特許第6444101号(P6444101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444101
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/08 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G01M17/08
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-179802(P2014-179802)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-53531(P2016-53531A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雙木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 芳光
(72)【発明者】
【氏名】三島 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】一木 剛
(72)【発明者】
【氏名】石田 陽士
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第93/005358(WO,A1)
【文献】 特開平05−143714(JP,A)
【文献】 特開2011−180107(JP,A)
【文献】 特開2010−243332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0100275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00−17/10
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の撮影画像を取得するための撮像手段と、
前記車両の種類を識別する識別手段と、
前記撮像手段によって取得された撮影画像から、検査対象物の画像を認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段によって認識された検査対象物の画像に基づいて、当該検査対象物に異常があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって異常があると判定された場合に報知する報知手段と、
を備え、
前記画像認識手段は、前記車両の種類によって異なる前記検査対象物に関する情報を前記識別手段による識別結果に基づき取得し、当該取得した情報に基づいて、前記撮影画像に含まれる前記検査対象物の画像を認識し、
前記撮像手段は、前記車両とともに当該車両が走行しているレールを撮影して前記撮影画像を取得し、
前記判定手段は、前記撮影画像に写っている前記レールを基準として、前記画像認識手段によって認識された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定することを特徴とする車両検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両を検査する車両検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の検査、具体的にはボルトが紛失していないかの確認や機器箱に凹み等が形成されていないかの確認などは、検査員や運転士が目視で行っている。しかし、目視による検査には、手間や時間がかかる、検査漏れや間違いが生じやすい等の問題がある。そこで、鉄道車両を撮影し、撮影画像を用いて鉄道車両を検査する装置が提案されている。
【0003】
具体的には、例えば、車両の外観を検査するための外観検査装置であって、車両の画像を取得する画像取得部と、画像取得部で取得した画像に二値化処理を施し、複数の画素が第1値又は第2値で構成された二値化画像を取得する二値化処理部と、二値化処理部で取得した二値化画像に基づいて、車両の外観異常の有無を判定する異常判定部と、を備える外観検査装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、例えば、車両のブレーキディスク面を撮像して検査する車両検査装置であって、車両の軌道に沿って配置され、軌道を通過する車両のブレーキディスク面の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置による撮像画像を処理し、ブレーキディスク面における特徴点を抽出する処理を行う処理装置と、撮像画像および特徴点の抽出処理結果を含むデータを保存する保存装置と、を備える車両検査装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−122965号公報
【特許文献2】特開2011−180107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄道車両には様々な種類があり、例えば、「電動車」、「制御車」、「付随車」等がある。鉄道車両の種類によって当該鉄道車両が備える装置や器具などが異なる。特に、鉄道車両の床下には様々な装置や器具などが設置されている。したがって、鉄道車両の種類にかかわらず撮影画像を用いて一律に検査を行うと、不要なアラートを出力してしまうという問題がある。具体的には、例えば、装置aを備える車両Aと装置aを備えない車両Bとがある場合、車両Bの検査を車両Aの検査と同じように行うと、車両Bに装置aが備えられていないためにアラートを出力してしまう等の問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、鉄道車両を検査する車両検査システムであって、的確な検査を行うことが可能な車両検査システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の車両検査システムは、
車両の撮影画像を取得するための撮像手段と、
前記車両の種類を識別する識別手段と、
前記撮像手段によって取得された撮影画像から、検査対象物の画像を認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段によって認識された検査対象物の画像に基づいて、当該検査対象物に異常があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって異常があると判定された場合に報知する報知手段と、
を備え、
前記画像認識手段は、前記車両の種類によって異なる前記検査対象物に関する情報を前記識別手段による識別結果に基づき取得し、当該取得した情報に基づいて、前記撮影画像に含まれる前記検査対象物の画像を認識し、
前記撮像手段は、前記車両とともに当該車両が走行しているレールを撮影して前記撮影画像を取得し、
前記判定手段は、前記撮影画像に写っている前記レールを基準として、前記画像認識手段によって認識された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成されている。
【0008】
したがって、車両が備える検査対象物は車両の種類によって異なるが、車両の種類を識別してから、当該車両の撮影画像を用いて検査対象物の検査を行うので、的確な検査を行うことが可能となる。
また、検査員等が車両を実際に見なくても、検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを検査することができる。
また、検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを、正確に検査することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、的確な検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態にかかる車両検査システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】鉄道車両の床下に設置された装置や器具などを説明する図である。
図3】本実施形態にかかる車両検査システムによる車両検査処理を説明するフローチャートである。
図4】本実施形態にかかる車両検査システムによる車両検査処理を説明するフローチャートである。
図5】本実施形態にかかる車両検査システムによる車両検査処理を説明するフローチャートである。
図6】高さ調整装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しつつ、本発明にかかる車両検査システムの実施形態について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0024】
図1は、本実施形態にかかる車両検査システム1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の車両検査システム1は、鉄道車両(以下、単に「車両」という。)が車両基地内を走行中に、当該車両の下部(主に床下)に設置された装置や器具などを検査する。具体的には、車両検査システム1は、例えば、車両検知装置10と、撮像装置20と、照明装置30と、検査装置40と、報知装置50と、を備えて構成される。
【0025】
車両検知装置10は、例えば、車両基地内に設置され、撮像装置20および照明装置30に接近する車両を検知する。車両検知装置10は、例えば、超音波によって車両を検知する超音波センサ、赤外線によって車両を検知する赤外線センサ、磁束密度の変化によって車輪の通過を検知する車輪検知器、車両番号等が記録されたコード(1次元コードであっても、2次元コードであってもよい。)が印字されたラベルを車両の所定位置に貼付しておき、当該コードから車両番号等を読み取ることによって車両を検知するコードリーダ、車両番号等が記録されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の無線タグを車両の所定位置に取り付けておき、当該無線タグから車両番号等を読み取ることによって車両を検知するタグリーダ等、あるいはこれらの組み合わせによって構成することができる。
【0026】
車両検知装置10は、車両を検知すると、車両検知信号を撮像装置20および照明装置30に送信する。撮像装置20は、車両検知信号を受信すると、例えばスリープモードから動作モード(撮影モード)に切り替わって、撮影を開始する。また、照明装置30は、車両検知信号を受信すると、例えばスリープモードから動作モード(照明モード)に切り替わって、照明を開始する。
車両検知装置10と、撮像装置20および照明装置30と、の離間距離は、例えば、撮像装置20および照明装置30の動作準備の時間(すなわち、車両検知信号を受信してから、動作モードに切り替わるまでの時間)を確保できる距離に設定されている。当該距離は、例えば、車両基地内を走行する車両の速度(例えば、25km/h以下)、車両検知装置10が車両を検知してから撮像装置20および照明装置30が動作モードに切り替わるまでに要する時間等、あるいはこれらの組み合わせに基づき設定することができる。
【0027】
撮像装置20は、例えば、車両基地内の線路の両側に設置され、車両の撮影画像を取得する。撮像装置20は、例えば、モノクロカメラ、カラーカメラ、赤外線カメラ等、あるいはこれらの組み合わせによって構成することができる。
具体的には、例えば、撮像装置20は、車両検知装置10からの車両検知信号を受信すると、スリープモードから動作モード(撮影モード)に切り替わって、撮影画像を取得する。そして、取得した撮影画像を検査装置40に送信する。
【0028】
本実施形態の場合、撮像装置20は、車両の下部と当該車両が走行しているレールとを撮影して、当該車両の撮影画像を取得する。
また、本実施形態の場合、撮像装置20は、撮影画像として静止画データを取得する。撮影画像(静止画データ)は、所定周期で連続的に静止画撮影を行って(すなわち、連写撮影を行って)取得することも可能であるし、動画撮影を行って得た動画データに含まれるフレームを所定数おきに抜き出し、抜き出したフレームを撮影画像とすることも可能である。
【0029】
また、本実施形態の場合、2つの撮像装置20のうち一方の撮像装置20は、1回の撮影(1回の連写撮影あるいは1回の動画撮影)で、列車の一側面を先頭から最後尾まで撮影して、複数の撮影画像を取得するように構成されている。また、2つの撮像装置20のうち他方の撮像装置20は、1回の撮影で、当該列車の他側面を先頭から最後尾まで撮影して、複数の撮影画像を取得するように構成されている。
【0030】
また、本実施形態の場合、車両の下部の各部分(複数の車両が連結して列車を構成している場合には、その連結部分も含む。)が、1回の撮影で取得された複数の撮影画像の少なくとも1つに写っているように、連写撮影の周期あるいは動画データからのフレーム抜出間隔が設定されている。すなわち、一方の撮像装置20が1回の撮影で取得した複数の撮影画像を繋ぎ合わせると(一部重複して繋ぎ合わせてもよい。)、列車の一側面の下部全体の画像が得られるように、当該一方の撮像装置20の連写撮影の周期あるいは動画データからのフレーム抜出間隔が設定されている。また、他方の撮像装置20が1回の撮影で取得した複数の撮影画像を繋ぎ合わせると(一部重複して繋ぎ合わせてもよい。)、当該列車の他側面の下部全体の画像が得られるように、当該他方の撮像装置20の連写撮影の周期あるいは動画データからのフレーム抜出間隔が設定されている。
【0031】
照明装置30は、例えば、車両基地内の線路の両側に設置され、車両検知装置10からの車両検知信号を受信すると、スリープモードから動作モード(照明モード)に切り替わって、撮像装置20の撮影範囲(本実施形態の場合、車両の下部および当該車両が走行しているレールを含む範囲)を照明する。これにより、画像認識部452(後述)による画像処理精度を高めることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、線路の片側と他側のそれぞれに1つの撮像装置20を設置したが、これに限定されるものではなく、線路の片側と他側のそれぞれに複数の撮像装置20を設置することも可能である。
また、本実施形態では、線路の片側と他側のそれぞれに1つの照明装置30を設置したが、これに限定されるものではなく、線路の片側と他側のそれぞれに複数の照明装置30を設置することも可能である。
【0033】
検査装置40は、例えば、車両基地内の事務所に設置されたパーソナルコンピュータであり、撮像装置20によって取得された撮影画像を用いて、車両の下部に設置された装置や器具などを検査する。具体的には、検査装置40は、例えば、I/F部41と、撮影画像データベース42と、表示部43と、操作入力部44と、制御部45と、を備えて構成される。
【0034】
I/F部41は、外部装置との間で各種情報を入出力するためのインターフェイスである。本実施形態の場合、I/F部41は、撮像装置20と接続されており、撮像装置20からの撮影画像が入力される。また、I/F部41は、報知装置50と接続されており、報知装置50へ報知指示信号を出力する。
なお、車両検知装置10とI/F部41とを接続するとともに、撮像装置20および照明装置30とI/F部41とを接続して、検査装置40を介して車両検知装置10から撮像装置20および照明装置30へと車両検知信号を送信するように構成することも可能である。
【0035】
撮影画像データベース42は、制御部45からの指示に従って、撮像装置20からの撮影画像を、撮影日時や、被写体となった車両の車両番号などとともに記憶する。
撮影日時は、例えば、撮影画像とともに撮像装置20から検査装置40へと送信されてもよいし、あるいは、検査装置40に計時手段を備え、I/F部41が撮像装置20からの撮影画像を受信した日時等を当該計時手段によって計時して、それを撮影日時としてもよい。
車両番号は、例えば、車種識別部451(後述)によって取得される。
【0036】
ここで、前述したように、本実施形態の場合、車両の下部の各部分(複数の車両が連結して列車を構成している場合には、その連結部分も含む。)が、1回の撮影で取得された複数の撮影画像の少なくとも1つに写っているように、連写撮影の周期あるいは動画データからのフレーム抜出間隔が設定されている。したがって、例えば、車両Aと車両Bとが連結して列車を構成している場合、1回の撮影で、車両Aを被写体とした撮影画像と、車両Bを被写体とした撮影画像と、車両Aおよび車両Bを被写体とした撮影画像と、が取得される。
よって、撮影画像データベース42には、車両Aを被写体とした撮影画像を、車両Aの車両番号とともに記憶し、車両Bを被写体とした撮影画像を、車両Bの車両番号とともに記憶し、車両Aおよび車両Bを被写体とした撮影画像を、車両Aの車両番号および車両Bの車両番号とともに記憶する。
【0037】
表示部43は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、制御部45からの指示に従って撮影画像等を表示する。
【0038】
操作入力部44は、例えばキーボードおよびマウスによって構成され、オペレータにより操作されると、当該操作に伴う操作信号を制御部45に出力する。
【0039】
制御部45は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ROMには、各種データおよびプログラムが記憶されている。CPUが指定されたプログラムをROMから読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとCPUとの協働により、制御部45が、各種処理を行う。
具体的には、制御部45は、検査装置40の各部を統括的に制御する。また、制御部45は、車種識別部451と画像認識部452と異常判定部453とを有する。
【0040】
車種識別部451は、被写体となった車両(以下「車両X」という。)の種類を識別する。
具体的には、例えば、車種識別部451は、車両Xの種類を識別するための車種識別情報として車両番号を取得する。
本実施形態の場合、車種識別部451は、車両Xの撮影画像から、車両Xの車体外装部に表記されている車両番号を認識して取得する。ここで、「車両Xの撮影画像」とは、車両Xが他の車両と連結していない場合(一両編成である場合)には、車両Xを被写体とした撮影画像のことであり、車両Xが他の車両と連結している場合には、車両Xを被写体とした撮影画像と、車両Xおよび当該他の車両を被写体とした撮影画像と、の双方のことである。
【0041】
画像認識部452は、撮像装置20によって取得された車両Xの撮影画像から、検査対象物の画像を認識する。具体的には、画像認識部452は、車両の種類によって異なる検査対象物に関する検査対象物情報を車種識別部451による識別結果に基づき取得し、当該取得した検査対象物情報に基づいて、車両Xの撮影画像に含まれる検査対象物の画像を認識する。
ここで、「検査対象物」とは、車両に備えられた装置や器具などのうち、車両検査システム1によって検査する装置や器具などのことである。また、「検査対象物情報」には、例えば、車両が備える検査対象物を識別するための検査対象物識別情報と、当該検査対象物の配設位置(大まかな配設位置)を示す位置情報および当該検査対象物の形状(大まかな形状)を示す形状情報と、当該検査対象物を構成する部品の配設位置等を示す部品情報と、が含まれている。なお、検査対象物情報には、検査対象物の位置情報と形状情報との双方が含まれていなくてもよく、少なくとも一方が含まれていればよい。
【0042】
車両に備えられた装置や器具などは、車両の種類によって異なる。例えば、図2に示すように、複数の車両が連結して列車を構成している場合、台車Dは当該複数の車両の全てに備えられているが、主回路装置Gは当該複数の車両のうち一部の車両にのみ備えられている。したがって、車両の種類によって検査対象物が異なる。また、車両の種類によって検出対象物の外観(形状)が異なる場合もある。例えば、台車Dの外観は、車両の種類によって異なる場合がある。
本実施形態の場合、制御部45のROM等に検査対象物情報記憶領域が設けられており、当該検査対象物情報記憶領域に、予め、車両の車両番号と、当該車両の検査対象物情報と、が対応付けて記憶されている。
なお、検査対象物情報記憶領域において、2つの車両の連結部分に設置されている検査対象物(連結装置等)に関する検査対象物情報は、当該2つの列車のうち一方の車両番号と対応付けて記憶されていることが好ましい。これにより、当該検査対象物を重複して検査することがなくなる。
【0043】
具体的には、例えば、画像認識部452は、まず、車両Xの撮影画像にエッジ検出処理を施して、検出したエッジからなるエッジ画像を生成する。ここでは、車両Xの一側面の下部全体(車両Xが他の車両と連結している場合には、その連結部分も含む。)のエッジ画像を生成するとともに、車両Xの他側面の下部全体(車両Xが他の車両と連結している場合には、その連結部分も含む。)のエッジ画像を生成する。以下、車両の一側面の下部全体のエッジ画像と、当該車両の他側面の下部全体のエッジ画像と、を合わせて「全体エッジ画像」という。
車両Xの一側面の下部全体のエッジ画像は、車両Xの一側面が写っている撮影画像(少なくとも車両Xの一側面の一部が写っていればよく、車両X以外の車両が写っていてもよい)を用いて生成され、例えば、車両Xの一側面が写っている撮影画像が複数ある場合には、当該複数の撮影画像から生成した複数のエッジ画像を繋ぎ合わせて生成される。車両Xの他側面の下部全体のエッジ画像の場合も同様である。
【0044】
次いで、車種識別部451によって取得された車両番号に対応する検査対象物情報を検査対象物情報記憶領域から取得し、取得した検査対象物情報(具体的には、取得した検査対象物情報に含まれる検査対象物の位置情報および形状情報)に基づいて、生成した車両Xの全体エッジ画像から、車両Xが備える検査対象物のエッジ画像を抽出する。
また、画像認識部452は、生成した車両Xの全体エッジ画像から、車両Xとともに撮影されたレールの所定部分(例えば上面)のエッジ線を抽出する。このエッジ線は、鉛直基準線(後述)として使用される。
【0045】
なお、車両Xの撮影画像は、屋外を走行中の車両Xを撮影して取得されたものであるため、日照や天候などの影響、車両の動揺など影響等を補正する目的で、画像処理(エッジ検出処理)の前処理として、明るさ調整やノイズ除去などの補正処理を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、検査対象物の画像の認識に、エッジ検出処理によって検査対象物のエッジ画像を抽出する方法を用いたが、これに限定されるものではなく、検査対象物の画像の認識には、公知の画像認識処理技術を用いることができる。例えば、2値化処理によって検査対象物の2値化画像を抽出する方法、エッジ検出処理によって検査対象物のエッジ画像を抽出する方法、特徴点抽出処理によって検査対象物の特徴点画像を抽出する方法等、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0046】
異常判定部453は、画像認識部452によって認識された検査対象物の画像に基づいて、当該検査対象物に異常があるか否かを判定する。そして、異常があると判定した場合には、I/F部41を介して報知装置50に、アラートを出力するよう指示する報知指示信号を出力する。
【0047】
本実施形態の場合、異常判定部453は、まず、画像認識部452によって検査対象物の画像が認識されなかった場合に、当該検査対象物が無いと判別して、当該検査対象物に異常があると判定する。
具体的には、例えば、異常判定部453は、画像認識部452によって検査対象物のエッジ画像が抽出されなかった場合に、当該検査対象物が無いと判別して、当該検査対象物に異常があると判定する。本実施形態では、検査対象物情報に、検査対象物の配設位置(大まかな配設位置)を示す位置情報および検査対象物の形状(大まかな形状)を示す形状情報が含まれており、画像認識部452は、当該位置情報および当該形状情報に基づいて、生成した全体エッジ画像から検査対象物のエッジ画像を抽出するので、検査対象物が車両から離脱してしまった場合だけでなく、検査対象物の配設位置が大きくずれている場合や、検査対象物の形状が大きく変形している場合にも、検査対象物のエッジ画像が抽出されず、当該検査対象物に異常があると判定される。
【0048】
次いで、異常判定部453は、画像認識部452によって検査対象物の画像が認識された場合に、画像認識部452によって認識された当該検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の有無を判別し、当該検査対象物を構成する部品が無いと判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定する。
具体的には、例えば、異常判定部453は、画像認識部452によって抽出された検査対象物のエッジ画像と、画像認識部452によって取得された検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる部品情報)と、に基づいて、当該検査対象物を構成する部品の有無を判別し、当該検査対象物を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定する。
【0049】
次いで、異常判定部453は、当該検査対象物を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合に、画像認識部452によって認識された当該検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定する。
具体的には、例えば、検査対象物を構成する部品の形状が直方体状である場合には、異常判定部453は、まず、画像認識部452によって抽出された当該検査対象物のエッジ画像から、当該部品の輪郭線を抽出する。次いで、抽出した輪郭線の真直度を求め、求めた真直度が輪郭線真直度閾値より大きい場合に、当該検査対象物の形状に異常があると判別する。これにより、検査対象物を構成する部品に凹み変形が生じていないか等を検査することができる。
また、例えば、検査対象物を構成する部品の形状が棒状や筒状である場合には、異常判定部453は、まず、画像認識部452によって抽出された当該検査対象物のエッジ画像から、当該部品の軸線を抽出する。次いで、抽出した軸線の真直度を求め、求めた真直度が軸線真直度閾値より大きい場合に、当該検査対象物の形状に異常があると判別する。これにより、検査対象物を構成する部品に曲がり変形が生じていないか等を検査することができる。
【0050】
なお、輪郭線真直度閾値および軸線真直度閾値は、部品の種類毎に設定されている。ここで、「真直度」とは、直線形体の幾何学的に正しい直線からの狂いの大きさのことであり、例えば、抽出した輪郭線または軸線を挟む平行な2本の直線の間隔のことである。
【0051】
また、異常判定部453は、当該検査対象物を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合に、画像認識部452によって認識された当該検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定する。
具体的には、異常判定部453は、まず、画像認識部452によって抽出された検査対象物のエッジ画像から、当該検査対象物を構成する部品の輪郭線や軸線などを抽出する。また、画像認識部452によって抽出されたレールの所定部分(例えば上面)のエッジ線を取得し、これを鉛直基準線として用いる。次いで、抽出した輪郭線や軸線などの鉛直基準線に対する傾きを求め、求めた傾きが傾き許容範囲外である場合に、当該検査対象物の傾きに異常があると判別する。
これにより、検査対象物を構成する部品が傾いて取り付けられているか否かを検査したり、検査対象物を構成する部品が異常な状態であるか否かを検査したりすることができる。ここで、「異常な状態」とは、例えば、検査対象物を構成する部品が、機器箱の蓋を開閉する際に握るハンドルであり、車両の走行中に当該ハンドルが施錠されていることが正常である場合には、解錠状態のことである。また、例えば、検査対象物を構成する部品が、コックであり、車両の走行中に当該コックが開放されていることが正常である場合には、閉鎖状態のことである。
【0052】
なお、傾き許容範囲は、部品の種類毎に設定されている。走行中の車両Xを撮影して取得した撮影画像から検査対象物のエッジ画像が抽出されることを考慮して、傾き許容範囲には車両動揺成分(5度程度)が含まれていることが好ましい。
【0053】
報知装置50は、異常判定部453によって異常があると判定された場合に報知する。
具体的には、報知装置50は、例えばパトライト(登録商標)等によって構成され、検査装置40(具体的には制御部45)からの報知指示信号に従って、点灯したり点滅したりしてアラートを出力する。これにより、検査対象物に異常があることを、検査員等に報知することができる。
【0054】
次に、図3図5を参照して、車両検査システム1による車両検査処理を説明する。
まず、車両検知装置10が、撮像装置20および照明装置30に接近する車両を検知すると(ステップS1)、照明装置30によって撮像装置20の撮影範囲が照明された状態で、撮像装置20が、車両の撮影画像を取得する(ステップS2)。
次いで、検査装置40の車種識別部451が、当該車両の種類を識別する(ステップS3)。
次いで、検査装置40の画像認識部452が、ステップS2で取得された撮影画像にエッジ検出処理(画像処理)を施して、当該車両の全体エッジ画像を生成する(ステップS4)。
【0055】
次いで、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報を検査対象物情報記憶領域から取得し、取得した検査対象物情報(具体的には、取得した検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は走行装置(例えば台車D)を備える車両であるか否かを判定する(ステップS5)。
当該車両は走行装置を備える車両でないと判定した場合(ステップS5;No)には、ステップS12の処理に移行する。
一方、当該車両は走行装置を備える車両であると判定した場合(ステップS5;Yes)には、走行装置の画像を認識する(ステップS6)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、走行装置のエッジ画像を抽出する。
【0056】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、走行装置の画像が認識されたか否かを判別する(ステップS7)。すなわち、走行装置のエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
走行装置の画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS7;No)、すなわち走行装置のエッジ画像が抽出されなかった場合には、走行装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS11)。
【0057】
一方、走行装置の画像が認識されたと判別した場合(ステップS7;Yes)、すなわち走行装置のエッジ画像が抽出された場合には、認識された走行装置の画像(すなわち、抽出された走行装置のエッジ画像)に基づいて、走行装置を構成する部品(台車Dの枠、空気バネE等)の有無を判別する(ステップS8)。
走行装置を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS8;Yes)には、走行装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS11)。
【0058】
一方、走行装置を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS8;No)には、認識された走行装置の画像(すなわち、抽出された走行装置のエッジ画像)に基づいて、走行装置を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS9)。
走行装置を構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS9;Yes)には、走行装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS11)。
【0059】
一方、走行装置を構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS9;No)には、認識された走行装置の画像(すなわち、抽出された走行装置のエッジ画像)に基づいて、走行装置を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS10)。
走行装置を構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS10;Yes)には、走行装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS11)。
一方、走行装置を構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS10;No)には、ステップS12の処理に移行する。
【0060】
ステップS12では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は高さ調整装置Fを備える車両であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、高さ調整装置Fは、図2および図6に示すように、台車Dに取り付けられており、車体の高さを一定に保つために備えられている。高さ調整装置Fは、図6に示すように、高さ調整棒(LV棒)F1や、高さ調整棒F1を台車Dに取り付けるための取付け部品F2などから構成されている。
当該車両は高さ調整装置Fを備える車両でないと判定した場合(ステップS12;No)には、ステップS19の処理に移行する。
一方、当該車両は高さ調整装置Fを備える車両であると判定した場合(ステップS12;Yes)には、高さ調整装置Fの画像を認識する(ステップS13)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、高さ調整装置Fのエッジ画像を抽出する。
【0061】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、高さ調整装置Fの画像が認識されたか否かを判別する(ステップS14)。すなわち、高さ調整装置Fのエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
高さ調整装置Fの画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS14;No)、すなわち高さ調整装置Fのエッジ画像が抽出されなかった場合には、高さ調整装置Fに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS18)。
【0062】
一方、高さ調整装置Fの画像が認識されたと判別した場合(ステップS14;Yes)、すなわち高さ調整装置Fのエッジ画像が抽出された場合には、認識された高さ調整装置Fの画像(すなわち、抽出された高さ調整装置Fのエッジ画像)に基づいて、高さ調整装置Fを構成する部品(高さ調整棒F1、取付け部品F2等)の有無を判別する(ステップS15)。
高さ調整装置Fを構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS15;Yes)には、高さ調整装置Fに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS18)。
【0063】
一方、高さ調整装置Fを構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS15;No)には、認識された高さ調整装置Fの画像(すなわち、抽出された高さ調整装置Fのエッジ画像)に基づいて、高さ調整装置Fを構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS16)。
高さ調整装置Fを構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS16;Yes)には、高さ調整装置Fに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS18)。
【0064】
一方、高さ調整装置Fを構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS16;No)には、認識された高さ調整装置Fの画像(すなわち、抽出された高さ調整装置Fのエッジ画像)に基づいて、高さ調整装置Fを構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS17)。
高さ調整装置Fを構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS17;Yes)には、高さ調整装置Fに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS18)。
一方、高さ調整装置Fを構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS17;No)には、ステップS19の処理に移行する。
【0065】
ステップS19では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は主回路装置G(例えばVVVF装置)を備える車両であるか否かを判定する(ステップS19)。
当該車両は主回路装置Gを備える車両でないと判定した場合(ステップS19;No)には、ステップS26の処理に移行する。
一方、当該車両は主回路装置Gを備える車両であると判定した場合(ステップS19;Yes)には、主回路装置Gの画像を認識する(ステップS20)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、主回路装置Gのエッジ画像を抽出する。
【0066】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、主回路装置Gの画像が認識されたか否かを判別する(ステップS21)。すなわち、主回路装置Gのエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
主回路装置Gの画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS21;No)、すなわち主回路装置Gのエッジ画像が抽出されなかった場合には、主回路装置Gに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS25)。
【0067】
一方、主回路装置Gの画像が認識されたと判別した場合(ステップS21;Yes)、すなわち主回路装置Gのエッジ画像が抽出された場合には、認識された主回路装置Gの画像(すなわち、抽出された主回路装置Gのエッジ画像)に基づいて、主回路装置Gを構成する部品(VVVF装置箱の箱体、蓋、ハンドル等)の有無を判別する(ステップS22)。
主回路装置Gを構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS22;Yes)には、主回路装置Gに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS25)。
【0068】
一方、主回路装置Gを構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS22;No)には、認識された主回路装置Gの画像(すなわち、抽出された主回路装置Gのエッジ画像)に基づいて、主回路装置Gを構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS23)。
主回路装置Gを構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS23;Yes)には、主回路装置Gに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS25)。
【0069】
一方、主回路装置Gを構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS23;No)には、認識された主回路装置Gの画像(すなわち、抽出された主回路装置Gのエッジ画像)に基づいて、主回路装置Gを構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS24)。
主回路装置Gを構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS24;Yes)には、主回路装置Gに異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS25)。
一方、主回路装置Gを構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS24;No)には、ステップS26の処理に移行する。
【0070】
ステップS26では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は補助電源装置(例えばSIV装置)を備える車両であるか否かを判定する(ステップS26)。
当該車両は補助電源装置を備える車両でないと判定した場合(ステップS26;No)には、ステップS33の処理に移行する。
一方、当該車両は補助電源装置を備える車両であると判定した場合(ステップS26;Yes)には、補助電源装置の画像を認識する(ステップS27)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、補助電源装置のエッジ画像を抽出する。
【0071】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、補助電源装置の画像が認識されたか否かを判別する(ステップS28)。すなわち、補助電源装置のエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
補助電源装置の画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS28;No)、すなわち補助電源装置のエッジ画像が抽出されなかった場合には、補助電源装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS32)。
【0072】
一方、補助電源装置の画像が認識されたと判別した場合(ステップS28;Yes)、すなわち補助電源装置のエッジ画像が抽出された場合には、認識された補助電源装置の画像(すなわち、抽出された補助電源装置のエッジ画像)に基づいて、補助電源装置を構成する部品(SIV装置箱の箱体、蓋、ハンドル、配線支え等)の有無を判別する(ステップS29)。
補助電源装置を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS29;Yes)には、補助電源装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS32)。
【0073】
一方、補助電源装置を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS29;No)には、認識された補助電源装置の画像(すなわち、抽出された補助電源装置のエッジ画像)に基づいて、補助電源装置を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS30)。
補助電源装置を構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS30;Yes)には、補助電源装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS32)。
【0074】
一方、補助電源装置を構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS30;No)には、認識された補助電源装置の画像(すなわち、抽出された補助電源装置のエッジ画像)に基づいて、補助電源装置を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS31)。
補助電源装置を構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS31;Yes)には、補助電源装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS32)。
一方、補助電源装置を構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS31;No)には、ステップS33の処理に移行する。
【0075】
ステップS33では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は空気装置(例えば空気圧縮機)を備える車両であるか否かを判定する(ステップS33)。
当該車両は空気装置を備える車両でないと判定した場合(ステップS33;No)には、ステップS40の処理に移行する。
一方、当該車両は空気装置を備える車両であると判定した場合(ステップS33;Yes)には、空気装置の画像を認識する(ステップS34)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、空気装置のエッジ画像を抽出する。
【0076】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、空気装置の画像が認識されたか否かを判別する(ステップS35)。すなわち、空気装置のエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
空気装置の画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS35;No)、すなわち空気装置のエッジ画像が抽出されなかった場合には、空気装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS39)。
【0077】
一方、空気装置の画像が認識されたと判別した場合(ステップS35;Yes)、すなわち空気装置のエッジ画像が抽出された場合には、認識された空気装置の画像(すなわち、抽出された空気装置のエッジ画像)に基づいて、空気装置を構成する部品(空気圧縮機の蓋、ハンドル、配管支え、コック、ドレンコック、チリコシ等)の有無を判別する(ステップS36)。
空気装置を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS36;Yes)には、空気装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS39)。
【0078】
一方、空気装置を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS36;No)には、認識された空気装置の画像(すなわち、抽出された空気装置のエッジ画像)に基づいて、空気装置を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS37)。
空気装置を構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS37;Yes)には、空気装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS39)。
【0079】
一方、空気装置を構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS37;No)には、認識された空気装置の画像(すなわち、抽出された空気装置のエッジ画像)に基づいて、空気装置を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS38)。
空気装置を構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS38;Yes)には、空気装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS39)。
一方、空気装置を構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS38;No)には、ステップS40の処理に移行する。
【0080】
ステップS40では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は保安装置(例えば車上子)を備える車両であるか否かを判定する(ステップS40)。
当該車両は保安装置を備える車両でないと判定した場合(ステップS40;No)には、ステップS47の処理に移行する。
一方、当該車両は保安装置を備える車両であると判定した場合(ステップS40;Yes)には、保安装置の画像を認識する(ステップS41)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、保安装置のエッジ画像を抽出する。
【0081】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、保安装置の画像が認識されたか否かを判別する(ステップS42)。すなわち、保安装置のエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
保安装置の画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS42;No)、すなわち保安装置のエッジ画像が抽出されなかった場合には、保安装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS46)。
【0082】
一方、保安装置の画像が認識されたと判別した場合(ステップS42;Yes)、すなわち保安装置のエッジ画像が抽出された場合には、認識された保安装置の画像(すなわち、抽出された保安装置のエッジ画像)に基づいて、保安装置を構成する部品(車上子本体、車上子本体を車両に取り付けるための取付け部品等)の有無を判別する(ステップS43)。
保安装置を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS43;Yes)には、保安装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS46)。
【0083】
一方、保安装置を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS43;No)には、認識された保安装置の画像(すなわち、抽出された保安装置のエッジ画像)に基づいて、保安装置を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS44)。
保安装置を構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS44;Yes)には、保安装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS46)。
【0084】
一方、保安装置を構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS44;No)には、認識された保安装置の画像(すなわち、抽出された保安装置のエッジ画像)に基づいて、保安装置を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS45)。
保安装置を構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS45;Yes)には、保安装置に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS46)。
一方、保安装置を構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS45;No)には、ステップS47の処理に移行する。
【0085】
ステップS47では、画像認識部452が、ステップS3で識別された当該車両の種類に対応する検査対象物情報(具体的には、検査対象物情報に含まれる検査対象物識別情報)に基づいて、当該車両は他の検査対象物を備える車両であるか否かを判定する(ステップS47)。ここで、「他の検査対象物」とは、例えば、連結装置、転線箱H(図2参照)等である。
当該車両は他の検査対象物を備える車両でないと判定した場合(ステップS47;No)には、車両検査処理を終了する。
一方、当該車両は他の検査対象物を備える車両であると判定した場合(ステップS47;Yes)には、他の検査対象物の画像を認識する(ステップS48)。すなわち、ステップS4で生成した全体エッジ画像から、他の検査対象物のエッジ画像を抽出する。
【0086】
次いで、検査装置40の異常判定部453が、他の検査対象物の画像が認識されたか否かを判別する(ステップS49)。すなわち、他の検査対象物のエッジ画像が抽出されたか否かを判別する。
他の検査対象物の画像が認識されなかったと判別した場合(ステップS49;No)、すなわち他の検査対象物のエッジ画像が抽出されなかった場合には、他の検査対象物に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS53)。
【0087】
一方、他の検査対象物の画像が認識されたと判別した場合(ステップS49;Yes)、すなわち他の検査対象物のエッジ画像が抽出された場合には、認識された他の検査対象物の画像(すなわち、抽出された他の検査対象物のエッジ画像)に基づいて、他の検査対象物を構成する部品の有無を判別する(ステップS50)。ここで、「他の検査対象物を構成する部品」とは、他の検査対象物が転線箱Hである場合には、転線箱Hの箱体や蓋などである。
他の検査対象物を構成する部品が無い、すなわち紛失している部品があると判別した場合(ステップS50;Yes)には、他の検査対象物に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS53)。
【0088】
一方、他の検査対象物を構成する部品が有る、すなわち紛失している部品がないと判別した場合(ステップS50;No)には、認識された他の検査対象物の画像(すなわち、抽出された他の検査対象物のエッジ画像)に基づいて、他の検査対象物を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別する(ステップS51)。
他の検査対象物を構成する部品の形状に異常があると判別した場合(ステップS51;Yes)には、他の検査対象物に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS53)。
【0089】
一方、他の検査対象物を構成する部品の形状に異常がないと判別した場合(ステップS51;No)には、認識された他の検査対象物の画像(すなわち、抽出された他の検査対象物のエッジ画像)に基づいて、他の検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別する(ステップS52)。
他の検査対象物を構成する部品の傾きに異常があると判別した場合(ステップS52;Yes)には、他の検査対象物に異常があると判定して、報知装置50に報知指示信号を送信する。これにより、報知装置50によって異常が報知される(ステップS53)。
一方、他の検査対象物を構成する部品の傾きに異常がないと判別した場合(ステップS52;No)には、車両検査処理を終了する。当該車両が備える他の検査対象物が複数ある場合には、ステップS47からステップS53までの処理を他の検査対象物毎に行う。
【0090】
一の車両で列車を構成している場合(すなわち、一両編成の列車の場合)には、車両検査システム1は、ステップS1で、当該列車を検知し、ステップS2で、当該列車の先頭から最後尾までを撮影し、ステップS3からステップS53までの処理を当該一の車両に対して行う。
また、複数の車両が連結して列車を構成している場合には、車両検査システム1は、ステップS1で、当該列車を検知し、ステップS2で、当該列車の先頭から最後尾までを撮影し、ステップS3からステップS53までの処理を各車両に対して行う。すなわち、ステップS3からステップS53までの処理を車両毎に行う。
【0091】
なお、ステップS11で異常報知を行った後、ステップS12の処理に移行するように構成したが、これに限定されるものではなく、ステップS11で異常報知を行った後、車両検査処理を終了するように構成することも可能である。ステップS18での異常報知、ステップS25での異常報知、ステップS32での異常報知、ステップS39での異常報知、ステップS46での異常報知の場合も同様である。
また、異常報知を行う際に、異常が検出された撮影画像を表示部43に表示するように構成することも可能である。これにより、検査員等は、車両を実際に見に行かなくても、表示部43に表示されている撮影画像を見るだけで、本当に異常が発生しているのかを確認することができる。
さらに、異常報知の後、検査員等が、表示部43に表示された撮影画像を見たり車両を実際に見たりして、異常が確認できたか否かを操作入力部44を操作して入力し、異常が確認できなかった回数が所定数に達した場合に、制御部45によって閾値や許容範囲などを変更するように構成することも可能である。具体的には、例えば、台車Dの枠(走行装置を構成する部品)の傾きに異常があると判別して異常報知を行った後に「台車Dの枠の傾き異常が確認できなかった」と入力された回数が所定数に達した場合、制御部45は、台車Dの枠の傾き異常を判別する際に用いる傾き許容範囲を、例えば“−10度〜+10度”であったところを“−11度〜+11度”に変更するように構成することも可能である。これにより、異常判定精度を向上させることが可能となる。
【0092】
以上説明した本実施形態の車両検査システム1によれば、車両の撮影画像を取得するための撮像手段(撮像装置20)と、車両の種類を識別する識別手段(車種識別部451)と、撮像手段によって取得された撮影画像から、検査対象物の画像を認識する画像認識手段(画像認識部452)と、画像認識手段によって認識された検査対象物の画像に基づいて、当該検査対象物に異常があるか否かを判定する判定手段(異常判定部453)と、判定手段によって異常があると判定された場合に報知する報知手段(報知装置50)と、を備え、画像認識手段は、車両の種類によって異なる検査対象物に関する情報(検査対象物情報)を識別手段による識別結果に基づき取得し、当該取得した情報に基づいて、撮影画像に含まれる検査対象物の画像を認識するように構成されている。
【0093】
したがって、車両が備える検査対象物は車両の種類によって異なるが、車両の種類を識別してから、当該車両の撮影画像を用いて検査対象物の検査を行うので、的確な検査を行うことが可能となる。
【0094】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、判定手段(異常判定部453)は、画像認識手段(画像認識部452)によって検査対象物の画像が認識されなかった場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成することが可能である。
【0095】
このように構成することによって、検査員等が車両を実際に見なくても、検査対象物の有無を検査することができる。
【0096】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、判定手段(異常判定部453)は、画像認識手段(画像認識部452)によって認識された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の有無を判別し、当該検査対象物を構成する部品が無いと判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成することが可能である。
【0097】
このように構成することによって、検査員等が車両を実際に見なくても、検査対象物を構成する部品の有無を検査することができる。
【0098】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、判定手段(異常判定部453)は、画像認識手段(画像認識部452)によって認識された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の形状に異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成することが可能である。
【0099】
このように構成することによって、検査員等が車両を実際に見なくても、検査対象物を構成する部品の形状に異常があるか否かを検査することができる。
【0100】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、判定手段(異常判定部453)は、画像認識手段(画像認識部452)によって認識された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを判別し、異常があると判別した場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成することが可能である。
【0101】
このように構成することによって、検査員等が車両を実際に見なくても、検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを検査することができる。
【0102】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、撮像手段(撮像装置20)は、車両とともに当該車両が走行しているレールを撮影して撮影画像を取得し、判定手段(異常判定部453)は、撮影画像に写っているレールを基準として、傾きに異常があるか否かを判別するように構成することが可能である。
【0103】
このように構成することによって、検査対象物を構成する部品の傾きに異常があるか否かを、正確に検査することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態の車両検査システム1によれば、撮像手段(撮像装置20)に接近する車両を検知する検知手段(車両検知装置10)を備え、撮像手段は、検知手段によって車両が検知されると、待機状態(スリープモード)から撮影状態(動作モード)に切り替わるように構成することが可能である。
【0105】
このように構成することによって、無駄な電力消費を抑えることが可能となる。
【0106】
上記の実施形態において、添付図面に図示されている構成等については、あくまで一例であり、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0107】
上記の実施形態において、車種識別部451は、車両Xの撮影画像から、車両Xの車体外装部に表記されている車両番号を認識して取得するように構成したが、車種識別部451による車両番号の取得の仕方は適宜任意に変更可能である。
例えば、車両検知装置10がコードリーダやタグリーダによって構成されている場合には、車種識別部451は、車両検知装置10が車両Xから読み取った車両番号を取得することも可能である。この場合、撮像装置20を介して車両検知装置10から検査装置40へと車両番号を送信するように構成することも可能であるし、車両検知装置10とI/F部41とを接続して車両検知装置10から検査装置40へと車両番号を直接送信するように構成することも可能である。
また、車両の種類を識別するための車種識別情報は、車両番号に限定されるものではなく、適宜任意に変更可能である。
【0108】
また、識別手段による車両の種類の識別方法は、車種識別情報を取得する方法に限定されるものではなく、適宜任意に変更可能である。
例えば、車両の側面全体を撮影して当該車両の側面外観を認識し、当該認識結果に基づいて、当該車両の種類を識別するように構成することも可能である。
また、例えば、列車の正面全体を撮影して当該列車の正面外観を認識し、当該認識結果に基づいて、当該列車を構成する車両の種類を識別するように構成することも可能である。
【0109】
また、上記の実施形態において、画像認識部452は、制御部45のROM等に設けられた検査対象物情報記憶領域から検査対象物情報を取得するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、外部装置と通信して検査対象物情報を取得するように構成することも可能である。
【0110】
また、上記の実施形態において、「検査対象物の有無」、「検査対象物を構成する部品の有無」、「検査対象物を構成する部品の形状異常の有無」、および「検査対象物を構成する部品の傾き異常の有無」についての検査を行ったが、検査内容はこれに限定されるものではなく、適宜任意に変更可能である。
すなわち、上記の実施形態において、「検査対象物が無い(検査対象物の画像が認識できない)」という条件を満たす場合、「検査対象物を構成する部品が無い」という条件を満たす場合、「検査対象物を構成する部品の形状に異常がある」という条件を満たす場合、あるいは「検査対象物を構成する部品の傾きに異常がある」という条件を満たす場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成したが、検査対象物に異常があると判定するための条件は、これに限定されるものではない。例えば、「検査対象物を構成する部品の寸法に異常がある(例えば、寸法変化が寸法許容範囲外である場合等)」という条件を満たす場合に、当該検査対象物に異常があると判定するように構成することも可能である。
【0111】
また、上記の実施形態においては、撮像装置20で車両の下部を撮影するように構成したが、これに限ることはなく、撮像装置20の撮影範囲は、検査したい箇所に応じて適宜任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 車両検査システム
10 車両検知装置(検知手段)
20 撮像装置(撮像手段)
50 報知装置(報知手段)
451 車種識別部(識別手段)
452 画像認識部(画像認識手段)
453 異常判定部(判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6