特許第6444204号(P6444204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444204
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181217BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02M3/155 H
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-27224(P2015-27224)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-152634(P2016-152634A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】豊平 浩幸
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−045675(JP,A)
【文献】 特開2013−074709(JP,A)
【文献】 特開2010−141958(JP,A)
【文献】 特開2005−073399(JP,A)
【文献】 特開2014−121229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と電力系統との間に接続される電力変換装置であって、
前記直流電源と並列接続される入力コンデンサと、
前記入力コンデンサと並列接続され、前記直流電源から前記入力コンデンサを介して入力される直流電圧を昇圧することが可能なDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータと並列接続され、前記DC−DCコンバータで昇圧された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサと並列接続され、前記平滑コンデンサで平滑された直流電圧を、前記電力系統に出力される交流電圧に変換するDC−ACコンバータと
を備え、
前記DC−ACコンバータは、
複数のスイッチング素子からなる複数組の上アーム及び下アームと、前記複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続される複数の還流ダイオードとを含み、
前記電力変換装置は、
前記平滑コンデンサの前記並列接続された一端と、前記DC−ACコンバータの前記並列接続された一端との間に接続され、前記電力系統から前記平滑コンデンサに流れる突入電流を抑制可能な第1抵抗と、
前記平滑コンデンサの前記並列接続された前記一端と、前記DC−ACコンバータの前記並列接続された前記一端との間にて、前記第1抵抗と並列接続されたスイッチと、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電力を前記第1抵抗により放電する場合に、前記スイッチをオフし、かつ、少なくとも1組の前記上アーム及び前記下アームを同時にオンして、アームを短絡させる制御回路と
をさらに備える、電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記直流電源は蓄電池を含み、
前記DC−DCコンバータは、
前記平滑コンデンサから入力される直流電圧を降圧して前記蓄電池に出力することも可能な、電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電力を放電する場合に、当該電力を前記制御回路に供給する、電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記平滑コンデンサと前記制御回路との間にて、前記平滑コンデンサと並列接続された第2抵抗をさらに備える、電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記制御回路は、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電力を放電する場合に、前記複数組の中から同時にオンすべき組を順に切り替える、電力変換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記制御回路は、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電力を放電する場合に、前記複数組の前記上アーム及び前記下アームの全てを同時にオンする、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源と電力系統との間に接続される電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置には、太陽電池や燃料電池等から出力される直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を電力系統などの外部に供給するパワーコンディショナーと呼ばれるものがある。このような電力変換装置は、一般的に、直流電圧の電圧値を変更するDC−DCコンバータと、インバータ回路などを有して直流電圧を交流電圧に変換するDC−ACコンバータとから構成されている。これらコンバータの回路には、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子が備えられている。当該スイッチング素子が適宜スイッチングされることによって、DC−DCコンバータは直流電源からの直流電圧を、DC−ACコンバータから出力しようとする交流波形の波高値以上に昇圧し、DC−ACコンバータは昇圧された直流電圧を所定の交流波形に整形する。これにより、系統連系が実施可能となっている。
【0003】
ところで、このような電力変換装置では、直流電源とDC−DCコンバータとの間やDC−DCコンバータとDC−ACコンバータとの間に、数百〜数万μF程度の大容量の平滑コンデンサなどのコンデンサが並列に接続されている。これらのコンデンサは、DC−DCコンバータ及びDC−ACコンバータの各々に電力を供給する実質的な電力源になっている。ただし、動作が停止状態にある場合などには、コンデンサに蓄積されている電荷が放電されていることが望ましいことがある。
【0004】
例えば、工場での動作確認及び検査後の期間や、保守作業などを行う期間である。具体的には、電力変換装置が系統連系等の動作状態から停止に移行した直後は、平滑コンデンサに電荷が蓄積されたままの状態である。このため、工場での動作確認後の期間や保守実施期間などの際に作業者が誤って平滑コンデンサに接触してしまうことが想定される。そこで、これら期間の開始時に、平滑コンデンサに蓄積された電荷の電圧が安全な電圧になるように、平滑コンデンサを放電可能な技術が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には、起動時にコンデンサに流れてコンデンサ等の部品に悪影響を与える突入電流を抑制する突入電流防止抵抗を、コンデンサを放電する抵抗として利用する技術が開示されている。
【0006】
また例えば特許文献2に開示の技術では、高電位側のスイッチング素子及び低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とする。そして、その時に流れる短絡電流が低減するように、電圧を可変させてスイッチング素子の損失を通常動作時より増大させる。これによりコンデンサの電荷を放電させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3282337号公報
【特許文献2】特許第5397442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に開示の技術では、二つの特別なスイッチを追加する必要がある。このため、コストの抑制化及び基板面積縮小化において改善の余地がある。
【0009】
また、特許文献2に開示の技術では、スイッチング素子の損失を通常動作よりも大きくすべく、導通制御端子(IGBTのゲート端子など)に印加する電圧を可変できる回路が必要となる。また、電圧による制御のためのスイッチング素子も電圧制御型のものに限られてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、電力変換装置のサイズ及び部品を抑制可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電力変換装置は、直流電源と電力系統との間に接続される電力変換装置であって、前記直流電源と並列接続される入力コンデンサと、前記入力コンデンサと並列接続され、前記直流電源から前記入力コンデンサを介して入力される直流電圧を昇圧することが可能なDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータと並列接続され、前記DC−DCコンバータで昇圧された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサと並列接続され、前記平滑コンデンサで平滑された直流電圧を、前記電力系統に出力される交流電圧に変換するDC−ACコンバータとを備える。前記DC−ACコンバータは、複数のスイッチング素子からなる複数組の上アーム及び下アームと、前記複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続される複数の還流ダイオードとを含む。前記電力変換装置は、前記平滑コンデンサの前記並列接続された一端と、前記DC−ACコンバータの前記並列接続された一端との間に接続され、前記電力系統から前記平滑コンデンサに流れる突入電流を抑制可能な第1抵抗と、前記平滑コンデンサの前記並列接続された前記一端と、前記DC−ACコンバータの前記並列接続された前記一端との間にて、前記第1抵抗と並列接続されたスイッチと、前記平滑コンデンサに蓄えられた電力を前記第1抵抗により放電する場合に、前記スイッチをオフし、かつ、少なくとも1組の前記上アーム及び前記下アームを同時にオンして、アームを短絡させる制御回路とをさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力変換装置のサイズ及び部品を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図2】実施の形態1に係る電力変換装置における突入電流の電流経路を示す図である。
図3】実施の形態1に係る電力変換装置における放電電流の電流経路を示す図である。
図4】実施の形態2に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図5】実施の形態3に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図6】実施の形態4に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図7】関連装置の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置について説明する前に、それと関連する電力変換装置(以下、「関連装置」と記す)について説明する。
【0015】
図7は関連装置の概略構成を示す回路図である。図7の関連装置は、平滑コンデンサ61と、突入電流防止抵抗62と、第1スイッチ63と、第2スイッチ64と、制御回路65とを備えている。第1及び第2スイッチ63,64は、オン時に導通状態となり、オフ時に切断状態(非導通状態)となる。第1及び第2スイッチ63,64のオン及びオフは、制御回路65によって制御される。
【0016】
第1スイッチ63は、突入電流防止抵抗62と並列接続されており、第2スイッチ64は、突入電流防止抵抗62と直列接続されている。通常動作時には、第1スイッチ63はオンされる。平滑コンデンサ61の放電時には、第1スイッチ63はオフされ、かつ、第2スイッチ64はオンされる。
【0017】
このような関連装置の構成によれば、通常動作時には、突入電流防止抵抗62による電力の消費を防止することができるとともに、平滑コンデンサ61の放電時には、突入電流防止抵抗62を用いて放電を行うことができる。この結果、一つの突入電流防止抵抗62によって、平滑コンデンサ61の放電と、突入電流の抑制とを行うことができるので、コストの抑制化及び基板面積縮小化が可能となる。また、突入電流防止抵抗62に適切な抵抗値の抵抗を用いることができるので、平滑コンデンサ61の放電時間の短縮化が期待できる。
【0018】
しかしながら、図7の関連装置では、上記の動作を行うための第1及び第2スイッチ63,64という特別な部品を追加する必要がある。このため、コストの抑制化及び基板面積縮小化において改善の余地がある。そこで、本実施の形態1に係る電力変換装置では、さらなるコストの抑制化及び基板面積縮小化が可能となっている。
【0019】
図1は、本実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。電力変換装置2が、太陽電池(直流電源)1と電力系統19との間に接続されることによって、系統連系システムが構成されている。なお、本実施の形態1では、直流電源に太陽電池1を適用した構成について説明するが、直流電源はこれに限定されるものではなく、例えば燃料電池等が適用されてもよい。
【0020】
図1の電力変換装置2は、開閉器3と、入力コンデンサ4と、DC−DCコンバータ5と、平滑コンデンサ6と、突入電流防止抵抗(第1抵抗)7と、スイッチ8と、DC−ACコンバータ9と、ACリアクトル10と、フィルタコンデンサ11と、系統スイッチ(連系スイッチ)12a,12bと、操作端末13と、制御回路14と、制御回路用電源15とを備えている。このように構成された電力変換装置2は、太陽電池1により発電された直流電圧を、所望の交流電圧に変換して電力系統19に出力することが可能となっている。
【0021】
以下、電力変換装置2の各構成要素について詳細に説明する。
【0022】
開閉器3は、太陽電池1と電力変換装置2の内部回路との間の接続及び切断を選択的に行う。なお、開閉器3は、オン時に接続状態(導通状態)となり、オフ時に切断状態(非導通状態)となる。以下の説明では、特段の記載がない限り、開閉器3は接続状態であることを前提にして説明する。
【0023】
入力コンデンサ4は、開閉器3を介して太陽電池1と並列接続される。
【0024】
図1では、DC−DCコンバータ5は、入力コンデンサ4と並列接続された昇圧チョッパ回路であり、DCリアクトル5aと、スイッチング素子5bと、還流ダイオード5b1と、整流ダイオード5cとを含んでいる。還流ダイオード5b1は、スイッチング素子5bに並列接続されている。
【0025】
以上のように構成されたDC−DCコンバータ5は、太陽電池1から入力コンデンサ4を介して直流電圧が入力される。DC−DCコンバータ5は、スイッチング素子5bが高速スイッチングされることで、当該入力された直流電圧を昇圧することが可能となっている。
【0026】
平滑コンデンサ6は、DC−DCコンバータ5と並列接続されている。この平滑コンデンサ6は、DC−DCコンバータ5によって昇圧された直流電圧を平滑する。これにより、昇圧された直流電圧のうち、スイッチング素子5bが高速スイッチングされることによって発生するノイズなどの高周波成分が低減される。
【0027】
DC−ACコンバータ9は、平滑コンデンサ6と並列接続された単相フルブリッジ回路であり、複数のスイッチング素子9a〜9dからなる複数組の上アーム及び下アームと、複数の還流ダイオード9a1〜9d1とを含んでいる。なお、スイッチング素子9a〜9dは、オン時に接続状態(導通状態)となり、オフ時に切断状態(非導通状態)となる。
【0028】
本実施の形態1では、複数組の上アーム及び下アームは、第1組の上アームであるスイッチング素子9aと、第1組の下アームであるスイッチング素子9bと、第2組の上アームであるスイッチング素子9cと、第2組の下アームであるスイッチング素子9dとを含んでいる。
【0029】
複数の還流ダイオード9a1〜9d1は、複数のスイッチング素子9a〜9dにそれぞれ並列接続されている。
【0030】
以上のように構成されたDC−ACコンバータ9は、スイッチング素子9a〜9dが高速スイッチングされることで、平滑コンデンサ6で平滑された直流電圧を降圧することと、当該直流電圧を電力系統19に出力される交流電圧に変換することとが可能となっている。
【0031】
フィルタコンデンサ11の一端は、ACリアクトル10を介してスイッチング素子9a,9b同士の接続点と接続されており、フィルタコンデンサ11の他端はスイッチング素子9c,9d同士の接続点と接続されている。ACリアクトル10及びフィルタコンデンサ11は、DC−ACコンバータ9で変換された交流電圧のうち、スイッチング素子9a〜9dが高速スイッチングされることによって発生するノイズなどの高周波成分を低減するLCフィルタを構成している。
【0032】
系統スイッチ12aは、フィルタコンデンサ11の一端と電力系統19の一端との間の接続及び切断を選択的に行い、系統スイッチ12bは、フィルタコンデンサ11の他端と電力系統19の他端との間の接続及び切断を選択的に行う。系統スイッチ12a,12bは、オン時に接続状態(導通状態)となり、オフ時に切断状態(非導通状態)となる。
【0033】
突入電流防止抵抗7は、平滑コンデンサ6の並列接続された一端と、DC−ACコンバータ9の並列接続された一端との間に接続されている。ここで、起動時などにおいて、系統スイッチ12a,12bがオンされ、電力系統19と電力変換装置2の内部回路とが接続されると、電力系統19から平滑コンデンサ6に、平滑コンデンサ6等の部品に悪影響を与える突入電流が流れる。詳細については後述するが、突入電流防止抵抗7は、このような突入電流を抑制(制限)することが可能となっている。
【0034】
スイッチ8は、平滑コンデンサ6の並列接続された一端と、DC−ACコンバータ9の並列接続された一端との間にて、突入電流防止抵抗7と並列接続されている。スイッチ8は、オン時に接続状態(導通状態)となり、オフ時に切断状態(非導通状態)となる。本実施の形態1では、コンデンサの放電時または突入電流抑制時には、スイッチ8はオフされ、平滑コンデンサ6が満充電となった後の通常動作時には、スイッチ8はオンされて突入電流防止抵抗7の両端を短絡する。
【0035】
制御回路14は、電力変換装置2の各構成要素を統括的に制御する。例えば、制御回路14は、図示しない電圧センサーや電流センサーによって計測された電圧値や電流値が入力される。制御回路14は、それら電圧値及び電流値に基づいて、DC−DCコンバータ5のスイッチング素子5b及びDC−ACコンバータ9のスイッチング素子9a〜9dに、制御信号C1及び制御信号C3をそれぞれ出力することにより、スイッチング素子5b,9a〜9dのオン及びオフを制御する。この結果、電圧値や電流値は、制御回路14にフィードバックされることになる。
【0036】
また、制御回路14は、スイッチ8に制御信号C2を出力することによりスイッチ8のオン及びオフを制御し、系統スイッチ12a,12bに制御信号C4を出力することにより系統スイッチ12a,12bのオン及びオフを制御する。操作端末13は、作業者からの操作を受け付け、その操作に応じた指令を制御回路14に送信する。制御回路14は、操作端末13から送信された指令も考慮して、上述の制御を行う。
【0037】
なお、制御回路14は、通常動作、突入電流の抑制、及び、コンデンサの放電のいずれか1つの動作モードに基づいて、スイッチング素子5b,9a〜9d、スイッチ8、及び、系統スイッチ12a,12bのオン及びオフを制御する。これについては後で詳細に説明する。
【0038】
制御回路用電源15は、制御回路14を動作させるための電力を、制御回路14に供給する電源である。ただし、制御回路14を動作させるための電力は、これに限ったものではなく、例えば太陽電池1または電力系統19などから生成したり、外部から供給されたりしてもよい。
【0039】
<動作>
次に本実施の形態1に係る電力変換装置2の動作について説明する。
【0040】
<突入電流の抑制>
開閉器3をオンすると、太陽電池1の電力は入力コンデンサ4に充電される。これにより、入力コンデンサ4は、DC−DCコンバータ5の実質的な電源となる。
【0041】
系統スイッチ12a,12bをオンすると、電力系統19から、電荷が充電されていない平滑コンデンサ6に突入電流が流れる。この場合に、制御回路14は、制御信号C2の送信によりスイッチ8をオフする。
【0042】
図2は、電力系統19から平滑コンデンサ6に流れる突入電流を突入電流防止抵抗7により抑制する場合の突入電流の流れを示す図である。図2の実線の矢印は、電力系統19の一端側(上側)の電圧が正であり、他端側(下側)の電圧が負である場合の突入電流の流れを示している。この場合の突入電流は、電力系統19から、系統スイッチ12a、ACリアクトル10、還流ダイオード9a1、突入電流防止抵抗7、平滑コンデンサ6、還流ダイオード9d1、系統スイッチ12b、及び、電力系統19へ、この順で流れる。図2の破線の矢印は、電力系統19の一端側(上側)の電圧が負であり、他端側(下側)の電圧が正である場合の突入電流の流れを示している。この場合の突入電流は、電力系統19から、系統スイッチ12b、還流ダイオード9c1、突入電流防止抵抗7、平滑コンデンサ6、還流ダイオード9b1、系統スイッチ12a、電力系統19へ、この順で流れる。
【0043】
上述の突入電流が流れる経路には、突入電流防止抵抗7が含まれるので、平滑コンデンサ6への突入電流が低減(制限)される。低減後の突入電流の最大値が、系統スイッチ12a,12bや図示されていないヒューズなどが許容できる電流値に制限されるように、設計時に突入電流防止抵抗7の抵抗値が適切に選定される。
【0044】
突入電流が流れると、平滑コンデンサ6に電荷が充電されて、平滑コンデンサ6の電圧が上昇する。この電圧上昇により、平滑コンデンサ6の電圧が予め定められた電圧以上になると、電力系統19から平滑コンデンサ6に突入電流が流れなくなる。この時点で制御回路14は、スイッチ8をオンする。これにより、その後に通常動作時(系統連系時)に移行しても、突入電流防止抵抗7での電力消費を抑制することができる。
【0045】
なお、一般的な回路構成では、突入電流防止抵抗7は交流電圧の配線上に配設される。これに対して、本実施の形態1のように、突入電流防止抵抗7及びスイッチ8が直流電圧の配線上に配設される回路構成では、高電圧によるアークによって接点の溶着が発生してしまう可能性がある。このような溶着を防ぐために、直流電圧用のスイッチをスイッチ8に適用することも考えられるが、直流電圧用のスイッチは交流電圧用のスイッチと比べて大型で高価である。
【0046】
そこで、本実施の形態1では、スイッチ8をオンする時点は、充電電流がゼロになる時点、平滑コンデンサ6の電圧が電力系統19の電圧のピーク値と等しくなる時点、平滑コンデンサ6が満充電となる、理論的な算出により予測される時点のいずれかに設定されている。そして、スイッチ8をオフする時点は、スイッチング素子の停止後の時点に設定されている。制御回路14は、このような設定に基づいてスイッチ8のオン及びオフを制御する。このような本実施の形態1によれば、接点間の電圧を下げることができるので、交流電圧用のスイッチをスイッチ8に適用することが可能となっている。
【0047】
<通常動作>
電力系統19から平滑コンデンサ6に突入電流が流れなくなった時点でスイッチ8をオンした後、制御回路14は、DC−DCコンバータ5による昇圧動作を開始する。具体的には、制御回路14はスイッチング素子5bをオンする。これによりDCリアクトル5aにエネルギーが蓄積される。その後、制御回路14はスイッチング素子5bをオフする。これにより、DCリアクトル5aに蓄積されたエネルギーが、整流ダイオード5cを通して昇圧分の電圧として放出される。制御回路14は、制御信号C1の送信により、スイッチング素子5bのオン期間及びオフ期間を制御し、それによって昇圧分の電圧を調整する。この調整により、昇圧比は、太陽電池1からの直流電圧が電力系統19の電圧ピーク値以上に昇圧される。
【0048】
平滑コンデンサ6の電圧が、電力系統19のピーク値以上の予め定められた直流電圧になると、制御回路14は、制御信号C3の送信により、DC−ACコンバータ9のスイッチング素子9a〜9dのスイッチングを行う。これにより、平滑コンデンサ6からDC−ACコンバータ9に入力される直流電圧が、所望の交流波形を有する交流電圧に変換される。変換後の交流電圧は、ACリアクトル10及びフィルタコンデンサ11により構成されるLCフィルタを介して電力系統19に出力される。
【0049】
以上の結果、入力コンデンサ4には太陽電池1と同電圧が充電され、平滑コンデンサ6には電力系統19の交流波形のピーク値以上に昇圧された直流電圧が充電される。
【0050】
<コンデンサの放電>
図3は、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6に蓄えられた電力を突入電流防止抵抗7により放電する場合の放電電流の流れを示す図である。次に、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6に充電された電荷の放電について説明する。
【0051】
工場での生産ラインにおいて、電力変換装置2の組み立て、調整、動作確認及び検査などが完了した後、操作端末13から電力変換装置2に動作を停止するように指令を出す。制御回路14は、その指令を受信すると、電力変換装置2を電力変換状態から停止状態に移行させる。具体的には、制御回路14は、制御信号C1,C3の送信によりスイッチング素子5b,9a〜9dのスイッチング動作を停止させる。
【0052】
その後、図3に示すように、制御回路14は、制御信号C4の送信により系統スイッチ12a,12bをオフし、制御信号C2の送信によりスイッチ8をオフする。次に開閉器3を切断(オフ)する。
【0053】
制御回路14は、放電の指示を操作端末13から受けると、制御信号C3の送信により、少なくとも1組の上アーム及び下アームを同時にオンする。ここでは、制御回路14は、第1組の上アーム(スイッチング素子9a)及び下アーム(スイッチング素子9b)をオンして、第2組の上アーム(スイッチング素子9c)及び下アーム(スイッチング素子9d)をオフする。しかしこれに限定されるものではなく、制御回路14は、第1組の上アーム及び下アームをオフして、第2組の上アーム及び下アームをオンしてもよいし、後述する変形例が適用されてもよい。
【0054】
図3の実線の矢印に示されるように、入力コンデンサ4の放電電流(電荷)は、入力コンデンサ4から、DCリアクトル5a、整流ダイオード5cを通って、平滑コンデンサ6の放電電流(電荷)に加えられる。平滑コンデンサ6の放電電流(電荷)は、平滑コンデンサ6を出て、入力コンデンサ4の放電電流(電荷)が加わった後、突入電流防止抵抗7、スイッチング素子9a、スイッチング素子9b、及び、入力コンデンサ4または平滑コンデンサ6にこの順で流れる。これにより、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6に蓄積された電荷が、突入電流防止抵抗7によって放電される。
【0055】
この放電電流の最大値は、突入電流防止抵抗7の抵抗値と平滑コンデンサ6の充電電圧により決まるので、スイッチング素子9a,9bの最大定格電流以下となるように、設計時に突入電流防止抵抗7の抵抗値が適切に選定される。ここでは、上述した突入電流の観点から選定すべき突入電流防止抵抗7の抵抗値と、放電電流の観点から選定すべき突入電流防止抵抗7の抵抗値とのうち、大きい方の抵抗値が設計時に採用されているものとする。
【0056】
以上のような本実施の形態1に係る電力変換装置2によれば、スイッチング素子9a〜9dを、放電電流の経路を形成するスイッチ(例えば図1の第2スイッチ64)の代わりに用いることができる。したがって、電力変換装置2のコンデンサを放電するための特別な部品の追加を低減することができるので、基板面積の増大による電力変換装置2の大型化を抑制すること、または、部品増大によるコストアップを抑制することが期待できる。
【0057】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。なお、本実施の形態2に係る電力変換装置2において、以上で説明した構成要素と同一または類似するものについては同じ参照符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0058】
実施の形態1では、太陽電池1の電力を電力系統19に放電(出力)する回路構成であったが、電力変換装置2は、これに限定されるものではない。本実施の形態2では、太陽電池1の代わりに蓄電池21が用いられ、DC−DCコンバータ5の代わりにDC−DCコンバータ22が用いられている。
【0059】
蓄電池21は、電力変換装置2を介して電力系統19に電力を放電する。また、蓄電池21は、充電が必要な場合には、電力系統19から電力変換装置2を介して電力を充電する。蓄電池21には、例えばリチウムイオン電池などが適用される。
【0060】
DC−DCコンバータ22は、実施の形態1のDCリアクトル5a、スイッチング素子5b及び還流ダイオード5b1と同様のDCリアクトル22a、スイッチング素子22b及び還流ダイオード22b1を含んでいる。一方、DC−DCコンバータ22は、実施の形態1の整流ダイオード5cの代わりに、スイッチング素子22c及び還流ダイオード22c1を含んでいる。
【0061】
このように構成されたDC−DCコンバータ22は、実施の形態1のDC−DCコンバータ5と同様に、蓄電池21から入力された直流電圧を昇圧することが可能となっている。また、DC−DCコンバータ22は、平滑コンデンサ6から入力される直流電圧を降圧して蓄電池21に放電(出力)することも可能となっている。つまり、DC−DCコンバータ22は、昇降圧可能となっている。DC−DCコンバータ22により昇圧する場合には、制御回路14は、制御信号C1の送信によりスイッチング素子22bを高速スイッチングさせる。DC−DCコンバータ22により降圧する場合には、制御回路14は、制御信号C1の送信によりスイッチング素子22cを高速スイッチングさせる。
【0062】
<動作>
次に、電力系統19からの電力を蓄電池21に充電する動作について説明する。平滑コンデンサ6が電力系統19によって充電されるまでの動作は、図2と同様であるため、その説明は省略する。
【0063】
平滑コンデンサ6が充電されるとDC−ACコンバータ9が昇圧動作を行う。この昇圧動作は、昇圧された電圧が、例えば放電開始時の電圧と同じになるまで行う。昇圧した電圧は平滑コンデンサ6で平滑される。
【0064】
DC−DCコンバータ22は、平滑コンデンサ6から入力された直流電圧を降圧する。具体的には、スイッチング素子22cが高速スイッチングされることにより、平滑コンデンサ6から出てスイッチング素子22cを通った電圧は、DCリアクトル22a及び入力コンデンサ4にて平滑され、直流電圧となる。スイッチング素子22cがオフである間、DCリアクトル22aに蓄積されたエネルギーは、スイッチング素子22bに並列接続されている還流ダイオード22b1で還流される。この結果として、DC−DCコンバータ22による降圧が実現されている。
【0065】
降圧後の直流電圧は蓄電池21に供給されて充電される。なお、図示しないが、蓄電池21内にあるBMU(バッテリマネージメントユニット)から、蓄電池21に充電すべき電圧や電流を示す指令が制御回路14に送信され、制御回路14は、その指令に基づいて制御信号C1を変更することにより、DC−DCコンバータ22が制御される。
【0066】
なお、実施の形態1の入力コンデンサ4の放電経路には、整流ダイオード5cが含まれていたが、本実施の形態2の放電経路には、整流ダイオード5cの代わりに、スイッチング素子22cに並列接続された還流ダイオード22c1が含まれる。この点を除けば、本実施の形態2に係るコンデンサの放電は、実施の形態1と同様である。
【0067】
以上のような本実施の形態2によれば、蓄電池21から電力系統19への向き及び電力系統19から蓄電池21への向きに電力を供給することが可能な電力変換装置2を実現することができる。
【0068】
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施の形態3に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。なお、本実施の形態3に係る電力変換装置2において、以上で説明した構成要素と同一または類似するものについては同じ参照符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0069】
実施の形態1では、制御回路14を動作させるための電力は、制御回路用電源15、太陽電池1または電力系統19などから生成したり、外部から供給されたりしてもよいと説明した。
【0070】
これに対して、本実施の形態3に係る電力変換装置2では、制御回路用電源15の代わりに制御用電源26が備えられている。この制御用電源26は、平滑コンデンサ6に蓄えられた電力を放電する場合に、平滑コンデンサ6の当該電力を、制御回路14を動作させるための電力として制御回路14に供給する。
【0071】
<動作>
次に、本実施の形態3に係る電力変換装置2の動作について説明する。なお、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6の放電以外の動作は、実施の形態1と同様であるため省略する。
【0072】
入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6の電荷を放電中、それらの放電電流は、図3の経路を流れるだけでなく、制御回路14を動作させるための制御用電源26にも流れる。これにより、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6に充電された電力を、制御回路14において有効利用することができるとともに、当該電力を消費することができる。また、この結果として、コンデンサの放電時間の短縮化も期待できる。
【0073】
なお、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6の放電後の電圧はゼロが理想である。しかしながら、当該電圧がゼロになる前に制御用電源26が制御回路14に電力を供給できなくなると、制御回路14は、第1組の上アーム及び下アーム、または、第2組の上アーム及び下アームを同時にオンすることができなくなり、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6に電圧が残ってしまうことがあると考えられる。そこで、本実施の形態3に係る電力変換装置2は、その残電圧が十分に低くなるように設計されることが望ましい。
【0074】
<実施の形態4>
図6は、本発明の実施の形態4に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。なお、本実施の形態4に係る電力変換装置2において、以上で説明した構成要素と同一または類似するものについては同じ参照符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0075】
本実施の形態4に係る電力変換装置2では、平滑コンデンサ6と制御回路14との間にて、平滑コンデンサ6と並列接続された放電抵抗(第2抵抗)31が追加されている。
【0076】
このような本実施の形態4に係る電力変換装置2によれば、上述したように、制御回路14が第1組の上アーム及び下アーム、または、第2組の上アーム及び下アームを同時にオンすることができなくなったとしても、入力コンデンサ4及び平滑コンデンサ6の残電圧を、放電抵抗31にて放電することができる。したがって、作業者などが誤って平滑コンデンサ6に接触した際に生じる問題を抑制することができる。
【0077】
<変形例>
以上の説明では、スイッチング素子5b,9a〜9d,22b,22cは,IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であるものとして説明したが、これに限ったものではなく、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。
【0078】
また、以上の説明では、第1組の上アーム及び下アームと、第2組の上アーム及び下アームとのいずれか一方を同時にオンした。しかし、放電電流が特定のスイッチング素子に流れ続けると、スイッチング素子が発熱する。
【0079】
このことを鑑みて、制御回路14は、平滑コンデンサ6に蓄えられた電力を放電する場合に、複数組(ここでは第1組及び第2組)の中からオンすべき組を順に切り替えてもよい。このような構成によれば、第1組及び第2組において交互に発熱させることができるので、発熱の集中により生じる不具合を抑制することができる。
【0080】
あるいは、制御回路14は、平滑コンデンサ6に蓄えられた電力を放電する場合に、複数組(ここでは第1組及び第2組)の上アーム及び下アームの全てをオンしてもよい。このような構成によれば、第1組及び第2組に発熱を分散させることができるので、発熱の集中により生じる不具合を抑制することができる。
【0081】
また、複数組は、2組(第1組及び第2組)であったが、これに限ったものではなく3つ以上の組であってもよい。
【0082】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 太陽電池、2 電力変換装置、4 入力コンデンサ、5,22 DC−DCコンバータ、6 平滑コンデンサ、7 突入電流防止抵抗、8 スイッチ、9 DC−ACコンバータ、9a〜9d スイッチング素子、9a1〜9d1 還流ダイオード、14 制御回路、19 電力系統、21 蓄電池、31 放電抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7