(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444487
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】小分子化合物、その合成方法、及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07C 259/06 20060101AFI20181220BHJP
C07C 317/22 20060101ALI20181220BHJP
C07C 315/04 20060101ALI20181220BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20181220BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20181220BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20181220BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20181220BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20181220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20181220BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20181220BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/451 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/4035 20060101ALI20181220BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20181220BHJP
C07D 295/096 20060101ALI20181220BHJP
C07D 211/46 20060101ALI20181220BHJP
C07D 211/14 20060101ALI20181220BHJP
C07D 211/52 20060101ALI20181220BHJP
C07D 209/44 20060101ALI20181220BHJP
C07D 217/04 20060101ALI20181220BHJP
C07D 241/08 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
C07C259/06
C07C317/22CSP
C07C315/04
A61Q7/00
A61P17/14
A61P19/10
A61P3/04
A61K8/42
A61P43/00 111
A61K8/46
A61K8/49
A61K31/167
A61K31/5375
A61K31/445
A61K31/495
A61K31/40
A61K31/451
A61K31/4035
A61K31/472
C07D295/096
C07D211/46
C07D211/14
C07D211/52
C07D209/44
C07D217/04
C07D241/08
【請求項の数】10
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2017-502885(P2017-502885)
(86)(22)【出願日】2015年8月13日
(65)【公表番号】特表2017-522329(P2017-522329A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】CN2015086908
(87)【国際公開番号】WO2016023510
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】201410398184.1
(32)【優先日】2014年8月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012408
【氏名又は名称】嘉▲興▼特科▲羅▼生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TECHNODERMA MEDICINES PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲増▼全
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲曉▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】毛 晨
【審査官】
桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−500432(JP,A)
【文献】
特開平06−172275(JP,A)
【文献】
特表2003−534313(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02374009(GB,A)
【文献】
国際公開第2001/070687(WO,A1)
【文献】
特表2002−540189(JP,A)
【文献】
N.Yokoyama et al,Synthesis and Structure-Activity Relationships of Oxamic Acid and Acetic Acid Derivatives・・・,Journal of Medicinal Chemistry,米国,American Chemical Society, Washington,1995年,38巻4号,p.695-707
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2000年,Vol. 10,pp. 1661-1663
【文献】
RUSSIAN JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2006年,Vol. 42, No. 5,pp. 752-756
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/46
A61K 8/49
A61K 31/167
A61K 31/40
A61K 31/4035
A61K 31/445
A61K 31/451
A61K 31/472
A61K 31/495
A61K 31/5375
A61P 3/04
A61P 17/14
A61P 19/10
A61P 43/00
A61Q 7/00
C07C 315/04
C07C 317/22
C07D 209/44
C07D 211/14
C07D 211/46
C07D 211/52
C07D 217/04
C07D 241/08
C07D 295/096
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】
のように示し、
R1は水素、ハロゲン、C1−C6のアルキル或いは前記のアルキルにおける一乃至三個の水素原子が置換基に任意に置換されたもの、シアノ、イソシアネート基、アミド基、スルファミド基、S−アルキル、S−アリール、S−ヘテロアリールから選び、
その中、前記の置換基はハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリールから選び、
R2は水素、ハロゲン、C1−C6のアルキル或いは置換アルキル、アルキルオキシ、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジルから選び、
R3は水素、ハロゲン、C1−C6のアルキル或いは置換アルキル、アルキルオキシ、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジルから選び、
R4は水素、C1−C6のアルキル或いは置換アルキルから選び、
R5は水素、C1−C6のアルキル或いは置換アルキルから選び、
Xはアルキル或いは置換アルキル、アミノ或いは置換アミノから選び、
Yはアルキル或いは置換アルキル、酸素、イオウ、アミノ基、カルボニル基、スルホン基から選ぶことを特徴とする小分子化合物。
【請求項2】
構造式:
【化2】
のように示し、
但し、Rは、
水素、ハロゲン、アルキルスルホニル、アルキル、メトキシ、ニトロ、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシ、アリール、及びベンジルからなる群より選ばれる1種
を表し、nは1〜5の整数であり、nが2以上の場合は、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい、請求項1に記載の小分子化合物。
【請求項3】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−スルホベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−ジクロロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(2−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(メチルモルホリン)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシピペリジン−1−ベース)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−メチルピペラジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−((1−ピロリジニル)−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(4−(3−(4−ベンジルピペリジン−1−メチル)−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,5−ジクロロフェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ‐4−フェニルピペリジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(イソインドリン−2−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−二水素イソキノリンキノリン−2−(1H)−メチル)‐4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであり、或いは、
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(3−ピペラジンケトン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンであることを特徴とする小分子化合物。
【請求項4】
ステップ一:4−メトキシフェノールは1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンと反応して、1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンを生成し、
ステップ二:1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンは安息香酸誘導体と反応して、(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトンを生成し、
ステップ三:(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトンのカルボニルをメチレンに還元して、1,3−ジクロロ‐2−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンを得、
ステップ四:1,3−ジクロロ−2−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンのニトロをアミンに還元して、3−5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンを得、
ステップ五:3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンはエチル塩化オキサリルと反応して、エチル2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−アセテート−2−オンを生成し、
ステップ六:エチル2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−アセテート−2−オンは塩酸ヒドロキシルアミンと反応して、N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンを生成し、
ステップ七:N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンのメトキシを脱メチル化すること、を有することを特徴とする小分子化合物の合成方法。
【請求項5】
前記の安息香酸誘導体は下の構造:
【化3】
の酸に置換され、
この中、RはC1−C6のアルキル或いは前記のアルキルにおける一乃至三個の水素原子が置換基に任意に置換されたものであり、
上述した置換基はハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリール、S−アルキル、S−アリール、S−ヘテロアリールから選ぶことを特徴とする請求項4に記載の小分子化合物の合成方法。
【請求項6】
ステップ一において、4−メトキシフェノールと1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンとのモル比は1:1−2であり、
ステップ二において、1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンと安息香酸誘導体のモル比は1:1.25−2であり、
ステップ四において、1,3−ジクロロ−2−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンと還元剤とのモル比は1:10−20であり、
ステップ五において、3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンとエチル塩化オキサリルとのモル比は1:1.5−3であり、
ステップ六において、エチル2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−アセテート−2−オンと塩酸ヒドロシキルアミンとのモル比は1:5−10であることを特徴とする請求項4に記載の小分子化合物の合成方法。
【請求項7】
ステップ一は、強アルカリの条件下で進行するものであり、前記の強アルカリは、アミノカリウム、アミノナトリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、リチウムブタンリチウム、アンモニアリチウムリチウム、ベンジルリチウム、バルバドス試薬、アルキル銅リチウム、メタノールナトリウム、エタノールナトリウム、エタノールカリウム、ブタノールナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれた何れか1つであり、反応温度は120−160℃であり、
ステップ二は、イートン試薬の中で進行すし、反応温度は80−130℃であることを特徴とする請求項4に記載の小分子化合物の合成方法。
【請求項8】
ステップ三において、トリフルオロアセテートとトリエチルシルシランとを使ってカルボニルをメチレンに還元し、
5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトン:トリフルオロアセテート:トリエチルシルシランのモル比は1:4−6:3−5であることを特徴とする請求項4に記載の小分子化合物の合成方法。
【請求項9】
ステップ七において、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、又は三臭化ホウ素で脱メチル化を行えることを特徴とする請求項4に記載の小分子化合物の合成方法。
【請求項10】
発毛促進、骨粗鬆症、又は肥満症の治療に適用し得ることを特徴とする請求項1に記載の小分子化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学合成分野に関与するものであり、特に小分子化合物及びその合成方法と応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛包は、毛髪初期成長期(成長期)と、毛髪中期成長期(退行期)と、毛髪終期成長期(休止期)とからなる3つの段階を繰り返す微小器官である。成長期には、毛包角化細胞(HBK)の増殖や分化が激しく行われることにより、毛根が成長し続ける。
【0003】
今まで報道された研究によっては、毛周期の調整と同期にとって、複数の生物学的要因が働いていることがわかった。前記生物学的要因は、様々な種類に分けることができる。例えば、ホルモン、成長因子、酵素、転写因子などがある。具体的に言えば、遺伝子ノックアウト、ならびに遺伝子組替えマウスの研究では、ソニック・ヘッジホッグ因子、角化細胞成長因子が毛髪初期成長期の開始を促進し、トランスフォーミング増殖因子、線維芽細胞増殖因子‐5、神経成長因子がHBKのアポトーシスを誘導することにより、毛包を初期成長期から後期成長期への移行促進を加速する。通常状態では、毛周期はこれらの因子によって適切に制御されている。
【0004】
しかし、研究に示したところ、ストレスや男性ホルモンによる病理学的刺激は、毛周期に異常を起こす可能性があることが明らかになった。成長期が短縮、休止期が延長することで脱毛症などの問題になる。
【0005】
今まで、これに対して薬剤が市販されてきたが、特にミノキシジルおよびフィナステリドはすでにFDAに認可された。ミノキシジルはもともと高血圧の治療に適用されていたが、その副作用として全身の多毛症を頻繁に引き起こすことが分かった。1996年、2%ミノキシジルを含有する溶液が男性ホルモンによる脱毛症を治療する一般用医薬品として認可された。フィナステリドはFDAに認可された脱毛症を治療する唯一の臨床薬品であり、5−α還元酵素の抑止剤である。2型5−α還元酵素の活性を抑止し、毛髪に存在するテストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換することを阻止するので、脱毛エリアにおけるDHTの量を低減させる(発毛を促進する)。
【0006】
しかしながら、時代とともに毛髪に関する病症がより深刻になってきている。よって、現代人のニーズに合わせ、医薬品について多角かつ多様な研究が深まり、展開が期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、発毛を促進する新型医薬品の研究を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
小分子化合物であり、その特徴は下の構造式のように示す:
【0009】
【化1】
【0010】
R1は水素、ハロゲン、C0−C6のアルキル或いはそれにおける一乃至三個の置換基に任意に置換されたもの、シアノ、イソシアネート基、アミド基、異スルファミド基、異亜スルファミド基、スルファミド基、亜スルファミド基、S−アルキル、S−アリール、S−ヘテロアリールから選ぶ。
【0011】
その中、前述した置換基はハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリールから選ぶ。
【0012】
R2は水素、ハロゲン、C0−C6のアルキル或いは置換アルキル、アルキルオキシ、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジルから選ぶ。
【0013】
R3は水素、ハロゲン、C0−C6のアルキル或いは置換アルキル、アルキルオキシ、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジルから選ぶ。
【0014】
R4は水素、C0−C6のアルキル或いは置換アルキルから選ぶ。
【0015】
R5は水素、C0−C6のアルキル或いは置換アルキルから選ぶ。
【0016】
Xはアルキル或いは置換アルキル、アミノ或いは置換アミノから選ぶ。
【0017】
Yはアルキル或いは置換アルキル、酸素、イオウ、アミノ基、カルボニル基、亜スルホン基、スルホン基から選ぶ。
【0018】
前述したR1−R5の選べる基の中、述べたアルキルは置換或いは未置換の直鎖アルキル、分枝鎖アルキル、シクロアルキルであっても良い。シクロアルキルである場合、シクロアルキルの炭素原子は酸素、イオウ、窒素に任意に置換し得、その環状構造における一個の結合或いは複数個の結合で芳香族系と或いはヘテロアリール基と融合環になっても良い。
【0019】
本発明によって提供されている小分子化合物は、下図の構造式のように示すものであることが好ましい:
【0020】
【化2】
【0021】
この中、Rは単置換或いは多置換のハロゲン、アルキルスルホニル、アルキル、メトキシ、ニトロ、アミノ、カルボキシル、エステル、ヒドロキシ、アリール、ベンジル、水素である。
【0022】
本発明によって提供されている小分子化合物は、下図の構造式のように示すものであることがさらに好ましい:
【0023】
【化3】
【0024】
この中、Rは単置換或いは多置換のハロゲン、アルキルスルホニル、アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシル、エステル、ヒドロキシ、アリール、ベンジル、水素、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリールである。
【0025】
Xは炭素、窒素である。
【0026】
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5は炭素、酸素、イオウ、窒素、カルボニル(即ち、芳香族系或いは非芳香族系のラクタムを形成するもの)である。
【0027】
本発明によって提供されている小分子化合物は、下図の構造式のように示すものであることがさらに好ましい:
【0028】
【化4】
【0029】
この中、Rは単置換或いは多置換のハロゲン、アルキルスルホニル、アルキル基、メトキシ、ニトロ、アミノ、カルボキシル、エステル、ヒドロキシ、アリール、ベンジル、水素、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリールである。
【0030】
Xは炭素、窒素である。
【0031】
Z1、Z2、Z3、Z4は炭素、酸素、イオウ、窒素、カルボニル(即ち、芳香族系或いは非芳香族系のラクタムを形成するもの)である。
【0032】
前述した三つの好ましい構造の中で、Rの選べる基に相関のアルキルは置換或いは未置換の直鎖アルキル、分枝鎖アルキル、シクロアルキルでもある。多置換の場合、Z1−Z5と結合を形成する置換基であってもよく、また、Z1とZ2、Z2とZ3、Z3とZ4、Z4とZ5における一個の結合或いは複数個の結合で芳香族系と、ヘテロアリール基と或いはナフテン系と融合環を形成するものであっても良い。
【0033】
さらに好ましくは、本発明によって提供されている小分子化合物は、
【0034】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0035】
【化5】
【0036】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−スルホベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0037】
【化6】
【0038】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0039】
【化7】
【0040】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−ジクロロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0041】
【化8】
【0042】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0043】
【化9】
【0044】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(2−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0045】
【化10】
【0046】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(メチルモルホリン)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0047】
【化11】
【0048】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシピペリジン−1−ベース)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0049】
【化12】
【0050】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−メチルピペラジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0051】
【化13】
【0052】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ピロールアルカ−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0053】
【化14】
【0054】
N1−(4−(3−(4−ベンジルピペリジン−1−メチル)−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,5−ジクロロベンゼン)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0055】
【化15】
【0056】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ‐4−フェニルピペリジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0057】
【化16】
【0058】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(イソインドリン−2−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0059】
【化17】
【0060】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−二水素イソキノリンキノリン−2−(1H)−メチル)‐4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0061】
【化18】
【0062】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(3−ピペラジンケトン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン、その構造式は:
【0063】
【化19】
である。
【0064】
本発明はさらに前述した小分子化合物の合成方法を提供する。その特徴は4−メトキシフェノールと1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンを出発原料とすることである。
【0065】
具体的な合成ステップは下記の通りである:
【0066】
ステップ一:4−メトキシフェノールは1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンと反応して、1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンを生成する。
【0067】
ステップ二:1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンは安息香酸誘導体と反応して、(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトンを生成する。
【0068】
ステップ三:(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトンのカルボニルをメチレンに還元して、ニトロをアミノに還元したら、3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンを得る。
【0069】
ステップ四:3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンはエチル塩化オキサリルと反応して、2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテートを生成する。
【0070】
ステップ五:2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテートは塩酸ヒドロキシルアミンと反応して、N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンを生成する。
【0071】
ステップ六:N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンのメトキシを脱メチル化して、目標の小分子化合物を獲得する。
【0072】
上記工程のステップの反応方程式は下記の通りである:
【0073】
【化20】
【0074】
構造に似た化合物を獲得するため、安息香酸誘導体は下の構造の酸に置換される:
【0075】
【化21】
【0076】
この中、RはC0−C6のアルキル或いはそれにおける一乃至三個の置換基に任意に置換されたものである。
【0077】
上述した置換基はハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、O−アルキル、O−アリール、O−ヘテロアリール、N−アルキル、N−アリール、N−ヘテロアリール、S−アルキル、S−アリール、S−ヘテロアリールから選ぶ。
【0078】
その中、ステップ一は、強アルカリの条件下で進行するものであり、強アルカリと4−メトキシフェノールとのモル比は1.5−2:1である。該強アルカリは、有機/無機、エーテル反応に応用できる各種の強アルカリ試薬から選び、好ましくは、アミノカリウム、アミノナトリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、リチウムブタンリチウム、アンモニアリチウムリチウム、ベンジルリチウム、バルバドス試薬、アルキル銅リチウム、メタノールナトリウム、エタノールナトリウム、エタノールカリウム、ブタノールナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等から選ばれた何れか1つであり、反応温度は120−160℃で、反応時間は1−6時間である。
【0079】
また、この反応がDMF及びその物理/化学的性質に似た溶剤の中で進行するものであることが好ましく、反応物である4−メトキシフェノールと1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンとのモル比は1:1−2である。1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼンが、4−メトキシフェノールとアルカリ剤を十分に混ぜ合わせてから(普通は30−60分間)入れることが好ましい。
【0080】
ステップ二は、イートン試薬の中で進行し、反応温度は80−130℃であり、反応時間は2−8時間である。1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンと安息香酸誘導体とのモル比は1:1.25−2である。
【0081】
ステップ三は、カルボニルをメチレンに還元することを目的とするものである。本発明では、好ましくはトリフルオロアセテートとトリエチルシルシランとを使ってカルボニルをメチレンに還元する。上記の還元剤を使う場合、5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトン:トリフルオロアセテート:トリエチルシルシランのモル比は1:4−6:3−5である。溶剤は、好ましく、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化メタンなどを選ぶ。反応は室温で進行し、反応時間は1−6時間である。
【0082】
ステップ四は、ニトロをアミノに還元することを目的とするものである。本発明では、塩化第一錫、鉄、亜鉛、Pt、Ni等の還元用製剤を還元剤としても良い。5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(置換フェニル)メチルケトンと還元剤とのモル比は1:10−20である。還流反応時間は1−6時間である。
【0083】
ステップ五において、3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンとエチル塩化オキサリルとのモル比は1:1.5−3であり、エチル塩化オキサリルとトリエチルアミンとのモル比は1:1.3−2.3である。反応時間は0.5−3時間である。
【0084】
ステップ六において、2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(置換ベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテートと塩酸ヒドロシキルアミンとのモル比は1:5−10であり、塩酸ヒドロシキルアミンとアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)とのモル比は1:1である。反応時間は8−14時間である。
【0085】
ステップ七において、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三臭化ホウ素を脱メチル化としてもよい。50mgの原料ごとに、脱メチル化剤を1−5滴(約1−20mg)が使用される。反応時間は1−5時間である。
【0086】
上記の各ステップにおいて、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化メタン、酢酸エチル、酢酸メチル、トルエン、ベンゼン、塩素ベンゼン、DMF、ジオキサン、エタノール、アセトン等を溶剤としても良い。
【0087】
ここで、特に指摘すべきことは、本発明において、化合物とその誘導体の分子構造は任意な通常の合成方法で合成しても構わない。上述した具体な合成経路は手段の一つしかない。
【0088】
本発明は上述した小分子化合物を提供する。その特徴は、発毛促進や骨粗鬆症、肥満症の治療に役立つ。特に発毛の促進や、男性型脱毛症に効果が良い。
【発明の効果】
【0089】
本発明は毛髪の再生に使える新型物質を提供する。
【0090】
経皮投与マウスの毛髪成長実験から、発明された製品の各濃度の投与量はすべて毛周期を調整することができ、発毛を促進し、明らかに発毛効果があることが示された。また、各群のマウスは体重の推移変化が遅いので、被験化合物は動物の体重減少を起こさないことが示された。
【0091】
以上のように、該当物質は毒(副作用)がなく、増毛効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1a】TDM−001−1の中で、マウスの毛成長の写真;
【
図1b】TDM−001−2の中で、マウスの毛成長の写真;
【
図1c】TDM−001−3の中で、マウスの毛成長の写真;
【
図1d】TDM−001−4の中で、マウスの毛成長の写真;
【発明を実施するための形態】
【0093】
実施例一、製品番号TMI−105795
【0094】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロフルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0100】
ステップ1:1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンの合成
【0102】
4−メトキシフェノール(5.5グラム、44mmol)をDMF(100mL)に溶解して、NaH(2.64グラム、66mmol)を入れて、30分間攪拌してから、1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼン(10グラム、44mmol)を入れる。反応液を120℃まで三時間加熱する。反応が完了したら室温まで冷却して、濃縮する。残物は水で焼入れ、酢酸エチルで抽出する。有機層乾燥濃縮後、粗製品を得る。そしてカラムクロマトグラフィーで(0−10%酢酸エチルと石油エーテル)産物(5.0グラム、36%)を得る。
【0103】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率(4−メトキシフェノール:NaH:1,2,3−トリクロロ−5−ニトロベンゼン=1:2:1或いは1:1.8:1.5等異なる比率)、溶剤(塩素ベンゼン、ジオキサン等)、アルカリ剤(NaH、NaOH、ブタノールナトリウム等)、反応温度(130℃、160℃)、反応時間(1時間、2時間、4時間、5時間、6時間等)、製品の収率は約31%ないし68%である。
【0104】
ステップ2:(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェノキシ)(4−フルオロフェニル)メチルケトンの合成
【0106】
1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼン(5.0グラム、16mmol)、4−フルオロ安息香酸(2.8グラム、20mmol)をイートン試薬の中に(30mL)分散する。この混合物を80℃まで四時間加熱する。反応液は室温まで冷却して、炭酸水素ナトリウムの水溶液で焼入れをする。水相は酢酸エチルで抽出する。無水Na2SO4で乾燥後濃縮する。余剰物はカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチルと石油エーテル)を使って産物(4.5グラム,64%)を得る。
【0107】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率(1,3−ジクロロ−2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼン:4−フルオロ安息香酸=1:1、1:1.5、1:2等)、反応温度(100℃、110℃、130℃等)、反応時間(2時間,5時間,8時間等)、製品の収率は約56%−78%の範囲にある。
【0108】
ステップ3:1,3−ジクロロ−2−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼンの合成
【0110】
(5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(4−フルオロフェニル)メチルケトン(4.4グラム、10mmol)をジクロロメタン(50mL)の中に溶解する。トリフルオロアセテート(6.0グラム、40mmol)とトリエチルシルシラン(3.5グラム、30mmol)を入れる。反応液は室温で三時間を攪拌して、炭酸水素ナトリウムの水溶液で焼入れをする。水相は酢酸エチルで抽出する。無水Na2SO4で乾燥後濃縮する。余剰物はカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチルと石油エーテル)を使って産物(3.5グラム、83%)を得る。
【0111】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率((5−(2,6−ジクロロ−4−ニトロフェノキシ)−2−メトキシフェニル)(4−フルオロフェニル)メチルケトン:トリフルオロアセテート:トリエチルシルシラン=1:4:3、1:5:4、1:6:5等)、溶剤は(クロロホルム、塩素ベンゼン、トルエン等)、反応時間(1時間、2時間、6時間等)、製品の獲得率は約80%−96%である。
【0112】
ステップ4:3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリンの合成
【0114】
1,3−ジクロロ−2−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼン(3.5グラム、8.3mmol)を酢酸エチル(50mL)の中に溶解する。塩化第一錫(18.7グラム、83mmol)を入れて、三時間加熱還流する。反応液を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウムの水溶液でpH−8まで調整して、濾過抽出する。抽出液を濃縮して、産物(2.6グラム、81%)を得る。
【0115】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率(1,3−ジクロロ−2−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロベンゼン:塩化第一錫=1:10、1:15、1:20等)、溶剤(酢酸メチル、アセトン、ベンゼン等)、還元剤(Zn/HCl、Pt/H
2、Ni/H
2等)、反応時間(1時間、2時間、6時間等)、製品の収率は約80%−99%である。
【0116】
ステップ5:2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテートの合成
【0118】
3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリン(200ミリグラム、0.51mmol)をジクロロメタンに溶解して、エチル塩化オキサリル(120ミリグラム、0.76mmol)とトリエチルアミン(100ミリグラム、1.02mmol)を入れる。反応液を一時間攪拌して、炭酸水素ナトリウムの水溶液で焼入れをする。水相はジクロロメタンで抽出して、有機層は飽和食塩水で洗い、無水Na
2SO
4で乾燥後濃縮して、産物(250ミリグラム、100%)を得る。
【0119】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)アニリン:エチル塩化オキサリルのモル比=1:1.5、1:2、1:2.3、1:3等、エチル塩化オキサリル:トリエチルアミンのモル比=1:1.5、1:2、1:2.3)、溶剤(クロロホルム、酢酸エチル、塩素ベンゼン等)、反応時間(0.5時間、2時間、3時間等)、製品の収率は約90%−100%である。
【0120】
ステップ6:N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンの合成
【0122】
2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテート(50ミリグラム、0.10mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(35ミリグラム、0.5mmol)と水酸化ナトリウム(20ミリグラム、0.5mmol)をエタノール(10mL)に溶解する。反応液を室温で攪拌して一晩置く。反応液を濃縮後酢酸エチルで抽出して、乾燥濃縮後産物(50ミリグラム、100%)を得る。
【0123】
このステップで、異なる反応条件を試した。例えば、原料比率(2−((3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)アミノ)−エチルアセテート:塩酸ヒドロキシルアミン:水酸化ナトリウムのモル比=1:4:4、1:6:6、1:8:8、1:10:10等)、溶剤(酢酸エチル、メタノール等)、反応時間(8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間等)、製品の収率は約90%−100%である。
【0124】
ステップ7:N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミンの合成
【0126】
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−フルオロベンジル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン(50ミリグラム、0.1mmol)をジクロロメタンに溶解して、2‐3滴の三臭化ホウ素を入れる。反応液を三時間攪拌する。メタノールで焼入れをしてから濃縮する。残物は酢酸エチルと水の中に分散する。酢酸エチル層を濃縮してからノルマルヘキサンを入れて産物(6ミリグラム、12%)を析出する。
【0127】
このステップは、異なる反応条件を試した。例えば、三臭化ホウ素(1mg、5mg、10mg、15mg、20mg等)、溶剤(塩素ベンゼン、クロロホルム、四塩化メタン等)、反応時間(1時間、2時間、5時間等)、製品の収率は約90%−100%である。
【0129】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.92(s,2H),7.19(dd,J=8.7,5.5Hz,2H),6.96(t,J=8.9Hz,2H),6.71(d,J=9.1Hz,1H),6.44−6.51(m,2H),3.87(s,2H)
【0130】
マススペクトル:m/z465.3[M+H]
+
【0131】
これから説明する実施例二乃至六において使用される合成方法は実施例一と類似または略同様であるので、ここには冗語を省く。
【0132】
実施例二、製品番号TMI−105902
【0133】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−スルホベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0137】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.92(s,2H),7.83(d,J=8.6Hz,2H),7.47(d,J=8.3Hz,2H),6.73(d,J=9.4Hz,1H),6.49−6.57(m,2H),4.02(s,2H),3.10(s,3H)
【0138】
マススペクトル:m/z523.6[M−H]
−
【0139】
実施例三、製品番号TMI−105903
【0140】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(4−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0144】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.90(s,2H),7.05(s,4H),6.70(d,J=8.6Hz,1H),6.43−6.49(m,1H),6.39(d,J=3.0Hz,1H),3.84(s,2H),2.29(s,3H)
【0145】
マススペクトル:m/z459.6[M−H]
−
【0146】
実施例四、製品番号TMI−105905
【0147】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−ジクロロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0151】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.93(s,2H),7.38(d,J=8.1Hz,1H),7.32(d,J=1.9Hz,1H),7.12(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),6.73(d,J=8.6Hz,1H),6.52−6.58(m,1H),6.50(d,J=3.0Hz,1H),3.87(s,2H)
【0152】
マススペクトル:m/z513.5[M−H]
−
【0153】
実施例五、製品番号TMI−105965
【0154】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0158】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.91(s,2H),7.11−7.24(m,2H),6.98−7.08(m,2H),6.71(d,J=8.6Hz,1H),6.48(dd,J=8.6,3.2Hz,1H),6.42(d,J=3.0Hz,1H),3.91(s,2H)
【0159】
マススペクトル:m/z463.5[M−H]
−
【0160】
実施例六、製品番号TMI−105966
【0161】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(2−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0165】
核磁気共鳴水素スペクトル(重水素メタノール)δ7.91(s,2H),7.12−7.24(m,2H),7.00−7.10(m,2H),6.71(d,J=8.6Hz,1H),6.48(dd,J=8.7,3.1Hz,1H),6.42(d,J=3.0Hz,1H),3.91(s,2H)
【0166】
マススペクトル:m/z463.5[M−H]
−
【0167】
実施例七、製品番号TMI−105906
【0168】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(メチルモルホリン)−フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0172】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:10.99(br.s.,1H),9.83(br.s.,2H),8.95(s,1H),7.96−8.22(m,2H),7.60−7.73(m,1H),6.64−6.72(m,2H),6.51−6.60(m,1H),3.57(br.s.,4H),3.52(s,2H),2.40(br.s.,4H)
【0173】
実施例八、製品番号TMI−105956
【0174】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシピペリジン−1−ベース)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0178】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:10.10(br.s.,1H),8.10(s,3H),6.58−6.73(m,2H),6.53(d,J=8.3Hz,1H),4.62(br.s.,1H),3.37(br.s.,2H),2.69(br.s.,2H),2.14(br.s.,2H),1.72(d,J=9.4Hz,2H),1.38(d,J=9.1Hz,2H)
【0179】
実施例九、製品番号TMI−105957
【0180】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(4−メチルピペラジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0184】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:11.01(br.s.,1H),8.06−8.14(m,2H),6.60−6.70(m,2H),6.54(dd,J=8.7,3.1Hz,1H),3.34(br.s.,2H),2.42(br.s.,4H),2.18−2.38(m,4H),2.11−2.18(m,3H)
【0185】
実施例十、製品番号TMI−105958
【0186】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(ピロールアルカ−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0190】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:10.90(br.s.,1H),10.77(br.s.,1H),8.11(br.s.,2H),6.87(br.s.,1H),6.64(br.s.,2H),6.53(br.s.,2H),3.45(d,J=5.4Hz,2H),1.72(br.s.,4H),1.06(br.s.,2H)
【0191】
実施例十一、製品番号TMI−105959
【0192】
命名:
N1−(4−(3−((4−ベンジルピペリジン−1−メチル)−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,5−ジクロロフェニル)N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0196】
1HNMR(METHANOL−d
4)δ:8.40(br.s.,1H),7.99(s,2H),7.51(d,J=7.3Hz,2H),7.38(t,J=7.5Hz,2H),7.30(d,J=7.5Hz,1H),6.87−6.98(m,2H),6.82−6.87(m,1H),4.34(s,2H),3.38−3.52(m,4H),2.28−2.41(m,2H),1.96(d,J=14.2Hz,3H),1.27−1.39(m,2H)
【0197】
実施例十二、製品番号TMI−105960
【0198】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−((4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0202】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:10.63(br.s.,1H),8.10(s,2H),7.22−7.32(m,2H),7.10−7.22(m,3H),6.57−6.68(m,2H),6.51(dd,J=8.6,3.0Hz,1H),3.35(br.s.,2H),2.82(d,J=10.7Hz,2H),1.96(t,J=11.1Hz,2H),1.43−1.68(m,2H),1.09−1.26(m,2H)
【0203】
実施例十三、製品番号TMI−105961
【0204】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(イソインドールン−2−メチル)フェノキシ)フェニル)N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0208】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:8.09(s,2H),7.07−7.36(m,4H),6.64−6.82(m,4H),6.56(dd,J=8.5,3.4Hz,2H),3.79−3.91(m,4H),1.33(d,J=4.8Hz,2H)
【0209】
実施例十四、製品番号TMI−105962
【0210】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(3−(3,4−二水素イソキノリンキノリン−2(1H)−メチル)−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0214】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:10.03(br.s.,1H),8.05−8.16(m,1H),7.62(s,1H),7.08−7.17(m,2H),7.04(d,J=5.4Hz,1H),6.49−6.76(m,4H),3.83(s,1H),3.71(s,2H),3.63(s,2H),2.79(d,J=5.6Hz,2H),2.57−2.75(m,2H)
【0215】
実施例十五、製品番号TMI−105963
【0216】
命名:
N1−(3,5−ジクロロ−4−(4−ヒドロキシ−3−(3−ピペラジンケトン−1−メチル)フェノキシ)フェニル)−N2−オキサリルヒドロキシルアミン
【0220】
1HNMR(DMSO−d
6)δ:8.07−8.15(m,2H),7.76(s,1H),6.66−6.76(m,2H),6.58(dd,J=8.7,3.1Hz,1H),3.53(s,2H),3.17(s,2H),3.11(br.s.,2H),2.96(s,2H),1.06(t,J=7.0Hz,2H)
【0222】
A.マウス実験:本実験で使った被験化合物はTMI−105795。
【0223】
一、材料と方法
本実験は以下のステップおよび詳細の通りに進行する。調べた限り、実験全体を通じて、データの質と完全性を影響する状況は一切なかった。
【0224】
(1)被験物
被験化合物(TMI−105795)をまず薬学部によって分注されてからマイナス20℃の冷蔵庫に保存する。すべての被験化合物(溶剤を含む)をTDM−001−1、TDM−001−2、TDM−001−3、TDM−001−4と標記する。
【0225】
(2)被験動物
メスのC3Hマウス(届いた時は35〜39日齢)は北京維通利華実験動物技術有限会社から購入。実験用マウスとして、健康かつ清潔なマウスを選出する。群分けする前、,無作為に5匹のマウスを1カゴに飼う。適応させるため1週間飼養する。動物の標記ラベルは尻尾とカゴに両方付ける。
【0226】
(3)動物飼養
実験全体を通じて、すべてのマウス(1匹1カゴ)はそれぞれ違う群分けに飼っている。カゴに柔らかい素材を敷き(とうもろこしの芯や木くずなど)、飼養環境を統一させる。自由に水と餌を取らせる。飼養湿度(50−70%)と温度(21−25℃)を維持しながら、12時間明暗サイクルで実施する。
【0227】
(4)投与
被験化合物TMI−105795(溶剤はポリエチレングリコール/エタノール(30/70))、毎日の投与量ずつに分注してからマイナス−20℃の冷蔵庫に保存する。溶剤と一緒に、毎日午前9:30と午後4:00と2回経皮投与する。
【0230】
(6)行為観察
毎日マウスに異常行為の有無を照合する。毛成長の状況を観察し、詳細に記録する。
【0231】
(7)体重
実験全体を通じて、毎日各マウスに投与する前、体重を測定する。
【0232】
(8)採点
実験が始まる初日から最終日まで、毎週の月曜日、水曜日および金曜日に、外周毛の成長、フケ、紅斑といった現象に対して採点をする。
【0233】
二、試薬、消耗品、設備
(1)被験物(TMI−105795)
(2)Eppendorfピペット
(3)100μlピペットチップ、滅菌
(4)小型動物用かみそり
【0236】
小型動物用かみそりで、丁寧にマウスの後足と背部の毛を剃る。マウスの背部の皮膚を傷つけないように気をつける。重ねてマウスの背部の皮膚の色を確認する。すべてのマウスの背部皮膚は薄いピンク色で無くてはならない。皮膚に傷のあるマウスは実験から取り外す。無作為にマウスを5群に分け、単独で飼う。
【0237】
(2)投与方法
毎日午前投与する前、各マウスの体重を記録する。ピペットで20μLの該当溶液を吸上げてマウスの背部に毛が剃られたエリアに塗る。それから、ピペットチップで後足の背部に薬液を約直径1センチの大きさのエリアに均等に塗る。毎日の投与エリアを同じエリアとし、薬液が乾燥するまで待ってからカゴに戻す。
【0238】
(3)採点方法
a.毛成長等級(投与エリア):
0=皮膚に色の変化がない。または、毛成長がない;
1=皮膚の色が均等に変化する:投与エリアはピンクから灰色/黒色に変わるが、毛成長はない;
2=短い毛がまばらに生える;
3=毛が密生する。周りの剃っていないエリアと同様。
【0239】
b.外周毛成長(投与エリアの毛成長ではなく、剃ったエリアの毛成長である)
0=皮膚に色の変化がない。または、毛成長がない;
1=皮膚の色は灰色/黒色に変わるが、毛成長はない;
2=外周エリアに毛がまばらに生える;
3=外周エリアに毛が密生する。
【0240】
c.フケ:
0=なし
1=わずか
2=甚だしい或いは脱皮
【0241】
d.紅斑:
0=なし(正常な皮膚)
1=わずか
2=甚だしい
【0242】
e.他の異常状況(被験物が投与エリアに沈着、乱雑な毛成長、など)
【0244】
(1)実験中マウスの状態
a.
図1(a)−(d)に示すように、投与して3週間後、非投与対照群と比べて、被験物(TMI−105795)におけるすべての用量群に顕著な発毛促進効果が示されたこと。溶剤対照群は顕著な毛成長が観察されなかった。
【0245】
b.
図1(a)−(d)に示すように、被験物の異なる用量ははっきりとした用量依存が現われた。発毛促進に対して、低用量の被験物より高用量のほうは効果が明らかに良いことが示された。
図18に示したように、投与中各マウスの毛成長採点結果から、非投与対照群は始終変化がないこと、ならびに、TDM−001−2(即ち、0.005%(w/v))濃度群は、TDM−001−3(即ち、0.01%(w/v))濃度群およびTDM−001−4(即ち、(0.05%(w/v))濃度群と比べて明らかな差があることが分かった。
【0246】
異なる濃度で投与されたマウスの実験群から、それぞれ毛成長のスピードが異なることが明らかである。その内、TDM−001−2のスピードはTDM−001−3とTDM−001−4より遥かに遅い。
【0247】
具体的な現象は:TDM−001−2のマウスは投与後12日、皮膚の色が黒くなる。16日後、毛が生え出て、そして継続して生える。
【0248】
TDM−001−3のマウスは投与後2日後、皮膚の色が黒くなる。6日後、毛が生え出て、そして継続して生える。
【0249】
TDM−001−4のマウスは投与後2日後、皮膚の色が黒くなる。8日後、毛が生え出て、そして継続して生える。
【0250】
以上のように、低濃度群マウスの毛成長のスピードおよび毛成長の水準は高濃度群より明らかに低いことが分かった。しかし、濃度が0.01%に達する場合、毛成長の過程には多少な相違があるものの、毛成長が一定の水準に達したら、成長状況および状態における相違の差がほとんどなくなった。
【0251】
c.
図17に示すように、各群のマウスの体重増加が遅いことから、被験化合物は動物の体重減少を起こさないことが示された。
【0252】
d.
図19と
図20に示すように、各群のマウスはフケも紅斑も現われなかった。
【0253】
(2)評価結果のまとめ
a.最低用量の被験化合物でも発毛促進にポジティブな効果を示した。
b.すべてのマウスはフケも紅斑も現われなかった。
【0254】
以上の状況を除いて、すべてのマウスは皮膚の色と症状は正常であった。
【0255】
五、本実施例の結論
被験物TMI−105795はC3Hマウスの毛成長を明らかに促進した。
【0256】
C3Hマウス背部の毛は時間的な毛周期が存在することが分かった。すなわち、背部の毛は、2.5〜3.5週齢と5〜14週齢が毛髪終期成長期(休止期)にあり、0〜2.0週齢と4.0〜4.5週齢が毛髪初期成長期にある。
【0257】
本実験は、被験物(TMI−105795)がC3Hマウスの毛成長に与える影響を調べた。経皮投与して3週間後、溶剤対照群と比べて、被験物(TMI−105795)の異なる用量はすべて発毛を促進する効果を示した。それに、被験物の3つの異なる用量は顕著な用量依存を示した。
【0258】
したがって、本実験の結果において、被験物(TMI−105795)は明らかに毛周期を変えることで発毛を促進する効果が示された。
【0259】
ここで、特に指摘すべきことは、他の実施例の化合物も似たような効果を示したので、ここには冗語を省く。
【0260】
B:甲状腺受容体TRβ興奮剤実験
一、具体的な実験方法:
1、細胞播種:
1)細胞播種の2時間前、96穴プレートに40マイクロ・リットルのポリ−D−リジンを入れ、室温でカバーする。
【0261】
2)ポリ−D−リジンを取り除く。96穴プレートの各穴にそれぞれ4*104個のHEK−293細胞を入れ、10%濃度のウシ胎児血清のDMEM培養基を使って、37℃の細胞育成箱で一晩育成する。
【0262】
2、共移入:
1)移入の2時間前、細胞の培養基を取り除き、各穴に100マイクロ・リットルの10%濃度の活性炭で処理したウシ胎児血清のDMEM培養基を入れ、37℃の育成箱で24時間孵化する。
【0263】
2)プラスミドDNA−XtremeGENEHP脂質複合物を調合する。
(1)導入試薬X−tremeGENEHPは使用する前、室温まで回温する。軽く渦巻きに混合する。
(2)無菌管瓶にOpti−MEMIマイナス血清培養基を入れる。
(3)各反応システムに50ナノグラムの甲状腺受容体(TRβ)プラスミドDNAと50ナノグラムの甲状腺ホルモン応答要素(TRE)プラスミドDNAを入れて、軽い振動で完全に混合させる。
(4)0.2マイクロ・リットルのトランスフェクション試薬X−tremeGENEHPを希釈のトランスフェクションDNA混合物に入れて、軽い振動で完全に混合させる。
(5)室温で20分間孵化してから、プラスミドDNA−XtremeGENEHP脂質複合物を形成する。
【0264】
3)96穴プレートの各穴に10マイクロ・リットルの複合物を入れ、培養基プレートを軽く揺らして、複合物を十分に分散させる。
【0265】
4)37℃の育成箱で24時間孵化する。
【0266】
3、刺激剤化合物の処理:
1)化合物の希釈液を調合する:10%濃度の活性炭で処理したウシ胎児血清のDMEM培養基(0.1%のジメチルスルホキシドを含む)を使って、被験の化合物を次第に半対数希釈を行って、被験化合物の最高濃度は10マイクロフリクションである。
【0267】
2)細胞の培養基を取り除き、調合した化合物の希釈液(ジメチルスルホキシドの最終濃度は1%)を入れる。
【0268】
3)ブランク対照にとして,10%濃度の活性炭で処理したウシ胎児血清のDMEM培養基(0.1%のジメチルスルホキシドを含む)を入れる。
【0269】
4)37℃の育成箱で24時間孵化する。
【0270】
4、ルシフェラーゼ報告遺伝子検知:
1)培養基を取り除き、各穴に40マイクロ・リットルのリン酸緩衝液を入れる。
【0271】
2)各穴に40マイクロ・リットルのBright−Glo試薬を入れ、30秒振動する。光を避けながら孵化する。
【0272】
3)各穴にある70マイクロ・リットルの細胞分解物を白色を呈するポリスチレン96穴プレートに入れる。
【0273】
4)EnVisionで蛍光信号を検査する。
【0274】
二、実験結果:(
図2−7に示すように)