特許第6444286号(P6444286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444286
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】配電系統を構成する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20181217BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20181217BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20181217BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H02J13/00 311R
   H02J13/00 301A
   H02J3/38 130
   H02J3/00 170
   H02J3/32
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-188219(P2015-188219)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-77138(P2016-77138A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】14/504,535
(32)【優先日】2014年10月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】ホンボ・サン
(72)【発明者】
【氏名】イーシェン・ワン
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−146560(JP,A)
【文献】 特開2007−215314(JP,A)
【文献】 特開2007−110809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−5/00
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパースイッチを含む配電系統を構成する方法であって、
前記配電系統の状態情報を、リアルタイムに測定し収集することと、
所定の評価間隔で、前記状態情報を定期的に評価することと、
記配電系統の構成についての候補のセットを、前記評価に基づいて前記配電系統の構成変更が必要とされるか否かを判定し、前記必要とされる場合、生成することと、
前記構成についての前記候補から、最適候補を選択することと、
前記最適候補の安定性分析を実行することと、
前記最適候補が最小安定性余裕を有するとき、運転サイクルを使用して、前記配電系統の前記構成を、前記スーパースイッチを使用して前記最適候補に変更することと、
を備え、
前記運転サイクルは、前記評価間隔より長く、
前記配電系統を、隣接する基本切換えセクションを組合せることによって自己充足セクションになるよう分割することをさらに備え、
それぞれの前記基本切換えセクションは、前記配電系統がサービス提供するかまたは分離する最小セクションであり、
それぞれの前記自己充足セクションは、独立に運転し、安定した周波数および電圧を維持するのに十分な発電および貯蔵予備力を有する、
配電系統を構成する方法。
【請求項2】
前記スーパースイッチは、固体スイッチである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体スイッチは、フェーザ測定ユニットによって制御される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
制約のセットに違反することなく実行可能自己充足セクションを決定することをさらに備え、
前記制約のセットは、最小電圧制約および最大電圧制約、2方向に関する電力潮流制限、貯蔵の充電および放電による負荷および発電の平衡要件、発電機のランプアップ制約およびランプダウン制約、貯蔵についての最小の充電時間および放電時間、貯蔵についての充電状態、最小安定性余裕制約を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
複数の目的関数によって前記自己充足セクションの最適な組合せを決定することをさらに備え、
前記複数の目的関数は、線路損失の最小化、電圧偏差および違反の最小化と、負荷偏差および過剰負荷の最小化、自発的負荷低減および強制負荷削減の最小化、未使用再生可能エネルギーおよび主グリッド電力購入の最小化、軽い負荷によるスイッチ動作およびスイッチ閉鎖の回数の最小化、および過渡安定性余裕の最大化を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記最小安定性余裕は、リアルタイム配電を補償するための貯蔵補償余裕(SCM)を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
配電系統であって、
前記配電系統の構成を変更するスーパースイッチと、
前記スーパースイッチと接続され、前記スイッチを操作する変電所であって、前記変電所は、送電系統から前記配電系統に電力を供給する前記送電系統の主グリッドに接続され、前記変電所は、
前記スーパースイッチを使用して前記配電系統の状態情報を、リアルタイムに測定し収集することと、
所定の評価間隔で、前記状態情報を定期的に評価することと、
記配電系統の構成についての候補のセットを、前記評価に基づいて前記配電系統の構成変更が必要とされるか否かを判定し、前記必要とされる場合、生成することと、
前記構成についての前記候補から、最適候補を選択することと、
前記最適候補の安定性分析を実行することと、
前記最適候補が最小安定性余裕を有するとき、運転サイクルを使用して、前記配電系統の前記構成を、前記スーパースイッチを使用して前記最適候補に変更することであって、前記運転サイクルは、前記評価する間隔より長いことと、
を含むステップを有する演算操作を実行する、変電所と、
を備え
前記ステップは、
前記配電系統を、隣接する基本切換えセクションを組合せることによって自己充足セクションになるよう分割することをさらに備え、
それぞれの前記基本切換えセクションは、前記配電系統がサービス提供するかまたは分離する最小セクションであり、
それぞれの前記自己充足セクションは、独立に運転し、安定した周波数および電圧を維持するのに十分な発電および貯蔵予備力を有する、
配電系統。
【請求項8】
前記スーパースイッチは、フェーザ測定ユニットによって制御される
請求項に記載の配電系統。
【請求項9】
前記ステップは、
制約のセットに違反することなく実行可能自己充足セクションを決定することをさらに備え、
前記制約のセットは、最小電圧制約および最大電圧制約、2方向に関する電力潮流制限、貯蔵の充電および放電による負荷および発電の平衡要件、発電機のランプアップ制約およびランプダウン制約、貯蔵についての最小の充電時間および放電時間、貯蔵についての充電状態、最小安定性余裕制約を含む、
請求項に記載の配電系統。
【請求項10】
前記ステップは、
複数の目的関数によって前記自己充足セクションの最適な組合せを決定することをさらに備え、
前記複数の目的関数は、線路損失の最小化、電圧偏差および違反の最小化と、負荷偏差および過剰負荷の最小化、自発的負荷低減および強制負荷削減の最小化、未使用再生可能エネルギーおよび主グリッド電力購入の最小化、軽い負荷によるスイッチ動作およびスイッチ閉鎖の回数の最小化、および過渡安定性余裕の最大化を含む、
請求項に記載の配電系統。
【請求項11】
前記最小安定性余裕は、リアルタイム配電を補償するための貯蔵補償余裕(SCM)を含む、
請求項に記載の配電系統。
【請求項12】
前記スーパースイッチは、固体スイッチである、
請求項に記載の配電系統。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、電力系統に関し、より詳細には、動的にかつ適応的に構成可能な配電系統に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来の電力系統の場合、電力は、変電所115および配電系統120(電気事業者)を介して送電系統110から需要家130に給送される。従来の配電系統は、発電リソースを全く持たないかまたは非常に限られた発電リソースを持つため、変電所におけるまたはその上流における停電は配電系統全体に影響を及ぼす。停電は、発電機および送電線路の故障、短絡、過負荷、気候、および厳しい天候条件、並びに地質学的事象による可能性がある。通常、配電系統のトポロジーは、放射状でかつ一方向性であり、電流は、変電所からブレーカおよびスイッチを通って需要家に流れる。
【0003】
下流の各フィーダは、フィーダヘッドに回路ブレーカを、フィーダに沿って幾つかのノーマリクローズスイッチ、すなわち、区分化スイッチを、そして、隣接するフィーダ間の交差部に幾つかのノーマリオープンスイッチ、すなわち、タイスイッチを有することができる。これについては凡例150を参照されたい。ブレーカおよびスイッチの1つの目的は、系統の機能部分から停電を分離することである。
【0004】
例示的な配電系統は、2つのフィーダFdr−1およびFdr−2を含む。フィーダFdr−1は、1つのブレーカBR−1および3つの区分化器SW−1−1、SW−1−2、SW−1−3を有する。フィーダFdr−2は、1つのブレーカBR−2および2つの区分化器SW−2−1、SW−2−2を有する。フィーダFdr−1とFdr−2との間にタイスイッチSW−12が存在する。
【0005】
最新の電力系統は、配電系統においてさえも、太陽、風、埋立地ガスによって電力供給される発電機、およびディーゼル燃料方式発電機を含むことができる。天然ガス燃料方式マイクロタービン等の小型発電機は、需要家と同じ場所に配置される可能性がある。この代替の分散型発電(DG:distributed generation)は、配電系統が、双方向電力潮流を可能にする等、DGを統合するように適切に設計されるならば、例えば停電中に、局地的なエネルギー自己充足を可能にすることができる。
【0006】
さらに、「グリーン(green)」需要家は、エネルギーに対する意識がより高く、特にスマートグリッドにおいて、自身のエネルギー消費を動的に調整することを望む場合がある。したがって、最新の電力系統において、需要応答性リソース(DRR:demand responsive resource)が益々一般的である。DRRは、電力消費パターンを変え、そのことが潜在的に、配電系統がどのように構成されるかに影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
これは、配電系統の運転および制御について新しい問題を明らかにする。第1の問題は、再生可能電力源の多くが天候および時間依存性であることである。したがって、配電系統は、断続的でかつ時間依存性である再生可能電力源を最もよく推進するために柔軟である必要がある。さらに、配電系統の運転は、双方向電力潮流に対処できる必要がある。
【0008】
第2の問題は、太陽パネル等の一部の再生可能リソースがDC電流を出力することである。したがって、配電系統は、これらの発電リソースを系統内に統合するため、DC−AC変換器を必要とする。しかし、インバータベース発電リソースは、従来の同期発電機に比べて慣性が全くないかまたは少ない。そのため、配電系統は、局地的な停電、例えば、風または太陽光の突然の欠如が起こるとき、不安定性に応答し、それを回避するのにわずかな時間しかない。したがって、ブレーカおよびスイッチは、系統の応答時間を減少させるため、ずっと高い切換え速度で動作しなければならず、また、電力貯蔵の容量が、系統の慣性を増加させるため適切に使用されなければならない。
【0009】
特定の目的を達成するよう配電系統を構成するための幾つかの方法が知られている。特許文献1は、短絡または過負荷を検出するときにだけ、配電ネットワークを構成することを記載している。特許文献2は、過負荷保護パラメータに基づく配電フィーダ回路の動的再構成を記載している。特許文献3は、変圧器の過負荷に起因して配電系統自動化において負荷平衡化するためのリアルタイムフィーダ構成を記載している。特許文献4は、電力源の過負荷、効率、および可用性に基づいて電力を1つまたは複数の負荷に切換える方法を記載する。特徴的に、上記従来技術の方法は、一般に、予期しない事象に応じてのみ、配電系統を再構成する。
【0010】
従来技術のシステムおよび方法は、一般に、故障および負荷平衡化等の特定の状況または用途のために配電系統を構成する。これらの解決策は、DRRを使用して、多数の再生可能DG、およびよりエネルギーに対する意識が高い需要家を有する配電系統について適切な解決策を提供しない。
【0011】
したがって、需要家の間での配電の信頼性および効率を増加させるため動的に構成することができる配電系統についての必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0086123号
【特許文献2】米国特許第8,805,598号
【特許文献3】米国特許出願第2012/0065804号
【特許文献4】米国特許出願第2013/0257153号
【発明の概要】
【0013】
本発明の実施形態は、発電リソース、負荷需要、系統の信頼性および安定性のリアルタイム変化に応じて配電系統を動的かつ適応的に構成することができるシステムおよび方法を提供する。
【0014】
配電系統は、放射状トポロジーを使用し、比較的低速のブレーカ並びに従来の区分化およびタイスイッチの代わりに高速で大電力のスイッチ(スーパースイッチ)を使用する可能性がある。しかし、電流の流れが双方向であるトポロジーを含む他のトポロジーもまた可能であることが理解される。
【0015】
スーパースイッチは、高いレートのデューティサイクルを用いた高速の開閉動作を可能にする。スイッチは、負荷および故障電流によって切換えるため、従来の電気機械的スイッチの代わりに固体スイッチとすることができる。例えば、スーパースイッチは、従来の電気機械的スイッチより約3桁速いレートで切換えることができる。
【0016】
切換え時間が従来のスイッチよりずっと速いため、スイッチは、比較的低い慣性を有する系統を扱う能力を提供する。スーパースイッチを装備した、高度測定ユニット、例えば、フェーザ測定ユニット(PMU:phasor measurement unit)または同期フェーザ(synchrophasor)は、配電系統の構成のリアルタイムモニタリングおよび制御を可能にする。
【0017】
本発明についての基礎をなす考えは、過去の、現在の、予期される、また予期しない系統の条件または状態に基づいて、配電系統を動的にかつ適応的に最適に構成することである。
【0018】
配電系統を、スーパースイッチ(SS:super−switch)を使用して基本切換えセクション(BSS:basic switching section)のセットとして分割し構成することができる。BSSは、配電系統がサービスするかまたは分離する最小セクションである。隣接するBSSを、互いに独立に運転する自己充足セクション(SSS:self−sufficient section)になるよう組合せることができる。
【0019】
実施形態は、最適構成スケジュールを使用する。配電系統を構成するタイミングは、リアルタイム性能指数のリアルタイム測定、定期的な評価に基づくか、または、予期されるか若しくは予期しない事象に応じる。リアルタイムモニタリングは、全ての所定の評価間隔中に、または、例外事象が起こるときに、過去の、現在の、また将来の運転性能指数を決定する。その後、システム構成信号が、よりよい性能を有する考えられる安定構成が存在するかを判定するために生成される。
【0020】
実施形態は、次の構成信号が生成されるまで、次の所定の運転サイクル、例えば半時間の間の運転についての最適なSSS組合せを決定する。構成は、スーパースイッチを開閉することによって部分的に達成される。目標は、制限された切換え動作によって、減少した線路損失、少ない電圧偏差、および軽減された電流負荷を有する電力平衡化された結果を得ることである。
【0021】
構成のための実施形態は、エネルギー貯蔵システム(ESS:energy storage system)および分散型発電(DG)を装備する低慣性配電系統について、2つの過渡セキュリティ指数(transient security indices)、すなわち貯蔵補償電力余裕(SCPM:storage compensation power margin)および貯蔵補償エネルギー余裕(SCEM:storage compensation energy margin)を使用する。
【0022】
SCPMおよびSCEMは、配電系統の特定の構成について過渡セキュリティを記述する。適切なSCPMおよびSCEMによって、系統は、再生可能リソースを予想するときに、最も予期しない負荷偏差およびエラーを容認することができる。余裕は、時間領域分析を用いない配電系統の安定性レベルの良好な尺度であるため、本方法はリアルタイムに実装することができる。SCEMおよびSCPMによって導入される特別の保守性は、安定性保証を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の配電系統の略図である。
図2】本発明の実施形態による配電系統内の基本切換えセクション(BSS)の略図である。
図3】本発明の実施形態による配電系統内の自己充足セクション(SSS)の略図である。
図4】本発明の実施形態による日中期間中に配電系統を運転する例を示す図である。
図5】本発明の実施形態による夜間期間中に配電系統を運転する例を示す図である。
図6A】本発明の実施形態による構成スケジューリング用のタイミング図である。
図6B】本発明の実施形態による配電系統の構成を変更するための定期的評価のフローチャートである。
図7】本発明の実施形態による配電系統用の最適な構成スケジューリングのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
配電系統構成
図2に示すように、本発明の実施形態による配電系統220は、ツリー構造を有する放射状トポロジーを使用することができる。メッシュ、ループ状、および結んだリング等の他のトポロジーもまた可能である。
【0025】
系統において、従来の区分化スイッチおよびタイスイッチは、例えば固体スーパースイッチ250で置換される。図2において、8つのスーパースイッチが存在する。スイッチSS−1およびSS−8は、送電系統(主グリッド)110に接続される。これらのスイッチは、従来の電気機械的スイッチと比較すると、比較的高い周波数で開閉することができる。スイッチは、リアルタイムモニタリングおよび制御を可能にするために、フェーザ測定ユニット(PMU)または同期フェーザを装備することができる。PMUは、高いサンプリングレート、例えば、60サンプル/秒で電圧および電流測定値を供給することができる。
【0026】
基本切換えセクション
スーパースイッチを使用して、配電系統は、基本切換えセクション(BSS)200を備えるように構成することができる。BSSは、配電系統オペレータ(DSO:distribution system operator)によってサービス提供または分離することができる最小セクションである。
【0027】
自己充足セクション
図3に示すように、隣接するBSSは、運転条件に従って互いに独立に運転する自己充足セクション(SSS)300になるように組合せることができる。各SSSは、適切な安定余裕を有する安定周波数および電圧を維持するのに十分な発電および貯蔵予備力(generation and storage reserve)を有する。図3のSSSは、スーパースイッチSS−1およびSS−3を開き、スーパースイッチSS−2を閉じることによって形成される。
【0028】
配電系統は、負荷およびソーシング変化(sourcing change)並びに故障および不安定性等の緊急事態に応じて構成される。構成は、スイッチのPMUによるリアルタイム測定に従ってシステム状態をモニタし分析することに基づくことができる。
【0029】
日中の構成
図4は、独立運転式の4つの自己充足セクションSSS−1、SSS−2、SSS−3、およびSSS−4を有する例示的な配電系統の日中の構成を示す。この構成は、太陽パネル400等の再生可能リソースを十分に利用する。セクションSSS−1は、DG−1、DG−2、DG−3等のその局地的リソースから十分な発電を有するため、開いたスイッチSS−1およびSS−3によって主グリッドおよび他のSSSから切離される。セクションSSS−3は、局地的リソースが欠如するため、主グリッドに接続される。セクションSSS−2およびSSS−4はまた、単独で局地的リソースを使用し、電力貯蔵ユニット410、例えば電池を、再生可能リソースを十分に利用するため充電状態に設定することができる。
【0030】
夜間の構成
図5は、図4の場合と同じ配電系統についての夜間の構成を示す。この構成は、2つの独立運転セクションSSS−1およびSSS−2を有する。両方のセクションは主グリッドに接続される。貯蔵ユニット410を、放電状態に設定することによって同様に使用することができる。
【0031】
運転のための構成スケジューリング
独立運転式セクションとして、各SSSは、負荷発生平衡(load generation balance)を保証するため適切な分散型発電能力を有する。さらに、メンテナンスコストを低減し、系統を信頼性がある状態に保つため、スーパースイッチは、あまりに頻繁に動作すべきではない。そのことは、各SSS内の負荷発生平衡が、運転サイクルと呼ばれる比較的長い期間にわたって一貫性があるべきであることを意味する。これについては以下を参照されたい。運転サイクルは、配電系統要件に基づくことができる。トポロジーは、目的関数の或る制約を超える例外事象が全く存在しない限り、全運転サイクルの間、有効であるべきである。配電系統のモニタリングは、リアルタイムベースとすることができる。
【0032】
タイミング図
図6Aは、本発明の実施形態による配電系統の動的でかつ適応的な構成の基礎にある基本的な考えのタイミング図を示す(正確な縮尺ではない)。タイミングは3つのレベルで働く。最も細かいレベルにおいて、配電系統の状態は、本質的にリアルタイムに(601)、例えば秒以下で測定される。測定は、定期的に、例えば、電力潮流および安定性分析を使用して、例えば数分ごとの評価間隔602を使用して評価される。理想的には、構成は、全ての評価間隔中に、セキュリティ、安定性、信頼性、および効率要件を満足すべきである。運転サイクル603は、評価間隔より実質的に長い、例えば、評価サイクルより、30分〜180分長いかまたはほぼ一桁長い。運転サイクルの長さを、必要とされるときまた必要に応じて、配電系統オペレータが予め決定するかまたは設定することができる。より長い運転サイクルの目標は、系統の性能を評価する目的関数に関する制約が違反されない限り、配電系統の構成を比較的安定に保つことである。構成が変更される場合、新しい運転サイクルが始まる。この手法は、切換え周波数を最小にしながら、リアルタイムにモニタする利益を有する。
【0033】
発電機および貯蔵は、負荷変動を扱い、運転サイクル内の評価間隔の間の不正確さを予想するため、適切なランプアップ能力およびランプダウン能力を有するべきである。こうしたルックアヘッド能力は、信頼性がありかつスムーズなスケジューリング移行を有することを可能にする。
【0034】
図6Bは、評価間隔を使用する、本発明の実施形態による配電系統の構成変更のための定期的評価のフローチャートを示す。
【0035】
ステップ610において、現在の構成、例えば、スーパースイッチのステータスおよびSSSを取出し、運転サイクルにおける評価間隔の数を設定する。
【0036】
ステップ630において、例えば、スーパースイッチの測定ユニットから得られるリアルタイム測定値622から導出される、負荷需要、リソース可用性および出力、並びに貯蔵状態等の、現在の間隔についての、収集された配電系統状態情報625を取出す。予想を同様に考慮することができる。測定を、バックグラウンドタスクとして連続して実施することができる。
【0037】
ステップ635において、運転サイクルの各評価間隔について、分散型発電、需要応答性リソース、および貯蔵について発電および消費スケジュールを決定する。
【0038】
ステップ640において、現在の構成について電力潮流および安定性分析を使用して性能指数を評価する。
【0039】
ステップ650において、評価に基づいて構成変更が必要とされるか否かを判定する。必要とされる場合、ステップ660に進み、そうでなく、必要とされない場合、ステップ680に進む。
【0040】
ステップ660において、図7について述べるステップを使用して最適な新しい構成を決定する。
【0041】
ステップ630、635、640、650、および660は、評価間隔602に基づいて定期的に実施される。
【0042】
ステップ670において、間隔の数をリセットする。
【0043】
ステップ680において、運転サイクル内の全ての間隔が評価されたか否かをチェックする。評価された場合、ステップ610に進み、そうでなく、評価されていない場合、間隔の数を減分するためステップ690に進む。
【0044】
電力潮流は、現在のBSSの組合せが、SSSとして構成するのに定常状態で実行可能である(steady−state feasible)か否かを判定するために使用される。SCPMおよびSCEMの決定等、過渡安定性分析は、各SSSが、安定性を失うことなく予期しない事象に耐えるのに十分な安定性余裕を有するか否かを判定するために使用される。
【0045】
制約
候補の実行可能な構成は、定常状態セキュリティ、信頼性、電力品質、デバイス(貯蔵等)についての技術的制限、および過渡的または動的状態安定性から導出される制約のセットを満足すべきである。
【0046】
通電された基本切換えセクション内の任意のバスの各相について、相電圧は、運転サイクルの各間隔についての技術要件および規制要件によって定義される通常の下限閾値および上限閾値以内であるべきである。一時的な電圧違反は、許容されるが、関連する目的関数におけるペナルティによって最小にされる。バス電圧制約は、
【数1】
である。ここで、SBSSは配電系統内の基本切換えセクション(BSS)のセットであり、SBUSは基本切換えセクションb内のバスのセットであり、PHは、バスi内の利用可能な相のセットであり、Tは運転サイクル内の評価間隔のセットである。xは、基本切換えセクションbの通電ステータス(energized status)の2値インジケータであり、0は非通電ステータス(de−energized status)を示し、1は通電ステータスを示す。xは系統条件に基づいて設定される。xは、セクション内で起こっている短絡故障が存在するか、または、系統内の発電若しくは安定性能力の欠如に起因してセクションがカットオフされる必要がある場合にゼロに設定され、xがゼロとして設定される場合、全てのデバイスは、非通電として設定される。
【数2】
は、相m上でバスiにおいて許容される電圧についての通常の上限および下限閾値であり、Vi,mは、評価間隔tにおける相m上でのバスiの電圧である。
【数3】
は、評価間隔tにおける相m上でのバスiの通常の上限および下限電圧閾値を超える電圧違反であり、また、
【数4】
である。
【0047】
線路セグメント、2巻線変圧器等の通電された基本切換えセクション内の、任意の2端子デバイス、すなわち、分岐の各相について、2つの異なる方向から分岐上への電力潮流は、熱および安定性要件によって決定される通常の最大電力限界以内であるべきである。3巻線変圧器等、3つ以上の端子を有するいずれのデバイスも、モデル化される複数の2端子デバイスに変換される。シャントキャパシタ等の単一端子デバイスの場合、単一端子デバイスは、2端子デバイスとして扱うことができるが、その端子の一方の電圧はゼロに設定される。一時的な過負荷は、許容されるが、関連する目的関数内のペナルティによって最小にされる。分岐電力潮流は、
【数5】
によって制約される。ここで、SDEVは基本切換えセクションb内のデバイスのセットであり、PHijは、バスiとバスjとの間のデバイスについての利用可能な相のセットである。
【数6】
は、相m上でバスiとバスjとの間で接続されるデバイス上で流れる見かけの電力の上限である。SijおよびSji,mは、評価間隔tにおいてバスiからバスjに向かってまたバスjからバスiに向かってデバイス上でそれぞれ流れる複素電力である。
【数7】
は、評価間隔tにおける相m上でのデバイスの過負荷であり、
【数8】
である。インピーダンスを有する2端子デバイスの場合、デバイス上の電力潮流は、2端子バスにおける相電圧に従って決定され、デバイスについての分岐アドミタンス行列は、
【数9】
である。ここで、Vj,mおよびθj,mは、相m上のバスjの電圧および相角度である。Vi,nおよびθi,nは、相n上のバスiの電圧および相角度である。YAC−iji,m−i,n、YAC−iji,m−j,n、YAC−ijj,m−i,nおよびYAC−ijj,m−j,nは、下付き文字によって与えられる行および列における、デバイスについての分岐アドミタンス行列YAC−ijの要素であり、最初の2つは、行の対応するバスおよび相を与え、最後の2つは、列の対応するバスおよび相を与える。分岐アドミタンス行列YAC−ijは、分岐上の終端バスの各相における注入電流と電圧との間の関係を定義するために使用される。分岐アドミタンス行列YAC−ijは、正方行列であり、その行のサイズは、分岐の利用可能な相の総数の2倍に等しい。分岐アドミタンス行列の定式化は、異なるタイプのデバイスについて異なることができる。例えば、線路セグメントの場合、分岐アドミタンス行列は、その直列インピーダンスおよびシャントアドミタンスによって定義される。変圧器の場合、アドミタンス行列は、巻線接続、タップ位置、およびインピーダンスによって定義される。
【0048】
バスiとバスjとの間で接続される各スーパースイッチについて、評価間隔tにおけるその電力潮流は、
【数10】
によって制約される。ここで、SSWは、系統内のスーパースイッチのセットであり、xijは、全運転サイクルの間の、バスiとバスjとの間のスーパースイッチについてのオン/オフステータスであり、1はオンを示し、0はオフを示す。
【0049】
通電基本切換えセクション内の任意のバスについて、任意の間隔における各相について電力生成および需要平衡要件が存在する。
【数11】
ここで、SGEN、SSTOR、およびSLOADは、バスiに接続される分散型発電機、貯蔵、および負荷のセットである。SDEVは、バスiに接続したデバイスのセットである。SSi,mは、評価間隔tにおいて相m上でバスiに接続した変電所を通して送電系統から移入される複素電力である。SGj,mは、評価間隔tにおいて相m上で分散型発電機jによって生成される複素電力である。SDj,m、SRj,mおよびSCj,mは、評価間隔tにおける相m上での負荷jの複素電力需要、許容可能電力低減、および強制電力削減である。RDCHj,mおよびηDCHj,mは、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jの放電レートおよび効率である。RCHj,mおよびηCHj,mは、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jの充電レートおよび効率である。
【0050】
3つ全ての相について送電系統から移入される総電力は、系統容量および購入契約によって制限される。
【数12】
ここで、
【数13】
は、評価間隔tにおいて送電系統からバスi内に移入される最大複素電力および最小複素電力である。xisは、バスiと変電所との間のスーパースイッチについての2値オン/オフステータスであり、0はオフを示し、1はオンを示す。
【0051】
分散型発電機の発電は、再生可能発電のための天候条件によって決定される発電の可用性レート(availability rate of generation)、系統スケジュールによる発電機のコミットメントステータス(commitment status)、および発電機についての技術的限界によって制約される。
【数14】
ここで、
【数15】
は、相m上での発電機jの最大複素電力および最小複素電力である。AVi,mは、評価間隔tにおける相m上での発電機jの可用性レートである。xGiは、発電機jのコミットメントステータスについての2値オン/オフステータスであり、0は発電機がオンラインであることを示し、1は発電機がオフであることを示す。基本切換えセクションbが通電されていないと判定される場合、そのセクション内の全ての配電発電機はシャットオフされなければならない。
【数16】
【0052】
さらに、発電機についての最小のアップタイムおよびダウンタイムもまた、モデルに含まれるべきである。
【0053】
Rj,mは、需要家が需要応答プログラムに関与して、許容可能ディスコンフォート(discomfort)を伴って低減される電力量であり、
【数17】
によって制約される。ここで、
【数18】
は、評価間隔tにおける相m上での負荷jの最小許容可能電力低減および最大許容可能電力低減である。
【0054】
Cj,mは、系統のセキュリティ、信頼性、または安全性の理由で系統がカットオフしなければならない電力量である。電力削減は、
【数19】
によって制約される。この制約は、そのBSSが通電されていないとき、負荷の完全なカットオフを必要とし、BSSが通電されているとき、負荷カットを必要としない。
【0055】
貯蔵についての充電および放電レートは、
【数20】
として、その技術的限界およびコミットメントステータスによって制約される。ここで、
【数21】
は、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jについての最大放電レートおよび最小放電レートである。
【数22】
は、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jについての最大充電レートおよび最小充電レートである。xDCHjおよびxCHjは、貯蔵j用の放電および充電についての2値コミットメントステータスであり、0はオフを示し、1はオンを示す。貯蔵のコミットメントステータスは、その基本切換えセクションが通電されていない場合、オフとして設定されなければならない。
【数23】
【0056】
任意の自己充足セクションsについてのランプアップ制約およびランプダウン制約は、
【数24】
である。ここで、SSSSは、現在の運転サイクルにおける自己充足セクションのセットである。SPHは相のセットである。xb,sは、基本切換えセクションbが自己充足セクションs内にあるか否かを示す2値変数であり、スーパースイッチのオン/オフステータスおよび系統トポロジー接続によって決定される。RUb,tおよびRDb,tは、評価間隔tにおける相m上での基本切換えセクションbについてのランプアップ予備力およびランプダウン予備力であり、
【数25】
に従って決定される。ここで、RUPGj,mおよびRDNGj,mは、評価間隔tにおける相m上での発電機jについてのランプアップ限界およびランプダウン限界である。
【0057】
系統内の任意の貯蔵について、最小の充電および放電時間に関する制約が存在する。
【数26】
ここで、tCHj,mおよびtDCHj,mは、それぞれ、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jについての、現在の連続する充電間隔および放電間隔の数である。
【数27】
は、相m上での貯蔵jについての連続する充電間隔および放電間隔の最小数である。
【0058】
貯蔵についての充電状態の制約は、
【数28】
である。ここで、SOCj,mは、評価間隔tにおける相m上での貯蔵jについての充電状態であり、Δtは評価間隔の継続時間であり、
【数29】
は、相m上での貯蔵jについての最大および最小の充電状態限界である。
【0059】
各自己充足セクションについて、最小安定性余裕制約も存在する。安定性余裕を、種々の方法を使用して決定することができる。例えば、実施形態による安定性余裕分析方法を使用すると、要求される安定性余裕は、
【数30】
とすることができる。ここで、SCPMs,tおよびSCEMs,tは、評価間隔tにおける自己充足セクションsについての貯蔵補償電力余裕および貯蔵補償エネルギー余裕である。
【0060】
さらに、スーパースイッチのオン/オフステータスと自己充足セクションの定義との間のトポロジーベースの関係を含む必要な制約もまた、モデルに含まれるべきである。
【0061】
目的関数
最適な構成候補は、複数の目的関数に従って決定される。
【0062】
(I)エネルギー効率についての目的
全運転サイクルにわたる系統についての平均線路損失の最小化は、エネルギー効率についての目的を示すために使用される。
【数31】
ここで、τは評価間隔の総数である。Pij,mおよびPji,mは、2つの異なる方向における相m上でのバスiとバスjとの間のデバイス上の有効電力潮流である。これらの2つの潮流の和の絶対値は、デバイスについての線路損失である。最適化の目標は、運転サイクルの全ての評価間隔について平均線路損失を最小にするための自己充足セクションの最適な組合せを見出すことである。
【0063】
(II)電力品質についての目的
需要家に提供される電力の品質は、一般に、需要家にサービス提供される電圧によって測定される。この目的は、所望のレベルからの電圧偏差および電圧閾値に対する電圧違反の平均加重和の最小化として示される。
【数32】
ここで、
【数33】
は、相m上でのバスiの所望の基準電圧レベル、例えば、単位当たり1.0である。βvolは、電圧違反についてのペナルティファクタ、例えば、100.0である。電圧性能指数は、各BSS内の全てのバスについて電圧偏差および電圧違反を評価する。最適化の目標は、運転サイクルにわたって電圧偏差および電圧違反の平均加重和を最小にするためにスーパースイッチについての最適なステータスのセットを選択することである。
【0064】
(III)デバイス負荷およびセキュリティについての目的
目的は、経済的な負荷レベルからの偏差およびデバイス容量に対する過負荷の加重和の最小化として示される。
【数34】
ここで、
【数35】
は、デバイスの全ライフサイクルにわたるその十分な機能について決定される所望の経済的負荷電力である。βoverloadは、過負荷についてのペナルティファクタである。この性能指数は、運転サイクルにわたる平均負荷偏差および過負荷レベルを評価する。最適化の目標は、デバイスを、できる限りその経済的レベルに近く、しかし、その通常のセキュリティ限界内で負荷印加されるようにさせることである。
【0065】
(IV)需要家コンフォートおよび信頼性についての目的
この目的は、
【数36】
として、需要家承認電力低減および強制電力削減の平均加重和の最小化として示される。ここで、βreductionおよびβsheddingは、電力低減によって引起される需要家ディスコンフォートおよび強制電力制限(forced power shedding)によって引起される損失を示すペナルティ係数である。βsheddingは、βreductionよりずっと高い値、例えば、10倍高い値に設定される。PRj,mおよびPCj,mは、相m上での負荷jにおける需要家承認有効電力削減および強制有効電力制限である。この最適化の目標は、需要家用の電力需要を最大限に満たすことである。幾つかの場合、負荷低減または制限が不可避である場合、最適化は、需要家に対する電力低減および停電(power cut)の影響を最小にすることである。
【0066】
この関数は、単一評価間隔、または、全ての非安定性制約および固定構成を有する複数の評価レベルにわたって、分散型発電、貯蔵、および需要応答性リソースのコミットメントステータスおよび量を決定する目的関数として、図6Bのステップ635において使用される。
【0067】
(V)エネルギー独立性および再生可能エネルギー利用についての目的
エネルギー独立性を強化するため、系統は、再生可能エネルギーリソースによって提供される分散型発電を最大限利用し、送電系統からの、また、価格が高い期間中の電力購入を最大限に減少させるべきである。この目的は、分散型発電の未利用有効電力および全ての評価間隔について平均された主グリッドからの有効電力購入の加重和の最小化として示される。
【数37】
ここで、PGj,mは、評価間隔tにおける相m上での分散型発電機jによって生成される有効電力である。
【数38】
は、相m上での分散型発電機jの有効電力容量である。PSi,mは、評価間隔tにおける相m上でのバスiにおいて変電所を通して送電系統から移入される有効電力である。βpurchase,iは、評価間隔tにおけるバスiにおいて、主グリッドから変電所に電力を移入するために請求される電気料金を示すペナルティ係数である。電気料金は、時間および場所とともに変動する場合がある。ほとんどの時間、配電系統は、それ自身でその負荷を満たそうと試みる。しかし、或る期間中に、発電不足が存在すると、配電系統は、主グリッドから電力を移入する可能性がある。同様に、配電系統の一部の中に過剰の電力が存在すると、過剰な電力は、主グリッドに移出される可能性がある。
【0068】
(VI)スイッチ動作のための目的
最適化の目標は、不必要な切換えおよびBSSの不必要な組合せを制限することである。通電しているスイッチ上での電力潮流が比較的低い場合、隣接する2つのBSSを組合せる必要性が存在しないことが示される場合がある。目的は、全ての評価間隔についての、スイッチオープン/クローズ状態変更の総数、および、所与の閾値未満の負荷を有するスーパースイッチの平均化された総数の加重和の最小化として示される。
【数39】
ここで、x(0)ijは、現在の運転サイクルの前のバスiとバスjとの間のスイッチについての初期のオープン/クローズステータスである。βlight−loadingは、軽負荷(light−loading)スイッチについての重み係数である。
【数40】
は、スイッチについて軽負荷ステータスを決定するための、相m上でのバスiとバスjとの間のスイッチ用の低い見かけの電力閾値である。例えば、その閾値は、通常の負荷容量の5%として設定される可能性がある。
【0069】
(VII)系統安定性のための目的
最適化の目標は、所定の安定性余裕を有する各自己充足セクションが、かなりの負荷降下または増加等、予期しない事象に耐えることを可能にすることである。この目的は、各評価間隔において各自己充足セクションについて貯蔵補償電力余裕および貯蔵補償エネルギー余裕の加重和の最大化として示される。
【数41】
ここで、βpower−marginおよびβenergy−marginは、それぞれ、評価間隔tにおける自己充足セクションs用の、電力ベースの安定性余裕SCPMs,tおよびエネルギーベースの安定性余裕SCEMs,tについての重み係数である。
【0070】
上記で定式化された最適化問題は、多目的最適化であるため、全ての目的関数について単一の大域的最適解が存在しない。スーパースイッチオンオフステータスおよび非線形AC電力潮流制約によって、それは、混合非線形整数プログラミング問題になり、その問題を、ヒューリスティックアルゴリズム、分解アルゴリズム(ベンダース分解(Benders decomposition)等)、遺伝的アルゴリズム、粒子群最適化(particle swarm optimization)、または人工免疫システムアルゴリズム(artificial immune system algorithm)によって解くことができる。
【0071】
上述した最適構成変更を不必要に解くことを回避するため、現在の構成についての性能指数が、
【数42】
に従って、所定の閾値のセットに対して最初にチェックされる。ここで、
【数43】
は、構成変更の必要性がない状態での、線路損失、電圧違反、デバイス過負荷、負荷カット、未利用再生可能電力、および切換え動作についての最大許容可能値である。
【数44】
は、変更なしで現在の構成を保つための最小安定性余裕である。
【0072】
上記の条件のいずれかが満たされる場合に、かつその場合に限り、上述した多目的最適化問題についての新しい解がトリガーされる。
【0073】
最適で新しい構成
この問題をより効果的に解くため、問題は、安定性制約(17)および目的関数(24)なしで最初に解かれる。候補解が得られた後、候補について安定性分析を実施して、その候補が最小安定性余裕を有するか否かを判定する。最終的な解は、全ての非安定性制約および目的を有する多目的最適化によって決定された候補リスト内にあり、かつ、安定性分析によって評価された最小安定性余裕を有する候補であるべきである。
【0074】
図7は、最適な新しい構成を決定する(660)ためのフローチャートである。
【0075】
ステップ710において、安定性制約および目的なしで、多目的関数を使用して構成用の候補のセットを生成する。
【0076】
ステップ720において、最良性能を有する最適候補を選択する。
【0077】
ステップ730において、最適候補の安定性分析を実施する。
【0078】
ステップ740において、最適候補が、例えば、上述した指数を使用して最小安定性余裕を有するか否かをチェックする。最小安定性余裕を有する場合、ステップ760に進み、解を出力し、それに応じて配電系統を構成する。そうではなく、最小安定性余裕を有しない場合、ステップ750に進み、選択された候補を候補リストから削除し、次の反復のためにステップ720に進む。
【0079】
過渡安定性評価指数
構成変更の成功にとって最も重要であるのは、計算時間、特に、送電系統110の完全崩壊等の緊急事態に応答する計算時間である。配電系統を構成するための計算時間は、負荷、発電機、およびスイッチ特性によって決定される最大許容可能応答時間以内でなければならない。計算時間はまた、従来の方法によって達成できないリアルタイム測定およびほぼ連続的なモニタリングを達成するために重要である。
【0080】
主要な計算負荷は、安定性余裕評価である。安定性が、配電系統内での貯蔵関与(storage participation)に依存するため、一実施形態は、配電系統の過渡安定性を分析するために貯蔵補償能力に基づく方法を使用することができる。本方法は、例えば、数分の評価間隔の間、最適構成を決定する。全ての過渡不安定性候補が廃棄され、過渡安定性候補だけがさらに分析される。この目的を果たすため、本方法は、系統状態の単一のスナップショットを使用して過渡安定性を決定する。
【0081】
本方法は、貯蔵補償余裕(SCM)に的を絞り、動揺方程式および運動エネルギー概念によって動機付けされる。配電系統内の任意のバスに瞬時に電力を分配できる大きな貯蔵デバイスが存在することが仮定される。この分散電力が任意のリアルタイム電力ミスマッチを補償するのに用いられる。こうした補償によって、同期発電機によって吸収または提供される元々の運動エネルギーは、代わりに、貯蔵によって吸収または提供される。貯蔵を使用して、系統は、元々の平衡点に留まる。主グリッドに接続された自己充足セクションの場合、主グリッドの容量は、貯蔵としてモデル化され、同様に計算に含まれる。
【0082】
その後、突然の負荷降下または偶発事故等の所与の事象について、このミスマッチ電力を計算するため、系統条件を分析することができる。所定の時定数について、理想的な貯蔵電力およびエネルギー定格を決定することができる。現在の系統条件を定格と比較して、過渡安定性余裕をチェックする。
【0083】
この手法は、時間領域シミュレーションまたはデータマイニングを一切必要としないため、処理時間が最小にされる。さらに、系統は、SCM中に計算されない、より多くの慣性を有するため、実際には、過渡プロセス中により少ない貯蔵補償を必要とする。したがって、SCMは、より保守的な結果であり、系統に余裕上限を提供する。したがって、系統は、計算されるのに比べてさらに過渡安定性がある可能性がある。
【0084】
動揺方程式
発電機iについての動揺方程式は、
【数45】
として表すことができる。ここで、MGiは、発電機iの角度モーメントであり、δGiは発電機iのロータ角度であり、PMiは、発電機iの入力される機械的動力であり、Dは発電機iについての減衰係数である。PGi,mは、相m上での発電機iによって生成される有効電力である。
【0085】
通常運転時間において、機械的トルクおよび電気的トルクは、ほとんどの時間、平衡する。小さな偏差は、小角振動を引起し、急速に減衰する。厳しい擾乱の場合、貯蔵または主グリッド関与がない状態で、ロータ角度を駆動する加速電力が、その元々の平衡点から逸脱する。これは、不安定性をもたらす可能性がある。
【0086】
貯蔵の仮想的寄与および突然の負荷変化を有する、発電機iについての動揺方程式は、
【数46】
である。ここで、ΔPDi,mは、相m上での発電機iにおける仮想的持続可能負荷変動レベルであり、PVi,mは、発電機iにおける更なる仮想的貯蔵関与電力である。突然の負荷変動ΔPDi,mは、その方法の重要な特徴である。数が大き過ぎる場合、系統は、あまりに保守的であり、数が小さ過ぎる場合、系統は信頼性がない。持続可能な正味の負荷変動レベルは、現在の負荷の所定のパーセンテージ、例えば、±10%以内として設定することができる。こうした仮定によって、系統は、過渡的信頼性問題なしで或るレベルの負荷変動に耐えることができる。更なる仮想的な貯蔵関与電力は、予期しない大きな電力擾乱について軽減を提供する。ΔPDi,mおよびPVi,mは、正値または負値を有する可能性があることに留意されたい。
【0087】
貯蔵の仮想的寄与および負荷変動が互いに相殺する場合、発電機は、持続可能な負荷変動の後に、そのロータ角度および速度をほぼ一定に維持することができる。同様に、自己充足セクションの場合、必要とされる総合仮想貯蔵が、既存の貯蔵および主グリッドの容量以内である場合、セクションは安定である。必要とされる仮想貯蔵量を超える貯蔵容積の余剰は、安定性余裕である。
【0088】
間隔tにおける自己充足セクションsについての必要とされる貯蔵電力定格Ps,tは、
【数47】
である。STORは、自己充足セクションs内の貯蔵のセットである。必要とされる貯蔵電力関与は、セクション内の全ての仮想貯蔵の和である。PVi,mを、セクション内の持続可能な負荷変動の配分に基づいて決定することができる。
【0089】
セクション内のリアルタイム貯蔵補償能力を、充電成分と放電成分に分割することができる。系統貯蔵補償能力は、
【数48】
である。
ここで、Ps,tCHおよびPs,tDCHは、評価間隔tにおけるセクションsについての充電電力容量および放電電力容量である。同様に、必要とされる貯蔵電力定格Ps,tも、事象が負荷上昇または負荷降下であることに基づいて充電成分および放電成分、Ps,tV,CHおよびPs,tV,DCHに分解することができる。
【0090】
自己充足セクションが電力不足または運動エネルギー欠如を受けるとき、放電電力Ps,tDCHが使用される。セクションが過剰の電力および更なる運動エネルギーを有するとき、充電電力Ps,tCHが使用されて、更なる運動エネルギーを吸収する。
【0091】
間隔tにおけるセクションsについての貯蔵補償電力余裕SCPM、すなわちSCPMs,tは、
【数49】
として定義される。
【0092】
SCPMは、充電能力または放電能力と、仮想貯蔵電力定格を比較することによって計算される。
【0093】
本発明は、貯蔵クリティカルタイムパラメータτsctを自己充足セクション用の測定値として使用して、擾乱のある適度の期間にわたって安定性を維持する。τsctは、中継時間、主制御動作遅延、制御入力時間、および擾乱消去時間を考慮することができる。このパラメータの目的は、系統がτsct秒の間、過渡安定性問題をもたらすことなく大きな負荷変動を持続できるべきであることである。このパラメータによって、貯蔵についてエネルギー関連パラメータを定義することができる。
【0094】
評価間隔tにおけるセクションsについての貯蔵補償エネルギー余裕SCEM、すなわちSCEMs,tは、
【数50】
として定義される。ここで、Es,tCHおよびEs,tDCHは、評価間隔tにおけるセクションsについての充電エネルギー容量および放電エネルギー容量である。
【0095】
貯蔵システムについて、エネルギー情報が重要である。エネルギー情報は、貯蔵クリティカルタイムτsctおよびSCPM計算において確定される仮想貯蔵電力によって決定される。
【0096】
SCPMおよびSCEMが過渡安定性を保持するための十分な条件を提供することが留意される。同期発電機および変換器ベース発電機が、貯蔵からの更なる仮想慣性とともに、実際のまたは仮想の慣性を配電系統に提供するため、計算される系統余裕は、モデルの保守性に起因して、問題に対する信頼性のある解を提供する。系統は、さらに、同期を失うことなくより大きな擾乱を受け得る。
【0097】
変換器接続式発電機、例えば太陽パネルを装備するだけである配電系統の場合、系統は、実際の慣性を全く持たず、電力変動に敏感であるため、ロータ角度および周波数は、擾乱について変動を有する可能性がある。貯蔵によって、系統は、リアルタイム運転中、平滑化される可能性がある。さらに、風力シャフトおよびソーラパネルは、過渡プロセス中に系統に更なる仮想慣性を提供することができる。
【0098】
同期発電機を有する配電系統の場合、系統は、実際の慣性を有するが、その慣性が大きな擾乱を処理するのに十分であるか否かを、詳細な時間領域シミュレーションなしで分析することは依然として難しい。系統の過渡安定性が貯蔵によって強化されても、強化の程度は、直接得るのが依然として重要である。SCPMおよびSCEMは、配電系統が、大きな擾乱中に過渡安定性に留まるための余裕上限と、安定性余裕を効率的に調べるための数値とを提供する。
【0099】
発明の効果
従来の配電系統は、送電系統または主グリッドから給電され、放射状構成を使用し、単方向潮流で運転する。従来の配電系統の構成は、固定であり、「汎用的な(one−size−fits−all)」信頼性標準を有する。そのため、従来の系統は、広域な停電となりやすく、回復が遅くなりやすい可能性がある。それらは、また、効率、信頼性および品質が低い。
【0100】
再生可能エネルギー発電および公益事業スケール貯蔵の使用の増加は、配電系統が、過去と異なる方法で構成され運転され、より多くの再生可能エネルギーを促進するより大きな柔軟性、信頼性および品質のより高い標準、並びにより高いエネルギー効率を必要とする。
【0101】
本発明の実施形態による配電系統は、配電系統のエネルギー効率、系統信頼性、および電力品質を上げるため、負荷、エネルギー源(source)、および系統条件の変化に応答するよう動的にかつ適応的にリアルタイムに構成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7