【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年3月13日に、不二精機株式会社が、株式会社源吉兆庵 東岡山工場に、食品用真空押出成型装置を納品した。 平成26年4月2日〜4日、不二精機株式会社が、ファベックス2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年5月20日〜22日、不二精機株式会社が、外食ビジネスウィーク2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年5月21日〜23日、不二精機株式会社が、第24回西日本食品産業創造展’14において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年6月10日〜13日、不二精機株式会社が、FOOMA JAPAN 2014 国際食品工業展において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年7月24日〜27日、不二精機株式会社が、Interpets(インターペット)において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年7月29日〜31日、不二精機株式会社が、外食ビジネスウィーク2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、
主体的構造として、真空調整装置と、真空調整装置に連通したジャケット付きの生地収納ホッパーと、生地収納ホッパーの外部に別々に設置したホグシモータ及びスクリューモータと、生地収納ホッパー内に軸架し、左右互い違いに張出し形成した押込み羽根と、生地収納ホッパーの底部に軸架したスクリューと、スクリューの先方に配設した押出成型装置により構成し、しかも、押込み羽根はホグシモータにより駆動すべく構成すると共に、その下部のスクリューはスクリューモータにより駆動すべく構成し、各モータの制御により生地収納ホッパー内の食品生地の押込みと次工程のスクリュー押出成型までの生地送り込みのタイミングを調整すべく構成し
ている。
【0029】
そして
、生地収納ホッパーや次工程の押出成型部に混練生地を送るノズルアームに設けたジャケット内には食品材料の生地の種類により調温した液体等を流通可能に構成し、該ホッパーやノズルアーム及び押出成型装置内の温度調整が行えるように構成し
ている。
【0030】
すなわち、本発明は、食品用の生地
の種類により、特にお菓子用の生地の特性にも適用できる混練又は
一般の食品用生地の場合はそのままの生地の状態で次工程のスクリュー押出成型に移動
し、最終製品の種類に最もふさわしい生地の加工処理をするための食品用真空押出成型装置に関するものである。
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
(食品用真空押出成型装置の全体構造について)
図1及び
図2は、本発明に係る食品用真空押出成型装置10の全体構成を示した説明図であり、
図1はその側面図であり、
図2はその正面図である。
【0033】
図1及び
図2に示すように、本発明の食品用真空押出成型装置10は、真空調整装置11と、真空調整装置11に連通したジャケット19付き(
図3に示す)の生地収納ホッパー12と、生地収納ホッパー12の外部に別々に設置したホグシモータ13及びスクリューモータ14と、生地収納ホッパー12内に軸架し、左右互い違いに張出し形成した押込み羽根15と、生地収納ホッパー12の底部に軸架したスクリュー16と、スクリュー16の先方に配設した押出成型装置17と、更に、その先方に配設した搬送コンベア18とにより構成している。
【0034】
すなわち、
図1及び
図2に示すように、略正方体からなる基台26上に制御部36を有する装置本体27を配設し、その装置本体27の上手側には真空調整装置11を配設し、装置本体27の下手側には生地収納ホッパー12を配設している。
また、生地収納ホッパー12の下方にノズルアーム28を構成し、ノズルアーム28の下手先端に押出成型装置17を構成している。
なお、本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、装置本体27、生地収納ホッパー12、前記真空調整装置11、ノズルアーム28及び切断機構29等を一体にして基台26上に設置されている。
【0035】
また、
図1に示すように、装置本体27等を備えた基台26に隣接して搬送コンベア18及び切断用センサ31を配設している。
すなわち、ノズルアーム28の先端位置に搬送コンベア18の始端部が位置するように配置している。
切断用センサ31は、搬送コンベア18上にてその上方や左右側方に取付自在とし、又は、前記切断機構29の上手側に取付自在としている。
【0036】
以下、各装置について詳細に説明する。
【0037】
(真空調整装置について)
真空調整装置11は、生地収納ホッパー12内を真空に調整するものである。
真空調整装置11は、
図2に示すように、真空ポンプ32と、真空フィルター33と、真空メータ(図示せず)、制御装置(図示せず)等を備える。
真空調整装置11は、真空調整用ホース35を通して生地収納ホッパー12に連通している。
すなわち、真空調整装置11は、生地収納ホッパー12内の空気に含まれている水分と異物とを真空フィルター33でフィルタリングし、真空調整用ホース35を通して生地収納ホッパー12内の空気を真空ポンプ32で取り込むことによって、生地収納ホッパー12内の真空度を調整可能に構成している。
【0038】
(生地収納ホッパーについて)
図3は、本発明に係る食品用真空押出成型装置10の一部断面構造を示した説明図である。
図4は、本発明に係る生地収納ホッパー12の断面構造を示した説明図である。
【0039】
生地収納ホッパー12は、材料を混合すべく金属製容器で構成したものである。
すなわち、
図4に示すように、この生地収納ホッパー12は、正面視の輪郭が略U字形をなし、平面視が横長長方形状をなし、天井部分に設けた長方形状の開口部Kを、平板状の蓋部材37で開閉部材39により開閉自在に封止するように構成している。
【0040】
蓋部材37には該蓋部材37を貫通する貫通孔35aが開設してあり、その貫通孔35aには真空調整装置11に連通する真空調整用ホース35の先端が連結してある。
また、生地収納ホッパー12は、蓋部材37の一部にホッパー内部を確認できる窓部(図示せず)を設けている。
【0041】
(ホグシモータ及びスクリューモータについて)
ホグシモータ13は、生地収納ホッパー12の上手側に配設した駆動ケース22a中に収納されている。
すなわち、
図1に示すように、生地収納ホッパー12の上手側に直方体状の駆動ケース22aを配設し、その駆動ケース22a内にホグシモータ13を配設している。
ホグシモータ13の駆動軸40aは、
図3に示すように、生地収納ホッパー12内の押込み羽根15のホグシ軸23と連結しており、ホグシモータ13の駆動により押込み羽根15を回転駆動可能に構成している。
また、押込み羽根15の回転方向や回転速度はホグシモータ13により調整可能としている。
例えば、順方向に所定時間回転した後、逆方向に所定時間回転し、これらを複数回繰り返すようにした攪拌が挙げられる。
【0042】
スクリューモータ14は、前記ホグシモータ13とは別の駆動ケース22b中に収納されている。
すなわち、
図1に示すように、前記駆動ケース22aの下方に別の駆動ケース22bを設けており、この別の駆動ケース22b内にスクリューモータ14を配設している。
スクリューモータ14は、スクリュー16を回転可能に構成している。
スクリュー16の回転方向や回転速度はスクリューモータ14により調整可能としている。
【0043】
(押込み羽根及びスクリューについて)
押込み羽根15は、生地収納ホッパー12内に軸架しており、前記ホグシモータ13により駆動すべく構成したものである。
【0044】
押込み羽根15は、
図3に示すように、生地収納ホッパー12内に軸架したホグシ軸23に左右の方形材板24の基端縁を左右互いに反対方向に指向する状態で取り付けられている。
すなわち、押込み羽根15の方形材板24は樹脂製部材で構成しており、ホグシ軸23の周囲に設けた支持杆23aに方形材板24の基端縁を取り付けている。
【0045】
また、
図3に示すように、一方の方形材板24を金属製のホグシ軸23の左側に取り付け、他方の方形材板24を金属製のホグシ軸23の右側に取り付けている。
さらに、
図3に示す各方形材板24は、ホグシ軸に例えば約180°間隔でそれぞれ取付けられており、その先端縁はホグシ軸23に対して指向方向を互いに逆向きにしている。
しかも、方形材板24は、ホグシ軸23とは垂直断面形状が、ホグシ軸23側の厚みが先端側厚みよりも薄く形成された略長円の形状を有する。
【0046】
このような羽根構造を有する押込み羽根15が回転することによって、生地収納ホッパー12内で材料が、まず一方の方形材板24によって上方向から下方向へ(又はその逆方向に)の押圧を受け、この後、他方の方形材板24によって上から下方向へ(又はその逆方向に)の押圧を受け、これらの動作を繰り返すことによりスクリュー16の方へと押し込まれる。
【0047】
図1及び
図3に示すように、スクリュー16は、生地収納ホッパー12の底部に軸架しており、スクリューモータ14により駆動すべく構成したものである。
スクリュー16は、前記生地収納ホッパー12内で攪拌して混練又はそのままの生地の状態で材料を型押しながら押出成型装置17側に搬送させるように構成したものである。
【0048】
スクリュー16は、
図3に示すように、金属製の円盤状の羽根を繋ぐように構成され、各軸部はスクリュー16の軸芯43に沿わない傾斜状としており、しかも、スクリュー羽根面25と略直角に配設されている。
【0049】
このような構造を有するスクリュー16は、回転しながらスクリュー羽根面25に前記攪拌後の材料を上方から取り込み、材料を羽根面25で前方に押出ししながら回転させることによって押出成型を可能に構成している。
【0050】
すなわち、
図3に示すように、隣接する円盤状のスクリュー羽根25aの間で攪拌した材料を取り込み、スクリュー16の軸芯43に沿わない傾斜状にすることにより回転するスクリュー16上のどの箇所でも材料の取り込みができるように構成している。
そして、略直角に配設したスクリュー羽根面25で押し出しながら前方に押出するようにしているので、材料の取り込みを確実に行いながら先端への搬送力を向上させている。
【0051】
しかも、ノズルアーム20の内周面との搬送圧着力を強めて、ノズルアーム20の先端ジャケット21部内で充分に加熱や冷却の熱効率を向上し、原料を短期間で加熱又は冷却して原料の変性を可及的に防止し、原料の風味を損なうことなく次工程の押出成型工程へ受渡しすることができるのである。
【0052】
スクリュー16の周囲にはノズルアーム28が構成されている。
ノズルアーム28は、
図3に示すように、生地収納ホッパー12の底部に形成したホッパー筒体44と、樹脂で構成したスペーサ円筒体45と、ホッパー側にフランジ部20aを備えると共に流体を流通可能な先端ジャケット部21を有する筒状のノズルアーム20と、真鍮で構成した真鍮筒体46と、ダイス47の基端側とにより一体で空洞部Oを形成して構成したものである。
【0053】
そして、その空洞部O内でスクリュー16を軸架している。すなわち、
図3に示すように、ノズルアーム28内において、スクリュー16はその基端側をスクリューモータ14のスクリュー軸41に連結しており、その先端側をダイス47の基端側中央で回転自在に保持されている。
【0054】
(押出成型装置について)
押出成型装置17は、ダイス47と切断機構29とにより構成している。
押出成型装置17は、成形した生地を所定の形状で所定の形状に切断するものである。
【0055】
図5は、本発明に係る食品用真空押出成型装置のダイスの構造を示した説明図であり、(a)は断面矩形状の貫通孔c1を有する第1ダイス47aの説明図であり、(b)は円弧状の貫通孔c2を有する第2ダイス47bを示した説明図である。
また、(c)は、小樹脂部材52に複数の断面矩形の小貫通孔c3を複数有する第3ダイス47cの説明図であり、(d)は、小樹脂部材52に複数の断面矩形の小貫通孔c4を複数有する第4ダイス47dの説明図である。
【0056】
ダイス47は、円柱体からなる樹脂部材51(又は金属製部材)に、様々な形状を有する貫通孔c1〜c4が設けられたものである。
【0057】
例えば、小豆やチョコレートを成型する場合には、
図5(a)に示す断面矩形の貫通孔c1を有する第1ダイス47a、又は図示しない断面台形の貫通孔を有するダイス等を選択可能である。
【0058】
また、求肥やパイ生地の場合には、
図5(b)に示すように、円柱体からなる樹脂部材51に円弧状の貫通孔c2が設けられた第2ダイス47bを選択可能である。
【0059】
さらに、円柱体からなる樹脂部材51には複数の小貫通孔c3、c4を設けることもできる。
すなわち、
図5(c)及び
図5(d)に示すように、円柱体からなる樹脂部材51に型抜きされた貫通孔c1等に別の小樹脂部材52を挿入可能に構成し、その別の小樹脂部材52に複数の小貫通孔c3(断面矩形),c4(断面円形)を配設したものを適用できる。
これにより、チョコレート等の小片のお菓子の成型が可能となる。
このように、ダイスを変更することにより様々な食品成型が可能である。
【0060】
切断機構29は、
図1に示すように、切断用センサ31の感知によるシャッター式のカッター54を備える。なお、必要に応じてカッター式の機構等で構成する場合もある。
カッター54は、
図1に示すように、その下部に切断刃面54aを備えたものを垂直方向に昇降自在に構成することで食品の生地を切断するように構成している。
本発明では、
図6に示す検出センサ55,56や接触式センサ57等の切断用センサ31を使用して、ダイス47の貫通孔c1〜c4端部から外側方に突出して成された食品を所定長さで切断するようにしている。
【0061】
(切断用センサについて)
図6は、切断用センサ31の取付形態を示した説明図であり、(a)は上方からレーザ光を照射する検出センサ55、(b)は左右側方からレーザ光を照射する検出センサ56、(c)は接触式センサ57を示した説明図である。なお、検出のためのレーザ光は、赤外光等他の方法であってもよい。
【0062】
切断用センサ31の取付形態については、搬送コンベア18上に流れる食品生地30の上方からレーザ光を照射するタイプ(検出センサ55)、食品生地30の左右側方から中央の搬送コンベア18に照射するタイプ(検出センサ56)や図示しない食品生地30の左右何れかの一方向から中央の搬送コンベア18に照射するタイプ、直接押し当てるタイプ(接触式センサ57)が挙げられる。
【0063】
図6(a)に示すように、食品生地30の上方からレーザ光を照射する検出センサ55では、搬送コンベア18上に搬送される成型後のお菓子生地30を上方からレーザ光を照射し、レーザ光の照射により前回でのカッター54による切断端面を検出したときにシャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0064】
また、
図6(b)に示すように、お菓子生地30の左右側方から照射する検出センサ56では、搬送コンベア18上に搬送される成型後のお菓子生地30に対して、左右側方の一方からレーザ光を照射し左右側方の他方からこれを受光するように透過型センサ等を配設し、前回でのカッター54による切断端面を検出したときにシャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0065】
また、
図6(c)に示すように、直接押し当てるタイプでは、搬送コンベア18上に搬送され、又は搬送コンベア18に載置される前に成型後のお菓子生地30が接触式センサ57に押し当てられたことを感知することにより、シャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0066】
そして、お菓子の種類に応じて上記いずれかの切断用センサ31の取付形態を選択して使い分けることができ、例えば、成型後の形状が細長い棒状のものは、上から又は左右側方から照射するタイプ(検出センサ55,56)を使用し、丸い小片のものは接触式のタイプ(接触式センサ57)を使用することができる。
【0067】
搬送コンベア18は、成型したお菓子を次の包装工程に搬送するためのコンベアである。
搬送コンベア18は、
図1に示すように、第2基台68上に配設された始端ローラ59と終端ローラ60との間にコンベアベルト61を巻回しており、始端ローラ59は前記ダイス47の下方に位置させている。
また、搬送コンベア18上には、前記切断用センサ31を取り付け可能としている。
【0068】
生地収納ホッパー12内のジャケット19(前方側ジャケット)は、その容器外方に空洞部62を形成し、その空洞部62に調温した液体を流通可能に構成したものである。
すなわち、
図4に示すように、生地収納ホッパー12の容器内壁面Nの形状に沿うように、その内壁面Nより外方に液体を収納可能な空洞部62を形成している。
【0069】
また、生地収納ホッパー12の短辺側外壁面Gには前記空洞部62内に流体を導入させる第1流体導入口63を配設し、また、導入した流体を空洞部62から生地収納ホッパー12外に導出させる第1流体導出口64を配設している。
【0070】
そして、第1流体導入口63及び第1流体導出口64を通して調温した流体を流通させることで、生地収納ホッパー12内で攪拌するお菓子の材料を加熱又は冷却可能としている。
【0071】
ノズルアーム20に設けた先端ジャケット部21(後方側ジャケット)は、
図3に示すように、前記ホッパーの先端に所定間隔を有して離間して配置され、スクリュー16を囲繞するように円環状に構成されたものである。
【0072】
そして、この円環状の先端ジャケット部21内に構成した流通路中に流体を導入させる第2流体導入口65を配設し、また、導入した流体を生地収納ホッパー12外に導出させる第2流体導出口66を配設している。
【0073】
そして、第2流体導入口65及び第2流体導出口66を通して調温した流体をノズルアーム20に設けた先端ジャケット部21内に流通させることで、ノズルアーム20内に流れる生地に対して加熱又は冷却可能としている。
【0074】
制御部36は、生地収納ホッパー12内の真空度や、各ジャケット19,21に流通させる流体の温度調節や、押込み羽根15の回転速度や回転方向、スクリュー16の回転速度や回転方向、カッター54の切断タイミング等をプログラムに応じて制御可能に構成している。
このため、
図2に示すように、これらのプログラム制御を操作可能な操作パネル67を装置本体27上に配設している。
【0075】
(成型方法について)
このような、食品用真空押出成型装置10でお菓子を成型するには、蓋部材37を開けて、開口部Kから生地収納ホッパー12内へ、和菓子等の生地の材料(例えば、小麦粉、豆類、砂糖等)を所定量投入する。
この後、蓋部材37によって生地収納ホッパー12の開口部Kを封止する。
【0076】
次に、真空調整装置11によって真空調整用ホース35を介して、生地収納ホッパー12内の真空度を調整する。
この後、ホグシ軸23の回転駆動力によって押込み羽根15を回転駆動させて、生地収納ホッパー12内へ投入した原料がスクリュー16の方に押し込まれる。
また、生地収納ホッパー12内に調温された流体を流通させることで、生地収納ホッパー12内を所定温度にて維持可能である。
【0077】
そして、生地収納ホッパー12内で原料の撹拌・混合をしながら、混合された原料はノズルアーム28内へ投入される。
【0078】
ノズルアーム28内に配置してあるスクリュー16はスクリュー軸41によって回転駆動されており、筒体内に投入された混合原料はスクリュー16によってダイス47の方向へ連続的に移送される。
【0079】
スクリュー16によってダイス47まで移送された混合原料はダイス47の基端側壁面に当接してそこに一時的に滞留する一方、後方から混合原料が連続的に移送されるため、ダイス47内壁面側の内圧が上昇し、これによって混合原料はノズルアーム28内で加圧されて生地になる。
【0080】
そして、ノズルアーム28内が所定圧力に達すると、生地はダイス47に開設してある単数又は複数の貫通孔c1〜c4から外へ押し出されて成型されたお菓子の生地を得る。
すべての材料を投入した分がお菓子の生地として作製された後に、次の材料を生地収納ホッパー12内に投入する。
以上の工程を経てお菓子の生地が作製される。
【0081】
本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、最終成型まで行うもの又は最終成型の前段階まで行うものである。
最終成型まで行うものとして、例えば、小豆のお菓子やチョコレート等の生地が挙げられる。
また、最終成型の前段階まで行うものとして、例えば、ハンバーグや煎餅等の生地が挙げられ、この後の生地を丸めたり押し広げたりする最終形態の前段階として成型を行うものである。
【0082】
(回転方向や回転速度の調節について)
本発明では、押込み羽根15とスクリュー16とを各個別のモータで駆動するようにしており、しかも、各個別に回転方向や回転速度を調節可能としている。
すなわち、各個別の駆動モータを設けることにより押込み羽根15とスクリュー16との駆動源を異ならせているので、スクリューへの生地送り込みを自由に調整することが可能である。
【0083】
例えば、攪拌工程では材料の混合を念入りに行い、その後の押出成型は時間をかけないようにして搬送可能とする。
又は、材料を直ぐに混ぜ合せた状態で、その後の成型をじっくり時間をかけながら搬送することができる。
すなわち、本発明ではお菓子や食品等の品種毎に応じて、スクリューへの生地送り込みを異ならせることを可能にするものである。
【0084】
従って、食品の多種・多様の品種に合致した混合時間と押出成型工程での時間を微妙に調整することができ、本発明に係るは多品種の食品に対応できるのである。
【0085】
なお、押込み羽根15やスクリュー16の回転方向や回転速度も食品に応じて制御可能に構成することもできる。
【0086】
(真空度の調整について)
本発明では、真空調整装置11に連通した生地収納ホッパー12内の真空度を調整可能に構成している。
生地収納ホッパー12での真空度はお菓子等の食品の種類によって適宜決定される。
【0087】
すなわち、真空調整装置11によって真空調整用ホース35を介して生地収納ホッパー12内の真空度を調整しつつ、生地収納ホッパー12内を真空状態にして材料が攪拌されることになる。
【0088】
これにより、生地収納ホッパー12内では空気が存在しない状態となるので、材料同士が密着しながら混練されることになる。
つまり、真空度を調整することで、生地を構成する粒子をきめ細かくして粒子同士の密着度を高めた成型が可能となる。
しかも、生地の粒子をきめ細かくすることで、食感や味覚までも変化に富む食品を形成することができる。
【0089】
また、生地内に空気
を封入することによる色の変化や艶の減少を防止でき、お菓子自体が有する本来の色や艶を出すことができる。
【0090】
(温度の調節について)
本発明では、生地収納ホッパー12側に流体が流通可能なジャケット19(前方側ジャケット)を有し、また、ノズルアーム20上にも先端ジャケット部21(後方側ジャケット)を有し、これらの2つのジャケット19,21内の流体の温度調節によりデリケートな生地の成型を行える。
【0091】
具体的には、生地収納ホッパー12内のジャケット19内に調温された流体を流通させることにより、生地収納ホッパー12内の調温が可能になる。
すなわち、生地収納ホッパー12内において温度調節を行いながらの材料の攪拌が可能となる。
【0092】
また、先端ジャケット部21内に調温された流体を流通させることにより、先端ジャケット部21内の調温が可能になる。
すなわち、先端ジャケット部21内において温度調節を行いながらのスクリュー16による搬送が可能となる。
【0093】
そして、お菓子の種類に応じて温度調節を行いながらの生地作製が可能となる。
例えば、求肥等の場合には、生地収納ホッパー12側
の前方側ジャケット
19では
加温し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では冷却する。
もち米で形成するお菓子の場合には、生地収納ホッパー12内を温めることにより材料の混練が容易になり、そして先端ジャケット部21を冷却することで成型が容易になる。
【0094】
又は、小豆等の場合には、生地収納ホッパー12(前方側ジャケット)では冷却し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では
加温する。
成型時に温度の影響を受けないお菓子や、冷却のみで成型又は加熱工程のみで成型するお菓子等は、前後でのジャケット19,21の温度変化を行わず成型する。
【0095】
チョコレートの場合には、生地収納ホッパー12(前方側ジャケット)では冷却し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では冷却し、ダイス部
は別に加温する。
なお、この場合ジャケット部を先端ダイス側に配設して
ダイス部を加温する。
熱で溶けやすいお菓子の場合には、生地収納ホッパー12側とスクリュー16を冷却することで先端側を押し出しやすくできる。
【0096】
このように、温度調整することによりデリケートな生地の成型が可能である。
すなわち、生地収納ホッパー12側の生地押込み時の温度と、先端側の押出成型工程での温度とを調節を行うことにより、生地の硬度等を調節しながら、最終的な生地の材料特有の硬度等に調整することが可能である。
【0097】
本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、和菓子や洋菓子に使用するお菓子用の生地を混練する実施形態について説明したが、ハンバーグやポテトサラダ等の料理に応用したり、食品等に限られず線香や蝋燭等の生地作製にも応用できるものである。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。