特許第6444197号(P6444197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444197
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04007 20160101AFI20181217BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20181217BHJP
【FI】
   H01M8/04007
   H01M8/0612
   H01M8/04 J
   H01M8/04 Z
   !H01M8/12
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-21264(P2015-21264)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-143647(P2016-143647A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】杠 暁人
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼峯 如
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲矢
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−123576(JP,A)
【文献】 特開2007−179756(JP,A)
【文献】 特開2010−238446(JP,A)
【文献】 特開2013−211165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を複数積層した燃料電池スタックと、
炭化水素を主体とする原燃料を改質し、前記燃料電池スタックに供給される前記燃料ガスを生成する改質器と、
水を蒸発させるとともに、水蒸気を前記改質器に供給する蒸発器と、
前記燃料電池スタックから排出される前記燃料ガスである燃料排ガスと前記酸化剤ガスである酸化剤排ガスとを燃焼させ、燃焼排ガスを発生させる排ガス燃焼器と、
を備える燃料電池モジュールであって、
前記排ガス燃焼器で発生された前記燃焼排ガスが流通される燃焼排ガス通路を設け、
前記燃焼排ガス通路には、排気触媒と、
前記排気触媒の燃焼排ガス流れ方向上流に位置しており、前記排気触媒を必要に応じて活性温度に昇温させるために、前記排気触媒に供給される前記燃焼排ガスを昇温させる排気触媒昇温器と、
が配設されるとともに、
前記蒸発器は、前記排気触媒の燃焼排ガス流れ方向下流に位置して前記燃焼排ガス通路に配設され
前記燃料電池モジュールはさらに、
前記蒸発器の熱量が、前記水の蒸発に必要な熱量よりも不足しているか否かを判断する蒸発可否判断部と、
前記排気触媒昇温器を制御する制御部と、
を備え、
前記蒸発可否判断部が、前記蒸発器の熱量が不足であると判断した際、前記制御部が前記排気触媒昇温器を制御することにより、前記蒸発器に供給される前記燃焼排ガスを昇温させ、前記蒸発器の熱量を増加させる、ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記蒸発可否判断部は、前記燃料電池モジュールの出力電力の変動に基づいて、前記蒸発器の熱量が不足であるか否かを判断することを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記蒸発可否判断部は、前記燃料電池モジュールの出力電力に、一定時間内で一定の減少が発生した際、前記蒸発器の熱量が不足であると判断することを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記排ガス燃焼器に隣接し、前記蒸発器から排出された前記原燃料及び前記水を、前記排ガス燃焼器から発生する前記燃焼排ガスにより予め昇温させて前記改質器に供給する予昇温部を備えることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃焼排ガス通路の最下流には、前記蒸発器が配置されることを特徴とする燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を複数積層した燃料電池スタックを備える燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いている。固体電解質の両側にアノード電極とカソード電極とを配設した電解質・電極接合体(以下、MEAともいう)は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されている。燃料電池は、通常、電解質・電極接合体とセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
SOFCでは、炭化水素を主体とする原燃料を改質し、燃料電池スタックに供給される燃料ガスを生成する改質器を備えている。この改質器では、通常、水蒸気改質が行われており、水蒸気を供給するために蒸発器を備える場合が多い。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池システムでは、内部に水を流通させて水蒸気を発生させるために、その一部が排気ガス排出筒内に配置される管路を有している。管路は、水を流入させるための入口と、発生させた水蒸気を改質器に向けて流出させるための出口と、入口から出口に至るまでの間において管路の延伸方向を変更するための少なくとも一つの折返し部とを有している。そして、出口は、入口よりも上方に配置され、入口から出口に至るまでの間は、水平又は上昇勾配となるように構成されている。
【0005】
これにより、蒸発器を構成する管路の出口から液相の水が噴き出すことを防止し、気相の水蒸気を安定的に供給することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−60553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1では、蒸発器の蒸発性能を確保するための機能を有していない。燃料電池システムでは、負荷や運転状況(例えば、定格運転)により、蒸発器に供給される熱量が減少する場合がある。このため、蒸発器における水の蒸発が不安定となり、例えば、改質触媒が劣化するという問題がある。
【0008】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、所望の水蒸気を確実に生成することができ、改質反応を効率的に行うことが可能な燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る燃料電池モジュールは、燃料電池スタック、改質器、蒸発器及び排ガス燃焼器を備えている。燃料電池スタックは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を複数積層している。改質器は、炭化水素を主体とする原燃料を改質し、燃料電池スタックに供給される燃料ガスを生成している。蒸発器は、水を蒸発させるとともに、水蒸気を改質器に供給している。排ガス燃焼器は、燃料電池スタックから排出される燃料ガスである燃料排ガスと酸化剤ガスである酸化剤排ガスとを燃焼させ、燃焼排ガスを発生させている。
【0010】
燃料電池モジュールは、排ガス燃焼器で発生された燃焼排ガスが流通される燃焼排ガス通路を設けている。燃焼排ガス通路には、排気触媒と、前記排気触媒を必要に応じて活性温度に昇温させるために、前記燃焼排ガスを昇温させる排気触媒昇温器と、が配設されている。そして、蒸発器は、排気触媒の燃焼排ガス流れ方向下流に位置して燃焼排ガス通路に配設されている。
【0011】
また、燃料電池モジュールは、蒸発器の熱量が、水の蒸発に必要な熱量よりも不足しているか否かを判断する蒸発可否判断部を備えることが好ましい。その際、蒸発可否判断部が、蒸発器の熱量が不足であると判断した際、排気触媒昇温器により燃焼排ガスを昇温させる制御部を備えることが好ましい。このため、蒸発器に供給される燃焼排ガスの熱量を確保することができ、蒸発が不安定になることを確実に抑制することが可能になる。
【0012】
さらに、蒸発可否判断部は、燃料電池モジュールの出力電力の変動に基づいて、蒸発器の熱量が不足であるか否かを判断することが好ましい。従って、蒸発器の熱量不足を容易且つ確実に検出することができる。
【0013】
さらにまた、蒸発可否判断部は、燃料電池モジュールの出力電力に、一定時間内で一定の減少が発生した際、蒸発器の熱量が不足であると判断することが好ましい。これにより、蒸発器の熱量不足を容易且つ確実に検出することが可能になる。
【0014】
また、この燃料電池モジュールは、排ガス燃焼器に隣接し、蒸発器から排出された原燃料及び水を、前記排ガス燃焼器から発生する燃焼排ガスにより予め昇温させて改質器に供給する予昇温部を備えることが好ましい。このため、高負荷により燃料電池スタックからの排熱が低下し、蒸発器で熱量が減少した際にも、予昇温部で確実に蒸発させることができる。従って、コーキングを防止して改質触媒や燃料電池の劣化が良好に抑制可能になる。
【0015】
さらに、燃焼排ガス通路の最下流には、蒸発器が配置されることが好ましい。これにより、低負荷で効率が低下した際にも、燃料電池スタックからの排熱を効率的に回収することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、燃焼排ガス通路には、排気触媒の燃焼排ガス流れ方向下流に位置して蒸発器が配設されている。このため、蒸発器による蒸発が不安定になった際、排気触媒昇温器が駆動されることにより、燃焼排ガスの熱量を増加させることができ、安定した蒸発処理が確実に遂行される。従って、コーキングを防止して改質触媒や燃料電池の劣化が良好に抑制可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池モジュールの要部説明図である。
図2】前記燃料電池モジュールの概略構成説明図である。
図3】前記燃料電池モジュールの運転方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池モジュール10は、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられる。燃料電池モジュール10は、燃料電池ユニット12を備え、前記燃料電池ユニット12が筐体14内に収容される。
【0019】
図1及び図2に示すように、燃料電池ユニット12は、燃料電池スタック16、改質器18、空気予熱器20、排ガス燃焼器22及び蒸発器24を備える。排ガス燃焼器22は、排ガス燃焼室26に配置されるとともに、前記排ガス燃焼室26には、予昇温部28が配設される。
【0020】
図2に示すように、空気予熱器20と燃料電池スタック16の酸化剤ガス系流路(図示せず)とは、空気供給通路30aを介して接続される。蒸発器24、予昇温部28及び改質器18とは、混合ガス供給通路30bを介して接続され、前記改質器18と燃料電池スタック16の燃料ガス系流路(図示せず)とは、燃料供給通路30cを介して接続される。蒸発器24は、予昇温部28よりも原燃料流通方向上流に配置される。
【0021】
燃料電池スタック16の燃料排ガス出口と排ガス燃焼器22とは、燃料排ガス通路30dにより接続され、前記燃料電池スタック16の酸化剤排ガス出口と前記排ガス燃焼器22とは、酸化剤排ガス通路30eにより接続される。排ガス燃焼器22により生成される燃焼排ガスは、燃焼排ガス通路30fを介して空気予熱器20及び蒸発器24の順に供給される。
【0022】
燃焼排ガス通路30fには、空気予熱器20と蒸発器24との間に位置して、起動用燃焼器32、排気触媒昇温器34及び排気触媒36が、燃焼排ガス流れ方向に沿って、順次、配置される。起動用燃焼器32は、燃料電池モジュール10の起動時(低温時)に、原燃料と空気とを燃焼させて燃料電池スタック16を昇温させる。排気触媒36は、燃焼排ガスを外部に放出させる前に、前記燃焼排ガスに含まれる不純物を除去する。排気触媒昇温器34は、排気触媒36を必要に応じて活性温度に昇温させるヒータ(加熱器)を備える。
【0023】
燃焼排ガス通路30fには、排気触媒36の燃焼排ガス流れ方向下流に位置して、すなわち、燃焼排ガス通路30fの最下流に位置して、蒸発器24が配設される。
【0024】
燃料電池スタック16は、燃料ガス(水素ガスにメタン、一酸化炭素が混合した気体)と酸化剤ガス(空気)との電気化学反応により発電する。燃料電池スタック16は、図1に示すように、平板状の固体酸化物形燃料電池38を備え、複数の前記燃料電池38は、鉛直方向(矢印A方向)(又は水平方向)に積層される。
【0025】
図1に示すように、燃料電池スタック16と予昇温部28とは、排ガス燃焼室26を挟んで互いに対向して配置されるとともに、改質器18は、前記排ガス燃焼室26の側面に沿って略コ字状に配置される。改質器18の内部には、図示しないが、改質触媒が充填される。改質触媒としては、Ru(ルテニウム)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)又はFe(鉄)の少なくとも1種類の触媒金属を使用する。改質器18は、炭化水素を主体とする原燃料(例えば、都市ガス)と水蒸気との混合ガスを水蒸気改質し、燃料電池スタック16に供給される燃料ガスを生成する。
【0026】
排ガス燃焼器22は、燃料電池スタック16の下部に接続され、排ガス燃焼室26の上部に配置される。排ガス燃焼器22は、燃料電池スタック16から排出される燃料ガスである燃料排ガスが流通される燃料排ガス通路30dと、酸化剤ガスである酸化剤排ガスが流通される酸化剤排ガス通路30eとを備える。
【0027】
燃料排ガス通路30dは、内管とし、酸化剤排ガス通路30eは、外管として二重管が構成される。燃料排ガス通路30dの先端側外周には、複数個の燃料排ガス導出口40が形成される一方、酸化剤排ガス通路30eの先端には、複数個の酸化剤排ガス導出口42が形成される。改質器18には、グロープラグ43が装着される。
【0028】
空気予熱器20は、燃焼排ガスとの熱交換により酸化剤ガスを昇温させるとともに、燃料電池スタック16に前記酸化剤ガスを供給する。蒸発器24には、水と原燃料とが供給され、水が蒸発して生成された水蒸気と原燃料との混合ガスは、混合ガス供給通路30bを介して予昇温部28に供給される。予昇温部28は、混合ガスを燃焼排ガスの燃焼熱により昇温させ、改質器18に供給する。
【0029】
図2に示すように、燃料電池モジュール10は、発電運転を制御するためのコントローラ(制御部)44を備える。コントローラ44は、蒸発器24の熱量が、水の蒸発に必要な熱量よりも不足しているか否かを判断する蒸発可否判断部46を備える。コントローラ44は、蒸発可否判断部46が、蒸発器24の熱量が不足であると判断した際、排気触媒昇温器34を駆動して燃焼排ガスを昇温させる。
【0030】
蒸発可否判断部46は、燃料電池モジュール10の出力電力の変動に基づいて、蒸発器24の熱量が不足であるか否かを判断する。より具体的には、蒸発可否判断部46は、燃料電池モジュール10の出力電力に、一定時間内で一定の減少が発生した際、蒸発器24の熱量が不足であると判断する。
【0031】
このように構成される燃料電池モジュール10の動作について、図3に示すフローチャートに沿って、以下に説明する。
【0032】
図2に示すように、燃料電池モジュール10の運転時には、空気予熱器20に空気が供給されるとともに、蒸発器24には、原燃料及び水が供給される。空気予熱器20では、空気が後述する燃焼排ガスにより加熱(熱交換)され、高温になった前記空気は、空気供給通路30aを介して燃料電池スタック16の酸化剤ガス系流路に供給される。
【0033】
一方、例えば、都市ガス(CH4、C26、C38、C410を含む)等の原燃料は、水と共に蒸発器24に供給される。蒸発器24には、燃焼排ガスが供給されるため、水が蒸発して水蒸気が生成され、この水蒸気と原燃料との混合ガスは、混合ガス供給通路30bを介して予昇温部28に導入される。予昇温部28では、混合ガスが燃焼排ガスの燃焼熱により昇温される。
【0034】
昇温された混合ガスは、改質器18に供給される。改質器18では、混合ガスが水蒸気改質され、C2+の炭化水素が除去(改質)されてメタンを主成分とする改質ガスが得られる。改質ガスは、燃料供給通路30cを通って燃料電池スタック16の燃料ガス系流路に供給される。
【0035】
従って、各燃料電池38では、酸素と空気との化学反応により発電が行われる。発電反応により燃料電池スタック16から排出される燃料ガスである燃料排ガスは、燃料排ガス通路30dに導出される。同様に、発電反応により燃料電池スタック16から排出される酸化剤ガスである酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス通路30eに導出される。
【0036】
図1に示すように、燃料排ガスは、燃料排ガス通路30dの複数個の燃料排ガス導出口40から排ガス燃焼室26に導入される。一方、酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス通路30eの複数個の酸化剤排ガス導出口42から排ガス燃焼室26に導入される。これにより、排ガス燃焼室26には、燃料排ガスと酸化剤排ガスとが混合されて燃焼され、燃焼排ガスが発生する。なお、排ガス燃焼室26では、グロープラグ43が必要に応じて駆動され、燃料排ガスと酸化剤排ガスとの混合燃焼ガスが着火される。
【0037】
燃焼排ガスは、改質器18を昇温させるとともに、予昇温部28に燃焼熱を伝達する。さらに、燃焼排ガスは、図2に示すように、燃焼排ガス通路30fを介して空気予熱器20、起動用燃焼器32、排気触媒昇温器34、排気触媒36及び蒸発器24の順に供給される。このため、空気予熱器20から蒸発器24までに亘って燃焼熱が伝達される。
【0038】
上記のように、燃料電池モジュール10は、定常運転(定格運転)を行う(図3中、ステップS1)。そして、ステップS2に進んで、コントローラ44は、蒸発器24の熱量が、水の蒸発に必要な熱量よりも不足しているか否かを判断する。具体的には、蒸発可否判断部46は、燃料電池モジュール10の出力電力に、一定時間内で一定の減少が発生した際、例えば、出力電力に、10秒間内で40Wを超える減少が発生した際、蒸発器24の熱量が不足であると判断する。
【0039】
蒸発器24の熱量が不足であると判断されると(ステップS2中、YES)、ステップS3に進んで、排気触媒昇温器34に通電することにより、前記排気触媒昇温器34が点火される。これにより、燃焼排ガス通路30fを流通する燃焼排ガスの昇温を開始する。このため、昇温された燃焼排ガスは、蒸発器24に供給され、前記蒸発器24の熱量が増加される。従って、蒸発器24では、水蒸気が安定して得られる。
【0040】
さらに、ステップS4では、燃料電池モジュール10の出力電力の変動が監視されている。そして、燃料電池モジュール10の出力電力の変動が、規定値よりも少ないと判断されると(ステップS4中、YES)、ステップS5に進む。このステップS5では、排気触媒昇温器34が停止される。その後、ステップS1に戻って、通常運転が行われる。
【0041】
この場合、本実施形態では、燃焼排ガス通路30fには、排気触媒36の燃焼排ガス流れ方向下流に位置して蒸発器24が配設されている。このため、蒸発器24による蒸発が不安定になった際、排気触媒昇温器34が駆動されることにより、燃焼排ガスの熱量を増加させることができる。従って、安定した蒸発処理が確実に遂行され、コーキングを防止して改質触媒や燃料電池38の劣化が良好に抑制可能になるという効果が得られる。
【0042】
また、燃料電池モジュール10では、蒸発器24の熱量が、水の蒸発に必要な熱量よりも不足しているか否かを判断する蒸発可否判断部46を備えている。その際、蒸発可否判断部46が、蒸発器24の熱量が不足であると判断した際、コントローラ44は、排気触媒昇温器34を駆動して燃焼排ガスを昇温させている。
【0043】
すなわち、蒸発可否判断部46は、燃料電池モジュール10の出力電力の変動に基づいて、蒸発器24の熱量が不足であるか否かを判断している。具体的には、蒸発可否判断部46は、燃料電池モジュール10の出力電力に、一定時間内で一定の減少が発生した際、蒸発器24の熱量が不足であると判断している。これにより、蒸発器24の熱量不足を容易且つ確実に検出することが可能になる。
【0044】
さらに、この燃料電池モジュール10は、排ガス燃焼器22に隣接し、蒸発器24から排出された原燃料及び水を、前記排ガス燃焼器22から発生する燃焼排ガスにより予め昇温させて改質器18に供給する予昇温部28を備えている。このため、高負荷により燃料電池スタック16からの排熱が低下し、蒸発器24で熱量が減少した際にも、予昇温部28で確実に蒸発させることができる。従って、コーキングを防止して改質触媒や燃料電池38の劣化が良好に抑制可能になる。
【0045】
さらにまた、燃焼排ガス通路30fの最下流には、蒸発器24が配置されている。これにより、低負荷で効率が低下した際にも、燃料電池スタック16からの排熱を効率的に回収することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…燃料電池モジュール 12…燃料電池ユニット
16…燃料電池スタック 18…改質器
20…空気予熱器 22…排ガス燃焼器
24…蒸発器 28…予昇温部
30f…燃焼排ガス通路 32…起動用燃焼器
34…排気触媒昇温器 36…排気触媒
38…燃料電池 44…コントローラ
46…蒸発可否判断部
図1
図2
図3