(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配置手段は、前記対象領域の端部のうちの前記付加領域が形成する端部と前記切り出し領域の端部が一致するように、前記切り出し領域を配置することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態による放射線撮影システムの機能構成を示すブロック図である。
図1において、入力部1はマウス、キーボード、トラックボール等を含み、医師や放射線技師などのユーザからの指示入力を受け付ける。制御部2は放射線撮影システムの各種制御を司る。制御部2は、
図2により後述するように、マイクロプロセッサ(CPU)を具備し、メモリに格納されている制御プログラムをマイクロプロセッサが実行することによって後述する放射線画像処理を含む各種処理を実行する。放射線撮影装置3は、放射線源、放射線検出器、画像表示部を含み、X線等の放射線による撮影画像を取得する。外部記憶装置4は、放射線撮影装置3により取得された放射線画像や、制御部2により切り出された画像を記憶する。
【0013】
図2は、制御部2の構成を説明するブロック図である。CPU201は、ROM202に記憶されているプログラムや、RAM203に展開されたプログラムを実行することにより各種制御を実行する。2次記憶部204は、たとえばハードディスクにより構成され、RAM203に展開されてCPU201により実行されるプログラムや、放射線撮影装置3より受信した放射線画像を記憶する。インターフェース205は、放射線撮影装置3、外部記憶装置4、ディスプレイ211、プリンタ212などの外部装置と制御部2を接続する。バス206は、上述した各部を相互に通信可能に接続する。
【0014】
図1の制御部2に示される各部は、CPU201が所定のプログラムを実行することにより実現される。取得部21は、入力部1からの指示に応じて部位情報を取得する。部位情報は、たとえば
図3に示されるようなデータ構成を有する部位情報テーブル30として、たとえば
図2に示すように2次記憶部204に保持されている。ユーザは入力部1により提供される所定のユーザインターフェース(たとえばGUIとタッチパネルの組合せ)を介して、複数の部位情報(
図3の例では部位情報A〜C)から所望の部位情報を指定することができる。それぞれの部位情報は、部位情報名31、放射線撮影の対象となっている撮影部位32、放射線画像から領域を切り出す際の領域の大きさを示す切り出しサイズ33、放射線画像から領域を切り出す際の切り出し条件34が関連付けられている。ユーザは、入力部1から部位情報名を指定することで、所望の部位情報を指定することができる。取得部21は、入力部1を介して指定された部位情報を部位情報テーブル30から取得し、認識部22および配置部24に提供する。
【0015】
受信部23は、インターフェース205を介して放射線撮影装置3から放射線画像を受信し、2次記憶部204に保持する。なお、放射線画像は、外部記憶装置4から受信されてもよい。認識部22は、取得部21により取得された部位情報が示す撮影部位32に基づいて、受信部23が受信した放射線画像において関心領域を認識する。配置部24は、取得部21により取得された部位情報により示される切り出しサイズ33と切り出し条件34にしたがって、放射線画像に切り出し領域を配置する。出力部25は、配置部24により配置された切り出し領域の放射線画像を、たとえばディスプレイ211、プリンタ212、外部記憶装置4などの外部装置へ出力する。
【0016】
なお、
図3に示される部位情報テーブル30において、部位情報は、部位情報名31、撮影部位32、切り出しサイズ33、切り出し条件34の組み合わせにより構成されている。部位情報名31は、部位情報に対して任意に割り振った名前を示している。撮影部位32は、胸部正面、胸部側面、腹部、頭部など、被検体の部位を示す情報であり、認識部22が関心領域を抽出する際に参照する情報である。すなわち、認識部22は、指定された撮影部位に応じた処理パラメータを用いて、関心領域を認識する。ここでいう関心領域とは、例えば撮影部位が胸部正面である場合は被写体領域内の肺野部であったり、撮影部位が頭部である場合は頭部全体の被写体領域全体であったりと、撮影部位ごとに領域認識の基準が異なっていても良い。撮影部位32の内容を変更することにより部位情報を変更することが可能である。また、胸部正面や胸部側面などの一般的な撮影部位に限定されるものではなく、ユーザが任意に撮影部位を作成するようにしてもよい(この場合、関心領域を認識するための処理パラメータを作成された撮影部位に関連付けておく必要がある)。切り出しサイズ33は、切り出し領域のサイズを示す情報である。切り出しサイズを変更することにより部位情報を変更することが可能である。ここでは切り出しサイズとして、フィルムサイズである14×14インチ、14×17インチ、17×14インチのいずれかから選択したサイズが設定されているが、これに限定されるものではなく、ユーザが任意に定義したサイズであっても良い。
【0017】
切り出し条件34は、切り出し領域の配置条件を示している。切り出し条件34を変更することにより部位情報を変更することが可能である。
図3の例では、部位情報Aでは、切り出し条件34として、関心領域の上端から1cm上までを含めて切り出すという条件が設定されている。したがって、部位情報Aが指定された場合、配置部24は、切り出しサイズ33により指定されたサイズ(17×14インチ)の切り出し領域を、認識部22が認識した関心領域の上端から1cm上までが含まれるように配置する。
【0018】
図4は、認識部22が放射線画像に対して認識した関心領域の例を示している。認識部22は、撮影部位32が胸部正面であった場合に、放射線画像から肺野の左右端を認識し、これを関心領域の左右端とする。同様に、認識部22は、胸部正面の放射線画像で撮影された肺野の上下端を関心領域の上下端とする。その結果、横矢印41、縦矢印42により示される関心領域43が認識される。
【0019】
図12は、第1実施形態の放射線撮影システムにおいて、ユーザが撮影する部位情報の選択を行うために提供されるGUIの一例である。画面121は、部位情報一覧画面122と、選択済み部位情報画面123を有する。ユーザが部位情報一覧画面122に表示されている部位情報名124を選択すると、部位情報名124が選択されたとして、選択済み部位情報画面123に表示される。検査開始ボタン125を押下することで、選択された部位情報名124の条件で検査が開始される。部位情報名124は、部位情報名31を表しており、たとえば部位情報名124で部位情報Aが選択されて検査開始ボタン125を押下した場合、部位情報名31が撮影情報Aである場合の条件で検査を行う事を意味する。
【0020】
図5は、第1実施形態の放射線撮影システムにおける制御部2が実行する放射線画像処理(画像の切り出し処理)を説明するフローチャートである。ステップS101において、取得部21は、入力部1を介してユーザ指定された部位情報を部位情報テーブル30から取得する。たとえば、入力部1から部位情報Aが指定されると、取得部21は部位情報テーブル30から、撮影部位が「胸部正面」、切り出しサイズが「17×14インチ」、切り出し条件が「関心領域の上端から1cm上までを含めて切り出す」を含む部位情報を取得する。
【0021】
ステップS102において、受信部23は、放射線撮影装置3から放射線画像を受信する。上述したように、外部記憶装置4に記憶されている放射線画像を受信するようにしてもよい。次に、ステップS103において、認識部22は、取得部21が取得した部位情報に含まれている撮影部位と、受信部23が受信した放射線画像を基に、その放射線画像から関心領域を認識する。たとえば、撮影部位が胸部正面であった場合、認識部22は、胸部正面の肺野を関心領域として認識する。
【0022】
次に、ステップS104において、配置部24は、取得部21が指定した部位情報が示す切り出しサイズおよび切り出し条件と、認識部22が認識した関心領域とに基づいて、受信部23が受信した放射線画像に切り出し領域を配置する。配置部24は、以下に例示するように、切り出しサイズを有する領域を、認識された関心領域を内包するように配置する。
【0023】
[配置例1]
認識部22は、関心領域の中心と切り出しサイズを有する領域の中心とが一致するように切り出し領域を配置することを基本とし、部位情報に関連付けられている切り出し条件に応じて切り出し領域の配置を変更する。
図6は配置部24による切り出し領域の配置方法を説明する図である。部位情報において切り出し条件34に条件の指定が無い場合、配置部24は、
図6(a)に示されるように、放射線画像60における認識された関心領域61と切り出し領域62の中心が一致するように切り出し領域を配置する。
【0024】
[配置例2]
切り出し条件として、関心領域61の上下端と切り出し領域62の上下端との距離の比、関心領域61の左右端と切り出し領域62の左右端との距離の比が規定された場合は、
図6(b)二示されるように切り出し領域を配置する。この場合、切り出し条件では、たとえば、
図6(b)に示されるa1とa2の比、b1とb2の比がそれぞれ定義されることになる。なお、
図6(a)のように、関心領域61と切り出し領域62の中心が一致する場合は、a1とa2の比、b1とb2の比がそれぞれ1に設定されていることと等価である。
【0025】
[配置例3]
次に、部位情報Aの切り出し条件34のように、「関心領域の上端から1cm上を含めて切り出す」という条件が設定されていた場合の切り出し領域の配置について説明する。この場合、配置部24は、切り出し条件で指定された付加領域(高さ1cmで、横幅が関心領域と等しい領域)を関心領域に付加して得られた対象領域を内包するように切り出し領域を配置する。たとえば、部位情報Aの切り出し条件34の場合、配置部24は、
図7(a)に示されるように関心領域61と付加領域71からなる対象領域のうち、付加領域71により形成される端部が切り出し領域の端部と一致するように、切り出し領域62を配置する。換言すれば、配置部24は、関心領域61の上端から1cmの位置が切り出し領域の上端となるように切り出し領域62を配置する。
【0026】
なお、「関心領域の上端から1cm上を含めて切り出す」という切り出し条件が設定されていた場合の切り出し方法は、
図7(a)に示した方法に限られるものではない。たとえば、
図7(b)に示されるように、関心領域61の上端に幅1cmの付加領域71を付加して得られた対象領域の中心と切り出し領域の中心が一致するように、切り出し領域62を配置してもよい。また、[配置例2](
図6(b))で説明したような比を用いて、切り出し領域と対象領域の位置関係を決定し、切り出し領域の配置を行ってもよい。
【0027】
以上、関心領域の上端に指定された高さの付加領域を付加する場合を説明したが、関心領域の下端、左端、右端に領域を付加する場合も同様に実施できることは明らかである。このように、切り出し条件として、認識部22により認識された関心領域の周囲に確保するべき付加領域が規定されている場合は、配置部24は、関心領域に付加領域が付加された前記対象領域を内包するように、切り出し領域が配置される。
【0028】
[配置例4]
また、上述したような方法により、認識部22が認識した関心領域に基づいて切り出し領域を配置した結果、切り出し領域が放射線画像の外部へはみ出す場合を説明する。たとえば、
図8(a)に示されるように、関心領域61に基づいて切り出し領域62を配置した結果、切り出し領域62の一部が放射線画像81からはみ出した場合を説明する。この場合、配置部24は、たとえば、切り出し領域62のはみ出し部分が消滅するように配置位置を調整する。たとえば、配置部24は、
図8(b)に示されるように、切り出し領域62のはみ出している右端部が放射線画像81の右端部と一致するように切り出し領域62を移動して切り出しを行う。
【0029】
或いは、配置部24は、
図8(c)に示されるように、切り出し領域62のはみ出した部分に所定輝度(例えば黒)の画像82を付加する。この場合、出力部25は、放射線画像81と切り出し領域62とが重なる部分の画像に、画像82が付加された画像を出力することになる。
【0030】
[配置例5]
なお、認識部22により認識された関心領域が、部位情報に規定されている切り出しサイズより大きい場合は、次の3つのうちのいずれかの方法が用いられる。
・関心領域と切り出し領域の中心が一致するように切り出す。
・関心領域を切り出し領域に設定する。
・関心領域の周囲(たとえば、関心領域の4辺のそれぞれ)に領域を付加した範囲を新たな切り出し領域とする。
【0031】
以上のように、第1実施形態によれば、同じ部位情報を指定することで、認識された関心領域が部位情報で規定される切り出しサイズよりも小さければ、関心領域の大きさに関わらず同じサイズの切り出し領域が放射線画像に配置される。したがって、たとえば、同じ患者の同じ部位を撮影した画像について、同じサイズの画像が得られることになる。そのため、それらを同じサイズのフィルムに印刷することが出来るなど、診断を行う上でより利用しやすい放射線画像を得ることができる。
【0032】
さらに、例えば、胸部正面を撮影する場合に診断時に重要となる領域は主に肺野部であるが、医師や技師は鎖骨、肩甲骨、横隔膜などを含めて切り出して画像を保存しており、関心領域のみを切り出すわけではない。一方、撮影部位が関節などの撮影画像に関しては、関心領域を重視し、周辺の画像は切り出すことが少ない。本実施形態の放射線撮影システムによれば、このように認識した関心領域に応じてその周辺を含めた切り出しが自動的に行われるので、ユーザの操作の負担が減る。
【0033】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、それぞれの部位情報に1つの切り出しサイズが関連付けられている構成を説明した。第2実施形態では、1つの部位情報に2つ以上の切り出しサイズが関連付けられることを許容する。
【0034】
図9は第2実施形態による放射線撮影システムの機能構成を説明するためのブロック図である。
図9において、
図1と同様の構成には同一の参照番号を付してある。出力部25は、ディスプレイ211、プリンタ212が接続されており、配置部24によって配置された切り出し領域の放射線画像を出力する。選択部26は、取得部21が取得した部位情報に付帯する複数の切り出し領域から、認識部22が認識した関心領域と、出力部25における放射線画像の出力先の種類に基づいて、複数の切り出し領域の一つを選択する。出力先の種類として、本実施形態では、たとえばディスプレイ211(ビューワ)、プリンタ212(フィルム)が出力先として用いられる。配置部24は、取得部21が取得した部位情報と、認識部22が認識した関心領域を基に、受信部23が受信した放射線画像に、選択部26が選択した切り出しサイズの領域を配置する。
【0035】
図10は、第2実施形態において、部位情報テーブル30に登録される部位情報のデータ構成の一例を説明する図である。第2実施形態の部位情報も、第1実施形態と同様に部位情報名31、撮影部位32、切り出しサイズ33、切り出し条件34を含む。第2実施形態では、切り出しサイズ33が複数の切り出しサイズを含んでいる。これら切り出しサイズを変更することにより部位情報を変更することが可能である。また、切り出しサイズはユーザが任意に作成した領域であっても良い。
【0036】
切り出し条件34は、出力先の種類ごとに用意された複数の切り出し条件を含む。切り出し条件を変更することにより部位情報を変更することが可能である。また、本実施形態ではプリンタ212によりフィルムに印刷する場合とディスプレイ211に画面表示する場合とで切り出し条件を設定しているが、これに限定されるものではない。たとえば、PACS転送する場合の切り出し条件が追加されても良い。また、出力先に応じて切り出し領域のサイズを指定するようにしても良い。
【0037】
図11は、第2実施形態の放射線撮影システムにおける制御部2が実行する放射線画像処理(画像の切り出し処理)を説明するフローチャートである。なお、ステップS201からステップS203の処理は、第1実施形態(
図5のS101〜S103)と同様である。
【0038】
ステップS204〜S206において、選択部26は、出力部25による放射線画像の出力先(本実施形態ではディスプレイ211かプリンタ212)と、認識部22が認識した関心領域とに基づいて複数の切り出しサイズのうちの一つを選択する。すなわち、ステップS204において、選択部26は放射線画像の出力先がディスプレイ211であるかプリンタ212であるかを判定する。ディスプレイ211であった場合、処理はステップS205へ進み、選択部26は、ディスプレイ出力に利用できる切り出しサイズのうち、認識部22が認識した関心領域を包含し面積が最小のサイズを選択する。そして、ステップS207において、配置部24は、ディスプレイ211のための切り出し条件(
図10の切り出し条件B)にしたがって、選択された切り出しサイズの切り出し領域を放射線画像に配置する。
【0039】
一方、ステップS204において、出力先がプリンタ212であると判定された場合、処理はステップS206へ進み、選択部26は、プリンタ出力に利用できる切り出しサイズのうち、認識部22が認識した関心領域を包含し面積が最小のサイズを選択する。そして、ステップS208において、配置部24は、プリンタ212のための切り出し条件(
図10の切り出し条件A)にしたがって、選択された切り出しサイズの切り出し領域を放射線画像に配置する。なお、出力先の種類に対応した切り出しサイズが1つしかない場合は、その切り出しサイズが選択される。また、切り出しサイズの選択方法が切り出し条件において設定されていない場合は、選択部26は関心領域または対象領域の全体を含む切り出しサイズのうち面積が最小の切り出しサイズを選択する。
【0040】
なお、上記実施形態では、出力部25による放射線画像の出力先としてディスプレイ211とプリンタ212を例示したが、これらに限定されるものではない。また、切り出し領域の配置方法として、たとえば、第1実施形態で説明した配置例1〜5で説明した配置方法を用いることができることは明らかである。
【0041】
以上のように、第2実施形態によれば、出力先に応じて適切に切り出し領域を配置することができる。たとえば、市販されているディスプレイなどの画像ビューワのサイズ(ピクセル数)が予め決められており、PACSへ送られた画像を画像ビューワに表示する際は、画像ビューワのサイズに合わせて画像を拡大したり縮小したりして表示する。そのため、同一患者の病変の経過を見るため同じ部位の画像を連続して検像するといった場合にも、それら画像が異なるサイズで切り出されていると、画像ビューワには異なる拡大率で表示されてしまう。同一患者の病変の経過を見る場合、表示される画像は、関心領域を含み、かつ大きさ(拡大率)が同じである方が好ましいことは言うまでもない。本実施形態によれば、出力先に合わせて切り出し領域のサイズや配置位置を決定することができるので、画像ビューワにおいて統一された拡大率で表示される画像を出力することができる。また、画像ビューワの縦横比に対応した切り出しサイズを設定しておけば、縦横の比率を変えずに画像ビューワ全体に画像を拡大して表示することができる。
【0042】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。