(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態)
以下、
図1〜6を参照して、本発明による通信装置の実施の形態を説明する。
図1は、通信装置を搭載する車両の通信対象を示す図である。
図1では、ある車道を3台の車両、すなわち車両1、車両1A、車両1Bが走行している。この3台の車両はいずれも通信装置を搭載している。通信装置の構成は、のちに
図2を用いて説明する。
車両1は、並走する他の車両1Aおよび1B、基地局2、無線通信スポット5、ならびにGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星6と通信を行う。
【0009】
車両1は、並走する車両1Aおよび車両1Bと無線を用いた直接の通信、すなわち車車間通信を行う。車車間通信の通信可能範囲は数百メートルであり必ずしも広くないが、中継用の設備を介在させないため、車両同士でリアルタイムな情報の授受が可能である。しかし、多数の車両が同時にデータを送信すると輻輳が発生する恐れがある。車車間通信では、複数の車両が、自車両の位置を送信し、安全性の向上、たとえば、交差点における出会い頭の衝突を避ける。
車両1は、車車間通信により他の車両の接近を受信すると、車両1の運転者に報知して注意喚起を行う。
【0010】
基地局2は、鉄塔などに設置されたデータ通信網3の末端である。基地局2は、たとえばLTE(LongTerm Evolution)方式に対応している。データ通信網3には、車道の交通状況を提供する広域情報提供サーバ4が接続されている。広域情報提供サーバ4は、車道を走行するそれぞれの車両から位置情報を取得し、要求に応じて各車両の位置情報を送信する。広域情報提供サーバ4は、危険度地図データ、およびエリアパラメータ表31を備える。危険度地図データには、たとえば過去の交通事故発生データに基づいた、道路上の位置ごとの危険度が記録されている。エリアパラメータ表31はのちに図を用いて説明する。広域情報提供サーバ4は、危険度地図データ、およびエリアパラメータ表31を参照して、受信した位置情報を用いて危険度を示す指標を算出し、車両1に送信する。
【0011】
無線通信スポット5は、車道の脇、すなわち路上に設置された無線通信機である。無線通信スポット5は、地域サーバ7に接続される。地域サーバ7は、接続されている無線通信スポット5が設置されているごく狭いエリア、すなわち局所の交通に関連する情報を収集する。地域サーバ7は、後述する局所パラメータ表33を備え、局所パラメータ表33を参照して、局所の危険度を示す指標を走行中の車両へ提供する。
GNSS衛星6は、衛星航法システムを構成する人工衛星であり、位置算出に必要な電波を送信している。車両1は、GNSS衛星6から電波を受信し、自車位置を算出する。
【0012】
車両1は、基地局2との無線を用いた通信、すなわち広域通信が可能である。車両1は、広域通信により広域情報提供サーバ4にアクセスし、自車両の位置を送信するとともに、他の車両の位置、およびそのエリアの危険度を示す指標を取得する。
車両1は、路上に設置された無線通信スポット5と無線を用いた通信、すなわち路車間通信を行う。路車間通信では、その無線通信スポット5の周辺に関する局所的な危険度を示す指標を取得する。
【0013】
図2は、車両1の備える通信装置10の構成を示すブロック図である。通信装置10は、たとえば車載用の通信装置である。通信装置10は、演算処理部11と、車車間通信部12と、広域通信部13と、路車間通信部14と、車両1の速度を測定する速度計15と、位置算出部16と、演算処理部11の演算結果に基づき車両1の運転者に報知を行う報知部17とを備える。演算処理部11は、車車間通信部12、広域通信部13、路車間通信部14、速度計15、位置算出部16、および報知部17と通信バスにより接続されている。ただし、複数の種類の異なるバスにより接続されていてもよい。すなわち、演算処理部11と、車車間通信部12と、広域通信部13と、路車間通信部14と、位置算出部16とはイーサネット(登録商標)により接続され、演算処理部11と、速度計15と、報知部17とはCANにより接続されてもよい。
【0014】
演算処理部11は、CPUと、ROMと、RAMと、を備える。演算処理部11のROMには、後述するフローチャートにより動作があらわされるプログラム、および後述する加速度パラメータ表32が格納される。演算処理部11のCPUは、ROMに保存されたプログラムをRAMに展開して実行する。演算処理部11は、プログラムの手順に従い、車車間通信部12と、広域通信部13と、路車間通信部14と、速度計15と、位置算出部16と、報知部17とに動作指示を出力する。演算処理部11は、タイマー機能を備え、速度計15が所定の時間間隔をあけて測定させた速度を用いて、車両1の加速度を算出する。
演算処理部11は、車車間通信部12が他の車両の位置、速度、および加速度を受信すると、報知部17に受信した情報を出力して、運転者に注意喚起を行う。
【0015】
車車間通信部12は、たとえばIEEE802.11pの通信方式に対応する通信ユニットである。車車間通信部12は、車両1が周辺の走行中の車両、たとえば車両1A、および車両1Bと無線により通信を行う。本実施の形態において、車車間通信部12を用いた受信には制限を設けないが、車車間通信部12を用いた送信は後述のように所定の条件を満たした場合のみ行う。
広域通信部13は、たとえばLTEに対応する通信ユニットである。広域通信部13は、車両1が基地局2と通信を行う際に利用される。広域通信部13を用いた情報の送受信は、特段に制限をしない。
路車間通信部14は、無線通信スポット5から情報を受信し、演算処理部11に出力する。
【0016】
速度計15は、演算処理部11から指令を受けると車両1の速度を計測し、演算処理部11に出力する。演算処理部11はタイマーを備えており、速度を複数回取得して加速度を算出する。
位置算出部16は、GNSS衛星6からの電波を受信する受信機、および演算回路を備える。位置算出部16は、演算処理部11から指令を受けるとGNSS衛星6が出力する電波を受信し、当該位置算出部16の位置、すなわち車両1の位置を算出して演算処理部11に出力する。
報知部17は、スピーカおよびディスプレイから構成される。報知部17は、演算処理部11からの指令に基づき、車両1の運転者にスピーカからの音の出力、およびディスプレイへの表示により他の車両が接近している旨の注意喚起を行う。
【0017】
(3つのパラメータ)
図3〜
図5を用いて3つの危険度を示す指標、すなわち、エリアパラメータα、加速度パラメータβ、および局所パラメータγを説明する。
エリアパラメータαは、車両1の現在地に基づき広域情報提供サーバ4が算出する、危険度を示す指標である。広域情報提供サーバ4は、危険度レベルの設定された危険度地図データ、およびエリアパラメータ表31を備える。広域情報提供サーバ4は、通信装置10から現在位置を受信すると、危険度地図データを参照して車両1の現在位置が属する危険度レベルを判断する。広域情報提供サーバ4は、エリアパラメータ表31を参照して、判断した危険度レベルに応じたエリアパラメータαを決定し、車両1に出力する。
【0018】
図3は、エリアパラメータ表31の一例を示す図である。広域情報提供サーバ4の備える危険度地図データは、見通しの良い一直線道路を危険度レベル1、見通しの良い道路を危険度レベル2、見通しの悪い道路、たとえば交差点を危険度レベル3に分類する。広域情報提供サーバ4は、車両1の現在地の危険度レベルが1の場合はエリアパラメータαを「−50」として出力し、車両1の現在地の危険度レベルが2の場合はエリアパラメータαを「0」として出力し、車両1の現在地の危険度レベルが3の場合はエリアパラメータαを「+50」として出力する。車両1が見通しの悪い場所にいる場合には、付近のほかの車両からは車両1を認識することが難しい。そこで、出会い頭の衝突などを避けるために周囲の車両に自車両の位置を伝達すべく、エリアパラメータαを変更する。
【0019】
加速度パラメータβは、演算処理部11が速度計15の出力する加速度に基づいて算出する、危険度を示す指標である。演算処理部11は、速度計15が所定の時間間隔をあけて測定させた速度を用いて、車両1の加速度を算出する。演算処理部11は、演算処理部11のROMに保存されている加速度パラメータ表32を参照し、算出した加速度の大きさに応じて危険度レベル、および加速度パラメータβを決定する。
【0020】
図4は、加速度パラメータ表32の一例を示す図である。演算処理部11は、加速度の絶対値が0.15G以下の場合は、ほぼ等速運動であり危険は小さいと判断し、危険度レベル1、加速度パラメータβを「−50」として出力する。ただし、ここで「G」とは、重力加速度である「9.8m/s
2」を意味する。演算処理部11は、加速度の絶対値が0.3G以下の場合は、中程度の危険であると判断し、危険度レベル2、加速度パラメータβを「0」として出力する。演算処理部11は、加速度の絶対値が0.3Gより大きい場合は、急ブレーキ・急加速により危険な状態にあると判断し、危険度レベル3、加速度パラメータβを「+50」として出力する。
【0021】
局所パラメータγは、無線通信スポット5が設置されているごく狭いエリアにおける危険度を示す指標である。地域サーバ7は、無線通信スポット5が設置されている付近で現在または数時間以内に開催されるイベントの情報を収集する。地域サーバ7は、地域サーバ7に保存されている局所パラメータ表33を参照し、収集したイベント情報から推測される渋滞の程度に基づき局所パラメータγを算出する。地域サーバ7は、算出した局所パラメータγを、無線通信スポット5から出力する。すなわち、地域サーバ7の出力する局所パラメータγは、無線通信スポット5の設置された場所の渋滞の予測に基づき算出される。
【0022】
図5は、局所パラメータ表33の一例を示す図である。地域サーバ7は、当該無線通信スポット5の付近におけるイベントが特にない場合は、交通量の増加、すなわち渋滞の発生がないと判断し、危険度レベル1、局所パラメータγを「−50」として出力する。地域サーバ7は、小規模なイベントがある場合は小規模な交通量の増加、すなわち軽度の渋滞が発生すると判断し、危険度レベル2、局所パラメータγを「0」として出力する。地域サーバ7は、大規模なイベントがある場合は大規模な交通量の増加、すなわち重度の渋滞が発生すると判断し、危険度レベル3、局所パラメータγを「+50」として出力する。
【0023】
(通信装置の動作)
図6を参照して通信装置10の動作を説明する。運転者により車両1のイグニッションスイッチがONにされると、これに連動して通信装置10が起動される。通信装置10が起動されると、演算処理部11のCPUは、ROMに保存されている以下に説明するプログラムをRAMに展開して実行する。以下に説明する各ステップの実行主体は、演算処理部11のCPUである。
【0024】
以下に説明する処理は、車車間通信部12を用いて自車両の情報を他の車両に直接送信するか否かを判断する処理である。前述したように、演算処理部11は、以下に説明するフローチャートとは独立して、車車間通信部12が受信したデータを報知部17に出力する。
図6のフローチャートに示す細い2本線は、同期処理を表す。すなわち、ステップS401が完了すると、ステップS402、S403、およびS404が並列に実行される。
【0025】
ステップS401において、演算処理部11は、車車間通信部12、広域通信部13、および路車間通信部14の起動を行う。これ以後、車車間通信部12、広域通信部13、および路車間通信部14は受信が可能となる。次にステップS402、S403、およびS404を並列に実行する。
ステップS402において、演算処理部11は、広域通信部13を用いて基地局2に接続し、広域情報提供サーバ4から他の車両の位置情報を取得する。次にステップS405に進む。
【0026】
ステップS403において、演算処理部11は、位置算出部16を用いて位置を算出させて取得し、ステップS405に進む。
ステップS404において、演算処理部11は、速度計15を用いて複数回にわたって車両1の速度を算出させる。演算処理部11は、タイマー機能を併用して車両1の加速度を算出し、ステップS405に進む。
【0027】
ステップS402〜S404のすべてが完了すると実行されるステップS405において、演算処理部11は、ステップS402〜S404において取得した情報を一時的にRAMに保存する。具体的には、ステップS402において取得した他の車両の位置、S403において取得した車両1の位置、ステップS404において算出した加速度をRAMに保存する。次に、ステップS406、S408、S409、S410を並列に実行する。
ステップS406において、演算処理部11は、広域通信部13を用いて基地局2に接続し、広域情報提供サーバ4へ車両1の位置を送信する。次にステップS407に進む。
【0028】
ステップS407において、演算処理部11は、広域通信部13を用いて広域情報提供サーバ4から車両1の位置に対応するエリアパラメータαを取得し、ステップS411に進む。
ステップS408において、演算処理部11は、車間距離を算出する。具体的には、演算処理部11は、ステップS402において取得した他の車両の位置、およびステップS403において取得した自車両の位置を用いて、最も短い他の車両までの距離を算出する。次にステップS411に進む。
【0029】
ステップS409において、演算処理部11は、路車間通信部14を用いて無線通信スポット5から局所パラメータγを取得し、ステップS411に進む。
ステップS410において、演算処理部11は、ステップS404において算出した加速度、およびROMに保存されている加速度パラメータ表32を用いて、加速度パラメータβを算出する。
【0030】
ステップS406〜S410のすべてが完了すると実行されるステップS411において、演算処理部11は、のちの処理で使用する閾値を算出する。具体的には、ROMに保存されている初期値Aと、エリアパラメータαの値と、加速度パラメータβの値と、局所パラメータγの値と、の和を算出する。次にステップS412に進む。
ステップS412において、演算処理部11は、ステップS408において算出した車間距離が、ステップS411において算出した閾値よりも小さいか否かを判断する。車間距離が閾値よりも小さいと判断する場合はステップS413に進み、車間距離が閾値以上であると判断する場合はステップS402〜S404に戻る。
【0031】
ステップS413において、演算処理部11は、車車間通信部12を用いたデータの送信を許可する。これにより、車車間通信部12を用いて周囲の車両に、車両1の位置、速度、加速度を表すデータを送信する。このデータは、他の車両に搭載された通信装置10において、車車間通信部12により受信され、報知部17へ出力される。これにより、他の車両の運転者に対して、車両1の接近が報知される。次にステップS414に進む。
ステップS414において、演算処理部11は、運転者によりイグニッションスイッチがOFFにされたか否かを判断する。OFFにされたと判断する場合は
図6により動作があらわされるプログラムの動作を終了し、OFFにされていないと判断する場合は、ステップS402〜S404に戻る。
【0032】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)通信装置10は、車両1に搭載される。通信装置10は、データ通信網3に接続する広域通信部13と、他の車両に搭載された通信装置10と通信を行う車車間通信部12と、所定の条件により車車間通信部12を用いたデータの送信を許可する車車間通信制御部、すなわち演算処理部11と、を備える。
通信装置10をこのように構成したので、車車間通信部12を用いたデータの送信を制限することで、車車間通信における輻輳の発生を抑制できる。
【0033】
(2)通信装置10は、当該通信装置10を搭載する車両1と他の車両との距離を取得する車間距離取得部(
図6のステップS408)と、距離と比較される閾値を算出する閾値算出部(
図6のステップS411)と、を備える。演算処理部11は、車間距離取得部の取得した距離が閾値より短い場合にデータを送信する。
そのため、周囲の他の車両との車間距離が短いほど、すなわち距離が近いために衝突の危険性が大きいほど車車間通信を行う可能性が高くなる。換言すれば、衝突の危険性が小さい場合には輻輳を発生させないように車車間通信における送信を行わず、衝突の危険性が大きい場合には車車間通信における送信を行う。そのため、車車間通信における輻輳の抑制と安全性の確保を両立させることができる。
【0034】
(3)通信装置10は、車両1の状態を計測する自車計測部(
図6のステップS404)を備える。閾値算出部(
図6のステップS411)は、加速度を用いて算出される加速度パラメータβに基づき閾値を算出する。
そのため、自車両が加速度の絶対値が大きい急加速状態、および急ブレーキ状態にある場合には、周囲の車両に対する衝突の危険度が高いため、周囲の車両との車間距離が長くても車車間通信における送信が行われる可能性が高くなる。
【0035】
(4)通信装置10は、位置を算出する位置算出部16を備える。演算処理部11は、広域通信部13を用いて位置算出部16の算出した位置を送信する。閾値算出部(
図6のステップS411)は、広域通信部13が受信する、広域情報提供サーバ4が算出したその位置に対応するエリアパラメータαに基づき閾値を算出する。
そのため、自車両の位置に応じて適切な閾値を設定し、輻輳の抑制と安全性の確保を両立できる。たとえば、事故が多発する危険度の高い場所にいる場合は、閾値を高く設定することにより車間距離が長くても車車間通信により自車両の位置を送信する。これにより、他の車両の運転者が自車両の位置を認識するので、衝突を未然に防ぐことができる。
【0036】
(5)通信装置10は、路上に設置された通信機、すなわち無線通信スポット5と通信を行う路車間通信部14を備える。閾値算出部(
図6のステップS411)は、路車間通信部14の受信した局所パラメータγに基づき閾値を算出する。
そのため、自車両の位置付近で開催されるイベント等の局所的な要因による道路状況に応じて適切な閾値を設定し、輻輳の抑制と安全性の確保を両立できる。
【0037】
上述した実施の形態は、以下のように変形してもよい。
(1)通信装置10は、車載用の通信機器ではなくてもよい。たとえば、携帯電話やノート型パソコン、PDAなど車両外に持ち運びが可能な端末でもよい。
(2)通信装置10の構成はすべてが一体として構成されていなくてもよい。たとえば車車間通信部12や速度計15、報知部17などが異なるモジュールとして提供され、それらを接続することにより全体として通信装置10の機能を発揮してもよい。
(3)車車間通信部12と路車間通信部14とが同一のハードウエアにより構成されてもよい。
【0038】
(4)位置算出部16は、GNSS受信機を備えず、他の通信部を利用して簡易に位置を算出してもよい。たとえば、路車間通信部14が通信を行っている無線通信スポット5を特定し、車両1が当該無線通信スポット5の通信範囲内にいると判断してもよい。
(5)車両1は、他の車両までの距離を測定するセンサ、たとえばカメラやレーザーレンジファインダを備えてもよい。そして、広域通信部13を用いて広域情報提供サーバ4に問い合わせる代わりに、センサの出力を用いて車間距離を算出してもよい。
(6)演算処理部11は、エリアパラメータαと、加速度パラメータβと、局所パラメータγとのうち少なくとも1つを用いて閾値を算出すればよく、これら全てを用いて算出しなくてもよい。
【0039】
(7)演算処理部11は、
図6のステップS408において算出した車間距離をステップS411において算出した閾値と直接比較したが、車間距離を所定の関数に入力して得られた値と閾値を比較してもよい。すなわち、車間距離に基づく値と閾値を比較してもよい。
たとえば、車間距離が所定の距離以上であれば無限大を出力する関数でもよいし、車間距離が所定の距離以下であればゼロを出力する関数でもよい。
(8)演算処理部11は、閾値の算出において、加速度パラメータβに代えて、速度、またはエンジン回転数に基づく評価値を用いてもよい。エンジン回転数は、車両1が発生させる運動エネルギーの大きさを表すので、速度、またはエンジン回転数が加速度の簡易な代替になりうるからである。
【0040】
(9)広域通信部13と基地局2との通信は、LTE方式に限定されない。WiMAX(登録商標)方式、WCDMA(登録商標)方式、GSM(登録商標)方式をはじめとした、WAN(WideArea Network)に分類されるネットワークサービスで利用される無線通信方式である他の通信方式でもよい。
(10)車車間通信部12の通信は、IEEE802.11pに限定されない。Wifi−DirectやBluetooth(登録商標)など、サーバを介在させず通信装置10同士が通信できる通信方式であればよい。
(11)通信装置10は、車車間通信部12を用いてエリアパラメータαを受信してもよい。車車間通信が可能な距離にいる車両は、同一のエリアパラメータαを適用しても問題がない。通信装置10は自車両の位置を送信することなく、エリアパラメータαを入手できる利点がある。
【0041】
(変形例1)
第1の実施の形態では、車車間通信部12は常に受信可能な状態であったが、車車間通信部12が受信を行わない状態にあってもよい。
車車間通信部12による車両同士の通信は、安全性の向上、たとえば交差点における出会い頭の衝突などの防止を目的としている。そのため、車間距離が所定の第2の閾値よりも遠い場合や、車両1の進行方向に所定距離以上にわたって交差点がない場合には、車車間通信部12は送信および受信を行わなくてよい。すなわち、車車間通信部12の電源を一時的に切断してもよい。
この変形例1によれば、不要なエネルギーの浪費を防止することができる。
【0042】
上述した実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。