及びデータには実施例1と同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0133】
画像処理装置
400には、実施例1と同様に、HDRファイル101と輝度レンジ値YRが入力される。
本実施例では、実施例1と同様に、HDRファイル101に含まれている輝度差分データ(第1輝度差分データ)が逆トーンマップである場合の例を説明する。
【0134】
第1輝度差分データ変換部401は、第1輝度差分データの入力階調値と出力階調値を
入れ替えることにより、第2輝度差分データを生成する。そして、第1輝度差分データ変換部401は、第2輝度差分データを出力する。本実施例では、逆トーンマップがトーンマップに変換される。
なお、画像処理装置
400には、HDRファイル101ではなく、HDR画像データと第2輝度差分データとを含むデータファイルが入力されてもよい。その場合には、デコード処理部102と第1輝度差分データ変換部401は不要となる。
【0135】
第2輝度差分データ変換部402と画像変換部403により、HDR画像データ、第2輝度差分データ、及び、輝度レンジ値YRに基づいて、表示用画像データが生成される。
第2輝度差分データ変換部402は、輝度レンジ値YRに基づいて第2輝度差分データが表すベース画像データの階調値を補正することにより、HDR画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表す補正輝度差分データを生成する。換言すれば、第2輝度差分データ変換部402は、輝度レンジ値YRに基づいて第2輝度差分データを補正輝度差分データ(変換輝度差分データ)に変換する。そして、第2輝度差分データ変換部
402は、変換輝度差分データ(変換トーンマップ)を出力する。
画像変換部403は、第2輝度差分データ変換部402から出力された変換トーンマップを用いてHDR画像データの階調値を表示用画像データの階調値に変換することにより、表示用画像データを生成する。換言すれば、画像変換部403は、変換トーンマップを用いてHDR画像データを表示用画像データに変換する。そして、画像変換部403は、表示用画像データを出力する。
【0136】
第2輝度差分データ変換部402の処理についてより詳細に説明する。
本実施例では、不図示の記憶部に、複数のルックアップテーブル(HDR画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表すルックアップテーブル)が予め記録されている。
そして、予め用意された複数のルックアップテーブルと、第1輝度差分データ変換部402で生成されたトーンマップと、を用いて、変換トーンマップが生成される。
【0137】
本実施例では、
図15に示す3つのルックアップテーブルLUT6〜LUT8が予め用意されている場合の例を説明する。
図15には、第1輝度差分データ変換部402で生成されたトーンマップLUT5も図示されている。
本実施例では、LUT5〜8を用いて、変換トーンマップLUT9が生成される。
なお、予め用意されるルックアップテーブルの数は3つより多くてもよい。
【0138】
輝度レンジ値YRが第2の値(25)である場合には、LUT5と同じLUT9が生成される。そのため、輝度レンジ値YRが第2の値(25)である場合には、ベース画像データと同じ表示用画像データが生成される。
LUT5と同じLUT9を用いた場合には、HDR画像データの階調値HI=0.0001は、表示用画像データの階調値PI=0.001に変換される。階調値HI=10は、階調値PI=1.0に変換される。そして、階調値HIの増加に伴って階調値PIが線形に増加するように、階調値HIが階調値PIに変換される。階調値HI=0.0001は、HDR最小値であり、階調値HI=10は、HDR最大値であり、表示用画像データの階調値の上限値である。階調値PI=0.001は、ベース最小値であり、階調値PI=1.0は、ベース最大値である。
【0139】
輝度レンジ値YRが100である場合には、LUT6と同じLUT9が生成される。
LUT6と同じLUT9を用いた場合には、HDR最大値よりも小さい所定の階調値まで階調値HIが増加したときに階調値PIが上限値に達するように、階調値HIの増加に伴って階調値PIが増加する。具体的には、0.0001≦階調値HI≦1.0の階調範囲では、階調値HIの増加に伴って階調値PIが0.0001から10(上限値)まで線形に増加するように、階調値HIが階調値PIに変換される。そして、1.0≦階調値HIの階調範囲では、階調値HIが階調値PI=10(上限値)に変換される。
【0140】
輝度レンジ値YRが第1の値(75)である場合には、LUT7と同じLUT9が生成される。
LUT7と同じLUT9を用いた場合には、階調値HI=0.0001は、階調値PI=0.0001に変換される。階調値HI=10は、階調値PI=10に変換される。そして、階調値HIの増加に伴って階調値HIが線形に増加するように、階調値HIが階調値PIに変換される。即ち、LUT7と同じLUT9を用いた場合には、階調値HIは変
換されず、階調値PIとして階調値HIと同じ値が得られる。そのため、LUT7と同じLUT9を用いた場合には、HDR画像データと同じ表示用画像データが生成される。
【0141】
輝度レンジ値YRが0である場合には、LUT8と同じLUT9が生成される。
LUT8と同じLUT9を用いた場合には、階調値HI=0.0001は、階調値PI=0.0001に変換される。階調値HI=10は、階調値PI=0.1に変換される。即ち、階調値HI=10に対応する階調値PIとして、ベース最大値よりも小さい階調値PIが得られる。そして、階調値HIの増加に伴って階調値PIが線形に増加するように、階調値HIが階調値PIに変換される。
【0142】
HDR最小値は、表示用画像データの階調値の下限値である可能性が高く、HDR最大値は、表示用画像データの階調値の上限値である可能性が高い。ベース最大値は、所定値(1.0)である可能性が高い。そして、表示用画像データの階調値の上限値と下限値は、予め把握することができる。そのため、それらの情報を用いることにより、LUT6〜LUT8を予め生成することができる。
なお、複数のルックアップテーブル(HDR画像データの階調値と表示用画像データの階調値との対応関係を表すルックアップテーブル)は予め用意されていなくてもよい。例えば、トーンマップLUT5から、ベース画像データのダイナミックレンジと、HDR画像データのダイナミックレンジと、が把握されてもよい。そして、ベース画像データのダイナミックレンジ、HDR画像データのダイナミックレンジ、及び、表示用画像データの階調値の上限値と下限値、に基づいて、複数のルックアップテーブルが生成されてもよい。それにより、HDR画像データのダイナミックレンジやベース画像データのダイナミックレンジが変化する場合において、より好ましい複数のルックアップテーブルを生成することが可能となる。
【0143】
図16を用いて、第2輝度差分データ変換部402の処理の流れの一例について説明する。
図16は、第2輝度差分データ変換部402の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0144】
まず、第2輝度差分データ変換部402が、第1の値(75)<輝度レンジ値YR≦100であるか否かを判断する(S4021)。即ち、輝度レンジ値YRが区間3の値であるか否かが判断される。輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、S4022に処理が進められ、輝度レンジ値YRが区間3の値でない場合には、S4024に処理が進められる。
【0145】
S4022では、第2輝度差分データ変換部402が、LUT6とLUT7を選択する。そして、S4023に処理が進められる。
S4023では、第2輝度差分データ変換部402が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT6とLUT7を合成することにより、LUT9を生成する。具体的には、以下の式8を用いてLUT9が生成される。
LUT9=
((YR−75)/25)×LUT6+((100−YR)/25)×LUT7
・・・(式8)
【0146】
S4024では、第2輝度差分データ変換部402が、第2の値(25)≦輝度レンジ値YR≦第1の値(75)であるか否かを判断する。即ち、輝度レンジ値YRが区間2の値であるか否かが判断される。輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、S4025に処理が進められ、輝度レンジ値YRが区間2の値でない場合には、S4027に処理が進められる。
【0147】
S4025では、第2輝度差分データ変換部402が、LUT5とLUT7を選択する。そして、S4026に処理が進められる。
S4026では、第2輝度差分データ変換部402が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT5とLUT7を合成することにより、LUT9を生成する。具体的には、以下の式9を用いてLUT9が生成される。
LUT9=
((YR−25)/50)×LUT7+((75−YR)/50)×LUT5
・・・(式9)
【0148】
S4027では、第2輝度差分データ変換部402が、0≦輝度レンジ値YR<第2の値(25)であると判断し、LUT5とLUT8を選択する。即ち、S4027では、輝度レンジ値YRが区間1の値であると判断され、LUT5とLUT8が選択される。そして、S4028に処理が進められる。
S4028では、第2輝度差分データ変換部402が、輝度レンジ値YRに応じた重みでLUT5とLUT8を合成することにより、LUT9を生成する。具体的には、以下の式10を用いてLUT9が生成される。
LUT9=
(YR/25)×LUT5+((25−YR)/25)×LUT8
・・・(式10)
【0149】
画像変換部302では、以下の式11を用いて、HDR画像データの階調値HIが表示用画像データの階調値PIに変換される。式11において、LUT9(x)のxは、LUT9の入力階調値である。
PI=LUT9(HI) ・・・(式11)
【0150】
このように、本実施例では、予め用意された複数のLUTと、第1輝度差分データ変換部402で生成されたLUT(トーンマップ)と、の中から2つのLUT(第1LUTと第2LUT)が選択される。そして、輝度レンジ値YRに応じた重みで第1LUTと第2LUTを合成することにより、LUT9(変換トーンマップ)が生成される。
それにより、LUT9として、第1LUT、第2LUT、または、中間LUTを生成することができる。
【0151】
輝度レンジ値YRが区間1の値である場合には、以下の条件17,18を満たす変換トーンマップが生成される。
条件17:HDR最大値に対応する表示用画像データの階調値がベース最大値よりも小さい。
条件18:輝度レンジ値YRが小さいほどHDR最大値に対応する表示用画像データの階調値が小さい。
【0152】
輝度レンジ値YRが区間2の値である場合には、以下の条件19,20を満たす変換トーンマップが生成される。なお、輝度レンジ値YRが第2の値(25)である場合には、第1輝度差分データ変換部402で生成されたトーンマップと同じ変換トーンマップが生成される。
条件19:輝度レンジ値YRが大きいほどHDR最大値に対応する表示用画像データの階調値がHDR最大値に近い。
条件20:輝度レンジ値YRが大きいほどHDR最小値に対応する表示用画像データの階調値がHDR最小値に近い。
【0153】
輝度レンジ値YRが区間3の値である場合には、以下の条件21,22を満たす変換逆トーンマップが生成される。
条件21:HDR最大値に対応する表示用画像データの階調値がHDR最大値以上である。
条件22:輝度レンジ値YRが大きいほどHDR最大値に対応する表示用画像データの階調値が大きい。
【0154】
以上述べたように、本実施例によれば、輝度レンジ値YRに応じて輝度差分データ(第2輝度差分データ)が補正輝度差分データに補正される。そして、補正輝度差分データを用いてHDR画像データが表示用画像データに変換される。それにより、表示用画像データのダイナミックレンジを好適に調整することができる。
【0155】
なお、トーンマップと複数のルックアップテーブルは、
図15に示すLUT5〜8に限らない。実施例1で述べた条件1,2が満たされれば、どのような変換特性を有するルックアップテーブル(トーンマップを含む)が使用されてもよい。トーンマップと複数のルックアップテーブルが示す階調値HIと階調値PIの対応関係は、階調値HIの増加に伴って階調値PIが非線形に増加する対応関係であってもよい。
なお、第2輝度差分データの補正方法は、上述した方法に限らない。例えば、複数のLUTを用いずに、第2輝度差分データを輝度レンジ値YRに応じた補正値で補正することにより、補正輝度差分データが生成されてもよい。
なお、輝度差分データは、逆トーンマップやトーンマップに限らない。例えば、輝度差分データは輝度比率データであってもよい。
【0156】
<実施例5>
以下、本発明の実施例5に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
実施例1〜4では、ユーザ操作に応じて輝度レンジ値YRが決定される例を説明した。
本実施例では、HDR画像データの明るさに応じて輝度レンジ値YRを決定する例を説明する。
【0157】
図17は、本実施例に係る画像処理装置500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図17に示すように、画像処理装置500は、デコード処理部102、ブレンド部104、表示部106、オーバーホワイト検出部501、シーンチェンジ検出部502、ブレンド率決定部503、等を有する。
なお、
図17において、実施例1(
図1)と同じ機能部及びデータには実施例1と同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0158】
画像処理装置500には、HDRファイル101が入力される。
本実施例では、動画像データを処理する例を説明する。具体的には、動画像データのフレーム毎にベース画像データと輝度差分データが取得される例を説明する
。また、本実施例では、実施例1と同様に、HDRファイル101に含まれている輝度差分データが逆トーンマップである場合の例を説明する。
なお、輝度差分データは、動画像データのシーン毎に取得されてもよい。
なお、画像処理装置500には、HDRファイル101ではなく、HDR画像データと輝度差分データとを含むデータファイルが入力されてもよい。その場合には、デコード処理部102は不要となる。
【0159】
オーバーホワイト検出部501は、フレーム毎に、デコード処理部102から出力されたHDR画像データの明るさに応じて、輝度レンジ値YRを決定する。そして、オーバーホワイト検出部501は、輝度レンジ値YRを出力する。
【0160】
非常に明るい表示画像の急な表示は、ユーザの目に大きく且つ急な刺激を与えるため、
好ましくない。
そこで、本実施例では、オーバーホワイト検出部501は、HDR画像データが明るいほど小さい輝度レンジ値を取得する。具体的には、オーバーホワイト検出部501は、HDR画像データの明るさが“非常に眩しい”、“眩しい”、“明るい”、及び、“ベース画像データよりも明るい”のいずれであるかを判断する。そして、オーバーホワイト検出部501は、HDR画像データの明るさの判断結果に応じて、輝度レンジ値YRとして0、1、2、及び、3のいずれかを取得する。“非常に眩しい”は“眩しい”よりも明るいことを意味し、“眩しい”は“明るい”よりも明るいことを意味し、“明るい”は“ベース画像データよりも明るい”よりも明るいことを意味する。判断結果が“非常に眩しい”である場合にはYR=0が取得され、判断結果が“眩しい”である場合にはYR=1が取得される。そして、判断結果が“明るい”である場合にはYR=2が取得され、判断結果が“ベース画像データよりも明るい”である場合にはYR=3が取得される。
なお、明るさの指標の数及び輝度レンジ値YRの取り得る値の数は、4つより多くても少なくてもよい。
【0161】
シーンチェンジ検出部502は、ベース画像データに基づいて、ベース画像データのシーンの切り替わりを検出する。具体的には、シーンチェンジ検出部502は、フレーム毎に、そのフレームのベース画像データを不図示の記憶部に記録する。そして、シーンチェンジ検出部502は、フレーム毎に、記憶部に記録されている前フレームのベース画像データと、現フレームのベース画像データと、の差分に基づいて、前フレームから現フレームにかけてシーンの切り替わりが生じたか否かを判断する。現フレームは、現在のフレームであり、前フレームは、現フレームの1つ前のフレームである。そして、シーンチェンジ検出部502は、シーンの切り替わりが検出された場合に、シーンチェンジ検出信号SC=1を出力し、シーンの切り替わりが検出されなかった場合に、シーンチェンジ検出信号SC=0を出力する。
【0162】
なお、シーンの切り替わりの検出方法は、上記方法に限らない。例えば、ベース画像データではなく、HDR画像データに基づいて、ベース画像データのシーンの切り替わりが検出されてもよい。また、シーン毎に輝度差分データが取得される場合には、輝度差分データが取得されたタイミングで、シーンの切り替わりが生じたと判断されてもよい。HDRファイル101にシーンの切り替わりを示すメタデータが含まれている場合には、当該メタデータを用いてシーンの切り替わりが検出されてもよい。
【0163】
ブレンド率決定部503は、輝度レンジ値YRとシーンチェンジ検出信号SCに基づいて、ブレンド率Blendを決定する。そして、ブレンド率決定部503は、ブレンド率Blendを出力する。
【0164】
図18を用いて、オーバーホワイト検出部501の処理の流れの一例について説明する。
図18は、オーバーホワイト検出部501の処理の流れの一例を示すフローチャートである。オーバーホワイト検出部501は、
図18のフローチャートをフレーム毎に繰り返し実行する。
【0165】
まず、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの画素のうち、オーバーホワイト領域の画素の平均階調値(階調値の平均値)OWaveを算出する(S5011)。オーバーホワイト領域の画素は、階調値HIが1.0よりも大きい画素である。
次に、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの画素のうち、オーバーホワイト領域の画素の最大階調値(階調値の最大値)OWmaxを検出する(S5012)。
【0166】
そして、オーバーホワイト検出部501が、平均階調値OWaveが閾値A以上か否か
を判断する(S5013)。平均階調値OWaveが閾値A以上である場合には、S5014に処理が進められ、平均階調値OWaveが閾値A未満である場合には、S5019に処理が進められる。本実施例では、閾値Aとして2が使用される。
なお、閾値Aは、メーカー等によって予め定められた値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0167】
S5014では、オーバーホワイト検出部501が、最大階調値OWmaxが閾値B1以上であるか否かを判断する。最大階調値OWmaxが閾値B1以上である場合には、S5015に処理が進められ、最大階調値OWmaxが閾値B1未満である場合には、S5016に処理が進められる。本実施例では、閾値B1として5が使用される。
なお、閾値B1は、メーカー等によって予め定められた値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0168】
S5016では、オーバーホワイト検出部501が、最大階調値OWmaxが閾値B2以上であるか否かを判断する。最大階調値OWmaxが閾値B2以上である場合には、S5017に処理が進められ、最大階調値OWmaxが閾値B2未満である場合には、S5018に処理が進められる。本実施例では、閾値B2として3が使用される。
なお、閾値B2は、メーカー等によって予め定められた値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0169】
S5015では、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの明るさが“非常に眩しい”であると判断し、輝度レンジ値YR=0を出力する。
S5017では、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの明るさが“眩しい”であると判断し、輝度レンジ値YR=1を出力する。
S5018では、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの明るさが“明るい”であると判断し、輝度レンジ値YR=2を出力する。
S5019では、オーバーホワイト検出部501が、HDR画像データの明るさが“ベース画像データよりも明るい”であると判断し、輝度レンジ値YR=3を出力する。
【0170】
なお、輝度レンジ値YRの決定方法は、上記方法に限らない。
例えば、平均階調値OWaveと最大階調値OWmaxの一方のみを用いて輝度レンジ値YRが決定されてもよい。平均階調値OWaveが閾値A1以下の場合に輝度レンジ値YR=3が取得され、平均階調値OWaveが閾値A1よりも大きく且つ閾値A2以下の場合に輝度レンジ値YR=2が取得されてもよい。そして、平均階調値OWaveが閾値A2よりも大きく且つ閾値A3以下の場合に輝度レンジ値YR=1が取得され、平均階調値OWaveが閾値A3よりも大きい場合に輝度レンジ値YR=0が取得されてもよい。
また、HDR画像データが有するオーバーホワイト領域の画素の総数に基づいて輝度レンジ値YRが決定されてもよい。具体的には、オーバーホワイト領域の画素の総数が多いほど小さい輝度レンジ値YRが取得されてもよい。
【0171】
図19を用いて、ブレンド率決定部503の処理の流れの一例について説明する。
図19は、ブレンド率決定部503の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0172】
まず、ブレンド率決定部503が、シーンチェンジ検出部502から出力されたシーンチェンジ検出信号SCが1であるか否かを判断する(S5031)。シーンチェンジ検出信号SC=1である場合には、S5032に処理が進められ、シーンチェンジ検出信号SC=0である場合には、S5040に処理が進められる。
【0173】
S5032では、ブレンド率決定部503が、オーバーホワイト検出部501から出力された輝度レンジ値YRが0であるか否かを判断する。輝度レンジ値YR=0である場合
には、S5033に処理が進められ、輝度レンジ値YR=0でない場合には、S5034に処理が進められる。
S5034では、ブレンド率決定部503が、輝度レンジ値YRが1であるか否かを判断する。輝度レンジ値YR=1である場合には、S5035に処理が進められ、輝度レンジ値YR=1でない場合には、S5036に処理が進められる。
S5036では、ブレンド率決定部503が、輝度レンジ値YRが2であるか否かを判断する。輝度レンジ値YR=2である場合には、S5037に処理が進められ、輝度レンジ値YR=3である場合には、S5038に処理が進められる。
【0174】
S5033では、ブレンド率決定部503が、ブレンド率Blend=0%を出力する。それにより、シーンの切り替わり直後の表示用画像データ(=合成画像データ)として、ベース画像データと同じ画像データが生成される。その後、S5039に処理が進められる。
S5035では、ブレンド率決定部503が、ブレンド率Blend=30%を出力する。それにより、シーンの切り替わり直後の表示用画像データとして、ベース画像データ:HDR画像データ=30%:70%の重みでベース画像データとHDR画像データを重みづけ合成した画像データが生成される。その後、S5039に処理が進められる。
S5037では、ブレンド率決定部503が、ブレンド率Blend=60%を出力する。それにより、シーンの切り替わり直後の表示用画像データとして、ベース画像データ:HDR画像データ=60%:40%の重みでベース画像データとHDR画像データを重みづけ合成した画像データが生成される。その後、S5039に処理が進められる。
S5038では、ブレンド率決定部503が、ブレンド率Blend=100%を出力する。それにより、シーンの切り替わり直後の表示用画像データ(=合成画像データ)として、HDR画像データと同じ画像データが生成される。その後、S5039に処理が進められる。
【0175】
S5039では、ブレンド率決定部503が、切り替わり後のシーンのフレーム数のカウント値Cntを0にリセットする。その後、処理対象のフレームが次のフレームに切り替えられ、S5031に処理が戻される。
【0176】
S5040では、ブレンド率決定部503が、カウント値Cntが閾値C以下か否かを判断する。カウント値Cntが閾値C以下である場合には、S5041に処理が進められ、カウント値Cntが閾値Cよりも大きい場合には、処理対象のフレームが次のフレームに切り替えられ、S5031に処理が戻される。本実施例では、閾値Cとして50が使用される。
なお、閾値Cは、メーカー等によって予め定められた値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0177】
S5041では、ブレンド率決定部503が、前フレームのブレンド率Blendに加算値Dを加算することにより、現フレームのブレンド率Blendを算出する。本実施例では、加算値Dとして2%が使用される。
なお、加算値Dは、メーカー等によって予め定められた値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
なお、現フレームのブレンド率Blendの決定方法は上記方法に限らない。例えば、前フレームのブレンド率Blendに係数(>1)を乗算することにより、現フレームのブレンド率Blendが算出されてもよい。
【0178】
次に、ブレンド率決定部503が、S5041で算出されたブレンド率Blendが上限値(100%)より大きい場合に、ブレンド率Blendを100%に制限するリミット処理を行う(S5042)。そして、ブレンド率決定部503が、ブレンド率Blen
dを出力する。S5041で算出されたブレンド率Blendが上限値(100%)以下である場合には、S5041で算出されたブレンド率Blendが出力される。S5041で算出されたブレンド率Blendが上限値(100%)より大きい場合には、ブレンド率Blend=100%が出力される。
【0179】
そして、ブレンド率決定部503が、カウント値Cntを1だけインクリメントする(S5043)。その後、処理対象のフレームが次のフレームに切り替えられ、S5031に処理が戻される。
【0180】
本実施例では、シーンの切り替わり後にS5040〜S5043の処理が繰り返し行われる。それにより、輝度レンジ値YRに基づく表示用画像データからHDR画像データと同じ表示用画像データへ表示用画像データが徐々に変化するように、シーンの切り替わり後の各フレームの表示用画像データが生成される。
【0181】
図20(a)〜20(e)を用いて、本実施例に係る表示用画像データとそのダイナミックレンジについてより詳細に説明する。
図20(a)〜20(e)は、本実施例に係る画像データとそのダイナミックレンジ(輝度レンジ)の一例を示す図である。
図20(a)〜20(e)において、画像データ(画像データが表す画像)に記載されている数字は、その数字が記載されている領域の階調値である。
【0182】
図20(a)は、HDR画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図20(b)は、ベース画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図20(c)は、シーンの切り替わり直後のフレーム(シーンチェンジフレーム)の表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図20(d)は、シーンチェンジフレームから25フレーム後のフレームの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
図20(e)は、シーンチェンジフレームから50フレーム後のフレームの表示用画像データとそのダイナミックレンジを示す。
【0183】
図20(a)のHDR画像データを使用した場合、
図18のS5011において平均階調値OWave=5が算出され、
図18のS5012において最大階調値OWmax=5が算出される。その結果、HDR画像データの明るさが“非常に眩しい”であると判断され、輝度レンジ値YR=0が設定される。
シーンの切り替わり直後のHDR画像データとして
図20(a)のHDR画像データが取得された場合、
図19のS5033においてブレンド率Blend=0%が設定される。その結果、
図20(c)に示すように、シーンの切り替わり直後の表示用画像データとして、ベース画像データと同じ画像データが生成される。
【0184】
その後、S5040〜S5043の処理が繰り返し行われることにより、ブレンド率Blendが徐々に増加する。その結果、
図20(c)〜20(e)に示すように、表示用画像データのダイナミックレンジがHDR画像データのダイナミックレンジまで徐々に拡大される。
例えば、シーンチェンジフレームから25フレーム後のフレームでは、ブレンド率Blend=50%を使用して表示用画像データが生成される。それにより、ベース画像データ:HDR画像データ=50%:50%の重みでベース画像データとHDR画像データを重みづけ合成した表示用画像データが生成される。その結果、
図20(c)に示すように、表示用画像データのダイナミックレンジの最小階調値として、ベース画像データのダイナミックレンジの最小階調値にHDR画像データのダイナミックレンジの最小階調値を加算した値の1/2の値が設定される。そして、
図20(c)に示すように、表示用画像デ
ータのダイナミックレンジの最大階調値として、ベース画像データのダイナミックレンジの最大階調値にHDR画像データのダイナミックレンジの最大階調値を加算した値の1/2の値が設定される。
また、シーンチェンジフレームから50フレーム後のフレームでは、ブレンド率Blend=100%を使用して表示用画像データが生成される。それにより、
図20(e)に示すように、表示用画像データとして、HDR画像データと同じ画像データが生成される。
【0185】
図20(c)〜20(e)の例では、輝度レンジ値YR=0が設定されるため、50フレームかけて表示用画像データのダイナミックレンジがHDR画像データのダイナミックレンジまで徐々に拡大される。
輝度レンジ値YR=1の場合には、35フレームかけて表示用画像データのダイナミックレンジがHDR画像データのダイナミックレンジまで徐々に拡大される。
輝度レンジ値YR=2の場合には、20フレームかけて表示用画像データのダイナミックレンジがHDR画像データのダイナミックレンジまで徐々に拡大される。
輝度レンジ値YR=3の場合には、シーンの切り替わり直後のフレームの表示用画像データとして、HDR画像データと同じ画像データが生成される。
【0186】
以上述べたように、本実施例によれば、シーンの切り替わり直後に、HDR画像データが明るいほど小さい輝度レンジ値YRに基づいて表示用画像データが生成される。そして、輝度レンジ値YRに基づく表示用画像データからHDR画像データと同じ表示用画像データへ表示用画像データが徐々に変化するように、シーンの切り替わり後の各フレームの表示用画像データが生成される。それにより、表示用画像データのダイナミックレンジを好適に調整することができる。具体的には、急激に変化しないようにダイナミックレンジを調整することができる。その結果、ユーザの目に大きく且つ急な刺激を与えることなく、ダイナミックレンジが広い表示画像をユーザに見せることができる。
【0187】
なお、本実施例では、フレーム毎に輝度レンジ値YRを取得する例を説明したが、これに限らない。例えば、シーンの切り替わり直後のフレームに対してのみ、輝度レンジ値YRが取得されてもよい。
なお、シーンの切り替わりを検出し、輝度レンジ値YRに基づく表示用画像データからHDR画像データと同じ表示用画像データへ表示用画像データを徐々に変更する処理は、行われなくてもよい。HDR画像データが明るいほど小さい輝度レンジ値YRに基づいて表示用画像データが生成されれば、急激に変化しないようにダイナミックレンジを調整することができる。その結果、ユーザの目に大きく且つ急な刺激が与えられることを抑制することができる。
なお、輝度差分データは、逆トーンマップに限らない。例えば、輝度差分データは輝度比率データであってもよい。
なお、輝度レンジ値YRに基づく表示用画像データの生成方法は、上記方法に限らない。例えば、実施例1〜4で述べた方法で表示用画像データが生成されてもよい。
【0188】
<実施例6>
以下、本発明の実施例6に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
実施例1〜5では、画像処理装置にHDRファイルが入力される例を説明した。
本実施例では、画像処理装置にHDRファイルが入力されず、画像処理装置にHDR画像データが入力される例を説明する。
【0189】
図21は、本実施例に係る画像処理装置600の機能構成の一例を示すブロック図である。
図21に示すように、実施例6における画像処理装置600は、調整値処理部103、ブレンド部104、ゲイン調整部105、表示部106、ベース画像生成部602、等
を有する。
なお、
図21において、実施例1(
図1)と同じ機能部及びデータには実施例1と同じ符号を付し、その説明は省略する。
画像処理装置600には、HDR画像データ601と輝度レンジ値YRが入力される。
【0190】
ベース画像生成部602は、HDR画像データ601に基づいて、ベース画像データを生成する。換言すれば、ベース画像生成部602は、HDR画像データ601をベース画像データに変換する。
図22は、ベース画像生成部602の機能構成の一例を示すブロック図である。
図22に示すように、ベース画像生成部602は、トーンマップ生成部6021、画像変換部6022、等を有する。
【0191】
トーンマップ生成部6021は、HDR画像データ601に基づいて、HDR画像データの階調値とベース画像データの階調値との対応関係を表す輝度差分データを生成する。本実施例では、HDR画像データの階調値をベース画像データの階調値に変換するトーンマップが生成される。
まず、トーンマップ生成部6021は、HDR画像データ601から、各階調値の画素数を表す階調ヒストグラムを生成する。
次に、トーンマップ生成部6021は、階調ヒストグラムの度数を低階調側から累積加算することにより、累積ヒストグラムを生成する。
そして、トーンマップ生成部6021は、累積ヒストグラムの度数の最小値がベース最小値に一致し、且つ、累積ヒストグラムの度数の最大値がベース最大値に一致するように、累積ヒストグラムの度数を正規化する。この正規化により、累積ヒストグラムの度数がベース画像データの階調値に変換される。それにより、HDR画像データをベース画像データに変換するトーンマップが生成される。
なお、ベース最小値とベース最大値は、不図示の制御部から取得される。
【0192】
画像変換部6022は、トーンマップ生成部6021で生成されたトーンマップを用いて、HDR画像データ601をベース画像データに変換する。
【0193】
以上述べたように、本実施例によれば、HDR画像データに基づいて、輝度差分データとベース画像データが生成される。それにより、画像処理装置にHDRファイルが入力されず、画像処理装置にHDR画像データのみが入力された場合であっても、表示用画像データを生成する生成処理として、実施例1〜5で述べた処理と同じ処理が実行可能となる。即ち、HDR画像データ、ベース画像データ、及び、輝度差分データのうちの少なくとも2つ以上のデータに基づいて表示用画像データを生成することが可能となる。
【0194】
なお、本実施例では、HDR画像データに基づいて輝度差分データが生成される例を説明したが、これに限らない。例えば、輝度差分データが記憶部に予め記録されていてもよい。
また、本実施例では、累積ヒストグラムの度数の最小値と最大値から、HDR画像データをベース画像データに変換するトーンマップが生成される例を説明したが、これに限らない。例えば、ユーザが入力した任意の設定値に応じてトーンマップが生成されてもよい。具体的には、「コントラスト:高」という設定値が設定されている場合に、ベース画像データよりもコントラストが高い(明と暗の差が大きい)画像データにHDR画像データを変換するトーンマップが生成されてもよい。そして、「コントラスト:低」という設定値が設定されている場合に、ベース画像データよりもコントラストが低い(明と暗の差が小さい)画像データにHDR画像データを変換するトーンマップが生成されてもよい。
【0195】
<その他の実施例>
記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施例の機能を実現するシステムや装置のコンピュータ(又はCPU、MPU等のデバイス)によっても、本発明を実施することができる。また、例えば、記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施例の機能を実現するシステムや装置のコンピュータによって実行されるステップからなる方法によっても、本発明を実施することができる。この目的のために、上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、上記記憶装置となり得る様々なタイプの記録媒体(つまり、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体)から、上記コンピュータに提供される。したがって、上記コンピュータ(CPU、MPU等のデバイスを含む)、上記方法、上記プログラム(プログラムコード、プログラムプロダクトを含む)、上記プログラムを非一時的に保持するコンピュータ読取可能な記録媒体は、いずれも本発明の範疇に含まれる。