特許第6444275号(P6444275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 未来工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6444275-合成樹脂製の管 図000002
  • 特許6444275-合成樹脂製の管 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444275
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】合成樹脂製の管
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   A01M1/20 C
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-133893(P2015-133893)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-12111(P2017-12111A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−202451(JP,A)
【文献】 特開2005−38662(JP,A)
【文献】 実開平2−142929(JP,U)
【文献】 特開2014−141870(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2932844(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
A01N 1/00 − 65/48
F16L 9/00
F16L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防虫性を備える合成樹脂製の管であって、
防虫成分を含有する防虫層が、管の内面側に露出するようにして管の長手方向に断続的に形成される、合成樹脂製の管。
【請求項2】
防虫成分を含有することなく管の長手方向に連続して形成される非防虫層を備え、その非防虫層の内面に、前記防虫層が設けられる、請求項1に記載の合成樹脂製の管。
【請求項3】
前記防虫層は、前記非防虫層の内面に、前記防虫成分を含有する防虫剤が塗布されてその防虫剤が硬化して被膜化されて形成される、請求項2に記載の合成樹脂製の管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防虫性を備える合成樹脂製の管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の管として、例えばエアコンのドレンホースに、虫の侵入を防ぐために、キャップとかバルブを取り付けることがあった(例えば、特許文献1、2参照)。つまり、このキャップやバルブは、ドレンホースの排出側の先端に取り付けられて、ドレン水の排出を許容しながら、虫の侵入を防止するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−212033号公報
【特許文献2】特開2006−322631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の虫の侵入防止方法においては、合成樹脂製の管としてのドレンホースにキャップ等を取り付けなければならず、面倒であったり、ドレンホースとは別にキャップを用意する必要があり、コストがかかっていた。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡単かつ安価に、虫の侵入を防止することができる、合成樹脂製の管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る合成樹脂製の管は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る合成樹脂製の管は、防虫性を備える合成樹脂製の管であって、防虫成分を含有する防虫層が、管の内面側に露出するようにして管の長手方向に断続的に形成される。
【0007】
この合成樹脂製の管によると、管の内面側に露出する防虫層が、管の長手方向に断続的に形成されている。こうして、管の内面側に防虫層が断続的に設けられることで、虫が、管の内面に沿って進もうとするのが防止され、しかも、使用する防虫成分の量が少なくてすむ。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る合成樹脂製の管は、請求項1に記載の合成樹脂製の管において、防虫成分を含有することなく管の長手方向に連続して形成される非防虫層を備え、その非防虫層の内面に、前記防虫層が設けられる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る合成樹脂製の管は、請求項2に記載の合成樹脂製の管において、前記防虫層は、前記非防虫層の内面に、前記防虫成分を含有する防虫剤が塗布されてその防虫剤が硬化して被膜化されて形成される。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る合成樹脂製の管によれば、管の内面側に、防虫層を、長手方向に断続的に設けることで、防虫効果を維持したまま、使用する防虫成分の量を少なくすることができ、これによって、簡単かつ安価に、虫の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の第一の実施の形態の、管の断面図である。
図2】この発明の第二の実施の形態の、管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る合成樹脂製の管を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、防虫性を備える合成樹脂製の管を示す。
【0014】
この管1は、例えば、配線・配管材(配線材または配管材)を収容保護する管であって、地中に埋設されたり、コンクリート構造物内に埋設されたり、あるいは露出して配設されたりする。ここで、管1は、防虫成分を含有する防虫層2が、管1の内面側に露出するようにして管1の長手方向に断続的に形成される。
【0015】
詳細には、管1は、防虫成分を含有することなく管1の長手方向に連続して形成される非防虫層3を備え、その非防虫層3の内面に、前記防虫層2が設けられる。
【0016】
具体的には、管1は、可撓性を備える波付管からなる。そして、管1は、基本的には、全長が非防虫層3からなるが、部分的に、防虫層2が加わった二層構造を有する。
【0017】
非防虫層3は、例えば、塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂とかナイロン樹脂等の合成樹脂材料によって形成される。
【0018】
防虫層2は、非防虫層3の内面に、防虫成分を含有する防虫剤が塗布されてその防虫剤が硬化して被膜化されて形成される。この防虫剤は、例えば合成樹脂等に防虫成分を混合したもの、詳細には、バインダー樹脂と揮発性溶剤と防虫成分とを含むものであって、塗布後に、揮発性溶剤が揮発することで、防虫剤は、硬化して被膜化される。より詳細には、非防虫層3を、ブロー成形によって形成し、そのブロー成形時に、防虫剤を内部に噴出することにより、その防虫剤を非防虫層3の内面に塗布して、防虫層2を形成する。
【0019】
ここで、防虫成分は、例えばゴキブリとかムカデとかその他の虫を防ぐための防虫成分であって、例えば、ゴキブリに対する防虫効果が高いピレスロイド系化合物であったり、有機リン剤、カーバメート剤、ホウ素化合物、フッ素化合物であったり、白蟻の食害を防ぐためのクロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物であったりする。
【0020】
次に、以上の構成からなる合成樹脂製の管1の作用効果について説明する。この合成樹脂製の管1によると、管1の内面側に露出する防虫層2が、管1の長手方向に断続的に形成されている。こうして、管1の内面側に防虫層2が断続的に設けられることで、虫が、管1の内面に沿って進もうとするのが防止され、しかも、使用する防虫成分の量が少なくてすむ。すなわち、管1の内面側に、防虫層2を、長手方向に断続的に設けることで、防虫効果を維持したまま、使用する防虫成分の量を少なくすることができ、これによって、簡単かつ安価に、虫の侵入を防止することができる。
【0021】
図2は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、防虫層2および非防虫層3に代えて、それとは構成の異なる防虫層12および非防虫層13が用いられ、さらに、外層14が付加される点が異なるが、他は同様である。
【0022】
この合成樹脂製の管11は、防虫成分を含有する防虫層12と、防虫成分を含有しない非防虫層13とが、管11の内面側に露出するようにして管11の長手方向に交互に形成される。これにより、防虫層12が、管11の内面側に露出するようにして管11の長手方向に断続的に形成される。そして、図示実施の形態においては、これら防虫層12および非防虫層13の外側に、外層14が設けられる。
【0023】
具体的には、防虫層12および非防虫層13は、例えば、塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂とかナイロン樹脂等の合成樹脂材料によって形成される。そして、防虫層12は、防虫成分(詳しくは、マイクロカプセルに封入された防虫成分)が、ベースとなる合成樹脂材料とともに混練されて成形される。
【0024】
また、外層14は、例えばカプサイシン類からなる防鼠成分を含有する。詳細には、外層14は、防鼠成分(詳しくは、マイクロカプセルに封入された防鼠成分)が、ベースとなる塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂とかナイロン樹脂等の合成樹脂材料とともに混練されて成形される。
【0025】
以上の構成により、この合成樹脂製の管11は、管11の内面側に露出する防虫層12が、管11の長手方向に断続的に形成され、これにより、この管11は、第一の実施の形態に示す合成樹脂製の管1と同様の作用効果を有する。
【0026】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、管1、11は、配線・配管材を収容保護する管でなくとも、エアコン用のドレンホース等であってもよい。
【0027】
また、管1、11は、波付管からなるが、この波付管は、その波を構成する凹部および凸部が、リング状に形成される以外に、螺旋状に形成されてもよい。また、この管1、11は、波付管でなくても、平滑管であってもよく、また、この管1、11は、可撓性を備える管(可撓管)でなくとも、硬質管であってもよい。
【0028】
また、第一の実施の形態において、防虫層2は、非防虫層3の内面に、防虫成分を含有する防虫剤が塗布されてその防虫剤が硬化して被膜化されて形成されるが、この防虫層2は、防虫成分が、ベースとなる塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂とかナイロン樹脂等の合成樹脂材料とともに混練されて成形されてもよい。
【0029】
また、第二の実施の形態において、管11の外層14は、防鼠成分を含有するが、この防鼠成分を含有しなくともよい。また、この外層14は、無くともよい。
【0030】
また、防虫層2、12が含有する防虫成分は、隣り合う防虫層で、同じ防虫成分である必要はなく、異なる防虫成分であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 管
2 防虫層
3 非防虫層
11 管
12 防虫層
13 非防虫層
図1
図2