(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記記録材に対する画像形成に関する情報に基づいて、前記ニップ圧を切り替える候補状態を選択し、前記候補状態の数が1つである場合、前記候補状態を第1状態として決定し、前記候補状態の数が2つ以上である場合、所定の候補状態から前記所定の候補状態とは異なる候補状態へ切り替えるために要する時間の中で最大の時間をそれぞれの候補状態について求め、前記最大の時間が最も小さくなる候補状態を前記第1状態として決定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
前記制御手段は、前記検知手段による記録材の特性情報の検知が完了する前に、前記ニップ圧を前記第1状態に切り替えるように前記切り替え手段を制御し、前記検知手段による記録材の特性情報の検知が完了した後に、前記記録材に対する画像形成に関する情報と前記特性情報に基づいて、第2状態を決定し、前記第1状態と前記第2状態が異なる場合、前記ニップ圧を決定した前記第2状態に切り替えるように前記切り替え手段を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
前記制御手段は、記録材の先端が前記搬送手段に到達するタイミングよりも前に、前記ニップ圧を前記第2状態に切り替えられないと判断した場合、前記タイミングよりも前に前記切り替え手段による前記ニップ圧の切り替えを中止させ、前記タイミングよりも後に前記切り替え手段による前記ニップ圧の切り替えを再開させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
前記制御手段は、前記ニップ圧の初期状態から前記候補状態へ切り替えるために要する時間の中で最大の時間を求め、前記最大の時間よりも前記検知手段による記録材の特性情報の検知が完了してから記録材の先端が前記搬送手段に到達するまでの時間の方が長いと判断した場合、前記ニップ圧を決定した前記第1状態に切り替えず、前記検知手段による記録材の特性情報の検知が完了した後に、前記記録材に対する画像形成に関する情報と前記特性情報に基づいて第2状態を決定し、前記ニップ圧を決定した前記第2状態に切り替えるように前記切り替え手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
前記検知手段は、記録材に光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射され、記録材に反射した光を受光する第1の受光手段と、前記照射手段により照射され、記録材を透過した光を受光する第2の受光手段を含み、
前記第1の受光手段により受光された反射光量から前記特性情報として記録材の表面性を検知し、前記第2の受光手段により受光された透過光量から前記特性情報として記録材の厚みを検知することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記検知手段は、記録材に超音波を送信する送信手段と、前記送信手段により送信され、記録材を介して減衰した超音波を受信する受信手段と、記録材に光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射され、記録材に反射した光を撮像する撮像手段と、を含み、前記受信手段により受信された超音波から前記特性情報として記録材の坪量を検知し、前記撮像手段により撮像された表面画像から前記特性情報として記録材の表面性を検知することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
[画像形成装置の全体構成]
図1(a)を用いて、本実施例における画像形成装置の全体構成について説明する。本実施例においては、画像形成装置としてレーザビームプリンタの例を示す。
【0014】
レーザビームプリンタ100(以下、プリンタ100と表記する)には、プロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kがそれぞれ設けられている。プロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kはプリンタ100の本体に対して着脱可能である。4個のプロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kは同一構造であるが、異なる色、即ち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー(現像剤)による画像を形成する点で相違する。以下、特定の色に対応する部材の説明を行う場合を除き、YMCKの符号を省略する。
【0015】
プロセスカートリッジ5は、トナー容器23、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ3、クリーニングブレード4、廃トナー容器24を有する。プロセスカートリッジ5の下方には露光装置7が配置され、画像信号に基づく露光が感光ドラム1に対して行われる。
【0016】
感光ドラム1は、回転過程で、帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。そして感光ドラム1上には、露光装置7による画像露光を受けることによりそれぞれ目的のカラー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0017】
本実施例で用いた露光装置7は、レーザダイオードを用いたポリゴンスキャナであり、画像情報に応じて変調されたレーザビームを感光ドラム1上に結像し、静電潜像を形成する。感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像ローラ3により現像される。この現像ローラ3を介して感光ドラム1上の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させてトナー像として現像する。各トナー容器23のトナーは、負帯電の非磁性一成分トナーであり、静電潜像の現像は、非磁性一成分トナーによる接触現像方式によって行われる。
【0018】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8(像担持体)、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成される。また、各感光ドラム1に対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6が配設され、不図示の一次転写バイアス電源により正極性の一次転写バイアスが印加される構成となっている。不図示のモータにより駆動ローラ9が回転することにより、中間転写ベルト8は回転し、それに従い、二次転写対向ローラ10も従動回転する。各感光ドラム1は
図1(a)における矢印方向に回転し、中間転写ベルト8は
図1(a)における矢印方向に回転する。一次転写ローラ6には正極性の一次転写バイアスが印加される。これにより、感光ドラム1上のトナー像は、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写される。その後、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。
【0019】
感光ドラム1のクリーニングブレード4は、感光ドラム1に圧接し、中間転写ベルト8に転写されないで感光ドラム1表面に残った残留トナー及びその他の感光ドラム1上の残留物を除去する。また一部の可視画像は、二次転写ローラ11の位置で用紙Pに転写されず中間転写ベルト8上に残る。このベルト上に残った可視画像は不要であるため、クリーニングブレード21を用いたクリーニング動作によって除去され、廃トナー容器22に回収される。
【0020】
給搬送装置12は、用紙P(記録材)を収納する収納カセット13(載置部)内から用紙Pを給紙する給紙ローラ14(給送手段)と、給紙された用紙Pを搬送する搬送ローラ対15とを有する。そして、給搬送装置12から搬送された用紙Pは搬送ガイド40に沿ってレジストレーションローラ対16へと搬送され、レジストレーションローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、搬送された用紙Pに、中間転写ベルト8上の4色のトナー像が転写される(以下、二次転写という)。
【0021】
紙種検知センサ54は、用紙Pの搬送方向において、レジストレーションローラ対16の下流側であり、かつ二次転写ローラ11の上流側に設置されている。紙種検知センサ54は搬送された用紙Pの特性情報を検知するためのセンサである。本実施例の紙種検知センサ54により用紙Pの特性情報を検知する場合は、用紙Pの搬送を停止させる。より詳細には、レジストレーションセンサ16Sにより用紙Pの先端を検知したタイミングから、用紙Pの先端が確実に紙種検知センサ54の位置に到達したタイミングで不図示の給紙モータを停止させる。紙種検知センサ54について詳しくは後述する。
【0022】
トナー像が転写された後の用紙Pは、定着装置17に搬送される。定着装置17は、ヒータ30とヒータ30の温度を測定する温度センサ31を内蔵した定着フィルム18と、定着フィルム18に圧接するための加圧ローラ19を備えたフィルム加熱方式の定着器である。定着排紙センサ17Sは定着装置17に用紙Pが到達したことを検知する。定着装置17は、用紙Pを加熱及び加圧することにより、用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着する。用紙Pにトナー像を定着した際、用紙Pにカールが形成される場合がある。本実施例の構成においては、用紙Pが加圧ローラ19に巻き付く方向にカールが形成される。トナー像が定着された用紙Pは、カール矯正機構29のデカールローラ対25により搬送され、排紙ローラ対20によりプリンタ100の外部へ排紙される。カール矯正機構29は用紙Pに形成されたカールを矯正するための機構であり、用紙Pが加圧ローラ19に巻き付く方向とは反対の方向に、用紙Pに対して力を加えることでカールを矯正する。カール矯正機構29について詳しくは後述する。
【0023】
定着装置17を通過した用紙Pを排紙せず、用紙Pの第2面に印刷を行う場合、定着装置17を通過した用紙Pを反転ポイント201へ向けて搬送する。両面フラッパ61は用紙Pの搬送方向を排紙方向と反転部方向へと切り替え可能である。用紙Pは反転ポイント201を通過後、反転ローラ対50により外部へと排紙される方向に搬送される。そして、用紙Pの後端が反転ポイント201を通過し、反転ローラ対50が用紙Pをニップしている状態で、反転ローラ対50を一旦停止させる。そして、反転ローラ対50をそれまでと逆方向に回転させることにより、用紙Pを両面搬送路の方向へと搬送させる。
【0024】
両面搬送路内では両面搬送第一ローラ対51、両面搬送第二ローラ対52、両面搬送第三ローラ対53により用紙Pは搬送される。両面搬送路は合流ポイント200の箇所で、搬送ローラ対15とレジストレーションローラ対16の間の搬送ガイド40に合流している。表裏を反転された用紙Pはレジストレーションローラ対16によって二次転写ローラ11に再度搬送される。そして、用紙Pの第2面に中間転写ベルト8上の4色のトナー像が転写される。定着装置17により第2面に転写されたトナー像は定着される。両面フラッパ61を排紙方向に切り替えることにより、両面印刷された用紙Pがプリンタ100の外部へ排紙される。
【0025】
また、プリンタ100には環境センサ60が設けられており、プリンタ100の周囲の温度や湿度を検知することができるようになっている。
【0026】
[用紙の紙種判別]
図1(b)に本実施例における紙種検知センサ54の詳細な構成を示す。紙種検知センサ54は、LED55a、LED55b、フォトトランジスタ56a、フォトトランジスタ56bを有している。
【0027】
LED55aを光源とする光は、スリット57aを介して搬送ガイド40上の用紙Pの表面に対し照射される。また、搬送ガイド40には、用紙Pの裏面側から光を照射するための窓を設けてある。用紙Pからの反射光は、スリット57b、57cを介し集光されてフォトトランジスタ56a、56bにて受光される。LED55aを光源とする光に対して、フォトトランジスタ56aは乱反射光を受光し、フォトトランジスタ56bは正反射光を受光する。フォトトランジスタ56aが受光した乱反射光量に応じた出力値が判別制御部113へと出力され、フォトトランジスタ56bが受光した正反射光量に応じた出力値が判別制御部113へと出力される。そして、CPU104により、光沢度(x=正反射出力/乱反射出力)が求められる。つまり、用紙Pの特性情報として用紙Pの表面性を検知することができる。LED55bを光源とする光は、光を集光させるためにある集光ガイド57dを通って用紙Pの裏面へ照射される。用紙Pからの透過光は、スリット57bを介してフォトトランジスタ56aに受光される。LED55bを光源とする光に対して、フォトトランジスタ56aは透過光を受光する。フォトトランジスタ56aが受光↓透過光量に応じた出力値が判別制御部113へと出力される。そして、CPU104により透過率(y=フォトトランジスタ56aの出力)が求められる。つまり、用紙Pの特性情報として用紙Pの厚みを検知することができる。
【0028】
プリンタ100は、紙種検知センサ54により用紙Pを検知することで求められた用紙Pの光沢度及び透過率に基づいて紙種を判別する。本実施例では
図1(c)に記載されている通り、5つの紙種(普通紙、薄紙、厚紙、グロス紙、平滑紙)を判別する。
図1(c)において、まず光沢度xが閾値Aよりも小さい場合について説明する。透過率yが閾値Bよりも小さい場合、プリンタ100は用紙Pの紙種を厚紙であると判別する。そして、透過率yが閾値Bよりも大きく、閾値Cよりも小さい場合、プリンタ100は用紙Pの紙種を普通紙であると判別する。そして、透過率yが閾値Cよりも大きい場合、プリンタ100は用紙Pの紙種を薄紙であると判別する。次に、光沢度xが閾値Aよりも大きい場合について説明する。透過率yが閾値Dよりも小さい場合、プリンタ100は用紙Pの紙種をグロス紙であると判別する。そして、透過率yが閾値Dよりも大きい場合、プリンタ100は用紙Pの紙種を平滑紙であると判別する。以上より、紙種検知センサ54により用紙Pを検知することで紙種を判別することができる。また、閾値A乃至Dは
図2に記載された不揮発メモリ114等に記憶されている。
【0029】
本実施例では、LED55aは、LED光が用紙Pの表面に対し
図1(b)に示すように所定の角度をもって斜めより照射されるよう配置されている。また、LED55bはLED光が
図1(b)のようにフォトトランジスタ56aの正面の位置から照射されるように配置されている。
【0030】
[画像形成装置の全体制御]
図2は、本実施例の制御ブロック図である。プリンタ100はコントローラ102とエンジン制御部101を有している。コントローラ102は、ネットワークやプリンタケーブル等を介してホストコンピュータ103と接続されており、ホストコンピュータ103の設定に従いエンジン制御部101へ印刷指示などを行う。エンジン制御部101は、CPU104、不図示のROM,RAMなどの回路からなり、プリンタ100内の各装置を制御するプログラムを実行する。
【0031】
CPU104は、帯電バイアス等を制御する画像形成制御部110、搬送路上のローラ対を回転させるモータを駆動する搬送制御部111と接続されており、これらに指示を出すことで用紙Pに対する画像形成や用紙Pの搬送を行う。さらに、CPU104は、デカールローラ対25のニップ圧を切り替える切り替え制御部112、紙種検知センサ54の検知結果に基づいて用紙Pの紙種を判別する判別制御部113、不揮発メモリ114と接続されている。さらに、CPU104は温度センサ31、環境センサ60、レジストレーションセンサ16S、定着排紙センサ17Sと接続されており、各センサによって検知された結果を取得できる。
【0032】
搬送制御部111がカール矯正モータ73を駆動すると、デカールローラ対25が用紙Pの搬送方向に沿って回転する。また、搬送制御部111が両面モータ70を駆動すると、両面搬送第一ローラ対51、両面搬送第二ローラ対52、両面搬送第三ローラ対53が回転する。また、切り替え制御部112が切り替えモータ74を駆動すると、後述する圧制御カム28が回転しデカールローラ対25のニップ圧が切り替わる。
【0033】
判別制御部113は、紙種検知センサ54により用紙Pを検知することで求められる用紙Pの光沢度及び透過率から
図1(c)に記載の紙種判別テーブルと比較演算することで、紙種を判別する。用紙Pの光沢度はLED55aを光源とする出力値、用紙Pの透過率はLED55bを光源とする出力値からそれぞれ検出するため、用紙Pに対する光沢度と透過率は、同時ではなく、例えば光沢度の次に透過率といったように順次検出する。
【0034】
次に印刷動作を実行する場合における制御処理について説明する。まず、コントローラ102は、ホストコンピュータ103からの印刷命令に従って、エンジン制御部101へ印刷予約コマンドを送信する。エンジン制御部101は、コントローラ102から受信した印刷予約コマンドの順に印刷動作のための準備動作を開始し、コントローラ102から印刷開始コマンドが送信されるのを待つ。コントローラ102は準備動作が完了し、プリンタ100が印刷可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部101へ印刷開始コマンドを送信する。エンジン制御部101は、印刷開始コマンドを受信すると、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号をコントローラ102に出力し、印刷予約コマンドに従って印刷動作を開始する。
【0035】
印刷予約コマンドでは、紙種、給紙口、用紙Pのサイズなどの情報が指定される。印刷予約コマンドによって、普通紙や厚紙といった特定の紙種が指定されている場合、エンジン制御部101は対応する定着温調の目標温度やデカールローラ対25のニップ圧などの画像形成条件を決定し、印刷動作を行う。印刷予約コマンドによって特定の紙種が指定されておらず、自動判別モードが指定された場合、判別制御部113は、用紙Pの紙種を自動で判別し、エンジン制御部101は判別した紙種に応じた画像形成条件で印刷動作を行う。自動判別モードの場合は、紙種判別が完了するまで画像形成条件が決まらないため、エンジン制御部101は紙種判別が完了した後に/TOP信号を出力する必要がある。
【0036】
[カール矯正機構]
図3(a)にカール矯正機構29の構成を示す。デカールローラ対25はカール矯正ローラ25a(第1の回転部材)とカール矯正対向ローラ25b(第2の回転部材)から構成される。カール矯正ローラ25aの材質はアスカ―C硬度約30度の発泡シリコンゴム、カール矯正対向ローラ25bの材質は鉄である。硬度の低いカール矯正ローラ25aが硬度の高いカール矯正対向ローラ25bを加圧することで、カール矯正対向ローラ25bの外周に沿ったニップ部が形成される。用紙Pがこのニップ部にて挟持され搬送されることにより、定着フィルム18と加圧ローラ19により用紙Pに形成されたカールが逆方向に矯正される。つまり、用紙Pがカール矯正対向ローラ25bの外周に沿ってニップされることで、加圧ローラ19に巻き付く方向に形成されたカールが矯正される。上述した通り、切り替え制御部112が切り替えモータ74を駆動すると、圧制御カム28が
図3(a)における矢印方向に回転する。圧制御カム28の回転停止位置を変更することにより、加圧レバー27と加圧バネ26を介して、カール矯正ローラ25aがカール矯正対向ローラ25bに付与する圧力を切り替える。このカール矯正機構29により、デカールローラ対25のニップ圧を変更可能とする。
【0037】
図3(b)にデカールローラ対25のニップ圧が異なる3つの状態を示す。弱圧状態29aは、デカールローラ対25のニップ圧が最も弱い状態である。中圧状態29bは、弱圧状態29aから圧制御カム28が72°時計回りに回転した状態を示す。このとき、デカールローラ対25のニップ圧は弱圧状態29aよりも強い状態である。また、強圧状態29cは、中圧状態29bから圧制御カム28が110°時計回りに回転した状態を示す。このとき、デカールローラ対25のニップ圧は中圧状態29bよりも強い状態である。強圧状態29cから、さらに圧制御カム28が178°時計回りに回転すると、弱圧状態29aに切り替わる。以上、3つのカール矯正状態(デカールローラ対25のニップ圧の状態)は、
図3(b)に示す矢印の方向に沿って一方向にのみ切り替え可能である。
【0038】
なお、カール矯正状態(ニップ圧)を切り替え中に、デカールローラ対25に用紙Pの先端が突入すると、ジャム(紙詰まり)が発生する可能性がある。これは、デカールローラ対25のニップ圧が不安定な状態で用紙Pが突入することにより、デカールローラ対25を通過後の用紙Pの向きが安定せず、用紙Pの先端の搬送経路がばらつくためである。そこで、本実施例では用紙Pがニップに突入する前にカール矯正状態の切り替え動作を中断する。ここで、切り替え制御部112が切り替えモータ74を停止させ、実際にカール矯正状態の切り替えを停止させるまでには所定のマージン時間が発生する。そのため、本実施例では、用紙Pの先端がデカールローラ対25よりも上流の第1の位置に到達したタイミングでカール矯正状態の切り替えを中止させる。マージン時間を考慮した第1の位置とは、例えばデカールローラ対25の上流10mmの位置である。
【0039】
カール矯正状態の切り替えを中止させた後、用紙Pの先端がデカールローラ対25よりも下流の第2の位置に到達してからであれば、安定して用紙Pを搬送することができる。安定して用紙Pを搬送できる第2の位置とは、例えばデカールローラ対25の下流50mmの位置である。従って、本実施例では、用紙Pの先端がデカールローラ対25の上流10mmに到達するタイミングからデカールローラ対25の下流50mmに到達するタイミングまでの期間は、カール矯正状態の切り替えを一時的に中止させる。
【0040】
[カール矯正制御]
次にカール矯正制御について説明する。本実施例においては以下の4つの観点でカール矯正状態を決定する。カール矯正状態を切り替える場合は、切り替えモータ74を駆動し、切り替えモータ74の駆動ステップ数から圧制御カム28を所望の位相だけ回転させて停止する。ここで、切り替えモータ74としてはステッピングモータを用いることができる。
【0041】
まず第1の観点として挙げられるのは、プリンタ100の周囲の空気中の水分量(以下、絶対水分量と記載する)である。プリンタ100の周囲の温度または湿度が低く、絶対水分量が少ない場合、用紙Pに含まれる水分量も少ないため、用紙Pに形成されるカールは小さくなる。一方、絶対水分量が多い場合、用紙Pに含まれる水分量も多いため、用紙Pに形成されるカールは大きくなる。そのため、絶対水分量に応じて形成されるカールの大小によって、カールを矯正するためのニップ圧を切り替える必要がある。なお、絶対水分量については上述した環境センサ60によって検知することができる。
【0042】
第2の観点として挙げられるのは、印刷動作を開始する際における定着装置17の温度(以下、定着温度と記載する)である。ここで、定着温度とは、印刷動作に伴って温度が上昇するよりも前のタイミングにおけるヒータ30の温度である。前の印刷動作からそれほど時間が経過しておらず定着温度が高い状態から印刷動作を開始する場合、定着フィルム18と加圧ローラ19の間の温度差が小さい状態で定着動作が行われるため、用紙Pに形成されるカールは小さくなる。この状態をHot状態と呼ぶ。一方、前の印刷動作から時間が空いて定着温度がほぼ常温に近い温度にまで下がった状態から印刷動作を開始する場合、定着フィルム18と加圧ローラ19の間の温度差が大きい状態で定着動作が行われるため、用紙Pに形成されるカールは大きくなる。この状態をCold状態と呼ぶ。そのため、定着装置17の温度に応じて形成されるカールの大小によって、カールを矯正するためのニップ圧を切り替える必要がある。なお、Hot状態とCold状態の判別は、温度センサ31によって検知されるヒータ30の温度と予め不揮発メモリ114に記憶された閾値温度をCPU104が比較することによって行われる。つまり、検知されたヒータ30の温度が閾値温度よりも高い場合、CPU104はHot状態であると判別し、検知されたヒータ30の温度が閾値温度よりも低い場合、CPU104はCold状態と判別する。
【0043】
第3の観点として挙げられるのは、片面プリントと両面プリントのどちらを行うかを示す印刷面情報である。両面プリントを行う場合、1面目の印刷時に形成されたカールが2面目の印刷時には軽減されるため、片面プリントのみを行った場合と比較して用紙Pに形成されるカールが小さくなる。これは、2面目の印刷時に1面目の印刷時に形成されたカールと逆方向のカールが形成され、1面目の印刷時に形成されたカールを打ち消すためである。そのため、実行されるプリントが片面か両面かに応じて形成されるカールの大小によって、カールを矯正するためのニップ圧を切り替える必要がある。なお、印刷面情報はコントローラ102から送信される印刷予約コマンドに含まれている。
【0044】
第4の観点として挙げられるのは、印刷する対象である用紙Pの紙種である。同程度のカールが形成されているコシの弱い薄紙とコシの強い厚紙を比較した場合、厚紙のカールを矯正するためには薄紙のカールを矯正するよりも強いニップ圧が必要である。また、強いニップ圧で薄紙のカールを矯正してしまうと、元のカールが形成されていた方向とは逆方向のカールが形成されてしまう可能性もある。なお、紙種情報はコントローラ102から送信される印刷予約コマンドに含まれている場合もあれば、紙種検知センサ54によって検知された特性情報に基づいて判別制御部113が判別する場合もある。
【0045】
以上より、本実施例によれば、上記の4つの観点に関する情報を基に、表1に示すニップ圧選択テーブルを用いてカール矯正状態を決定する。表1においては、絶対水分量が20[g/m^3]以上の場合を絶対水分量「高」、絶対水分量が5[g/m^3]以上20[g/m^3]未満の場合を絶対水分量「中」、絶対水分量が5[g/m^3]未満の場合を絶対水分量「低」としている。また、表1においては、プリント開始時の定着温度が70[℃]以上の場合を定着温度「Hot」、プリント開始時の定着温度が70[℃]未満の場合を定着温度「Cold」としている。例えば、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Hot」の状態において、普通紙を片面プリントする場合、デカールローラ対25のニップ圧を強圧状態29cに切り替える。
【0047】
ユーザーが事前に紙種を指定して印刷指示を出した場合、プリント開始時のタイミングにおいてCPU104は紙種情報を取得できるため、表1のニップ圧選択テーブルを用いてカール矯正状態を決定することができる。
【0048】
一方、紙種検知センサ54を用いて紙種を判別する自動判別モードで印刷指示を出した場合、紙種検知センサ54による検知動作が完了するまでCPU104は紙種情報を取得できない。
【0049】
また、紙種検知センサ54による検知動作が完了したタイミングでカール矯正状態を決定し、カール矯正状態の切り替えを開始すると、切り替えが完了するよりも前に用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達してしまう可能性がある。これは、カール矯正状態の切り替えにかかる時間が、紙種検知センサ54からデカールローラ対25まで用紙Pが搬送される時間よりも長くなる可能性があるためである。表2は、
図3(b)に示した各カール矯正状態から他のカール矯正状態への切り替え時間を示している。本実施例において、紙種検知センサ54からデカールローラ対25の上流10mmの位置まで用紙Pが搬送される時間は1250[ms]とする。表2によれば、弱圧状態29aから強圧状態29cまでカール矯正状態を切り替えるには1432[ms]の時間が必要であり、用紙Pが搬送される時間である1250[ms]よりも長くなっている。
【0051】
従って、本実施例では自動判別モードにおいて紙種検知センサ54による検知動作が完了する前に暫定的なカール矯正状態を決定し、カール矯正状態の切り替えを開始するように制御する。これにより、紙種情報を取得してさらにカール矯正状態の切り替えが必要となった場合においても、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するまでに切り替えが間に合う可能性を高くすることができる。
【0052】
[暫定的なカール矯正状態]
図4と表2を用いて、暫定的なカール矯正状態を決定する方法を説明する。
図4は、紙種以外の情報(特性情報以外の情報)である印刷面情報、プリント開始時の定着温度、絶対水分量)から第1カール矯正状態を決めるフローチャートである。第1カール矯正状態とは紙種以外の情報によって決定される暫定的なカール矯正状態である。
図4のフローチャートに基づく制御は、CPU104が不揮発メモリ114等に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0053】
まず、CPU104はコントローラ102から指定された印刷面情報を取得し(S100)、片面プリントを行うか両面プリントを行うかを判別する。次に、CPU104は温度センサ31からプリント開始時の定着温度を取得し、「Hot」又は「Cold」のどちらであるかを判別する(S101)。次に、CPU104は環境センサ60から絶対水分量を取得し、「高」「中」「低」のいずれであるかを判別する(S102)。
【0054】
そして、CPU104は紙種以外の情報(印刷面情報、プリント開始時の定着温度、絶対水分量)とニップ圧選択テーブルに基づいて、デカールローラ対25のニップ圧を切り替えるカール矯正状態の候補を絞り込む(S103)。以下、候補状態を(S
1、S
2…S
N)で表す。例えば、絶対水分量「高」、プリント開始時の定着温度が「Cold」の状態で片面プリントする場合、カール矯正状態の候補は、表1の太黒枠で囲んだ弱圧状態29aと中圧状態29bである。
【0055】
カール矯正状態の候補が1つであると判断した場合(S104)、CPU104は候補としているカール矯正状態S
1を第1カール矯正状態に決定する(S105)。一方、カール矯正状態の候補が2つ、または3つであると判断した場合(S104)、CPU104はカール矯正状態の候補(S
1、S
2…S
N)それぞれについて最大切り替え時間Tiを求める(S106)。ここで、最大切り替え時間Tiとは、カール矯正状態の候補Siから他のカール矯正状態の候補Sjへ切り替えを行った場合に要する時間の最大値である。そして、CPU104は最大切り替え時間Tiが最小となるカール矯正状態Siを第1カール矯正状態に決定する(S107)。
【0056】
例えば、カール矯正状態の候補が表1の太黒枠で囲んだ弱圧状態29aと中圧状態29bである場合、弱圧状態29aから中圧状態29bへの切り替え時間は995[ms]であり、中圧状態29bから弱圧状態29aへの切り替え時間は1561[ms]である。ここで、i=1を弱圧状態29a、i=2を中圧状態29bとすると、カール矯正状態の候補はこの2つしかないので、最大切り替え時間T1=995[ms]であり、最大切り替え時間T2=1561[ms]となる。従って、最大切り替え時間Tiが最小となるカール矯正状態はi=1の弱圧状態29aであるため、CPU104は弱圧状態29aを第1カール矯正状態に決定する。
【0057】
[カール矯正動作]
図5を用いて、コントローラ102から印刷指示を受けた場合に、カール矯正状態を決定する本実施例の方法を説明する。
図5のフローチャートは、印刷対象である1枚目の用紙Pに対して実行される。連続プリント動作における2枚目以降の用紙Pに対しては、1枚目と同じ紙種である場合には、1枚目の用紙Pに関して決定したニップ圧を用いてカール矯正動作を実行する。また、
図5のフローチャートに基づく制御は、CPU104が不揮発メモリ114等に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0058】
まず、CPU104はコントローラ102から自動判別モードの印刷指示または紙種が指定された印刷指示のどちらを受けたかを判断する(S200)。自動判別モードの印刷指示を受けたと判断した場合、CPU104は既に
図4を用いて説明した方法によって暫定的なカール矯正状態として第1カール矯正状態を決定する(S201)。そして、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を決定した第1カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S202)。また、これらの処理と並行して用紙Pが収納カセット13から給紙され、紙種検知センサ54による用紙Pの検知動作が開始される。ここで、CPU104は少なくとも紙種検知センサ54による検知動作が完了する前に、デカールローラ対25のニップ圧を第1カール矯正状態へ切り替える。
【0059】
次に、CPU104は紙種検知センサ54による検知動作が完了したか否かを判断する(S203)。検知動作が完了したと判断した場合、CPU104は検知した特性情報に基づいて紙種を判別し、紙種の情報も含めて第2カール矯正状態を決定する(S204)。ここで、第2カール矯正状態とは、印刷面情報、プリント開始時の定着温度、絶対水分量、紙種情報の4つの情報によって決定される最終的なカール矯正状態である。そして、CPU104は第1カール矯正状態と第2カール矯正状態が異なるか否かを判断する(S205)。第1カール矯正状態と第2カール矯正状態が異なると判断した場合、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を決定した第2カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S206)。一方、第1カール矯正状態と第2カール矯正状態が異ならない場合、即ち、ニップ圧の切り替えが不要な場合はS206の動作をせずに先に進む。
【0060】
紙種検知センサ54により用紙Pの特性情報の検知がなされている状態ではレジストレーションローラ対16は停止しており、用紙Pも停止している。そして、レジストレーションローラ対16を再駆動することにより用紙Pは中間転写ベルト8に形成されるトナー像とタイミングが合うように二次転写ローラ11に向けて再搬送される。本実施例では、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが完了するよりも前に、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達してしまう場合に備えて、CPU104は以下の制御フローを実行する。
【0061】
即ち、S207において、CPU104は定着排紙センサ17Sにより用紙Pの先端を検知したタイミングに基づいて、用紙Pの先端がデカールローラ対25の上流10mmの位置に到達したか否かを判断する。その位置に到達したと判断した場合、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧の切り替えが完了していることを確認する(S208)。まだ切り替えが完了していないと判断した場合、CPU104は一時的にデカールローラ対25のニップ圧の切り替えを停止させる(S209)。そして、CPU104は定着排紙センサ17Sにより用紙Pの先端を検知したタイミングに基づいて、用紙Pの先端がデカールローラ対25の下流50mmの位置に到達したか否かを判断する(S210)。その位置に到達したと判断した場合、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧の切り替えを再開させる(S211)。この様にニップ圧の切り替え動作を一時中断することにより、用紙Pの先端がニップ圧切り替え中のデカールローラ対25のニップに突入することを防ぐことができ、用紙Pの搬送を安定して実行可能となる。
【0062】
また、S200において紙種を指定した印刷指示を受けたと判断した場合、CPU104は既に取得済みの紙種情報に加え、印刷面情報、プリント開始時の定着温度、絶対水分量に基づいて、第2カール矯正状態を決定する(S212)。そして、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を決定した第2カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S213)。
【0063】
次に、本実施例の具体的な動作について
図6、
図7のタイミングチャートを用いて説明する。
図6は、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するタイミングに対して、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが間に合う場合を示している。
図7は、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するタイミングに対して、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが間に合わない場合を示している。
【0064】
図6は、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Cold」であり、収納カセット13に普通紙が収納されている状態で自動判別モードの片面プリントが指示された場合のタイミングチャートを示している。なお、
図6において初期のカール矯正状態(初期状態)は強圧状態29cである。前述した通り、この場合は弱圧状態29aが第1カール矯正状態となる。また、普通紙へのプリントであるので、第2カール矯正状態として中圧状態29bが決定される。
【0065】
エンジン制御部101が、コントローラ102からの印刷開始コマンドを受けると(T500)、切り替え制御部112は、第1カール矯正状態を弱圧状態29aに決定し、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T501)。切り替え制御を開始した後、判別制御部113は紙種検知センサ54による検知結果に基づいて、用紙Pの紙種を普通紙であると判別する。切り替え制御部112は、紙種を含めた情報から第2カール矯正状態を中圧状態29bに決定し(T503)、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T504)。エンジン制御部101は、定着排紙センサ17Sにより用紙Pの先端を検知したタイミング(T505)から、用紙Pの先端がデカールローラ対25の上流10mmに到達するタイミング(T506)を求める。T506においてデカールローラ対25のニップ圧の切り替えは終了しているため、印刷動作は継続される。
【0066】
図7は、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Hot」であり、収納カセット13に普通紙が収納されている状態で自動判別モードの片面プリントが指示された場合のタイミングチャートを示している。なお、
図7において初期のカール矯正状態(初期状態)は強圧状態29cである。この場合、第1カール状態は弱圧状態29a、第2カール状態は強圧状態29cとなる。
【0067】
エンジン制御部101が、コントローラ102からの印刷開始コマンドを受けると(T600)、切り替え制御部112は、第1カール矯正状態を弱圧状態29aに決定し、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T601)。切り替え制御を開始した後、判別制御部113は紙種検知センサ54による検知結果に基づいて、用紙Pの紙種を普通紙であると判別する。切り替え制御部112は、紙種を含めた情報から第2カール矯正状態を強圧状態29cに決定し(T603)、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T604)。エンジン制御部101は、定着排紙センサ17Sにより用紙Pの先端を検知したタイミング(T605)から、用紙Pの先端がデカールローラ対25の上流10mmに到達するタイミング(T606)を求める。T606においてデカールローラ対25のニップ圧の切り替えは終了していないため、切り替え制御部112は切り替えモータ74を停止する。切り替え制御部112は、用紙Pの先端がデカールローラ対25の下流50mmに到達したタイミング(T607)で、切り替えモータ74を再度駆動し、切り替えを再開する。
【0068】
以上より、本実施例によれば、自動判別モードでプリントを行う際、紙種検知センサ54による検知動作が完了する前に、紙種以外の情報から決定した第1カール矯正状態にデカールローラ対25のニップ圧を切り替える。そして、紙種検知センサ54による検知動作が完了してから、紙種情報も含めて決定した第2カール矯正状態にデカールローラ対25のニップ圧を切り替える。これにより、自動判別モードにおいてもユーザーによって事前に紙種が指定されるモードと同等のFPOTを実現することができる。つまり、自動判別モードにおいてFPOTが長くなるのを防ぐことができる。
【0069】
さらに本実施例では、上記の制御を実行したとしても、用紙Pの先端がデカールローラ対25のニップに到達するタイミングに対して、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが間に合わない場合、ニップ圧の切り替えを一時的に停止させるようにする。そして、用紙Pの先端がデカールローラ対25の下流50mmに到達するタイミングでニップ圧の切り替えを再開させる。このように、用紙Pの先端から所定量がニップを通過する間はニップ圧の切り替えを中断することで、用紙Pの姿勢を安定させた状態で搬送し、用紙Pの先端の搬送経路がばらつくことによるジャムを回避できる。
【0070】
(実施例2)
実施例1では、デカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達したタイミングで、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが完了できていない場合、切り替えを一旦停止させていた。そして、用紙Pの先端がデカールローラ対25の下流50mmに到達したタイミングで切り替えを再開させることで、ニップ圧の切り替え中に用紙Pがデカールローラ対25のニップに突入するのを回避していた。しかしながら、用紙Pがデカールローラ対25に到達してから、切り替えが完了するまでの間は、用紙Pに対して適切な圧力がかかっていないため、十分に用紙Pのカールの矯正ができない可能性がある。
【0071】
そこで本実施例では、用紙Pがデカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達したタイミングで、第1カール矯正状態から第2カール矯正状態への切り替えが完了できない可能性がある場合、画像形成タイミングを遅らせる方法について説明する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。
【0072】
図8を用いて、コントローラ102から印刷指示を受けた場合に、カール矯正状態を決定する本実施例の方法を説明する。
図8のフローチャートは、印刷対象である1枚目の用紙Pに対して実行される。
図8のフローチャートに基づく制御は、CPU104が不揮発メモリ114等に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0073】
まず、CPU104はコントローラ102から印刷指示を受けた場合、画像形成制御部110が画像形成動作を開始することを禁止する(S300)。ここでの画像形成動作とは、収納カセット13から用紙Pを給紙する給紙動作は含まれず、感光ドラム1や中間転写ベルト8にトナー像を形成する動作のことを指す。S200乃至S206については
図5のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略する。
【0074】
S205において、第1カール矯正状態と第2カール矯正状態が異なると判断した場合、CPU104はS206においてデカールローラ対25のニップ圧を第2カール矯正状態へ切り替える制御を開始する。そして、CPU104は第1カール矯正状態から第2カール矯正状態への切り替えに要する時間T1to2を算出する。また、CPU104は不揮発メモリ114等に記憶されている搬送時間Tdを読み出す。ここで、搬送時間Tdとは紙種検知センサ54による検知動作が完了し、レジストレーションローラ対16が再駆動して用紙Pが再搬送されてから、デカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達するまでに要する時間である。CPU104は算出した切り替え時間T1to2よりも搬送時間Tdの方が長いか否かを判断する(S301)。
【0075】
S301において、切り替え時間T1to2よりも搬送時間Tdの方が短いとCPU104が判断した場合、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するタイミングに対して、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが間に合わないことになる。そのため、本実施例においては、感光ドラム1や中間転写ベルト8にトナー像を形成するタイミングを遅らせる。具体的には、CPU104が画像形成待ち時間Twを算出する(S302)。画像形成待ち時間Twは、式1を用いて算出される。
【0076】
画像形成待ち時間Tw=Td−T1to2‥‥(式1)
なお、本実施例において搬送時間Tdは1250[ms]とする。そして、画像形成待ち時間Twが経過するまで待機した後(S303)、CPU104は、S300で禁止していた画像形成動作を画像形成制御部110が開始することを許可する(S304)。これにより、感光ドラム1や中間転写ベルト8にトナー像の形成が開始される。そして、レジストレーションローラ対16を再駆動し、紙種検知センサ54の位置で停止していた用紙Pが中間転写ベルト8に形成されるトナー像とタイミングが合うように再搬送される。
【0077】
また、S301において切り替え時間T1to2よりも搬送時間Tdの方が長いと判断した場合、CPU104は画像形成制御部110が画像形成動作を開始することを許可にする(S304)。
【0078】
また、S205において第1カール矯正状態と第2カール矯正状態が異なると判断されなかった場合、即ち、ニップ圧の切り替えが不要な場合、CPU104は画像形成制御部110が画像形成動作を開始することを許可にする(S305)。
【0079】
なお、S200において紙種を指定した印刷指示を受けたと判断した場合、紙種検知センサ54による用紙Pの特性状態の検知なしにデカールローラ対25のニップ圧の変更を実行可能である。そのため、CPU104は画像形成待ち時間の待機を要することなく画像形成制御部110が画像形成動作を開始することを許可にする(S306)。そして、第2カール矯正状態を決定し(S212)、デカールローラ対25のニップ圧を第2カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S213)。
【0080】
次に、本実施例の具体的な動作について
図9のタイミングチャートを用いて説明する。
図9は、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Hot」であり、収納カセット13に普通紙が収納されている状態で自動判別モードの片面プリントが指示された場合のタイミングチャートを示している。なお、
図9において初期のカール矯正状態は強圧状態29cである。また、第1カール矯正状態は弱圧状態29a、第2カール矯正状態は強圧状態29cとなる。
【0081】
エンジン制御部101が、コントローラ102からの印刷開始コマンドを受けると(T700)、切り替え制御部112は、第1カール矯正状態を弱圧状態29aに決定し、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T701)。切り替え制御を開始した後、判別制御部113は紙種検知センサ54による検知結果に基づいて、用紙Pの紙種を普通紙であると判別する。切り替え制御部112は、紙種を含めた情報から第2カール矯正状態を強圧状態29cに決定し(T702)、デカールローラ対25のニップ圧の切り替え制御を開始する(T703)。エンジン制御部101は、第1カール矯正状態から第2カール矯正状態への切り替え時間T1to2が搬送時間Tdよりも長い場合、画像形成待ち時間Twだけ待ってから、画像形成動作を許可する(T704)。これにより、感光ドラム1や中間転写ベルト8へのトナー像の形成タイミングが遅れ、用紙Pの再搬送タイミングを遅らせることが可能になる。このように、用紙Pの搬送タイミングを遅らせることにより、用紙Pがデカールローラ対25の上流10mmに到達するタイミング(T705)では、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが完了する。
【0082】
以上より、本実施例によれば、自動判別モードにおいてFPOTが長くなるのを防ぐことができる。さらに本実施例では、上記の制御を実行したとしても、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するタイミングに対して、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えが間に合わない場合に、画像形成タイミングを遅らせている。これにより、用紙Pの全域に渡って適正なニップ圧にてカール矯正動作が実行されるので、実施例1における用紙Pのカールの矯正が十分にできない可能性をなくすことができる。
【0083】
(実施例3)
実施例1では、紙種検知センサ54による検知動作が完了する前に、デカールローラ対25のニップ圧を第1カール矯正状態へ切り替え、紙種検知センサ54による検知動作が完了した後に、ニップ圧を第2カール矯正状態へ切り替えていた。デカールローラ対25の耐久性を考慮すると、ニップ圧の切り替え回数はできるだけ減らすことが望ましい。そのため、本実施例ではこのデカールローラ対25のニップ圧の切り替え回数を減らす方法について説明する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。
【0084】
まず、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Cold」であり、収納カセット13に厚紙が収納されている状態で自動判別モードの片面プリントが指示された場合について考える。なお、初期のカール矯正状態は中圧状態29bであるとする。この場合、実施例1では紙種以外の情報に基づいてカール矯正状態の候補を弱圧状態29aと中圧状態29bに絞り込み、CPU104は弱圧状態29aを第1カール矯正状態に決定する。そして、紙種が厚紙であると判別された後に、中圧状態29bを第2カール矯正状態に決定する。つまり、カール矯正状態は中圧状態29b→弱圧状態29a→中圧状態29bの順に切り替わる。
【0085】
ここで、紙種検知センサ54による検知動作が完了してから、デカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達するまでに要する搬送時間Tdが長い場合においては、上記の切り替え回数を減らすことができる。例えば、搬送時間Tdが1600[ms]である形態において、上記の例のプリントをした場合について考える。初期のカール矯正状態である中圧状態29bから弱圧状態29aに切り替えるために要する時間は表2から1561[ms]であり、搬送時間Tdよりも短い。そのため、紙種検知センサ54による検知動作が完了する前にデカールローラ対25のニップ圧を弱圧状態29aに切り替えなくても、デカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達する前にニップ圧の切り替えは完了する。つまり、紙種検知センサ54による検知動作の完了後に、デカールローラ対25のニップ圧の切り替えを開始しても、デカールローラ対25の上流10mmに用紙Pの先端が到達する前にニップ圧の切り替えは完了する。ゆえに、この場合は第1カール矯正状態(弱圧状態29a)にニップ圧を暫定的に切り替えることなく、中圧状態29bを維持する。
【0086】
そこで、本実施例では、初期のカール矯正状態から各カール矯正状態の候補への切り替え時間が、いずれも搬送時間Tdより短い場合、第1カール矯正状態への暫定的な切り替えを実施しない。そして、紙種検知センサ54による検知動作が完了した後に、第2カール矯正状態への切り替えのみを実施する。なお、本実施例では、プリンタ100が4種類の用紙Pの搬送速度を備え、プリンタ100は、用紙Pの紙種と紙サイズから搬送速度を決定し、決定した搬送速度で用紙Pの搬送を行う。表3に各搬送速度に対応する搬送時間Tdを示す。
【0088】
図10を用いて、コントローラ102から印刷指示を受けた場合に、カール矯正状態を決定する本実施例の方法を説明する。
図10のフローチャートは、印刷対象である1枚目の用紙Pに対して実行される。
図10のフローチャートに基づく制御は、CPU104が不揮発メモリ114等に記憶されているプログラムに基づき実行する。
【0089】
S200及びS201については
図4のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略する。S201において第1カール矯正状態を決定した後、CPU104は切り替え前のカール矯正状態SbからS201において絞り込んだ各カール矯正状態の候補Sjへの切り替え時間の中の最大値Tmaxを求める(S400)。なお、カール矯正機構29には不図示の位置検知センサが設けられていて、CPU104は切り替え前のカール矯正状態Sb、すなわち初期のカール矯正状態を検知することができるようになっている。そして、CPU104は印刷予約コマンドによって通知された用紙Pの紙サイズを基に搬送速度を絞り込み、その中で最小となる搬送時間Tminを求める(S401)。例えば、搬送方向における長さが431.9mmよりも長い長尺紙の場合、搬送速度は3/4速、1/2速、1/3速のいずれかに絞り込まれる。なお、収納カセット13に設けられた後端規制板の位置などによって紙サイズを自動的に検知できる構成であってもよい。
【0090】
CPU104は求めた最小搬送時間Tminよりも最大切り替え時間Tmaxの方が長いか否かを判断する(S402)。最小搬送時間Tminよりも最大切り替え時間Tmaxの方が長いと判断した場合、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を決定した第1カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S202)。また、最小搬送時間Tminよりも最大切り替え時間Tmaxの方が短いと判断した場合、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を第1カール矯正状態へ切り替える制御を実施しない。そして、CPU104は紙種検知センサ54により検知動作が完了した後で(S203)、デカールローラ対25のニップ圧を第2カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S204)。なお、S205乃至S213については実施例1の
図4のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略する。
【0091】
次に、本実施例の具体的な動作について
図11のタイミングチャートを用いて説明する。
図11は、絶対水分量が「高」、プリント開始時の定着温度が「Cold」であり、収納カセット13に厚紙が収納されている状態で自動判別モードの片面プリントが指示された場合のタイミングチャートを示している。なお、
図11において初期のカール矯正状態は中圧状態29bである。また、紙サイズにより搬送速度は3/4速以下に設定される。
【0092】
エンジン制御部101が、コントローラ102からの印刷開始コマンドを受けると(T800)、切り替え制御部112は、カール矯正状態の候補を弱圧状態29aと中圧状態29bに絞り込み、第1カール矯正状態を弱圧状態29aに決定する(T801)。ここで、切り替え前のカール矯正状態である中圧状態29bから弱圧状態29aへの切り替え時間Tmax(=1561[ms])は最小搬送時間Tmin(=1575[ms])よりも短い。そのため、デカールローラ対25のニップ圧を第1カール矯正状態へ切り替える制御を実施しない。そして、判別制御部113は紙種検知センサ54による検知結果に基づいて、用紙Pの紙種を厚紙であると判別する。切り替え制御部112は、紙種を含めた情報から第2カール矯正状態を中圧状態29bに決定する(T803)。ここで、すでにカール矯正状態は中圧状態29bであるため、切り替え制御は終了し印刷動作は継続される。
【0093】
以上より、本実施例によれば、自動判別モードにおいてFPOTが長くなるのを防ぐことができる。さらに本実施例では、切り替え前のカール矯正状態から各カール矯正状態の候補への切り替え時間が、いずれも搬送時間Tdよりも短い場合、暫定的な第1カール矯正状態への切り替えを実施しない。そして、最終的な第2カール矯正状態への切り替えのみ実施することで、カール矯正状態を切り替える回数を減らすことができ、デカールローラ対25の寿命を延ばすことができる。
【0094】
(実施例4)
上記の実施例1及び2では、紙種検知センサ54による検知動作が完了する前に、デカールローラ対25のニップ圧を第1カール矯正状態へ暫定的に切り替えていた。そして、紙種検知センサ54による検知動作が完了した後に、ニップ圧を最終的な第2カール矯正状態へ切り替えていた。ここで、ニップ圧を第1カール矯正状態へ予め切り替えたとしても、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するまでに、第2カール矯正状態への切り替えが完了できない場合があることは前述のとおりである。この場合、過去の紙種検知結果の履歴を用いて、再度第1カール矯正状態を決定することが考えられる。これは、連続して実行される印刷動作において同一の給紙口(カセット)が選ばれた場合、同一の給紙口からは同じ紙種の用紙Pが給紙される可能性が高いためである。
【0095】
上記の制御を記載したフローチャートを
図12に示す。
図12は実施例1に対応する
図5に示したフローチャートと基本的に同じであり、
図5のフローチャートと異なる点はS500とS501が追加されている点である。また、
図2に示した不揮発メモリ114には、給搬送装置12から前回の印字動作において給紙した用紙Pの紙種を表す情報が記憶されている。
【0096】
S201において第1カール矯正状態を決定した後、CPU104は第1カール矯正状態から他のカール矯正状態の候補への切り替えに要する時間の中の最大値Tiを求める。そして、CPU104は不揮発メモリ114等に記憶されている搬送時間Tdを読み出す。CPU104は最大切り替え時間Tiよりも搬送時間Tdの方が長いか否かを判断する(S500)。最大切り替え時間Tiよりも搬送時間Tdの方が短いと判断した場合、給搬送装置12から前回給紙した紙種と同じ紙種が搬送されるものとして、CPU104は前回給紙した紙種の情報に基づいて第1カール矯正状態を再度決定する(S501)。前回給紙した紙種の情報は不揮発メモリ114に記憶されている。そして、CPU104はデカールローラ対25のニップ圧を決定した第1カール矯正状態へ切り替える制御を開始する(S202)。
【0097】
これにより、紙種検知センサ54により検知された紙種が前回給紙した紙種と同じであった場合、前回給紙した紙種に基づいて決定した第1カール矯正状態と最終的な第2カール矯正状態とが等しくなる。従って、デカールローラ対25のニップ圧の変更動作が不要となり、用紙Pの先端がデカールローラ対25に到達するまでに第2カール矯正状態への切り替えが完了できない不都合を防ぐことができる。
【0098】
(変形例)
上記の実施例1乃至3においては、反射光と透過光を検知するタイプの紙種検知センサ54について説明したが、これに限定されない。例えば、
図13に示すような超音波検知部58と表面性検知部59を有する紙種検知センサ54を用いてもよい。超音波検知部58は、送信部58aから超音波を送信し、用紙Pを介して減衰した超音波を受信部58bによって受信する。そして、CPU104は、受信部58bが受信した超音波の振幅値に基づいて、特性情報として用紙Pの坪量を検知する。表面性検知部59は、照射部59a、結像部59b、撮像部59cから構成されている。照射部59aは用紙Pに光を照射し、結像部59bは用紙Pの表面で反射した光を結像する。撮像部59cは、結像部59bにより結像された光を受光する受光部であって、受光した光を用紙Pの表面画像として撮像する。そして、CPU104は撮像部59cが撮像した表面画像に基づいて、特性情報として用紙Pの表面性(凹凸)を検知する。そして、判別制御部113は検知された坪量と表面性に基づいて、紙種を判別する。
【0099】
また、上記の実施例1乃至3においては、カール矯正機構29に含まれるデカールローラ対25のニップ圧を切り替える構成について説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0100】
例えば、用紙Pにトナー像を定着するための定着装置17に適用してもよい。定着におけるニップ圧はトナー像の用紙Pへの定着性を左右するものであり、また、定着性は環境条件や用紙Pの紙種等によっても左右される。従って、紙種等を考慮して最適な定着性を奏する定着ニップ圧を設定する方が好ましい。そこで、前述した実施例と同様に、紙種検知センサ54による紙種検知結果に基づいて定着のニップ圧を変更する。
【0101】
即ち、
図1に示した定着装置17に含まれる定着フィルム18と加圧ローラ19のニップ圧を切り替えられる構成とし、このニップ圧の切り替えに本発明を適用してもよい。
図14に定着フィルム18と加圧ローラ19のニップ圧を切り替えることができる定着装置17の構成を示す。基本的な構成は
図3で説明したカール矯正機構29と同じである。
図14において切り替えモータ74を駆動すると、圧制御カム28が
図14における矢印方向に回転する構成とする。圧制御カム28は、加圧レバー27と加圧バネ26を介して、加圧ローラ19が定着フィルム18に付与する圧力を切り替える。
【0102】
この加圧ローラ19が定着フィルム18に付与する圧力の切り替え制御を前述したカール矯正動作におけるカール矯正状態の切り替え制御と同様のものとする。これにより、FPOTの低下を招くことなしに、紙種に適した定着ニップ圧にてトナー像の用紙Pへの定着が可能となる。
【0103】
また、上記の実施例1乃至3においては、ニップ圧を3段階で切り替えられる構成について説明したが、これに限定されない。少なくともニップ圧を2段階以上で切り替えられる構成であればよい。
【0104】
また、上記の実施例においては、レーザビームプリンタの例を示したが、本発明を適用する画像形成装置はこれに限られるものではなく、インクジェットプリンタ等、他の印刷方式のプリンタ、又は複写機でもよい。