特許第6444209号(P6444209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000006
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000007
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000008
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000009
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000010
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000011
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000012
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000013
  • 特許6444209-エネルギー管理装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444209
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】エネルギー管理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20181217BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20181217BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181217BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H02J3/00 180
   H02J3/38 130
   H02J7/00 B
   H02J3/32
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-31300(P2015-31300)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-154400(P2016-154400A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】奥村 明
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−311707(JP,A)
【文献】 特開2012−110170(JP,A)
【文献】 特開2013−093917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0140667(US,A1)
【文献】 特開2012−175795(JP,A)
【文献】 特開2013−132105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−7/12
7/34−7/36
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置にて自然エネルギーから発電された第1電力に、蓄電装置から放電された第2電力を加算して得られる電力に直流交流変換を行い、変換後の電力を、消費電力として負荷に供給するとともに放電電力として電気事業者の系統電源に放電可能なパワーコンディショナー部と、
予め定められた期待積算放電量に基づいて、前記第2電力を制御することによって、前記パワーコンディショナー部の前記放電電力を制御する制御部と
を備え
予め定められた期間の前記放電電力を積算することによって得られる積算放電量のうち、予め定められた閾値よりも大きい放電量に対する前記電気事業者による買取単価は、前記予め定められた閾値よりも小さい放電量に対する前記買取単価よりも低く、
前記制御部は、
前記予め定められた閾値に対する放電量を前記期待積算放電量として用いる、エネルギー管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー管理装置であって、
前記パワーコンディショナー部の前記放電電力が前記電気事業者により買い取られる時間帯が任意に限定され、その時間帯の情報を受けることが可能なエネルギー管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエネルギー管理装置であって、
前記パワーコンディショナー部の前記放電電力を測定する電力測定部をさらに備え、
前記制御部は、
予め定められた第1期間に含まれる第2期間に前記電力測定部で測定された前記放電電力を積算することによって得られる時点別積算放電量が、前記第1期間の期待放電量を積算することによって得られる期待積算放電量を超えている場合に、前記第1電力のうち前記消費電力以外の電力の一部を前記蓄電装置に蓄電する、エネルギー管理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のエネルギー管理装置であって、
前記制御部は、
予め定められた第1期間に含まれる第2期間に前記発電装置で発電された前記第1電力のうち前記消費電力以外の電力を積算することによって得られる時点別積算第1電力と、前記第2期間の期待放電量を積算することによって得られる時点別期待積算放電量とに基づいて、前記蓄電装置から放電すべき前記第2電力を制御する、エネルギー管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を管理するエネルギー管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各家庭における太陽光発電パネルによって発電された電力を、系統に売電する装置及びシステムが普及しつつある。また、太陽光発電パネルの発電電力のうち負荷に供給した電力以外の余剰電力、または、系統電源からの安価な深夜電力を、蓄電池等の蓄電装置に蓄えるシステムも普及しつつある(例えば特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−92002号公報
【特許文献2】特開2014−103811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2や従来の再生可能エネルギーの買い取り制度では、蓄電装置に蓄えた電力の家庭内での消費を抑えることにより、日中の再生可能エネルギーの売電量を増やす「押し上げ効果」を利用する技術が提案されている。また、電気事業者から購入する電力価格と、蓄電装置に蓄えられ電力を利用する場合のコストと比較して、需要家の電力使用料金を最適にする技術や、翌日の天気予測に基づき太陽光発電パネルによる発電量を予測し、安価な深夜電力を蓄電装置に蓄えることで、電力使用料金を最適にする技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、いずれの技術も需要家にとっての利益を最適化することは可能であるが、電気事業者にとっては、安定した需要家からの放電電力が見込めないため、生産電力量を効率よく制御することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、需要家にとっては適切な利益が期待でき、電気事業者にとっては需要家から安定して電力を買い取ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエネルギー管理装置は、発電装置にて自然エネルギーから発電された第1電力に、蓄電装置から放電された第2電力を加算して得られる電力に直流交流変換を行い、変換後の電力を、消費電力として負荷に供給するとともに放電電力として電気事業者の系統電源に放電可能なパワーコンディショナー部と、予め定められた期待積算放電量に基づいて、前記第2電力を制御することによって、前記パワーコンディショナー部の前記放電電力を制御する制御部とを備える。予め定められた期間の前記放電電力を積算することによって得られる積算放電量のうち、予め定められた閾値よりも大きい放電量に対する前記電気事業者による買取単価は、前記予め定められた閾値よりも小さい放電量に対する前記買取単価よりも低く、前記制御部は、前記予め定められた閾値に対する放電量を前記期待積算放電量として用いる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、需要家は、適切な利益を得ることができ、電気事業者は、需要家から安定して電力を買い取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】電気事業者と需要家との間で取り引きされる電気料金の一例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る電気事業者による買取単価を示す図である。
図4】実施の形態1に係るエネルギー管理装置による需要家の売電利益を説明するための図である。
図5】実施の形態1に係るエネルギー管理装置による需要家の売電利益を説明するための図である。
図6】実施の形態1に係るエネルギー管理装置による需要家の売電利益を説明するための図である。
図7】実施の形態2に係るエネルギー管理システムの動作を示すフローチャートである。
図8】実施の形態3に係るエネルギー管理システムの動作を説明するための図である。
図9】変形例に係るエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るエネルギー管理装置を備えるエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1のエネルギー管理システムは、太陽光発電装置1と、蓄電装置2と、電気事業者の系統電源3と、電力コントロール装置4と、電力測定装置5と、分電盤6と、負荷7とを備える。電力コントロール装置4は、パワーコンディショナー部4aと、制御部4bとを備えている。
【0012】
本実施の形態1に係るエネルギー管理装置21は、上述の構成要素のうち、パワーコンディショナー部4aと、制御部4bと、電力測定装置5とを備えている。
【0013】
太陽光発電装置1は、再生可能な自然エネルギーから電力を発電する発電装置の一例であり、光エネルギーから電力を発電する。なお、太陽光発電装置1に代えて、例えば風力発電装置または水力発電装置などの発電装置が適用されてもよい。
【0014】
蓄電装置2は、エネルギー(電力)を蓄え、当該エネルギー(電力)を放出可能な蓄電装置の一例である。なお、蓄電装置2に代えて、例えば蓄電池、燃料電池、または、充放電可能な電気自動車が適用されてもよい。
【0015】
分電盤6は、電力測定装置5を介して系統電源3と接続されているとともに、電力コントロール装置4、及び、需要家の負荷7と接続されている。系統電源3から電力測定装置5を介して分電盤6に供給された電力は、負荷7、及び、電力コントロール装置4に適宜供給される。一方、電力コントロール装置4から分電盤6に放電された電力は、負荷7、及び、電力測定装置5を介して系統電源3に適宜放電される。
【0016】
電力測定装置5は、電力コントロール装置4から系統電源3に放電される電力量を測定する。また、電力測定装置5は、系統電源3から分電盤6を通じて、負荷7及び電力コントロール装置4に供給される電力量を測定する。
【0017】
電力コントロール装置4のうちパワーコンディショナー部4aは、電力の直流交流変換、もしくは交流直流変換を行うとともに、制御部4bからの制御に応じて蓄電装置2などの放電及び充電を行う。本実施の形態1では、パワーコンディショナー部4aは、太陽光発電装置1にて光エネルギーから発電された第1電力に、蓄電装置2から放電された第2電力を加算し、それによって得られる電力に対して直流交流変換を行う。そして、パワーコンディショナー部4aは、変換後の電力を、消費電力として負荷7に供給するとともに、放電電力として系統電源3に放電可能に構成されている。パワーコンディショナー部4aからの放電電力は、電力測定部である電力測定装置5にて測定される。
【0018】
なお以下の説明では、太陽光発電装置1における上述の第1電力を「発電電力」と記し、蓄電装置2における上述の第2電力を「蓄電装置放電電力」と記す。
【0019】
電力コントロール装置4のうち制御部4bは、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがメモリ等に記憶されたプログラムを実行することにより、当該プロセッサの機能として実現される。ただし、制御部4bはこれに限ったものではなく、例えば、複数のプロセッサが連携して実現されてもよい。なお、ソフトウェアプログラムに従って動作する制御部4bに代えて、制御部4bは、当該動作をハードウェアの電気回路で実現する信号処理回路により実現されてもよい。ソフトウェアの制御部4bと、ハードウェアの制御部4bとを合わせた概念として、「部」という語に代えて「処理回路」という語を用いることもできる。
【0020】
この制御部4bは、電力測定装置5と無線通信、有線通信、または電力線通信を行うことにより、電力測定装置5の電力測定値を受け取り、当該電力測定値に基づいて、パワーコンディショナー部4aにおける直流交流変換及び交流直流変換、並びに、放電及び充電の切り替え等を制御する。
【0021】
制御部4bは、予め定められた期待積算放電量に基づいて、蓄電装置放電電力を制御することにより、パワーコンディショナー部4aの放電電力を制御する。制御部4bは、例えば蓄電装置2からの放電電力が制御できるように、蓄電装置2とパワーコンディショナー部4aとの間のリレー(図示せず)の接続及び遮断を制御、もしくはインバータ装置(図示せず)の交流電力を出力する装置において実行電圧を制御する。
【0022】
以下、予め定められた期間(ここでは1日)の、パワーコンディショナー部4aの放電電力を積算することによって得られる放電量を「積算放電量」と記し、予め定められた期間(ここでは1日)の、期待放電量を積算することによって得られる放電量を「期待積算放電量」と記して説明する。
【0023】
本実施の形態1では上記制御の一例として、制御部4bは、電力測定装置5で測定された放電電力を積算した積算放電量と、期待放電量を積算した期待積算放電量とに基づいて、パワーコンディショナー部4aの放電電力を制御する。
【0024】
なお本実施の形態1では、制御部4bは、積算放電量がなるべく予め定められた期待積算放電量となるように上記制御を行う。
【0025】
以上のように構成されたエネルギー管理装置21によれば、天気や気温の影響を受けて太陽光発電装置1で発電できなかった電力を、蓄電装置2の蓄電装置放電電力で賄うことにより、期待積算放電量と同じ、またはそれに近い積算放電量を系統電源3に放電することができる。これにより、期待積算放電量が適切に設定された場合には、以下で説明するように、天気や気温などに左右されずに、放電電力を、適切な放電量で安定して系統電源3に放電することができる。この結果、予め定められた期間(ここでは一日)単位の電力供給量の平滑化が期待できる。
【0026】
さて、近年、自然エネルギーを利用した再生可能エネルギーの買い取り制度が運用されている。この制度によれば、エネルギー管理装置21から系統電源3への放電電力の放電、つまり需要家から電気事業者への売電によって、需要家は利益を得ることが可能となっている。しかしながら、需要家が、電気事業者の系統電源3から安価な深夜電力を蓄電装置2に蓄えて、電力が高価な日中に電気事業者に売電して利益を得ようとすることは、「電気ロンダリング」と呼ばれ不正行為とされている。以下、電気ロンダリングについて具体例を挙げて説明する。
【0027】
図2は、電気事業者と需要家との間で取り引きされる電気料金の一例を示す図である。
【0028】
図2(a)は、需要家が電気事業者の系統電源3から電力を買い取る使用電気量単価、つまり、電気事業者による売電単価(需要家による買取単価)を示す図である。なお、単価とは、単位電力量当たりの価格である。
【0029】
図2(b)は、電気事業者が需要家のエネルギー管理装置21から放電電力を買い取る単価、つまり、電気事業者による買取単価(需要家による売電単価)を示す図である。図2(b)では、電気事業者による買取単価は買い取る電力量に関わらず一定である。
【0030】
図2の例において、需要家が、図2(a)の深夜の単価Pn(11円/KWh)で電気事業者から電力を購入して蓄電装置2に蓄えた後、当該蓄えた電力を、図2(b)の単価SP(37円/KWh)で電気事業者に売電したとする。この場合に、「(Pn−SP)×放電量(売電量)」が需要家の利益となるが、このような利益を得ることは、電気ロンダリングに該当するとして禁止されている。本実施の形態1に係るエネルギー管理装置21では、電気ロンダリングの抑制化が可能となっている。
【0031】
図3は、本実施の形態1に係る電気事業者による買取単価を示す図である。図2の電気事業者による買取単価は、買い取る電力量に関わらず一定であった。これに対して、図3に示すように、本実施の形態1に係る電気事業者による買取単価は、買い取る電力量に応じて段階的に変更されている。
【0032】
つまり、需要家の積算放電量のうち、予め定められた閾値であるSQ1よりも大きい放電量に対する電気事業者による買取単価SP2(27円/KWh)は、SQ1よりも小さい放電量に対する買取単価SP1(37円/KWh)よりも低く設定されている。同様に、需要家の積算放電量のうち、予め定められた閾値であるSQ2よりも大きい放電量に対する電気事業者による買取単価SP3(11円/KWh)は、SQ2よりも小さい放電量に対する買取単価SP2(27円/KWh)よりも低く設定されている。そして、買取単価SP1は、図2(b)の買取単価SPに相当する単価、または買取単価SPに近い単価に設定される。
【0033】
また、本実施の形態1では、SQ2が期待積算放電量に設定されている。つまり、制御部4bは、SQ2(予め定められた閾値)に対する放電量を期待積算放電量として用いる。図3の例では、積算放電量のうち期待積算放電量SQ2より小さい放電量の買取単価SP1,SP2は、深夜間の電力に対する電気事業者による図2(a)の売却単価Pnより高く、積算放電量のうち期待積算放電量SQ2より大きい放電量の買取単価SP3は、当該売却単価Pnと同じとなっている。ただしこれに限ったものではなく、積算放電量のうち期待積算放電量SQ2より大きい放電量の買取単価SP3は、売却単価Pnとほぼ同じであってもよいし、売却単価Pn以下であってもよい。
【0034】
以上の構成において、期待放電量(または期待積算放電量SQ2)が、正しく運用を行う需要家が売電により適切な利益を得ることができるような値に設定されれば、需要家は、期待放電量(または期待積算放電量SQ2)を超える電力量を売電しても実質的に利益を得ることができなくなる。したがって、需要家が、昼間の太陽光発電装置1の発電電力に加えて、深夜間に系統電源3から蓄電した電力も売電しようとしても、深夜間に蓄電した電力を売電することによって利益を実質的に得ることはできないので、電気ロンダリングの抑制化が期待できる。また、電気事業者からみれば、期待放電量(または期待積算放電量SQ2)を超える需要家からの売電を抑制することができるので、予め定められた期間(ここでは一日)単位で、適切な電力を安定して買い取ることが可能となる。
【0035】
図4図6は、本実施の形態1に係るエネルギー管理装置21による需要家の売電利益を説明するための図である。なお、太陽光発電装置1による発電電力の発電量は、放電電力の放電量として系統電源3に放電されることに鑑みて、以下の説明では、太陽光発電装置1の発電量を太陽光発電装置1の放電量と記すこともある。
【0036】
図4には、日中に晴れの時間が多かった場合が示されている。図4(a)は、太陽光発電装置1の放電量と時間との関係を示す図であり、図4(b)は、積算放電量と時間との関係を示す図であり、図4(c)は、需要家が売電によって得ることができる利益を説明するための図である。
【0037】
図4(a)に示される太陽光放電量101は、太陽光発電装置1における実際の発電電力に対応する放電電力の放電量(負荷7の消費電力はすでに除かれている放電量)である。つまり、太陽光放電量101は、需要家が電気事業者に売電した電力量のうち、太陽光発電装置1の発電電力に起因する電力量である。
【0038】
図4(a)に示される期待放電量102は、正しく運用を行う需要家が電気事業者に売電することにより適切な利益を得ることができると予想される放電量に設定されている。ここでは、期待放電量102は、時間をパラメータとする関数などで規定される。
【0039】
図4(b)に示される時点別太陽光積算放電量(時点別積算第1電力)103は、図4(a)の太陽光放電量101を、予め定められた第1期間(ここでは一日)に含まれる第2期間(ここでは0時から任意の時点tまでの期間)について積算することによって得られる。図4(b)に示される太陽光積算放電量103aは、図4(a)の太陽光放電量101を、一日について積算することによって得られる。つまり、太陽光積算放電量103aは、時点tが24時である場合の時点別太陽光積算放電量103に相当し、図4(b)のSQDsに相当する。なお、時点tの単位は時間に限らない。
【0040】
図4(b)に示される時点別期待積算放電量104は、図4(a)の期待放電量102を、予め定められた第1期間(ここでは一日)に含まれる第2期間(ここでは0時から任意の時点tまでの期間)について積算することによって得られる。図4(b)に示される期待積算放電量104aは、図4(a)の期待放電量102を、一日について積算することによって得られる。つまり、期待積算放電量104aは、時点tが24時である場合の時点別期待積算放電量104に相当し、図4(b)のSQ2に相当する。なお、時点別太陽光積算放電量103、太陽光積算放電量103a、時点別期待積算放電量104及び期待積算放電量104aなどの積算量は、一日ごとにリセットされるものとする。
【0041】
次に、図4(b)のように太陽光積算放電量103a(=SQDs)が、期待積算放電量104a(=SQ2)よりも大きい場合に、需要家が太陽光積算放電量103aを売電することによって得ることができる利益を、図4(c)を用いて説明する。
【0042】
需要家が太陽光積算放電量103a(=SQDs)を売電することによって得ることができる利益SPQsは、図4(c)の斜線ハッチングで示される範囲の面積に対応し、次式(1)によって算出される。
【0043】
【数1】
【0044】
この結果、需要家にとっての一日の売電利益は、図2の電気料金では、SP1×SQDsであったのに対して、本実施の形態1では、当該売電利益から図4(c)の細かい点のハッチングで示される範囲の面積に対応する利益mSPQsだけ減った利益となる。なお、利益mSPQsは、次式(2)によって算出される。
【0045】
【数2】
【0046】
上述の例では、正しく運用を行う需要家が売電により適切な利益を得ることができるように、期待放電量(または期待積算放電量SQ2)が設定されている。このため、需要家が、期待積算放電量SQ2以上の電力を売電しようとしても、その単価は、深夜に電気事業者から電力を購入する単価と同じであることから、当該売電によって実質的に利益を得ることができなくなる。この結果、電気ロンダリングの抑制化が期待できるとともに、電気事業者からみれば、天候に左右されずに、期待積算放電量SQ2程度の電力を安定して買い取ることが可能となる。
【0047】
なお、図4のように太陽光積算放電量103aが期待積算放電量SQ2を超える場合には、制御部4bは、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力を蓄電装置2に蓄電してもよい。さらにこの場合において、蓄電装置2がすでに満充電であれば(最大限まで充電されていれば)、買取単価は安価なSP3ではあるが、制御部4bは系統電源3に売電(放電)してもよい。
【0048】
図5には、日中に雨や曇りなどの時間が多かった場合が示されている。
【0049】
図5(a)は図4(a)に対応しており、図5(a)の太陽光放電量105及び期待放電量106は、図4(a)の太陽光放電量101及び期待放電量102にそれぞれ対応する。日中に晴れの時間が多かった図4(a)では、太陽光放電量101が期待放電量102を上回る時間が多いが、日中に雨や曇りなどの時間が多かった図5(a)では、太陽光放電量101が期待放電量102を下回る時間が多くなっている。
【0050】
図5(b)は図4(b)に対応しており、図5(b)の時点別太陽光積算放電量107及び太陽光積算放電量107aは、図4(b)の時点別太陽光積算放電量103及び太陽光積算放電量103aにそれぞれ対応する。また、図5(b)の時点別期待積算放電量108及び期待積算放電量108aは、図4(b)の時点別期待積算放電量104及び期待積算放電量104aにそれぞれ対応する。図4(b)では、太陽光積算放電量103a(=SQDs)が、期待積算放電量104a(=SQ2)よりも大きかったが、図5(b)では、太陽光積算放電量107a(=SQDr)が、期待積算放電量108a(=SQ2)よりも小さくなっている。
【0051】
次に、図5(b)のように太陽光積算放電量107a(=SQDr)が、期待積算放電量108a(=SQ2)よりも小さい場合に、需要家が太陽光積算放電量107aを売電することによって得ることができる利益を、図5(c)を用いて説明する。
【0052】
図5(c)は図4(c)に対応している。需要家が太陽光積算放電量107a(=SQDr)を売電することによって得ることができる利益SPQrは、太陽光積算放電量107a(=SQDr)がSQ1よりも小さい場合には、図5(c)の斜線ハッチングで示される範囲の面積に対応し、次式(3)によって算出される。この図5(c)から分かるように、日中に晴れの時間が多い場合(図4(c))にはSPQsの利益が見込めたが、日中に雨や曇りなどの時間が多い場合には、利益SPQrしか得ることができないことがある。
【0053】
【数3】
【0054】
この場合、需要家にとって望ましい利益から需要家が売電によって得ることができる実際の利益SPQrを減じて得られる利益mSPQrは、図5(c)の細かい点のハッチングで示される範囲の面積に対応する。この利益mSPQrは、例えば次式(4)によって算出される。
【0055】
【数4】
【0056】
以上のように、図5に示されるような発電パターンにおいては、需要家は単価SP3よりも高い単価SP1または単価SP2で売電することができるにもかかわらず、売却可能な発電電力が少なかったため、利益mSPQrは得られず、結果として需要家にとって望ましい利益が得られないことになる。これに対して、図5のような場合でも、需要家にとって望ましい利益が実現されるように、本実施の形態1に係るエネルギー管理装置21(制御部4b)では、蓄電装置2の蓄電装置放電電力が放電される。
【0057】
図6には、図5と同じ天候条件下で太陽光発電装置1にて発電された発電電力の発電量に、蓄電装置2による蓄電装置放電電力の放電量が加算された場合が示されている。
【0058】
図6(a)は図5(a)に対応しており、図6(a)の太陽光放電量109及び期待放電量110は、図5(a)の太陽光放電量105及び期待放電量106とそれぞれ同じである。
【0059】
図6(a)の斜線部分に対応する蓄電装置放電量111は、需要家の蓄電装置2からの放電に対応する放電量である。つまり、蓄電装置放電量111は、需要家が電気事業者に売電した電力量のうち、蓄電装置2からの放電に起因する電力量である。
【0060】
制御部4bは、蓄電装置放電量111が期待放電量110から太陽光放電量109を引いた値となるように、蓄電装置2の蓄電装置放電電力を制御する。これにより、需要家は、天候に左右されずに望ましい利益を得ることができる。また、電気事業者からみれば、天候に左右されずに、期待積算放電量SQ2程度の電力を安定して買い取ることが可能となる。
【0061】
図6(b)は図5(b)に対応しており、図6(b)の時点別太陽光積算放電量112及び太陽光積算放電量112aは、図5(b)の時点別太陽光積算放電量107及び太陽光積算放電量107aとそれぞれ同じである。また、図6(b)の時点別期待積算放電量113及び期待積算放電量113aは、図5(b)の時点別期待積算放電量108及び期待積算放電量108aとそれぞれ同じである。
【0062】
図6(b)に示される時点別蓄電装置積算放電量114は、図6(a)の蓄電装置放電量111を、予め定められた第1期間(ここでは一日)に含まれる第2期間(ここでは0時から任意の時点tまでの期間)について積算することによって得られる。図6(b)に示される蓄電装置積算放電量114aは、図6(a)の蓄電装置放電量111を、一日について積算することによって得られる。つまり、蓄電装置積算放電量114aは、時点tが24時である場合の時点別蓄電装置積算放電量114に相当し、図6(b)のSQDbに相当する。
【0063】
図6(c)は図5(c)に対応している。図6(c)の場合においても、図5(c)の場合と同様に、需要家が太陽光積算放電量112a(=SQDr)を売電することによって得ることができる利益は、利益SPQrである。ただし、図6(c)の場合では、制御部4bが蓄電装置2に蓄電装置放電量111を放電させることで、需要家は、図6(c)の斜線ハッチングで示される範囲の面積に対応する望ましい利益(SPQr+mSPQr)を得ることができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態1に係るエネルギー管理装置21によれば、期待積算放電量113aに対して太陽光発電装置1が発電できなかった電力量を、蓄電装置2の蓄電装置放電電力で賄うように制御する。これにより、需要家は、天候に左右されずに望ましい利益を安定して得ることができ、電気事業者は、天候に左右されずにほぼ一定の電力を安定して買い取ることが可能となる。
【0065】
<変形例>
実施の形態1では、パワーコンディショナー部4aの放電電力を積算した積算放電量に応じて電気事業者による買取単価を変動させている。しかしながら、このようなシステムであっても、積算放電量が期待積算放電量に達していなければ、需要の少ない夜間に、需要家が蓄電装置2から蓄電装置放電電力を放電すれば、高い買取単価が適用される。これでは、電気事業者が、需要家から電力を買い取りたい時間帯(例えば昼間など)に、需要家から電力を買い取ることができないことがあると考えられる。
【0066】
そこで、例えばインターネット接続部を設けて、電気事業者から任意に限定された、電気事業者による買い取られる時間を受信するように構成されてもよい。つまり、パワーコンディショナー部4aの放電電力が電気事業者により買い取られる時間帯が任意に限定され、その時間帯の情報を受けることが可能に構成されてもよい。これにより、電気事業者が意図した時間帯に、蓄電装置2から系統電源3に蓄電装置放電電力が放電される可能性を高めることができる。したがって、電気事業者による電力需要予測を容易化することができ、この結果として、電力供給の安定化、及び、発電効率の向上化が期待できる。
【0067】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2に係るエネルギー管理システムの構成は、実施の形態1の構成(図1)と同様である。そこで、本実施の形態2に係るエネルギー管理システムおいて、以上で説明した構成要素と同一または類似するものについては同じ参照符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0068】
本実施の形態2では、制御部4bは、予め定められた第1期間(ここでは一日)に含まれる第2期間(ここでは0時から任意の時点tまでの期間)に電力測定装置5で測定された放電電力を積算することによって時点別積算放電量RQ(t)を算出する。そして、制御部4bは、算出した時点別積算放電量RQ(t)が、第1期間の期待放電量を積算することによって得られる期待積算放電量SQ2を超えている場合に、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力(電力の一部)を蓄電装置2に蓄電する。
【0069】
図7は、本実施の形態2に係るエネルギー管理システムの動作を示すフローチャートである。
【0070】
まず、ステップS1にて、電力測定装置5は、パワーコンディショナー部4aから系統電源3に放電される放電電力を測定する。電力測定装置5の測定値は制御部4bによって定期的に読み取られる。
【0071】
ステップS2にて、制御部4bは、読み取った放電電力を積算することで、時点別積算放電量RQ(t)を算出する。
【0072】
ステップS3にて、制御部4bは、時点別積算放電量RQ(t)が期待積算放電量SQ2より小さいか否かを判定する。時点別積算放電量RQ(t)が期待積算放電量SQ2より小さくない(期待積算放電量SQ2以上である)と判定した場合にはステップS4に進み、小さいと判定した場合にはステップS7に進む。
【0073】
ステップS4にて、制御部4bは、蓄電装置2が満充電であるか否かを判定する。満充電でないと判定した場合にはステップS5に進み、満充電であると判定した場合にはステップS6に進む。
【0074】
ステップS5にて、制御部4bの制御により、パワーコンディショナー部4aは、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力を、蓄電装置2に蓄電する。蓄電装置2に蓄えられた電力は、後日、天気が悪く期待積算放電量SQ2に足りない日に放電する。これにより、需要家は天候に左右されずに望ましい利益を安定して得ることができる。その後、ステップS1に戻る。
【0075】
ステップS6にて、制御部4bは、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力を系統電源3に放電する。これにより、需要家から電気事業者に単価SP3で売電される。その後、ステップS1に戻る。
【0076】
ステップS3からステップS7に進んだ場合、制御部4bは、ステップS2と同様に期待放電量を積算することにより、時点別期待積算放電量HQ(t)を算出する。
【0077】
ステップS8にて、制御部4bは、時点別積算放電量RQ(t)が時点別期待積算放電量HQ(t)以上であるか否かを判定する。時点別積算放電量RQ(t)が時点別期待積算放電量HQ(t)以上であると判定した場合にはステップS9に進み、そうでない場合にはステップS10に進む。
【0078】
ステップS9にて、制御部4bは、蓄電装置2の蓄電装置放電電力を系統電源3に放電させずに、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力を系統電源3に放電する。その後、ステップS1に戻る。
【0079】
ステップS8からステップS10に進んだ場合には、制御部4bは、蓄電装置2の蓄電装置放電電力を系統電源3に放電させるとともに、太陽光発電装置1の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の余剰電力を系統電源3に放電する。また、太陽光発電装置1の発電電力が少なく、余剰電力がない場合、蓄電装置2の蓄電装置放電電力だけを系統電源3に放電する場合もあり得る。その後、ステップS1に戻る。
【0080】
なお、図7の動作は、例えば一定間隔で繰り返される。これにより、蓄電装置2に蓄えられている電力が、太陽光発電装置1で発電された電力に適宜加算されて、放電電力として系統電源3に放電されることになり、時点別積算放電量RQ(t)が、時点別期待積算放電量HQ(t)と等しくなる。
【0081】
以上のような本実施の形態2に係るエネルギー管理装置21によれば、天候に左右されずに望ましい利益をより安定して得ることができ、電気事業者は、天候に左右されずにほぼ一定の電力をより安定して買い取ることが可能となる。
【0082】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3に係るエネルギー管理システムの構成は、実施の形態1の構成(図1)と同様である。そこで、本実施の形態3に係るエネルギー管理システムおいて、以上で説明した構成要素と同一または類似するものについては同じ参照符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0083】
本実施の形態3では、制御部4bは、負荷7の消費電力の情報を分電盤6などから取得し、太陽光発電装置1の発電電力の情報をパワーコンディショナー部4aなどから取得する。そして、制御部4bは、これら情報に基づいて、予め定められた第1期間(ここでは一日)に含まれる第2期間(ここでは0時から任意の時点tまでの期間)の発電電力のうち負荷7の消費電力以外の電力を積算することによって、上述の時点別太陽光積算放電量SQ(t)を算出する。制御部4bは、上述の第2期間の期待放電量を積算することによって、上述の時点別期待積算放電量HQ(t)を算出する。制御部4bは、時点別太陽光積算放電量SQ(t1)と、時点別期待積算放電量HQ(t1)とに基づいて、時点t1にて蓄電装置2から放電すべき蓄電装置放電力LQ(t1)を制御する。
【0084】
図8は、本実施の形態3に係るエネルギー管理システムの動作を説明するための図である。図8の例において、午前11時前後より曇り、または雨の天気によって太陽光発電装置1の発電が減り、時点t1における時点別期待積算放電量HQ(t1)に対する時点別太陽光積算放電量SQ(t1)の差分(=HQ(t1)−SQ(t1))が、閾値THよりも大きくなったとする。この場合に、電力コントロール装置4(制御部4b)は、蓄電装置2から放電すべき蓄電装置放電力LQ(t1)を制御する。この際、蓄電装置2の放電最大定格を超えない範囲で、SQ(t1)+LQ(t1)ができるだけHQ(t)に近づくように、制御部4bは、蓄電装置放電力LQ(t1)を制御する。なお、差分(=HQ(t)−SQ(t))と閾値THとの比較は、例えば一定間隔で繰り返される。
【0085】
以上のような本実施の形態3に係るエネルギー管理装置21によれば、天候に左右されずに望ましい利益をより安定して得ることができ、電気事業者は、天候に左右されずにほぼ一定の電力をより安定して買い取ることが可能となる。しかも、天気予報等の情報を用いてその日に発電すべき電力を予測する複雑な装置またはシステムを用いずに、以上のような効果が得られる装置またはシステムを実現することができる。
【0086】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0087】
<変形例>
図9は、本変形例に係るエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。ここでは、太陽光発電装置1と、そのパワーコンディショナー部8とがすでに配設されていた後に、実施の形態1〜3と同様の動作を行うことができるように、構成要素が追加された状況を想定している。
【0088】
具体的には、合成部4cは、蓄電装置2のパワーコンディショナー部4aの出力と、太陽光発電装置1のパワーコンディショナー部8の出力とに接続されており、制御部4の制御により、これら出力を合成する。このような合成部4cは、例えば、それぞれの電力を測定するセンサ部(図示せず)と、接続及び切断の切り替えが可能なスイッチ部(図示せず)とから構成することができる。
【0089】
以上のように構成された本変形例によれば、DC連系ではなくAC連系となり、制御部4bは、予め定められた期待積算放電量に基づいて、太陽光発電装置1の発電電力と、蓄電装置放電電力とを制御することにより、電力コントロール装置4から系統電源3に放電する電力を制御することが可能になる。したがって、より適切に系統電源3に電力を放電することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 太陽光発電装置、2 蓄電装置、3 系統電源、4a パワーコンディショナー部、4b 制御部、5 電力測定装置、21 エネルギー管理装置、101,105,109 太陽光放電量、102,106,110 期待放電量、103,107,112 時点別太陽光積算放電量、103a,107a,112a 太陽光積算放電量、104,108,113 時点別期待積算放電量、104a,108a,113a 期待積算放電量、111 蓄電装置放電量、114 時点別蓄電装置積算放電量、114a 蓄電装置積算放電量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9