特許第6443911号(P6443911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443911
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】食品用真空押出成型装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/20 20060101AFI20181217BHJP
   A23G 1/20 20060101ALI20181217BHJP
   A23G 3/02 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A21C11/20 A
   A23G1/20
   A23G3/02
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-167292(P2014-167292)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-42797(P2016-42797A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年3月13日に、不二精機株式会社が、株式会社源吉兆庵 東岡山工場に、食品用真空押出成型装置を納品した。 平成26年4月2日〜4日、不二精機株式会社が、ファベックス2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年5月20日〜22日、不二精機株式会社が、外食ビジネスウィーク2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年5月21日〜23日、不二精機株式会社が、第24回西日本食品産業創造展’14において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年6月10日〜13日、不二精機株式会社が、FOOMA JAPAN 2014 国際食品工業展において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年7月24日〜27日、不二精機株式会社が、Interpets(インターペット)において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。 平成26年7月29日〜31日、不二精機株式会社が、外食ビジネスウィーク2014において、展示見本品として食品用真空押出成型装置について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 稔
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02047750(EP,A1)
【文献】 特開2004−329078(JP,A)
【文献】 特公昭61−056969(JP,B2)
【文献】 米国特許第03813082(US,A)
【文献】 特開昭59−213373(JP,A)
【文献】 特開2006−288301(JP,A)
【文献】 特開昭61−040750(JP,A)
【文献】 特開平09−065818(JP,A)
【文献】 実開平03−041586(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3084114(JP,U)
【文献】 特開昭62−138178(JP,A)
【文献】 実公昭61−007577(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2008/101559(WO,A1)
【文献】 特公昭63−002574(JP,B2)
【文献】 実公昭47−014444(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 − 15/04
A23G 1/00 − 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台26上に制御部36を有する装置本体27を載置し、
装置本体27は最上部に配設した真空調節装置11とその下方左側半部に配設した制御部36と、
制御部36の右側半部に配設し、壁面に前方側ジャケット19を設け、内部を真空調整装置11と連通した生地収納ホッパー12と、
生地収納ホッパー12の下部側方で制御部36側と反対側に突設した筒状のノズルアーム20と、
該ホッパー12の内部上方に軸架した生地の押込み羽根15と、
該ホッパー12の内部下方に左半部を、また該ホッパー12の下部側方に突設したノズルアーム20内に右半部をそれぞれ軸架配設したスクリュー16と、
ノズルアーム20の先端に連通連設し、ダイス47と切断機構29より構成した押出成型装置17と、
更にその先方に配設した切断生地の搬送コンベア18とより構成し、
しかも、生地収納ホッパー12内上方の押込み羽根15は駆動軸40aとホグシ軸23を介して制御部36内に設けたホグシモータ13と連動連結して駆動すべく構成した二枚の方形材板24,24より構成し、
各方形材板24,24はホグシ軸23に約180°間隔で取付け先端縁をホグシ軸23に対して互いに逆向きに指向すべく構成すると共に、ホグシ軸23側より先端側の肉厚を薄くした垂直断面形状とし、更には生地収納ホッパー12内の下方のスクリュー16はホグシモータ13とは別個に設けたスクリューモータ14にスクリュー軸41を介して連動連結して駆動すべく構成し、かつ、構造的には金属製の円盤状の羽根を繋ぐように構成して各軸部は軸心43に沿わない傾斜状とし、スクリュー羽根面25と略直角に配設して構成することにより、スクリュー16の左半部によって生地収納ホッパー12内で撹拌混錬し、又はそのままの生地状態とした生地原料を上方から取り込み、前方に押し出して型押しながら押出成型装置17に搬送するように構成し、しかも、ノズルアーム20内のスクリュー16の右半部はノズルアーム20の内周面との搬送圧着力を強めてノズルアーム20の先端ジャケット21により生地原料を短期間で加熱や冷却し、生地原料の変性を可及的に防止し、原料風味を損なうことなく次工程の押出成型工程へ受渡し可能に構成し、
また、押出成型装置17におけるダイス47は様々の形状を有した貫通孔c1〜c4より構成し、各貫通孔c1〜c4は、小豆やチョコレート成型のための断面矩形の貫通孔c1と、求肥やパイ生地成型のための円弧状の貫通孔c2と、上記貫通孔c1又はc2への別の小樹脂部材52挿入で形成した他の断面矩形の小貫通孔c3や断面円形の小貫通孔c4と、より構成したことを特徴とする食品用真空押出成形装置。
【請求項2】
押込み羽根15とスクリュー16とは、個別のモータにより駆動するように構成することによりそれぞれ回転方向や回転速度を調節可能とし、スクリュー16の生地送り込みを自由に調節することを可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の食品用真空押出成形装置。
【請求項3】
生地原料が求肥の場合は、生地収納ホッパー12の前方側ジャケット19を加温し、先端ジャケット部21では冷却して成型し、
生地原料がもち米で成型するお菓子の場合は、生地収納ホッパー12内を温め、先端ジャケット部21を冷却して成型し、
生地原料が小豆の場合は、生地成型ホッパー12の前方側ジャケット19を冷却し、先端ジャケット部21は加温して成型し、
生地原料がお菓子の場合は、前後でのジャケット19,21の温度変化を行わずに成型し、
生地原料がチョコレートの場合は、前方側ジャケット19は冷却し、先端ジャケット部21は加温し、ダイス部は別々に加温して成型し、
生地原料が熱で溶けやすいお菓子の場合は、生地収納ホッパー12とスクリュー16を冷却して先端側に押し出しやすくして成型することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用真空押出成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品用真空押出成型装置、詳しくは、和菓子や洋菓子、その他食品用の生地を混練又はそのままの状態で次工程のスクリュー押出成型工程に移動するための食品用真空押出成型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パスタ等の食品を使用する食品生地を混練し、パスタ等の形状に成型する装置として食品生地混練装置(製麺機)が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1には、容器内に配設した混合手段によって原料を混合して混合原料を得る混合部と、前記容器と投入口を介して連通した筒体内に棒状のスクリューが前記筒体の中心軸と平行に配設してあり、前記投入口から筒体内に投入された混合原料を前記スクリューによって筒体の一端へ移動させつつ混捏すると共に、筒体の一端から複数条に押し出して麺を得る製麺部と、を有する製麺機が本出願人により開示されている。
【0004】
他方、和菓子や和菓子のようなお菓子の生地を混練するためには手作業による混練が行われる一方、作業の効率化を図るために上記製麺機のような原料の混練から成形までの工程を連続して行うようにした食品生地混練装置を用いる場合もある。
かかる食品生地混練装置は、食品材料の生地を所定のホッパーに収納して押込み羽根により混練し、スクリューによって、成形工程に搬送して所謂定量分別を行い、一定の食品に成型する構造となっている。
しかも、食品材料として生地の混練搬送に係る駆動部分の動力源は通常一個の駆動モータから動力を分岐して、一方は混練に用いており、他方は搬送に用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−329078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の食品生地混練装置をお菓子、その他食品用の生地の加工に用いた場合には、押込み羽根、スクリューの動力源が一個の駆動モータであるため、混練又はスクリューへの生地送り込みのタイミングとスクリュー押出のタイミングが常に一定の割合に調整された状態となる。
【0007】
従って、多種・多様の品種に合致したスクリューへの生地送り込みとスクリューでの押出時間を微妙に調整することができず、すべての食品生地がスクリューへの生地送り込み、スクリュー押出で加工されることにより多品種のお菓子に対応できない欠点があった。
【0008】
さらには、ミキサー機構の装置による単なる混練又はスクリューへの生地送り込みであるため、特に、菓子の生地のようにデリケートな材料組成を丁寧に練り上げ、その直後にすばやく型入れ工程にするための混練雰囲気の調整、例えば、温度や圧力等が調整できるものではなかった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、食品の材料を装置内に投入することにより生地の押出成型までを一連で行うことができる食品用真空押出成型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基台26上に制御部36を有する装置本体27を載置し、
装置本体27は最上部に配設した真空調節装置11とその下方左側半部に配設した制御部36と、制御部36の右側半部に配設し、壁面に前方側ジャケット19を設け、内部を真空調整装置11と連通した生地収納ホッパー12と、生地収納ホッパー12の下部側方で制御部36側と反対側に突設した筒状のノズルアーム20と、該ホッパー12の内部上方に軸架した生地の押込み羽根15と、該ホッパー12の内部下方に左半部を、また該ホッパー12の下部側方に突設したノズルアーム20内に右半部をそれぞれ軸架配設したスクリュー16と、ノズルアーム20の先端に連通連設し、ダイス47と切断機構29より構成した押出成型装置17と、更にその先方に配設した切断生地の搬送コンベア18とより構成し、しかも、生地収納ホッパー12内上方の押込み羽根15は駆動軸40aとホグシ軸23を介して制御部36内に設けたホグシモータ13と連動連結して駆動すべく構成した二枚の方形材板24,24より構成し、各方形材板24,24はホグシ軸23に約180°間隔で取付け先端縁をホグシ軸23に対して互いに逆向きに指向すべく構成すると共に、ホグシ軸23側より先端側の肉厚を薄くした垂直断面形状とし、更には生地収納ホッパー12内の下方のスクリュー16はホグシモータ13とは別個に設けたスクリューモータ14にスクリュー軸41を介して連動連結して駆動すべく構成し、かつ、構造的には金属製の円盤状の羽根を繋ぐように構成して各軸部は軸心43に沿わない傾斜状とし、スクリュー羽根面25と略直角に配設して構成することにより、スクリュー16の左半部によって生地収納ホッパー12内で撹拌混錬し、又はそのままの生地状態とした生地原料を上方から取り込み、前方に押し出して型押しながら押出成型装置17に搬送するように構成し、しかも、ノズルアーム20内のスクリュー16の右半部はノズルアーム20の内周面との搬送圧着力を強めてノズルアーム20の先端ジャケット21により生地原料を短期間で加熱や冷却し、生地原料の変性を可及的に防止し、原料風味を損なうことなく次工程の押出成型工程へ受渡し可能に構成し、
また、押出成型装置17におけるダイス47は様々の形状を有した貫通孔c1〜c4より構成し、各貫通孔c1〜c4は、小豆やチョコレート成型のための断面矩形の貫通孔c1と、求肥やパイ生地成型のための円弧状の貫通孔c2と、上記貫通孔c1又はc2への別の小樹脂部材52挿入で形成した他の断面矩形の小貫通孔c3や断面円形の小貫通孔c4と、より構成したことを特徴とする食品用真空押出成型装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、押込み羽根15とスクリュー16とは、個別のモータにより駆動するように構成することによりそれぞれ回転方向や回転速度を調節可能とし、スクリュー16の生地送り込みを自由に調節することを可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の食品用真空押出成型装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、生地原料が求肥の場合は、生地収納ホッパー12の前方側ジャケット19を加温し、先端ジャケット部21では冷却して成型し、生地原料がもち米で成型するお菓子の場合は、生地収納ホッパー12内を温め、先端ジャケット部21を冷却して成型し、生地原料が小豆の場合は、生地成型ホッパー12の前方側ジャケット19を冷却し、先端ジャケット部21は加温して成型し、生地原料がお菓子の場合は、前後でのジャケット19,21の温度変化を行わずに成型し、生地原料がチョコレートの場合は、前方側ジャケット19は冷却し、先端ジャケット部21は加温し、ダイス部は別々に加温して成型し、生地原料が熱で溶けやすいお菓子の場合は、生地収納ホッパー12とスクリュー16を冷却して先端側に押し出しやすくして成型することを特徴とする請求項1,2に記載の食品用真空押出成型装置である。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1に記載の発明によれば、生地収納ホッパーに例えばお菓子用の材料に投入すると、生地収納ホッパー内でホグシモータによる駆動押込み羽根の駆動することによって材料が混練され、生地収納ホッパーの底部に軸架したスクリューをスクリューモータにより駆動することによって、次工程の押出成型装置に搬送しながら生地の型押しをすることができる。
【0014】
すなわち、本発明の食品用真空押出成型装置を例えばお菓子の生地の加工に用いた場合には、生地収納ホッパー内でのスクリューへの生地の送り込みのタイミングとスクリューによる押出しのタイミングとを異ならせて駆動することが可能である。
【0015】
これにより、多種・多様の品種に合致したスクリューへの生地送り込みを微妙に調整することができ、多品種の食品に対応できる効果を有する。
【0016】
特に、菓子の生地のようにデリケートな食品を材料投入から押出成型までを一連で行うことができるものである。
例えば、きんつば等は、従来では材料に寒天を入れて型に入れて固めてカットすることにより作製していたが、本発明の食品用真空押出成型装置を使用することで真空押出することにより結着性を高めて、しかも、異なる型孔形状を有する先端ダイスを変更することにより様々な形状に容易に作製することができる。
【0017】
しかも、生地収納ホッパーは、真空度を調整可能な真空調整装置と連通しており、生地収納ホッパー内での真空度を調整することによって、きめ細かい材料組成を有する生地を成型することができ、空気の取り込みによる色の変化を無くし、材料本来の色彩や艶を出すことができる効果を有する。
すなわち、真空度の調整により、空気を可及的に介在せずに万遍なく材料同士を混練しながら結着性を高めて成型することができるのである。
【0018】
また、生地収納ホッパー内のジャケットと、次工程の押出成形部に混練生地を送るノズルアームに設けたジャケットと、押出成型装置(先端ダイス)とのいずれかで、各個別に調温した液体等を流通可能に構成しているので、食品の生地の種類によって温度を調節しながらの成型が可能である。
【0019】
例えば、熱に溶けやすい食品を成型する場合には、生地収納ホッパー、スクリュー部を所定温度で冷却し、ダイス先端を所定温度にすることで各個別での温度調節を可能としているので、デリケートな生地の生成を可能としている。
【0020】
また、ホグシモータとスクリューモータは生地収納ホッパーの上手側に配設した駆動ケース中にそれぞれ収納し、各モータの出力軸は押込み羽根とスクリューとにそれぞれ別々に連動連結したので、かかる本発明の食品用真空押出成型装置を例えばお菓子の生地の加工に用いた場合には、ホグシ、スクリューの動力源が各個別の駆動モータであるため、スクリューへの生地送り込みのタイミングを異ならせた駆動が可能である。
【0021】
また、押込み羽根は生地収納ホッパー内に軸架したホグシ軸に左右の方形材板の基端縁を左右互いに反対方向に指向する状態で取り付けているので、押込み羽根の一方の方形材板による押圧と他方の方形材板による押圧とが繰り返されることにより、生地収納ホッパー内で食品の生地の材料の隅々まで混合させることができる効果を有する。
【0022】
また、生地収納ホッパーの底部に架設したスクリューは、隣接する円盤状のスクリュー羽根の間を繋ぐ各軸部はスクリューの軸芯に沿わない傾斜状で、かつ、スクリュー羽根面と略直角に配設されているので、スクリュー羽根面に沿わせて生地を押圧しながら先端方向に搬送することができ、これにより、次工程での成型工程前における型押しによる生地成型を確実に行える効果を有する。
【0023】
特に、本件発明では生地収納ホッパー12内上方に押込み羽根15を配設し、その下方にスクリュー16の左半分を収納し、スクリュー16の右半分を生地収納ホッパー12の側方のノズルアーム20に収納しているので、生地原料は生地収納ホッパー12内上方部で撹拌混錬されて、しかも、前方側ジャケット19の調温により生地原料による最終製品の種類、例えばデリケートなお菓子等か一般食品生地かにより生地に最も適した成型が可能に構成されており、しかも生地原料は状オフから下方のスクリュー16に押し込むために原料自重と相俟って撹拌混錬した生地が円滑にスクリュー16の円盤状の羽根間の空間部に充分に押込まれスクリュー搬送を円滑にし、スクリュー16の右半分の下手側における押込み成型をより確実にできる。
【0024】
更には、上下方に配設した押込み羽根15とスクリュー16とはそれぞれ駆動モータを別個の駆動源としたことにより、最終製品により異なる生地原料の撹拌混錬の調整が行いやすく、更には押出成型装置17のダイス47では、最終成型製品の種類、例えば小豆やチョコレート、求肥やパイ生地等による使い分けをして最適のダイス47の貫通孔c1,c2を選択可能にしている。
【0025】
更には、押込み羽根15の構成も先端側と基端側との肉厚を異にした二枚の方形材板24,24とし、二枚の方形材板24,24は互いに逆向きの180°間隔に取り付けているため、生地収納ホッパー12内での生地原料の撹拌混錬を充分に行え、充分に混錬された生地を下方のスクリュー16に円滑に受け渡すことができ、その後のスクリュー搬送と成型作業を充分に行える効果がある。
【0026】
このように本件発明において、押込み羽根15の構造の特異性と上下位置に配設したスクリュー16の左右半分の配設位置と、生地原料や最終製品の種類に応じた先端の取替自在なダイス47の貫通孔の形状との組み合わせにより、一般食品用生地にも微妙な撹拌、温度調整の必要なお菓子類にも原料によって使い分けできる押出成型装置とすることができ、食品の成型作業の効率化と食品製品の質の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る食品用真空押出成型装置の全体構成を示した側面図である。
図2】本発明に係る食品用真空押出成型装置の全体構成を示した正面図である。
図3】本発明に係る食品用真空押出成型装置の一部断面構造を示した説明図である。
図4】本発明に係る生地収納ホッパーの断面構造を示した説明図である。
図5】本発明に係る食品用真空押出成型装置のダイスの構造を示した説明図である。
図6】本発明に係る食品用真空押出成型装置のセンサの取付状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、主体的構造として、真空調整装置と、真空調整装置に連通したジャケット付きの生地収納ホッパーと、生地収納ホッパーの外部に別々に設置したホグシモータ及びスクリューモータと、生地収納ホッパー内に軸架し、左右互い違いに張出し形成した押込み羽根と、生地収納ホッパーの底部に軸架したスクリューと、スクリューの先方に配設した押出成型装置により構成し、しかも、押込み羽根はホグシモータにより駆動すべく構成すると共に、その下部のスクリューはスクリューモータにより駆動すべく構成し、各モータの制御により生地収納ホッパー内の食品生地の押込みと次工程のスクリュー押出成型までの生地送り込みのタイミングを調整すべく構成している
【0029】
そして、生地収納ホッパーや次工程の押出成型部に混練生地を送るノズルアームに設けたジャケット内には食品材料の生地の種類により調温した液体等を流通可能に構成し、該ホッパーやノズルアーム及び押出成型装置内の温度調整が行えるように構成している
【0030】
すなわち、本発明は、食品用の生地の種類により、特にお菓子用の生地の特性にも適用できる混練又は一般の食品用生地の場合はそのままの生地の状態で次工程のスクリュー押出成型に移動し、最終製品の種類に最もふさわしい生地の加工処理をするための食品用真空押出成型装置に関するものである。
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
(食品用真空押出成型装置の全体構造について)
図1及び図2は、本発明に係る食品用真空押出成型装置10の全体構成を示した説明図であり、図1はその側面図であり、図2はその正面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、本発明の食品用真空押出成型装置10は、真空調整装置11と、真空調整装置11に連通したジャケット19付き(図3に示す)の生地収納ホッパー12と、生地収納ホッパー12の外部に別々に設置したホグシモータ13及びスクリューモータ14と、生地収納ホッパー12内に軸架し、左右互い違いに張出し形成した押込み羽根15と、生地収納ホッパー12の底部に軸架したスクリュー16と、スクリュー16の先方に配設した押出成型装置17と、更に、その先方に配設した搬送コンベア18とにより構成している。
【0034】
すなわち、図1及び図2に示すように、略正方体からなる基台26上に制御部36を有する装置本体27を配設し、その装置本体27の上手側には真空調整装置11を配設し、装置本体27の下手側には生地収納ホッパー12を配設している。
また、生地収納ホッパー12の下方にノズルアーム28を構成し、ノズルアーム28の下手先端に押出成型装置17を構成している。
なお、本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、装置本体27、生地収納ホッパー12、前記真空調整装置11、ノズルアーム28及び切断機構29等を一体にして基台26上に設置されている。
【0035】
また、図1に示すように、装置本体27等を備えた基台26に隣接して搬送コンベア18及び切断用センサ31を配設している。
すなわち、ノズルアーム28の先端位置に搬送コンベア18の始端部が位置するように配置している。
切断用センサ31は、搬送コンベア18上にてその上方や左右側方に取付自在とし、又は、前記切断機構29の上手側に取付自在としている。
【0036】
以下、各装置について詳細に説明する。
【0037】
(真空調整装置について)
真空調整装置11は、生地収納ホッパー12内を真空に調整するものである。
真空調整装置11は、図2に示すように、真空ポンプ32と、真空フィルター33と、真空メータ(図示せず)、制御装置(図示せず)等を備える。
真空調整装置11は、真空調整用ホース35を通して生地収納ホッパー12に連通している。
すなわち、真空調整装置11は、生地収納ホッパー12内の空気に含まれている水分と異物とを真空フィルター33でフィルタリングし、真空調整用ホース35を通して生地収納ホッパー12内の空気を真空ポンプ32で取り込むことによって、生地収納ホッパー12内の真空度を調整可能に構成している。
【0038】
(生地収納ホッパーについて)
図3は、本発明に係る食品用真空押出成型装置10の一部断面構造を示した説明図である。
図4は、本発明に係る生地収納ホッパー12の断面構造を示した説明図である。
【0039】
生地収納ホッパー12は、材料を混合すべく金属製容器で構成したものである。
すなわち、図4に示すように、この生地収納ホッパー12は、正面視の輪郭が略U字形をなし、平面視が横長長方形状をなし、天井部分に設けた長方形状の開口部Kを、平板状の蓋部材37で開閉部材39により開閉自在に封止するように構成している。
【0040】
蓋部材37には該蓋部材37を貫通する貫通孔35aが開設してあり、その貫通孔35aには真空調整装置11に連通する真空調整用ホース35の先端が連結してある。
また、生地収納ホッパー12は、蓋部材37の一部にホッパー内部を確認できる窓部(図示せず)を設けている。
【0041】
(ホグシモータ及びスクリューモータについて)
ホグシモータ13は、生地収納ホッパー12の上手側に配設した駆動ケース22a中に収納されている。
すなわち、図1に示すように、生地収納ホッパー12の上手側に直方体状の駆動ケース22aを配設し、その駆動ケース22a内にホグシモータ13を配設している。
ホグシモータ13の駆動軸40aは、図3に示すように、生地収納ホッパー12内の押込み羽根15のホグシ軸23と連結しており、ホグシモータ13の駆動により押込み羽根15を回転駆動可能に構成している。
また、押込み羽根15の回転方向や回転速度はホグシモータ13により調整可能としている。
例えば、順方向に所定時間回転した後、逆方向に所定時間回転し、これらを複数回繰り返すようにした攪拌が挙げられる。
【0042】
スクリューモータ14は、前記ホグシモータ13とは別の駆動ケース22b中に収納されている。
すなわち、図1に示すように、前記駆動ケース22aの下方に別の駆動ケース22bを設けており、この別の駆動ケース22b内にスクリューモータ14を配設している。
スクリューモータ14は、スクリュー16を回転可能に構成している。
スクリュー16の回転方向や回転速度はスクリューモータ14により調整可能としている。
【0043】
(押込み羽根及びスクリューについて)
押込み羽根15は、生地収納ホッパー12内に軸架しており、前記ホグシモータ13により駆動すべく構成したものである。
【0044】
押込み羽根15は、図3に示すように、生地収納ホッパー12内に軸架したホグシ軸23に左右の方形材板24の基端縁を左右互いに反対方向に指向する状態で取り付けられている。
すなわち、押込み羽根15の方形材板24は樹脂製部材で構成しており、ホグシ軸23の周囲に設けた支持杆23aに方形材板24の基端縁を取り付けている。
【0045】
また、図3に示すように、一方の方形材板24を金属製のホグシ軸23の左側に取り付け、他方の方形材板24を金属製のホグシ軸23の右側に取り付けている。
さらに、図3に示す各方形材板24は、ホグシ軸に例えば約180°間隔でそれぞれ取付けられており、その先端縁はホグシ軸23に対して指向方向を互いに逆向きにしている。
しかも、方形材板24は、ホグシ軸23とは垂直断面形状が、ホグシ軸23側の厚みが先端側厚みよりも薄く形成された略長円の形状を有する。
【0046】
このような羽根構造を有する押込み羽根15が回転することによって、生地収納ホッパー12内で材料が、まず一方の方形材板24によって上方向から下方向へ(又はその逆方向に)の押圧を受け、この後、他方の方形材板24によって上から下方向へ(又はその逆方向に)の押圧を受け、これらの動作を繰り返すことによりスクリュー16の方へと押し込まれる。
【0047】
図1及び図3に示すように、スクリュー16は、生地収納ホッパー12の底部に軸架しており、スクリューモータ14により駆動すべく構成したものである。
スクリュー16は、前記生地収納ホッパー12内で攪拌して混練又はそのままの生地の状態で材料を型押しながら押出成型装置17側に搬送させるように構成したものである。
【0048】
スクリュー16は、図3に示すように、金属製の円盤状の羽根を繋ぐように構成され、各軸部はスクリュー16の軸芯43に沿わない傾斜状としており、しかも、スクリュー羽根面25と略直角に配設されている。
【0049】
このような構造を有するスクリュー16は、回転しながらスクリュー羽根面25に前記攪拌後の材料を上方から取り込み、材料を羽根面25で前方に押出ししながら回転させることによって押出成型を可能に構成している。
【0050】
すなわち、図3に示すように、隣接する円盤状のスクリュー羽根25aの間で攪拌した材料を取り込み、スクリュー16の軸芯43に沿わない傾斜状にすることにより回転するスクリュー16上のどの箇所でも材料の取り込みができるように構成している。
そして、略直角に配設したスクリュー羽根面25で押し出しながら前方に押出するようにしているので、材料の取り込みを確実に行いながら先端への搬送力を向上させている。
【0051】
しかも、ノズルアーム20の内周面との搬送圧着力を強めて、ノズルアーム20の先端ジャケット21部内で充分に加熱や冷却の熱効率を向上し、原料を短期間で加熱又は冷却して原料の変性を可及的に防止し、原料の風味を損なうことなく次工程の押出成型工程へ受渡しすることができるのである。
【0052】
スクリュー16の周囲にはノズルアーム28が構成されている。
ノズルアーム28は、図3に示すように、生地収納ホッパー12の底部に形成したホッパー筒体44と、樹脂で構成したスペーサ円筒体45と、ホッパー側にフランジ部20aを備えると共に流体を流通可能な先端ジャケット部21を有する筒状のノズルアーム20と、真鍮で構成した真鍮筒体46と、ダイス47の基端側とにより一体で空洞部Oを形成して構成したものである。
【0053】
そして、その空洞部O内でスクリュー16を軸架している。すなわち、図3に示すように、ノズルアーム28内において、スクリュー16はその基端側をスクリューモータ14のスクリュー軸41に連結しており、その先端側をダイス47の基端側中央で回転自在に保持されている。
【0054】
(押出成型装置について)
押出成型装置17は、ダイス47と切断機構29とにより構成している。
押出成型装置17は、成形した生地を所定の形状で所定の形状に切断するものである。
【0055】
図5は、本発明に係る食品用真空押出成型装置のダイスの構造を示した説明図であり、(a)は断面矩形状の貫通孔c1を有する第1ダイス47aの説明図であり、(b)は円弧状の貫通孔c2を有する第2ダイス47bを示した説明図である。
また、(c)は、小樹脂部材52に複数の断面矩形の小貫通孔c3を複数有する第3ダイス47cの説明図であり、(d)は、小樹脂部材52に複数の断面矩形の小貫通孔c4を複数有する第4ダイス47dの説明図である。
【0056】
ダイス47は、円柱体からなる樹脂部材51(又は金属製部材)に、様々な形状を有する貫通孔c1〜c4が設けられたものである。
【0057】
例えば、小豆やチョコレートを成型する場合には、図5(a)に示す断面矩形の貫通孔c1を有する第1ダイス47a、又は図示しない断面台形の貫通孔を有するダイス等を選択可能である。
【0058】
また、求肥やパイ生地の場合には、図5(b)に示すように、円柱体からなる樹脂部材51に円弧状の貫通孔c2が設けられた第2ダイス47bを選択可能である。
【0059】
さらに、円柱体からなる樹脂部材51には複数の小貫通孔c3、c4を設けることもできる。
すなわち、図5(c)及び図5(d)に示すように、円柱体からなる樹脂部材51に型抜きされた貫通孔c1等に別の小樹脂部材52を挿入可能に構成し、その別の小樹脂部材52に複数の小貫通孔c3(断面矩形),c4(断面円形)を配設したものを適用できる。
これにより、チョコレート等の小片のお菓子の成型が可能となる。
このように、ダイスを変更することにより様々な食品成型が可能である。
【0060】
切断機構29は、図1に示すように、切断用センサ31の感知によるシャッター式のカッター54を備える。なお、必要に応じてカッター式の機構等で構成する場合もある。
カッター54は、図1に示すように、その下部に切断刃面54aを備えたものを垂直方向に昇降自在に構成することで食品の生地を切断するように構成している。
本発明では、図6に示す検出センサ55,56や接触式センサ57等の切断用センサ31を使用して、ダイス47の貫通孔c1〜c4端部から外側方に突出して成された食品を所定長さで切断するようにしている。
【0061】
(切断用センサについて)
図6は、切断用センサ31の取付形態を示した説明図であり、(a)は上方からレーザ光を照射する検出センサ55、(b)は左右側方からレーザ光を照射する検出センサ56、(c)は接触式センサ57を示した説明図である。なお、検出のためのレーザ光は、赤外光等他の方法であってもよい。
【0062】
切断用センサ31の取付形態については、搬送コンベア18上に流れる食品生地30の上方からレーザ光を照射するタイプ(検出センサ55)、食品生地30の左右側方から中央の搬送コンベア18に照射するタイプ(検出センサ56)や図示しない食品生地30の左右何れかの一方向から中央の搬送コンベア18に照射するタイプ、直接押し当てるタイプ(接触式センサ57)が挙げられる。
【0063】
図6(a)に示すように、食品生地30の上方からレーザ光を照射する検出センサ55では、搬送コンベア18上に搬送される成型後のお菓子生地30を上方からレーザ光を照射し、レーザ光の照射により前回でのカッター54による切断端面を検出したときにシャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0064】
また、図6(b)に示すように、お菓子生地30の左右側方から照射する検出センサ56では、搬送コンベア18上に搬送される成型後のお菓子生地30に対して、左右側方の一方からレーザ光を照射し左右側方の他方からこれを受光するように透過型センサ等を配設し、前回でのカッター54による切断端面を検出したときにシャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0065】
また、図6(c)に示すように、直接押し当てるタイプでは、搬送コンベア18上に搬送され、又は搬送コンベア18に載置される前に成型後のお菓子生地30が接触式センサ57に押し当てられたことを感知することにより、シャッター式カッター54を駆動するように構成している。
【0066】
そして、お菓子の種類に応じて上記いずれかの切断用センサ31の取付形態を選択して使い分けることができ、例えば、成型後の形状が細長い棒状のものは、上から又は左右側方から照射するタイプ(検出センサ55,56)を使用し、丸い小片のものは接触式のタイプ(接触式センサ57)を使用することができる。
【0067】
搬送コンベア18は、成型したお菓子を次の包装工程に搬送するためのコンベアである。
搬送コンベア18は、図1に示すように、第2基台68上に配設された始端ローラ59と終端ローラ60との間にコンベアベルト61を巻回しており、始端ローラ59は前記ダイス47の下方に位置させている。
また、搬送コンベア18上には、前記切断用センサ31を取り付け可能としている。
【0068】
生地収納ホッパー12内のジャケット19(前方側ジャケット)は、その容器外方に空洞部62を形成し、その空洞部62に調温した液体を流通可能に構成したものである。
すなわち、図4に示すように、生地収納ホッパー12の容器内壁面Nの形状に沿うように、その内壁面Nより外方に液体を収納可能な空洞部62を形成している。
【0069】
また、生地収納ホッパー12の短辺側外壁面Gには前記空洞部62内に流体を導入させる第1流体導入口63を配設し、また、導入した流体を空洞部62から生地収納ホッパー12外に導出させる第1流体導出口64を配設している。
【0070】
そして、第1流体導入口63及び第1流体導出口64を通して調温した流体を流通させることで、生地収納ホッパー12内で攪拌するお菓子の材料を加熱又は冷却可能としている。
【0071】
ノズルアーム20に設けた先端ジャケット部21(後方側ジャケット)は、図3に示すように、前記ホッパーの先端に所定間隔を有して離間して配置され、スクリュー16を囲繞するように円環状に構成されたものである。
【0072】
そして、この円環状の先端ジャケット部21内に構成した流通路中に流体を導入させる第2流体導入口65を配設し、また、導入した流体を生地収納ホッパー12外に導出させる第2流体導出口66を配設している。
【0073】
そして、第2流体導入口65及び第2流体導出口66を通して調温した流体をノズルアーム20に設けた先端ジャケット部21内に流通させることで、ノズルアーム20内に流れる生地に対して加熱又は冷却可能としている。
【0074】
制御部36は、生地収納ホッパー12内の真空度や、各ジャケット19,21に流通させる流体の温度調節や、押込み羽根15の回転速度や回転方向、スクリュー16の回転速度や回転方向、カッター54の切断タイミング等をプログラムに応じて制御可能に構成している。
このため、図2に示すように、これらのプログラム制御を操作可能な操作パネル67を装置本体27上に配設している。
【0075】
(成型方法について)
このような、食品用真空押出成型装置10でお菓子を成型するには、蓋部材37を開けて、開口部Kから生地収納ホッパー12内へ、和菓子等の生地の材料(例えば、小麦粉、豆類、砂糖等)を所定量投入する。
この後、蓋部材37によって生地収納ホッパー12の開口部Kを封止する。
【0076】
次に、真空調整装置11によって真空調整用ホース35を介して、生地収納ホッパー12内の真空度を調整する。
この後、ホグシ軸23の回転駆動力によって押込み羽根15を回転駆動させて、生地収納ホッパー12内へ投入した原料がスクリュー16の方に押し込まれる。
また、生地収納ホッパー12内に調温された流体を流通させることで、生地収納ホッパー12内を所定温度にて維持可能である。
【0077】
そして、生地収納ホッパー12内で原料の撹拌・混合をしながら、混合された原料はノズルアーム28内へ投入される。
【0078】
ノズルアーム28内に配置してあるスクリュー16はスクリュー軸41によって回転駆動されており、筒体内に投入された混合原料はスクリュー16によってダイス47の方向へ連続的に移送される。
【0079】
スクリュー16によってダイス47まで移送された混合原料はダイス47の基端側壁面に当接してそこに一時的に滞留する一方、後方から混合原料が連続的に移送されるため、ダイス47内壁面側の内圧が上昇し、これによって混合原料はノズルアーム28内で加圧されて生地になる。
【0080】
そして、ノズルアーム28内が所定圧力に達すると、生地はダイス47に開設してある単数又は複数の貫通孔c1〜c4から外へ押し出されて成型されたお菓子の生地を得る。
すべての材料を投入した分がお菓子の生地として作製された後に、次の材料を生地収納ホッパー12内に投入する。
以上の工程を経てお菓子の生地が作製される。
【0081】
本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、最終成型まで行うもの又は最終成型の前段階まで行うものである。
最終成型まで行うものとして、例えば、小豆のお菓子やチョコレート等の生地が挙げられる。
また、最終成型の前段階まで行うものとして、例えば、ハンバーグや煎餅等の生地が挙げられ、この後の生地を丸めたり押し広げたりする最終形態の前段階として成型を行うものである。
【0082】
(回転方向や回転速度の調節について)
本発明では、押込み羽根15とスクリュー16とを各個別のモータで駆動するようにしており、しかも、各個別に回転方向や回転速度を調節可能としている。
すなわち、各個別の駆動モータを設けることにより押込み羽根15とスクリュー16との駆動源を異ならせているので、スクリューへの生地送り込みを自由に調整することが可能である。
【0083】
例えば、攪拌工程では材料の混合を念入りに行い、その後の押出成型は時間をかけないようにして搬送可能とする。
又は、材料を直ぐに混ぜ合せた状態で、その後の成型をじっくり時間をかけながら搬送することができる。
すなわち、本発明ではお菓子や食品等の品種毎に応じて、スクリューへの生地送り込みを異ならせることを可能にするものである。
【0084】
従って、食品の多種・多様の品種に合致した混合時間と押出成型工程での時間を微妙に調整することができ、本発明に係るは多品種の食品に対応できるのである。
【0085】
なお、押込み羽根15やスクリュー16の回転方向や回転速度も食品に応じて制御可能に構成することもできる。
【0086】
(真空度の調整について)
本発明では、真空調整装置11に連通した生地収納ホッパー12内の真空度を調整可能に構成している。
生地収納ホッパー12での真空度はお菓子等の食品の種類によって適宜決定される。
【0087】
すなわち、真空調整装置11によって真空調整用ホース35を介して生地収納ホッパー12内の真空度を調整しつつ、生地収納ホッパー12内を真空状態にして材料が攪拌されることになる。
【0088】
これにより、生地収納ホッパー12内では空気が存在しない状態となるので、材料同士が密着しながら混練されることになる。
つまり、真空度を調整することで、生地を構成する粒子をきめ細かくして粒子同士の密着度を高めた成型が可能となる。
しかも、生地の粒子をきめ細かくすることで、食感や味覚までも変化に富む食品を形成することができる。
【0089】
また、生地内に空気封入することによる色の変化や艶の減少を防止でき、お菓子自体が有する本来の色や艶を出すことができる。
【0090】
(温度の調節について)
本発明では、生地収納ホッパー12側に流体が流通可能なジャケット19(前方側ジャケット)を有し、また、ノズルアーム20上にも先端ジャケット部21(後方側ジャケット)を有し、これらの2つのジャケット19,21内の流体の温度調節によりデリケートな生地の成型を行える。
【0091】
具体的には、生地収納ホッパー12内のジャケット19内に調温された流体を流通させることにより、生地収納ホッパー12内の調温が可能になる。
すなわち、生地収納ホッパー12内において温度調節を行いながらの材料の攪拌が可能となる。
【0092】
また、先端ジャケット部21内に調温された流体を流通させることにより、先端ジャケット部21内の調温が可能になる。
すなわち、先端ジャケット部21内において温度調節を行いながらのスクリュー16による搬送が可能となる。
【0093】
そして、お菓子の種類に応じて温度調節を行いながらの生地作製が可能となる。
例えば、求肥等の場合には、生地収納ホッパー12側前方側ジャケット19では加温し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では冷却する。
もち米で形成するお菓子の場合には、生地収納ホッパー12内を温めることにより材料の混練が容易になり、そして先端ジャケット部21を冷却することで成型が容易になる。
【0094】
又は、小豆等の場合には、生地収納ホッパー12(前方側ジャケット)では冷却し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では加温する。
成型時に温度の影響を受けないお菓子や、冷却のみで成型又は加熱工程のみで成型するお菓子等は、前後でのジャケット19,21の温度変化を行わず成型する。
【0095】
チョコレートの場合には、生地収納ホッパー12(前方側ジャケット)では冷却し、先端ジャケット部21(後方側ジャケット)では冷却し、ダイス部別に加温する。
なお、この場合ジャケット部を先端ダイス側に配設してダイス部を加温する。
熱で溶けやすいお菓子の場合には、生地収納ホッパー12側とスクリュー16を冷却することで先端側を押し出しやすくできる。
【0096】
このように、温度調整することによりデリケートな生地の成型が可能である。
すなわち、生地収納ホッパー12側の生地押込み時の温度と、先端側の押出成型工程での温度とを調節を行うことにより、生地の硬度等を調節しながら、最終的な生地の材料特有の硬度等に調整することが可能である。
【0097】
本発明に係る食品用真空押出成型装置10は、和菓子や洋菓子に使用するお菓子用の生地を混練する実施形態について説明したが、ハンバーグやポテトサラダ等の料理に応用したり、食品等に限られず線香や蝋燭等の生地作製にも応用できるものである。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 食品用真空押出成型装置
11 真空調整装置
12 生地収納ホッパー
13 ホグシモータ
14 スクリューモータ
15 押込み羽根
16 スクリュー
17 押出成型装置
18 搬送コンベア
19 ジャケット
20 ノズルアーム
21 ジャケット
22a,22b 駆動ケース
23 ホグシ軸
24 方形材板
25 スクリュー羽根
図1
図2
図3
図4
図5
図6