(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配信方式選択手段は、前記所定条件として、第1の時点の視聴者満足度と、連続する第2の時点の視聴者満足度との差分絶対値が、所定閾値以上となった際に、各映像コンテンツの配信方式を更新する
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の映像配信サーバ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したいずれの従来技術も、受信装置が主導で、送信装置から映像コンテンツを受信する放送経路と通信経路とを切り替えるものである。
即ち、送信装置が主導で、放送経路と通信経路とをシームレスに切り替えて、映像コンテンツを配信することを前提としたものではない。勿論、映像コンテンツを、異なる品質のメディアフォーマットで切り替えて配信することができるものでもない。
しかしながら、4Kの映像コンテンツの配信を考慮すると、伝送路帯域の効率的利用が重要となる。特に放送及び通信を連携させて映像コンテンツを配信する場合、送信装置が主導で、伝送経路を選択する必要がある。
【0008】
これに対し、本願の発明者らは、映像コンテンツ毎に配信方式(放送通信の切替、及び/又はメディアフォーマットの切替)を予め設定するのでなく、ユーザの視聴状況に応じて映像コンテンツの配信方式を切り替えるべきではないか、と考えた。
即ち、伝送帯域の効率的利用を考慮した場合、多数のユーザに視聴されている映像コンテンツほど、放送経路を介してブロードキャストで配信すべきであり、逆に、少数のユーザにしか視聴されていない映像コンテンツほど、通信経路を介して配信すべきではないか、と考えた。少数のユーザしか視聴されていない映像コンテンツを放送波で配信することは、放送波の帯域の有効利用の観点から好ましくない。
一方で、ケーブルテレビやインターネットテレビのように通信経路の場合、映像配信サーバ及び中継装置は、端末毎にセッションを確立しなければならない。そのために、多数のユーザに視聴されている映像コンテンツほど、端末との間で多数のセッションを確立し、個別に伝送する必要がある。この場合、通信路のボトルネックとなる伝送路では、特定の映像コンテンツによって輻輳を生じる恐れがある。このような映像コンテンツほど、本来、放送波によって配信することによって、伝送帯域の効率的利用を実現することができる。
【0009】
そこで、本発明は、映像コンテンツを視聴状況に応じた配信方式で配信する映像配信サーバ、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、映像コンテンツを、異なる配信方式で、複数のクライアントへ送信可能な映像配信サーバにおいて、
映像コンテンツ毎に、複数のクライアントにおける視聴状況情報を取得する視聴状況取得手段と、
各映像コンテンツを
、当該映像コンテンツの視聴状況情報に基づいて優先度順にソートする映像優先度算出手段と、
映像コンテンツ毎に、各映像コンテンツの優先度に応じて、配信方式を選択する配信方式選択手段と、
映像コンテンツ毎に、選択された配信方式によって配信する映像配信手段と
、
配信方式毎に基準点が対応付けられており、全ての映像コンテンツにおける視聴状況情報の合計値に最高基準点を乗算した最高評価点に対して、各映像コンテンツにおける視聴状況情報に当該映像コンテンツに対応する基準点を乗算した乗算値の全ての映像コンテンツの合計となる現状評価点の割合を、視聴者満足度として算出する視聴者満足度算出手段と
を有し、
映像優先度算出手段及び配信方式選択手段は、視聴者満足度が所定条件で変化した際に、各映像コンテンツの配信方式を更新する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
視聴状況情報は、各映像コンテンツの視聴率及び/又は視聴時間に基づく
ことも好ましい。
【0012】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
映像コンテンツの属性毎に、視聴状況情報を予め対応付けており、
視聴状況情報は、各映像コンテンツの属性に基づく
ことも好ましい。
【0013】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
当該映像配信サーバから各クライアントへの所定伝送路の輻輳状態毎に、視聴状況情報を予め対応付けており、
視聴状況情報は、各映像コンテンツの所定伝送路の輻輳状態に基づく
ことも好ましい。
【0014】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
視聴状況情報は、各映像コンテンツの配信緊急度に基づく
ことも好ましい。
【0015】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
配信方式は、放送配信方式及び通信配信方式であり、
配信方式選択手段は、所定条件で、優先度が高い映像コンテンツに対して放送配信方式を選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して通信配信方式を選択することも好ましい。
【0016】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
配信方式は、品質の異なるメディアフォーマットであり、
配信方式選択手段は、所定条件で、優先度が高い映像コンテンツに対して高品質メディアフォーマットを選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して低品質メディアフォーマットを選択することも好ましい。
【0017】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
配信方式は、放送配信方式及び通信配信方式と、品質の異なるメディアフォーマットとが混在したものであり、
配信方式選択手段は、所定条件で、優先度が高い映像コンテンツに対して放送配信方式で且つ高品質メディアフォーマットを選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して通信配信方式で且つ低品質メディアフォーマットを選択することも好ましい。
【0018】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
放送配信方式は、ブロードキャスト方式であり、
通信配信方式は、マルチキャスト方式及び/又はユニキャスト方式であることも好ましい。
【0019】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
ブロードキャスト方式は、広域無線放送方式であり、
マルチキャスト方式及び/又はユニキャスト方式は、IP(Internet Protocol)通信方式であることも好ましい。
【0020】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
メディアフォーマットは、解像度、コーデック、変調度のいずれか1つ以上の異なるものであることも好ましい。
【0021】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
配信方式は、選局情報によって特定されるものであり、
各映像コンテンツの選局情報が記述されたNIT(Network Information Table)を含むPSI(Program Specific Information)情報を、クライアントへ配信する選局情報配信手段を
更に有することも好ましい。
【0023】
本発明の映像配信サーバにおける他の実施形態によれば、
配信方式選択手段は、所定条件として、第1の時点の視聴者満足度と、連続する第2の時点の視聴者満足度との差分絶対値が、所定閾値以上となった際に、各映像コンテンツの配信方式を更新することも好ましい。
【0024】
本発明によれば、映像コンテンツを、異なる配信方式で、複数のクライアントへ送信可能なサーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
映像コンテンツ毎に、複数のクライアントにおける視聴状況情報を取得する視聴状況取得手段と、
各映像コンテンツを
、当該映像コンテンツの視聴状況情報に基づいて優先度順にソートする映像優先度算出手段と、
映像コンテンツ毎に、各映像コンテンツの優先度に応じて、配信方式を選択する配信方式選択手段と、
映像コンテンツ毎に、選択された配信方式によって配信する映像配信手段と
、
配信方式毎に基準点が対応付けられており、全ての映像コンテンツにおける視聴状況情報の合計値に最高基準点を乗算した最高評価点に対して、各映像コンテンツにおける視聴状況情報に当該映像コンテンツに対応する基準点を乗算した乗算値の全ての映像コンテンツの合計となる現状評価点の割合を、視聴者満足度として算出する視聴者満足度算出手段と
してコンピュータを機能させ
、
映像優先度算出手段及び配信方式選択手段は、視聴者満足度が所定条件で変化した際に、各映像コンテンツの配信方式を更新する
ようにコンピュータを機能させる
ことを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、映像コンテンツを、異なる配信方式で、複数のクライアントへ送信可能な装置の映像配信装置において、
装置は、
映像コンテンツ毎に、複数のクライアントにおける視聴状況情報を取得する第1のステップと、
各映像コンテンツを
、当該映像コンテンツの視聴状況情報に基づいて優先度順にソートする第2のステップと、
映像コンテンツ毎に、各映像コンテンツの優先度に応じて、配信方式を選択する第3のステップと、
映像コンテンツ毎に、選択された配信方式によって配信する第4のステップと
を実行し、
配信方式毎に基準点が対応付けられており、全ての映像コンテンツにおける視聴状況情報の合計値に最高基準点を乗算した最高評価点に対して、各映像コンテンツにおける視聴状況情報に当該映像コンテンツに対応する基準点を乗算した乗算値の全ての映像コンテンツの合計となる現状評価点の割合を、視聴者満足度として算出し、
第2のステップ及び第3のステップを、視聴者満足度が所定条件で変化した際に、各映像コンテンツの配信方式を更新するように実行する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の映像配信サーバ、プログラム及び方法によれば、映像コンテンツを視聴状況に応じた配信方式で配信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0030】
図1のシステムによれば、映像配信サーバ1と、放送配信装置2と、通信配信装置3と、映像データベース4と、セットトップボックス(クライアント)5と、視聴率管理装置6と、伝送路輻輳管理装置7とによって構成されている。
【0031】
[映像配信サーバ1]
映像配信サーバ1は、複数の映像コンテンツをそれぞれ、「異なる配信方式」で、セットトップボックス5へ送信する。本発明の映像配信サーバ1は、映像コンテンツ毎に、放送配信装置2及び通信配信装置3のいずれかを介して、セットトップボックス5へ配信する。
尚、配信される映像コンテンツは、TS(Transport Stream)パケットレベルで多重化されたマルチキャストストリームである。
【0032】
[放送配信装置2]
放送配信装置2は、映像配信サーバ1から受信した映像コンテンツを、放送配信方式で、セットトップボックス5へ配信する。放送配信方式としては、例えば地上波/BS・CSと、8K/4K/2K(メディアフォーマット)と組み合わせの選択肢がある。
【0033】
[通信配信装置3]
通信配信装置3は、映像配信サーバ1から受信した映像コンテンツを、通信配信方式で、セットトップボックス5へ配信する。通信配信方式としては、例えばマルチキャスト方式又はユニキャスト方式と、4K/2K/SD(メディアフォーマット)と組み合わせの選択肢がある。
【0034】
[映像データベース4]
映像データベース4は、配信方式に拘わらず、地上波/BS・CSの放送番組や、ケーブルテレビやインターネットテレビで配信される番組も混在して蓄積する。各映像コンテンツをいずれの配信方式によって配信するかは、映像配信サーバ1によって選択される。
また、映像データベース4に蓄積される映像コンテンツには、コンテンツ属性(例えば内容)や制作時期(例えば何時間前に制作されたか)も対応付けて記憶されている。
【0035】
[セットトップボックス(クライアント)5]
セットトップボックス5は、例えば家庭内に設置されており、複数の映像コンテンツを受信する。セットトップボックス5は、放送配信装置2から放送波を介して映像コンテンツを受信すると共に、通信配信装置3からネットワークを介して映像コンテンツを受信する。そして、ユーザのチャネル切り替えによって、ユーザ所望の映像コンテンツのみがテレビに出力される。
【0036】
[視聴率管理装置6]
視聴率管理装置6は、ユーザが視聴しているチャネル(映像コンテンツ)の視聴情報を、セットトップボックス5から収集する。視聴情報とは、視聴された映像コンテンツの視聴開始日時及び終了日時である。具体的には、視聴率管理装置6は、セットトップボックス5との間で、メッセージ伝送用プロトコル(BBR TR-069)によって、視聴情報を取得する。
そして、視聴率管理装置6は、多数のセットトップボックス5から取得した視聴情報に基づいて、映像コンテンツ毎の視聴率及び視聴時間を導出することができる。
【0037】
[伝送路輻輳管理装置7]
伝送路輻輳管理装置7は、映像コンテンツを受信している伝送経路情報を、セットトップボックス5から収集する。伝送経路情報とは、セットトップボックス5が通信配信装置3から映像コンテンツを受信した経路情報(例えば中継されたルータ)である。
そして、伝送路輻輳管理装置7は、多数のセットトップボックス5から取得した経路情報に基づいて、映像コンテンツ毎に、ボトルネックとなる所定伝送路における輻輳状態を導出することができる。
【0038】
図2は、本発明における映像配信サーバの機能構成図である。
【0039】
図2によれば、映像配信サーバ1は、映像コンテンツを、異なる配信方式で、複数のセットトップボックス(クライアント)5へ送信可能なものである。
映像配信サーバ1は、視聴率状況取得部11と、映像優先度算出部12と、配信方式選択部13と、映像配信部14と、選局情報配信部15と、視聴者満足度算出部16とを有する。これら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。勿論、これら機能構成部の処理の流れは、映像配信方法としても理解できる。
【0040】
[視聴率状況取得部11]
視聴率状況取得部11は、映像コンテンツ毎に、複数のセットトップボックス5における「視聴状況情報」を、外部装置から取得する。視聴状況情報は、外部装置によって、多数のセットトップボックス5やネットワーク装置から収集された情報に基づくものである。
【0041】
視聴状況情報としては、例えば以下の4つの実施形態がある。
<視聴率・視聴時間>
<コンテンツ属性>
<伝送路輻輳>
<配信緊急度>
【0042】
図3は、映像配信サーバの視聴状況取得部によって取得される情報テーブルの例である。
図3によれば、現在の放送通信方式におけるチャネル毎に、視聴率、視聴時間、コンテンツ属性、伝送路輻輳、及び、配信緊急度が対応付けられている。
【0043】
<視聴率・視聴時間>
視聴状況情報は、各映像コンテンツの視聴率及び/又は視聴時間に基づくものであってよい。
映像コンテンツ毎の視聴率及び/又は視聴時間は、視聴率管理装置6から受信する。
【0044】
<コンテンツ属性>
視聴状況情報は、各映像コンテンツの属性に基づくものであってもよい。この場合、映像コンテンツの属性毎に、視聴状況情報を予め対応付けておく。例えば属性「ニュース」の映像コンテンツは、視聴状況情報として比較的高く設定しておき、属性「通信販売」の映像コンテンツは、視聴状況情報として比較的低く設定しておくこともできる。
映像コンテンツ毎の属性は、映像データベース4から受信する。
【0045】
<伝送路輻輳>
視聴状況情報は、各映像コンテンツの所定伝送路の輻輳状態に基づくものであってもよい。この場合、当該映像配信サーバ1からセットトップボックス5への所定伝送路の輻輳状態毎に、視聴状況情報を予め対応付けておく。
ここで、「所定伝送路」とは、通信配信装置3が直接的に接続される伝送路であってもよいし、予め特定されたボトルネックとなる伝送路であってもよい。例えば所定伝送路の伝送容量のうち、特定の映像コンテンツの伝送容量が占める割合を、輻輳状態の割合(%)によって表すものであってもよい。
映像コンテンツ毎の所定伝送路の輻輳状態は、伝送路輻輳管理装置7から受信する。
【0046】
<配信緊急度>
視聴状況情報は、各映像コンテンツの配信緊急度に基づくものであってもよい。
例えば国民全員が至急知り得る必要のある映像コンテンツ(例えば地震被害状況など)は、最高の配信緊急度とする。これは、オペレータによって設定されることが好ましい。
【0047】
勿論、視聴状況情報は、前述した4つの要素(視聴率・視聴時間、コンテンツ属性、伝送路輻輳、配信緊急度)の全て又はいずれかの組み合わせに基づくものであってもよい。
【0048】
[映像優先度算出部12]
映像優先度算出部12は、全ての映像コンテンツの視聴状況情報に対する各映像コンテンツの視聴状況情報に基づいて、各映像コンテンツを優先度順にソートする。
【0049】
図4は、視聴率・視聴時間に基づいて映像コンテンツを優先度順にソートした説明図である。
図4(a)によれば、視聴率が高い映像コンテンツほど、高い優先度となる。
図4(b)によれば、視聴時間が高い映像コンテンツほど、高い優先度となる。
尚、
図4によれば、高い配信緊急度が付与された映像コンテンツは、視聴率・視聴時間に拘わらず、最高優先度となっている。
【0050】
図5は、属性に基づいて映像コンテンツを優先度順にソートした説明図である。
図5によれば、コンテンツ属性として、カテゴリ毎に及び制作時期毎に、配信レベルA〜Eが対応付けられている。カテゴリとしては、例えば「地震」については配信レベルが高く、「地域宣伝」については配信レベルが低く対応付けられている。また、制作時期としては、例えば「3時間前」については配信レベルが高く、「1年以前」については配信レベルが低く対応付けられている。
これによって、コンテンツ属性全体の配信レベルが高い映像コンテンツほど、高い優先度となる。
尚、
図5によれば、高い配信緊急度が付与された映像コンテンツは、コンテンツ属性に拘わらず、最高優先度となっている。
【0051】
図6は、伝送路輻輳に基づいて映像コンテンツを優先度順にソートした説明図である。
図6によれば、所定伝送路の輻輳割合が高い映像コンテンツほど、高い優先度となる。
尚、
図6によれば、高い配信緊急度が付与された映像コンテンツは、伝送路輻輳に拘わらず、最高優先度となっている。
【0052】
[配信方式選択部13]
配信方式選択部13は、映像コンテンツ毎に、各映像コンテンツの優先度に応じて、配信方式を選択する。「配信方式」としては、以下のように3つの実施形態がある。
<放送・通信の切替>
<メディアフォーマットの切替>
<放送・通信及びメディアフォーマットの切替>
【0053】
<放送・通信の切替>
放送通信連携システムによれば、配信方式は、放送配信方式及び通信配信方式である。
配信方式選択部13は、優先度が高い映像コンテンツに対して放送配信方式を選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して通信配信方式を選択する。
放送配信方式は、ブロードキャスト方式であり、例えば広域無線(RF)放送方式である。
通信配信方式は、マルチキャスト方式及び/又はユニキャスト方式であり、IP(Internet Protocol)通信方式である。
【0054】
<メディアフォーマットの切替>
また、配信方式は、品質の異なるメディアフォーマットであってもよい。メディアフォーマットは、解像度、コーデック、変調度のいずれか1つ以上の異なるものである。例えば、8K、4K、2K、SDの違いであってもよい。
配信方式選択部13は、優先度が高い映像コンテンツに対して高品質メディアフォーマットを選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して低品質メディアフォーマットを選択する。
【0055】
<放送・通信及びメディアフォーマットの切替>
配信方式は、前述した放送配信方式及び通信配信方式と、前述した品質の異なるメディアフォーマットとが混在したものであってもよい。
配信方式選択部13は、優先度が高い映像コンテンツに対して放送配信方式で且つ高品質メディアフォーマットを選択し、優先度が低い映像コンテンツに対して通信配信方式で且つ低品質メディアフォーマットを選択する。
【0056】
配信方式選択部13は、優先度に応じた配信方式の選択順序を、以下のように設定する。
優先度:高 RF4K(放送+4K)
↓ IP4K(通信+4K)
↓ RF2K(放送+2K)
↓ IP2K(通信+2K)
優先度:低 IPSD(通信+SD)
【0057】
[映像配信部14]
映像配信部14は、映像コンテンツ毎に、選択された配信方式によって配信する。
【0058】
図7は、映像コンテンツの配信方式の変更経過を表す第1の説明図である。
本発明によれば、全ての映像コンテンツについて、ユーザから見て、オール4K対応しているかのように実現したい。そのために、最初に、全ての映像コンテンツを、RF4Kのチャネル上で配信することを試みる。このようにしても、全ての映像コンテンツをRF4Kのチャネル上で配信できるものではない。
図7によれば、優先度が低い映像コンテンツから順に、IP4Kのチャネルへ移行させる。
【0059】
図8は、映像コンテンツの配信方式の変更経過を表す第2の説明図である。
図8によれば、
図7と同様に、優先度が低い映像コンテンツから順に、IP4Kのチャネルへ移行させる。
【0060】
図9は、映像コンテンツの配信方式の変更経過を表す第3の説明図である。
図9によれば、IP4Kのチャネルに収容できず、且つ、優先度が低い映像コンテンツから順に、RF2Kのチャネルへ移行させる。
【0061】
図10は、映像コンテンツの配信方式の変更経過を表す第4の説明図である。
図10によれば、RF2Kのチャネルに収容できず、且つ、優先度が低い映像コンテンツから順に、IP2Kのチャネルへ移行させる。
【0062】
図11は、映像コンテンツの配信方式の変更経過を表す第5の説明図である。
図11によれば、IP2Kのチャネルに収容できず、且つ、優先度が低い映像コンテンツから順に、IPSDのチャネルへ移行させる。
【0063】
[選局情報配信部15]
選局情報配信部15は、各映像コンテンツの選局情報が記述されたNIT(Network Information Table)を含むPSI(Program Specific Information)情報を、クライアントへ配信する。選局情報によって、配信方式(放送/通信、8K/4K/2K/SD、その他の解像度、コーデック、変調度等)は特定される。
【0064】
セットトップボックス5は、映像配信サーバ1との間で、1つの専用セッションを確立する。このセッションは、全ての映像コンテンツに関する選局情報を配信するためのものであり、映像コンテンツ自体を送信するチャネルのセッションとは別のものである。
【0065】
映像配信サーバ1は、全ての映像コンテンツにおける選局情報を含む「PSI(Program Specific Information)情報(伝送制御信号)」を、先に確立した専用セッションを介して、セットトップボックス5へ逐次配信する。セットトップボックス5は、PSI情報のNITを受信することによって、各映像コンテンツがいずれの配信方式で配信されているかを知ることができる。
【0066】
PSI情報には、「選局情報」として、以下のテーブルが規定されている。
PAT(Program Association Table):TS->programの関係を示すテーブル
PMT(Program Map Table):program->ESの関係を示すテーブル
CAT(Conditional Access Table):限定受信制御関連の情報を示すテーブル
NIT(Network Information Table):network->TSの関係を示すテーブル
【0067】
NITには、放送配信方式の場合、放送方式(地上波/BS・CS)とそのチャネル番号とが記述される。また、通信配信方式の場合、CDN(Content Delivery Network)のサーバ又はルータのアドレス(及びポート番号)が記述される。
【0068】
セットトップボックス5は、NITを記憶すると共に、新たに受信したNITと比較して、配信方式が更新されたか否かを判定する。配信方式が更新された場合、視聴中の映像コンテンツについては、新たなチャネルへ切り替える。通信配信方式の場合、新たなアドレスへ向けてセッションを確立し、その映像コンテンツの受信を開始する。
【0069】
[視聴者満足度算出部16]
視聴者満足度とは、全ての映像コンテンツが4Kで配信されている場合に、上限の満点とする。視聴者満足度とは、複数の映像コンテンツを視聴している多数のユーザにおけるQoE(Quality of Experience、ユーザ体感品質)を意味する。
【0070】
配信方式毎に、基準点が、以下のように対応付けられているとする。
(配信方式) (基準点) (ビットレート例)
RF8K 30点 120Mbps
RF4K 8点 32Mbps
IP4K 7点 28Mbps
RF2K 5点 20Mbps
IP2K 4点 16Mbps
IPSD 1点 4Mbps
基準点の比率は、例えば配信方式のビットレートの比率と同じであってもよい。これによって、全体的に高い品質の配信方式で配信しているにも拘わらず、視聴者満足度が低くなるようなことがない。
【0071】
視聴者満足度算出部16は、最高評価点に対する現状評価点の割合を、視聴者満足度として算出する。
最高評価点とは、全ての映像コンテンツにおける視聴状況情報の合計値に最高基準点を乗算した点数をいう。
現状評価点とは、各映像コンテンツにおける視聴状況情報に当該映像コンテンツに対応する基準点を乗算した乗算値の全ての映像コンテンツの合計となる点数をいう。
「視聴状況情報=視聴率」とした場合、視聴者満足度は、具体的には、以下の式によって表される。
視聴者満足度=現状評価点/最高評価点
現状評価点
=Σ
i=1n(配信方式iの全ての映像コンテンツの視聴率×配信方式iの基準点)
最高評価点=全ての配信方式Σiの視聴率総和×最高基準点
【0072】
図12は、視聴者満足度の算出方法を表す説明図である。
【0073】
図12によれば、4K/2K/SDの3段階で表している。
4Kの現状評価点=全ての映像コンテンツの視聴率30(%)×基準点8点
=240点
2Kの現状評価点=全ての映像コンテンツの視聴率15.5(%)×基準点5点
=77.5点
SDの現状評価点=全ての映像コンテンツの視聴率5.5(%)×基準点1点
=5.5点
現状評価点=240点+77.5点+5.5点
=323点
最高評価点=全ての配信方式Σiの視聴率総和×最高基準点
=(30(%)+15.5(%)+5.5(%))×8点
=408点
視聴者満足度=現状評価点/最高評価点
=323点/408点
=79.2点
図12の場合、視聴者満足度=79.2点と算出される。
【0074】
図13は、視聴者満足度に基づく配信方式の更新タイミングを表す説明図である。
【0075】
配信方式選択部13は、視聴者満足度が所定条件で変化した際に、各映像コンテンツの配信方式を選択する。
図13によれば、視聴者満足度が所定閾値以下となった場合に、配信方式を更新する。
前述した
図7〜
図11のように映像コンテンツの配信方式を組み入れていくことによって、視聴者満足度が常に最大点数となるようにすることができる。
【0076】
本来、短い時間間隔で、配信方式を更新して切り替えることは、視聴者満足度を高める観点から好ましい。一方で、配信方式の組み替え回数が多くなり、映像配信サーバ1の処理負荷のみならず、セットトップボックス5のチャネル切替の処理負荷も高くなる。
そのために、具体的には、視聴者満足度の低下を最大値から10%以内を許容範囲として、配信方式の更新時間間隔をシミュレーションした結果、更新時間間隔120秒であり、視聴者満足度の更新閾値は20点低下した場合が最適であると算出された。
【0077】
また、他の実施形態として、配信方式選択部13は、所定条件として、第1の時点の視聴者満足度と、連続する第2の時点の視聴者満足度との差分絶対値が、所定閾値以上となった際に、各映像コンテンツの配信方式を更新することも好ましい。
【0078】
以上、詳細に説明したように、本発明映像配信サーバ、プログラム及び方法によれば、映像コンテンツを視聴状況に応じた配信方式で配信することができる。
【0079】
本発明によれば、映像コンテンツ毎に配信方式(放送通信の切替、及び/又はメディアフォーマットの切替)を予め設定するのでなく、ユーザの視聴状況に応じて映像コンテンツの配信方式を切り替えることができる。
即ち、伝送帯域の効率的利用を考慮して、多数のユーザに視聴されている映像コンテンツほど、放送経路を介してブロードキャストで配信され、逆に、少数のユーザにしか視聴されていない映像コンテンツほど、通信経路を介して配信される。
また、通信経路を介して、多数のユーザに視聴されている映像コンテンツほど、放送波によって配信することによって、伝送帯域の効率的利用を実現することができる。
【0080】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【解決手段】映像コンテンツを、異なる配信方式で、複数のクライアントへ送信可能な映像配信サーバにおいて、映像コンテンツ毎に、複数のクライアントにおける視聴状況情報を取得する視聴状況取得手段と、全ての映像コンテンツの視聴状況情報に対する各映像コンテンツの視聴状況情報に基づいて、各映像コンテンツを優先度順にソートする映像優先度算出手段と、映像コンテンツ毎に、各映像コンテンツの優先度に応じて、配信方式を選択する配信方式選択手段と、映像コンテンツ毎に、選択された配信方式によって配信する映像配信手段とを有する。