(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443891
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】徐放性製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/02 20060101AFI20181217BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20181217BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20181217BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20181217BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20181217BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20181217BHJP
【FI】
A61K47/02
A61K9/20
A61K9/16
A61K47/38
A61K47/10
A61K45/00
A61K47/32
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/34
【請求項の数】19
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-560026(P2015-560026)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2015052632
(87)【国際公開番号】WO2015115586
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-17333(P2014-17333)
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108970
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 秀晃
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 直也
(72)【発明者】
【氏名】木村 豪
(72)【発明者】
【氏名】西野 友規子
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 聡
【審査官】
横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−081634(JP,A)
【文献】
特表2008−515802(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0141144(US,A1)
【文献】
特表2009−517346(JP,A)
【文献】
Journal of Controlled Release,2000年,Vol.68,pp.405-412
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K47/00−47/69
A61K9/00−9/72
A61K45/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性薬物または中性薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩、およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムであり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムであることを特徴とする固形製剤。
【請求項2】
アルカリ金属塩を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムである請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
塩基性薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩、および水溶性高分子または疎水性基剤を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムであることを特徴とする固形製剤。
【請求項4】
さらにアルカリ剤を含有する請求項3記載の固形製剤。
【請求項5】
アルカリ剤が酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、合成ヒドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびケイ酸カルシウムからなる群から選択される1以上である請求項4記載の固形製剤。
【請求項6】
アルカリ剤が酸化マグネシウムである請求項5記載の固形製剤。
【請求項7】
疎水性基剤を含有し、該疎水性基剤が疎水性高分子または油脂基剤である請求項3〜6のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項8】
疎水性基剤が疎水性高分子であり、該疎水性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル系高分子から選択される1以上である請求項7記載の固形製剤。
【請求項9】
疎水性高分子がエチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1以上である請求項8記載の固形製剤。
【請求項10】
疎水性基剤が油脂基剤であり、該油脂基剤がパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、木ロウ、カカオ脂、カルナバロウ、ミツロウ、セタノール、ステリルアルコール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび硬化油からなる群から選択される1以上である請求項7記載の固形製剤。
【請求項11】
水溶性高分子を含有し、該水溶性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル系高分子から選択される1以上である請求項3〜6のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項12】
水溶性高分子がヒプロメロース、クロスポビドン、ポビドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムおよびポリエチレンオキシドからなる群から選択される1以上である請求項11記載の固形製剤。
【請求項13】
アルカリ金属塩、水溶性高分子およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムであり、該水溶性高分子がヒプロメロースであり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムである請求項4記載の固形製剤。
【請求項14】
製剤中の薬物の含量が、0.01〜90重量%である請求項1〜13のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項15】
製剤中のアルカリ剤の含量が、0.1〜30重量%である請求項1、2および4〜14のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項16】
製剤中のヒプロメロースの含量が、0.1〜30重量%である請求項12または13記載の固形製剤。
【請求項17】
製剤中の薬物の含量が0.01〜90重量%であり、酸化マグネシウムの含量が0.1〜30重量%である請求項1または2記載の固形製剤。
【請求項18】
製剤中の薬物の含量が0.01〜90重量%、酸化マグネシウムの含量が0.1〜30重量%、ヒプロメロースの含量が0.1〜30重量%である請求項13記載の固形製剤。
【請求項19】
固形製剤が錠剤または顆粒剤である請求項1〜18のいずれかに記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩であり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムである徐放性製剤に関する。また、薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、および水溶性高分子または疎水性基剤を含有し、アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩である徐放性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
徐放性製剤は、薬物が少しずつ溶出するため、長時間にわたり血中濃度をほぼ一定にすることができる。これによって、薬物の服用回数を減らすことができるので、服薬コンプライアンスを向上することができる。また、薬物には、作用が適切にあらわれる有効域(治療域)が存在するが、薬物の血中薬物濃度が低くなるとその分だけ薬物の効果がなくなってしまう。一方、血中薬物濃度が高くなりすぎると副作用が出やすくなり、この際、副作用が生じる血中薬物濃度が毒性域である。この点、徐放性製剤は、薬物がゆっくり溶け出していくため、血中薬物濃度が毒性域に到達するリスクを減らすことができ、また、無効域の時間まで減らすこともできる。
【0003】
徐放性製剤は、たとえば薬物を基剤および錠剤の中にマトリクス状に混合することによって、薬物の溶出性を制御することができる。しかし、この製剤は、消化管の蠕動運動によって製剤が破壊され、薬物が予定した時間よりも速く溶出する場合がある。
【0004】
一方、クロスカルメロースナトリウムと、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムのナトリウムイオンが、アルカリ性下においてイオン交換し、クロスカルメロースナトリウムがゲル化する場合がある。このゲル化によって、非特許文献1には、薬物、クロスカルメロースナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを含有する製剤が開示されている。これらの製剤は、クロスカルメロースナトリウムとアルカリ基剤である炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムの量が増加すると、経時保存下、溶出速度が低下する。しかし、当該文献には徐放性製剤は開示されていない。
【0005】
クロスカルメロースナトリウムとナトリウム塩を含有する製剤を開示する文献としては、例えば、以下の文献が挙げられる。
特許文献1には、有効成分としてパラセタモール、重炭酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムを含有する製剤が開示されている。しかし、当該製剤は、パラセタモールを急速に溶解する製剤であって、当該文献には徐放性製剤は開示されていない。
特許文献2には、有効成分としてクエン酸シルデナフィル、重炭酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムを含有する製剤が開示されている。しかし、当該製剤は、クエン酸シルデナフィルを急速に溶解する製剤であって、当該文献には徐放性製剤は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−500287
【特許文献2】特表2009−517346
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Pharmaceutical Development and Technology 2014; 19(3): 285-289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、消化管の蠕動運動によっても、製剤がほとんど破壊されず、小腸、十二指腸や大腸においても、製剤から薬物が徐々に溶出する徐放性製剤の提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、消化管の蠕動運動によっても、製剤がほとんど破壊されず、製剤から薬物が徐々に溶出する徐放性製剤を開発するために、鋭意検討した結果、最適な処方を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩であり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムである固形製剤である。また、薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、および水溶性高分子または疎水性基剤を含有し、アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩である固形製剤である。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩であり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムであることを特徴とする固形製剤、
(2)アルカリ金属塩を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される1以上である上記(1)記載の固形製剤、
(3)アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムである上記(2)記載の固形製剤、
(4)薬物、クロスカルメロースナトリウム、アルカリ金属塩またはアルコキシド、および水溶性高分子または疎水性基剤を含有し、該アルカリ金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩であることを特徴とする固形製剤、
(5)薬物が塩基性薬物である(4)記載の固形製剤。
(6)さらにアルカリ剤を含有する上記(4)または(5)記載の固形製剤、
(7)アルカリ金属塩を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される1以上である上記(4)から(6)のいずれかに記載の固形製剤、
(8)アルカリ剤が酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、合成ヒドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびケイ酸カルシウムからなる群から選択される1以上である上記(6)記載の固形製剤、
(9)アルカリ剤が酸化マグネシウムである上記(8)記載の固形製剤、
(10)疎水性基剤を含有し、該疎水性基剤が疎水性高分子または油脂基剤である上記(4)から(9)のいずれかに記載の固形製剤、
(11)疎水性基剤が疎水性高分子であり、該疎水性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル系高分子から選択される1以上である上記(10)記載の固形製剤、
(12)疎水性高分子がエチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1以上である上記(11)記載の固形製剤、
(13)疎水性基剤が油脂基剤であり、該油脂基剤がパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、木ロウ、カカオ脂、カルナバロウ、ミツロウ、セタノール、ステリルアルコール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび硬化油からなる群から選択される1以上である上記(10)記載の固形製剤、
(14)水溶性高分子を含有し、該水溶性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル系高分子から選択される1以上である上記(4)から(9)のいずれかに記載の固形製剤、
(15)水溶性高分子がヒプロメロース、クロスポビドン、ポビドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムおよびポリエチレンオキシドからなる群から選択される1以上である上記(14)記載の固形製剤、
(16)アルカリ金属塩、水溶性高分子およびアルカリ剤を含有し、該アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムであり、該水溶性高分子がヒプロメロースであり、該アルカリ剤が酸化マグネシウムである上記(6)記載の固形製剤、
(17)製剤中の薬物の含量が、0.01〜90重量%である上記(1)から(16)のいずれかに記載の固形製剤、
(18)製剤中のアルカリ剤の含量が、0.1〜30重量%である上記(1)から(3)および(6)から(17)のいずれかに記載の固形製剤、
(19)製剤中のヒプロメロースの含量が、0.1〜30重量%である上記(15)または(16)記載の固形製剤、
(20)製剤中の薬物の含量が0.01〜90重量%であり、酸化マグネシウムの含量が0.1〜30重量%である上記(3)記載の固形製剤、
(21)製剤中の薬物の含量が0.01〜90重量%、酸化マグネシウムの含量が0.1〜30重量%、ヒプロメロースの含量が0.1〜30重量%である上記(16)記載の固形製剤、
(22)固形製剤が錠剤または顆粒剤である上記(1)から(21)のいずれかに記載の固形製剤、に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の徐放性製剤(以下、「本製剤」という。)は、薬物の溶出速度を制御するとともに、消化管の蠕動運動においても製剤の形状がほとんど変わらない徐放性製剤である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】比較例1および2製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【
図2】比較例1および2製剤の溶出挙動(試験液:蒸留水)
【
図3】比較例1および2製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第1液)
【
図4】実施例1および比較例1製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【
図5】実施例1および比較例1製剤の溶出挙動(試験液:蒸留水)
【
図6】実施例1および比較例1製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第1液)
【
図7】実施例1〜4および比較例1製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【
図8】実施例5〜7および比較例3製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【
図9】実施例8〜11および比較例4製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【
図10】実施例12、13および比較例1製剤の溶出挙動(試験液:溶出試験第2液)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書中、薬物は、種々のものを用いることができ、固形状、粉状、結晶状、油状、溶液状など何れのものでもよい。また、酸性薬物、中性薬物、塩基性薬物の何れでもよい。例えば、滋養強壮保健薬、解熱鎮痛消炎薬、向精神薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、鎮吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、抗アレルギー薬、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ薬、骨格筋弛緩薬、鎮痙剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、血液凝固阻止剤、抗悪性腫瘍剤、アルツハイマー病治療薬などから選ばれた1種または2種以上の成分が用いられる。
【0014】
本明細書中、塩基性薬物とは、薬物を水に溶解させたとき、溶液のpHが7より大きい値を示す薬物のことをいう。
【0015】
滋養強壮保健薬としては、例えばビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(酢酸d−α−トコフェロールなど)、ビタミンB1(ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩など)、ビタミンB2(酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシンなど)、ビタミンC(アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンなど)のビタミン、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖、生薬などが挙げられる。
【0016】
解熱鎮痛消炎薬としては、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、無水カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシンなどが挙げられる。向精神薬としては、例えばクロルプロマジン、レセルピンなどが挙げられる。抗不安薬としては、例えばアルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパムなどが挙げられる。抗うつ薬としては、例えばイミプラミン、塩酸マプロチリン、アンフェタミンなどが挙げられる。催眠鎮静薬としては、例えばエスタゾラム、ニトラゼパム、ジアゼパム、ペルラピン、フェノバルビタールナトリウムなどが挙げられる。鎮痙薬には、例えば臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリンなどが挙げられる。中枢神経作用薬としては、例えばシチコリンなどが挙げられる。脳代謝改善剤としては、例えば塩酸メクロフェニキセートなどが挙げられる。脳循環改善剤としては、例えばビンポセチンなどが挙げられる。抗てんかん剤としては、例えばフェニトイン、カルバマゼピンなどが挙げられる。交感神経興奮剤としては、例えば塩酸イソプロテレノールなどが挙げられる。
【0017】
胃腸薬としては、例えばジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、セルラーゼAP3、リパーゼAP、ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌などの整腸剤などが挙げられる。制酸剤としては、例えば炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。抗潰瘍剤としては、例えばランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、ファモチジン、シメチジン、塩酸ラニチジンなどが挙げられる。
【0018】
鎮咳去痰剤としては、例えば塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメトルファン、テオフィリン、グァヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リン酸コデインなどが挙げられる。鎮吐剤としては、例えば塩酸ジフェニドール、メトクロプラミドなどが挙げられる。呼吸促進剤としては、例えば酒石酸レバロルファンなどが挙げられる。気管支拡張剤としては、例えばテオフィリン、硫酸サルブタモールなどが挙げられる。抗アレルギー薬としては、アンレキサノクス、セラトロダストなどが挙げられる。
【0019】
歯科口腔用薬としては、例えばオキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、塩酸クロルヘキシジン、リドカインなどが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、dl-マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
【0020】
強心剤としては、例えばカフェイン、ジゴキシンなどが挙げられる。不整脈用剤としては、例えば塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロールなどが挙げられる。利尿薬としては、例えばイソソルピド、フロセミド、HCTZなどのチアシド剤などが挙げられる。
【0021】
血圧降下剤としては、例えばニカルジピン、塩酸デラプリル、カプトプリル、臭化ヘキサメトニウム、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、塩酸マニジピン、カンデサルタンシレキセチル、メチルドパ、ロサルタン、バルサルタン、エポサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、テルミサルタンなどが挙げられる。血管収縮剤としては、例えば塩酸フェニレフリンなどが挙げられる。冠血管拡張剤としては、例えば塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ペラパミルなどが挙げられる。末梢血管拡張薬としては、例えばシンナリジンなどが挙げられる。高脂血症用剤としては、例えばセリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウムなどが挙げられる。利胆剤としては、例えばデヒドロコール酸、トレピプトンなどが挙げられる。
【0022】
抗生物質には、例えばセファレキシン、セファクロル、アモキシシリン、塩酸ピブメシリナム、塩酸セフォチアムヘキセチル、セファドロキシル、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシミプロキセチル、塩酸セフォチアム、塩酸セファゾプラン、塩酸セフメノキシム、セフスロジンナトリウムなどのセフェム系、アンピシリン、シクラシリン、スルベニシリンナトリウム、ナリジクス酸、エノキサシンなどの合成抗菌剤、カルモナムナトリウムなどのモノバクタム系、ペネム系およびカルバペネム系抗生物質などが挙げられる。
【0023】
化学療法剤としては、例えばスルファメチゾール、塩酸スルファメチゾール、チアゾスルホンなどが挙げられる。糖尿病用剤としては、例えばトルブタミド、ボグリボース、塩酸ピオグリタゾン、グリベンクラミド、トログリダゾン、マレイン酸ロジグリタゾン、アカルボース、ミグリトール、エミグリテートなどが挙げられる。
【0024】
骨粗しょう症用剤としては、例えばイプリフラボンなどが挙げられる。骨格筋弛緩薬としては、メトカルバモールなどが挙げられる。鎮痙剤としては、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナートなどが挙げられる。抗リウマチ薬としては、メソトレキセート、ブシラミンなどが挙げられる。ホルモン剤としては、例えばリオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロンなどが挙げられる。
【0025】
アルカロイド系麻薬として、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド、塩酸コカインなどが挙げられる。サルファ剤としては、例えばスフファミン、スルフィソミジン、スルファメチゾールなどが挙げられる。痛風治療薬としては、例えばアロプリノール、コルヒチンなどが挙げられる。血液凝固阻止剤としては、例えばジクマロールが挙げられる。抗悪性腫瘍剤としては、例えば5−フルオロウラシル、ウラシル、マイトマイシンなどが挙げられる。アルツハイマー病治療薬としては、例えばドネペジル塩酸塩、イデベノン、ビンポセチンなどが挙げられる。
【0026】
本製剤中の薬物の含量は、薬効を生じる量であればよい。例えば、製剤全量に対して、0.01〜90重量%、好ましくは0.025〜80重量%、より好ましくは0.05〜70重量%である。これらの配合量より多ければ、溶出速度が低減できない可能性があり、少なければ、薬効が十分に発揮できない恐れがある。
【0027】
本明細書中、クロスカルメロースナトリウムは、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。クロスカルメロースナトリウムとは、カルメロースナトリウムの架橋重合物である。
【0028】
本製剤中のクロスカルメロースナトリウムの含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。製剤全量の割合において、例えば、1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、より好ましくは3〜20重量%である。これらの配合量より多くても少なくても、製剤がすぐに崩壊する可能性があり、薬物が溶出制御できない恐れがある。
【0029】
本製剤中において、クロスカルメロースナトリウムとともに、崩壊剤を併用することができる。併用できる崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウムやカルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる
【0030】
本明細書中、アルカリ金属塩は、カルボン酸と同程度の強さの塩あるいはより弱酸の塩であればよく、例えば、カルボン酸、炭酸、フェノール酸を付加したナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。
【0031】
本明細書中、ナトリウム塩、カリウム塩は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。ナトリウム塩、カリウム塩を本製剤中に添加することによって、クロスカルメロースナトリウムをゲル化し、薬物の溶出速度を抑え、徐放化することができる。ナトリウム塩、カリウム塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。好ましくは、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである。
【0032】
本製剤中のナトリウム塩、カリウム塩の含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。例えば、クロスカルメロースナトリウム100重量部に対し、10〜100重量部、好ましくは20〜90重量部、より好ましくは30〜80重量部であり、製剤全量の割合において、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。これらの配合量より多くても少なくても、製剤がすぐに崩壊する可能性があり、薬物が溶出制御できない恐れがある。
【0033】
本明細書中、アルコキシドは、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。アルコキシドとは、アルコールのヒドロキシ基の水素が金属で置換した化合物である。アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。
【0034】
本製剤中のアルコキシドの含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。例えば、クロスカルメロースナトリウム100重量部に対し、10〜100重量部、好ましくは20〜90重量部、より好ましくは30〜80重量部であり、製剤全量の割合において、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。これらの配合量より多くても少なくても、製剤がすぐに崩壊する可能性があり、薬物が溶出制御できない恐れがある。
【0035】
本明細書中、アルカリ剤は、水に5重量%を溶解または懸濁させた状態のpHが好ましくは7以上であれば特に限定されず、2種以上の混合物であってもよい。また、水への溶解速度が遅いものが望ましい。例えば、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムからなる群から選択される1以上の金属原子を化学式中に含有するものが挙げられる。好ましくは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、合成ヒドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはケイ酸カルシウムからなる群から選択される1以上であり、より好ましくは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、またはそれらの混合物である。
【0036】
本製剤中のアルカリ剤の含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。例えば、クロスカルメロースナトリウム100重量部に対し、5〜300重量部、好ましくは10〜250重量部、より好ましくは50〜200重量部であり、製剤全量の割合において、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。これらの配合量より多くても少なくても、製剤がすぐに崩壊する可能性があり、薬物が溶出制御できない恐れがある。
【0037】
本明細書中、水溶性高分子は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。水溶性高分子を本製剤中に添加することによって、消化管の蠕動運動によって、製剤は崩壊しにくくなる。水溶性高分子は、水に溶解あるいは膨潤する。水溶性高分子として、具体的には、セルロース系高分子、デンプン系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高分子およびポリエーテルである。さらに具体的には、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、α化デンプン、クロスポビドン、ポビドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド等が挙げられ、好ましくは、ヒプロメロースである。
【0038】
本製剤中の水溶性高分子の含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。例えば、クロスカルメロースナトリウム100重量部に対し、5〜300重量部、好ましくは10〜250重量部、より好ましくは50〜200重量部であり、製剤全量の割合において、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。これらの配合量より多ければ、溶出しない可能性があり、少なければ、製剤は蠕動運動によって崩壊する恐れがある。
【0039】
本明細書中、疎水性基剤は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。疎水性基剤を本製剤中に添加することによって、消化管の蠕動運動によって、製剤は崩壊しにくくなる。疎水性基剤としては、水に溶解しない疎水性高分子、あるいは油脂基剤を使用することができる。疎水性高分子として、具体的には、セルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル系高分子である。さらに具体的には、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびカルボキシビニルポリマーであり、好ましくは、エチルセルロースである。油脂基剤として、具体的には、ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、木ロウ、カカオ脂、カルナバロウ、ミツロウ、セタノール、ステリルアルコール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび硬化油である。
【0040】
本製剤中の疎水性基剤の含量は、薬物が溶出制御できる範囲で選択できる。例えば、クロスカルメロースナトリウム100重量部に対し、5〜300重量部、好ましくは10〜250重量部、より好ましくは50〜200重量部であり、製剤全量の割合において、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。これらの配合量より多ければ、製剤はすぐに膨潤し溶出しない可能性があり、少なければ、製剤は蠕動運動によって崩壊する恐れがある。
【0041】
本製剤は、賦形剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている賦形剤を使用することができる。例えば、粉末還元麦芽糖水飴、ぶどう糖、果糖、乳糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、白糖、ショ糖、フラクトオリゴ糖、パラチノース、麦芽糖(マルトース)、還元麦芽糖、粉飴、水飴、果糖、ラクチュロース、還元乳糖ラクチトール、蜂蜜糖、D−ソルビトール、キシリトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。好ましくは、粉末還元麦芽糖水飴である。
【0042】
賦形剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、1〜80重量%、好ましくは2.5〜75重量%、より好ましくは5〜70重量%である。これらの含量より多ければ、製剤自体が大型化することや多量の錠剤を服用しなければならない恐れがあり、少なければ、錠剤が製造できない恐れがある。
【0043】
本製剤は、結合剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている結合剤を使用することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、アラビアゴム、アラビアゴム末、ゼラチン、カンテン、デキストリン、プルラン、ポビドン、ポリビニルアルコール、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース等が挙げられ、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0044】
結合剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜4.5重量%、より好ましくは0.1〜4重量%である。これらの含量より多ければ、粘着性が増加して、製造機器に製剤が付着し製剤の収率が低下する可能性があり、少なければ、製剤を製造できない恐れがある。
【0045】
本製剤は、滑沢剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている滑沢剤を使用することができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業、日本油脂、堺化学工業)、ステアリン酸カルシウム、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0046】
滑沢剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、0.05〜10重量%、好ましくは0.075〜7.5重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。これらの含量より多ければ、錠剤硬度や崩壊性が低下する可能性があり、少なければ、錠剤を製造できない恐れがある。
【0047】
本製剤は、さらに必要であれば、上述以外の添加剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている添加剤を使用することができる。また、これらの添加剤の含量は、任意の割合でよい。上述以外の添加剤としては、例えば、香料、流動化剤、着色剤、矯味剤、コーティング剤等が挙げられる。
香料とは、着香剤といわれるものを含み、例えば、バナナフレーバー、サンフィックスバナナ、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられる。
流動化剤として、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、タルク等が挙げられ、好ましくは含水二酸化ケイ素である。
着色剤として、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、抹茶末等が挙げられる。
矯味剤として、例えば、アスパルテーム、スクラロース、グリシン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、希塩酸、クエン酸およびその塩(クエン酸ナトリウム)、無水クエン酸、L−グルタミン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、酢酸、酒石酸およびその塩、炭酸水素ナトリウム、フマル酸およびその塩、リンゴ酸およびその塩、氷酢酸、イノシン酸二ナトリウム、ハチミツ等が挙げられる。
コーティング剤として、例えば、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PVAコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、オパドライ、カルナバロウ、カルボキシビニルポリマー、乾燥メタクリル酸コポリマー、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ステアリルアルコール、セラック、セタノール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマー、2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。
【0048】
本製剤の剤形は、固体状の物であればよく、通常、日本薬局方の製剤通則に規定されている錠剤、顆粒剤である。
【0049】
本製剤の製法としては、1)薬物および添加剤を混合し、その混合物を打錠して製造する方法(直接粉末圧縮法)、2)薬物および添加剤を混合して造粒、その造粒物を打錠して製造する方法(顆粒圧縮法)、3)添加剤を混合して造粒、その後薬物と混合してから打錠して製造する方法がある。好ましくは、薬物および添加剤を混合して造粒、その造粒物を打錠して製造する方法である。2)の場合、造粒物は、通常製剤学的に用いられる造粒法で製造すればよい。例えば、押し出し造粒法、撹拌造粒法、流動層造粒法、転動造粒法等である。なお、造粒物は、コーティング剤によって被覆されていてもよい。
【0050】
打錠を行う場合、外部滑沢打錠を行う装置、単発打錠機、ロータリー式打錠機などを用いて圧縮成形する。
【0051】
本製剤の成形に関しては、どのような形状も採用することができ、例えば丸形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状および積層錠、有核錠などであってもよく、さらにはコーティングによって被膜することもできる。また、識別性向上のためのマーク、文字などの刻印、さらには割線を付けてもよい。
【0052】
本製剤の錠剤の直径は、服用できる大きさであればよい。
【0053】
本製剤における薬物および添加剤は、錠剤の溶出性、消化管の蠕動運動で違和感が生じない範囲であれば、通常、任意の量を単独あるいは混合して使用することができる。好ましい薬物および添加剤の組合せは、1)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/酸化マグネシウム、2)薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/酸化マグネシウム、3)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/酸化マグネシウム、4)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子、5)薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子、6)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子、7)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/水溶性高分子、8)薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/水溶性高分子、9)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/水溶性高分子、10)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤、11)薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤、12)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤、13)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/疎水性基剤、14)薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/疎水性基剤、15)薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/疎水性基剤、16)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロース、17)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロース、18)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロース、19)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/ヒプロメロース、20)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/ヒプロメロース、21)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/ヒプロメロース、22)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロース、23)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロース、24)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロース、25)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/エチルセルロース、26)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/エチルセルロース、および27)薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/エチルセルロースである。
【0054】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/酸化マグネシウムの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩が0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩が0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩が1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%である。
【0055】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/酸化マグネシウムの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、カリウム塩が0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、カリウム塩が0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、カリウム塩が1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%である。
【0056】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/酸化マグネシウムの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%である。
【0057】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0058】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、カリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、カリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、カリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0059】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/アルカリ剤/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.02.5〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0060】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0061】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、カリウム塩が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.25〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、カリウム塩が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、カリウム塩が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0062】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/水溶性高分子の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.1〜30重量%、水溶性高分子が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.5〜25重量%、水溶性高分子が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が1〜20重量%、水溶性高分子が1〜20重量%である。
【0063】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0064】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、カリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、カリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、カリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0065】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/アルカリ剤/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.1〜30重量%、アルカリ剤が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.5〜25重量%、アルカリ剤が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が1〜20重量%、アルカリ剤が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0066】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0067】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/カリウム塩/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、カリウム塩が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.25〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、カリウム塩が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、カリウム塩が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0068】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/ナトリウム塩/カリウム塩/疎水性基剤の組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.1〜30重量%、疎水性基剤が0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が0.5〜25重量%、疎水性基剤が0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、ナトリウム塩およびカリウム塩が1〜20重量%、疎水性基剤が1〜20重量%である。
【0069】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0070】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸カリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸カリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸カリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0071】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0072】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.02.5〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0073】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸カリウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0074】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/ヒプロメロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.1〜30重量%、ヒプロメロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.5〜25重量%、ヒプロメロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが1〜20重量%、ヒプロメロースが1〜20重量%である。
【0075】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0076】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸カリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸カリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸カリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0077】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/酸化マグネシウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.1〜30重量%、酸化マグネシウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.5〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが1〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0078】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0079】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸カリウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸カリウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、酸化マグネシウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、酸化マグネシウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0080】
薬物/クロスカルメロースナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸カリウム/エチルセルロースの組み合わせにおいて、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、薬物が0.01〜90重量%、クロスカルメロースナトリウムが1〜30重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.1〜30重量%、エチルセルロースが0.1〜30重量%、好ましくは、薬物が0.025〜80重量%、クロスカルメロースナトリウムが2〜25重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが0.5〜25重量%、エチルセルロースが0.5〜25重量%、より好ましくは、薬物が0.05〜70重量%、クロスカルメロースナトリウムが3〜20重量%、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが1〜20重量%、エチルセルロースが1〜20重量%である。
【0081】
本発明の錠剤は、徐放性製剤として有用であり、溶出を制御しない非徐放性製剤と比べて溶出速度を制御することができる。特に、溶出試験第1液、溶出試験第2液、蒸留水およびその他の緩衝液においても、同様の溶出速度を制御することができる。
【0082】
なお、この製剤は水と一緒に服用することができる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。実施例、比較例および参考例の錠剤は、下記方法によって、製造した。その錠剤が溶出する薬物の溶出速度を測定した。
(1)アルカリ剤の影響
アルカリ剤の影響を調べるために、表1記載の錠剤を製造し、それらの溶出速度を測定した。
a.錠剤製造法
表1に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、アセトアミノフェン(山本化学工業社製)を用いた。また、アルカリ剤として酸化マグネシウム(協和化学社製)を用いた。その他の添加剤として、マンニトール(ロケット社製)、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製)、クロスカルメロースナトリウム(FMC社製)、炭酸ナトリウム(和光純薬社製)、ポビドン(日本触媒社製)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を用いた。
製造方法としては、アセトアミノフェン、マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、炭酸ナトリウム、ポビドンおよび酸化マグネシウムを混合し、水を添加して湿式造粒法で造粒し、造粒物を完成した。
完成した造粒物およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を混合し、混合末を得た。この混合末を単発打錠機によって打錠した。
なお、溶出を制御しない製剤として、比較例1を製造した。
b.溶出試験
日本薬局方第16改正の溶出試験法により、溶出試験をおこなった。溶出試験液は、溶出試験第1液(pH1.2)、溶出試験第2液(pH6.8)および蒸留水を用いた。
c.崩壊試験
錠剤の崩壊性を第16改正日本薬局方の崩壊試験法によって確認した。すなわち、試験液(日本薬局方崩壊試験液第1液)を用いて120分間試験を実施し、錠剤の崩壊性を確認した。
【0084】
【表1】
d.結果
表1に示す比較例1、2および実施例1の溶出試験結果を、溶出試験液のpHの違いにより、
図1〜6に示す。クロスカルメロースナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有した比較例2の製剤は、溶出を制御しない比較例1の製剤に比べ、アセトアミノフェンの溶出を抑制した。しかし、比較例2の製剤は、pHの異なる溶出試験液や蒸留水によって、溶出挙動が異なった(
図1〜3)。一方、クロスカルメロースナトリウム、炭酸ナトリウムおよび酸化マグネシウムを含有する実施例1の製剤は、いずれの溶出試験液や蒸留水によっても、溶出挙動はほとんど変わらなかった(
図4〜6)。従って、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウム塩である炭酸ナトリウムおよびアルカリ剤である酸化マグネシウムを添加することによって、溶出試験液によることなく、同じような溶出挙動で溶出制御できることが明らかとなった。また、アルカリ剤を加えない比較例1と比較例2の製剤は、崩壊試験において速やかに崩壊したのに対して、実施例1の製剤は、120分以内では崩壊したものの、比較例1、2の製剤と比べ、崩壊時間が大きく遅延させることができた。
【0085】
(2)中性薬物(アセトアミノフェン)を含有する徐放性製剤の溶出挙動
薬物によって溶出挙動の変化を調べるために、表2記載の錠剤を製造し、それらの溶出速度を測定した。
a.錠剤製造法
表2に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、中性薬物であるアセトアミノフェン(山本化学工業社製)を用いた。その他の添加剤として、マンニトール(ロケット社製)、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製)、クロスカルメロースナトリウム(FMC社製)、酸化マグネシウム(協和化学社製)もしくは水酸化マグネシウム(協和化学社製)、炭酸ナトリウム(和光純薬社製)もしくは炭酸カリウム(和光純薬社製)、ヒプロメロース(信越化学工業社製)、ポビドン(日本触媒社製)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を用いた。
製造方法としては、実施例1と同様、薬物、マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、水酸化マグネシウムもしくは酸化マグネシウムを混合し、水を添加して湿式造粒法で造粒し、造粒物を完成した。
完成した造粒物、およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製)を混合し、混合末を得た。この混合末を単発打錠機によって打錠した。
b.溶出試験
日本薬局方第16改正の溶出試験法により、溶出試験をおこなった。溶出試験液は、溶出試験第2液(pH6.8)を用いた。
c.崩壊試験
錠剤の崩壊性を第16改正日本薬局方の崩壊試験法によって確認した。すなわち、試験液(日本薬局方崩壊試験液第1液)を用いて120分間試験を実施し、錠剤の崩壊性を確認した。
【0086】
【表2】
d. 結果
表2に示す比較例1、実施例1〜4の溶出試験結果を
図7に示す。実施例1、2の製剤は、比較例1の製剤と比べ、錠剤が膨潤し、溶出を抑制することができた。また、実施例1の製剤は、崩壊試験中に製剤が120分以内で崩壊したが、実施例2の製剤は、製剤の形状はほぼ維持しており、消化管の蠕動運動に耐えうる徐放性製剤であることが明らかとなった。また、実施例3および実施例4の製剤においても、実施例2の製剤と同様の溶出挙動を示したことから、ナトリウム塩の代わりにカリウム塩、酸化マグネシウムの代わりに水酸化マグネシウムを用いても同様の溶出抑制効果を示すことが確認できた。
【0087】
(3)酸性薬物(イブプロフェン)を含有する徐放性製剤の溶出挙動
a.錠剤製造法
表3に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、酸性薬物であるイブプロフェン(八代製薬社製)を用い、疎水性基剤としてエチルセルロース(日清化成社製)を用いた。その他用いた添加剤、製造方法は、実施例2と同様である。
b.溶出試験
日本薬局方第16改正の溶出試験法により、溶出試験をおこなった。溶出試験液は、溶出試験第2液(pH6.8)を用いた。
c.崩壊試験
錠剤の崩壊性を第16改正日本薬局方の崩壊試験法によって確認した。すなわち、試験液(日本薬局方崩壊試験液第1液)を用いて120分間試験を実施し、錠剤の崩壊性を確認した。
【0088】
【表3】
d. 結果
表3に示す比較例3、実施例5、6および7の溶出試験結果を
図8に示す。実施例5、6および7の製剤は、比較例3の製剤と比べ、溶出を抑制することができた。また、実施例5の製剤は、溶出試験第2液では製剤が膨潤し、溶出性を抑制することができたが、崩壊試験では崩壊した。一方、実施例6および7の製剤は、第2液で膨潤し溶出性の抑制が可能であったのに加えて、溶出試験第1液での崩壊試験でも崩壊しなかったことから消化管の蠕動運動に耐えうる徐放性製剤であることが明らかとなった。
【0089】
(4)塩基性薬物(ニカルジピン塩酸塩)を含有する徐放性製剤の溶出挙動
a.錠剤製造法
表4に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、塩基性薬物であるニカルジピン(東京化成工業社製)を用いた。その他用いた添加剤、製造方法は、実施例2と同様である。
b.溶出試験
日本薬局方第16改正の溶出試験法により、溶出試験をおこなった。溶出試験液は、0.2%Tween20を含有した溶出試験第2液(pH6.8)を用いた。
c.崩壊試験
錠剤の崩壊性を第16改正日本薬局方の崩壊試験法によって確認した。すなわち、試験液(日本薬局方崩壊試験液第1液)を用いて120分間試験を実施し、錠剤の崩壊性を確認した。
【0090】
【表4】
d. 結果
表4に示す比較例4、実施例8、9、10および11の溶出試験結果を
図9に示す。実施例8の製剤は、比較例4の製剤と比べ、溶出を抑制することができた。また、実施例8〜11の製剤は、溶出試験第2液では製剤が膨潤し、溶出性を制御することができたことに加えて、崩壊試験でも崩壊しなかったことから消化管の蠕動運動に耐えうる徐放性製剤であることが明らかとなった。実施例9〜11の製剤では、アルカリ剤の添加が無くても十分な錠剤の強度を保持していることが確認でき、さらに実施例9〜11の製剤において、ヒプロメロースの量を増すと、溶出速度は低減した。
【0091】
(5)動物実験後の製剤の状態
a.実験方法
表5に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、酸性薬物である化合物Aを用いた。本製剤投与2時間、6時間後に投与した犬を解剖し、製剤の状態を観察した。
【表5】
b. 結果
2時間、6時間後に投与した犬を解剖し、錠剤を取り出すと、2時間後では製剤の残存率が約70%、6時間後では約22%であった。これらの製剤は、胃の幽門部付近から発見され、投与後においても十分な強度を有していた。従って、薬物を徐々に溶出し、消化管運動に耐える製剤を製造することができた。
【0092】
(6)油脂基剤の影響
油脂基剤の影響を調べるために、表6記載の錠剤を製造し、それらの溶出速度を測定した。
a.錠剤製造法
表1に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、アセトアミノフェン(山本化学工業社製)を用いた。また、アルカリ剤として酸化マグネシウム(協和化学社製)を用いた。さらに、油脂基剤としてショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製)または硬化油(フロイント産業社製)。その他用いた添加剤、製造方法は、実施例1と同様である。
b.溶出試験
日本薬局方第16改正の溶出試験法により、溶出試験をおこなった。溶出試験液は、溶出試験第2液(pH6.8)を用いた。
c.崩壊試験
錠剤の崩壊性を第16改正日本薬局方の崩壊試験法によって確認した。すなわち、試験液(日本薬局方崩壊試験液第1液)を用いて120分間試験を実施し、錠剤の崩壊性を確認した。
【0093】
【表6】
d.結果
表6に示す比較例1、実施例12および13の溶出試験結果を
図10に示す。実施例12および13の製剤は、比較例1の製剤と比べ、錠剤が膨潤し、溶出を抑制することで、崩壊時間を大幅に遅延した。これにより、実施例12および13の製剤は、消化管の蠕動運動に耐え得ることを示唆している。この結果から、油脂基剤としてショ糖脂肪酸エステルまたは硬化油のいずれを用いても同様の溶出抑制効果を示すことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の徐放性製剤は、溶出速度を制御することができ、しかも消化管運動に耐えることができる。従って、吸収部位が小腸、大腸である薬物の徐放性製剤として、有用である。