(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のカテーテル組立体は、内針をカテーテルから抜去する際に内針先端を覆うセーフティ部材を備えている。しかしながら、特許文献1のカテーテル組立体では、カテーテルからの内針の抜去状態で、ガイドワイヤ先端が内針先端から突出している。このため、セーフティ部材により内針先端を保護した場合でも、ガイドワイヤ先端がセーフティ部材から突出しているため、ガイドワイヤに付着した血液が飛散する可能性がある。また、仮にガイドワイヤ先端をもセーフティ部材で保護しようとすれば、セーフティ部材の全長を長くすることが必要となる。これにより、製品全長が長くなり、ユーザにとって使いづらいものとなる。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ガイドワイヤに付着した血液が飛散することを防止することができるカテーテル組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係るカテーテル組立体は、カテーテルと、前記カテーテルを固定保持するカテーテルハブと、針先を有し、前記カテーテルの内部に離脱可能に挿通された中空状の内針と、前記内針を固定保持する針ハブと、前記内針の内部に挿入され、前記内針に対し相対移動して前記針先から突出可能なガイドワイヤと、前記ガイドワイヤの相対移動を操作するガイドワイヤ操作部材と、前記カテーテルハブの進出に伴って前記針ハブに対し相対的に進出動作して、この進出動作に基づき前記ガイドワイヤの先端を前記針先よりも基端側に移動させる引込部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記によれば、カテーテル組立体は、引込部材を有することにより、カテーテルに対して内針を離脱する際に、ガイドワイヤの先端を内針の針先よりも基端側に自動的に後退させることができる。すなわち、カテーテル組立体は、ガイドワイヤを針先から突出した後、カテーテルハブの進出に伴い引込部材を進出動作させることで、ガイドワイヤの先端を内針内に引き込むことができる。これによりカテーテル組立体は、ガイドワイヤに付着した血液の飛散を防止することができ、穿刺後の機器の取扱(廃棄等)を良好に行うことができる。
【0008】
この場合、前記引込部材には、前記ガイドワイヤが移動自在に配置される可動側ガイド部が設けられ、前記内針又は前記針ハブには、前記ガイドワイヤが移動自在に配置される固定側ガイド部が設けられ、前記引込部材の前進に伴って前記可動側ガイド部と前記ガイドワイヤとが相対変位することにより、前記内針内で前記ガイドワイヤが後退する構成であることが好ましい。
【0009】
このように、引込部材に可動側ガイド部を設け、内針又は針ハブに固定側ガイド部を設けることで、引込部材の進出動作に基づき可動側ガイド部が進出すると、ガイドワイヤが動作することになる。この際、ガイドワイヤは、ガイドワイヤ操作部材に固定された基端と反対側の先端が内針内を摺動することになり、ガイドワイヤの先端を内針内に容易に引き込むことができる。
【0010】
上記構成に加えて、前記可動側ガイド部及び前記固定側ガイド部は、ガイドワイヤが挿通可能な通路であるとよい。
【0011】
このように、可動側ガイド部及び固定側ガイド部をガイドワイヤが挿通可能な通路により構成することで、通路内で無理のないようにガイドワイヤの形状を変えつつ、ガイドワイヤを摺動させることができる。よって、ガイドワイヤの突出及び引き込みを良好に行うことができる。
【0012】
また、前記可動側ガイド部の通路は、入口ポートと出口ポートを有し、前記入口ポートと前記出口ポートは、共に基端方向を向いているとよい。
【0013】
このように、入口ポートと出口ポートが共に基端方向を向いていることで、固定側ガイド部又は内針にガイドワイヤを円滑に導くことができる。また通路として形成されている可動側ガイド部は、ガイドワイヤを内部において円滑に折り返すことができる。
【0014】
さらに、前記可動側ガイド部及び前記固定側ガイド部は、互いに対向し合い且つ前記引込部材の移動方向に沿って直線状に延びるポートを有することが好ましい。
【0015】
これにより、可動側ガイド部と固定側ガイド部は、各々のポート付近で直線状に連通することになり、ガイドワイヤをスムーズに通して、引込部材の進出動作時にガイドワイヤを良好に摺動させることができる。
【0016】
また、前記固定側ガイド部は、相互に独立した第1固定側ガイド部と第2固定側ガイド部とを含み、前記ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤ操作部材から突出して、前記第1固定側ガイド部、前記可動側ガイド部、前記第2固定側ガイド部の順に通されて、前記内針の内部に挿入されることが好ましい。
【0017】
このように、ガイドワイヤが第1固定側ガイド部、可動側ガイド部、第2固定側ガイド部の順に通されて内針の内部に挿入されることで、針ハブと相対的に引込部材が進出動作すると、固定側ガイド部と可動側ガイド部の距離が広がる。これによりガイドワイヤをより一層スムーズに引き込むことができる。
【0018】
さらに、前記ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤ操作部材から突出し所定範囲にわたって剛性を高めた高剛性部と、前記高剛性部の先端に連なって延出し高剛性部より剛性を低めた低剛性部と、を含むとよい。
【0019】
このように、ガイドワイヤが高剛性部を有することで、ガイドワイヤの突出部分基端側の剛性が高まり、ガイドワイヤ操作部材によるガイドワイヤの進出力を低剛性部に確実に伝達することができる。また低剛性部は、針ハブ及び引込部材内をガイド部の形状に沿って変形しつつ摺動して、内針の針先から良好に進出される。
【0020】
ここで、前記引込部材は、前記カテーテルハブの進出に追従して進出し、前記内針を内部に収容するプロテクタの少なくとも一部を構成するとよい。
【0021】
これにより、カテーテル組立体は、従来のカテーテル組立体に設けられたプロテクタを利用してガイドワイヤを内針の針先から引き込むことができ、引込部材として別の構成をカテーテル組立体に設ける必要がなくなる。よってカテーテル組立体の構造を簡素化することができる。
【0022】
この場合、前記プロテクタは、前記内針及び前記カテーテルの穿刺時に、複数の径の異なる筒体を重ねた多重構造を呈し、前記カテーテルハブの進出に伴い前記複数の筒体が前記カテーテルハブの進出方向に段階的に伸長する構成であり、前記引込部材は、前記複数の筒体の一つであることが好ましい。
【0023】
このように、引込部材がプロテクタの複数の筒体の一つであることで、その筒体が針ハブに対し相対移動することにより容易にガイドワイヤを引き込むことができる。
【0024】
またさらに、前記ガイドワイヤ操作部材は、前記針ハブに対する相対的な移動操作に伴い、前記ガイドワイヤを前記針先から突出する構成であるとよい。
【0025】
このように、ガイドワイヤ操作部材の移動操作に伴いガイドワイヤを針先から突出する構成であれば、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材の操作時に針先からのガイドワイヤの突出を感覚的に操作することができ、手技を良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カテーテル組立体は、ガイドワイヤに付着した血液が飛散することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な実施形態(第1及び第2実施形態)をあげ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るカテーテル組立体10は、患者(生体)に輸液や輸血等を行う場合に適用され、患者の体内に穿刺及び留置されて薬液等の導入部となる留置針である。特に、カテーテル組立体10は、医師や看護師等のユーザの作業性向上のため、
図1に示すように、内針12の内部を通してガイドワイヤ20を突出する機能を有し、さらに注射器に似せた形状に形成されている。
【0032】
カテーテル組立体10は、末梢静脈カテーテルや、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)として構成され得る。なお、カテーテル組立体10は、静脈用カテーテルに限らず、末梢動脈カテーテルのような動脈用カテーテルとして構成されてもよい。
【0033】
カテーテル組立体10は、内針12、ハウジング14(針ハブ)、カテーテル16、カテーテルハブ18、ガイドワイヤ20、ガイドワイヤ操作部材22及びプロテクタ24(引込部材)を備える。
【0034】
カテーテル組立体10は、使用前の初期状態で、内針12とカテーテル16が、2重に重なるとともに内針12内の針先12aの基端側までガイドワイヤ20を挿入して、カテーテルハブ18の先端から突出している。また、ハウジング14は、カテーテルハブ18を係止したプロテクタ24を先端側に挿入する一方で、ガイドワイヤ操作部材22を基端側に挿入している。なお、内針12は軸方向に沿って溝部が設けられてもよい。
【0035】
ユーザは、カテーテル組立体10の使用時に、ハウジング14を把持して、内針12及びカテーテル16の先端を患者の血管(静脈又は動脈)内に穿刺する。さらにユーザは、この穿刺状態を維持したまま、
図2に示すように、ハウジング14に対してガイドワイヤ操作部材22を先端方向に進出操作することで、針先12aからガイドワイヤ20を突出させる。針先12aから吐出したガイドワイヤ20は、血管に沿って進入する。
【0036】
その後、ユーザは、ハウジング14に対してカテーテルハブ18を相対的に進出させることで、カテーテル16を、内針12よりも先端側(つまり、血管の奥部)にさらに進入させていく。この際、カテーテル16は、先行して血管内に進入したガイドワイヤ20に沿って血管内に挿入されていく。
【0037】
カテーテルハブ18の進出動作(又はカテーテルハブ18に対するハウジング14の相対的な後退動作)を続けると、
図3に示すように、カテーテルハブ18を保持しているプロテクタ24が伸長する。ここで、本カテーテル組立体10は、カテーテルハブ18の進出動作時に、針先12aから突出したガイドワイヤ20を自動的に後退させて内針12の内部(すなわち、プロテクタ24内)に収容する構成となっている。
【0038】
そして、カテーテル組立体10は、進出動作が継続してプロテクタ24が軸方向に充分に長くなることで内針12を収容する。これによりプロテクタ24は、外部への内針12の露出を防いで誤刺や血液汚染等を防止する。またプロテクタ24は、カテーテルハブ18の保持を解除して、カテーテル16及びカテーテルハブ18を患者に留置させる。以下、このカテーテル組立体10について、具体的に説明していく。
【0039】
図1及び
図4に示すように、カテーテル組立体10の内針12は、患者の皮膚を穿刺可能な剛性を有する中空状の管体に構成される。内針12の先端には鋭利な針先12aが形成されている。内針12の内部には、軸方向に沿って貫通孔28が設けられ、この貫通孔28は、針先12aに設けられた先端開口28aと、内針12の基端に設けられた基端開口28b(
図5参照)とに連通している。なお、内針12には、軸方向に溝部が設けられていてもよい。
【0040】
内針12の基端は、適宜の固着方法(融着、接着、インサート成形等)により、ハウジング14に強固に固着される。内針12の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、硬質樹脂、セラミックス等があげられる。本実施形態では、内針12の基端は、ハウジング14に直接接続されているが、針保持部材等の別部材を介して接続されてもよい。
【0041】
ハウジング14は、ユーザが把持操作し易い太さと長さの筒状に形成される。なお、ハウジング14は、本実施形態において断面長方形状の角筒に形成されているが、これに限定されず、例えば円筒に形成されてもよい。ハウジング14の基端側外周面には、ユーザが指をかけるための引掛部30が設けられている。
【0042】
ハウジング14は、カテーテル組立体10の各部材を組み付けた状態で収容する内部空間を有するが、その軸方向中間部には中実部32(
図5参照)が設けられ、内部空間は、中実部32を挟んで先端側空間34と基端側空間36に分割される。先端側空間34及び基端側空間36は、ハウジング14の外観に応じて、断面視で角部が丸い長方形状に形成されている。
【0043】
先端側空間34は、ハウジング14の先端開口34aに連通し、カテーテルハブ18及びプロテクタ24の一部を収容する。先端開口34aを構成する内面には、プロテクタ24の離脱を規制するハウジング側内凸部38が設けられている。内針12は、ハウジング14の中実部32の中心部(軸心)に保持され、ハウジング14の軸方向に沿って延び、先端開口34aから外部に突出している。一方、基端側空間36は、ハウジング14の基端開口(図示せず)に連通し、ガイドワイヤ操作部材22を部分的に収容する。
【0044】
ハウジング14は、ユーザが操作し易いように比較的硬質な材料により構成されることが好ましい。ハウジング14の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を好適に用いるとよい。
【0045】
カテーテル組立体10のカテーテル16は、内針12よりも可撓性を有する管体に形成される。カテーテル16の内部には、内針12を収容するとともに、薬液や血液等を流動可能な内腔40が軸方向に沿って貫通形成されている。このカテーテル16は、上述したようにショートタイプに形成されている。この場合、カテーテルハブ18からの突出長さが3インチ(又は7.62cm)未満に設定される。カテーテル16は、ショートタイプに限らず、より長いカテーテルに形成されてもよい。
【0046】
カテーテル16の構成材料は、特に限定されるものではないが、軟質樹脂材料が好適であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、前記オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等があげられる。
【0047】
カテーテル16の基端部は、適宜の固着方法(かしめ、融着、接着等)によってカテーテルハブ18内の先端部に固着される。カテーテルハブ18は、カテーテル16が血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル16とともに留置される。
【0048】
カテーテルハブ18は、カテーテル16よりも硬質な材料によって、先端方向に先細りの筒状に形成される。このカテーテルハブ18は、例えば、ハウジング14であげた材料を適宜採用して構成するとよい。カテーテルハブ18の基端側には、図示しない輸液チューブのコネクタが接続される。
【0049】
図4及び
図5に示すように、カテーテルハブ18の内部には、カテーテル16の内腔16aに連通して輸液剤を流通可能な中空部18aが設けられている。この中空部18aには、内針12の穿刺時に血液の逆流を防ぐとともに、輸液チューブのコネクタの挿入に伴い輸液を可能とする、図示しない止血弁やプラグ等が収容されてもよい。また、カテーテルハブ18の基端側外周面には、リング状のフランジ部44が突出形成されている。
【0050】
プロテクタ24は、複数(本実施形態では4つ)の筒体を有し、初期状態で、各筒体が同軸上に重なって短縮状態(多重構造)を呈しハウジング14の先端側空間34に収容される。またこの状態では、プロテクタ24の先端部がカテーテルハブ18を係止している。カテーテル16から内針12を離脱(抜去)する際には、各筒体が段階的に先端方向に延びて伸長し、その内部に内針12を収容するとともに(
図3も参照)、プロテクタ24の先端部がカテーテルハブ18の係止を解除する。以下、伸長時に先端に位置する筒体から順に、内筒46、外筒48、第1中継筒50、第2中継筒52という。
【0051】
プロテクタ24の内筒46は、空洞部64が形成されたブロック収容部54と、空洞部64内に移動可能に収容されたブロック部材66と、ブロック収容部54から先端方向に短く突出する頭部60と、ブロック収容部54の両側面から先端方向に突出し且つ弾性変形可能な一対の係合アーム62と、ブロック収容部54から基端方向に突出した第1延在筒部56とを有する。
【0052】
ブロック部材66は、初期状態で、空洞部64を通る内針12により上方向の変位が規制されて空洞部64の下側に配置されており、ブロック部材66と、外筒48に設けられた図示しない傾斜したガイド面との当接作用下に、内筒46が外筒48に対して先端方向に相対移動することを阻止している。カテーテル16からの内針12の抜去に伴って内針12の先端がブロック部材66よりも基端側に移動すると、ブロック部材66が上昇可能となることで内筒46が外筒48に対して先端方向に相対移動可能となる。そして外筒48に対し内筒46が相対的に進出すると、ブロック部材66は、外筒48の上記ガイド面にガイドされて上方向に移動し適宜の高さで係止される。このブロック部材66は、係止位置で、第1延在筒部56内に収容された針先12aに対向し、これによりプロテクタ24の先端からの内針12の露出を防止する。
【0053】
頭部60は、カテーテルハブ18の中空部18aに着脱自在に挿入及び嵌合される。また、一対の係合アーム62は、先端がカテーテルハブ18のフランジ部44に係合した状態で外筒48の先端部(後記の先端ケース部72)に収容されており、開くことが阻止されている。内筒46が外筒48に対して先端方向に相対移動すると、係合アーム62が外筒48の先端部から突出するとともに開くことで、カテーテルハブ18に対する係合アーム62の係合が解除され、内筒46を含むプロテクタ24がカテーテルハブ18から離脱可能となる。
【0054】
第1延在筒部56は、内針12を摺動自在に収容するように貫通形成されて、空洞部64に連通する内筒側収容空間56aを有する。また、第1延在筒部56の上部には外筒48の長孔74bに挿入される突起70が設けられている。
【0055】
外筒48は、先端と上部が開放された箱状に形成された先端側の先端ケース部72と、先端ケース部72から基端方向に延在する第2延在筒部74とを有する。先端ケース部72は、初期状態で、内筒46のブロック収容部54及び一対の係合アーム62、並びにブロック部材66を収容する。
【0056】
第2延在筒部74は、第1延在筒部56を摺動自在に収容するように貫通形成され、先端ケース部72の空間に連通する外筒側収容空間74aを有する。第2延在筒部74の基端側外周面には、外側に向かって外筒側外凸部78が突出形成されている。また、第2延在筒部74の上部には、外筒側収容空間74aに連通する長孔74bが形成されている。長孔74bは、第1延在筒部56の突起70を配置し、内筒46の進出時に外筒48からの抜けを防止する。
【0057】
第1中継筒50は、第2延在筒部74を摺動自在に収容するように貫通形成された第1中継筒側収容空間50aを備える。第1中継筒側収容空間50aの先端側内周面には、内側に向かってリング状の第1中継筒側内凸部80が突出形成されている。第1中継筒側内凸部80は、離脱時に外筒48が第1中継筒50に対し相対的に進出した際に、外筒側外凸部78を引っ掛けて抜けを防止する。また、第1中継筒50の基端側外周面には、外側に向かって第1中継筒側外凸部82が突出形成されている。
【0058】
第2中継筒52は、第1中継筒50を摺動自在に収容するように貫通形成された第2中継筒側収容空間52aを備える。第2中継筒52の第2中継筒側収容空間52aの先端側内周面には、内側に向かってリング状の第2中継筒側内凸部84が突出形成されている。第2中継筒側内凸部84は、離脱時に第1中継筒50が第2中継筒52に対し相対的に進出した際に、第1中継筒側外凸部82を引っ掛けて抜けを防止する。
【0059】
また、第2中継筒52の基端側外周面には、
図4及び
図6に示すように、一対の耳部86が一体成形されている。一対の耳部86は、第2中継筒52の幅方向外側に突出し、且つ第2中継筒52の外周面上を周方向に沿って所定長さ延びる円弧状のブロックとなっている。一対の耳部86は、離脱時に第2中継筒52がハウジング14に対し相対的に進出した際に、ハウジング14のハウジング側内凸部38に引っ掛かる。これにより、第2中継筒52(すなわちプロテクタ24)は、ハウジング14からの抜けが防止される。
【0060】
さらに、一対の耳部86のうちの一方は、ハウジング14内に挿入されたガイドワイヤ20が通される可動側通路88(可動側ガイド部)を有している。可動側通路88は、ガイドワイヤ20の外径(小径部20b)よりも僅かに大きな直径に形成され、ガイドワイヤ20を摺動自在に配置する。
【0061】
この可動側通路88は、耳部86の基端面に設けた2つのポート(上側位置の上側ポート88a(入口ポート)、及び上下方向中間位置の中間側ポート88b(出口ポート))に連通する経路に形成される。すなわち、可動側通路88は、耳部86の内部において、上側ポート88aから先端方向に直線状に延びて、所定位置でU字状の可動側折り返し部88cを通って折り返し、さらに基端方向に直線状に延びて中間側ポート88bに至っている。上側ポート88a及び中間側ポート88bは、ハウジング14の中実部32に形成された固定側通路90に対向している。
【0062】
つまり、
図7に示すように、ハウジング14の中実部32にも、ガイドワイヤ20が通される固定側通路90(固定側ガイド部)が設けられている。なお、
図7では固定側通路90を分かり易くするため、ハウジング14の一部(主に中実部32)を空間的に示し、固定側通路90を筒状で示している(以下、
図8及び
図9も同様)。この固定側通路90は、上側ポート88aに対向する位置で直線状に延在する第1固定側通路92と、中間側ポート88bに対向する位置に一方のポートを有する第2固定側通路94とに分かれる。
【0063】
第1固定側通路92は、平面断面視で、中実部32の幅方向外側寄りで、ハウジング14の軸方向に対し平行に延在する。第1固定側通路92は、中実部32の基端面に設けられた基端ポート92a、及び中実部32の先端面に設けられた先端ポート92bに連通する。第1固定側通路92の基端ポート92aから中実部32内の先端付近までの大部分は、太めの直径を有する太孔93aに形成されている。また太孔93aから先端ポート92bまでの小部分は、太孔93aよりも小径の細孔93bに形成されている。細孔93bは、可動側通路88の直径と同径である。
【0064】
第2固定側通路94は、中実部32の上下方向中間部に設けられる。第2固定側通路94は、中実部32の先端面において、可動側通路88の中間側ポート88bの対向位置に設けられた横側ポート94aに連通している。第2固定側通路94は、横側ポート94aから基端方向に直線状に延びて、所定位置でU字状の固定側折り返し部94bを通って折り返し、その折り返し部分の端部が中実部32の軸心に位置している。中実部32の軸心部には、上述したように内針12の基端が挿入及び保持されている。つまり、第2固定側通路94は、横側ポート94aから内針12の貫通孔28の基端開口28bに至る経路に形成されている。
【0065】
可動側通路88及び固定側通路90に通されるガイドワイヤ20は、ハウジング14に収容されるガイドワイヤ操作部材22に固着保持される。ガイドワイヤ操作部材22は、ハウジング14の形状に対応してシリンジの押し子に模した形状に形成されている。具体的には、角部が丸い断面四角状に形成され軸方向に長尺なロッド96と、ロッド96の基端側外周面から径方向外側に突出する操作板98とを備える。ロッド96は、基端側空間36を気密に閉塞せず(所謂、ガスケットを備えず)、基端側空間36に対し摺動自在に挿入される。なお、ガイドワイヤ操作部材22は基端側空間36のエアを抜く空気路を備えていてもよい。
【0066】
ガイドワイヤ操作部材22の構成材料としては、ハウジング14であげた材料を適宜採用するとよい。ロッド96の先端側は、中実状に形成され、空洞状に形成されたワイヤ固着部96aによりガイドワイヤ20を固着保持している。ワイヤ固着部96aは、ロッド96先端面の所定の角部近くにおいて、ロッド96の軸方向に平行且つ直線状に延びており、この形成箇所の先端方向には第1固定側通路92(基端ポート92a)が対向配置される。
【0067】
ガイドワイヤ20は、初期状態で、ガイドワイヤ操作部材22の先端面からハウジング14内の適宜の経路を通って内針12の針先12a付近(針先12aよりも基端側)に位置する長さに設定される。詳細には、ガイドワイヤ20は、ハウジング14の基端側空間36、中実部32の第1固定側通路92、プロテクタ24の可動側通路88、中実部32の第2固定側通路94、内針12の貫通孔28の順に挿通する。換言すれば、ガイドワイヤ20は、三次元的に2回折り返すS字状の経路を介して、貫通孔28に挿入されている。
【0068】
また、ガイドワイヤ20は、外径の異なる2つの部位(大径部20aと小径部20b)を有している。大径部20aは、ワイヤ固着部96a及びガイドワイヤ操作部材22から突出した基端側の所定範囲に設けられる。大径部20aの全長は、ガイドワイヤ操作部材22の操作距離に応じて(ハウジング14の太孔93aに対応して)設定され、小径部20bに比べて充分に短い。この大径部20aは、ガイドワイヤ20の基端側の剛性を高めた高剛性部となっており、ガイドワイヤ操作部材22からガイドワイヤ20を直線状に延出させ、ガイドワイヤ20の進出時の移動力をガイドワイヤ20に確実に伝達する。
【0069】
一方、小径部20bは、大径部20aよりも細く形成されて、大径部20aの先端に連なり最先端まで連続している。この小径部20bは、大径部20aよりも剛性が低い低剛性部となっているため、上述したS字の経路や血管内に良好に挿入される。
【0070】
本実施形態に係るカテーテル組立体10は基本的には以上のように構成され、以下その作用効果について説明する。
【0071】
カテーテル組立体10は、上述したように、患者への輸液の導入部を構築する際に用いられる。初期状態では、
図1に示すように、ハウジング14の先端側空間34にプロテクタ24を収容して、このプロテクタ24がカテーテルハブ18を係止している。内針12は、ハウジング14内でプロテクタ24、カテーテルハブ18、及びカテーテル16の内腔40を通って針先12aを露出している。
【0072】
より具体的には、内筒46の頭部60にカテーテルハブ18が装着され、外筒48の先端ケース部72に押圧された一対の係合アーム62が、カテーテルハブ18のフランジ部44を引っ掛けて係止している。またプロテクタ24は、
図5に示すように、内筒46の第1延在筒部56、外筒48の第2延在筒部74、第1中継筒50及び第2中継筒52が重なり、各筒の基端がハウジング14の中実部32の先端面に接触(又は近接)している。
【0073】
そのため、
図7に示すように、ハウジング14内では、可動側通路88の上側ポート88aと第1固定側通路92の先端ポート92bが接触(又は近接)している。また可動側通路88の中間側ポート88bと第2固定側通路94の横側ポート94aも接触(又は近接)している。よって、ガイドワイヤ操作部材22から突出するガイドワイヤ20は、基端側空間36を通った後、第1固定側通路92、可動側通路88、第2固定側通路94に順次挿入される。さらにガイドワイヤ20は、第2固定側通路94から内針12の貫通孔28に挿入され、その先端が内針12の針先12aの基端側付近に位置している(
図1も参照)。
【0074】
またガイドワイヤ操作部材22は、中実部32の基端面から基端方向に間隔をあけて配置される。初期状態では、ガイドワイヤ20の大径部20aが、基端側空間36を通って第1固定側通路92に若干だけ挿入されている。一方、中実部32及びプロテクタ24の耳部86の各通路内には、ガイドワイヤ20の小径部20bが挿通されている。
【0075】
このカテーテル組立体10の使用において、ユーザは、ハウジング14を把持操作して、内針12及びカテーテル16の先端を患者の体表から血管内に穿刺する。この穿刺状態で、ユーザは、ハウジング14と相対的にガイドワイヤ操作部材22を先端方向に進出させる。この操作により、
図8に示すように、基端側空間36では、ガイドワイヤ操作部材22の先端面が中実部32に向かって進出する。この際、ガイドワイヤ20の大径部20aは、縒れることなく基端側空間36、第1固定側通路92を直線状に進出する。このため、ガイドワイヤ20の小径部20bに進出力がスムーズに伝達され、小径部20bは、第1固定側通路92、可動側通路88、第2固定側通路94及び貫通孔28を摺動し、その先端が針先12aから送出される(
図2も参照)。
【0076】
ここで、第1固定側通路92と可動側通路88は、中実部32と耳部86の境界付近(互いに対向し合う先端ポート92bと上側ポート88aのある程度の範囲)を軸方向に直線状に延びている。同様に、可動側通路88と第2固定側通路94も、中実部32と耳部86の境界付近(互いに対向し合う中間側ポート88bと横側ポート94aのある程度の範囲)を直線状に延びている。これにより、ガイドワイヤ20は、中実部32と耳部86の境界で真っ直ぐに延在することになり、第1固定側通路92、可動側通路88、第2固定側通路94の各間を円滑に摺動することができる。
【0077】
ガイドワイヤ20を針先12aから突出した後、ユーザは、カテーテル16及びカテーテルハブ18をハウジング14と相対的に進出(ハウジング14の基端方向への後退も含む)させる。これにより、カテーテル16がガイドワイヤ20に沿って血管の奥部に挿入し、またカテーテルハブ18の進出動作に伴い、プロテクタ24は軸方向に伸長していく。プロテクタ24の伸長時には、先ずハウジング14との接触箇所が少ない第2中継筒52が先端方向への進出を開始する。
【0078】
図9に示すように、カテーテル組立体10は、第2中継筒52が先端方向に進出すると、中実部32と耳部86の間(すなわち固定側通路90と可動側通路88)の距離が広がり、この間をガイドワイヤ20が先端及び基端方向に往復する。この場合、ガイドワイヤ20は、基端部がガイドワイヤ操作部材22に固定されているので、自由状態となっている先端が貫通孔28内を基端方向に移動する。すなわち、ガイドワイヤ20が第1固定側通路92、可動側通路88、第2固定側通路94の順に通されることで、プロテクタ24の進出に伴いガイドワイヤ20が第2固定側通路94に向かって容易に移動する。これにより、ガイドワイヤ20の先端は、内針12の針先12aよりも基端側に後退して非露出状態となる。
【0079】
図3に示すように、カテーテル組立体10は、プロテクタ24の進出動作の継続により、内筒46、外筒48、第1中継筒50、第2中継筒52が先端方向に進出して、内針12をプロテクタ24内に収容する。この際、内筒46が外筒48よりも先端方向に進出することで、一対の係合アーム62が先端ケース部72から抜けてカテーテルハブ18の係合を解除し、プロテクタ24とカテーテルハブ18の離脱を行う。内筒46の進出時には、ブロック部材66が空洞部64内を上方向に移動して内針12の針先12aに対向する位置で係止されることで、内針12の露出を防止する。この際、ガイドワイヤ20が針先12aよりも基端側に後退しているので、ブロック部材66をスムーズに移動させ得る。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るカテーテル組立体10は、内針12とカテーテル16の離脱時におけるプロテクタ24の進出動作により、内針12の針先12aよりも内側にガイドワイヤ20の先端を自動的に後退させることができる。これにより、カテーテル組立体10は、内針12を患者から抜去する際に、ガイドワイヤ20が非露出状態となり、ガイドワイヤ20に付着した血液の飛散を防止して、カテーテル組立体10の取扱(廃棄等)を良好に行うことができる。
【0081】
この場合、ガイドワイヤ20が、可動側通路88及び固定側通路90を通るように配置されることで、プロテクタ24の進出動作によりガイドワイヤ20の先端を簡単に引き込むことができる。これに加えて、カテーテル組立体10は、可動側ガイド部及び固定側ガイド部をガイドワイヤ20が挿通可能な通路により構成することで、通路内で無理のないようにガイドワイヤ20の形状を変えつつ、ガイドワイヤ20を摺動させることができる。よって、ガイドワイヤ20の突出及び引き込みを良好に行うことができる。また、可動側通路88と固定側通路90は、各々のポート付近で直線状に連通するので、ガイドワイヤ20をスムーズに通して、プロテクタ24の進出動作時にガイドワイヤ20を良好に摺動させる。さらに、カテーテル組立体10は、ガイドワイヤ20が大径部20aを有することで、ガイドワイヤ20の突出部分基端側の剛性が高まる。このため、ガイドワイヤ操作部材22による進出操作によって、ガイドワイヤ20を内針12の針先12aから良好に進出させることができる。なお、本実施形態では、ガイドワイヤ20に大径部20aと小径部20bを設ける構成としたが、これに限定されず、高剛性部と低剛性部が存在する構成であればよい。ガイドワイヤ20の剛性の変化は、例えば、断面形状、材料等を変化させることで実現できる。また、追加で補強部材等を付加することでも実現できる。
【0082】
さらに、カテーテル組立体10は、従来のカテーテル組立体に設けられたプロテクタ24を利用してガイドワイヤ20を引き込むので、引込部材として別の構成をカテーテル組立体10に別に設ける必要がなくなる。よって、カテーテル組立体10の構造を簡素化することができる。この場合、ガイドワイヤ20が、最も大径の第2中継筒52に通されることで、ハウジング14に対する第2中継筒52の相対移動により容易にガイドワイヤ20を引き込むことができる。また第2中継筒52は、他の筒体(内筒46、外筒48、第1中継筒50)の最も外側に設けられるため、ガイドワイヤ20が絡まることを抑制して、プロテクタ24を円滑に伸長させることができる。
【0083】
また、カテーテル組立体10は、ガイドワイヤ操作部材22がハウジング14の基端側に挿入されて、進出操作(移動操作)に伴いガイドワイヤ20を針先12aから突出する構成となっている。これにより、ユーザは、ガイドワイヤ20の突出を感覚的に操作することができ、手技を良好に行うことができる。
【0084】
また、上述のカテーテル組立体10は、可動側通路88を有するプロテクタ24がハウジング14に対して相対移動するように構成されることで、ハウジング14内に収容されているガイドワイヤ20を適切に動作させることができる。すなわち、ガイドワイヤ20を針先12aから突出した後、可動側通路88を相対移動させることで、ガイドワイヤ20の先端を内針12内に良好に引き込むことができる。これによりカテーテル組立体10は、ガイドワイヤ20に付着した血液の飛散を防止できる。
【0085】
なお、本発明に係るカテーテル組立体10は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の応用例及び変形例をとり得る。例えば、ガイドワイヤ操作部材22から突出したガイドワイヤ20は、固定側通路90を通らずに可動側通路88に先に挿入され、可動側通路88を通った後に固定側通路90を通って内針12の貫通孔28に挿入されてもよい。また、固定側ガイド部は、ハウジング14に設けられるだけでなく、内針12自体に設けてもよい。さらに、可動側及び固定側ガイド部は通路に限定されるものではなく、例えばガイドワイヤ20が摺動可能に引っ掛けられるフック等でもよい。またさらに、引込部材は、プロテクタ24と別に、カテーテルハブ18の進出又はハウジング14の後退に追従する部材によって構成してもよい。
【0086】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るカテーテル組立体110について説明する。なお、後述の実施形態において、第1実施形態と同一の参照符号は同一の構成又は同一の機能を有するものとし、以下、その詳細な説明を省略する。
【0087】
図10及び
図11に示すように、カテーテル組立体110は、カテーテル116の全長が比較的長い留置針(所謂、ミッドラインカテーテル)に構成される。カテーテル116の長さは、例えば、20〜500mm程度に設定され、あるいは30〜400mm程度に設定され、あるいは100〜300mm程度に設定される。また、カテーテル組立体110は、ガイドワイヤ操作部材122を基端方向に後退操作して、ガイドワイヤ120を内針112の針先112aから進出させる点で、第1実施形態に係るカテーテル組立体10と異なる。
【0088】
この場合、カテーテル組立体110のカテーテルハブ118は、長尺なカテーテル116の基端部を固着保持している。またカテーテルハブ118の外周面には、カテーテル操作部材119が回転自在に取り付けられる一対の接続片118aが形成されている。
【0089】
カテーテル操作部材119は、ユーザがカテーテル116及びカテーテルハブ118の進退を操作するため、カテーテルハブ118の上側に取り付けられる。カテーテル操作部材119は、軸方向に延在する胴部が平板状に形成され、一対の接続片118aに着脱可能な一対の接続突起119aを基端部に有する一方、ユーザが摘むための操作突片119bを先端上部に有する。
【0090】
カテーテル組立体110のハウジング114(針ハブ)は、内部空間130aを有するハウジング本体130と、内針112を保持し内部空間130a内に配置される針保持部132と、内部空間130aの上側を覆う蓋体134とを含む。内部空間130aには、初期状態で、内針112とカテーテル116の一部、カテーテルハブ118、カテーテル操作部材119、ガイドワイヤ120、ガイドワイヤ操作部材122及びプロテクタ124が収容される。
【0091】
ハウジング本体130は、下壁136及び後壁138、一対の側壁140によって細長い椀状を呈し、その内側に内部空間130aを形成している。下壁136の先端側は、先端方向に向かって緩やかに上方に傾斜し内部空間130aを浅くしている。下壁136の上面には、プロテクタ124の相対的な移動を案内する図示しないガイド溝が設けられている。
【0092】
後壁138及び一対の側壁140は、下壁136の側辺から上方向に突出して、その上辺が同一の高さに形成されている。一対の側壁140の内側で前後方向中央部よりも若干先端側には、ガイドワイヤ操作部材122を案内するレール142が各々設けられている。初期状態で、カテーテル操作部材119は、このレール142の下側に配置される。
【0093】
そして、一対のレール142のうち一方の基端側には、幅方向内側に向かって突出する帯状ブロック144が連設されている。帯状ブロック144は、ハウジング本体130の軸方向に沿って所定長さ延びるとともに、その基端側に下方向に幅広になった矩形ブロック146を有する。また帯状ブロック144の内部には、第1固定側通路148(固定側通路147の一方:
図15参照)が設けられている。
【0094】
第1固定側通路148は、帯状ブロック144の先端に設けられた先端ポート148aから基端方向に向かって直線状に延び、矩形ブロック146においてU字状の固定側折り返し部148cにより先端方向に折り返している。この第1固定側通路148の折り返し部分は、矩形ブロック146の先端面に設けられた基端ポート148bに連通している。第1固定側通路148は、第1実施形態と同様に、先端ポート148aから所定範囲にわたって太孔149aを有するとともに、この太孔149aの基端側に細孔149bが連なっている。
【0095】
一方、針保持部132は、起立片部150と、この起立片部150から直交する方向に突出する横片部152とを有し、正面視でT字状に形成されている。
図13に示すように、針保持部132は、起立片部150の上下方向中央部に内針112の基端部を挿入し固着している。そして起立片部150の下部がハウジング本体130の下壁136に固定されている。一方、横片部152の内部には、起立片部150に固着され内針112の貫通孔128に連通する第2固定側通路154が設けられている。
【0096】
第2固定側通路154は、横片部152の先端面に形成された横側ポート154aに連通し、横側ポート154aから基端方向に直線上に延びて、所定位置でU字状の固定側折り返し部154bで折り返している。この第2固定側通路154の折り返し部分の端部は、起立片部150の内針112に達している。そして内針112の側壁には、貫通孔128に連なる側孔129が設けられており、この側孔129は、第2固定側通路154に対向することで、貫通孔128と第2固定側通路154を連通させる。
【0097】
カテーテル組立体110は、初期状態で、この針保持部132の先端位置にプロテクタ124を配置している。プロテクタ124は、内筒156、可動部材158、第1中継筒160及び第2中継筒162を有し、軸方向に伸縮可能なテレスコープタイプに形成されている。この場合、内筒156及び可動部材158は、第1実施形態の内筒46及びブロック部材66と同様の機能を有するが、一対の係合アーム62の幅方向内側への押さえは、ハウジング本体130の側壁140が代替している。そのため、第1実施形態の外筒48がなく、第1中継筒160が第1実施形態の第1中継筒50と同様に構成され、第2中継筒162が第1実施形態の第2中継筒52と同様に構成される。
【0098】
図14に示すように、第2中継筒162は、第1中継筒160を収容する中継筒側収容空間162aを有する。第2中継筒162の外周面には、複数のガイド突部164a、164bが上下方向外側に突出形成されるとともに、一対の延在突部166が幅方向外側に突出形成される。上側の一対のガイド突部164aは、蓋体134の下面に形成された図示しない突条部にガイドされる。下側の一対のガイド突部164bは、ハウジング本体130の図示しない案内溝に挿入及びガイドされ、ハウジング114に対し第2中継筒162が進出した際に案内溝の先端縁にぶつかることで、ハウジング114からの第2中継筒162の抜けを防止する。
【0099】
一対の延在突部166は、第2中継筒162の軸方向に沿って延在し、その先端側に上方向に幅広な矩形部168を備える。そして、一対の延在突部166のうち一方には、可動側通路170(固定側通路147の他方)が設けられる。
【0100】
可動側通路170は、矩形部168の基端面に形成された上側ポート170aと、第2中継筒162の基端まで延びた延在突部166の基端面に形成された中間側ポート170bとの間を連通している。具体的に、可動側通路170は、上側ポート170aから先端方向に向かって直線状に若干延び、所定位置でU字状の折り返し部170cにより折り返し、さらに基端方向に向かって直線状に延びて中間側ポート170bに至っている。可動側通路170の直径は、第1固定側通路148の細孔149bの直径に一致している。
【0101】
カテーテル組立体110は、初期状態で、ハウジング114の内部空間130aの基端側に第2中継筒162が配置されることで、ガイドワイヤ120を非露出状態で内針112の貫通孔28内に導く経路を形成している。すなわち初期状態では、帯状ブロック144の矩形ブロック146と、延在突部166の矩形部168が互いに接触することで、第1固定側通路148の基端ポート148bと可動側通路170の上側ポート170aが連通している。また、第2中継筒162の延在突部166と針保持部132が互いに接触することで、可動側通路170の中間側ポート170bと第2固定側通路154の横側ポート154aが連通している。帯状ブロック144と延在突部166、延在突部166と帯状ブロック144の各境界付近では、固定側通路147と可動側通路170がカテーテルハブ118の移動方向に直線状に延在していることで、ガイドワイヤ120の摺動が円滑化される。
【0102】
図10及び
図11に戻り、ガイドワイヤ操作部材122は、初期状態で、カテーテル操作部材119の上面に配置される。このガイドワイヤ操作部材122は、先端側にカテーテル操作部材119に載置される操作板部172を有し、この操作板部172には基端方向に延びる一対の延在部174が連なっている。また操作板部172の先端には、ガイドワイヤ操作部材122を操作するための操作突片122aが突出形成されている。
【0103】
一対の延在部174の一方は、延在部174の軸方向に直線状のワイヤ固着部174aを有し、このワイヤ固着部174aはガイドワイヤ120を挿入及び固着している。ガイドワイヤ120は、初期状態で、延在部174の基端から基端方向に延びて、第1固定側通路148に挿入される。このガイドワイヤ120は、第1実施形態と同様に、大径部120aと小径部120bを有する。ガイドワイヤ120は、第1固定側通路148、可動側通路170、第2固定側通路154の順に通されて、さらに第2固定側通路154から内針112の側孔129を介して貫通孔128内に挿入されて、針先112aの基端側まで延びている。
【0104】
第2実施形態に係るカテーテル組立体110は、基本的には以上のように構成され、以下その作用効果について説明する。
【0105】
ユーザは、カテーテル組立体110の使用時に、ハウジング114を把持操作して、内針112とカテーテル116の先端を患者の体表から血管に穿刺する。この穿刺状態で、ユーザは、ハウジング114に対しガイドワイヤ操作部材122を相対的に基端方向に後退させる。この操作により、
図16に示すように、ガイドワイヤ120の大径部120aも基端方向に向かって移動し、第1固定側通路148の奥部に進入していく。このため、ガイドワイヤ120の小径部120bが、第1固定側通路148、可動側通路170、第2固定側通路154及び貫通孔128を摺動し、その先端が針先112aから送出される。
【0106】
ガイドワイヤ120の突出後、ユーザは、カテーテル操作部材119を把持して先端方向に押し出すことで、カテーテル116及びカテーテルハブ118をハウジング114と相対的に進出(ハウジング114の相対的な後退も含む)させる。これにより、カテーテル116がガイドワイヤ120に沿って血管の奥部に進入し、またカテーテルハブ118の進出動作に伴い、プロテクタ124が軸方向に伸長していく。
【0107】
そして、カテーテル組立体110は、第2中継筒162の進出に基づきガイドワイヤ120の先端を基端方向に自動的に後退させる。すなわち、
図17に示すように、第2中継筒162の延在突部166が先端方向に進出すると、針保持部132とプロテクタ124の間の距離が長くなり、この間をガイドワイヤ120が先端及び基端方向に往復することになる。これにより、ガイドワイヤ120の自由状態となっている先端が貫通孔128内を基端方向に移動し、内針112の針先112aよりも基端側に後退して非露出状態となる。
【0108】
カテーテル組立体110は、プロテクタ124の伸長により内針112をプロテクタ124の内部に収容する。この際、内筒156がハウジング114よりも先端方向に進出することで、一対の係合アーム62がカテーテルハブ118の係合を解除し、プロテクタ124とカテーテルハブ118の離脱を行う。内筒156の進出時には、可動部材158が空洞部64内を上方向に移動し内針112の針先112aに対向する位置で係止されることで、内針112の露出を防止する。この際、ガイドワイヤ120が内針112の針先112aよりも基端側に後退しているので、可動部材158をスムーズに移動させることができる。
【0109】
以上のように、第2実施形態に係るカテーテル組立体110でも、第1実施形態に係るカテーテル組立体10と同様の効果を得ることができる。また、カテーテル組立体110は、ミッドラインタイプに形成され、ガイドワイヤ操作部材122の後退操作に伴いガイドワイヤ120を針先112aから突出する構成となっている。これによりユーザは、穿刺時にカテーテル組立体110を把持している先端側付近において、ガイドワイヤ120の進出操作を簡単に行うことができる。
【0110】
上述した実施形態において、ガイドワイヤ20、120の基端部は、ガイドワイヤ操作部材22、122に固定されているが、これに限定されるものではない。例えば、カテーテル組立体10、110は、ガイドワイヤ20、120の基端部が内針12、112に固定されていてもよく、ハウジング14、114に固定されていてもよい。