【実施例】
【0052】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0053】
[実施例1]
実施例1では、本発明を適用した反射型の生体検査装置の構成例について説明する。
【0054】
図1に、本実施例における反射型の生体検査装置の構成を説明する概略図を示す。
【0055】
図1において、100は光発生器、200は超音波検出器、300は照明光学系、400は信号解析装置、500は制御装置、600はメモリー、700はディスプレイ、800は本体筐体、900はプローブ筐体、1000はケーブルである。
【0056】
Eは被検体、αは生体組織内部の吸収体である。
【0057】
光発生器100と信号解析装置400は本体筐体800に収納され、超音波検出器200と照明光学系300はプローブ筐体900に収納されている。
【0058】
また、ケーブル1000は、本体筐体800とプローブ筐体900を繋いでいる。
【0059】
ここでの被検体Eは、例えば、乳房などの生体組織が挙げられる。
【0060】
本実施例の生体検査装置は、被検体に照射するための光を発生する光源(光発生器100)と、
照射された光を吸収した前記被検体が発生する弾性波を検出する弾性波検出手段(圧電素子6)と、
一面で前記弾性波検出手段と接して設けられ、他面で前記被検体と接触しうる音響整合層5と、を備える。
【0061】
そして、前記光が、前記音響整合層5を経由して前記被検体に対して照射可能に構成されている。
【0062】
なお、本明細書においては、光音響効果によって発生した弾性波を光音響波とし、前記光音響波を圧電素子6で電気信号に変換したものを音響信号とする。
【0063】
つぎに、上記した本実施例の構成による生体検査装置で、被検体Eを測定する測定方法における概略の工程について説明する。
【0064】
光発生器100はナノ秒オーダーのパルス光が発光し、照明光学系300によって被検体Eの表面にパルス光を導く。
【0065】
被検体Eの表面から入射したパルス光は生体組織内部を伝播し吸収体αに到達する。
【0066】
吸収体αに到達した光エネルギーは吸収されて熱エネルギーに変換され、吸収体αに瞬間的な温度上昇が生じ、やがて上昇した温度は緩和される。
【0067】
この時、温度上昇と緩和により吸収体αを含む組織では、膨張と収縮が生じ、これにより光音響波となる弾性波が発生する。
【0068】
吸収体αから発生した弾性波は、被検体Eの組織内を伝播して、超音波検出器200で検出される。
【0069】
検出された弾性波は超音波検出器200で電気信号に変換されて音響信号となる。信号解析装置400は、音響信号の時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
【0070】
さらに、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成することにより、被検体E内の吸収特性の画像を生成する。
【0071】
制御装置500は、算出した位置と吸収係数μaをメモリー600に保存すると共に、吸収係数μaの空間分布画像をディスプレイ700に表示する。
【0072】
つぎに、各構成要素の詳細について説明する。
【0073】
生体組織では癌などの腫瘍が成長する際には、新生血管の形成や酸素の消費量が増大することが知られている。
【0074】
このような新生血管の形成や酸素消費量の増大を評価する方法として、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸収スペクトルの特徴を利用することができる。
【0075】
図2は、波長600−1000nm範囲におけるHbO2とHbの吸収スペクトルである。
【0076】
生体検査装置は複数波長のHbO2とHbの吸収スペクトルから、生体組織内の血液中に含まれるHbとHbO2の濃度を測定する。
【0077】
そして、複数の位置でHbとHbO2の濃度を測定し、濃度分布の画像を作成することにより生体組織内で新生血管が形成されている領域を判別することができる。
【0078】
また、HbとHbO2の濃度から酸素飽和度を算出し、酸素飽和度から酸素の消費量が増大している領域を判別することができる。
【0079】
このように生体検査装置で測定したHbとHbO2の分光情報を診断に利用することができる。
【0080】
光発生器100は、被検体Eに照射する特定波長のナノ秒オーダーのパルス光を発する光源であり、レーザー1、レーザードライバー2、パルス発生器3から構成されている。レーザー1が発する光の波長は、生体組織を構成する水、脂肪、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、などの吸収スペクトルに応じた波長を選定する。
【0081】
一例としては、生体内部組織の主成分である水の吸収が小さいため光が良く透過し、脂肪、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンのスペクトルに特徴がある600−1500nm範囲が適当である。
【0082】
本実施例では、
図2に示すようにHbとHbO2の吸収特性が入れ替わる800nmの前後の波長として、λ1=700nmとλ2=850nmの2つの波長を用いるものとする。
【0083】
具体的な光源の例としては、異なる波長を発生する半導体レーザー、波長可変レーザーなどで構成すると良い。
【0084】
超音波検出器200は、被検体Eの内部に発生した弾性波を検出する。
【0085】
図3に、本実施例における生体検査装置を構成する超音波検出器の一例として、リニアアレイ探触子の構造を示す。
【0086】
図3において、4は音響レンズ、5は音響整合層、6は複数個からなる圧電素子、7はバッキング材、8はリード線である。
【0087】
本実施例のリニアアレイ探触子は、被検体Eの表面に接する音響レンズ4が設けられ、音響レンズ4の被検体Eの対向側に音響整合層5が設けられて構成されている。
【0088】
また、音響整合層5に接するように小さな短冊形の複数個の圧電素子6a、6b、6c、6d、6e、6f、6gが直線状に配列され、さらにバッキング材7が設けられている。各圧電素子6にはリード線8a、8b、8c、8d、8e、8f、8gが接続されている。
【0089】
音響レンズ4は、圧電素子6の配列方向と直角方向にフォーカスするシリンドリカルレンズを用いており、生体組織内部の焦点位置から発生する光音響信号を選択的に受信するためのものである。
【0090】
音響レンズを構成する材料は、生体組織に類似した音響特性を有する材料が好ましく、例としてシリコンゴムなどがある。
【0091】
生体組織内部の音速よりも遅い音速の材料で構成すると形状は凸レンズとなり、凸面の曲率によって焦点位置が決まり、焦点距離とシリンドリカルレンズの幅によって集束サイズがきまる。
【0092】
一方、圧電素子6の配列方向にフォーカスする方法としては、リニアアレイ探触子を用いた電子フォーカスを用いている。電子フォーカスについては後述する。
【0093】
音響整合層5は、弾性波を効率よく伝達するために設けられている。
【0094】
一般に圧電素子材料と生体では音響インピーダンスが大きく異なるため、圧電素子材料と生体が直接接した場合は、界面での反射が大きくなり弾性波を効率よく伝達することができない。
【0095】
このため、圧電素子材料と生体の間に中間的な音響インピーダンスを有する物質で構成した音響整合層5を挿入して弾性波を効率よく伝達している。
【0096】
音響整合層5を構成する材料の例としては、エポキシ樹脂や石英ガラスなどがある。
【0097】
なお、本発明では、音響レンズ4と音響整合層5は照明光学系300の構成部材としても共通に用いられるものであり、これらの照明光学系300としての機能は後述する。
【0098】
圧電素子6は、弾性波検出手段であり、光発生器100から照射された光を吸収した被検体が発生する弾性波(圧力)を電気信号(電圧)である音響信号に変換するものである。
【0099】
圧電素子5の材料は、被検体Eの測定深さや必要な解像度に応じて選択する。
【0100】
例としては、1MHz−数10MHzの光音響信号の検出に適した、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。
【0101】
バッキング材7は、弾性波を受けた圧電素子6の不必要な振動を抑制するためのものである。
【0102】
つぎに、本実施例のリニアアレイ探触子を用いた電子フォーカスについて説明する。
【0103】
図4に、上記電子フォーカスについて説明する図を示す。
【0104】
図4において、9は可変遅延素子、10はレシーバーである。
【0105】
複数個配列された夫々の圧電素子6a,b,c,d,e,f,gには、可変遅延素子9a,b,c,d,e,f,gとレシーバー10がリード線8を介して接続されている。
【0106】
可変遅延素子9は、細長い電線をコイル状に巻いたものなどを用いて、電線を伝わる電気信号の伝導を遅らせるものである。
【0107】
また、コイルの途中に複数個設けたタップを切り替えることにより、電気信号の遅延時間を調節することができる。
【0108】
レシーバー10は、圧電素子6によって変換された音響信号を受信する装置である。
【0109】
弾性波発生源の位置Xから発生した弾性波は、夫々時間差τa、τb、τc、τd、τe、τf、τgで圧電素子6に到達する。
【0110】
圧電素子6に到達した弾性波は音響信号に変換され可変遅延素子9を通ってレシーバー10に受信される。
【0111】
この時、弾性波発生源の位置Xと各圧電素子6までの距離の差を可変遅延素子9によって補正して位相を揃えることができる。
【0112】
図示の例では、位置Xとの距離が短く、早く弾性波が到達する圧電素子6ほど可変遅延素子9で与える遅延時間を長くする。
【0113】
また、位置Xから等距離にある圧電素子は可変遅延素子9で与える遅延時間を同じにする(τa=τg<τb=τf<τc=τe<τd)と、レシーバー10が受信する時の位相を一致させることができる。
【0114】
このようにリニアアレイ探触子の電子フォーカスは、可変遅延素子9によって与える遅延時間を制御することにより、焦点距離や圧電素子6の配列方向の焦点位置をコントロールすることができる。
【0115】
また、上述の例では可変遅延素子9を用いた電子フォーカスによって位相を補正している。
【0116】
しかし、可変遅延素子9を用いずに複数の圧電素子6から取得した複数の音響信号からSum And Delay Beamforming法を用いて所望の位置の信号を取得することもできる。
【0117】
超音波検出器200の他の構成例として、2Dアレイ探触子の構成例について説明する。
【0118】
図5に、本実施例の超音波検出器200の他の構成例である2Dアレイ探触子の構造を示す。
【0119】
図3と同じ番号を付した部材は前述したものと同じ機能を持つものである。
【0120】
前述したリニアアレイ探触子は、圧電素子6の配列方向にフォーカスする方法のみに電子フォーカスが用いられるのに対して、2Dアレイ探触子では圧電素子6が並ぶ全ての方向に、電子フォーカスを用いることができる。
【0121】
また、複数の圧電素子6から取得した複数の音響信号からSum And Delay Beamforming法を用いることにより、全ての方向で所望の位置の信号を取得することもできる。
【0122】
なお、本実施例においては、音響整合層5と音響レンズ4を用いるようにしているが、
図5で説明したような2Dアレイ探触子の場合など、音響レンズを設けなくても良い場合もある。
【0123】
また、音響整合層5は被検体と圧電素子の音響マッチングを複数段階で行う場合は多層で構成する場合もある。
【0124】
さらに、被検体との接触部の保護のために弾性波を大きく劣化させない厚さ及び材料で保護層を設ける場合もある。
【0125】
このように本明細書における音響整合層とは、前述の圧電素子6と被検体Eとの間に設けられる層構造物であり、音響整合層5の他に音響レンズ4、多層の音響整合層、保護層を含むものである。
【0126】
本実施例の照明光学系300は、被検体Eに光を導くものである。
【0127】
前述の超音波検出器200と共通の構成部材である音響整合層5及び音響レンズ4と、光源からのパルス光を導光する光ファイバー11(導光手段)からなり、プローブ筐体900に収納されて生体検査装置のプローブを構成している。
【0128】
また、音響整合層5及び音響レンズ4から成る音響整合層は、一面で前述した弾性波検出手段としての圧電素子6と接して設けられ、他面で被検体Eと接触し得るように設けられている。
【0129】
図6に、本実施例における生体検査装置のプローブの構成を説明する概略図を示す。
【0130】
音響レンズ4と音響整合層5は、前述したように、超音波検出器200の構成部材としても共通に用いられている。
【0131】
ここでは照明光学系300の構成要素としての音響レンズ4と音響整合層5の機能について説明する。
【0132】
音響整合層5は、レーザー1が発した光を透過するとともに、その内部には光拡散手段を形成するために光拡散粒子(光拡散部材)がドープされている平板形状の素子である。
【0133】
前述したエポキシ樹脂などに散乱粒子を混ぜることによって製作される。光ファイバー11は、図示のようにレーザー1が発した光を音響整合層5の側面に導光する。
【0134】
音響整合層5の内部に入射した光は光散乱粒子によって多重散乱され、音響整合層5全体が面光源として機能する。
【0135】
その際、音響整合層5から射出される全領域における光強度の空間分布が、略均一な強度の光の分布となるように調整する。
【0136】
被検体に対しては一部の領域でもMPEを超える強度の光を照射することはできないので、略均一な強度の光分布を形成して、この時の光強度をMPEにすることにより被検体にMPEを超えない光エネルギーを高効率に照射することができる。
【0137】
このような略均一な強度の光分布を形成するための調整は、光散乱粒子の分布密度を音響整合層5の位置に応じて変えることによって行うことができる。
【0138】
例えば、光散乱部材を透過する光の強度は伝播距離が長くなると減衰するので、光が入射する光ファイバー11近傍の光散乱粒子の分布密度を低くし、光ファイバー11からの距離が離れるほど光散乱粒子の分布密度を高くするように分布密度を変化させる。
【0139】
光拡散手段を備えた平板形状の音響整合層5の構成例として、略均一な光強度を発する面光源として機能させる他の構成例について説明する。
【0140】
図7に、上記平板形状の音響整合層5の他の構成例について説明する図を示す。このような構成例としては、
図7に示すように、レーザー1が発した光を透過する材料で製作した平板形状素子の圧電素子6を配置する側の面に、拡散反射材料で構成する点描を設けるようにしても良い。
【0141】
この場合、点描の大きさや分布密度を音響整合層5の位置に応じて変えることによって略均一な光強度の分布となるように調整することができる。
【0142】
音響レンズ4は、レーザー1が発した光を透過する材料で構成され、音響整合層5から発した光を被検体Eの表面に導くものである。
【0143】
また、
図8に光拡散手段を備えた照明光学系300(プローブ)の別の構成例を示す。
図8の例では音響レンズ4に光拡散粒子を設け、圧電素子6の間に設けた光ファイバー11からレーザー1が発した光を導光している。
【0144】
図6及び8で例示した照明光学系300を用いたプローブは、ケーブルが太くならないので取り扱い易い。
【0145】
また、圧電素子材料は、光の透過特性を気にする必要が無いので多数の材料の中から選定することができる。
【0146】
また、
図9に光拡散手段を備えた照明光学系300(プローブ)の更に別の構成例を示す。
【0147】
図9の例では、前記音響信号検出手段における音響レンズ4、音響整合層5が、レーザー1が発する特定波長の光を透過する部材で構成される。
【0148】
更に、光拡散手段が、圧電素子6、バッキング材7を備えた音響信号検出手段と光源手段との間に配置された光ファイバー11から射出する光を広げるレンズアレイ14で構成されている。
【0149】
図10は被検体Eに照射される光強度分布を示すものであり、実線のプロファイルは被検体Eの表面における光強度分布を示し、点線のプロファイルは個々のレンズアレイ14による光強度分布を示している。
【0150】
レンズアレイ14の一つのレンズによるプロファイルは、レンズの中心にピークを持つ分布であるが、夫々のレンズのプロファイルが被検体Eの表面で重畳することにより、略均一の光強度Iの分布に調整することができる。
【0151】
本実施例の信号解析装置400は、計算処理部12と画像生成部13から構成されている。
【0152】
計算処理部12は、取得した音響信号の時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
【0153】
図11は被検体Eを測定した音響信号のプロファイルである。
【0154】
被検体Eから発生する音響信号は、被検体Eの表面と音響レンズ4との界面と吸収体αから発生した特長的なスパイク状の波形として取得される。
【0155】
音響レンズの界面と吸収体αの波形から音響信号に変換された弾性波の伝播時間txが分かる。
【0156】
生体組織中の音速をvsとすると、測定した時の被検体Eの表面と吸収体αの間の距離を算出することができる。
【0157】
すなわち、被検体E内の吸収体αの空間的な位置情報を得ることができる。
【0158】
また、吸収体αから発生したN字のスパイク形状の振幅ΔPは、吸収体αで発生した弾性波の強度Pαを現している。
【0159】
吸収体αで発生する光音響効果による弾性波の強度Pαは、吸収体αの吸収係数をμa、吸収体αに入射する光強度をIα、生体組織に応じて決まるグリュナイゼンパラメーターをΓとして算出することができる。
【0160】
吸収体αに入射する光の強度Iαが変化すると、光音響効果による弾性波の強度Pαが変化する。
【0161】
このことは被検体に入射する光の強度分布に部分的な斑がある場合では、検出される弾性波の強度Pαが変化する原因が光強度の斑によるものなのか、或は、吸収体αの吸収係数μaによるものであるかを区別するのが困難となることを示している。
【0162】
このため略均一な強度の光分布を形成して被検体に光を照射することにより、検出される弾性波の強度Pαが光強度の斑に起因するものではないようにすることが必要となる。
【0163】
このように略均一な強度の光分布を形成して被検体に光を照射することは、被検体にMPEを超えない光エネルギーを高効率に照射するだけではなく、吸収体αで発生する弾性波の強度Pαから吸収係数μaを高精度に算出するためにも必要となる。
【0164】
生体組織のような吸収散乱媒質内を伝播する光強度は光拡散方程式や輸送方程式を用いることによって算出することができるので、Iαを算出することができる。
【0165】
超音波検出器200で測定したΔPは、吸収体αで発生した弾性波が生体組織内部を伝播することによる減衰の影響を含むので、計算により減衰の影響を差し引くことでPαを算出することができる。
【0166】
以上から被検体E内の吸収体αの吸収係数μaを算出することができる。
【0167】
画像生成部13は、算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaを基にして、被検体E内の吸収係数μaの分布画像を生成する。
【0168】
制御装置500は、信号解析装置400で算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaと吸収係数μaの分布画像をメモリー600に保存すると共に、ディスプレイ700に被検体E内の吸収係数μaの分布画像を表示する。
【0169】
メモリー600としては、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリー、ハードディスク、などのデータ記録装置を用いることができる。
【0170】
ディスプレイ700としては、液晶ディスプレイ、CRT、有機EL、などの表示デバイスを用いることができる。
【0171】
つぎに、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップを示す。
【0172】
まず、ステップ1において、被検体Eの表面にプローブ筐体900に収容された照明光学系300の音響レンズ4を接触させる。
【0173】
不図示の測定開始スイッチを動作させると、光発生器100が駆動され波長λ1=700nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
【0174】
次に、ステップ2において、照明光学系300によって被検体Eにパルス光が照射される。
【0175】
次に、ステップ3において、被検体E内で発生した弾性波が、超音波検出器200によって検出される。検出された弾性波は圧電素子6によって音響信号に変換される。
【0176】
次に、ステップ4において、信号解析装置400は、取得した音響信号の時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出し、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成した画像を生成する。
【0177】
次に、ステップ5において、制御装置500は、算出した波長λ1の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー600に保存する。
【0178】
次に、ステップ6において、制御装置500は、光発生器100が発光する光の波長をλ2=850nmに設定する。
【0179】
光発生器100が駆動され波長λ2=850nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
【0180】
以下、ステップ2、3、4と同様の工程を経て、ステップ7において、制御装置500は、算出した波長λ2の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー600に保存する。
【0181】
次に、ステップ8において、制御装置500は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像を重ね合わせてディスプレイ700に表示する。
【0182】
最後に、ステップ9において、測定を終了する。
【0183】
以上に説明したように、本実施例における生体検査装置では、被検体に光を照射する開口部と弾性波を検出する検出部の位置を一致させ、さらに被検体に照射する光強度の空間分布を略均一にする構成としている。
【0184】
これにより、生体組織による光強度と弾性波の減衰を最小限に抑え、被検体にMPEを超えない光エネルギーを高効率に照射することにより、高いS/Nで光音響信号が検出可能な反射型の生体検査装置を提供できる。
【0185】
また、本実施例では、波長600−1500nmを利用する一例として、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収スペクトルの特徴を利用する分光分析方法を示したが、この例に限定されるものではない。
【0186】
例えば、生体組織の主要な構成物質である、例えば水、脂肪、タンパク質(コラーゲン)、等を分光分析の対象とすることも可能である。
【0187】
[実施例2]
実施例2では、実施例1とは異なる形態における反射型の生体検査装置の構成例について説明する。
【0188】
図12に、本実施例における生体検査装置の構成を説明する概略図を示す。
【0189】
基本的な生体検査装置の構成は実施例1に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例1で説明したものと同じ機能を有するものである。
【0190】
本実施例では、照明光学系300の音響整合層に、被検体内に射出される光強度が該被検体に許容される最大許容範囲内であるか否かの基準となる基準部材15を新たに設けている。
【0191】
基準部材15は、照明光学系300の音響レンズ4の中部に埋設されている。基準部材15を構成する材料としては、着色したシリコンゴムや高分子樹脂材料などが利用できる。上記基準部材15において、光発生器100が発する特定波長の光に対する吸収係数μasと、基準部材15を構成する材料物性から決まるグリュナイゼンパラメーターΓsは既知のものである。
【0192】
光発生器100が波長λ1の光を発する場合を考える。波長λ1に対する基準部材15の吸収係数がμas(λ1)、基準部材15に照射される光強度をIsとする。基準部材15で発生する光音響効果による弾性波の圧力をPsとする。
【0193】
圧力Psは基準部材15に照射される光強度Isが増加すれば同様に増加する。
【0194】
ここで、波長λ1のナノ秒オーダーのパルス光における被検体Eに対する最大露光許容量(MPE)がIMPEλ1である時、IMPEλ1の強度の光が基準部材15に照射されたときに発生する光音響効果による弾性波の圧力をPsMPEとする。
【0195】
基準部材15で発生する圧力PsがPsMPEよりも大きくなる場合には、IMPEλ1を超える強度の光が基準部材15に照射されていることになる。
【0196】
そして、これらの弾性波の圧力PsやPsMPE等は、上記した信号解析装置400の計算処理部12で算出することができる。
【0197】
基準部材15から音響レンズ4内を伝播することによる光の減衰は僅かであるので、基準部材15に照射される光強度は被検体Eに照射される光強度と略等しい。
【0198】
この時、前記基準部材は音響整合層に設けられ、該基準部材に導かれた前記パルス光の光強度が、Ps<PsMPEの関係を満たすように光発生器100が発する光強度を制御手段500によりコントロールする。
【0199】
これにより、前記パルス光の光強度が、前記被検体に許容される最大許容範囲内を超えないようにコントロールして、被検体Eに安全な強度の光を照射することが可能となる。
【0200】
また、被検体EにMPEを超えない光エネルギーを高効率に照射することができる。
【0201】
これにより高いS/Nで弾性波が検出可能な反射型の生体検査装置を提供できる。
【0202】
本実施例の
図12に示す例では、音響整合層の音響レンズ4の内部に基準部材15を埋設するようにしているが、音響レンズ4の被検体Eに接する面に設けることもできる。
【0203】
この場合基準部材15から発生する光音響効果による弾性波は、音響レンズ側とその対向側での反射率が異なるため検出される圧力Psを反射率の影響分を補正しなければならない。
【0204】
また、音響レンズ4に基準部材15を設けると基準部材15が常設され、測定用プローブの有効領域が制限を受ける。このため
図15のように音響レンズ4に接するキャップ部材17を設け、キャップ部材内に基準部材15を設けるようにしても良い。
【0205】
このような構成では、光強度のチェックを行う時だけキャップ部材17を装着するようにしても良い。
【0206】
さらにこの時、キャップ部材17と基準部材15と音響整合層を同じ材料で製作すると、各部材の界面の音響インピーダンスが等しくなるので検出される弾性波の各界面の反射率の補正が不要となる。
【0207】
また、
図8及び9で説明した照明光学系300の音響整合層に対しても実施例2で説明したような基準部材15を設けることができる。
【0208】
以上説明したように、実施例2における生体検査装置では、被検体Eに安全な強度の光を照射することができる。
【0209】
また、被検体にMPEを超えない光エネルギーを高効率に照射することにより、高いS/Nで弾性波が検出可能な反射型の生体検査装置を提供できる。
【0210】
[実施例3]
実施例3では、実施例1,2とは異なる形態における反射型の生体検査装置の構成例について説明する。
【0211】
図13に、本実施例における生体検査装置の構成を説明する概略図を示す。
【0212】
基本的な生体検査装置の構成は実施例1に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例1で説明したものと同じ機能を有するものである。
【0213】
本実施例では、超音波検出器200の代わりに、超音波発生器と超音波検出器の両機能を兼ね備える手段としての超音波発生器/検出器201を新たに設けている。
【0214】
この超音波発生/検出器201は、特定周波数Ωの超音波を発生し被検体E内の所定位置に集束して導く機能を有するとともに、実施例1で説明した超音波検出器200の機能も有している。
【0215】
超音波発生器/検出器201により、被検体Eの内部構造を超音波エコーによって取得できる。
【0216】
実施例3の生体検査装置では、実施例1で説明した光音響信号による光吸収特性と、超音波エコーによる構造特性の二つの特性を一体のプローブによって取得するものである。
【0217】
図14は、本実施例における超音波発生器/検出器201による構成例の概略構成を示す図である。
【0218】
複数個配列された夫々の圧電素子6a〜gには、可変遅延素子9a〜gとパルサー/レシーバー16がリード線8a〜gを介して接続されている。
【0219】
パルサー/レシーバー16は、実施例1で説明したレシーバー10の機能を持ち、さらに圧電素子6に印加するパルス電圧を発生する装置としても機能する。
【0220】
圧電素子6a〜gに与える遅延時間を夫々τa〜mとする。
【0221】
図14に示すように中心部の可変遅延素子9ほど遅延時間を長くすると(例えば、τa=τg<τb=τf<τc=τe<τd)と、各圧電素子6によって形成される合成波面は集束波面となる。
【0222】
このように可変遅延素子9によって与える遅延時間を制御することにより、超音波を集束する位置をコントロールすることができる。
【0223】
また、同様の制御により超音波が進行する方向をコントロールすることができる。
【0224】
即ち、超音波を送信する場合についても
図4で説明したものと関係が成立つ。
【0225】
以下、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップを示す。
【0226】
ステップ1から7までは、実施例1と同じ工程で測定が行われる。
【0227】
ステップ8において、超音波発生器/検出器201によって被検体Eにパルス超音波が照射される。
【0228】
次に、ステップ9において、被検体E内で発生した超音波エコーが、超音波発生器/検出器201によって検出される。検出された超音波エコーは圧電素子6によって電気信号に変換される。
【0229】
次に、ステップ10において、信号解析装置400は、取得した超音波エコーによる電気信号の時間特性から測定対象の位置を算出し、強度特性から構造特性を算出し、構造特性の空間分布を再構成して画像を生成する。
【0230】
次に、ステップ11において、制御装置500は、算出した構造特性の位置情報と画像をメモリー600に保存する。
【0231】
次に、ステップ12において、制御装置500は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像と構造特性の画像を重ね合わせてディスプレイ700に表示する。
【0232】
最後に、ステップ9において、測定を終了する。
【0233】
以上説明したように、実施例3における生体検査装置では、生体組織による光強度と弾性波の減衰を最小限に抑え、高いS/Nで弾性波が検出できる。
【0234】
さらに、同一のプローブを用いて超音波エコーを測定することが可能となる。
【0235】
また、
図13の装置構成は、実施例1の装置に超音波発生器/検出器201を設けるようにしたものであるが、実施例2の装置に設けても同様の効果を得ることができる。