特許第6443989号(P6443989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443989
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G06F3/041 510
   G06F3/041 422
   G06F3/041 600
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-221253(P2015-221253)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-91254(P2017-91254A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】重高 寛
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−184204(JP,A)
【文献】 特開2015−114308(JP,A)
【文献】 特開2015−052851(JP,A)
【文献】 特開2011−053971(JP,A)
【文献】 特開2009−134473(JP,A)
【文献】 特開2012−137971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を受ける基板と、
前記基板を弾性的に支持する支持部と、
前記入力操作に伴って前記基板に加えられる力を検出する力センサ部とを備え、
前記力センサ部は、
弾性部材を含み、前記弾性部材の弾性変形に応じて抵抗値が変化する可変抵抗部と、
前記可変抵抗部の抵抗値に応じた信号を生成する信号生成部と
を有し、
前記支持部は、前記弾性部材を収容する収容空間であって、前記入力操作に伴って前記基板に力が加えられると容積が弾性的に変化する収容空間を有し、
前記可変抵抗部は、前記収容空間において互いに接触可能に配置され、導電率が異なる2つの導電部材を含み、
前記2つの導電部材のうち導電率が高い方の導電部材が、前記弾性部材であり、
前記2つの導電部材のうち導電率が低い方の導電部材が、前記基板に形成された抵抗体のパターンであり、
前記弾性部材が、前記抵抗体のパターンとの接触箇所に向かって張り出した凸面を持ち、
前記収容空間の容積が変化すると、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触圧が変化し、
前記基板には、前記抵抗体のパターンとそれぞれ電気的に接続され、前記接触箇所を間に挟んで配置された2つの電極パターンが形成されており、
前記信号生成部は、前記2つの電極パターン間における抵抗値に応じた信号を生成する、
入力装置。
【請求項2】
前記基板は、平行に対向する第1の面と第2の面を持ち、前記第1の面において前記入力操作を受け、
前記支持部は、前記第2の面から前記基板を支持し、
前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとは、前記収容空間において前記第1の面及び前記第2の面と垂直な縦方向に並んで配置され、
前記収容空間は、前記入力操作によって前記基板に加えられる前記縦方向の力が増すと、前記縦方向の長さが縮小する、
請求項に記載の入力装置。
【請求項3】
物体の近接状態に応じて静電容量が変化する複数の容量性センサ素子を含んだ静電センサ部を備え、
前記複数の容量性センサ素子が前記基板の前記第1の面若しくは前記第1の面と前記第2の面との間の中間層に配置される、
請求項に記載の入力装置。
【請求項4】
前記抵抗体のパターンがカーボンの薄膜として前記第2の面に形成さ
前記信号生成部が前記基板に配置される、
請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記収容空間の開口部を囲み、前記基板の前記第2の面に固定される端面を有し、
前記収容空間の前記開口部が、前記基板の前記第2の面において前記抵抗体のパターンと重なる領域に位置する、
請求項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記縦方向に対して中心軸が平行な円柱体であり、
前記収容空間は、前記円柱体と中心軸が共通し、前記円柱体より径が小さい円柱状の空間である、
請求項2乃至5の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記収容空間の前記縦方向の長さは、前記基板に前記縦方向の力が加えられていない場合でも前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとが互いに接触する長さに設定される、
請求項2乃至6の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記第2の面と平行であり、互いに垂直に交わる2本の仮想直線のそれぞれに対して線対称な前記第2の面の複数の位置に、複数の前記支持部が固定される、
請求項2乃至7の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記基板の前記第2の面に固定され、前記力センサ部の前記信号生成部において生成される信号に応じて振動する振動発生部を有する、
請求項2乃至8の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記第2の面の複数の位置に複数の前記支持部が固定され、
前記振動発生部が、前記複数の支持部の固定位置を頂点とする多角形の領域の内側に固定される、
請求項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記振動発生部が前記多角形の領域の重心位置に固定される、
請求項10に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基板に対する押圧等の入力操作を検出する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物体の近接を検出する近接センサと、外部から加えられる力を検出する力センサ(フォースセンサ)とを備えた入力装置が記載されている。この従来の入力装置において、近接センサと力センサは、何れも静電容量の変化に基づいてセンシングを行う。従来の入力装置は、第1基板と第2基板を有する。第1基板の表面に近接センサ用の電極が配設され、その裏面に力センサ用の電極が配設される。また第1基板の裏面には、スペーサ層を介して、第2基板が接着される。第2基板は、金属の板であり、打ち抜き加工によって形成されたばね機構と電極要素を有する。電極要素は、ばね機構によって弾性的に支持される。第2基板の電極要素と第1基板の電極とが、スペーサ層によって作られたギャップを隔てて対向し、可変容量のキャパシタを形成する。
【0003】
第1基板が押圧されると、第2基板の背面のケーシングに設けられた凸部(力伝達要素)によって第2基板の電極要素が押される。これにより、第1基板の電極と第2基板の電極要素との距離が変化し、電極間の静電容量が変化する。力センサは、この電極間の静電容量をセンシング結果として取得する。
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0099802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の入力装置は、電極間のギャップの変化による静電容量の変化に基づいて力を検出するため、電極間のギャップを形成するための部品(スペーサ層)が必要となる。また、第1基板及び第2基板を支持するための機構と、力の検出のために変位や弾性変形を生じる機構とが別に設けられているため、それぞれの機構の部品が必要となる。従って、部品点数が多く構成が複雑であるという不利益がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力操作に伴って基板に加えられる力を簡易な構成で検出することができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、入力操作を受ける基板と、前記基板を弾性的に支持する支持部と、前記入力操作に伴って前記基板に加えられる力を検出する力センサ部とを備える。前記力センサ部は、弾性部材を含み、前記弾性部材の弾性変形に応じて抵抗値が変化する可変抵抗部と、前記可変抵抗部の抵抗値に応じた信号を生成する信号生成部とを有する。前記支持部は、前記弾性部材を収容する収容空間であって、前記入力操作に伴って前記基板に力が加えられると容積が弾性的に変化する収容空間を有する。
【0008】
上記の構成によれば、前記入力操作に伴って前記基板に力が加えられると、前記収容空間の容積が弾性的に変化し、前記収容空間に収容された前記弾性部材に弾性変形が生じる。この前記弾性部材の弾性変形に応じて、前記可変抵抗部の抵抗値が変化し、前記信号生成部において生成される信号が変化する。従って、静電容量の変化に基づいて力を検出する従来の方式のように、電極間のギャップを形成するためのスペーサ等の機構部品が必要ない。また、前記基板を支持する前記支持部が、前記入力操作の力の検出に必要な弾性変形を生じることから、力の検出のために変位や弾性変形を生じる機構部品を前記支持部と別に設ける必要がない。
【0009】
本発明の入力装置において、前記可変抵抗部は、前記収容空間において互いに接触可能に配置され、導電率が異なる2つの導電部材を含み、前記2つの導電部材のうち導電率が高い方の導電部材が、前記弾性部材であり、前記2つの導電部材のうち導電率が低い方の導電部材が、前記基板に形成された抵抗体のパターンであり、前記弾性部材が、前記抵抗体のパターンとの接触箇所に向かって張り出した凸面を持ち、前記収容空間の容積が変化すると、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触圧が変化し、前記基板には、前記抵抗体のパターンとそれぞれ電気的に接続され、前記接触箇所を間に挟んで配置された2つの電極パターンが形成されており、前記信号生成部は、前記2つの電極パターン間における抵抗値に応じた信号を生成する。
【0010】
上記の構成によれば、前記入力操作に伴って前記基板に力が加えられると、前記収容空間の容積が変化し、前記収容空間において互いに接触した前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触圧が変化する。前記弾性部材が、前記抵抗体のパターンとの接触箇所に向かって張り出した前記凸面を持っているため、前記接触圧が変化すると、前記弾性部材が前記接触箇所において変形し、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触面積が変化する。この接触面積が変化すると、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触箇所における抵抗値が変化するため、前記抵抗体のパターンとそれぞれ電気的に接続され、前記接触箇所を間に挟んで配置された2つの電極パターン間の抵抗値が変化する。すなわち、前記2つの電極パターン間の抵抗値は、前記接触面積が小さいほど大きくなり、前記接触面積が大きいほど小さくなる。前記2つの電極パターン間の抵抗値に応じて生成される前記信号生成部の信号は、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触面積に応じて変化する。
【0011】
好適に、前記基板は、平行に対向する第1の面と第2の面を持ち、前記第1の面において前記入力操作を受けてよい。前記支持部は、前記第2の面から前記基板を支持してよい。前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとは、前記収容空間において前記第1の面及び前記第2の面と垂直な縦方向に並んで配置されてよい。前記収容空間は、前記入力操作によって前記基板に加えられる前記縦方向の力が増すと、前記縦方向の長さが縮小してよい。
【0012】
上記の構成によれば、前記入力操作によって前記基板に加えられる前記縦方向の力が増すと、前記収容空間の前記縦方向の長さが縮小するため、前記縦方向に並んで配置された前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとが互いに近づき、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触圧が増して、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触面積が大きくなる。逆に、前記縦方向の力が減ると、前記収容空間の前記縦方向の長さが弾性によって伸長するため、前記縦方向に並んで配置された前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとが互いに離れ、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触圧が減少して、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触面積が小さくなる。前記基板を介して前記支持部に加えられる前記縦方向の力は、前記収容空間の前記縦方向における長さの変化へ効率的に変換され易い。また、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとが並んで配置される方向が前記縦方向であるため、前記収容空間の前記縦方向における長さの変化は、前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとの接触面積の変化へ効率的に変換され易い。従って、前記信号生成部において得られる信号の感度が向上する。
【0013】
好適に、上記入力装置は、物体の近接状態に応じて静電容量が変化する複数の容量性センサ素子を含んだ静電センサ部を備えてよく、前記複数の容量性センサ素子が前記基板の前記第1の面若しくは前記第1の面と前記第2の面との間の中間層に配置されてよい。
これにより、前記基板において物体の近接状態の検出と力の検出の両方を行うことが可能となる。また、前記複数の容量性センサ素子が配置される前記第1の面若しくは前記中間層と異なる前記第2の面において前記支持部が前記基板を支持することから、前記複数の容量性センサ素子の配置領域を広く確保することが可能となる。
【0014】
好適に、前記抵抗体のパターンがカーボンの薄膜として前記第2の面に形成されてよく、前記信号生成部が前記基板に配置されてよい。
これにより、前記抵抗体のパターンと前記信号生成部との接続を前記基板の導電パターンによって行うことが可能となるため、コネクタ等の配線が不要となり、構成がより簡易になる。
【0015】
好適に、前記支持部は、前記収容空間の開口部を囲み、前記基板の前記第2の面に固定される端面を有してよい。前記収容空間の前記開口部は、前記基板の前記第2の面において前記抵抗体のパターンと重なる領域に位置してよい。
これにより、前記支持部の端面を前記第2の面に両面テープ等で固定するだけで、前記収容空間の開口部において前記弾性部材である導電部材と前記抵抗体のパターンとの接触が確保されるため、構成がより簡易になり、組み立てが容易になる。
【0016】
好適に、前記支持部は、前記縦方向に対して中心軸が平行な円柱体であってよい。前記収容空間は、前記円柱体と中心軸が共通し、前記円柱体より径が小さい円柱状の空間であってよい。
これにより、前記基板へ前記縦方向の力が加えられた場合に、前記支持部の円柱状の前記収容空間が径方向へ均等に変形し易くなり、前記収容空間の前記縦方向の長さも均等に変形し易くなるため、前記縦方向の力に応じて前記接触面積が安定に変化し、力の検出の精度が向上する。
【0017】
好適に、前記収容空間の前記縦方向の長さは、前記基板に前記縦方向の力が加えられていない場合でも前記弾性部材と前記抵抗体のパターンとが互いに接触する長さに設定されてよい。
これにより、前記基板への前記縦方向の力がゼロに近い範囲においても、前記可変抵抗部の抵抗値の変化が検出され易くなる。
【0018】
好適に、前記第2の面と平行であり、互いに垂直に交わる2本の仮想直線のそれぞれに対して線対称な前記第2の面の複数の位置に、複数の前記支持部が固定されてよい。
これにより、前記基板が安定に支持され易くなる。また、前記2本の仮想直線のそれぞれに対して線対称な複数の位置で力の検出が行われるため、前記基板上における力の作用位置を算出し易くなる。
【0019】
好適に、上記入力装置は、前記基板の前記第2の面に固定され、前記力センサ部の前記信号生成部において生成される信号に応じて振動する振動発生部を有してよい。
これにより、前記振動発生部が発生した振動に応じて前記支持部が弾性変形し、振動の力が前記支持部より先に伝わり難くなるため、振動の力が前記基板に接触する指等へ伝わり易くなる。また、前記振動発生部が前記第2の面に固定されるため、前記縦方向のサイズを小型化し易くなる。
【0020】
好適に、前記第2の面の複数の位置に、複数の前記支持部が固定されてよい。前記振動発生部が、前記複数の支持部の固定位置を頂点とする多角形の領域の内側に固定されてよい。
これにより、前記基板が安定に支持され易くなる。また、前記2本の仮想直線のそれぞれに対して線対称な複数の位置で力の検出が行われるため、前記基板上における力の作用位置を算出し易くなる。更に、前記振動発生部で発生した振動が前記基板に接触する物体(指など)へ効率的に伝わる。
【0021】
好適に、前記振動発生部が前記多角形の領域の重心位置に固定されてよい。
これにより、前記振動発生部で発生した振動が前記基板に接触する物体へより効率的に伝わる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、入力操作に伴って基板に加えられる力を簡易な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る入力装置の構造の一例を示す図である。
図2】支持部の構造の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る入力装置の要部の構造を例示する図である。
図4】本発明の実施形態に係る入力装置の全体的な構成の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の一変形例に係る入力装置の構造を示す図である。
図6図5に示す入力装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る入力装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る入力装置の構造の一例を示す図である。図1に示す入力装置は、入力操作を受ける基板10と、基板10を弾性的に支持する4つの支持部20を有しており、基板10に指やペンなどの物体を触れさせて行われる種々の入力操作に応じた情報を入力する。この入力装置は、入力操作に応じた情報を入力するための検出機能として、基板10に加えられる力を検出する機能と、基板10に近接する物体の位置を検出する機能を備える。
【0025】
基板10は、図1の例において板状の部材であり、平行に対向する第1の面101と第2の面102を持つ。基板10は、第1の面101において入力操作を受ける。また図1の例において、基板10の平面形状は矩形であり、垂直に交わる2本の仮想直線L1及びL2のそれぞれに対して線対称となっている。なお、基板10の平面形状は矩形に限定されない。例えば、第1の面101及び第2の面102の形状は、垂直に交わる2本の仮想直線L1及びL2のそれぞれに対して線対称な他の形状(真円,楕円,正多角形など)でもよい。
【0026】
支持部20は、入力操作を受ける第1の面101に対して反対側の第2の面102から基板10を支持する。図1の例において、支持部20の一方の端が基板10の第2の面102に固定され、支持部20の他方の端が基台5に固定される。後述するように、支持部20がそれぞれ有する弾性力を利用して、支持部20に作用する力が検出される。
【0027】
図1の例において、4つの支持部20は、矩形形状の基板10の四隅と近い位置に固定される。基板10の縁と近い位置に4つの支持部20を固定することで、基板10が安定に支持され易くなる。また、第2の面102と平行な2本の直交した仮想直線L1及びL2のそれぞれに対して線対称な4つの位置に4つの支持部20を固定することで、基板10がより安定に支持される。更に、2本の仮想直線L1及びL2のそれぞれに対して線対称な4つの位置で支持部20に加わる力を検出することで、この4つの位置における力の関係から、第2の面102に力が作用した位置を算出し易くなる。なお、支持部20の数は4より多くてもよい。
【0028】
図2は、支持部20の構造の一例を示す図である。図2Aは斜視図を示し、図2B図2AのB−B線における断面図を示す。
図2の例において、支持部20は円柱体である。この円柱体の中心軸は、基板10が持つ2つの面(第1の面101,第2の面102)と垂直な方向(以下、「縦方向」と記す。)に対して平行である。支持部20の一方の端面201が基板10の第2の面102に固定され、支持部20の他方の端面202が基台5に固定される。
【0029】
支持部20は、導電部材41を収容する収容空間25を有する。導電部材41は、例えば、導電ラバーなどの弾性部材である。図2の例において、収容空間25は、円柱体である支持部20と中心軸が共通する円柱状の空間であり、支持部20よりも径が小さい。支持部20は、基板10の第2の面102に固定される端面201において、収容空間25の開口部26を有する。端面201は、円形の開口部26を囲むリング状の形状を有する。端面201が基板10の第2の面102に固定されると、開口部26が第2の面102によって塞がれるため、収容空間25は密閉された空間となる。
【0030】
この収容空間25は、入力操作に伴って基板10に力が加えられると、その容積が弾性的に変化する。すなわち、入力操作によって基板10に加えられる縦方向の力が増すと、支持部20が基板10と基台5の間に挟まれて圧縮されるため、収容空間25の縦方向の長さが縮小する。支持部20は、例えばポリウレタンフォームやエラストマなどの弾性を有した材料を用いて形成される。
【0031】
図3は、本実施形態に係る入力装置の要部の構造を例示する図であり、図1におけるA−A線の断面の一部を示す。図3Aは基板10に力が加えられていない初期状態を示し、図3Bは縦方向の力が加えられた状態を示す。図3A図3Bにおいて示すように、収容空間25の縦方向の長さが変化すると、収容空間25に収容された弾性部材である導電部材41が弾性変形を生じる。
【0032】
図3の例において、基板10は、互いに貼り合わされた板状のガラス板11とプリント基板12を有する。ガラス板11の一方の面が第1の面101であり、ユーザの入力操作を受ける。ガラス板11の他方の面にはプリント基板12が接着される。ガラス板11に接着されるプリント基板12の一方の面には、後述する容量性センサ素子Csの電極パターン(図4)が形成される。
【0033】
プリント基板12の他方の面(ガラス板11に対して反対側の面)が第2の面102であり、支持部20はこの面から基板10を支持する。支持部20の一方の端面201が両面テープ6Aで第2の面102に接着され、支持部20の他方の端面202が両面テープ6Bで基台5に接着される。
【0034】
プリント基板12の第2の面102には、収容空間25に収容された導電部材41と接触する導電部材42が配置される。図3の例において、導電部材42はカーボンなどの抵抗体のパターン(薄膜)であり、導電部材41に比べて導電率が低い(抵抗値が高い)。端面201に囲まれた収容空間25の開口部26は、第2の面102に形成された導電部材42の抵抗体のパターンと重なる領域に位置する。収容空間25に収容された弾性部材である導電部材41は、第2の面102に向かって弾性的に突出し、導電部材42と接触する。
【0035】
入力操作に伴う縦方向の力が基板10に加えられることで収容空間25の容積が変化すると、収容空間25において互いに接触して配置された2つの導電部材(41,42)の接触圧が変化する。すなわち、基板10に加えられる縦方向への力が増すと、収容空間25の縦方向の長さが縮小し、2つの導電部材(41,42)の接触圧が増す。図2において示すように、弾性部材である導電部材41は、導電部材42との接触箇所に向かって張り出した凸面を持つ。そのため、導電部材41と導電部材42との接触圧が増すと、導電部材41が接触箇所において変形し、導電部材41と導電部材42との接触面積が変化する。
【0036】
導電部材41と導電部材42との接触面積が変化すると、この接触箇所の抵抗値が変化する。すなわち、導電部材41と導電部材42との接触箇所では、高抵抗の導電部材42に低抵抗の導電部材41が並列接続された状態となるため、抵抗値が低くなる。接触箇所の面積が大きくなるほど、この接触箇所を介した導電経路の抵抗値が低くなる。プリント基板12の第2の面102には、導電部材41と導電部材42との接触箇所を間に挟んで2つの電極パターン(31,32)が配置される。電極パターン31,32は、それぞれ抵抗体の導電部材42と電気的に接続される。従って、2つの電極パターン(31,32)の間における抵抗値は、導電部材41と導電部材42との接触面積に応じて変化する。2つの電極パターン(31,32)は、後述する信号生成部44に接続される。
【0037】
図2において示すように、収容空間25の縦方向の長さは、基板10の導電部材42に向かって張り出した導電部材41の凸面の頂部までの長さに比べて短い。そのため、収容空間25に収容された導電部材41は、基板10に縦方向の力が加えられていない場合でも、基板10の導電部材42と接触した状態になる。すなわち、収容空間25の前記縦方向の長さは、基板10に縦方向の力が加えられていない場合でも2つの導電部材(41,42)が互いに接触する長さに設定される。これにより、縦方向の力がゼロに近い微小な範囲であっても、2つの導電部材(41,42)の接触が確保されるため、縦方向の力に応じた接触面積の変化が生じ、2つの電極パターン(31,32)間における抵抗値の変化が生じる。
【0038】
図4は、本実施形態に係る入力装置の全体的な構成の一例を示す図である。本実施形態に係る入力装置は、例えば図4において示すように、4つの支持部20に対応した4つの力センサ部40と、静電センサ部50と、処理部60を備える。
【0039】
力センサ部40は、入力操作に伴って基板10に加えられる力を検出するセンサであり、可変抵抗部43と信号生成部44を有する。
可変抵抗部43は、導電部材41の弾性変形に応じて抵抗値が変化する回路であり、上述した導電部材41と導電部材42を含む。
【0040】
信号生成部44は、可変抵抗部43の抵抗値、すなわち導電部材41と導電部材42との接触箇所を挟んで配置された2つの電極パターン(31,32)間における抵抗値に応じた信号を生成する。例えば信号生成部44は、可変抵抗部43の抵抗値に応じたアナログ信号を生成する回路と、このアナログ信号をデジタル信号に変換して処理部60に出力するAD変換器を有する。
【0041】
静電センサ部50は、基板10の第1の面101に近接する物体の位置を静電容量の変化に基づいて検出するセンサであり、図4の例ではセンサマトリクス51と、駆動部52と、静電容量検出部53を有する。
【0042】
センサマトリクス51は、プリント基板12においてガラス板11と接した面に形成された複数の駆動電極Exと複数の検出電極Eyを備える。複数の駆動電極Exと複数の検出電極Eyは、格子状に交差して配置され、互いに絶縁される。駆動電極Exと検出電極Eyとの交差点付近には、物体の近接状態に応じて静電容量が変化する容量性センサ素子Csが形成される。複数の容量性センサ素子Csは、基板10における第1の面101と第2の面102との間の中間層においてマトリクス状に分布する。
【0043】
駆動部52は、センサマトリクス51の各容量性センサ素子Csに駆動電圧を印加する。例えば、駆動部52は、処理部60の制御に従って、複数の駆動電極Exから順番に一の駆動電極Exを選択し、当該選択した一の駆動電極Exの電位を周期的に変化させる。各容量性センサ素子Csの容量が物体の近接状態に応じて変化し、それに応じた電荷量の充電、放電が生じる。駆動電極Exに対する駆動と検出電極Eyでの検出を順次に行うことにより、センサマトリクス51の全体における物体の近接状況が分かる。
【0044】
静電容量検出部53は、駆動部52による駆動電圧の印加に伴って容量性センサ素子Csが充電又は放電される際に各検出電極Eyにおいて伝送される電荷を検出する。すなわち、静電容量検出部53は、駆動部52の駆動電圧の周期的な変化と同期したタイミングで、各検出電極Eyにおいて伝送される電荷を検出する。例えば静電容量検出部53は、容量性センサ素子Csの静電容量に応じた電圧を出力する静電容量−電圧変換回路(CV変換回路)と、CV変換回路の出力信号をデジタル信号に変換するAD変換器を有する。
【0045】
なお、上述の例において示したセンサ部10は、電極間(Ex,Ey)に生じる静電容量(相互容量)の変化によって物体の近接を検出するものであるが、この例に限らず、他の種々の方式によって物体の近接を検出してもよい。例えば、センサ部10は、物体の接近によって電極とグランドの間に生じる静電容量(自己容量)を検出する方式でもよい。自己容量を検出する方式の場合、検出電極に駆動電圧が印加される。
【0046】
処理部60は、入力装置の全体的な動作を制御する回路であり、例えば、不図示の記憶部に格納されるプログラムの命令コードに従って処理を行うコンピュータや、特定の機能を実現するロジック回路を含んで構成される。処理部60の処理は、その全てをコンピュータとプログラムにより実現してもよいし、その一部若しくは全部を専用のロジック回路で実現してもよい。
【0047】
処理部60は、4つの力センサ部40の信号生成部44において生成される信号を周期的に取得し、取得した信号に基づいて、基板10に加えられた力の大きさや力の作用位置を算出する。また処理部60は、静電センサ部50において周期的に検出される複数の容量性センサ素子Csの静電容量検出値に基づいて、基板10に近接する物体の位置の座標を算出する。
【0048】
図4に示す入力装置における信号生成部44や駆動部52,静電容量検出部53,処理部60などの電子回路は、1つ若しくは複数の半導体集積回路チップに集積可能である。図1の例では、これらの電子回路を集積した半導体集積回路チップU1が基板10の第2の面102に実装される。
【0049】
上述した構成を有する本実施形態に係る入力装置によれば、入力操作に伴って基板10に力が加えられると、収容空間25の容積が弾性的に変化し、収容空間25に収容された弾性部材である導電部材41に弾性変形が生じる。この導電部材41の弾性変形に応じて、可変抵抗部43の抵抗値が変化し、信号生成部44において生成される信号が変化する。そのため、静電容量の変化に基づいて力を検出する従来の方式のように、電極間のギャップを形成するためのスペーサ等の機構部品が必要ない。また、基板10を支持する支持部20が、入力操作の力の検出に必要な弾性変形を生じることから、力の検出のために変位や弾性変形を生じる機構部品を支持部20と別に設ける必要がない。従って、部品点数を削減し、構成を簡易化することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、力の検出のために必要な弾性力を発生する支持部20と同じ場所で、その弾性力の大きさが力センサ部40により直接検出される。そのため、弾性力を発生する場所から離れた場所で間接的に弾性力を検出する場合に比べて、基板10に作用する力を正確に検出できる。
【0051】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、入力操作に伴って基板10に力が加えられると、収容空間25の容積が変化し、収容空間25において互いに接触した2つの導電部材(41,42)の接触圧が変化する。導電部材41が導電部材42との接触箇所に向かって張り出した凸面を持っているため、2つの導電部材(41,42)の接触圧が変化すると、弾性部材である導電部材41が接触箇所において変形し、2つの導電部材(41,42)の接触面積が変化する。この接触面積が変化すると、2つの導電部材(41,42)の接触箇所における抵抗値が変化する。そのため、導電率の低い(高抵抗の)導電部材42において導電部材41との接触箇所を間に挟んだ2つの電極パターン(31,32)間における導電経路の抵抗値は、2つの導電部材(41,42)の接触面積に応じて変化する。すなわち、2つの電極パターン(31,32)間の抵抗値は、2つの導電部材(41,42)の接触面積が小さいほど大きくなり、この接触面積が大きいほど小さくなる。2つの電極パターン(31,32)間の抵抗値に応じて生成される信号生成部44の信号は、2つの導電部材(41,42)の接触面積に応じて変化する。従って、基板10に加えられる力を、導電部材41及び42の接触面積の変化に伴う抵抗値の変化として検出することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、入力操作によって基板10に加えられる縦方向の力が増すと、収容空間25の縦方向の長さが縮小するため、縦方向に並んで配置された2つの導電部材(41,42)が互いに近づき、2つの導電部材(41,42)の接触圧が増して、2つの導電部材(41,42)の接触面積が大きくなる。逆に、縦方向の力が減ると、収容空間25の縦方向の長さが弾性によって伸長するため、縦方向に並んで配置された2つの導電部材(41,42)が互いに離れ、2つの導電部材(41,42)の接触圧が減少して、2つの導電部材(41,42)の接触面積が小さくなる。基板10を介して支持部20に加えられる縦方向の力は、収容空間25の縦方向における長さの変化へ効率的に変換され易い。また、2つの導電部材(41,42)が並んで配置される方向が縦方向であるため、収容空間25の縦方向における長さの変化は、2つの導電部材(41,42)の接触面積の変化へ効率的に変換され易い。従って、基板10に加えられる縦方向の力が、信号生成部44の抵抗値の変化へ効率的に変換されるため、信号生成部において得られる信号の感度を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、静電センサ部50の複数の容量性センサ素子Csが基板10における第1の面101と第2の面102との間の中間層に配置されるため、基板10において物体の近接状態の検出と力の検出の両方を行うことが可能となる。また、支持部20によって基板10を支持する面(第2の面102)と、複数の容量性センサ素子Csが配置される面(基板10の中間層)とが異なることから、複数の容量性センサ素子Csの配置領域を広く確保することが可能となり、広い領域で物体の近接を検出できる。
【0054】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、2つの導電部材(41,42)のうち導電率が低い方の導電部材42が、基板10の第2の面102に形成された抵抗体のパターンであり、信号生成部44が導電部材42と同じ基板10上に配置される。これにより、抵抗体のパターンである導電部材42と信号生成部44との電気的な接続を基板10の導電パターンによって行うことが可能となるため、コネクタ等の配線が不要となり、構成を更に簡易化することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、収容空間25の開口部26を囲む支持部20の端面201が基板10の第2の面102に固定されており、収容空間25の開口部26が、基板10の第2の面102において導電部材42の抵抗体のパターンと重なる領域に位置している。これにより、支持部20の端面201を第2の面102に両面テープ等で固定するだけで、収容空間25の開口部26において弾性部材である導電部材41と抵抗体パターンである導電部材42との接触を確保できる。従って、構成がより簡易になり、組み立てが容易になる。
【0056】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、支持部20が縦方向に対して中心軸が平行な円柱体であり、収容空間25がこの円柱体と中心軸が共通な円柱状の空間であり、円柱体に比べて円柱状の空間の径が小さい。これにより、基板10へ縦方向の力が加えられた場合に、支持部20の円柱状の収容空間25が径方向へ均等に変形し易くなり、収容空間25の縦方向の長さも均等に変形し易くなる。そのため、2つの導電部材(41,42)の接触面積が縦方向の力に応じて安定に変化し易くなり、力の検出の精度を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、支持部20の弾性率を弾性部材である導電部材41の弾性率に比べて高くすることにより、基板10への縦方向の力による収容空間25の弾性変形の大きさが、支持部20の弾性率によって制御され易くなる。そのため、弾性部材である導電部材41に必要な弾性率の自由度が高くなり、導電部材41に用いる材料や形状等の選択の幅が広がるため、可変抵抗部43の抵抗値の制御が容易になる。
【0058】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、収容空間25の縦方向の長さが、基板10に縦方向の力が加えられていない場合でも2つの導電部材(41,42)が互いに接触する長さに設定される。これにより、基板10に加えられる縦方向の力がゼロに近い微小な範囲でも、2つの導電部材(41,42)の接触が確保されるため、可変抵抗部43の抵抗値の変化を適切に検出することができる。
【0059】
次に、本実施形態の一変形例について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、一変形例に係る入力装置の構造を示す図である。図6は、図5に示す入力装置におけるC−C線の断面図である。
【0060】
この一変形例に係る入力装置は、既に説明した図1図4に示す入力装置と同様の構成に加えて、振動発生部U2を有する。振動発生部U2は、4つの力センサ部40の信号生成部44において生成される信号に応じて振動する装置であり、例えば圧電素子や動電型振動素子やコアレスモータなどのアクチュエータを含んで構成される。振動発生部U2は、例えば信号生成部44の信号を処理する処理部60からの制御信号に従って振動状態をオンオフする。処理部60は、例えば基板10への入力操作に対する触感を与えるように振動発生部U2を制御する。
【0061】
図5図6の例において、振動発生部U2は、基板10の第2の面102に固定される。基台5は、図6において示すように、振動発生部U2とのクリアランスを確保するための穴55を有する。また振動発生部U2は、図5に示すように、第2の面102において4つの支持部20の固定位置を頂点とする四角形の領域の内側に固定される。例えば、振動発生部U2は、四角形の領域の重心位置に固定される。
【0062】
上述した一変形例の入力装置によれば、振動発生部U2が発生した振動に応じて支持部20が弾性変形し、振動の力が支持部20より先(基台5)に逃げ難くなる。そのため、振動の力を基板10に接触するユーザの指等へ効率的に伝えることができる。また、振動発生部U2が基板10の第2の面102に固定されるため、縦方向のサイズを小型化できる。
【0063】
加えて、一変形例の入力装置によれば、4つの支持部20の固定位置を頂点とする四角形の領域の内側に振動発生部U2が固定されるため、振動発生部U2で発生した振動を基板10に接触するユーザの指等へ効率的に伝えることができる。特に、四角形の領域の重心位置に振動発生部U2が固定されることにより、振動発生部U2で発生した振動をより効率的にユーザの指等へ伝えることができる。
【0064】
本発明は、更に種々のバリエーションを含む。
例えば、上述した実施形態では、低抵抗の導電部材41と高抵抗の導電部材42との接触面積を変化させることにより可変抵抗部43の抵抗値を変化させているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、例えばピエゾ抵抗効果によって抵抗値が変化する部材を弾性部材に適用し、これを収容空間において弾性変形させることにより、基板に加えられる力に応じた抵抗値の変化を生じさせてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、2つの導電部材(41,42)の一方のみが弾性部材であるが、本発明の他の実施形態では、2つの導電部材が両方とも弾性部材であってもよい。
【0066】
上述した実施形態では、基板10に形成された導電部材42(抵抗体のパターン)と支持部20の収容空間25に保持された導電部材41との接触面積の変化により力が検出されるが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、一方の導電部材を基台側に配置してもよいし、支持部の内部に設けた収容空間に2つの導電部材を収容してもよい。
【0067】
上述した実施形態では、支持部20の弾性率が導電部材41より大きい例を挙げているが、本発明はこの例に限定されない。支持部20において所望の弾性力が得られ、かつ、可変抵抗部43において所望の抵抗値の変化が得られる場合には、支持部20の弾性率を導電部材41と同じにしてもよいし、導電部材41が支持部20より大きい弾性率を有してもよい。
【0068】
上述した実施形態では、弾性部材である導電部材41と支持部20が弾性率の異なる別の材料によって形成されているが、本発明の他の実施形態では、両者を同じ材料で形成してもよい。その場合、弾性部材である導電部材41と支持部20とを一体に形成してもよい。
【0069】
上述した実施形態では、基板10における第1の面101と第2の面102との間の中間層に複数の容量性センサ素子Csが配置されているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、基板10の第1の面101に複数の容量性センサ素子Csを直接形成してもよい。
【0070】
本発明は上述した実施形態に限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【符号の説明】
【0071】
5…基台、6A,6B…両面テープ、10…基板、101…第1の面、102…第2の面、11…ガラス板、12…プリント基板、20…支持部、25…収容空間、26…開口部、201,202…端面、31,32…電極パターン、40…力センサ部、41,42…導電部材、43…可変抵抗部、44…信号生成部、50…静電センサ部、51…センサマトリクス、Ex…駆動電極、Ey…検出電極、Cs…容量性センサ素子、52…駆動部、53…静電容量検出部、60…処理部、U1…半導体集積回路チップ、U2…振動発生部、L1,L2…仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6