特許第6444349号(P6444349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444349
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20181217BHJP
   B62D 25/16 20060101ALI20181217BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B62D25/20 K
   B62D25/16 B
   B62D25/08 M
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-180791(P2016-180791)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-43688(P2018-43688A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 久聡
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−014053(JP,U)
【文献】 実公昭56−052118(JP,Y2)
【文献】 実開昭52−060492(JP,U)
【文献】 実開平01−172975(JP,U)
【文献】 特開2003−019979(JP,A)
【文献】 実開昭61−058174(JP,U)
【文献】 実開昭55−031734(JP,U)
【文献】 特開平11−227636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられる弾性のプロテクタを備えた車体構造であって、
前記プロテクタは、前記車体に固定される本体部と、車外に向けて意匠面が形成された意匠部と、前記本体部と前記意匠部との間に形成される中空部と、を備え
前記車体には、車体に設けられた開口部を開閉する開閉体と、前記車体と前記開閉体との間をシールするシール部材とが取り付けられ、
前記プロテクタの上端部は、前記シール部材と車内外方向視で重なるようにシール部材の車外側に配置されていることを特徴とする車体構造。
【請求項2】
車体に取り付けられる弾性のプロテクタを備えた車体構造であって、
前記プロテクタは、前記車体に固定される本体部と、車外に向けて意匠面が形成された意匠部と、前記本体部と前記意匠部との間に形成される中空部と、を備え
前記車体には、車体の意匠面を形成する樹脂製の緩衝部材が取り付けられ、
前記プロテクタの長手方向端部は、前記緩衝部材と車内外方向視で重なるように緩衝部材の車内側に配置されていることを特徴とする車体構造。
【請求項3】
前記プロテクタは、前記本体部の下部に形成されて前記車体に弾接する遮蔽リップと、前記意匠部の下部に形成されて前記遮蔽リップの下端よりも下方まで延設し、前記車体から離間した意匠リップと、を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体構造。
【請求項4】
車体に取り付けられる弾性のプロテクタを備えた車体構造であって、
前記プロテクタは、前記車体に固定される本体部と、車外に向けて意匠面が形成された意匠部と、前記本体部と前記意匠部との間に形成される中空部と、を備え
前記プロテクタは、前記本体部の下部に形成されて前記車体に弾接する遮蔽リップと、前記意匠部の下部に形成されて前記遮蔽リップの下端よりも下方まで延設し、前記車体よりも下方に位置し、離間した意匠リップと、を備えていることを特徴とする車体構造。
【請求項5】
前記意匠リップは、前記遮蔽リップから離間していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車体構造。
【請求項6】
前記車体は、各端部周りが車内外方向に重なり合い外面同士が面一状に配置された第1パネルと第2パネルとを有し、
前記プロテクタは前記第1パネルと前記第2パネルとに跨るように取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部に取り付けられ、後輪が跳ね上げる土石や汚水から車両の後部を守るプロテクタの一従来技術が特許文献1に記載されている。特許文献1には、車体側に形成した隙間にプロテクタを端部を嵌挿したうえでクリップやボルトで固定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−52873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロテクタが外部に露出する場合、土石や汚水からの防護機能に加え、その露出面(意匠面)には意匠性が要求される。もし車体の後部に、車体パネル同士の段差部や、車体パネル同士の隙間を埋めるシーラーによる凸形状部等の凹凸部が形成されていた場合、これらの凹凸部に応じてプロテクタの意匠面も凹凸になり、意匠性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、車体側の取り付け部の形状の影響を受けることなく、プロテクタの意匠性を確保できる車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、車体に取り付けられる弾性のプロテクタを備えた車体構造であって、前記プロテクタは、前記車体に固定される本体部と、車外に向けて意匠面が形成された意匠部と、前記本体部と前記意匠部との間に形成される中空部と、を備え、前記車体には、車体に設けられた開口部を開閉する開閉体と、前記車体と前記開閉体との間をシールするシール部材とが取り付けられ、前記プロテクタの上端部は、前記シール部材と車内外方向視で重なるようにシール部材の車外側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車体側の取り付け部の形状の影響を受けることなく、プロテクタの意匠性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る車体構造を適用した車両の後方外観図である。
図2】本発明に係る車体構造の側断面図である。
図3】テールゲートを開いた状態のプロテクタおよびバンパを示す外観斜視図である。
図4図3におけるA−A断面図である。
図5】プロテクタ単体の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、自動車の車体31の後部には、上部を回転中心として開閉するテールゲート(開閉体)32と、テールゲート32の両側下部に位置する樹脂製のバンパ33とが取り付けられている。図3に示すように、バンパ33は、車両後部両側の意匠面を構成し、閉じた状態のテールゲート32(図1)の外面と滑らかに連なる外側バンパ部33Aと、外側バンパ部33Aから略テールゲート32の厚み分前方に奥まった開口部34の脇に形成される意匠面としての内側バンパ部33Bとを備えている。外側バンパ部33Aと内側バンパ部33Bとは一体に成形されている。開口部34の縁部には、車体31とテールゲート32との間をシールする弾性のシール部材(ウェザストリップ)35が取り付けられている。
【0010】
図2に示すように、車体31の後部下周りは、シール部材35が取り付けられる略水平状の縁板部31Aと、縁板部31Aの前端から下方に略鉛直状に延設する上側後板部31Bと、上側後板部31Bの下端から略S字状に曲がり上側後板部31Bよりも若干前寄りの位置で下方に略鉛直状に延設する下側後板部31Cと、下側後板部31Cの下端から湾曲部31Dを経て前方に略水平状に延設する底板部31Eと、を備えた形状からなる。
【0011】
開口部34の下方において、車体31には、後輪が跳ね上げる土石や汚水等から車体31の後部下周りを保護するための弾性を有したプロテクタ1が取り付けられている。プロテクタ1は車幅方向に延設する部材であり、図2図5に示すように、車体31に接して固定される本体部2と、車外(後方)に向けて意匠面が形成された意匠部3と、本体部2と意匠部3との間に形成される中空部4と、を備えている。プロテクタ1は、硬質ゴム材、樹脂材等により構成されている。
【0012】
プロテクタ1は、クリップ5により車体31に固定される。クリップ5は、図5に示すようにプロテクタ1の延設方向に間隔を空けて複数設けられており、例えばインサート成形等によりプロテクタ1に一体に取り付けられている。図2図4に示すように、クリップ5は、頭部5Aが中空部4内に位置し、可撓性の係止ピン部5Bが本体部2を通って車体31側に臨むように、プロテクタ1に設けられている。
【0013】
図4に示すように、本実施形態の車体31は、各端部周りが車内外方向に重なり合い外面37A,38A同士が面一状に配置された第1パネル37と第2パネル38とを有して構成されている。第1パネル37、第2パネル38の双方とも前記した縁板部31A、上側後板部31B、下側後板部31C、湾曲部31D、底板部31Eの形状部を備えている。プロテクタ1は、第1パネル37、第2パネル38にそれぞれ穿孔された係止孔36にクリップ5の係止ピン部5Bが係止することで、第1パネル37と第2パネル38とに跨るように取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、本体部2は、下側後板部31Cと対向配置されるように略鉛直板状に形成されている。本体部2には、下側後板部31Cに向けて突設した上下一対の突起支持部6,7と、下端から前下方に向けて延び、下側を凸とする円弧状の遮蔽リップ8とが形成されている。本体部2は、クリップ5の係止ピン部5Bが下側後板部31Cに穿孔された係止孔36周りに係止することにより、突起支持部6,7が下側後板部31Cに圧接するとともに遮蔽リップ8が湾曲部31Dに圧接した状態となって、下側後板部31Cに対し若干の隙間を空け安定した姿勢で固定される。
【0015】
中空部4は、本体部2に沿った縦長状の閉断面空間であり、プロテクタ1の長手方向端部では閉じられることなく外部に開口している。
【0016】
意匠部3は、中空部4よりも車外側(後方側)に配置されて略鉛直板状に形成されており、その上部は本体部2や中空部4よりも上方に延設し、上端が上側後板部31Bの中程の高さに位置している。意匠部3の上部には上側後板部31Bに向けて突起支持部10が突設されており、この突起支持部10が上側後板部31Bに当接することで、意匠部3の上部は上側後板部31Bに対し隙間を空けて対向配置される。
【0017】
前記したシール部材35の下端には、上側後板部31Bに突き当てられるシールリップ部35Aが形成されている。意匠部3の上端部は、車内外方向視(車両前後方向視)でこのシールリップ部35Aと上下方向に重なるように、シールリップ部35Aの車外側(後側)に互いが接するように配置されている。
【0018】
意匠部3の下部には、前下方に向けて延び、下側を凸とする円弧状の意匠リップ9が形成されている。意匠リップ9は、湾曲部31Dに略沿う形状で車体31から離間して配置されており、前記遮蔽リップ8からも離間して配置されている。意匠リップ9の下端は車体31の底板部31Eよりも下方に位置している。
【0019】
図4に示すように、プロテクタ1の長手方向端部は、内側バンパ部33Bと車内外方向視(車両前後方向視)で重なるように配置されており、内側バンパ部33Bよりも車内側(前側)に配置されている。図2に示すように、内側バンパ部33Bの下端はプロテクタ1の意匠リップ8に倣って円弧状に形成されているが、下端高さについては、意匠リップ8の下端の方が内側バンパ部33Bの下端よりも若干の寸法Lだけ下方に位置している。
【0020】
「作用・効果」
プロテクタ1は、車体31に固定される本体部2と、車外に向けて意匠面が形成された意匠部3と、本体部2と意匠部3との間に形成される中空部4と、を備えているので、仮に車体31の凹凸に応じて本体部2にも凹凸が生じたとしても、本体部2の凹凸は中空部4で吸収されることとなり、意匠部3への影響が低減される。本体部2は車体31と接触していることからストレスがかかりやすく、仮に経時に伴って本体部2に歪みが生じた場合であっても、その歪みは中空部4で吸収されることとなり、意匠部3は影響を受けにくい。また、中空部4が形成されていることで、プロテクタ1の重量増加も抑えられる。
【0021】
プロテクタ1は、本体部2の下部に形成されて車体31に弾接する遮蔽リップ8を備えていることにより、車体との間から浸入しようとするノイズや振動を遮蔽リップ8で抑制できる。そして、プロテクタ1は、意匠部3の下部に形成されて遮蔽リップ8の下端よりも下方まで延設し、車体31から離間した意匠リップ9も備えているので、意匠部3は車体31の凹凸の影響を受けないうえに、意匠リップ9で遮蔽リップ8を人目から隠すことができ、外観性が向上する。
【0022】
意匠リップ9は遮蔽リップ8とも離間しているので、仮に遮蔽リップ8に凹凸が生じていても、意匠リップ9はその凹凸の影響を受けない。意匠リップ9は前方下部から飛散する土石や汚水を遮蔽リップ8よりも効率良く受け止めることができ、意匠リップ9よりも後方に位置するテールゲート32等の車体構成部品への傷付きや汚れを防止できる。
【0023】
車体31には、車体31に設けられた開口部34を開閉するテールゲート32と、車体31とテールゲート32との間をシールするシール部材35とが取り付けられ、プロテクタ1の上端部は、シール部材35のシールリップ部35Aと車内外方向視で重なるように配置されているので、プロテクタ1とシール部材35とが連続することとなり、車内へのノイズや振動、水の浸入がより確実に低減される。プロテクタ1の上端部の方がシール部材35のシールリップ部35Aよりも車外側に配置されることで、プロテクタ1がシール部材35を車内側に押さえ付けることとなり、シールリップ部35Aの車体31への密着性が保持される。
【0024】
車体31には、車体31の意匠面を形成する樹脂製のバンパ33が取り付けられ、プロテクタ1の長手方向端部は、バンパ33の内側バンパ部33Bと車内外方向視で重なるように配置されているので、プロテクタ1と内側バンパ部33Bとが連続することとなり、車内へのノイズや振動、水の浸入がより確実に低減される。プロテクタ1の方が内側バンパ部33Bよりも車内側に配置されることで、内側バンパ部33Bがプロテクタ1を車内側に押さえ付けることとなり、プロテクタ1の取り付け姿勢が安定する。
【0025】
プロテクタ1の方が内側バンパ部33Bよりも車内側に配置されている構成において、もし意匠リップ9の下端と内側バンパ部33Bの下端とを同じ高さ位置に設定すると、車両後方に立った人からの視線では意匠リップ9の下端の方が内側バンパ部33Bの下端よりも上方にずれて見えてしまう。これに対し、意匠リップ9の下端を内側バンパ部33Bの下端よりも下方に位置させることで、車両後方に立った人からの視線レベルで、意匠リップ部9と内側バンパ部33Bとの間の下端のずれを小さくできる。
【0026】
成型やレイアウト等の都合で、車体31が、各端部周りが車内外方向に重なり合い外面37A,38A同士が面一状に配置された第1パネル37と第2パネル38とを有している場合であっても、プロテクタ1を第1パネル37と第2パネル38とに跨るように取り付けることで、第1パネル37と第2パネル38との間に生じる継ぎ目39(図4)をプロテクタ1で覆い隠すことができる。第1パネル37の外面37Aと第2パネル38の外面38Aとは面一状であるため、これを覆うプロテクタ1に段差を形成する必要もなく、プロテクタ1の外観性に寄与する。
【0027】
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は車体後部に限定されず、たとえば車体側部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 プロテクタ
2 本体部
3 意匠部
4 中空部
8 遮蔽リップ
9 意匠リップ
31 車体
32 テールゲート(開閉体)
33 バンパ(緩衝部材)
34 開口部
35 シール部材
37 第1パネル
38 第2パネル
図1
図2
図3
図4
図5