特許第6444469号(P6444469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444469
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】生体光計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20181217BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61B10/00 E
   A61B5/1455
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-187469(P2017-187469)
(22)【出願日】2017年9月28日
(62)【分割の表示】特願2016-528767(P2016-528767)の分割
【原出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2018-15586(P2018-15586A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】舟根 司
(72)【発明者】
【氏名】桂 卓成
(72)【発明者】
【氏名】敦森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】木口 雅史
【審査官】 多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−024925(JP,A)
【文献】 特開2009−261588(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/198373(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/005303(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/150629(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0256533(US,A1)
【文献】 特開2012−125370(JP,A)
【文献】 特開2012−152412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の光照射点へ光を照射するための光照射部あるいは前記光照射部から照射された光を光検出点において検出するための光検出部のうち少なくとも一方を格納する光デバイスモジュールを備え、
前記光デバイスモジュールは,内部ハードウェア構成を変更できる中央演算処理装置を有し、
前記中央演算処理装置は、前記光検出部の検出出力に基づき、前記光照射部と前記光検出部の間における信号検出方式を設定する
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、格納された前記光検出部の検出出力を処理する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、他の光デバイスモジュールと通信を行う、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生体光計測装置であって、
前記光デバイスモジュールは、格納された前記光照射部あるいは前記光検出部に関する情報を記憶する情報記憶部を有する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の生体光計測装置であって、
前記情報記憶部は、前記情報として前記光照射部の波長及び電流−光出力特性、あるいは前記光検出部の感度情報を記憶する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項6】
請求項3に記載の生体光計測装置であって、
前記光デバイスモジュールは、前記光照射点、あるいは前記光検出点の位置を同定する位置同定部を有する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項7】
請求項6に記載の生体光計測装置であって、
前記位置同定部は、前記光デバイスモジュールに備えられた磁気センサである、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項8】
請求項4に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、前記光検出部と、当該光検出部が検出する光の照射元である前記光照射部との組み合わせを取得する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項9】
請求項4に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、前記検出出力により定まる評価関数値を利用して、信号検出方式を設定する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項10】
請求項9に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、前記光検出部の前記検出出力の検出強度を用いて前記評価関数値を決定する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項11】
請求項10に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、前記被検体もしくは標準ファントムに前記光デバイスモジュールを設置して計測したときの前記検出出力の時間平均検出光量もしくは信号対雑音比を取得して前記評価関数値とする、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項12】
請求項10に記載の生体光計測装置であって、
前記中央演算処理装置は、前記評価関数値に基づき、前記光照射部の光源の強度変調周波数を決定する、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項13】
請求項9に記載の生体光計測装置であって、
前記信号検出方式は、連続光ロックイン方式、疑似連続光ロックイン方式、時分割検出方式、時分割ロックイン方式、あるいは符号分割変調方式である、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項14】
請求項9に記載の生体光計測装置であって、
バックアップとなる抵抗、コンデンサ(キャパシタ)、アナログICから構成される電子回路及び素子を備え、
前記評価関数値が最大となるように、各素子の使用、不使用を切り替える、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光または近赤外光を用いた生体光計測装置に係り、特に、生体組織の酸素化状態や組織中の血行動態変化を計測するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy: NIRS)の原理を用いた脳機能計測装置(特許文献1、非特許文献1参照)は、医療用および研究用機器として、あるいは教育効果・リハビリ効果の確認、家庭における健康管理、商品モニタ等の市場調査に用いることができる。また、同様の手法により組織酸素飽和度計測や筋組織の酸素代謝計測に用いることができる。さらに、果実の糖度計測を始め、一般の吸収分光装置にも用いることができる。
【0003】
そのため、脳機能計測をはじめとして、運動時血流モニタ、唾液計測、術中脳酸素モニタ等、NIRSに基づいた小型の光計測装置の需要は近年ますます増えている。このような小型装置の仕様(波長、計測点数、サンプリング速度等)は、計測部位、計測チャンネル数(計測点数)をアプリケーション依存で変える必要があり、従来はそれぞれのアプリケーションにおいて専用の仕様を準備する必要があった。そのため、共通基盤を目指したモジュール型の生体光計測装置の実現が難しく、ますます増える小型NIRSの応用に対応した装置の低コスト化が難しかった。
【0004】
この様な状況にあって、特許文献2には、計測領域とチャンネル数とを自由に設定することができ、取り外し可能な送受ユニットを有し、主制御部は取りつけられた送受ユニットの副制御部を制御することでタイミングを調整し、脳活動に関する測定データを得る方法が開示されている。また、特許文献3には、着脱可能で安全性に優れたモジュール型光検出器を実現するため、受光器、送光器がモジュール化され、特に受光器において光検出器を駆動するための高電圧電源を頭部に固定できるパッケージに収める方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−019408号公報
【特許文献2】特開2011−24925号公報
【特許文献3】特開2008−173140号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A. Maki et al.、“Spatial and temporal analysis of human motor activity using noninvasive NIR topography”、Medical Physics、Vol.22、 No.12、 pp.1997−2005(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献3などの先行技術文献にあっては、設定した計測領域とチャンネル数を実現するよう配置された光源・検出器を制御して測定データを得ることは開示されているが、光源・検出器各々が互いに連携し、検出光量・検出器配置等の測定条件を元に、信号検出方式及び光照射パワーを最適化し、様々な要求仕様においても高い信号対雑音比で、適切な計測条件を実現する点については、検討に至っていない。
【0008】
本発明の目的は、複数の信号検出方式の混在を可能とし、様々な光源・検出器配置や要求仕様に対しても高い信号対雑音比で、適切な計測条件を実現することが可能な、生体光計測装置、及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明においては、光照射点へ光を照射するための光照射部と、光照射部から照射された光を光検出点において検出するための光検出部と、光検出部の検出出力を処理する処理部とを備え、処理部は、光検出部の検出出力により定まる評価関数値を利用して、光照射部と光検出部間における信号検出方式を設定する構成の生体光計測装置を提供する。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明においては、光照射部から光照射点へ光を照射し、光検出部で光照射部から照射された光を光検出点において検出し、処理部が、光検出部の検出出力により定まる評価関数値を利用して、光照射部と光検出部間における信号検出方式を切り替える生体光計測方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各種の条件に応じ最適な信号検出方式を選択できることで高い信号対雑音比で高精度な生体光計測を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の生体光計測装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】実施例1に係る、モジュールにより構成された生体光計測装置の一例を示す図である。
図3】実施例1に係る、各種信号検出方式における光検出波形の一例を示す図である。
図4】実施例1に係る、複数の光デバイスモジュール及び制御モジュールにより構成された生体光計測装置の一例を示す図である。
図5】実施例1に係る、生体光計測装置のモジュール配置の一例を示す図である。
図6】実施例1に係る、光照射モジュール構成の一例を示す図である。
図7】実施例1に係る、光検出モジュール構成の一例を示す図である。
図8】実施例1に係る、制御モジュール構成の一例を示す図である。
図9】実施例1に係る、プローブ配置の一例を示す図である。
図10】実施例1に係る、複数の領域を同時に測定するためのプローブホルダ及びプローブ配置例を示す図である。
図11】実施例1に係る、光源−検出器の対応取得時のフローチャートを示す図である。
図12】実施例1に係る、信号検出方式を取得時のフローチャートを示す図である。
図13】実施例2に係る、最適強度変調周波数及び最適遅延時間自動取得時のフローチャートを示す図である。
図14】実施例3に係る、信号の質評価による測定チャンネル数決定時のフローチャートを示す図である。
図15】実施例4に係る、生体光計測装置におけるパラメータ設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。異なる図面において、同一の数番で示される構成ブロック、構成要素は同一物を示す。以下に説明するように、本発明の好適な態様にあっては、光源・検出器・制御用の測定用モジュールを組み合わせることで要求仕様に合わせた生体光計測装置を構成し、信号検出方式を被検者、部位、タスク(認知課題)等の状況に応じ動的に最適化することができる。
【実施例1】
【0014】
実施例1は、光照射点へ光を照射するための光照射部と、光照射部から照射された光を光検出点において検出するための光検出部と、光検出部の検出出力を処理する処理部とを備え、処理部は、光検出部の検出出力により定まる評価関数値を利用して、光照射部と光検出部間における信号検出方式を切り替える構成の生体光計測装置の実施例である。
【0015】
図1に、本実施例の生体光計測装置の全体構成の一例を示す。光を生体に入射し、生体内を散乱・吸収され伝播して生体外に放出される光を検出できる生体光計測装置において、筺体20に含まれる1つまたは複数の光照射部である光源101から照射される光30を、光を伝播させるための導波路40を介して、被検者10の照射点に入射させる。この光照射部からの光30は、照射点11から被検者10内に入射し、被検者10内を透過、伝播した後は、照射点11とは離れた位置にある検出点12からプローブを構成する導波路40を介して、1つまたは複数の光検出部である光検出器102で検出される。すなわち、照射―検出器(source-detector)間距離(SD距離)は、照射点11と検出点12間の距離で定義される。
【0016】
ここで、1つまたは複数の光源101は、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)等であり、1つまたは複数の光検出器102はアバランシェフォトダイオード(APD)やフォトダイオード(PD)、シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)、光電子増倍管(PMT)等であれば良い。また、プローブを構成する導波路40は光ファイバ、ガラス、ライトガイド等の、使用する波長が伝播可能な媒体であれば良い。
【0017】
光源101は、筐体20内の光源駆動装置103により駆動され、1つまたは複数の光検出器102の増倍率及びゲインは、処理部である制御・解析部106により制御される。制御・解析部106は、光源駆動装置103の制御も行い、入力部107からの操作者による条件等の入力を受ける。光検出器102で光電変換して得られた電気信号は、増幅器104で増幅され、アナログ−デジタル変換器105でアナログ−デジタル変換され、処理部である制御・解析部106へ送られ、信号処理される。
【0018】
光照射部である光源101や光検出部である光検出器102を使った微小信号の検出、及び複数信号の分離の方法としては、複数の光源を強度変調方式で駆動し、光検出器で検出された信号をロックイン検出してからアナログ−デジタル変換する方法や、受光器からの信号を増幅・アナログ−デジタル変換した後に、ロックイン処理をデジタル的に行う方法がある。また、これに限定されず、たとえば、複数の光を照射するタイミングを時間的にずらすことで複数光を弁別する時分割検出方式や、スペクトラム拡散変調方式を用いることも可能である。
【0019】
尚、光照射部である光源101、及び光検出部である光検出器102は、導波路40と一体となる構成でも良い。例えば、LD、LED等の光源素子、PD、APD等の光検出素子をプローブ内に設置することで、光損失の低下、装置の小型化、低コスト化、低消費電力化、等の効果がある。
【0020】
処理部である制御・解析部106では、光検出器102で検出された検出出力に基づき解析を実行する。具体的には、アナログ−デジタル変換器105で変換して得られたデジタル信号を受け当該デジタル信号をもとに、例えば非特許文献1に記載されている方法に基づいて、検出光量変化もしくは吸光度変化から、酸素化(oxygenated hemoglobin: oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン変化(deoxygenated hemoglobin: deoxy-Hb)を算出する。ここでの酸素化及び脱酸素化ヘモグロビン変化は、ヘモグロビン濃度と実効光路長との積の変化量に相当する値である。もしくは、適当な光路長を仮定し代入することによりヘモグロビン濃度の変化量を算出しても良い。
【0021】
ここでは、処理部である制御・解析部106は、光源101の駆動、光検出器102のゲイン制御、アナログ−デジタル変換器105からの信号処理を全て行うことを想定して記述したが、それぞれ別個の制御部を有し、さらにそれらを統合する手段を有することでも同機能を実現できる。また、計測データおよびヘモグロビン変化の算出結果は、記憶部108に保存され、解析結果および/または保存データに基づいて表示部109で計測結果を表示することが可能である。制御・解析部106、入力部107、記憶部108、表示部109は、例えば、少なくとも一台のパーソナルコンピュータ(PC)からなる情報端末等を使って構成できる。
【0022】
図1では図示を省略した送光器、受光器は、送光器は、例えば光源101側の導波路40を含み、被検者10に接触あるいは接触に近い状態で設置され、受光器は、例えば光検出器102側の導波路40を含み、被検者10に接触あるいは接触に近い状態で設置される。
【0023】
本実施例の生体光計測装置の好適な態様にあっては、以上の構成の一部もしくは全部をモジュール化し、一つもしくは複数のモジュールを有してヒト組織の血液量変化、もしくはヘモグロビン変化量、を測定する。すなわち、所定の光照射点へ光を照射するための1つまたは複数の光照射部と、光照射部から照射された光を所定の光検出点において検出するための1つまたは複数の光検出部と、光照射部と光検出部のうち少なくとも一方を格納するための1つまたは複数の光デバイスモジュールと、各々の光検出部と、当該検出部が検出する光の照射元である所定の光照射部との対応関係を取得するための対応取得部と、を有し、光デバイスモジュールは、光照射部と光検出部のうち少なくとも1つに関する情報を記憶する情報記憶部と、光照射部と光検部段のうち少なくとも1つを制御し、他の光デバイスモジュールと通信するための制御通信部と、を有し、対応関係と光検出部における検出強度もしくは検出強度及び計測条件により定まる評価関数値を利用して、各々の光デバイスモジュール間において信号検出方式を切り替え、各々の計測点において複数の信号検出方式を混在させることができる生体光計測装置の構成を示している。
【0024】
図2は、このモジュール化により構成された本実施例の生体光計測装置の好適な構成例を示す。モジュール化は複数の光照射モジュール13と光検出モジュール14を用いて実現される。光照射モジュール13は、光照射部である光源101と、情報記憶部16と制御通信部17を内部に備え、波長、光照射強度、変調方式、当該変調方式のパラメータ、等を含む光源101の情報を情報記憶部16に保持する。ここで変調方式とは、上述した連続デジタルロックイン方式、連続アナログロックイン方式、時分割検出方式、符号分割変調方式、等である。変調方式のパラメータとは、周波数、パルス幅、符号波形、周期、等の、各変調方式におけるパラメータを指す。
【0025】
また、光検出モジュール14は、光検出部である光検出器102と、情報記憶部16と制御通信部17を内部に備える。情報記憶部16は、電流−光出力特性、受光感度、最大感度波長、暗電流、端子間容量、等の光検出器102の情報を保持する。光照射モジュール13及び光検出モジュール14は、制御通信部17を有し、他のモジュールもしくは中央制御・解析部18と通信部15を介して通信を行う。
【0026】
処理部である中央制御・解析部18は、図1に示した制御・解析部106に対応し、機能ブロックとして対応取得部19を備える。さらに、図2の構成においては、図1と同様、各種パラメータを手動もしくは自動で入力するための入力部107、及び対応取得部19による対応取得後の結果及び計測結果等を表示するための表示部109を有している。
【0027】
対応取得部19は、中央制御・解析部18におけるプログラム実行等で実現され、光照射モジュール13及び光検出モジュール14からの情報をもとに、各々の光照射モジュール13、光検出モジュール14との対応関係、つまりどの光照射モジュール13から照射された光をどの光検出モジュールが検出し、信号を取得するかの情報を取得する。さらに、対応取得部19は、この対応関係として、光の照射点11と検出点12間の距離で定義されるSD距離を取得可能としても良い。また、標準ファントム(生体組織模擬材料)や被検者に対して各モジュールを設置し、光源101を点灯させ光検出器102の出力を計測したときの時間平均検出光量もしくは信号対雑音比(signal-to-noise ratio: SNR)の組み合わせを取得し、それらの値が所定の閾値以上のときに前記の対応関係を定義もしくは取得するものでも良い。
【0028】
図3に、本実施例の生体光計測装置で用いられる各種信号検出方式における光検出波形の一例を示す。各々の波形は、光検出信号の生波形の例を示している。61は連続光ロックイン方式の光検出波形(ch1、2)を示す。所定の周波数で強度変調をかけた光信号を、同じ周波数の参照信号と同位相でかけ合わせる(乗算する)ことで強度変調信号を復号できる。62は擬似連続光ロックイン方式の光検出波形を示す。他の光信号の使用が無い場合には、連続光ロックイン方式と同様であるが、光検出信号において他の光信号が使用される場合には、他の光信号と干渉しないよう、他の光信号が点灯を開始するタイミングでOFFし、その期間にロックイン検出の演算処理をしない方法である。63は時分割ロックイン方式の光検出波形を示す(ch1〜3)。複数の光源を用いる場合に、光源間での干渉を低減するために、順に点灯させるとともに、室内照明等のノイズ低減のために切り替え周波数よりも高い周波数で強度変調する方法である。64はロックイン切り替え方式の光検出波形であり(ch1、2)、2種の光源セットを交互に切り替える方式で、時分割ロックイン方式の特殊なケースである。65は時分割検出方式の光検出波形(ch1〜3)を示しており、複数の光源を順に点灯させる方式である。
【0029】
これらの各種変調方式には、特に計測チャンネル数が多い場合もしくは少ない場合に、長所・短所があることが知られている。例えば、計測チャンネル数が多い場合には、時分割ロックイン方式を含む、時分割方式では、一巡するのに時間がかかってしまい、時間分解能を維持するには1チャンネルあたりの測定時間を減らす必要が生じ、測定時間を維持すると時間分解能が低下してしまう。連続光ロックイン方式では、1検出器あたりに光源が集中しない場合、例えば、通常の格子状配置を用いる場合には、そのような問題は生じない。
【0030】
しかし、1検出器あたりに多くの(例えば、6個以上の)光源を割り当てる場合には、連続光ロックイン方式では、平均的な受光パワーが増大してしまい、検出器の光電流によるショットノイズが増加したり、検出器が飽和してしまい、測定自体が不能になってしまう可能性がある。よってそのように1検出器あたりに多くの光源を割り当てる場合には、時分割ロックイン方式もしくは他の時分割検出方式がより適している。更に、より多くの計測点において高い信号対雑音比を得るために、各々の光源の照射パワーを変化させても良いし、光検出器の増幅率を変化させても良い。光検出器の増幅率は、例えば検出系回路における増幅器の帰還抵抗値もしくは入力抵抗値等の回路パラメータを変更することで実現可能である。以上は例として述べたが、実際の計測では光源及び検出器の配置もしくは使用個数に関わらず、被検体10の透過率、使用波長、周囲の電磁気的及び機械的ノイズの環境等によって最適な検出方式は変わり得る。
【0031】
図4を使って、本実施例の生体光計測装置のモジュール化の構成の他の例を説明する。図4は複数の光モジュール及び制御モジュールにより構成された生体光計測装置の一例を示したものである。モジュール間通信バス22を介し、制御モジュール21、光照射モジュール23、光検出モジュール24が相互通信する。各々のモジュールはモジュール情報32、モジュールID33、中央演算処理部(CPU)及び記憶部31を保有している。光学測定用に、光照射モジュール23には光照射部である光源101が、光検出モジュール24には光検出部である光検出器102が含まれている。
【0032】
なお、各モジュールは、図2の構成における制御通信部として通信用コネクタ等を備えているが、図4では図示を省略してある。制御モジュール21はモジュール―情報端末間通信バス25を介して情報端末26から制御される。これらの制御モジュール21と情報端末26は、図1の構成の制御・解析部106、入力部107、記憶部108、表示部109に対応する。なお、この様なモジュールのCPU及び記憶部31としては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やPSoC(登録商標:Programmable System-on-Chip)などを利用することができる。
【0033】
次に、図5は、図4で示した複数のモジュールを被検体10へ設置する場合の、モジュール配置の一例を示す図である。ここでは、照射―検出器間の距離を30mmと設定する。光照射モジュール23と光検出モジュール24を、モジュール間コネクタ34を各モジュール間に設けて交互に配置し、「3×3配置」(3行、3列に格子状に計9個のモジュールを並べる)を実現している。さらに、制御モジュール21を別個に配置している。
【0034】
続いて、図6図8を用いて、図4図5に示した複数のモジュールのデバイス構成の一例を示す。図6は光照射モジュール13のデバイス構成の一例を示す図である。基板41には、光源101、モニタ用光検出器27、中央演算処理部(CPU)及び記憶部31、情報端末との通信用コネクタ38、ファームウェア書き込み用コネクタ35、モジュール間通信用コネクタ37、電源39が設置されている。中央演算処理装置(CPU)及び記憶部31としては、組み込みソフトウェア、もしくはファームウェアを実装可能であるもので良く、さらに、内部ハードウェア構成をダイナミックに変更できるものでも良く、先に説明したPSoC(登録商標)や、マイクロコントローラ等を用いれば良い。
【0035】
光源101としては、発光ダイオード(LED)等を用いれば良い。2波長を使用するため、2個のLEDが設置されている。また、周囲温度により変化しうる各々のLEDの照射強度を測定するためのモニタ用光検出器27は通常のフォトダイオード(PD)で良く、各々のLED101の近接に配置され、かつ他のLEDの光の影響が小さくなるように配置される。例えば、2つのLED101の設置場所を直線で結んだ場合の線分の中心に対して、点対称の位置に、2個のモニタ用光検出器27が、該直線上に配置されるものでよい。例えば、本モジュールをヒト頭部の測定に用い、格子状のプローブ配置を使用し、各々の光源101と光検出器102との距離を30mmと設定することを想定し、ここでは基板41を正方形状とし、光源101を基板中央に配置している。これにより、格子配置に基板を並べることで、格子状の光源、光検出器の配置が実現できる。
【0036】
図7は、光検出モジュール24の構成の一例を示す図である。基板41には、光検出器102、検出した光信号を増幅するための増幅器36、モジュール間通信用コネクタ37、情報端末との通信用コネクタ38、ファームウェア書き込み用コネクタ35、中央演算処理装置(CPU)及び記憶部31、電源39が配置される。光照射モジュール23と同様、光検出モジュール14においても光検出器102は基板41の中央付近に設置されることで、基板を格子配置に並べることで、ヒト頭部測定時に容易に格子状プローブ配置を実現可能である。
【0037】
尚、光照射モジュール23、光検出モジュール24をまとめて光デバイスモジュールと定義すれば、光デバイスモジュールは光源101と光検出器102のうち少なくとも一方に関する情報を記憶し、光源101と光検出器102のうち少なくとも一方を制御し、他の光デバイスモジュールと通信するためのCPU及び記憶部31とを有している。そして、本実施例の好適な態様にあっては、後で詳述するように、光源101と光検出器102における検出出力である信号の検出強度もしくは計測条件に応じて、各々の光デバイスモジュール間において信号検出方式を切り替え、各々の計測点において複数の信号検出方式を混在させることが可能な構成となっている。
【0038】
図8は、制御モジュール21のデバイス構成の一例を示す図である。基板41には、CPU及び記憶部31、ファームウェア書き込み用コネクタ35、モジュール間通信用コネクタ37、情報端末との通信用コネクタ38、電源39が設置される。制御モジュール21は、複数のモジュールを使用する生体光計測装置の構成において、モジュール間通信で主にマスターとして機能し、1つまたは複数の光照射モジュール23、及び1つまたは複数の光検出モジュール24を制御する。さらに、情報端末26との通信を行い、情報端末26へのデータ出力、及び情報端末26からのデータ入力を行う。ここで情報端末26とは、上述したようにPCや、ポータブル・携帯端末等であれば良い。
【0039】
図9に、本実施例のプローブ配置の一例を示す。光照射部である光源の位置42を白い丸、光検出部である光検出器の位置43を黒い丸で示している。各々の光源位置42と光検出器位置43を結ぶ線として、実線は、擬似連続光計測を実施する光源―光検出器の組み合わせを示す線51を、点線は、時分割ロックイン計測を実施する光源―光検出器の組み合わせを示す線52を示している。擬似連続光計測を実施する部分は、光源の数が少ない領域であり、連続的に受光しても飽和しにくいため、各光源あたりの受光パワーを増加させることができ、信号の質を高めることができる。時分割ロックイン計測を実施する部分は、光検出器に対して、光源の数が多い(ここでは7個)領域であり、連続ロックイン計測方式もしくは擬似連続ロックイン計測方式では検出器が飽和しやすくなるとともに、光電流によるショットノイズが増加する。よってここでは時分割ロックイン方式を用いて、検出器の飽和及びショットノイズ増加を防ぎ、必要な光源からの信号を受光できるような構成となっている。
【0040】
図10に、本実施例の生体光計測装置の複数の領域を同時に測定するためのプローブホルダ及びプローブ配置例を示す。図9と同様、各々の光源位置42と光検出器位置43を結ぶ線として、実線は連続光ロックイン計測を実施する光源―光検出器の組み合わせを示す線51を、点線は時分割ロックイン計測を実施する光源―光検出器の組み合わせを示す線52を示している。複数の領域をここでは領域A、B、Cとすると、領域Aに設置するプローブホルダ44においては一つの光検出器102に対して光源101の数が8個と多いため、時分割ロックイン計測を実施する構成となっている。領域Bに設置するプローブホルダ45及び、領域Cに設置するプローブホルダ46においては、一つの光検出器102に対して光源101の数が少ないため、連続光ロックイン計測を実施する構成となっている。
【0041】
続いて、本実施例の生体光計測装置において、検出出力である検出信号の質を定量評価するための評価関数値を設定し、所定の基準に達することを条件にして、最適な信号検出方式を選択する方法について説明する。まず、図2の対応取得部19は、図11のフローチャートに従い、光源−検出器の対応取得を行う。すなわち、対応取得部19は、図11のフローチャートのステップS111からS115までを行うものであり、CPU及び記憶部31内でのソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアにより実現できる。
【0042】
図11において、まず使用可能な光照射部である光源を探索し、リストアップした上で番号を振る(ステップS111)。光源の探索は、モジュール間通信バス22等を通じたモジュール間通信から、各々の接続された光源の情報を探索するか、手動による入力によってでも良い。次に、順に光源を点灯し(ステップS112)、光検出部である光検出器で対応する信号検出方式により検出光量を測定し(ステップS113)、評価関数値を算出する(ステップS114)。そして、所定の閾値以上の評価関数値を持つ光源−検出器の組み合わせをチャンネル(計測点)と定める(ステップS115)。すなわち、使用可能な光源101と光検出器102の組み合わせを取得する。
【0043】
各々の光検出器で所定の数以上のチャンネルが有る場合には検出光量もしくは評価関数値の大きい順に優先順位を定め、所定の数より多いチャンネルを除外する(ステップS116)。所定の数を設定しない方法としては、光源の数を増やしていったときに、所定の信号対雑音比以下になった時点でその原因となったチャンネルを除外する、という方法でも良い。時間分解能を低下させないよう、所定の数以上チャンネルを増やしたくないという場合も考えられるので、その場合には、事前に入力した時間分解能以下にならないよう、使用チャンネルが設定されるようにしても良い。最後に、チャンネル設定結果を記憶部18に保存する(ステップS117)。ここで、各光源の光照射パワーを変化させることによって、所定の信号対雑音比を確保する方式でも良い。例えば、検出光量が強すぎる場合には光照射パワーを小さくし、検出光量が弱すぎる場合には光照射パワーを大きくする方法が考えられる。
【0044】
尚、本実施例における評価関数とは信号の質を決める関数のことを言い、評価関数値としては、例えば数式1で表される搬送波対雑音比(carrier-to-noise ratio: CNR)、もしくは数式2で表される信号対雑音比(signal-to-noise ratio: SNR)等を使用すれば良い。
【0045】
【数1】
‐‐‐ 数式1
ここで、mean(V)は所定の期間における所定波長の検出光量時系列データの平均値、std(V)は所定の期間における所定波長の検出光量時系列データの標準偏差を示す。
【0046】
【数2】
‐‐‐ 数式2
ここで、mean(ΔCHb)は所定の期間におけるヘモグロビン変化時系列データの平均値、std(ΔCHb)は所定の期間におけるヘモグロビン変化時系列データの標準偏差を示す。
【0047】
例えば全ての光照射部である光源からの信号を、所定の期間、順番に点灯させ、全ての光検出部である光検出器で検出し、検出強度を記録し、信号の質を表す評価関数値を算出する。その結果、各々の評価関数値が所定の閾値を超えた場合に、信号を取得する対応関係として定める。尚、この方法によらなくても、入力部107から手動入力により対応を取得しても良い。
【0048】
図12は、本実施例における生体光計測装置における、信号検出方式を取得時のフローチャートを示す図である。同図において、信号検出方式のリストを読み込む(ステップS121)。nに1を代入する(ステップS122)。方式nに基づいて測定を実行する(ステップS123)。次に、測定結果の質を評価する(ステップS124)。次に、nがNであるかを判断する(ステップS125)。ステップS125においてnがNで無い場合(No)、nに1を加え(ステップS126)、ステップS123を実行する。ステップS125においてnがNである場合(Yes)、測定結果の質が最良となる方式を決定する(ステップS127)。尚、ここでは光検出部の検出出力で定まる評価関数値、すなわち、測定結果の質を利用して信号検出方式を決定する実施例について説明したが、更に、被検者、部位、タスク(認知課題)等の状況に応じ、信号検出方式を動的に最適化するようにしてもよい。
【実施例2】
【0049】
次に、実施例2として、各々の計測点、もしくは光源と検出器との組み合わせにおける信号検出方式として、最適な強度変調周波数の決定方法についての実施例を説明する。本実施例においては、同時に信号検出方式として、連続光ロックイン方式等のロックイン方式による信号復調時において検出信号に乗じる参照信号の遅延時間を最適化する最適遅延時間の自動取得についても説明する。
【0050】
図13に、最適強度変調周波数及び最適遅延時間自動取得時のフローチャートを示す。遅延時間nをR種準備する(ステップS131)。遅延時間を手動もしくは自動で入力部107より入力してもよい。次に、nに1を代入する(ステップS132)。R種の遅延時間のうち、n番目の遅延時間を検出のロックインの参照信号に設定し、強度変調周波数を様々に変えて測定する(ステップS133)。各々の強度変調周波数における測定結果の質を評価する(ステップS134)。nがRであるかどうかを判断する(ステップS135)。ステップS135においてNoである場合には、nに1を加え(ステップS136)、検出の遅延時間をn番目の値に設定変更し(ステップS137)、ステップS133へ戻る。ステップS135においてYesである場合には、全遅延時間、全強度変調周波数の組み合わせのうち、測定結果の質が最良となる強度変調周波数及び遅延時間を決定する(ステップS138)。尚、ここでは測定結果の質を利用して最適強度変調周波数及び最適遅延時間を決定する実施例について説明したが、更に、被検者、部位、タスク(認知課題)等の状況に応じ、最適強度変調周波数及び最適遅延時間を動的に最適化するようにしてもよい。
【0051】
尚、本実施例では、信号検出方式として強度変調周波数及び遅延時間の最適化を行う方法について記したが、信号検出方式として、検出系においてアナログ―デジタル(AD)変換の精度もしくは分解能(例えば、16 bit)を最適化してもよい。AD変換精度もしくは分解能を高めると一般に最大のサンプリング速度が低下し、取得可能な信号の帯域幅に影響を与える。さらに、AD変換を他のCPU動作と並行して行う場合には、他のCPU動作にも影響を与える。よって、AD変換精度は高ければよいというものではなく、他系への影響とのトレードオフを考慮する必要がある。したがって、信号検出方式を最適化するパラメータの一つにAD変換精度を含めた上で、強度変調周波数、遅延時間を最適化することがより望ましい。
【実施例3】
【0052】
実施例3は、生体光計測装置における、計測信号の質評価による信号検出方式としての測定チャンネル数の決定方法に関する実施例である。図14に、本実施例の信号の質評価による信号検出方式としての測定チャンネル数決定時のフローチャートを示す。同図に見るように、まず、使用する光源を取得、リストアップし、優先順位を決定する(順位1からN)(ステップS141)。部位、チャンネル位置により事前に入力しても良い。次に、nに1を代入する(ステップS142)。
【0053】
優先順位n番目の光源と、nより優先順位の高い光源を全て連続光計測方式で点灯させ、生体内部伝播光を検出する(ステップS143)。検出された信号の質を評価する(ステップS144)。全ての計測チャンネルで信号の評価関数が所定の閾値以上であるかを判断する(ステップS145)。ステップS145において、評価関数値が所定の閾値未満のチャンネルが一つでもある場合(No)、nから1を引き(ステップS146)、順位nより低い順位の光源を不使用とする(ステップS147)。ステップS145において、全ての計測チャンネルで信号の評価関数が所定の閾値以上である場合(Yes)、nがN未満であるかを判断する(ステップS148)。ステップS148において、nがN未満である場合(Yes)、nに1を加え(ステップS149)、ステップS143へ進む。ステップS148において、nがNと等しい場合(No)、終了する。この場合、N個の光源が使用される。
【0054】
本実施例における生体光計測装置における信号の質としては、上述した数式1、数式2に示される搬送波対雑音比および信号対雑音比に加え、検出光量時系列データの平均値、検出光量時系列データの標準偏差、等を用いれば良い。
【0055】
尚、ここでは、連続光計測方式である連続ロックイン方式等において、評価関数値が所定の閾値未満の場合に不使用とする方法を説明したが、不使用とはせずに時分割ロックイン方式などの時分割方式に切り替え、評価関数値が所定の閾値以上となるようにする方法としてもよい。
【0056】
尚、ここでは光源系を光照射モジュール、光検出、受光系を光検出モジュールとした例を述べたが、光源系と受光系の両方を含むモジュール構成としても良く、光源系、受光系をともに含まず、モジュール間通信等のみを行うモジュールとして制御モジュールを構成してもよい。
【0057】
また、対応取得部は、単純に、1つの検出手段に対して所定数(例えば、6個)以上の数の計測点数の場合に時分割方式もしくは時分割ロックイン方式に切り替えるよう構成しても良い。計測点数の閾値は、信号の質に依存するため測定条件により変わり得るが、レーザ安全基準(例えば、IEC 60825)等から目安を定め、実際の測定から最適化しても良い。
【実施例4】
【0058】
実施例4は、生体光計測装置において各種のパラメータを設定する設定画面構成の実施例である。図1図2に示した表示部109において、ユーザが各種計測パラメータを手動で入力部107から設定できるように各種パラメータの設定画面を提示する。図15は,本実施例におけるパラメータ設定画面の一例を示す図である。本画面では,一検出器あたりの最大チャンネル数の設定欄201、最低信号対雑音比の設定欄202、最低サンプル周波数の設定欄203、1光源あたりの最大光照射パワーの設定欄204を表示し、各々の設定値を入力部107より入力可能であり、設定後、設定画面のOKボタンを押下し決定する。パラメータ設定をキャンセルする場合には、キャンセルボタンを押下する。
【0059】
例えば、先に説明したように、信号対雑音比を最大化する場合には、チャンネル数を少なくし、光照射パワーを増加させること等が有効であるが、本実施例の生体光計測装置は、ここで設定される条件を満たしながら、制御・解析部106が最適なパラメータを探索する。本実施例の生体光計測装置におけるパラメータ探索法としては、全パラメータを順次、可変範囲内で変化させながら最適な組み合わせを探索する全数探索法、経験的なパラメータ条件を優先的に探索する方法、ランダムにパラメータ条件を変化させる方法等、を探索時間の制限に応じて設定すれば良い。尚、制約条件を満たすパラメータ条件が複数存在する場合に備え、優先するパラメータをあらかじめ設定できるようにしても良い。
【0060】
以上、本発明の好適的な種々の実施例を説明してきたが、本発明は以上説明した実施例に限定されず、種々の変形例を含んでいる。例えば、図2の対応取得部19の別個の手段として、被検体10において光照射する位置である光照射点、及び被検体において光を検出する位置である検出点の位置を同定する位置同定部を有することにより、光照射部である光源、光検出部である光検出器の対応関係を自動取得してもよい。このような構成は、ファイバ、もしくはプローブを、プローブホルダに指す順序もしくは各々のプローブのID及び番号を気にせず、光源用のプローブホルダに任意の光源ファイバを、光検出器用のプローブホルダに任意の光検出ファイバを挿入することができ、測定準備を高速に行えるという効果がある。光検出方式を自動取得可能であるため、フレキシブルにハードウェア設定を変更し測定可能である。また、被検者間で条件を変更しない場合には、設定を固定することも可能である。このような位置同定部は、磁気センサ、カメラ等で良い。位置同定部として磁気センサを用いる場合は、装置外部に磁気トランスミッタを設置しておき、個々の光デバイスモジュールに磁気センサを取り付け、各磁気センサの出力を検出することにより、3次元位置計測が可能となる。
【実施例5】
【0061】
上記の実施例に加えて、本発明の生体光計測装置は、バックアップとなる抵抗、コンデンサ(キャパシタ)、アナログIC等から構成される電子回路及び素子を備え、各素子の使用、不使用を切り替えることが可能であり、適宜前記評価関数値が最大となるように各素子の使用、不使用を切り替える、ことを特徴とする構成でも良い。つまり、切り替え可能な信号検出方式のパラメータには、時分割ロックイン検出方式、連続ロックイン検出方式等や、強度変調周波数等の信号特徴量や、使用する素子組み合わせ等のハードウェア構成も含む。これらは信号の質の最適化にも使用できるほか、素子のバックアップとして、故障した素子の代替として機能させることも可能である。
【0062】
以上説明した本発明により、医療用および研究用機器として、あるいは教育効果・リハビリ効果の確認、家庭における健康管理、商品モニタ等の市場調査、さらに、同様の手法により組織酸素飽和度計測や筋肉の酸素代謝計測に用いることができる生体計測装置において、最適な装置構成の動的変更及び信号の質向上による高信頼性の信号提供が可能となる。
【0063】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、以上説明した実施例では、各測定チャンネルで光検出方式を選択することを想定して説明したが、同じ測定チャンネルでも、複数の波長を使用している場合には、波長間でも別の方式を採用しても良いように、評価関数値を最大化してもよい。つまり、同じ測定点、もしくは計測チャンネルにおいて、3種の波長を使用してヘモグロビン変化を算出していると仮定すれば、波長1は連続ロックイン方式、波長2と3は時分割ロックイン方式、という設定も可能である。
【0064】
更に、上述した各構成、機能、制御・解析部等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成することによりソフトウェアで実現する場合を例示して説明したが、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない
以上詳述してきた本明細書の開示の中には、請求の範囲に記載した発明のみならず、種々の発明が開示されている。それらの一部を列記すると下記の通りである。
【0065】
[列記1]
所定の光照射点へ光を照射するための1つまたは複数の光照射部と、
前記光照射部から照射された光を所定の光検出点において検出するための1つまたは複数の光検出部と、
前記光照射部と前記光検出部のうち少なくとも一方を格納するための1つまたは複数の光デバイスモジュールと、を有し、
各々の前記光デバイスモジュール間において信号検出方式を切り替え、各々の計測点において複数の前記信号検出方式を混在させることができる、
ことを特徴とする生体光計測装置。
【0066】
[列記2]
各々の前記光検出部と、当該光検出部が検出する光の照射元である所定の前記光照射部との対応関係を取得するための対応取得部と、を有し、
前記対応関係と、前記光検出部における検出強度もしくは検出強度及び計測条件により定まる評価関数値を利用する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0067】
[列記3]
前記光デバイスモジュールは、
前記光照射部と前記光検出部のうち少なくとも1つに関する情報を記憶する情報記憶部と、
前記光照射部と前記光検出部のうち少なくとも1つを制御し、他の前記光デバイスモジュールと通信するための制御通信部と、
を有することを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0068】
[列記4]
前記光照射部が前記被検体において光照射する位置である光照射点、及び光検出部が前記被検体において光を検出する位置である検出点の位置を同定する位置同定部を有する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0069】
[列記5]
前記情報記憶部は、前記光照射部の波長及び電流−光出力特性を保持し、前記光検出部の感度情報を保持する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0070】
[列記6]
前記対応関係は、所定の光照射部と、前記所定の光照射部が照射する光を検出する前記光検出部との組み合わせ、及び前記照射点と前記検出点間の距離で定義されるSD距離であることを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0071】
[列記7]
前記対応取得部は、前記被検体もしくは標準ファントムに前記光デバイスモジュールを設置し、計測したときの時間平均検出光量もしくは信号対雑音比の組み合わせを取得する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0072】
[列記8]
前記信号検出方式は、前記光検出部の検出出力をアナログ・デジタル変換するAD変換の精度の設定を含む、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0073】
[列記9]
前記信号検出方式がロックイン方式の場合、当該信号検出方式における検出の遅延時間を、前記評価関数値に基づき最適に設定する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【0074】
[列記10]
前記光照射部の光源の強度変調周波数を、前記評価関数値に基づき、最適に設定する、
ことを特徴とする列記1記載の生体光計測装置。
【符号の説明】
【0075】
10 被検者
11 照射点
12 検出点
13、23 光照射モジュール
14、24 光検出モジュール
15 通信部
16 情報記憶部
17 制御通信部
18 中央制御・解析部
19 対応取得部
20 装置本体
21 制御モジュール
22 モジュール間通信バス
25 モジュール―情報端末間通信バス
26 情報端末
30 光
31 CPU及び記憶部
32 モジュール情報
33 モジュールID
34 モジュール間コネクタ
35 ファームウェア書き込み用コネクタ
36 増幅器
37 モジュール間通信用コネクタ
38 情報端末との通信用コネクタ
39 電源
40 導波路
41 基板
42 光源位置
43 光検出器位置
44、45、46 プローブホルダ
50 連続光ロックイン計測を実施する組み合わせ
51 擬似連続光ロックイン計測を実施する組み合わせ
52 時分割ロックイン計測を実施する組み合わせ
61 連続光ロックイン方式の光検出波形(ch1、2)
62 擬似連続光ロックイン方式の光検出波形
63 時分割ロックイン方式の光検出波形(ch1−3)
64 ロックイン切り替え方式の光検出波形(ch1、2)
65 時分割検出方式の光検出波形(ch1−3)
101 光源
102 光検出器
103 光源駆動装置
104 増幅器
105 アナログ−デジタル変換器
106 制御・解析部
107 入力部
108 記憶部
109 表示部
201 一検出器あたりの最大チャンネル数の設定欄
202 最低信号対雑音比の設定欄
203 最低サンプル周波数の設定欄
204 一光源あたりの最大光照射パワーの設定欄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15