(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかるデータロガーおよび輸送状況把握方法を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明するデータロガーおよび輸送状況把握方法は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
図1は、実施形態にかかるデータロガーシステム100の一例を示す説明図である。
図1に示すように、データロガーシステム100は、データロガー1と、端末装置3と、サーバ4とを有する。
【0012】
データロガー1は、荷物2に設置され、各種センサと、センサの測定値を記録するメモリと、端末装置3と通信する通信部とを有する無線タグである。例えば、データロガー1は、ラベルまたはシールとして荷物2の一面に貼り、荷物2を輸送する工程で使用する。
【0013】
図2は、荷物2の輸送を説明する説明図である。荷物預かり時(S1)において、作業員は、顧客から荷物2を預かる。この時、顧客は、荷物2の宛先とともに、温度/湿度/天地無用等の荷物2の輸送条件を指定する。
【0014】
例えば、荷物2が果物や野菜等の生鮮食品の場合は冷蔵での輸送(例えば0〜5℃)を指定し、アイスクリーム等の冷凍食品の場合は冷凍での輸送(例えば−5℃〜−10℃)を指定する。また、荷物2が電子部品である場合は高湿下を避けた輸送(例えば湿度50%以下)を指定する。また、荷物2が陶器などの割れ物である場合は倒立状態を避けるため天地無用の輸送を指定する。
【0015】
作業員は、端末装置3を操作して顧客が指定した宛先、輸送条件等の荷物2にかかる情報を入力し、サーバ4へ登録する。この荷物2にかかる情報の登録により、サーバ4では、顧客から預かった荷物2を統括管理する。また、作業員は、顧客から受け付けた宛先と、これらの輸送条件とを記したラベルを作成して荷物2に添付する。また、作業員は、端末装置3を操作してデータロガー1に輸送条件(監視条件)を設定する。
【0016】
荷物2を預かってデータロガー1を貼り付けた後は、倉庫における保管(S2)、輸送車両による配送(S3)を経て、宛先へ届けられる(S4)。作業員は、宛先に荷物2を届けた際に(S4)、端末装置3を操作して荷物2の輸送が完了したことをサーバ4へ登録する。このS2〜S4の間、データロガー1は、荷物2に貼付された状態であり、設定された監視条件にしたがって各種センサにより輸送状況を監視する。また、S2〜S4の間、作業員は、端末装置3を操作してデータロガー1と通信することで、データロガー1のメモリに記録された測定値などを確認し、そのデータロガー1より読み出した情報をサーバ4へ登録できる。そして、データロガー1は、届け先に荷物2が届いた際に(S4)、作業員により取り外され、再利用されることとなる。
【0017】
図3は、実施形態にかかるデータロガー1の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、データロガー1は、制御チップ10およびバッテリー20を有する。制御チップ10は、データロガー1全体を制御する部位である。バッテリー20は、データロガー1全体に電力を供給する電力源であり、例えば一次電池もしくは二次電池である。
【0018】
制御チップ10は、MPU11(MPU:Micro-Processing Unit)、通信部12、LED13(LED:Light Emitting Diode)、ブザー14、FRAM15(FRAM(登録商標):Ferroelectric RAM)およびセンサ部16を有する。
【0019】
MPU11は、制御チップ10全体の動作を制御する。通信部12は、アンテナ121を有し、MPU11の制御のもとでアンテナ121を介した無線通信を行う。例えば、通信部12は、BTLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))等の通信規格による無線通信を行う。LED13は、MPU11の制御のもとで点灯/消灯を行う。例えば、LED13は、点灯/消灯/点滅などの点灯状態によりデータロガー1の動作状態を通知する。ブザー14は、MPU11の制御のもとでブザー音声の出力を行う。FRAM15は、通信部12における無線通信の設定情報、ロガーIDなどのデータロガー1を識別するための識別情報等の各種設定情報およびセンサ部16の測定により得られた測定情報を記憶する。
【0020】
センサ部16は、加速度センサ161、照度センサ162、地磁気センサ163、温度センサ164、湿度センサ165および気圧センサ166を有し、データロガー1の移動・姿勢およびデータロガー1の周辺の環境を計測するセンサである。このセンサ部16が計測した計測値は、MPU11に出力される。MPU11は、RTC(Real Time Clock)機能により計時されたクロックカウンタとともに、センサ部16より出力された計測値をFRAM15に記憶する。
【0021】
加速度センサ161は、XYZ軸(3軸)方向の加速度値を測定するセンサであり、重力およびデータロガー1の移動に伴う加速度を測定する。照度センサ162は、データロガー1の周辺の照度を測定する。地磁気センサ163は、地磁気を計測する。温度センサ164は、データロガー1の周辺の温度を測定する。湿度センサ165は、データロガー1の周辺の湿度を測定する。気圧センサ166は、データロガー1の周辺の気圧を測定する。
【0022】
端末装置3は、作業員が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末である。なお、端末装置3は、倉庫における保管時(S2)、輸送車両による配送時(S3)において、保管場所や輸送車両に設置され端末であってもよい。例えば、保管場所に設置されたPC(Personal Computer)や、輸送車両の運転席に設置された端末装置などの固定型の端末であってもよい。また、端末装置3が固定型の端末である場合は、保管場所や輸送車両内に置かれた荷物2のデータロガー1とアクセスポイント(AP)を介して通信してもよい。本実施形態では、端末装置3としてスマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末を例示する。
【0023】
端末装置3は、BTLE規格等の無線通信を介してデータロガー1との通信を行う。また、端末装置3は、Wi−Fi規格等の無線通信を介してLAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワーク(図示しない)と接続し、この通信ネットワーク上のサーバ4との通信を行う。
【0024】
図4は、実施形態にかかる端末装置3の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、端末装置3は、APU30、GPU31、LCD32、タッチパネル33、MEM34、フラッシュROM35、通信部36、アンテナ37およびバッテリー38を有する。
【0025】
APU30(APU:Application Processor Unit)は、フラッシュROM35などに記憶されたプログラムをMEM34に展開して順次実行することで、端末装置3全体の動作を制御する。GPU31(GPU:Graphics Processing Unit)は、APU30の制御のもと、LCD32の表示を制御する。LCD32(Liquid Crystal Display)は、GPU31の制御のもとで各種情報を画面表示する出力インタフェースである。タッチパネル33は、LCD32に重畳して配置され、ユーザのタッチ操作等を受け付けて、各種情報やコマンドを入力する入力インタフェースである。MEM34(MEM:Memory)は、フラッシュROM35がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。フラッシュROM35(ROM:Read Only Memory)は、APU30が実行するプログラムや各種設定情報等を格納する。通信部36は、APU30の制御のもとでアンテナ37を介した無線通信を行う。例えば、通信部36は、BTLE規格やWi−Fi規格の無線通信を実行する。バッテリー38は、端末装置3全体に電力を供給する電力源である。
【0026】
サーバ4は、LANやインターネット等の通信ネットワークと接続する各機器と通信可能なサーバ装置であり、顧客から預かった荷物2にかかる情報を統括管理する。例えば、サーバ4は、端末装置3により登録された、荷物2にかかる情報または荷物2のデータロガー1より読み出した情報を、顧客または作業員からの問い合わせに応じて提供する。一例としては、顧客または作業員が操作するPC等の情報処理装置上のWebブラウザからの問い合わせに応じて情報を提供するWebサーバ等である。顧客または作業員は、サーバ4へアクセスすることで、荷物2にかかる各種情報を確認できる。
【0027】
図5は、実施形態にかかるデータロガー1と端末装置3の動作例を示すラダーチャートである。
図5に示すように、データロガー1のMPU11は、荷物預かり時(S1)等において行われる、端末装置3による監視条件の設定(S10)を受けて、設定された監視条件に従ってセンサ部16による監視を行う(S11)。このセンサ部16による監視において、データロガー1のMPU11は、センサ部16より得られた測定値を測定情報として、計時されたクロックカウンタとともにFRAM15に順次記憶する。
【0028】
図6は、監視条件の設定(S10)にかかる動作例を示すフローチャートである。
図6に示すように、端末装置3は、タッチパネル33の操作により温度/湿度/天地無用等の荷物2の輸送条件を受け付けて、その輸送条件に対応する監視条件を入力する(S20)。次いで、端末装置3は、入力された監視条件を通信部36によりデータロガー1へ送信する(S21)。
【0029】
例えば、輸送条件が冷蔵での輸送(例えば0〜5℃)である場合、温度センサ164による測定値が輸送条件(0〜5℃)を外れた場合に異常レベルとし、輸送条件よりさらに大きく外れた場合(10℃以上)に警報レベルとする監視条件を入力する。また、高湿下を避けた輸送(例えば湿度50%以下)である場合、湿度センサ165による測定値が輸送条件(湿度50%以下)を外れた場合に異常レベルとし、輸送条件よりさらに大きく外れた場合(湿度70%以上)に警報レベルとする監視条件を入力する。また、天地無用の輸送である場合、加速度センサ161の測定値に基づく荷物2の向きが横倒し状態である場合に異常レベルとし、荷物2の向きが倒立状態である場合に警報レベルとする監視条件を入力する。
【0030】
なお、上述した監視条件は、輸送条件−監視条件の対応を示すテーブルを参照することで、タッチパネル33の操作により受け付けた輸送条件から得るようにしてもよいし、タッチパネル33の操作により直接入力してもよい。
【0031】
データロガー1のMPU11は、設定された監視条件に従ってセンサ部16による監視を行い(S11)、センサ部16の測定値が監視条件として設定された異常/警報レベルであるか否かを判定する(S12)。ここで、異常/警報レベルでない場合(S12:NO)、データロガー1のMPU11は、処理を待機する。
【0032】
異常/警報レベルである場合(S12:YES)、データロガー1のMPU11は、異常/警報レベルを検知したデータロガー1を示すロガーIDとともに、異常/警報レベルであることを示すブロードキャスト発信を通信部12より行う(S13)。通信部12によるブロードキャスト発信は、例えば、10m程度を通信範囲とするBTLE規格の無線発信である。したがって、データロガー1の通信範囲内にある端末装置3は、データロガー1からのブロードキャスト発信を受信することで、輸送条件から外れた荷物2の輸送状況の異常を容易に知ることができる。また、無線によるブロードキャスト発信であることから、輸送条件から外れた荷物2が他の荷物2により隠されてしまう場合であっても、データロガー1の通信範囲内にある端末装置3に対して確実に通知できる。
【0033】
また、通信部12によるブロードキャスト発信は、一度発信を開始した後、クロックカウンタによるカウンタ値をもとに、所定の周期(例えば10秒ごと)で逐次行ってもよい。これにより、荷物2の状態が異常/警報レベルであったことを端末装置3に対して逐次通知できる。
【0034】
通信部12によるブロードキャスト発信は、MPU11の制御のもと、センサ部16による測定値が所定の条件を満たす場合に行ってもよい。例えば、照度センサ162による照度値が予め設定した閾値以下または閾値以上となった場合に、MPU11は、通信部12によるブロードキャスト発信を行うように制御する。これにより、端末装置3を所持する作業員が倉庫や輸送車両から荷物2を運び出すなど、照度が変わるタイミングにあわせてブロードキャスト発信を行うことができる。
【0035】
また、加速度センサ161による測定値をもとに荷物2の移動を検知した場合に、MPU11は、通信部12によるブロードキャスト発信を行うように制御してもよい。この場合は、端末装置3を所持する作業員が荷物2を移動するタイミングにあわせてブロードキャスト発信を行うことができる。
【0036】
ここで、輸送条件が天地無用である場合のデータロガー1の動作の詳細を説明する。
図7は、実施形態にかかるデータロガー1の動作例を示すフローチャートである。
【0037】
図7に示すように、処理が開始されると、データロガー1のMPU11は、端末装置3による天地無用を輸送条件とする場合の監視条件の設定をもとに、警報/異常発生となる荷物2の限界傾きを取得する(S30)。例えば、MPU11は、荷物2の向きが横倒し状態となる傾きであり、重力軸に対して90度まで傾いた荷物2の傾きを異常発生の限界傾きとする。また、MPU11は、荷物2の向きが倒立状態となる傾きであり、重力軸に一致するまで傾いた荷物2の傾きを警報発生の限界傾きとする。
【0038】
次いで、MPU11は、センサ部16の加速度センサ161により初期静止時におけるXYZ軸の加速度を計測し(S31)、初期静止時におけるXYZ軸の加速度に対する重力軸の傾きを算出する(S32)。
【0039】
図8は、重力軸とXYZ軸との関係を説明する説明図である。
図8において、XYZ軸は加速度センサ161により加速度を計測する3軸である。S32では、加速度センサ161のXYZ軸の重力軸に対する各々の傾き(θ
x,θ
y,θ
z)を求める。
【0040】
例えば、θ
xには、G(9.8)×cos(θ
x)=X軸の加速度計測値の関係がある。したがって、θ
x=arccos((X軸の加速度計測値)/9.8)としてθ
xを求めることができる。θ
xと同様にして、θ
yおよびθ
zを求めることができる。
【0041】
図9は、XYZ軸の加速度値を説明する説明図である。
図9の上段のグラフは、初期静止状態における加速度センサ161のXYZ軸のベース加速度値(Xs,Ys,Zs)を示す。
図9の下段のグラフは、搬送中における各軸のベース加速度値(Xd,Yd,Zd)を示す。
【0042】
図9に示すように、静止状態の場合は、各軸のベース加速度値(Xs,Ys、Zs)が一定であることから、1計測値を用いて重力軸の傾きを算出することができる。これに対し、搬送中の場合は、加速度値が常に変動していると考えられるため、各軸のベース加速度値(Xd,Yd、Zd)は、複数計測結果から求めることとなる。例えば、各軸の複数計測値の集合から中央値との差が最も大きいものを除き、標準偏差(σ)を算出する処理を繰り返す。そして、標準偏差の値が所定の閾値以下になったところで、その集合における中央値をベース加速度値(Xd,Yd、Zd)とする。
【0043】
ここで、初期静止時におけるXYZ軸の加速度(ベース加速度値(Xs,Ys、Zs))に対する重力軸の傾きを(θ
xs,θ
ys,θ
zs)とする。また、搬送中(初期静止時以外)のXYZ軸の加速度(ベース加速度値(Xd,Yd、Zd))に対する重力軸の傾きを(θ
xd,θ
yd,θ
zd)とする。また、正立した状態の荷物2にデータロガー1が添付され、初期静止時における重力軸の傾きが求められているものとする。したがって、荷物2の傾き具合は、各軸において|θ
xd−θ
xs|、|θ
yd−θ
ys|、|θ
yd−θ
ys|として求められる。
【0044】
次いで、MPU11は、RTC機能におけるクロックカウントを開始し(S33)、一定周期待った後に(S34)、加速度センサ161によるXYZ軸の加速度(ベース加速度値(Xd,Yd、Zd))を計測する(S35)。次いで、MPU11は、計測したXYZ軸の加速度に対する重力軸の傾き(θ
xd,θ
yd,θ
zd)を算出する(S36)。
【0045】
次いで、MPU11は、S32の重力軸の傾き(θ
xd,θ
yd,θ
zd)と、S36の重力軸の傾き(θ
xd,θ
yd,θ
zd)とをもとに、荷物2の傾き具合を求める。次いで、MPU11は、荷物2の傾き具合が異常発生となる荷物2の限界傾きとなる、異常発生レベルに傾いたか否かを判定する(S37)。例えば、荷物2の傾き具合が横倒し状態となる向きに傾いたか否かを判定する。
【0046】
異常発生レベルに傾いた場合(S37:YES)、MPU11は、通信部12により異常発生を示すブロードキャスト発信を行う(S38)。例えば、異常発生を示すブロードキャスト発信は、通信部12が無線で送信する送信信号に、異常発生を示すフラグを立てるなどして行う。
【0047】
異常発生レベルに傾いていない場合(S37:NO)、MPU11は、荷物2の傾き具合が警報発生となる荷物2の限界傾きとなる、警報レベルに傾いたか否かを判定する(S39)。例えば、荷物2の傾き具合が倒立状態となる向きに傾いたか否かを判定する。
【0048】
警報レベルに傾いた場合(S39:YES)、MPU11は、通信部12により警報レベルを示すブロードキャスト発信を行う(S40)。例えば、警報レベルを示すブロードキャスト発信は、通信部12が無線で送信する送信信号に、警報レベルを示すフラグを立てるなどして行う。
【0049】
次に、輸送条件が温度・湿度の指定である場合のデータロガー1の動作の詳細を説明する。
図10は、実施形態にかかるデータロガー1の動作例を示すフローチャートである。
【0050】
図10に示すように、処理が開始されると、データロガー1のMPU11は、端末装置3による温度・湿度の輸送条件をもとに、警報/異常発生となる荷物2の温度・湿度範囲を取得する(S50)。例えば、MPU11は、冷蔵(0〜5℃)の場合、5℃≦(温度)<10℃を異常の温度範囲とし、10℃≦(温度)を警報の温度範囲とする。また、湿度50%以下の場合、50%≦(湿度)<70%を異常の湿度範囲とし、70%≦(湿度)を警報の湿度範囲とする。
【0051】
次いで、MPU11は、RTC機能におけるクロックカウントを開始し(S51)、一定周期待った後に(S52)、温度センサ164、湿度センサ165による温度・湿度を計測する(S53)。
【0052】
次いで、MPU11は、計測した温度・湿度範囲が異常発生レベルであるか否かを判定する(S54)。例えば、上述した冷蔵の例では、計測した温度値が5℃≦(温度)<10℃を満たす場合に異常発生レベルとする。同様に、湿度の例では、計測した湿度値が50%≦(湿度)<70%を満たす場合に異常発生レベルとする。
【0053】
測定した温度・湿度範囲が異常発生レベルである場合(S54:YES)、MPU11は、通信部12により温度・湿度の異常発生を示すブロードキャスト発信を行う(S55)。例えば、異常発生を示すブロードキャスト発信は、通信部12が無線で送信する送信信号に、温度・湿度において異常発生を示すフラグを立てるなどして行う。
【0054】
測定した温度・湿度範囲が異常発生レベルでない場合(S54:NO)、MPU11は、測定した温度・湿度範囲が警報レベルであるか否かを判定する(S56)。例えば、上述した冷蔵の例では、計測した温度値が10℃≦(温度)を満たす場合に警報レベルであるとする。同様に、湿度の例では、計測した湿度値が70%≦(湿度)を満たす場合に警報レベルであるとする。
【0055】
測定した温度・湿度範囲が警報レベルである場合(S56:YES)、MPU11は、通信部12により温度・湿度が警報レベルであることを示すブロードキャスト発信を行う(S57)。例えば、警報レベルのブロードキャスト発信は、通信部12が無線で送信する送信信号に、温度・湿度が警報レベルであることを示すフラグを立てるなどして行う。
【0056】
図5に戻り、端末装置3は、異常/警報レベルであることを示すブロードキャスト発信を受けて、LCD32の表示画面上に異常/警報を表示する(S14)。
【0057】
図11は、実施形態にかかる端末装置3の動作例を示すフローチャートである。
図11に示すように、処理が開始されると、端末装置3のAPU30は、データロガー1からのブロードキャス発信の受信待ちとする(S60)。
【0058】
次いで、APU30は、データロガー1からのブロードキャスト発信を受信すると(S61)、ブロードキャスト発信に含まれるフラグ等をもとに、異常の発生か否かを判定する(S62)。
【0059】
異常の発生である場合(S62:YES)、APU30は、ブロードキャスト発信に含まれるロガーIDとともに、荷物2に異常が発生したことをLCD32の表示画面上に表示する(S63)。これにより、作業員は、ロガーIDで示された荷物2に異常が生じたことを認識できる。
【0060】
異常の発生でない場合(S62:NO)、APU30は、ブロードキャスト発信に含まれるフラグ等をもとに、警報か否かを判定する(S64)。
【0061】
警報である場合(S64:YES)、APU30は、ブロードキャスト発信に含まれるロガーIDとともに、荷物2に警報レベルの異常が生じた警告をLCD32の表示画面上に表示する(S65)。これにより、作業員は、ロガーIDで示された荷物2に警報レベルの異常が生じたことを認識できる。
【0062】
なお、S63、S65において、APU30は、ブロードキャスト発信に含まれるロガーIDをもとにサーバ4へ荷物2にかかる情報を問い合わせ、得られた荷物2の情報を表示画面上に表示してもよい。これにより、作業員は、異常/警報レベルの異常が生じた荷物2の詳細を確認できる。
【0063】
図5に戻り、端末装置3のAPU30は、通信部36による通信によりデータロガー1へFRAM15に記録された測定値のデータを要求する。データロガー1のMPU11は、端末装置3からの要求に応じてFRAM15に記録した測定値のデータを読み出し、通信部12により端末装置3へ返信する。これにより、端末装置3は、データロガー1からのデータの読み出しを行う(S15)。
【0064】
また、端末装置3からのデータの読み出し時(S15)において、データロガー1のMPU11は、S13において開始した通信部12によるブロードキャスト発信を終了する。具体的には、データロガー1のMPU11は、端末装置3からの要求に応じてFRAM15に記録した測定値のデータを読み出し、端末装置3へ返信したところで、通信部12によるブロードキャスト発信を終了する。このように、端末装置3によりFRAM15に記録した測定値のデータの確認が行われたところでブロードキャスト発信を終了することで、重複した確認が行われることを防止できる。
【0065】
次いで、端末装置3のAPU30は、S15において読み出したデータをLCD32の表示画面上へ出力する(S16)。これにより、作業員は、FRAM15に記録した測定値のデータから、荷物2に生じた異常/警報レベルの異常の詳細を確認できる。なお、S16において、APU30は、データロガー1より読み出したデータを、ロガーIDを付したうえで通信部36よりサーバ4へ出力してもよい。これにより、サーバ4は、荷物2に生じた異常/警報レベルの異常の詳細を管理できる。
【0066】
データロガー1および端末装置3で行われる各種処理機能は、MPU11またはAPU30等のマイクロ・コンピュータ上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、APU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0067】
また、MPU11またはAPU30等のマイクロ・コンピュータ上で実行されるプログラムは、例えば読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。この読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこのプログラムを記憶させておき、これらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。