(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444072
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20181217BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
B65D47/36
B65D51/22
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-128725(P2014-128725)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-8058(P2016-8058A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西松 利弥
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−043691(JP,A)
【文献】
特開2013−209103(JP,A)
【文献】
特開2013−184741(JP,A)
【文献】
特表2005−510425(JP,A)
【文献】
特開平08−058818(JP,A)
【文献】
特開2008−155961(JP,A)
【文献】
特開平10−338253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/36
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
蓋は中栓の上方から下向きに打栓されるものであり、
中栓は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部を有し、
弱化部が破断して離脱部が中栓から離脱することにより、中栓に注出口が形成されるキャップであって、
離脱部は上方ほど縮径する円錐部を有し、
蓋は内部に筒状の保持部を有し、
離脱部の外周に、第1の係合部が周方向において複数形成され、
保持部の内周に、第2の係合部が周方向において複数形成され、
蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、離脱部が保持部内に入り込むとともに、第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部が導入され、
蓋が開方向へ回転した際、第1の係合部と第2の係合部とが開方向において係合し、
第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部を案内する案内手段が備えられ、
案内手段は離脱部の円錐部の外周面に形成されている第1の係合部に設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
第1の係合部は離脱部の外周から径方向外側へ突出した第1の突起部であり、
第2の係合部は保持部の内周から径方向内側へ突出した第2の突起部であり、
案内手段は第1および第2の突起部の少なくとも第1の突起部に形成された傾斜面であることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
中栓の外周と蓋の内周とに、互いに螺合するねじが形成され、
中栓のねじと蓋のねじとの少なくともいずれかのねじは、周方向において、間欠的に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
保持部の内側に、保持部内に突出する嵌め込み部が設けられ、
蓋を中栓に打栓して取り付ける際、離脱部の先端が嵌め込み部に嵌め込まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
中栓は注出筒を有し、
離脱部は注出筒内に設けられ、
離脱部の外周と注出筒の内周との間に環状の間隙が形成され、
弱化部は間隙の底部にあり、
蓋に、蓋の取付方向から離脱部に当接可能な当接部が形成され、
蓋を中栓に打栓して取り付ける際、保持部が取付方向から間隙に挿入されるとともに、当接部が取付方向から離脱部に当接することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば
図17〜
図19に示すように、容器の口部に取り付けられる中栓101と、回転することにより中栓101に着脱自在な蓋102とを有し、中栓101は周囲が破断可能な薄肉ライン(図示省略)で囲まれた除去領域(図示省略)を有し、薄肉ラインが破断して除去領域が中栓101から離脱することにより、中栓101に注出口(図示省略)が形成されるものが記載されている。
【0003】
図17に示すように、除去領域には楕円筒状の係止壁106が設けられ、係止壁106の外面には溝107が形成されている。また、
図18に示すように、蓋102の内部には複数の外側係止突起108と内側係止突起109とが設けられ、外側係止突起108には突条110が形成されている。中栓101の外周には雄ねじ111が形成され、蓋102の内周には雌ねじ112が形成されている。
【0004】
これによると、蓋102を軸心方向113に移動して中栓101に取り付ける際、
図19に示すように、内側係止突起109が係止壁106の内側に挿入されるとともに外側係止突起108が係止壁106の外側に位置する。その後、中栓101を容器の口部に取り付ける。
【0005】
その後、容器の内容物を消費する際には、蓋102を開方向114へ回転させる。これにより、外側係止突起108が係止壁106の外周面に当接するとともに内側係止突起109が係止壁106の内周面に当接し、外側および内側係止突起108,109が開方向114において係止壁106に係合し、外側および内側係止突起108,109を介して係止壁106に加えられる回転力によって薄肉ラインが破断し、除去領域が中栓101から除去され、中栓101に注出口が形成される。
【0006】
この際、外側係止突起108には突条110が係止壁106の溝107に係合しているため、蓋102を中栓101から外した際、除去領域は蓋102の内側に保持される。
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−210973
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、蓋102を軸心方向113に移動して中栓101に取り付ける際、
図19に示すように、内側係止突起109が係止壁106の内側に挿入されるとともに外側係止突起108が係止壁106の外側に位置するように、蓋102を中栓101に対し周方向において正確に位置合わせする必要があり、このような位置合わせが面倒であるといった問題がある。尚、位置合わせをせず、蓋102の位置が周方向にずれた場合、軸心方向113における内側係止突起109の先端又は外側係止突起108の先端が係止壁106の先端に当接し、蓋102を中栓101に取り付けることができないといった問題がある。
【0009】
また、蓋102を回転して中栓101から外した際、除去領域を蓋102の内側に保持するために、係止壁106に溝107を形成し、外側係止突起108に突条110を形成する必要があり、構成が複雑化するといった問題がある。
【0010】
本発明は、蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、蓋を中栓に対し周方向において位置合わせする必要がなく、蓋を回転して中栓から外した際、シンプルな構成で離脱部(除去領域)を蓋の内側に保持することが可能なキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
蓋は中栓の上方から下向きに打栓されるものであり、
中栓は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部を有し、
弱化部が破断して離脱部が中栓から離脱することにより、中栓に注出口が形成されるキャップであって、
離脱部は上方ほど縮径する円錐部を有し、
蓋は内部に筒状の保持部を有し、
離脱部の外周に、第1の係合部が周方向において複数形成され、
保持部の内周に、第2の係合部が周方向において複数形成され、
蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、離脱部が保持部内に入り込むとともに、第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部が導入され、
蓋が開方向へ回転した際、第1の係合部と第2の係合部とが開方向において係合
し、
第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部を案内する案内手段が備えられ、
案内手段は離脱部の円錐部の外周面に形成されている第1の係合部に設けられているものである。
【0012】
これによると、
蓋を中栓の上方から下向きに打栓して中栓に取り付ける際、離脱部が保持部内に入り込んで保持されるとともに、
案内手段によって、第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部が
案内されて導入される
。このため、蓋を、中栓に対して、周方向において位置合わせする必要はない。
また、上記のように蓋を中栓の上方から下向きに打栓して中栓に取り付ける際、万一、蓋の中心が中栓の中心に対してわずかに径方向にずれていても、蓋の保持部の先端が中栓の離脱部の円錐部の外周面に当接しながら取付方向へ移動することにより、蓋が中栓に対して径方向に案内されて位置決めされる。このため、蓋の径方向におけるずれが修正される。
【0013】
蓋を中栓に取り付けた後、中栓を容器の口部に取り付ける。その後、容器の内容物を消費する際には、蓋を開方向へ回転させる。これにより、第1の係合部と第2の係合部とが開方向において係合し、蓋の回転力が第1および第2の係合部を介して離脱部に加えられ、この回転力によって弱化部が破断し、離脱部が中栓から離脱し、中栓に注出口が形成される。
【0014】
この際、離脱部は保持部内に入り込んで保持されているため、蓋を回転して中栓から取り外すと、離脱部は蓋の内側から脱落せずに蓋の内側に留まる。このように、蓋に筒状の保持部を備えるだけのシンプルな構成で、離脱部を蓋の内側に保持することができるため、従来のように離脱部を蓋の内側に保持するために溝や突条を形成する必要はない。
【0016】
本第
2発明におけるキャップは、第1の係合部は離脱部の外周から径方向外側へ突出した第1の突起部であり、
第2の係合部は保持部の内周から径方向内側へ突出した第2の突起部であり、
案内手段は第1および第2の突起部の少なくとも
第1の突起部に形成された傾斜面であるものである。
【0017】
これによると、蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、離脱部が保持部内に入り込んで保持されるとともに、他方の突起部が傾斜面によって一方の突起部間に案内されながら導入されるため、蓋を、中栓に対して、周方向において位置合わせする必要はない。
【0018】
本第
3発明におけるキャップは、中栓の外周と蓋の内周とに、互いに螺合するねじが形成され、
中栓のねじと蓋のねじとの少なくともいずれかのねじは、周方向において、間欠的に形成されているものである。
【0019】
これによると、蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、離脱部が保持部内に入り込んで保持されるとともに、第1および第2の係合部のいずれか一方の係合部間に他方の係合部が導入され、蓋のねじ山が中栓のねじ山を乗り越える。中栓のねじと蓋のねじとの少なくともいずれかのねじは全周ではなく間欠的に形成されているため、蓋のねじ山が中栓のねじ山を乗り越えるときの抵抗が低減され、蓋を中栓に取り付けるのに要する力を軽減することができる。
【0020】
本第4発明におけるキャップは、保持部の内側に、保持部内に突出する嵌め込み部が設けられ、
蓋を中栓に打栓して取り付ける際、離脱部の先端が嵌め込み部に嵌め込まれるものである。
本第5発明におけるキャップは、中栓は注出筒を有し、
離脱部は注出筒内に設けられ、
離脱部の外周と注出筒の内周との間に環状の間隙が形成され、
弱化部は間隙の底部にあり、
蓋に、蓋の取付方向から離脱部に当接可能な当接部が形成され、
蓋を中栓に
打栓して取り付ける際、保持部が取付方向から間隙に挿入されるとともに、当接部が取付方向から離脱部に当接するものである。
【0021】
これによると、蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、保持部が取付方向から間隙に挿入されるとともに、当接部が取付方向から離脱部に当接する。これにより、保持部の間隙への挿入量が規制されるため、保持部が間隙に過剰に挿入されることはなく、保持部の先端が弱化部に当接して弱化部を破断させてしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によると、蓋を軸心方向に移動して中栓に取り付ける際、蓋を、中栓に対して、周方向において位置合わせする必要はない。その後、蓋を回転して中栓から取り外した際、シンプルな構成で離脱部を蓋の内側に保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップの半分を断面表示した側面図である。
【
図4】同、キャップの中栓の半分を断面表示した側面図である。
【
図6】
図5におけるY−Y矢視図であり、第1の突起部を離脱部の径方向外側から見たときの形状を示す。
【
図9】同、キャップの蓋の半分を断面表示した側面図である。
【
図11】
図10におけるV−V矢視図であり、第2の突起部を保持部の径方向内側から見たときの形状を示す。
【
図12】同、キャップの蓋を中栓に打栓する際、第2の突起部が第1の突起部間に案内されながら導入される様子を示す図である。
【
図13】治具を用いてキャップの蓋を中栓に打栓する際の様子を示す図である。
【
図14】同、キャップの蓋を回転して中栓から取り外した状態を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの中栓の平面図である。
【
図19】同、蓋を中栓に取り付けたときの係止壁と外側および内側係止突起との斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1は容器2に取付けられたキャップである。キャップ1は、容器2の口部3に取付けられる中栓4と、回転することにより中栓4に着脱自在なねじ式の蓋5とを有している。
【0025】
図2〜
図6に示すように、中栓4は、円筒状の胴部8と、胴部8の先端部から突出して形成された円筒状の注出筒9と、注出筒9を閉鎖して容器2の内部と外部とを隔てる離脱部10と、第1円筒部11とを有している。
【0026】
胴部8は内筒部12と外筒部13とを有し、内筒部12と外筒部13との間には、下方が開放された嵌入部14が全周にわたり形成されている。容器2の口部3が嵌入部14に嵌め込まれることで、
図1に示すように、中栓4が容器2に取付けられる。
【0027】
離脱部10は、注出筒9内に設けられ、周囲が破断可能な円環状の弱化部15で囲まれている。尚、弱化部15は薄肉のラインであり、
図14に示すように、弱化部15が破断して離脱部10が中栓4から離脱することにより、注出筒9内に注出口16が形成される。
【0028】
離脱部10は、円筒部17と、円筒部17の先端から上方ほど縮径する円錐部18と、円錐部18の上端を閉塞する円形の天板部19とを有している。離脱部10の外周と注出筒9の内周との間には円環状の間隙20が形成され、弱化部15は間隙20の底部にある。
【0029】
第1円筒部11は、注出筒9の径方向外側にあり、注出筒9の外周を取り囲むように形成されている。第1円筒部11の外周面には雄ねじ22が全周にわたり形成されている。また、胴部8の外周面には、径方向外側へ突出する突起部23と外鍔部24とがそれぞれ全周にわたり形成されている。尚、突起部23は、軸心方向Aにおいて、雄ねじ22と外鍔部24との間に位置している。また、突起部23と外鍔部24との間には凹部25が形成されている。
【0030】
図7〜
図11に示すように、蓋5は、円形の頂板部27(当接部の一例)と、頂板部27の外周縁から垂下する円筒状のスカート部28と、改竄防止用の円環状の封印帯29とを有するとともに、内部に保持部30と第2円筒部31とを有している。封印帯29は、周方向における複数箇所に形成された接続部位32(ブリッジ)を残して、スカート部28の下端から切断されており、接続部位32を介してのみスカート部28の下端に接続されている。また、封印帯29の下端内周部には、凸部35が全周にわたり形成されており、蓋5を中栓4に取り付けた状態で、凸部35が凹部25に嵌め込まれる。
【0031】
保持部30は、円筒状の部材であり、頂板部27から垂下されている。また、
図1に示すように、頂板部27は蓋5の取付方向Bから離脱部10の上端面に当接可能である。第2円筒部31は、径方向において、スカート部28と保持部30との間に設けられている。第2円筒部31の内周面には雌ねじ33が全周にわたり形成されており、
図1に示すように、中栓4の雄ねじ22と蓋5の雌ねじ33とが互いに螺合する。
【0032】
また、保持部30の内側には、頂板部27の内面から保持部30内に突出した円環状の嵌め込み部34が設けられている。
図2〜
図6に示すように、中栓4の離脱部10の外周面には、第1の突起部37(第1の係合部の一例)が周方向Cにおいて複数形成され、
図7〜
図11に示すように、蓋5の保持部30の内周面には、第2の突起部38(第2の係合部の一例)が周方向Cにおいて複数形成されている。
【0033】
各第1の突起部37は、離脱部10の外周面から径方向外側へ突出しており、
図6に示すように、径方向外側から見て、上端(先端)が先細りの山形状である。尚、各第1の突起部37は、離脱部10の円錐部18の外周面と円筒部17の外周面とにわたり形成されている。また、各第2の突起部38は、保持部30の内周面から径方向内側へ突出しており、
図11に示すように、径方向内側から見て、下端(先端)が先細りの逆山形状である。
【0034】
図6,
図11,
図12に示すように、周方向Cにおいて隣り同士の第1の突起部37(一方の係合部の一例)間に第2の突起部38(他方の係合部の一例)を案内する第1および第2の傾斜面41,42(案内手段の一例)が第1および第2の突起部37,38に形成されている。すなわち、第1の傾斜面41は第1の突起部37に形成され、第2の傾斜面42は第2の突起部38に形成されている。
【0035】
以下、上記構成における作用を説明する。
先ず、中栓4と蓋5とを個別に製作した後、蓋5を軸心方向Aへ移動して中栓4に取り付ける。この際、
図13に示すように、中栓4の内部に治具50を挿入し、蓋5を中栓4の上方から下向き(取付方向B)に打栓する(打ち込む)。これにより、
図1に示すように、保持部30が取付方向B(すなわち打栓方向)から間隙20(
図4参照)に挿入されるとともに、頂板部27が取付方向Bから離脱部10の上端面に当接し、雌ねじ33が雄ねじ22を乗り越え、封印帯29の凸部35が凹部25に嵌め込まれ、離脱部10が保持部30内に入り込んで保持され、離脱部10の先端部が嵌め込み部34に嵌め込まれ、
図12に示すように、第1の突起部37間に第2の突起部38が導入され、蓋5が中栓4に取り付けられる。
【0036】
このとき、
図1に示すように、上記のように頂板部27が取付方向Bから離脱部10の上面に当接するため、保持部30の間隙20(
図4参照)への挿入量が規制される。これにより、保持部30が間隙20に過剰に挿入されることはなく、保持部30の先端が弱化部15に当接して弱化部15を破断させてしまうのを防止することができる。
【0037】
また、蓋5を中栓4に打栓して取り付ける際、蓋5が中栓4に対して取付方向Bへ移動するのに伴って、
図12に示すように、第2の傾斜面42が第1の傾斜面41に当接し、第2の突起部38が第1および第2の傾斜面41,42によって第1の突起部37間に案内されながら導入されるため、蓋5を中栓4に対し周方向Cにおいて位置合わせする必要はない。
【0038】
さらに、万一、蓋5の中心が中栓4の中心に対してわずかに径方向にずれていても、蓋5の保持部30の先端が中栓4の離脱部10の円錐部18の外周面に当接しながら取付方向Bへ移動することにより、蓋5が中栓4に対して径方向に案内されて位置決めされるため、蓋5の径方向におけるずれが修正される。
【0039】
蓋5を中栓4に取り付けた後、治具50を中栓4の内部から取り外し、
図1に示すように、容器2の口部3を嵌入部14に嵌め込んで、中栓4を容器2に取付ける。
その後、容器2の内容物を消費する際には、蓋5を開方向Oへ回転させる。これにより、第1の突起部37と第2の突起部38とが開方向Oにおいて互いに係合し、蓋5の回転力が第1および第2の突起部37,38を介して離脱部10に加えられ、
図14に示すように、この回転力によって弱化部15が破断し、離脱部10が中栓4から離脱し、中栓4の注出筒9内に注出口16が形成される。
【0040】
この際、離脱部10は保持部30内に入り込んで保持されているため、蓋5を回転して中栓4から外した際、離脱部10は蓋5の内側から脱落せずに蓋5の内側に留まる。このように、蓋5に円筒状の保持部30を備えるだけのシンプルな構成で、離脱部10を蓋5の内側に保持することができるため、従来のように離脱部を蓋の内側に保持するために溝や突条を形成する必要はない。
【0041】
尚、蓋5を回転して中栓4から外す際には、封印帯29の凸部35が凹部25に嵌め込まれた状態で、封印帯29とスカート部28とを接続している接続部位32が破断し、封印帯29が蓋5から分離して中栓4側に残留する。
【0042】
また、離脱部10の先端部が嵌め込み部34に嵌め込まれることにより、離脱部10がより一層強く保持部30内に固定される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図15に示すように、突起部23は、中栓4の胴部8の全周ではなく、周方向において45°おきに振り分けられた八箇所に、間欠的(非連続的)に形成されている。尚、八箇所に限定されるものではなく、突起部23を八箇所以外の複数箇所に形成してもよい。また、
図16に示すように、雌ねじ33は、蓋5の第2円筒部31の全周ではなく、周方向において90°おきに振り分けられた四箇所に、間欠的(非連続的)に形成されている。尚、四箇所に限定されるものではなく、雌ねじ33を四箇所以外の複数箇所に形成してもよい。
【0043】
これによると、雌ねじ33が蓋5の周方向Cにおいて間欠的に形成されているため、
図13に示すように、中栓4の内部に治具50を挿入し、蓋5を中栓4の上方から下向きに打栓する際、雌ねじ33が雄ねじ22を乗り越えるときの抵抗が低減される。これにより、蓋5を中栓4に打栓して取り付けるのに要する押圧力を軽減することができる。
【0044】
同様に、突起部23も中栓4の周方向Cにおいて間欠的に形成されているため、封印帯29の凸部35が凹部25に嵌め込まれる際、凸部35が突起部23を乗り越えるときの抵抗が低減される。これにより、蓋5を中栓4に打栓して取り付けるのに要する押圧力をさらに軽減することができる。
【0045】
上記第2の実施の形態では、雌ねじ33を間欠的に形成し、雄ねじ22を全周にわたり形成しているが、雄ねじ22を間欠的に形成し、雌ねじ33を全周にわたり形成してもよい。また、雄ねじ22と雌ねじ33とをそれぞれ間欠的に形成してもよい。
【0046】
また、突起部23を間欠的に形成し、凸部35を全周にわたり形成しているが、凸部35を間欠的に形成し、突起部23を全周にわたり形成してもよい。また、突起部23と凸部35とをそれぞれ間欠的に形成してもよい。
【0047】
上記各実施の形態では、
図6に示すように、第1の突起部37に第1の傾斜面41を形成し、
図11に示すように、第2の突起部38に第2の傾斜面42を形成したが、第1の傾斜面41と第2の傾斜面42とのいずれか片方の傾斜面のみを形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 中栓
5 蓋
9 注出筒
10 離脱部
15 弱化部
16 注出口
20 間隙
22 雄ねじ
27 頂板部(当接部)
30 保持部
33 雌ねじ
37 第1の突起部(第1の係合部)
38 第2の突起部(第2の係合部)
41 第1の傾斜面(案内手段)
42 第2の傾斜面(案内手段)
A 軸心方向
B 取付方向
C 周方向
O 開方向