(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0048】
表面張力試験方法
プラチナPL01プレート(Kruss GmbH(Hamburg,Germany)から入手可能)を含むWilhemy(Wilhemly)プレート法により、K12表面張力計(processtensiometer)(Kruss GmbHから入手可能)を使用して、表面張力を測定した。試験する40mLの溶液を、内径およそ1.5インチ(3.8センチメートル)の60mLのガラス製スナップキャップ瓶の中に入れた。5回の測定を平均して、標準偏差が0.07dyn/cm未満になるまで、測定を行った。
【0049】
【表2】
*本発明の構造は、ローマ数字にて示す。比較構造例は、アルファベット文字にて示す。
【0050】
界面活性剤合成例:
合成1:C
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OH(I)及びC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH]
2(II)
C
4F
9SO
2NH
2(100.00g、0.3343モル)(米国特許第7,169,323号に記載の通り調製)、K
2CO
3粉末(5.54g、0.0401モル)、及び無水炭酸プロピレン(68.26g、0.6687モル)を、Claisenアダプタ、窒素導入ラインを有する水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、マグネチックスターラー、及び加熱マントルを備える200mLの丸底フラスコにバッチ投入した。反応混合物を、窒素下で撹拌しながら、160℃まで徐々に加熱し、次いで、160℃で約15時間保持した。室温まで冷却した後、反応混合物のアリコートを取り出して、アセトン中のGCにより分析した。GC−FID分析により、約38%のC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OH及び24%のC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH]
2(2つのジアステレオマーの混合)の存在が判明した。GC−MSによって、ピーク同定を確認した。反応混合物に、69.4gの脱イオン水と、19.4gの20重量%のH
2SO
4(水)と、を加えた。60℃まで加熱して粘度を下げた後、反応混合物を強く撹拌して、全ての残留塩基を中和し、次いで、分液漏斗に移して、相分離させた。下部の生成物相が分離され、約60mLの追加の温水で洗浄され、次いで再び相分離された。下部の生成物相が単離され、次いで240gのMTBE(Sigma−Aldrich(St.Louis(St Louis),MO)から入手可能なメチルt−ブチルエーテル)に溶かされ、粘度を下げ、かつ更なる抽出を促進した。ひだ付き濾紙を通した自重濾過の後、MTBE中の生成物溶液を1.0Lの分液漏斗に移し、脱イオン(DI)水の3つの300mLの部分で抽出した。上部のMTBE/生成物相が単離され、次いで20トル(3kPa)、20〜50℃のロータリーエバポレーター上で濃縮され、MTBE溶媒の大部分が除去され、粗生成物が単離された。
【0051】
次いで、粗生成物が、短いVigreuxカラムを通して真空下(3トル(0.4kPa))で分別蒸留され、2つの所望の生成物の留分が分離かつ単離された。36.4gの純度92.1%のC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OHを含む留分#2を、128〜133℃のヘッド温度で収集した。12.49gの純度91.7%のC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH]
2(2つのジアステレオマーの混合)を含む留分#5を148.0〜148.5℃のヘッド温度で収集した。2つの単離された生成物の留分(#2及び#5)を熱トルエン中で20固体%まで別々に溶かし、熱濾過して不溶分を除去し、次いで室温まで冷却し、かつ再結晶化させる。再結晶化が一旦完了すると、形成された白い結晶性固体が真空濾過によって単離され、室温(RT)でトルエンにて洗浄され、次いで同様の手順により、約30固体%の熱トルエンから2度目の再結晶化が起こった。単離された結晶性固体を約80ミリトル(0.01kPa)の真空オーブン内において60〜65℃で約3時間真空乾燥し、残留トルエン及び他の揮発物を除去した。留分#2からのC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OHの最終単離収率は、GC−FID純度98.54%で27.082gであった。C
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OHは、DSCにより判定されたように、融点が80.33℃の固体であった。留分#5からのC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH]
2fの最終単離収率は、GC−FID純度99.77%で8.537gであった(2つの可能なジアステレオマーのおよそ50:50の混合物)。両方の場合において、唯一の観察可能な不純物は、残留トルエン溶媒であった。両方の精製された生成物試料を
1H、
19F、及び
13CのNMR分光法によって分析して、主要な異性体成分を同定し、この成分の相対量を判定した。蒸留留分#2から単離された生成物は、98.3%のC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH(CH
3)OH(主要異性体(major isomer))及び1.7%のC
4F
9SO
2N(H)CH(CH
3)CH
2OH(少量異性体(minor isomer))を含有していることが分かった。留分#5は、99.2%のC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH]
2(主要異性体)及び0.8%のC
4F
9SO
2N[CH
2CH(CH
3)OH][CH(CH
3)CH
2OH](少量異性体)を含有していることが分かった。NMRの結果により、炭酸プロピレンが、好ましくは、非置換第二級−CH
2−炭素において、求核スルホンアミド窒素によって攻撃され、主要なモノオール及びジオール生成物異性体を形成することが確認された。
【0052】
合成2:C
4F
9SO
2N(H)CH
2CH
2OCH
2CH
2OH(III)
C
4F
9SO
2NH
2(100.00g、0.3343モル)及びトリエチルアミン(101.48g、1.0029モル)を、Claisenアダプタ、滴下漏斗、窒素導入ラインを有する水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える500mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値60℃まで加熱した後、ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(53.726g、0.4313モル、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)から入手可能)を、滴下ロートから、40分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、95℃まで上がり、17時間保持された結果、かなりの白い沈殿物が形成された(Et
3NH
+Cl
−)。反応混合物のアリコートのGC分析は、反応が36.5%の転化までしか進まなかったことを示したため、更に10.00gのClCH
2CH
2OCH
2CH
2OHを、注射器で反応混合物に投入し、混合物を撹拌しながら、更に66時間、95℃で反応させた。室温まで冷却した後、GC−FID分析のために反応混合物のアリコートを取り出し、GC−FID分析により、23.1%の未反応C
4F
9SO
2NH
2、52.2%のC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH
2OCH
2CH
2OH(所望の生成物)、及び24.8%の対応するジオール、C
4F
9SO
2N[CH
2CH
2OCH
2CH
2OH]
2が判明した。冷却した反応混合物に、69gの脱イオン水と99.4gの20% H
2SO
4(水)を撹拌しながら加えた。得られた混合物を、1.0Lの分液漏斗に移して、239gのMTBEで抽出した。下部水相は、分離されて排出され、残留MTBE/生成物相は、300mLの脱イオン水で洗浄された。安定したエマルションが形成され、少量の濃縮NaCl水及び150mLの42.5%リン酸を加えることにより、破壊された。この1回目の洗浄後、下部水相を排出し、残留MTBE相を、300mLの水及び150mLの42.5%リン酸の混合物で、更に2回洗浄した。3回目の洗浄の間、安定したエマルションが再度形成されたため、分液漏斗の内容物全体をビーカー内に排出して、MTBEを蒸発させた。この結果、水性酸(上部相)からの生成物(下部相)の明確な(clean)相分離がもたらされる。下部生成物相は、分液漏斗を使用して単離され、次いで、短いVigreuxカラムを通した2.0トル(0.27kPa)の分別真空蒸留によって、精製された。合計33.9gの所望の生成物である、C
4F
9SO
2N(H)CH
2CH
2OCH
2CH
2OHを、ヘッド温度が136.5〜143.5℃の留分#3で収集した。留分#3で収集した単離された生成物は、最初は、無色透明の強粘液体であり、GC−FIDにより判定された純度は、99.25%であった。GC−MSによって、GCピーク同定を確認した。この物質は、最終的に、融点(mp)が35.7℃の低融点固体に結晶化した。
【0053】
合成3:C
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)2、(IV)
C
4F
9SO
2NH
2(295g、0.9867モル)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(491g、3.94モル)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える1000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸カリウム(300g、2.17モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。バッチ温度は、90℃まで下がり、1000gの温水が加えられた。内容物は、分液漏斗内で分割され、622gの下部フッ素系相が得られた。下部相をフラスコに戻し、300mLの水、107gの86%リン酸、及び53gの塩化ナトリウムを加えて、バッチとともに撹拌し、次いで分液漏斗内に注いだ。次いで、下層が、切り離され、669gが得られた。ポット温度が150℃に達するまで、下部相を大気圧で逆抽出した(stripped)。次いで、バッチを90℃まで冷却し、良好な撹拌により真空下で逆抽出を継続し、未反応のClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH及びC
4F
9SO
2NH
2を除去した。ドライアイス/アセトン中で冷却された受器に対して、90℃及び103mm Hg(13.7kPa)で、逆抽出を開始し、真空が0.4mm Hg(0.05kPa)になり、バッチが100℃に達するまで、継続した。バッチを冷却し、真空を解除し、受器を空にした。次いで、蒸留を0.4mm Hg(0.05kPa)で継続した。分留物(Cut)1は、ヘッド温度173〜181℃及びポット温度189〜200℃で蒸留され、重さは、34gであった。分留物2は、0.2mm Hg(0.03kPa)、ヘッド温度181〜182℃、及びポット温度200〜203℃で蒸留され、重さは、118gであった。分留物3は、0.2mm、ヘッド温度181〜210℃、及びポット温度207〜215℃で蒸留され、重さは、47gであった。
【0054】
NMR及びGC/MSは、分留物2の89.5%が所望のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2(少量の(minor)分枝状FC異性体を含む)であり、9.8%がC
4F
9SO
2NHCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、0.6%がC
4F
9SO
2NH
2であることを示した。GC/MSは、分留物3の83.1%が所望のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2(少量の分枝状FC異性体を含む)であることを示した。
【0055】
合成4:C
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)(CH
2CH
2OH),(V)
C
4F
9SO
2NHCH
2CH
2OH(249g、0.725モル、米国特許第7,169,323号により調製)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(211g、1.70モル)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える1000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸カリウム(120g、0.86モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。GC−FID分析(アセトン中)により、約37%の未反応ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、(検出可能なC
4F
9SO
2NHCH
2CH
2OHは、ない)、及び58.3%のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)(CH
2CH
2OH)の存在が判明した。バッチ温度は、90℃まで下がり、230gの温水が加えられた。水を加えた後、18gの85%リン酸をバッチに加えた。内容物は、分液漏斗内で相分割され、385gの下部フッ素系相が得られた。下部相をフラスコに戻し、100mLの水、及び40gの86%リン酸を加えて、バッチとともに撹拌した。1時間静置した後、相分割は、見られなかった。377gのメチルt−ブチルエーテルをバッチに加え、バッチを15分間撹拌させた。相分割の後、759gのメチルt−ブチルエーテル生成物溶液が166gの下部水相から分離した。バッチ温度が77℃に達するまで、エーテル溶液を大気圧で逆抽出した。ポット温度が132℃に達するまで、バッチを、8.6mm Hg(1.1kPa)で更に逆抽出し、次いで、受器を空にした。次いで、ヘッド温度171℃で、圧力が2.2mm Hg(0.29kPa)に達するまで、逆抽出を継続した。次いで、受器を空にして、0.2mm Hg(0.03kPa)真空、及びヘッド温度172℃、及びポット温度184℃で、生成物分留物の収集を開始した。ポットが195℃に達するまで、蒸留を継続し、183gの留出物を得た。留出物のGC−FID分析は、物質の95.4%が所望の生成物(V)であることを示した。室温で、物質は、DSCで判定されたように融点が45.1℃である低融点固体に結晶化した。
【0056】
合成5:C
4F
9SO
2N(CH
3)(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)、(VI)
C
4F
9SO
2NHCH
3(339g、1.087モル)(米国特許第6,852,781号に記載の通り調製)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(314g、2.52モル)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える2000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸カリウム(179g、1.29モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。120℃で一晩加熱した後のアセトン中のGC−FID分析により、約30%の未反応ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、(検出可能なC
4F
9SO
2NHCH
3は、ない)、及び58.9%のC
4F
9SO
2N(CH
3)(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)の存在が判明した。バッチ温度は、90℃まで下がり、300gの温水が加えられた。水を加えた後、100gの85%リン酸をバッチに加えた。内容物は、分液漏斗内で相分割され、523gの下部フッ素系相を得た。バッチ温度が140℃に達するまで、下部フッ素系相を、大気圧で逆抽出した。ポット温度が101℃に達するまで、バッチを63mm Hg(8.4kPa)で更に逆抽出し、次いで、受器を空にした。次いで、圧力2.2mm Hg(0.29kPa)及び152℃に達するまで、逆抽出を継続した。受器を空にして、0.2mm Hg(0.03kPa)真空、ヘッド温度125℃、及びポット温度149℃で、生成物分留物の収集を開始した。ヘッド温度が132℃になり、ポット温度が152℃に達するまで、蒸留を継続し、363gの物質を得た。GC−FID分析は、物質の97.8面積%が所望の生成物であることを示した。C
4F
9SO
2N(CH
3)(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)は、室温で固体であり、DSCで判定されたように融点が80.5℃であることが分かった。
1H及び
19FのNMR分析により、この物質の化学構造は、(VI)であると確認された。
【0057】
合成6:C
4F
9SO
2N(n−C
3H
7)(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)、(VII)
C
4F
9SO
2NH(n−C
3H
7)(382g、1.137モル)(米国特許第7,572,848号に記載の通り調製)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(328g、2.63モル)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える2000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸カリウム(184g、1.33モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。120℃で一晩加熱した後のアセトン中のGC分析により、約31%の未反応ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH、(検出可能なC
4F
9SO
2NH(n−C
3H
7)は、ない)、及び67.2面積%のC
4F
9SO
2N(n−C
3H
7)(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)の存在が判明した。バッチ温度は、90℃まで下がり、380gの温水が加えられた。水を加えた後、100gの85%リン酸をバッチに加えた。内容物は、分液漏斗内で相分割され、下部フッ素系相が単離された。バッチ温度が110℃に達するまで、フッ素系相を、大気圧で逆抽出した。ポット温度が140℃に達するまで、バッチを28mm Hg(3.7kPa)で更に逆抽出し、次いで、受器を空にした。ヘッド温度が142℃に達し、ポット温度が164℃に達し、圧力が0.6mm Hg(0.08kPa)に落ちるまで、初期圧力2.6mm Hg(0.35kPa)で蒸留を継続し、430gの留出物を得た。GC−FID分析は、収集された留出物の100面積%が所望の生成物であることを示した。
1H及び
19FのNMR分析により、この物質の化学構造は、(VII)であると確認された。
【0058】
合成7:C
4F
9SO
2NH(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)(VIII)及びC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2(IX)
C
4F
9SO
2NH
2(640g、2.14モル)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(288g、1.71モル、Sigma−Aldrich(Aldrich)(St.Louis,MO)から入手可能)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える2000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸ナトリウム(189g、1.81モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿も生じなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。バッチ温度は、90℃まで下がり、750gの温水が加えられ、続いて103gの85%リン酸が加えられた。内容物は、分液漏斗内で相分割された。下部フッ素系相をフラスコに戻し、508mLの水、53gの86%リン酸、及び53gの塩化ナトリウムを加えて、バッチとともに撹拌し、次いで分液漏斗内に注いで戻した。次いで、下層は、相分割されて切り離され、888gの粗生成物が得られた。洗浄した粗生成物(crude)のアリコートを取り出して、アセトン中のGC−FIDにより分析すると、約22%の未反応C
4F
9SO
2NH
2、60%のC
4F
9SO
2NH(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)、及び21%のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2の存在が判明した。ポット温度が150℃に達するまで、粗生成物混合物を、大気圧で逆抽出した。次いで、バッチを90℃まで冷却し、良好な撹拌により真空下で逆抽出を継続し、未反応ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH及びC
4F
9SO
2NH
2を除去した。ドライアイス/アセトン中で冷却された受器に対して、90℃及び103mm Hg(13.7kPa)で、逆抽出を開始し、圧力が0.4mm Hg(0.05kPa)に落ち、バッチが100℃に達するまで、継続した。バッチを冷却し、真空を解除し、受器を空にした。次いで、蒸留を0.4mm Hg(0.05kPa)の圧力で継続した。分留物1は、ヘッド温度136〜158℃、及びポット温度163〜174℃で蒸留された。分留物2は、0.2mm Hg(0.03kPa)、ヘッド温度140〜180℃、及びポット温度174〜195℃で蒸留され、重さは、282gであった。分留物3は、0.2mm Hg(0.03kPa)、ヘッド温度181〜193℃、及びポット温度193〜215℃で蒸留され、重さは、69gであった。分留物2のGC−FID分析により、97.2%のC
4F
9SO
2NH(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)(VIII)及び2.8%のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2(IX)の存在が判明し、融点が58.5℃の、室温で白い固体であった。分留物3のGC−FID分析により、66%のC
4F
9SO
2NH(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)(VIII)及び33.3%のC
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2(IX)の存在が判明した。分留物3は、室温で濃い黄色の液体であった。
1H及び
19FのNMR分析により、分留物2中で収集された主要な生成物の化学構造は、(VIII)であると確認された。
【0059】
合成8:C
4F
9SO
2N(CH
2CH
2OH)CH
2CH(CH
3)OH(X)
C
4F
9SO
2NHCH
2CH
2OH(500.00g、1.43モル)、K
2CO
3粉末(53g、0.39モル)、及び無水炭酸プロピレン(500g、4.9モル)を、Claisenアダプタ、窒素導入ラインを有する水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、オーバーヘッドスターラー、及び加熱マントルを備える1.0Lの3つ口丸底フラスコ(round bottom 3-necked flask)にバッチ投入した。反応混合物を130℃まで徐々に加熱した。84℃まで冷却した後、反応混合物のアリコートを取り出して、アセトン中のGCにより分析した。GC−FID分析により、約56面積%の未反応炭酸プロピレン、2.65%のC
4F
9SO
2N(H)CH
2CH
2OH及び32.6%のC
4F
9SO
2NCH
2CH
2OH[CH
2CH(CH
3)OH]の存在が判明した。84℃で、800mLの水をバッチに加え、続いて100gの85%リン酸をゆっくりと加えた。バッチは、分液漏斗内で相分割され、884gの下部フッ素系粗生成物が得られた。下部相を、10gのNaClが溶解した500gの水で洗浄し、773gの下部フッ素系層を得た。ポット温度が100℃に達するまで、フッ素系相を、大気圧で逆抽出して、160gの留出物を得た。ポット温度が35〜143℃のとき、真空下(57〜2mm Hg(7.6〜0.3kPa))で蒸留することにより、プレ分留物(precut)を収集した。第2のプレ分留物は、2〜1.4mm Hg(0.3〜0.19kPa)、ポット温度143〜183℃、及びヘッド温度105〜152℃で蒸留され、62gの留出物を収集することとなった。GC−FIDによるこの第2のプレ分留物のGC分析は、その11.3面積%がH−FBSEであり、72%が所望の生成物(X)であることを示した。主要な生成物分留物は、1.4〜0.2mm Hg(0.19〜0.03kPa)、ポット温度183〜215℃、及びヘッド温度150〜160℃で蒸留され、308gの留出物をもたらした。GC分析は、この物質の70.6%が所望の生成物であることを示した。トルエンから蒸留された主要な分留物の再結晶化によって、GC−FIDにより98.4%が所望の生成物(X)である物質がもたらされた。
【0060】
合成9:C
2F
5SO
2N(CH
2CH
2OCH
2CH
2OH)
2、(E)
C
2F
5SO
2NH
2(55.7g、0.279モル、米国特許第7169323号に記載の通り、C
4F
9SO
2NH
2の手順に従い調製、但しC
4F
9SO
2Fが、C
2F
5SO
2Fに置換されることを除く)及びClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH(175g、1.4モル)を、Claisenアダプタ、水冷冷却器、浸漬型熱電対プローブ、メカニカルスターラー、及び加熱マントルを備える1000mLの3つ口丸底フラスコにバッチ投入した。混合物を設定値90℃まで加熱した後、炭酸カリウム(113g、0.81モル)を、15分間にわたって撹拌しながら徐々に加えたが、著しい発熱も沈殿もなかった。反応温度は、120℃まで上がり、17時間保持された。バッチ温度は、90℃まで下がり、250gの温水及び33gの86%リン酸が加えられた。内容物は、分液漏斗内で分割され、206gの下部フッ素系相が得られた。下部フッ素系相(アセトン中)のGC−FID分析により、54.8%のClCH
2CH
2OCH
2CH
2OHプラスC
2F
5SO
2NH
2及び38.8%の所望の生成物(面積%)の存在が判明した。ポット温度が150℃に達するまで、下部フッ素系相を、大気圧で逆抽出した。次いで、バッチを90℃まで冷却し、良好な撹拌により真空下で逆抽出を継続し、未反応ClCH
2CH
2OCH
2CH
2OH及びC
2F
5SO
2NH
2を除去した。ドライアイス/アセトン中で冷却された受器に対して、90℃、及び103mm Hg(13.7kPa)で、逆抽出を開始し、真空が2.5mm Hg(0.33kPa)になり、バッチ温度が100℃に達するまで、継続した。次いで、バッチを冷却し、真空を解除し、受器を空にした。次いで、蒸留を2.5mm Hg(0.33kPa)で継続した。分留物1は、ヘッド温度146〜148℃及びポット温度189〜206℃で蒸留され、重さは、57gであった。分留物2は、0.2〜2.0mm Hg(0.03〜0.27kPa)、ヘッド温度159〜180℃、及びポット温度185〜203℃で蒸留され、重さは、13.3gであった。分留物1のGC−FID分析(アセトン中)により、分留物1の93.6面積%が所望の生成物(E)であることが判明した。分留物2を同様に分析して、89.8面積%が所望の生成物(E)であることが分かった。
【0061】
界面活性剤性能試験例:
実施例1〜4:水酸化アンモニウムによるH−FBSP(I)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームのDI水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液(KMG Chemicals(Houston,TX)から入手可能な29%のNH3水)中で、溶融H−FBSPを溶解することによって、H−FBSPの25%溶液を調製した。モル比は、フッ素系界面活性剤のモルに対する塩基のモルとして定義され、変更された。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表3に記載の通り調製された。
【0062】
【表3】
【0063】
表面張力及び溶解度を測定するために、均質溶液を水で希釈した。表面張力及び溶解度の結果を、表4にまとめる。
【0064】
【表4】
【0065】
実施例5〜8:水酸化アンモニウムによるH−FBS(EE)(III)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、H−FBS(EE)液を溶解することによって、H−FBS(EE)の25%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表5に記載の通り調製された。
【0066】
【表5】
【0067】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表6にまとめる。
【0068】
【表6】
【0069】
実施例9〜12:水酸化テトラメチルアンモニウムによるH−FBS(EE)(III)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)から入手可能な25% TMAH水)中でH−FBS(EE)液を溶解することによって、H−FBS(EE)の25%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表7に記載の通り調製された。
【0070】
【表7】
【0071】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表8にまとめる。
【0072】
【表8】
【0073】
実施例13〜16:水酸化アンモニウムによるH−FBS(EEE)(VIII)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶融H−FBS(EEE)を溶解することによって、H−FBS(EEE)の25%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表9に記載の通り調製された。
【0074】
【表9】
【0075】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表10にまとめる。
【0076】
【表10】
【0077】
実施例17&18:水酸化アンモニウム中のH−FBSP(I)配合物の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、以下の中性界面活性剤−FBSEE(B、米国特許出願公開第2010/0160458号に記載の通り調製)又はFBSPP(II)とともに溶融H−FBSPを溶解することによって、22%のH−FBSP及び3%の中性界面活性剤の配合物を作製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表11に記載の通り調製された。
【0078】
【表11】
【0079】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表12にまとめる。
【0080】
【表12】
【0081】
実施例19〜23:水酸化アンモニウム中のH−FBS(EE)(III)配合物の溶解度及び表面張力
以下の中性界面活性剤−FBSEE(B、米国特許出願公開第2010/0160458号に記載の通り調製)、FBS(EE)2(IV)、FBSPE(X)、FBSE(EE)(V)、又はPr−FBS(EE)(VII)のそれぞれとともにH−FBS(EE)を溶解することによって、22%のH−FBS(EE)及び3%の中性界面活性剤の配合物を作製した。18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表13に記載の通り調製された。
【0082】
【表13】
【0083】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表14にまとめる。
【0084】
【表14】
【0085】
実施例24〜26:水酸化アンモニウム中のH−FBS(EEE)(VIII)配合物の溶解度及び表面張力
以下の中性界面活性剤−FBSEE(B)、FBS(EE)2(IV)、又はFBS(EEE)2(IX)のそれぞれとともにH−FBS(EEE)を溶解することによって、22%のH−FBS(EEE)及び3%の中性界面活性剤の配合物を作製した。使用されたFBS(EEE)2は、33%のFBS(EEE)2及び66%のH−FBS(EEE)からなるものであった。この割合とするために配合率を調整した。18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表15に記載の通り調製された。
【0086】
【表15】
【0087】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表16にまとめる。
【0088】
【表16】
【0089】
実施例27〜31:水酸化アンモニウム中のH−FBSE(A)配合物の溶解度及び表面張力
以下の中性界面活性剤−FBS(EE)2(IV)、FBSE(EE)(V)、FBSPE(X)、Me−FBS(EE)(VI)、又はPr−FBS(EE)(VII)のそれぞれとともにH−FBSEを溶解することによって、22%のH−FBSE及び3%の中性界面活性剤の配合物を作製した。18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。実施例は、表17に記載の通り調製された。
【0090】
【表17】
【0091】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表18にまとめる。
【0092】
【表18】
【0093】
実施例32:FBSE(EE)(V)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水中で、溶融FBSE(EE)を溶解することによって、FBSE(EE)の1%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。表19に記載の通り、実施例32を調製した。
【0094】
【表19】
【0095】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表20にまとめる。
【0096】
【表20】
【0097】
実施例33:Pr−FBS(EE)(VII)の溶解度及び表面張力
イソプロピルアルコール(IPA、Honeywell(Morristown,NJ)から入手可能)中で、溶融Pr−FBS(EE)を溶解することによって、Pr−FBS(EE)の1%溶液を調製した。溶液を混合し、沈降させた。実施例33は、表21に記載の通り調製された。
【0098】
【表21】
【0099】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表22にまとめる。
【0100】
【表22】
【0101】
実施例34:FBS(EE)2(IV)の溶解度及び表面張力
表面張力及び溶解度を測定するために、FBS(EE)2を水で希釈した(実施例34)。実施例34の結果を表23にまとめる。
【0102】
【表23】
【0103】
比較例1〜4−水酸化アンモニウムによるH−FBSE(A)の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶融H−FBSEを溶解することによって、H−FBSEの25%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。比較例1〜4は、表24に記載の通り調製された。
【0104】
【表24】
【0105】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表25にまとめる。
【0106】
【表25】
【0107】
比較例5:H−FBSE(A)及びFBSEE(B)と水酸化アンモニウムとの配合物の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、溶融H−FBSE及びFBSEEを溶解することによって、H−FBSE及びFBSEEの配合物の25%溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。表26に記載の通り、比較例5を調製した。
【0108】
【表26】
【0109】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表27にまとめる。
【0110】
【表27】
【0111】
比較例6〜7:水酸化アンモニウム水溶液中のFES(EE)2(E)とH−FBS(EE)(III)及びH−FBS(EEE)(VIII)との配合物の溶解度及び表面張力
18.2メガオームの水で希釈した水酸化アンモニウム水溶液中で、H−FBS(EE)及びFES(EE)2を溶解することによって、FES(EE)2とH−FBS(EE)との25%配合物を調製した。FES(EE)2及びH−FBS(EEE)を使用して、同様の溶液を調製した。溶液を1時間混合し、一晩かけて沈降させた。比較例6及び7は、表28に記載の通り調製された。
【0112】
【表28】
【0113】
表面張力及び溶解度を測定するために、溶液を水で希釈した。結果を表29にまとめる。
【0114】
【表29】
【0115】
すすぎ後の水接触角の比較
DSA 100(Kruss(Hamburg,Germany)から入手可能)を使用して、界面活性剤溶液に曝露した後のフォトレジストに対する水の接触角の変化を測定した。
【0116】
およそ1インチ×1インチ(2.5センチメートル×2.5センチメートル)の1枚のシリコンウェハの片面で、フォトレジスト材料(Dow Chemical Co.(Midland,MI)から入手可能なEPIC 2135 193nmフォトレジスト)を、1500rpmの回転速度により、27秒間、スピンコートした。ウェハを120℃のホットプレート上に60秒間置くことによって、フォトレジストをベークして、溶媒を落とした。
【0117】
レジストをコーティングしたウェハを、改造されたチャックを有するスピンコーター(Laurell Technologies(North Wales,Pennsylvania)製のWS−650 MZ−23NPP/LITE)内に置いた。ウェハが300rpmで回転する間、1mLの2.38% TMAH(Alfa Aesar(Ward Hill,Massachusetts)から入手可能)を20秒間、ウェハに塗布した。これに続いて、10mLの18.2メガオームの水を60秒間加え、次いで1.5mLの界面活性剤溶液を40秒間加えた。次いで、回転速度を1500rpmに上げて、15秒間保持した。依然1500rpmで回転している間、次いで、窒素気流をウェハ上に15秒間配置した。次いで、水接触角をすぐに測定した。
【0118】
測定された静的水接触角を表30において報告する。表中の全ての界面活性剤溶液は、水中の合計2000ppmの界面活性剤に希釈された。全ての場合において、界面活性剤溶液に曝露した後、フォトレジストに目に見える変化は、なかった。
【0119】
【表30】
【0120】
これらの実験の結果により、界面活性剤の選択、選択されたアニオン性界面活性剤及び中性界面活性剤の配合、並びにpH調整が、現像とすすぎを行ったフォトレジスト表面上の水接触角に影響し、よって接触角を制御する手段を提供し得ることが証明された。
【0121】
フォトレジストにおける界面活性剤の吸収の比較
Q−Sense E4 QCM−D微量天秤(Biolin Scientific(Vastra Frolunda,SWEDEN)から入手可能)を使用して、水で希釈した数種の界面活性剤溶液の、フォトレジスト材料(EPIC 2135 193nmフォトレジスト)への吸収を測定した。この機器は、センサ上にコーティングされた薄いフィルムの特性評価を行うために、水晶センサの散逸及び周波数シフトの両方を分析する。これにより、吸収される物質の質量及び薄いフィルムの粘弾特性を測定することができる。これらの特定の実験において、レジストを界面活性剤溶液に曝露する間、この機器により、フォトレジスト材料上に、又はフォトレジスト材料中に、吸収される界面活性剤の質量を測定することができる。
【0122】
金メッキ水晶センサ(QSX 301,Biolin Scientific(Sweden))を、スピンコーティングによってフォトレジスト(EPIC 2135 193nm)で片面コーティングした。1〜3滴のレジスト材料を清潔なセンサに塗布した。次いで、センサを1500rpmで27秒間回転させた。センサを120℃のホットプレート上に60秒間置くことによって、レジストをベークして、溶媒を落とした。
【0123】
次いで、コーティングされたセンサを3段階で試験した。全ての段階中、散逸及び周波数シフトを複数の帯域でモニタした。第1段階では、18メガオームの水を、(150μL/分で)5分間かけてセンサ上で移動させて、ベースラインを確立した。この段階中に周波数シフトも散逸も観察されなかった。一旦ベースラインが確立されると、流れを(150μL/分で)界面活性剤溶液に切り替えることによって第2段階を開始した。周波数シフト及び散逸が安定化するまで、この流れを継続した(概ね15分間)。周波数シフトについて報告された値は、この時点で測定された。第3段階において、流れを(150μL/分で)純粋な18メガオームの水に切り替えて戻した。周波数のシフト及び散逸を10分間再度モニタして、界面活性剤の吸収が可逆的であるかどうかを判定した。
【0124】
界面活性剤溶液の流れの間の、2000ppmの水溶液からの数種の界面活性剤の吸収による定常状態周波数シフトを、下記の表31に記録する。
【0125】
【表31】
【0126】
これらの実験の結果により、界面活性剤の選択、選択されたアニオン性界面活性剤及び中性界面活性剤の配合、並びにpH調整が、リンス水溶液から、フォトレジスト上に、又はフォトレジスト中に吸収される界面活性剤の濃度(又は質量)に影響し、よってフォトレジストによる界面活性剤の吸収を制御する手段を提供し得ることが証明された。これは、ひいては、レジスト表面に対する接触角、並びに欠陥性(多数のウォーターマーク及び粒子の欠陥)、線の溶解、線幅の揺らぎ、線端の揺らぎ、及びプロセスウィンドウなどの様々なリソグラフィー性能属性の制御を提供することができる。
【0127】
表面張力性能及び溶解度の比較:
水酸化アンモニウム水溶液中のH−FBSE、H−FBSP、H−FBS(EE)、及びH−FBS(EEE)の比較
モル比2.0の、実施例1、5、13及び比較例1からの水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表32にまとめる。
【0128】
【表32】
【0129】
試験した全ての溶液は、可溶性であった。H−FBS(EE)及びH−FBS(EEE)は、試験した全ての物質の中で、最も低い水中表面張力をもたらすH−FBS(EEE)と同じ濃度のH−FBSEよりも低い水中表面張力をもたらす。H−FBSE及びH−FBSPは、ほぼ同等の表面張力をもたらす。
【0130】
モル比1.5の、実施例2、6、14及び比較例2からの水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表33にまとめる。
【0131】
【表33】
【0132】
モル比1.5の、これらの界面活性剤の相対性能は、上記のモル比2.0と同様の傾向に沿っている。
【0133】
モル比1.0の、実施例3、7、15及び比較例3からの水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表34にまとめる。
【0134】
【表34】
【0135】
試験した全ての水中希釈物は、可溶性である。水中の界面活性剤濃度が低い場合、H−FBS(EE)及びH−FBS(EEE)は、H−FBSEよりも低い表面張力をもたらす。界面活性剤濃度が高い場合、表面張力の結果は、3つ全てについて同等である。
【0136】
モル比0.5の、実施例4、8、16及び比較例4からの水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表35にまとめる。
【0137】
【表35】
【0138】
試験した全てのアニオン性界面活性剤は、これらの条件下で、限られた溶解度を有する。可溶性範囲において、表面張力は、3つの物質全てについて同様である。
【0139】
TMAH水溶液中のH−FBSE、H−FBS(EE)、及びH−FBS(EEE)の比較
モル比2.0の、実施例9(H−FBS(EE))からの水中の表面張力及び溶解度の結果、並びに同一条件下でH−FBS(EEE)及びH−FBSEについて収集した同様のデータを、下記の表36にまとめる。
【0140】
【表36】
【0141】
試験した全ての溶液は、完全に可溶性であった。H−FBS(EE)及びH−FBS(EEE)界面活性剤は、同じ濃度のH−FBSEよりもかなり低い水中表面張力をもたらす。
【0142】
モル比1.5の、実施例10(H−FBS(EE))からの水中の表面張力及び溶解度の結果、並びに同一条件下でH−FBS(EEE)及びH−FBSEについて収集した同様のデータを、下記の表37にまとめる。
【0143】
【表37】
【0144】
相対表面張力及び溶解度の結果は、上記のMR 2.0の結果と同様である。
【0145】
モル比1.0の、実施例11(H−FBS(EE))からの水中の表面張力及び溶解度の結果、並びに同一条件下でH−FBS(EEE)及びH−FBSEについて収集した同様のデータを、下記の表38にまとめる。
【0146】
【表38】
【0147】
H−FBS(EE)及びH−FBS(EEE)は、ともに、このモル比(MR1.0)で試験すると、より高いMRでの結果と同様に、同等の濃度のH−FBSEよりもかなり低い表面張力をもたらす。
【0148】
モル比0.5の、実施例12(H−FBS(EE))からの水中の表面張力及び溶解度の結果、並びに同一条件下でH−FBS(EEE)及びH−FBSEについて収集した同様のデータを、下記の表39にまとめる。
【0149】
【表39】
【0150】
試験した全てのアニオン性界面活性剤は、これらの条件下で、限られた溶解度を有する。可溶性範囲において、H−FBS(EE)及びH−FBS(EEE)の表面張力は、H−FBSEがもたらす表面張力よりも、わずかに低い。
【0151】
水酸化アンモニウム水溶液中のH−FBSEと配合したFBSEE、FBS(EE)2、及びFBSE(EE)の比較
実施例27、28及び比較例5からの水中の表面張力及び溶解度の結果を、表40にまとめる。以下に提示するデータのために、濃縮物を、水酸化アンモニウム水溶液中において、22重量%のH−FBSE、及び3重量%のFBSEE、FBS(EE)2、又はFBSE(EE)のいずれかで、調製し、次いで、記載された濃度まで水で希釈した。
【0152】
【表40】
【0153】
FBSE(EE)及びFBS(EE)2とH−FBSEとの配合物は、比較例のH−FBSE/FBSEE配合物よりも、低い表面張力及び高い溶解度をもたらす。
【0154】
水酸化アンモニウム水溶液中のFBSEE、FBS(EE)2、及びFBS(EEE)2とH−FBS(EEE)との配合物と、FBSEE/H−FBSE配合物との比較。
実施例24〜26に記載の(described Examples 24-26)界面活性剤について、水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表41にまとめる。これらの実施例の濃縮物を、水酸化アンモニウム水溶液中において、3重量%のFBSEE、FBS(EE)2、又はFBS(EEE)2のいずれかと配合した22重量%のH−FBS(EEE)で、調製し、次いで、記載された濃度まで水で希釈した。比較のため、同一条件下で調製かつ試験したH−FBSE/FBSEEの配合物の比較結果(比較例5)が含まれる。
【0155】
【表41】
【0156】
低濃度(1000〜2000ppm)において、測定された表面張力は、H−FBS(EEE)/FBSEE配合物よりも、FBS(EE)2及びFBS(EEE)2とH−FBS(EEE)との配合物の方がわずかに低い。更に、H−FBS(EEE)とFBS(EE)2及びFBS(EEE)2との配合物は、H−FBS(EEE)/FBSEE配合物又は比較例のH−FBSE/FBSEE配合物よりも高い水への溶解度をもたらす。少なくとも1つのオリゴマーのエチレンオキシド基を有する少なくとも1種の界面活性剤成分を含む、ここで試験された本発明の界面活性剤配合物の全ては、水酸化アンモニウム溶液水中において、同一条件下で調製かつ試験されたとき、比較例のH−FBSE/FBSEEの配合物よりも低い表面張力をもたらす。
【0157】
水酸化アンモニウム水溶液中のFES(EE)2及びFBS(EE)2とH−FBS(EEE)との配合物の比較
実施例25、比較例6、及び実施例13に記載の界面活性剤について、水中の表面張力及び溶解度の結果を、下記の表42にまとめる。最初の2つについての濃縮物を、水酸化アンモニウム水溶液中において、22%のH−FBS(EE)、並びに3%のFES(EE)2又はFBS(EE)2のいずれかで調製し、次いで、記載された濃度(state concentration)まで水で希釈した。水酸化アンモニウム水溶液中で、25%のH−FBS(EEE)を溶解することによって、後者の実施例の濃縮物を調製し、次いで記載された濃度まで水で希釈した。
【0158】
【表42】
【0159】
表面張力の結果は、同等の濃度のH−FBS(EEE)/FES(EE)2と比較して、H−FBS(EEE)/FBS(EE)2の方がかなり低い。H−FBS(EEE)/FES(EE)2の表面張力の結果は、同等の界面活性剤全濃度のH−FBS(EEE)単独と、本質的に同じである。FBS(EE)2を加えることにより、表面張力性能は、かなり改善されるが、FES(EE)2を加えることにより、溶液の表面張力に対し、本質的に何の効果もない(no affect)。このことは、中性界面活性剤添加剤の具体的な選択が、このような界面活性剤配合物の表面張力性能にとって重要であることを示している。
【0160】
水中の個別の中性界面活性剤についての溶解度試験の結果
様々な中性フッ素化界面活性剤の、純脱イオン水中の溶解度を判定するために、試験を行った。溶解度試験の結果を表43にまとめる。溶解度のデータが示すところによると、オリゴマーのエチレンオキシド基(ローマ数字で示す)を含む本発明の中性界面活性剤は、概して、オリゴマーのエチレンオキシド基を含まない、同様の技術分野における既知の中性フッ素化界面活性剤(アルファベット文字で示す)と比較して、水への溶解度が優れている。
【0161】
【表43】
*水中で飽和した中性フッ素化界面活性剤試料は、濾過されるか、又は相分割され、均質水溶液は、キャピラリーガスクロマトグラフィーによる分析用に供され、22℃の水への溶解度を判定した。Flame Ionization Detector(FID)を備えるAgilent 6890Nガスクロマトグラフ、Agilent 7683A自動サンプラ、及びHP−1、30m、内径0.25mm、膜厚1μm(1um)のキャピラリーカラムを使用して、分析を行った。0.025%(W/V)BHT[内部標準物質として使用]で安定化されたテトラヒドロフラン(THF)又はアセトニトリル中、0.1%(W/V)〜0.0001%(W/V)で、標準物質を調製した。試料は、安定化されたTHF又はアセトニトリル中で溶解され、10%(W/V)に希釈された。
^界面活性剤試料は、水中において、10%固体及び90%固体の両方で溶解し、水と完全に混和することが分かった。
**米国特許第3,734,962号に記載の通り、Me−FBSEを調製した。
【0162】
本発明の他の実施形態は、付属の特許請求の範囲の範囲内である。
本願は、以下の実施形態も包含する。
[1]
式:
RfSO2N(H)−CH2CH(CH3)OH、又は
RfSO2N(H)−(CH2CH2O)xHで表されるアニオン性界面活性剤。
[式中、xは、2〜6の整数であり、Rfは、3〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基である。]
[2]
式:
(a)RfSO2N[CH2CH(CH3)OH]2、
(b)RfSO2N[CH2CH(CH3)OH][(CH2CH2O)nH]、
(c)RfSO2N(R)[(CH2CH2O)pH]、又は
(d)RfSO2N[(CH2CH2O)qH][(CH2CH2O)mH]で表される中性界面活性剤。
[式中、nは、1〜6の整数であり、pは、2〜6の整数であり、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、qは、1〜6の整数であり、mは、3〜6の整数であり、Rfは、3〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基である。]
[3]
フッ素化スルホンアミド界面活性剤組成物であって、
式:
RfSO2N(H)−CH2CH(CH3)OH、若しくは
RfSO2N(H)−(CH2CH2O)xHで表されるアニオン性界面活性剤、又は
式:
RfSO2N[CH2CH(CH3)OH]2、
RfSO2N[CH2CH(CH3)OH][(CH2CH2O)nH]、
RfSO2N(R)[(CH2CH2O)pH]、若しくは
RfSO2N[(CH2CH2O)qH][(CH2CH2O)mH]で表される中性界面活性剤と、
溶媒と、を含む、フッ素化スルホンアミド界面活性剤組成物。
[式中、xは、2〜6の整数であり、nは、1〜6の整数であり、pは、2〜6の整数であり、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、qは、1〜6の整数であり、mは、1〜6の整数であり、(q+m)≧3であり、Rfは、3〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基である。]
[4]
フッ素化スルホンアミド界面活性剤組成物であって、
式:
RfSO2N(H)−CH2CH(CH3)OH、
RfSO2N(H)−(CH2CH2O)xH、若しくは
RfSO2N(H)−CH2CH2OH[式中、xは、2〜6の整数であり、Rfは、3〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基である。]で表されるアニオン性界面活性剤と、
式:
RfSO2N[CH2CH(CH3)OH]2、
RfSO2N[CH2CH(CH3)OH][(CH2CH2O)nH]、
RfSO2N(R)[(CH2CH2O)pH]、
RfSO2N[(CH2CH2O)qH][(CH2CH2O)mH]、若しくは
RfSO2N[CH2CH2OH]2[式中、nは、1〜6の整数であり、pは、2〜6の整数であり、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、qは、1〜6の整数であり、mは、1〜6の整数であり、q+m≧3であり、Rfは、3〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基である。]で表される中性界面活性剤と、 溶媒と、を含み、
但し、該組成物は、多量の唯一のアニオン性界面活性剤及び唯一の中性界面活性剤を含み、該アニオン性界面活性剤が、RfSO2N(H)−CH2CH2OHである場合、該中性界面活性剤は、RfSO2N[CH2CH2OH]2ではない、フッ素化スルホンアミド界面活性剤組成物。
[5]
xが、2〜3の整数である、[1]及び[3]〜[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
nが、1〜3の整数であり、pは、2〜3の整数であり、qは、1〜3の整数である、[2]〜[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
mが、3以下の整数である、[3]〜[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
mが、3である、[2]に記載の組成物。
[9]
前記フルオロアルキル基が、飽和である、[3]〜[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記フルオロアルキル基は、直鎖である、[3]〜[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
前記フルオロアルキル基は、ペルフルオロアルキル基である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記フルオロアルキル基は、4〜6個の炭素原子を有する、[3]〜[11]のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記フルオロアルキル基は、4〜6個の炭素原子を有する飽和ペルフルオロアルキル基である、[3]〜[12]のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
前記フルオロアルキル基は、4個の炭素原子を有する飽和ペルフルオロアルキル基である、[3]〜[13]のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
前記アニオン性界面活性剤又は前記中性界面活性剤のいずれかは、前記スルホンアミド窒素原子に結合した少なくとも1つのオリゴマーのエチレンオキシド基を含み、該オリゴマーのエチレンオキシド基は、2〜6個のエチレンオキシド反復単位を有する、[3]〜[14]のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記組成物が溶媒を含む場合、該溶媒は、水、有機液体、又はそれらの組み合わせを含む、[3]〜[15]のいずれか一項に記載の組成物。
[17]
フォトレジスト材料の表面を処理する方法であって、
該方法は、該フォトレジスト材料を、[3]〜[16]のいずれか一項に記載の組成物に曝露することを含む、方法。