(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心や政策等から、公共施設や一般家庭など、あらゆる場所で太陽電池の設置が進められている。太陽電池は太陽光を利用するため、屋根や屋上などの屋外に設置されるが、設置可能な面を有効に活用するために、複数の太陽電池モジュール(太陽電池パネルとも呼ばれる)を並設して一群の太陽電池アレイを形成することがよく行われている。
【0003】
太陽電池モジュールは、家屋の屋根や屋上等の設置面に設置されることから、風雨等に吹き飛ばされないよう、架台や桟部材からなる固定装置を用いて設置面に強固に固定する必要がある。
【0004】
太陽電池モジュールの利用者にとっては、太陽電池モジュールの発電効率と共に、その設置コストも重要である。この設置コストは、太陽電池モジュール自体の価格だけでなく、太陽電池モジュールを設置面に設置する作業者の施工時間にも影響される。作業者の施工時間として大きな割合を占めるのが、設置面に固定装置を設置する際、太陽電池モジュールの大きさに合わせて精度よく固定装置の位置を調整して設置する時間である。
【0005】
特許文献1には、設置費用の抑制、工期短縮化が可能な、太陽電池パネル設置用架台を提供することを目的として、太陽電池パネルSpを傾斜支持するために、屋上の下地上に接地する基礎部と、基礎部に一体的に立設した、異なる支柱高さの固定側支持基体11と、可動側支持基体12とを有する、太陽電池パネル設置用架台が示されている。特許文献1に示される太陽電池パネル用架台の可動側支持基体12は、支持すべき太陽電池パネルの大きさに応じて、可動基礎部12aを移動可能にすると共に、太陽電池パネルを所定傾斜角度で受け入れて支持するための昇降調節受け部15とを備える。
【0006】
特許文献1に記載の太陽電池パネル用設置架台は、作業者が太陽電池パネルを支えた状態で設置する必要がある。太陽電池パネルを支えながらの設置作業は、作業が煩雑になると共に、家屋の屋根上での作業の場合は、作業での危険も増大する。また、可動基礎部とは別に、太陽電池パネルを保持する受容部15bが設けられている。すなわち、可動基礎部と受容部15bとが分離している構造のため、屋根等の設置面上で、受容部15bを可動基礎部に取付ける作業が発生し、作業が煩雑になる。
【0007】
また、太陽電池モジュールを屋根等の設置面に設置する際、積雪地域等ではその地域に応じた積雪量等を考慮して太陽電池モジュールの荷重性能を決定する必要がある。太陽電池モジュールの荷重性能を向上させるために、従来、太陽電池モジュール自体に補強フレームが設けられてきた。例えば、特許文献2には、太陽電池モジュールのフレーム(枠材)間に、太陽電池パネルの裏面を横断するように延び、太陽電池パネルが裏面側に撓んだときに太陽電池パネルを支持する補強フレームが設けられた太陽電池モジュールが開示されている。
【0008】
しかしながら、太陽電池モジュールの荷重性能は、設置する地域毎に必要な性能が異なっている。例えば、積雪地域では積雪のない温暖な地域と比較して、より高い荷重性能が求められる。特許文献2に記載される太陽電池モジュールのフレーム間に補強フレームを設ける構造によれは、設置地域毎に太陽電池モジュールの構造を変える(積雪地域には補強フレームを設け、非積雪地域には補強フレームを設けない等)か、又は、どの地域にでも太陽電池モジュールを設置できるよう、全ての太陽電池モジュールに補強フレームを設ける必要がある。前者の場合は、地域毎に太陽電池モジュールの構造を変える必要があるため、製造工程が煩雑となり、後者の場合は、非積雪地域に設置する太陽電池モジュールにも本来不要な支持部材を取付けた構造となるため、部材コストが高くなる。
【0009】
太陽電池モジュールの荷重性能を向上させる別の構造として、特許文献3に、太陽電池モジュールを支持する架台間に支持部材を渡設し、積雪等の荷重によって太陽電池モジュールが撓んだ際に、支持部材が太陽電池モジュールの非受光面を支持する太陽光発電システムが開示されている。
【0010】
特許文献3に開示される太陽光発電システムでは、太陽電池モジュールが設置される架台側で荷重性能を向上させることができるため、太陽電池モジュール自体の構造を地域毎に分ける必要がない、即ち、太陽電池モジュールの構造を、非積雪地域向けの構造とし、積雪地域に設置する場合は、架台側で対応することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献3に開示された太陽光発電システムでは、太陽電池モジュール毎に支持部材が架台に設けられており、太陽電池モジュールと同数の支持部材を必要としている。そのため、支持部材の加工コストがかかるとともに施工時の作業が煩雑になるという課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
太陽電池モジュールの大きさに合わせて架台の位置を調整し、設置時間を短縮する固定装置が望まれている。
【0014】
また、太陽電池モジュールの荷重性能を向上させつつ、より容易に設置可能な太陽電池モジュールの固定構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、太陽電池モジュールを固定して支持する固定装置において、基部と、太陽電池モジュールの受光面を支持可能な第1の支持面を有し、前記基部に設けられる第1のモジュール支持部と、太陽電池モジュールの非受光面を支持可能な第2の支持面を有し、前記基部に設けられる第2のモジュール支持部であって、前記第2の支持面が、前記第1の支持面よりも大きな表面積を有するとともに前記第1の支持面との間に一定の第1間隔を空けて配置される、第2のモジュール支持部と、前記基部を、前記第1及び第2の支持面に略平行な方向へ移動可能に担持する案内部材と、を備え
、前記第1の支持面が太陽電池モジュールを支持する長さと、前記第2の支持面が太陽電池モジュールを支持する長さとの差が、前記案内部材が移動可能な長さよりも大きい、固定装置を提供する。
【0017】
本発明は、複数の太陽電池モジュールを固定して支持する、前記固定装置であって、前記第1のモジュール支持部は、第1の太陽電池モジュールの受光面を支持可能な前記第1の支持面を有し、前記第2のモジュール支持部は、第1の太陽電池モジュールの非受光面を支持可能な前記第2の支持面を有し、さらに、第2の太陽電池モジュールの受光面を支持可能な第3の支持面を有し、前記第1のモジュール支持部の反対側に前記基部に設けられる第3のモジュール支持部と、第2の太陽電池モジュールの非受光面を支持可能な第4の支持面を有し、前記第2のモジュール支持部の反対側で前記基部に設けられる第4のモジュール支持部であって、前記第3の支持面との間に一定の第2間隔を空けて配置される、第4のモジュール支持部と、を有する、固定装置を提供する。
【0018】
本発明は、前記第1のモジュール支持部は、前記基部に弾性的に変位可能に設けられ、前記第2のモジュール支持部は、前記第2の支持面が、弾性的に変位していない前記第1のモジュール支持部の前記第1の支持面との間に一定の第1間隔を空けて配置され、前記第3のモジュール支持部は、前記基部に弾性的に変位可能に設けられ、前記第4のモジュール支持部が、弾性的に変位していない前記第3のモジュール支持部の前記第3の支持面との間に、前記第1間隔よりも小さい一定の第2間隔を空けて配置される、前記固定装置を提供する。
【0019】
本発明は、前記第1間隔は、前記太陽電池モジュールの厚みよりも大きく、前記第2間隔は前記第太陽電池モジュールの厚みよりも小さい、前記固定装置を提供する。
【0020】
本発明は、前記基部と前記第4のモジュール支持部との接合部分と、前記第4の支持面との間に溝を有する、前記固定装置を提供する。
【0021】
本発明は、前記第1の支持面と前記第2の支持面との間の開口、前記第3の支持面と前記第4の支持面との間の開口、及び前記溝の開口を塞ぐ端部カバーをさらに備え、前記基部には、前記溝の開口と前記基部の幅方向の中心線に対して略左右対称な位置に前記端部カバーを固定するねじ穴が形成されており、前記端部カバーには、前記ねじ穴と前記溝の開口とに対応する、前記端部カバーの幅方向の中心線に対して左右対称な長穴が形成されている、前記固定装置を提供する。
【0022】
本発明は、前記第1の支持面と前記第2の支持面との間の開口、前記第3の支持面と前記第4の支持面との間の開口、及び前記溝の開口を塞ぐ端部カバーをさらに備え、前記基部には、前記溝の開口と、前記基部の幅方向の中心線に対して略左右対称な位置に前記端部カバーを固定するねじ穴が形成されており、前記端部カバーには、前記ねじ穴と前記溝の開口とに対応する、前記端部カバーの幅方向の中心線に対して左右対称な2つの穴が形成されている、前記固定装置を提供する。
【0023】
本発明は、前記固定装置を用いて、太陽電池モジュールを固定する固定方法であって、
太陽電池モジュールを、第2のモジュール支持部の第2の支持面に載置することと、
前記基部を、前記案内部材を用いて前記第1及び第2の支持面に略平行な方向へ移動させ、太陽電池モジュールを前記第1の支持面と第2の支持面との間に挿入し、太陽電池モジュールを固定することと、を含む、固定方法を提供する。
【0024】
本発明は、連続して配置される複数の太陽電池モジュールを固定する固定構造であって、前記太陽電池モジュールの互いに反対にある一対の側部を保持する架台と、前記太陽電池モジュールの非受光面側に配置され、連続する複数の前記非受光面を支持する少なくとも一つの支持部材と、を備え
、前記架台が前記固定装置を含む、固定構造を提供する。
【0025】
本発明は、さらに、前記架台及び前記支持部材を固定する複数の桟材を備え、前記架台及び前記支持部材は前記複数の桟材を架け渡して固定される、前記固定構造を提供する。
【0026】
本発明は、前記支持部材は前記桟材と当接する係合片を有し、前記桟材は前記係合片を挟持する挟持部を有する、前記固定構造を提供する。
【0027】
前記支持部材は細長部材であり、前記支持部材は前記支持部材の軸線が前記架台に対して略平行になるよう配置される、前記固定構造を提供する。
【0028】
前記支持部材は、接着剤により前記複数の太陽電池モジュールの非受光面に接着する、前記固定構造を提供する。
【0029】
前記支持部材は、緩衝材を介して前記複数の太陽電池モジュールの非受光面を支持する、前記固定構造を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明による太陽電池モジュールの固定装置は、第1の支持面よりも大きな表面積を有する第2の支持面を有する。また、基部を第1及び第2の支持面に略平行な方向へ移動可能に担持する案内部材を備える。そのため、太陽電池モジュールを取付ける際、太陽電池モジュールの側部を、第2の支持面の先端に一旦載置することができる。その後、太陽電池モジュールを載置した後、基部を移動させることにより、太陽電池モジュールの側部を、第1の支持面と第2の支持面との間に挿入して、太陽電池モジュールを固定することができる。作業者は、太陽電池モジュールを支えることなく固定することができる。また、太陽電池モジュール大きさに合わせて、基部の位置合わせが容易になることから、施工作業時間が短縮され、施工作業時の危険性を抑制することができる。
【0032】
本発明による太陽電池モジュールの固定構造は、太陽電池モジュールの非受光面側に配置された支持部材が、連続して配置される非受光面を支持する。複数の太陽電池モジュールを一つの支持部材で支持するので、従来は太陽電池パネル毎に必要であった支持部材の数量を削減し、太陽電池モジュールを設置する際に必要な部材数を削減することができと共に、施工の簡便化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態において同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付して示し、理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。また、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明とその均等物におよぶ点に留意されたい。
【0035】
図1は、太陽電池モジュール20a〜20d(以下まとめて太陽電池モジュール20と称する場合がある)を屋根の設置面10に固定する本発明の実施形態による固定装置100を示す斜視図である。
図1に示すように、複数の太陽電池モジュール20は、設置面10の縦方向及び横方向に連続して配置され、固定装置100により設置面10に固定される。本明細書では、
図1に示すように、屋根の設置面10の傾斜方向、水上側から水下側への方向、棟側から軒側への方向、
図1の矢印Y方向を縦方向と称し、
図1の矢印X方向を横方向と称し、設置面10に対して垂直上向きな方向、
図1の矢印Z方向を上方向と称する。なお、
図1は後述する設置面10及び第1の架台110、第2の架台150、縦桟材210、サポートレール240を示すため一部の太陽電池モジュール20を省略して示している。
【0036】
本実施形態の固定装置100により固定する太陽電池モジュール20について説明する。
図2は、太陽電池モジュール20を示す図であり、
図2Aは平面図、
図2Bは
図2AのB−B線に沿った断面図である。太陽電池モジュール20は太陽電池基板21と、太陽電池基板21の裏面に設けられる裏面部材23と、太陽電池基板21の周囲を囲む枠材22(ガスケットとも呼ばれる)とから構成される。太陽電池基板21は、受光により発電する太陽電池素子を備え、適宜この太陽電池素子を保護するカバーガラス等を積層した基板であり、太陽電池モジュール20の受光面を形成する。本実施形態で用いる太陽電池素子は、シリコン結晶系(単結晶シリコン、多結晶シリコン)、非結晶系(アモルファスシリコン)、化合物系(CIS、CdTe、GaAs等)、あるいは有機系の太陽電池素子等いずれのものであってもよく、その種類は特に限定されない。枠材22は樹脂製であり、太陽電池基板21の周囲を破損しないよう保護している。本明細書では、太陽電池基板21が設けられる面(枠材22の上面も含む)を上面24(受光面)と称し、上面24の反対にある面(枠材22の下面も含む)を下面25(非受光面)と称する。太陽電池モジュール20の1つの側部を、第1の側部26と称し、第1の側部26の反対にある側部を第2の側部27と称する。図示する太陽電池モジュール20は周囲に樹脂からなる枠材22により端部が保護されているものを使用しているが、金属製のフレームを用いてもよい。また、図示するように太陽電池モジュール20は、枠材22を含む厚みT1を有する。
【0037】
本実施形態の固定装置100は、
図1に示すように、連続して配置される複数の太陽電池モジュール20a〜20dを設置面10に固定する装置である。固定装置100は、設置面10に水上側から水下側に向けて
図1のY方向に、所定間隔をあけて、互いに平行になるよう取付けられた、複数の縦桟材210上に設置される。固定装置100は、太陽電池モジュール20を固定して支持する複数の第1の架台110と、第1の架台を移動可能に担持する案内部材212とを備える。また、軒先に配置され、太陽電池モジュール20を固定して支持する第2の架台150を備える。
【0038】
第1の架台110は、
図3に示すように、太陽電池モジュール20aの第1の側部26に沿って配置される基部111(主壁部112を含む)と、基部111に設けられ、太陽電池モジュール20aの第1の側部26側にある上面(受光面)を支持可能な第1の支持面113aを有する第1のモジュール支持部113と、太陽電池モジュール20aの第1の側部26側にある下面(非受光面)を支持可能な第2の支持面114aを有し、基部111に設けられる第2のモジュール支持部114とを有する。第2の支持面114aは、第1の支持面113aよりも大きな表面積を有し、第1の支持面113aとの間に、太陽電池モジュール20aの第1の側部26を挟持可能な間隔T2を空けて配置される。第1のモジュール支持部113と第2のモジュール支持部114は、基部111から同じ方向に延びるとともに、主壁部112に接続されて一体的に構成される。
【0039】
第2の支持面114aが太陽電池モジュール20aを支持可能な長さD1(第2のモジュール支持部114が主壁部112から延びる長さD1)は、第1の支持面113aが太陽電池モジュール20aを支持可能な長さD2(第1のモジュール支持部113が主壁部112から延びる長さD2)より長く形成される。また、第1の架台110の基部111は、設置面10の縦桟材210に、第1の支持面113a及び第2の支持面114aに略平行な方向、図の矢印Y方向へ、案内部材212により移動可能に担持されている。第1のモジュール支持部113の第1の支持面113aと第2のモジュール支持部114の第2の支持面114aとの間隔T2は、太陽電池モジュール20の厚みT1と略同じか、それより大きい厚みで形成されるのが好ましい。
【0040】
第1の架台110は、基部111の下端から延びるフランジ部115、116を有し、図に示すように、案内部材212は、第1の架台110の基部111を、フランジ部115、116を介して、第1の支持面113a及び第2の支持面114aに略平行な方向に移動可能に担持する。
【0041】
縦桟材210は中空の細長部材であり、
図4に示すように、その上面に長手方向に沿ったスリット216が形成されている。案内部材212は、スリット216に従って移動するよう構成されている。案内部材212は、締結部材213(ボルト)を締結することで、縦桟材210に固定される。
【0042】
縦桟材210の側部には、
図3及び
図4に示すように長穴217が形成されている。案内部材212は長穴217に挿入される突部215を有する。案内部材212は、突部215が長穴217の端部に当接することで、移動する範囲が制限される。案内部材212の移動範囲を制限することで、第1の架台110の移動範囲が制限され、作業員が誤って第1の架台110を落下させることを防止することができる。
【0043】
第2のモジュール支持部114の第2の支持面114aが太陽電池モジュール20aを支持可能な長さD1と、第1のモジュール支持部113の第1の支持面113aが支持可能な長さD2との長さの差D3は、案内部材212が移動可能な範囲よりも長いほうが好ましい。太陽電池モジュール20を取外す場合、第1の架台110が長さD3以上の長さで、尾根側(図のY方向とは反対の方向)にスライドすると、第2のモジュール支持部114が太陽電池モジュール20を支持できず、太陽電池モジュール20が落下する可能性がある。案内部材212の移動可能な範囲を長さの差D3よりも小さくすることにより、太陽電池モジュール20の落下を防止することができる。
【0044】
図3に示す、第1の架台110は、基部111を挟んで、太陽電池モジュール20aと隣り合う太陽電池モジュール20bを支持するよう構成されている。第1の架台110は、第1のモジュール支持部113の反対側で基部111に設けられ、太陽電池モジュール20bの、第2の側部27側にある上面(受光面)を支持可能な第3の支持面123aを有する、第3のモジュール支持部123と、太陽電池モジュール20bの第2の側部27を挟持できる一定の間隔T3を第3の支持面123aとの間に空けて、第2のモジュール支持部114の反対側で基部111に設けられ、太陽電池モジュール20bの、第2の側部27側にある下面(非受光面)を支持可能な第4のモジュール支持部124と、を備える。太陽電池モジュール20bの第2の側部27は、第3のモジュール支持部123と第4のモジュール支持部124とにより挟持される。第3の支持面123aと第4の支持面124aとの間隔T3は太陽電池モジュール20の厚みT1よりも小さく形成されるのが好ましい。
【0045】
第1の架台110には、第4のモジュール支持部124の根元部分(第4のモジュール支持部124と基部111との接合部分)において、第3の支持面123aと第4の支持面124aとの間から、太陽電池モジュール20bの第2の側部27を挿入可能な溝125が形成される。太陽電池モジュール20bを、第1の架台110に取付ける際、溝125を利用して、
図5Aに示すように、太陽電池モジュール20bを、斜め上方向(
図5Aの矢印E方向)から、第3の支持面123aと第4の支持面124aとの間に挿入することができ、挿入後、太陽電池モジュール20bを矢印F方向に下げることにより、太陽電池モジュール20bの第1の側部26を他方の第1の架台の第2のモジュール支持部114に載置することができ(
図10B参照)、太陽電池モジュール20bを設置面10に対して平行に設置することができる。太陽電池モジュール20を設置面10に対して平行な方向(図のY方向)から挿入する場合よりも、作業員に無理な姿勢をさせることがなく、作業時の負担が軽減される。また、図示実施形態では、第3の支持面123aと第4の支持面124aとの間隔T3より、溝125と第3の支持面123aとの間の開間隔T4のほうがより広く形成されており、太陽電池モジュール20bの第2の側部27を容易に挿入することができる。また、溝125は排水溝として使用できる。
【0046】
また、図示実施形態では、第4のモジュール支持部124が基部111の主壁部112から延びる長さD4は、第3のモジュール支持部123が基部111の主壁部112から延びる長さD5より長く形成されている。第4のモジュール支持部124が第3のモジュール支持部123より長く形成されることで、例えば太陽電池モジュール20を固定する前に、第4のモジュール支持部124と、他方の側部を支持する第2のモジュール支持部114と共働することで、太陽電池モジュール20を一時的に固定装置100上に載置することができる。
【0047】
本実施形態の第1の架台110に設けられた、第1のモジュール支持部113と第3のモジュール支持部123とは互いに連結している。第1のモジュール支持部113は、基部111に弾性的に変位可能に設けられ、第2のモジュール支持部114は、第2の支持面114aが、弾性的に変位していない第1のモジュール支持部113の第1の支持面113aとの間に一定の第1間隔T2を空けて配置されている。また、第3のモジュール支持部123は、基部111に弾性的に変位可能に設けられ、第4のモジュール支持部124の第4の支持面124aが、弾性的に変位していない第3のモジュール支持部123の第3の支持面123aとの間に、第1間隔T2よりも小さい一定の第2間隔T3を空けて配置される。第2間隔T3は、
図3に示すように、第3の支持面123aと第4の支持面124aとの垂直方向の距離である。なお、本実施形態の第1間隔T2は、太陽電池モジュール20の厚みT1より大きく形成されていて、第2間隔T3は、太陽電池モジュールT1の厚みより小さく形成されている。
【0048】
この構成を有することで、太陽電池モジュール20aが、第1のモジュール支持部113と第2のモジュール支持部114との間に挿入され支持された後、太陽電池モジュール20bが、第3のモジュール支持部123と第4のモジュール支持部124との間に挿入されると、太陽電池モジュール20bの上面により第3のモジュール支持部123が、
図5Bの矢印H方向に付勢され、矢印J方向に回転する。図示実施形態では、第4のモジュール支持部124と溝125との接点128(
図5B参照)が支点となり、より強固に押し上げる。それにより、第1のモジュール支持部113が矢印K方向に下がり、太陽電池モジュール20aの第1の側部26の上面を押圧する。押圧することにより、太陽電池モジュール20aがより強固に固定されるようになる。挿入して挟持するだけでは、太陽電池モジュール20aが横方向にずれる可能性があり、ねじ等を用いて固定する場合があった。本実施形態の第1の架台110のように、第1のモジュール支持部113により押圧して太陽電池モジュール20aを固定することで、太陽電池モジュールのズレやガタツキを防止できる。また、別途ねじ等を用いて太陽電池モジュールを固定する必要がなくなり、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
図6に、太陽電池モジュール20aの第2の側部27を保持する第2の架台150の一例を示す。第2の架台150は、基部151と、基部151の上端に設けられ、太陽電池モジュール20aの第2の側部27側にある上面を支持可能な第3の支持面153aを有する第3のモジュール支持部153と、太陽電池モジュール20aの第2の側部27側にある下面を支持可能な第4の支持面154aを有し、太陽電池モジュール20aの第2の側部27を挟持するよう、第4の支持面154aが第3の支持面153aとの間に一定の間隔T3を空けて配置される、第4のモジュール支持部154とを備えている。第2の架台150は、屋根の軒先側に設けられる場合があり、美観を良くするため、第2の架台150の軒先側には化粧板157が形成されている。また、第2の架台150には、第4のモジュール支持部154の根元部分において、第3の支持面153aと第4の支持面154aとの間から太陽電池モジュール20aの第2の側部27を挿入できる溝155が形成される。
図3に示す溝125と同様、溝155を排水溝としても利用することができる。
【0050】
基部151の下端にフランジ部156が設けられており、第2の架台150は、フランジ部156を介して縦桟材210に固定されている。図示実施形態では、第2の架台150は、第1の架台110と同様、案内部材212を用いて縦桟材210に固定されているが、第2の架台150は移動しなくてよく、ボルト等を用いて縦桟材210に直接固定してもよい。
【0051】
図7に、第1の架台110の別例である第1の架台310を示す。
図3に示す第1の架台110は、複数の太陽電池モジュールを固定するために、第3のモジュール支持部123及び第4のモジュール支持部124を備えていた。しかしながら、例えば最も水上側に配置される最後の太陽電池モジュールを支持する第1の架台は、隣接する太陽電池モジュールの第2の側部を支持する必要が無いので、第3のモジュール支持部123及び第4のモジュール支持部124を省略してもよい。第1の架台310は、基部311と、太陽電池モジュールを支持可能な第1の支持面313aを有し、基部311に設けられる第1のモジュール支持部313と、太陽電池モジュールを支持可能な第2の支持面314aを有し、基部311に設けられる第2のモジュール支持部314であって、第2の支持面314aが、第1の支持面313aよりも大きな表面積を有するとともに第1の支持面313aとの間に一定の第1間隔T2を空けて配置される、第2のモジュール支持部314と、を備える。
【0052】
図3に示す第1の架台110、
図6に示す第2の架台150、は、太陽電池モジュール20の側部を上下から挟み込み、第1の架台110の長手方向(
図1のX方向)に対しては、太陽電池モジュール20を摩擦のみで固定している。そのため、太陽電池モジュール20を設置してから年月が経過した場合、太陽電池モジュール20が、第1の架台110及び第2の架台150の長手方向(横方向、X方向)に移動し、第1の架台110や第2の架台150からはみ出すことが懸念される。この懸念を解消するために、太陽電池モジュール20が取付けられた後に、第1の架台110と第2の架台150には、第1の支持面113aと第2の支持面114aとの間の開口、及び、第3の支持面123aと第4の支持面124aとの間の開口、及び溝125の開口を塞ぐ端部カバーが取付けられ、太陽電池モジュールの横方向の移動を防止する。従来、端部カバーを架台に取付ける場合、架台の左右の端部でねじ穴の位置が異なることから、端部のねじ穴の位置に合わせた端部カバー230を形成する必要があった。
【0053】
図8は本実施形態の第1の架台110の端部に取付ける端部カバー230を示す図で、
図8Aは平面図、
図8Bは正面図、
図8Cは別例を示す正面図である。
図9は、端部カバー230を、第1の架台110の端部に取付けた状態を示す図である。
【0054】
第1の架台110は、上述したように、溝125と、基部111の幅方向の中心線Lに対して略左右対称の位置に端部カバー230を取付けるためのねじ穴126が形成されている(
図3参照)。そして、端部カバー230には、端部カバー230を第1の架台110に取付けたとき、ねじ穴126と溝125に連結する長穴231が、端部カバー230の幅方向の中心線Lに対して左右対称となるよう形成されている。図示実施形態では、長穴231が形成されているが、
図8Cに示す端部カバー230aのように、幅方向の中心線Lに対して左右対称な位置に二つの穴232、233が形成されてもよい。図示実施形態の端部カバー230、230aのように、長穴231や、穴232、233を形成することで、第1の架台110の両端を塞ぐ端部カバー230、230aを共通化することができる。また、溝125に流入した雨水を、溝に連結する端部カバー230の長穴231、端部カバー230aの穴232又は穴233から排出することが可能になる。
【0055】
端部カバー230、230aには、第1の架台110に取付ける際、端部カバー230230aのみで自立できるよう脚部236が設けられている。端部カバー230、230aの下端部には、第1の架台110の基部111の内部に流入した水を排水する2つの排水孔237が形成されている。
【0056】
本実施形態の固定装置100は、第1の架台110と第2の架台150を用いて太陽電池モジュールの対向する2つの側部(第1の側部26、第2の側部27)を支持する構造である。太陽電池モジュールの第1の側部26及び第2の側部27以外の他の2つの側部は支持されていないため、太陽電池モジュールの荷重性能は、太陽電池モジュールを囲む4つの側部を全て支持した場合と比較して劣る。この荷重性能を向上させるために、
図1に示すように、本実施形態の固定装置100は、太陽電池モジュール20の下面を支持するサポートレール240(支持部材)をさらに備えてよい。
図1に示すサポートレール240は、第1の架台110と第2の架台150との間、又は第1の架台110同士の間で、2本以上の縦桟材210間を架け渡して、横方向(X方向)に設けられる。サポートレール240の設置方法はこれに限定されず、サポートレール240を設置面10に直接配置してもよい。また第1の架台110と第2の架台150との間又は2本の第1の架台110間で架け渡して配置してもよい。
【0057】
図10A〜Dを用いて、本実施形態の固定装置100を用いた、太陽電池モジュール20の固定方法について説明する。
【0058】
設置面10に、複数本の縦桟材210を互いに平行に、縦方向に並べて配置して取付ける。次に、第2の架台150を軒先側に配置し、縦桟材210上に固定する。
【0059】
複数本の第1の架台110を縦桟材210上に配置して、各第1の架台110を、案内部材212を用いてスライド可能な状態で取付ける。
【0060】
図10Aに示すように、第2の架台150の第3のモジュール支持部153と第4のモジュール支持部154との間に、溝155に向けて太陽電池モジュール20aの第2の側部27を斜め上方向(図の矢印M方向)から挿入する。
【0061】
第2の側部27が溝155の奥まで挿入された後、
図10Bに示すように、太陽電池モジュール20aを下方(図の矢印N方向)に降ろし、太陽電池モジュール20aの第1の側部26を、第1の架台110の、第2のモジュール支持部114の先端に載置する。
【0062】
次に、第1の架台110を、
図10Cに示すように、縦方向(図の矢印O方向)に移動させ、太陽電池モジュール20aの第1の側部26を、第1のモジュール支持部113の第1の支持面113aと第2のモジュール支持部114の第2の支持面114aとの間に挿入し、第1のモジュール支持部113と第2のモジュール支持部114とにより第1の側部26が挟持されるようにする。その後、案内部材212の締結部材213を締結して案内部材212を縦桟材210に固定する。これにより、太陽電池モジュール20aの固定が完了する。
【0063】
引き続いて、
図10Dに示すように、第1の架台110の第3のモジュール支持部123の第3の支持面123aと第4のモジュール支持部124の第4の支持面124aとの間に、溝125に向けて太陽電池モジュール20bの第1の側部26を斜め上方向(図の矢印P方向)から挿入する。以降は、
図10Aに示す太陽電池モジュール20aと同様の工程を実施、太陽電池モジュール20bを固定する。
【0064】
以上、本実施形態による、太陽電池モジュールの固定装置及びその固定装置を用いた固定方法について図を参照することにより説明した。
【0065】
本実施形態では、水下側に配置する太陽電池モジュール20aの第1の側部と、水上側に配置した太陽電池モジュール20bの第2の側部とを、ひとつの第1の架台を用いて固定していたが、第1の側部を支持する第1の架台と、第2の側部を支持する第2の架台とを別々に設けても良い。
【0066】
設置面に対して縦方向に配置された複数本の縦桟材を用いて設置面に第1の架台及び第2の架台を取付けていたが、設置面に横方向に配置される横桟材を設置し、横桟材上に横方向にスライド可能な第1の架台及び第2の架台を設置してもよい。
【0067】
第1の架台を設置面に設置した後に、太陽電池モジュールを架台に載置し、その状態から第1の架台を移動させて第1の架台の設置位置を微調整できる。そのため、太陽電池モジュールの固定作業を簡便にすることが可能になり、それにより施工作業時間の短縮及び施工作業時の危険性を抑制することができる。
【0068】
次に、本願発明の第二実施形態である、連続して配置される太陽電池モジュールの固定構造について図を用いて説明する。
【0069】
図11は、連続して配置された二枚の太陽電池モジュール20a、20bを屋根の設置面10に固定する固定構造400を示す斜視図である。
図11に示すように、太陽電池モジュール20a、20bは、横方向(図の矢印X方向)に連続して配置され、固定構造400により固定される。なお、
図1と同様、屋根の設置面10の傾斜方向、水上側から水下側への方向、棟側から軒側への方向、
図11の矢印Y方向を縦方向と称し、
図11の矢印X方向を横方向と称し、設置面10に対して垂直上向きな方向、
図11の矢印Z方向を上方向と称する。
【0070】
本実施形態の固定構造400で固定する太陽電池モジュール20a、20bは、
図2に示す太陽電池モジュール20と同様であるためその詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施形態の固定構造400は、
図11に示すように、連続して配置される複数の太陽電池モジュール20a、20bを設置面10に固定する固定構造である。固定構造400は、複数の太陽電池モジュール20の互いに反対側にある一対の第1の側部26、第2の側部27を保持する第1の架台420と第2の架台421と、複数の太陽電池モジュールの非受光面側に配置され、連続する複数の非受光面を支持する支持部材430と、を備える。また、図示実施形態の固定構造400は、さらに複数の縦桟材410(桟材)を備え、第1の架台420、第2の架台421及び支持部材430は、複数の縦桟材410に固定される。
【0072】
複数の縦桟材410は、設置面10に水上側から水下側に向けて
図11のY方向に、所定間隔をあけて、互いに平行になるように取付けられる。なお、縦桟材410は、設置面10の不陸を調整するために設けられており、設置面10が平らである場合、縦桟材410を設けず、第1の架台420、第2の架台421及び支持部材430を直接設置面10に固定してもよい。また、図示する固定構造400の縦桟材410は、設置面10にボルト等の締結具により固定されている。また、縦桟材410が固定される場所は設置面10に限らず、縦桟材410は、例えば地面に立設される複数の支柱によって固定されてもよい。また、縦桟材410は、設置面10横方向(矢印X方向)に延びる横桟材であってもよく、縦桟材410が設置される方向は限定されない。横桟材である場合、第1の架台420、第2の架台421及び支持部材430は、水上側から水下側に向けて
図11のY方向に延びるよう設置される。また、図示実施形態の縦桟材410は中空の細長部材であり、架台420、421及び支持部材430を配置可能な上面416を有する。
【0073】
図12に示すように、固定構造400において第1の架台420及び第2の架台421が太陽電池モジュール20を保持する構造は、連続して配置される複数の太陽電池モジュールの一対の側部26、27を保持して固定する構造を有していればよく、第1の架台420が太陽電池モジュール20の側部26、27を保持する構造は限定されない。第1の架台420及び第2の架台421は、
図1、3〜7に示す第1の架台110、第2の架台150であってもよい。
【0074】
固定構造400の支持部材430は長尺の細長部材であり、上述のように、複数枚の連続する太陽電池モジュール20a、20bの非受光面側に設けられ、連続する非受光面を支持する。支持部材430は、複数の縦桟材410に渡って取付けられる。図では2枚の太陽電池モジュール20a、20bの非受光面25を支持しているが、3枚以上、横方向に連続する太陽電池モジュール20の非受光面25を支持してよい。また、図に示す実施形態において、支持部材430は、2本の縦桟材410に架け渡して取付けられているが、3本以上の縦桟材410が設置される場合、それら全ての縦桟材に架け渡すよう取付けられてよい。
【0075】
従来は、太陽電池モジュール20毎に、太陽電池モジュールの一対の側部を支持する架台を架け渡して支持部材が設けられていた。本実施形態による太陽電池モジュールの固定構造400の支持部材430は、連続して配置される複数の太陽電池モジュール20の非受光面25を支持するため、太陽電池モジュール20を設置するのに必要な部材数を削減することができるとともに、太陽電池モジュール毎に支持部材を取付ける場合と比較して、取付ける手間を削減することができる。
【0076】
図示実施形態の支持部材430は、支持部材430の軸線が第1の架台420及び第2の架台421に対して略平行になるよう、太陽電池モジュール20の非受光面25側に配置されている。すなわち、支持部材430は、太陽電池モジュールの第1の側部26、第2の側部27に対して略平行になるよう第1の架台420と第2の架台421との間の空間に配置されている。
【0077】
支持部材430を、架台に対して平行に配置することで、第1の架台420からの距離Lが一定となり例えば桟材に支持部材430を取付ける際に用いる挟持部(詳細は後述する)の位置を同じにすることができる。そのため、支持部材430を取付ける位置が異なる複数の種類の縦桟材410を用意することがなく、一種類の縦桟材410を用意すればよい。複数の種類の縦桟材を用意する必要が無いため、資材コストを下げることできる。
【0078】
また、支持部材430と第1の架台420との距離Lは、第1の架台420と第2の架台421との間の距離Wの略半分となるよう配置される。太陽電池モジュールが、積雪により変形する場合、すなわち下方に撓む場合、もっとも荷重がかかる位置が、太陽電池モジュールの中央部分(第1の架台420と第2の架台421との間の中間地点)であり、その付近に支持部材を配置することで効率よく太陽電池モジュールを支持することができる。しかしながら、支持部材430の第1の架台420からの距離Lはこれに限定されず、太陽電池モジュールにかかる荷重に応じて、荷重性能を最も高くする地点に配置してよい。第1の架台420からの距離Lは、例えば距離Wの1/3から2/3の間の距離離れた大きさであってもよい。
【0079】
また、1つの支持部材430で、必要とされる荷重性能が不足する場合は、二つ以上の支持部材430を、第1の架台420と第2の架台421との間の空間に配置してもよい。二つ以上の支持部材430は、互いに平行となるよう配置してよい。また、二つ以上の支持部材は交差して配置してもよい。
【0080】
次に、支持部材430の形状について説明する。支持部材430は、
図11に示すように細長部材であり、金属製でスチールを加工することにより作製される。
図12に示すように支持部材430はH字形状の断面を有し、本体431と、本体431の上端からフランジ状に形成され、太陽電池モジュール20の非受光面25と当接する支持部432と、本体431の下端からフランジ状に形成され、縦桟材に固定される固定部433とを備える。支持部432の水上側に延びるフランジ部と水下側に延びるフランジ部の幅は略同じ張り出し幅である。一方、下端に形成された固定部433の、水上側に延びるフランジ部と水下側に延びるフランジ部の張り出し幅は異なり、水下側に延びるフランジは水上側に延びるフランジ部より長く形成されている。これにより、施工時において支持部材430を縦桟材410上に載置したとき、支持部材430が水下側に倒れ難くなる。また、本実施形態では、固定部433の水下側に張り出すフランジ部は、縦桟材に形成された挟持部415に挿入され挟持される係合片434として機能する。また、本実施形態の支持部材430は、H字形の断面を有するが、断面形状はこれに限定されず中密又は中空の四角形で形成されてよい。
【0081】
支持部432と、太陽電池モジュール20の非受光面25とは直接当接し支持する構造としている。支持部432と非受光面25とは、接着剤例えば両面テープ等を用いて接着されてもよい。支持部432と非受光面25とが接着することで、太陽電池モジュールの非受光面側から吹き上げる風により上方向に係る荷重(負荷重)に対しても、抗することができ、太陽電池モジュールの荷重性能を向上させることが可能になる。また、支持部材430は、支持部432と非受光面25との間に緩衝部材、例えばスポンジやゴム等を介して太陽電池モジュール20を支持してよい。緩衝部材を設けることで、太陽電池モジュール20の破損等を防止することができる。
【0082】
図12に示す支持部材430は、太陽電池モジュール20の非受光面25と直接当接しているが、太陽電池モジュール20に積雪等の荷重がかかっていない場合、非受光面25と支持部材430の支持部432との間に隙間を設けて設置してもよい。この場合、積雪等で太陽電池モジュール20が変形、すなわち非受光面側に撓んだときに、非受光面25が支持部432に接触し、支持部材430が太陽電池モジュール20を支持する。隙間を設けることで、例えば熱膨張等による変形により支持部材が太陽電池モジュール20に与える影響を最小限にすることができる。
【0083】
支持部材430は、第1の架台420及び第2の架台421と同様に縦桟材410にボルト等の締結具を用いて固定してよい。しかしながら、支持部材430は、太陽電池モジュール20の側部26、27を保持する第1の架台420や第2の架台421ほど荷重がかからないため、施工を容易にするためにより簡易な方法で固定してもよい。図示実施形態の縦桟材410の上面416には、舌状に切り欠かれた挟持部415が形成され、縦桟材410に当接する支持部材430の下端に形成された係合片434を、挟持部415と桟材410の上面416との間に挿入することにより、支持部材430を縦桟材410に固定する。支持部材430を縦桟材410に載置した後、水下側(図の矢印Y方向)に支持部材430を移動させて係合片434を挟持部415に挿入することで固定できる。支持部材430を固定するために例えばボルトをボルト穴に挿入して締結する作業を必要としないので、支持部材430を縦桟材410に固定する作業時間を削減することができる。
【0084】
挟持部415の別例について、
図13〜15Bを用いて説明する。
図12に示す挟持部415は、縦桟材410の上面416を切り欠いて一体的に形成される。そのため、例えば挟持部415が破損すると、縦桟材を別の縦桟材に交換する必要がある。
図13に示す挟持部は、支持部材を挟持する部分を、縦桟材410とは別部材の挟持部材440を取り付けて実現する。縦桟材410と挟持部材440とを別部材とすることで、挟持部材440が破損した場合でも、挟持部材440のみを交換することで対応することができる。また、すべての縦桟材に挟持部を設ける必要がなく、支持部材430を設置する場合にのみ挟持部材440を取付けることで、部材数を削減することができる。
【0085】
図13に示す挟持部材440は、本体441と、本体441の一方の端部から延び、支持部材430の係合片434を挟持する挟持部442と、本体441の両側部から下方に延びる二つの引掛部443、444と、二つの固定片445、446と、本体441の他方の端部に設けられたストッパ447とを備える。縦桟材410は、
図13及び
図14に示すように、上面416にスリット411が形成され、また、挟持部材を取付ける位置の上面416に、二つの切り欠き孔417、418が形成されている。引掛部443、444は、切り欠き孔417、418に挿入されその先端を、縦桟材410の上面416の裏側に引掛けて取付けられる。
【0086】
固定片445、446は、
図14に示すようにスリット411の幅に合わせて設けられ、
図15A、
図15Bに示すようにその先端の凸状部をスリット411の両側にある上面416の裏側に引掛けるようになっている。本体441の他方の端部に設けられたストッパ447は、スリット411の幅より広い幅を有するよう形成される。そのため、
図15Aに示すよう、挟持部材440を矢印Qの方向に押したとき、挟持部材440の本体441は
図15Bに示すようにスリット411に入り込まない。
【0087】
図13に示す挟持部材440は、ボルト等の締結具を用いることなく、引掛部や固定片を切り欠き孔やスリットに挿入することで取付けることができるので、容易に支持部材を取付ける挟持部を形成することが可能であり、延いては簡便に支持部材を取付けることができる。
【0088】
以上、本実施形態による、太陽電池モジュールの固定構造について図を参照することにより説明した。