特許第6444488号(P6444488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444488
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/10 20120101AFI20181217BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20181217BHJP
   B60K 6/543 20071001ALI20181217BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20181217BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20181217BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20181217BHJP
   F16H 9/18 20060101ALI20181217BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B60W10/10 900
   B60K6/48ZHV
   B60K6/543
   B60W10/18 900
   B60W10/02 900
   B60W20/00
   F16H9/18 B
   F16H61/02
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-503391(P2017-503391)
(86)(22)【出願日】2016年2月10日
(86)【国際出願番号】JP2016053907
(87)【国際公開番号】WO2016140027
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2015-43478(P2015-43478)
(32)【優先日】2015年3月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】宮石 広宣
(72)【発明者】
【氏名】水落 知幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明人
(72)【発明者】
【氏名】泉 徹也
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−231321(JP,A)
【文献】 特開2013−127288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00〜20/50
B60K 6/20〜 6/547
B60L 11/02〜11/14
F16H 9/00〜 9/26
F16H 59/00〜61/12
F16H 61/16〜61/24
F16H 61/66〜61/70
F16H 63/40〜63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動系に、エンジンと、モータと、ベルト式無段変速機と、前記エンジンと前記モータとを断接可能な第1クラッチと、前記モータと前記ベルト式無段変速機とを断接可能な第2クラッチと、を備え、
前記ベルト式無段変速機は、プライマリプーリとセカンダリプーリにベルトを掛け渡し、プライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧で前記ベルトをクランプするよう構成され、
駆動モードとして、前記エンジンと前記モータを駆動源とし、前記第1クラッチを締結又はスリップ状態かつ前記第2クラッチを締結状態とするHEVモードと、前記モータのみを駆動源とし、前記第1クラッチを開放状態かつ前記第2クラッチを締結状態とするEVモードと、を有するハイブリッド車両の制御装置において、
ブレーキ減速時、前記ベルト式無段変速機への入力トルク分と、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量とに基づいて、前記プライマリプーリ圧と前記セカンダリプーリ圧を決めるプーリ圧補正制御手段を設け、
前記プーリ圧補正制御手段は、前記EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、前記HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
記プーリ圧補正制御手段は、前記EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、前記モータと前記第2クラッチと前記プライマリプーリを合わせたイナーシャトルクに基づくEVイナーシャ量とし、
前記HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、前記EVモードの構成要素に前記エンジンと前記第1クラッチを加えたイナーシャトルクに基づくHEVイナーシャ量とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
駆動モードとして、前記HEVモードと前記EVモード以外に、前記第1クラッチを締結し前記第2クラッチをスリップ締結するWSCモードを加え、
前記プーリ圧補正制御手段は、前記WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、前記EVモードでのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記プーリ圧補正制御手段は、前記WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、前記第2クラッチと前記プライマリプーリを合わせたイナーシャトルクに基づくWSCイナーシャ量とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
制動系に、ブレーキ操作時、ブレーキ液圧コントロールにより制動輪の制動ロックを抑えるアンチロックブレーキ制御手段を設け、
前記プーリ圧補正制御手段は、ブレーキ減速中にアンチロックブレーキ制御が作動するABS作動時のブレーキトルク補正量を、駆動モードにかかわらずHEVイナーシャ量とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記プーリ圧補正制御手段は、プーリ圧補正制御の解除条件が成立すると、解除条件成立から規定時間だけブレーキトルク補正量を維持した後、ブレーキトルク補正量を下げるハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ減速時にイナーシャトルクによるブレーキトルク補正量だけプーリ圧を上げるプーリ圧補正制御が行われるハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルト式無段変速機の制御装置として、ブレーキ減速時にイナーシャトルクに起因したベルト滑りを防止することを目的とし、イナーシャトルクによる補正量だけプーリ圧を上げるプーリ圧補正制御を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来装置をハイブリッド車両に適用すると、EVモードでのブレーキ減速時であるかHEVモードでのブレーキ減速時であるかにかかわらず、同じ補正量によりプーリ圧を上げるプーリ圧補正が行われる。このため、HEVモードに比べてイナーシャトルクが小さいEVモードでのブレーキ減速時、補正後のセカンダリプーリ圧が必要以上に増大し、ベルトノイズを悪化させてしまう、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−107653号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、EVモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機でのベルトノイズの悪化を抑制するハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、駆動系に、エンジンと、モータと、ベルト式無段変速機と、エンジンとモータとを断接可能な第1クラッチと、モータとベルト式無段変速機とを断接可能な第2クラッチと、を備える。ベルト式無段変速機は、プライマリプーリとセカンダリプーリにベルトを掛け渡し、プライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧でベルトをクランプするように構成されている。駆動モードとして、エンジンとモータを駆動源とするHEVモードと、モータのみを駆動源とするEVモードと、を有する。HEVモードは、第1クラッチを締結又はスリップ状態かつ第2クラッチを締結状態とする。EVモードは、第1クラッチを開放状態かつ前記第2クラッチを締結状態とする。このハイブリッド車両の制御装置において、ブレーキ減速時、ベルト式無段変速機への入力トルク分と、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量とに基づいて、プライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧を決めるプーリ圧補正制御手段を設ける。プーリ圧補正制御手段は、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくする。
【0007】
よって、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくされる。即ち、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量を決めるときの考慮すべき駆動系の構成要素はEVモードとHEVモードで異なる。つまり、モータのみを駆動源とするEVモードの場合、エンジンはクラッチによりプライマリプーリから切り離されており、エンジンとモータを駆動源とするHEVモードに比べてイナーシャトルクが小さい。このため、エンジンとベルト式無段変速機が非直結であるEVモードでのブレーキトルク補正量を、HEVモードでのブレーキトルク補正量から切り分け、EVモードでのイナーシャトルクに合わせ、HEVモードの選択時より小さいブレーキトルク補正量に設定する。この結果、各モードでのイナーシャによるベルト滑りを防止しつつ、EVモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機でのベルトノイズの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両を示す全体システム図である。
図2】実施例1のCVTコントロールユニットにおいて実行されるブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】実施例1のFFハイブリッド車両においてイナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量を決めるときの考慮すべき駆動系の構成要素をWSCモード・EVモード・HEVモード・ABS作動中に分けて示す説明図である。
図4】実施例1のFFハイブリッド車両においてWSCモードが選択されているときのブレーキ・車速・エンジン回転数・差回転数・CL1状態・CL2状態・ブレーキトルク補正量の各特性を示すタイムチャートである。
図5】実施例1のFFハイブリッド車両においてEVモードが選択されているときのブレーキ・車速・エンジン回転数・差回転数・CL1状態・CL2状態・ブレーキトルク補正量の各特性を示すタイムチャートである。
図6】実施例1のFFハイブリッド車両においてHEVモードが選択されているときのブレーキ・車速・エンジン回転数・差回転数・CL1状態・CL2状態・ブレーキトルク補正量の各特性を示すタイムチャートである。
図7】実施例1のFFハイブリッド車両においてHEVモードからEVモードへモード遷移されるときのブレーキ・車速・エンジン回転数・差回転数・CL1状態・CL2状態・ブレーキトルク補正量の各特性を示すタイムチャートである。
図8】実施例1のFFハイブリッド車両において一定型ブレーキトルク補正パターン・下降型ブレーキトルク補正パターン・凹凸型ブレーキトルク補正パターンの各特性を示すタイムチャートである。
図9】実施例1のFFハイブリッド車両においてモード遷移を伴ってブレーキ操作からブレーキ解放に移行するときのブレーキSW・CL1制御状態・モータ回転数・エンジン回転数・ブレーキトルク補正量・セカンダリプーリ指示圧の各特性を示すタイムチャートである。
図10】EVモードが選択されたブレーキ減速時におけるベルトノイズ低減の対比効果を示す効果確認図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。実施例1における制御装置は、左右前輪を駆動輪とし、変速機としてベルト式無段変速機を搭載したFFハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「ブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理構成」に分けて説明する。
【0011】
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両の全体システムを示す。以下、図1に基づいて、FFハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
【0012】
FFハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、横置きエンジン2と、第1クラッチ3(略称「CL1」)と、モータジェネレータ4(略称「MG」)と、第2クラッチ5(略称「CL2」)と、ベルト式無段変速機6(略称「CVT」)と、を備えている。ベルト式無段変速機6の出力軸は、終減速ギヤトレイン7と差動ギヤ8と左右のドライブシャフト9R,9Lを介し、左右の前輪10R,10Lに駆動連結される。なお、左右の後輪11R,11Lは、従動輪としている。
【0013】
前記横置きエンジン2は、スタータモータ1と、クランク軸方向を車幅方向としてフロントルームに配置したエンジンであり、電動ウォータポンプ12と、横置きエンジン2の逆転を検知するクランク軸回転センサ13と、を有する。この横置きエンジン2は、始動方式として12Vバッテリ22を電源とするスタータモータ1によりクランキングする「スタータ始動モード」と、第1クラッチ3を滑り締結しながらモータジェネレータ4によりクランキングする「MG始動モード」と、を有する。「スタータ始動モード」は、低温時条件又は高温時条件の成立により選択され、「MG始動モード」は、スタータ始動以外の条件でのエンジン始動時に選択される。
【0014】
前記モータジェネレータ4は、第1クラッチ3を介して横置きエンジン2に連結された三相交流の永久磁石型同期モータである。このモータジェネレータ4は、後述する強電バッテリ21を電源とし、ステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換するインバータ26が、ACハーネス27を介して接続される。
【0015】
前記第2クラッチ5は、モータジェネレータ4と駆動輪である左右の前輪10R,10Lとの間に介装された油圧作動による湿式多板摩擦クラッチであり、第2クラッチ油圧により完全締結/スリップ締結/開放が制御される。実施例1における第2クラッチ5は、遊星ギヤによる前後進切替機構に設けられた前進クラッチ5aと後退ブレーキ5bを流用している。つまり、前進走行時には、前進クラッチ5aが第2クラッチ5とされ、後退走行時には、後退ブレーキ5bが第2クラッチ5とされる。
【0016】
前記ベルト式無段変速機6は、プライマリプーリ6aと、セカンダリプーリ6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cと、を有する。そして、プライマリ油室とセカンダリ油室へ供給されるプライマリ圧とセカンダリ圧により、ベルト6cの巻き付き径を変えることで無段階の変速比を得る変速機である。ベルト式無段変速機6には、油圧源として、モータジェネレータ4のモータ軸(=変速機入力軸)により回転駆動されるメインオイルポンプ14(メカ駆動)と、補助ポンプとして用いられるサブオイルポンプ15(モータ駆動)と、を有する。そして、油圧源からのポンプ吐出圧を調圧することで生成したライン圧PLを元圧とし、第1クラッチ圧と第2クラッチ圧、及び、プライマリ圧とセカンダリ圧を作り出すコントロールバルブユニット6dを備えている。
【0017】
前記第1クラッチ3とモータジェネレータ4と第2クラッチ5により、1モータ・2クラッチと呼ばれるハイブリッド駆動システムが構成され、主な駆動態様として、「EVモード」、「HEVモード」、「WSCモード」を有する。「EVモード」は、第1クラッチ3を開放し、第2クラッチ5を締結してモータジェネレータ4のみを駆動源に有する電気自動車モードであり、「EVモード」による走行を「EV走行」という。「HEVモード」は、両クラッチ3,5を締結して横置きエンジン2とモータジェネレータ4を駆動源に有するハイブリッド車モードであり、「HEVモード」による走行を「HEV走行」という。「WSCモード」は、「HEVモード」又は「EVモード」において、モータジェネレータ4をモータ回転数制御とし、第2クラッチ5を要求駆動力相当の締結トルク容量にてスリップ締結するCL2スリップ締結モードである。
【0018】
FFハイブリッド車両の制動系は、図1に示すように、ブレーキ操作ユニット16と、ブレーキ液圧制御ユニット17と、左右前輪ブレーキユニット18R,18Lと、左右後輪ブレーキユニット19R,19Lと、を備えている。この制動系では、ブレーキ操作時にモータジェネレータ4により回生を行うとき、ペダル操作に基づく要求制動力に対し、要求制動力から回生制動力を差し引いた分を、液圧制動力で分担する回生協調制御が行われる。
【0019】
前記ブレーキ操作ユニット16は、ブレーキペダル16a、横置きエンジン2の吸気負圧を用いる負圧ブースタ16b、マスタシリンダ16c、等を有する。この回生協調ブレーキユニット16は、ブレーキペダル16aへ加えられるドライバからのブレーキ踏力に応じ、所定のマスタシリンダ圧を発生するもので、電動ブースタを用いない簡易構成によるユニットとされる。
【0020】
前記ブレーキ液圧制御ユニット17は、図示していないが、電動オイルポンプ、増圧ソレノイドバルブ、減圧ソレノイドバルブ、油路切り替えバルブ、等を有して構成される。ブレーキコントロールユニット85によるブレーキ液圧制御ユニット17の制御により、ブレーキ非操作時にホイールシリンダ液圧を発生する機能と、ブレーキ操作時にホイールシリンダ液圧を調圧する機能と、を発揮する。ブレーキ非操作時の液圧発生機能を用いる制御が、トラクション制御(TCS制御)や車両挙動制御(VDC制御)やエマージェンシーブレーキ制御(自動ブレーキ制御)、等である。ブレーキ操作時の液圧調整機能を用いる制御が、回生協調ブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御(ABS制御)、等である。
【0021】
前記左右前輪ブレーキユニット18R,18Lは、左右前輪10R,10Lのそれぞれに設けられ、左右後輪ブレーキユニット19R,19Lは、左右後輪11R,11Lのそれぞれに設けられ、各輪に液圧制動力を付与する。これらのブレーキユニット18R,18L,19R,19Lには、ブレーキ液圧制御ユニット17で作り出されたブレーキ液圧が供給される図外のホイールシリンダを有する。
【0022】
FFハイブリッド車両の電源系は、図1に示すように、モータジェネレータ4の電源としての強電バッテリ21と、12V系負荷の電源としての12Vバッテリ22と、を備えている。
【0023】
前記強電バッテリ21は、モータジェネレータ4の電源として搭載された二次電池であり、例えば、多数のセルにより構成したセルモジュールを、バッテリパックケース内に設定したリチウムイオンバッテリが用いられる。この強電バッテリ21には、強電の供給/遮断/分配を行うリレー回路を集約させたジャンクションボックスが内蔵され、さらに、バッテリ冷却機能を持つ冷却ファンユニット24と、バッテリ充電容量(バッテリSOC)やバッテリ温度を監視するリチウムバッテリコントローラ86と、が付設される。
【0024】
前記強電バッテリ21とモータジェネレータ4は、DCハーネス25とインバータ26とACハーネス27を介して接続される。インバータ26には、力行/回生制御を行うモータコントローラ83が付設される。つまり、インバータ26は、強電バッテリ21の放電によりモータジェネレータ4を駆動する力行時、DCハーネス25からの直流をACハーネス27への三相交流に変換する。また、モータジェネレータ4での発電により強電バッテリ21を充電する回生時、ACハーネス27からの三相交流をDCハーネス25への直流に変換する。
【0025】
前記12Vバッテリ22は、スタータモータ1及び補機類である12V系負荷の電源として搭載された二次電池であり、例えば、エンジン車等に搭載されている鉛バッテリが用いられる。強電バッテリ21と12Vバッテリ22は、DC分岐ハーネス25aとDC/DCコンバータ37とバッテリハーネス38を介して接続される。DC/DCコンバータ37は、強電バッテリ21からの数百ボルト電圧を12Vに変換するものであり、このDC/DCコンバータ37を、ハイブリッドコントロールモジュール81により制御することで、12Vバッテリ22の充電量を管理する構成としている。
【0026】
FFハイブリッド車両の電子制御系は、図1に示すように、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する統合制御機能を担う電子制御ユニットとして、ハイブリッドコントロールモジュール81(略称:「HCM」)を備えている。他の電子制御ユニットとして、エンジンコントロールモジュール82(略称:「ECM」)と、モータコントローラ83(略称:「MC」)と、CVTコントロールユニット84(略称:「CVTCU」)と、を有する。さらに、ブレーキコントロールユニット85(略称:「BCU」)と、リチウムバッテリコントローラ86(略称:「LBC」)と、を有する。これらの電子制御ユニット81,82,83,84,85,86は、CAN通信線90(CANは「Controller Area Network」の略称)により双方向情報交換可能に接続され、互いに情報を共有する。
【0027】
前記ハイブリッドコントロールモジュール81は、他の電子制御ユニット82,83,84,85,86、イグニッションスイッチ91等からの入力情報に基づき、様々な統合制御を行う。
【0028】
前記エンジンコントロールモジュール82は、ハイブリッドコントロールモジュール81、エンジン回転数センサ92等からの入力情報に基づき、横置きエンジン2の始動制御や燃料噴射制御や点火制御や燃料カット制御、エンジンアイドル回転制御、等を行う。
【0029】
前記モータコントローラ83は、ハイブリッドコントロールモジュール81、モータ回転数センサ93等からの入力情報に基づき、インバータ26に対する制御指令によりモータジェネレータ4の力行制御や回生制御、モータクリープ制御、モータアイドル制御、等を行う。
【0030】
前記CVTコントロールユニット84は、ハイブリッドコントロールモジュール81、アクセル開度センサ94、車速センサ95、インヒビタースイッチ96、ATF油温センサ97等からの入力情報に基づき、コントロールバルブユニット6dへ制御指令を出力する。このCVTコントロールユニット84では、第1クラッチ3の締結油圧制御、第2クラッチ5の締結油圧制御、ベルト式無段変速機6のプライマリ圧とセカンダリ圧による変速油圧制御、等を行う。
【0031】
前記ブレーキコントロールユニット85は、ハイブリッドコントロールモジュール81、ブレーキスイッチ98、ブレーキストロークセンサ99等からの入力情報に基づき、ブレーキ液圧制御ユニット17へ制御指令を出力する。このブレーキコントロールユニット85では、TCS制御、VDC制御、自動ブレーキ制御、回生協調ブレーキ制御、ABS制御、等を行う。
【0032】
前記リチウムバッテリコントローラ86は、バッテリ電圧センサ100、バッテリ温度センサ101等からの入力情報に基づき、強電バッテリ21のバッテリSOCやバッテリ温度等を管理する。
【0033】
[ブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理構成]
図2は、実施例1のCVTコントロールユニット84にて実行されるブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理の流れを示す(プーリ圧補正制御手段)。以下、ブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理構成をあらわす図2の各ステップについて説明する。
【0034】
ステップS1では、ブレーキ操作が有るか否かを判断する。YES(ブレーキ操作有り)の場合はステップS2へ進み、NO(ブレーキ操作無し)の場合はステップS3へ進む。ここで、「ブレーキ操作の有無」は、ブレーキスイッチ98からのスイッチ信号がONであるときにブレーキ操作有りと判断し、スイッチ信号がOFFであるときにブレーキ操作無しと判断する。
【0035】
ステップS2では、ステップS1でのブレーキ操作有りとの判断に続き、インヒビタースイッチ96からのレンジ信号が、走行レンジであるDレンジ又はRレンジであるか否かを判断する。YES(Dレンジ又はRレンジ)の場合はステップS4へ進み、NO(D,Rレンジ以外)の場合はステップS3へ進む。
【0036】
ステップS3では、ステップS1でのブレーキ操作無しとの判断、或いは、ステップS2でのD,Rレンジ以外であるとの判断に続き、ブレーキトルク補正量を算出することなく、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値を決め、終了へ進む。ここで、「補正無し」の場合、アクセル開度APO等によりベルト式無段変速機6への入力トルクを推定し、推定された入力トルクに対しベルト滑りを抑えるプーリクランプ力を求める。そして、プーリクランプ力を得るプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値(入力トルク分のみ)を決める。なお、変速比の変更がある変速過渡期においては、変速比を保つときのプーリ圧指示値に対し、変速の進行を促す変速補正が加えられる。
【0037】
ステップS4では、ステップS2でのレンジ信号がDレンジ又はRレンジであるとの判断、或いは、ステップS11での解除条件不成立であるとの判断に続き、ABS作動中であるか否かを判断する。YES(ABS作動中)の場合はステップS5へ進み、NO(ABS非作動)の場合はステップS6へ進む。ここで、「ABS作動中であるか否かの判断」は、ブレーキコントロールユニット85からもたらされるABS作動フラグが、ABS作動フラグ=1のときABS作動中と判断し、ABS作動フラグ=0のときABS非作動と判断する。
【0038】
ステップS5では、ステップS4でのABS作動中であるとの判断に続き、HEVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量を算出し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値を決め、ステップS11へ進む。ここで、ABS作動中のイナーシャ量は、図3(ABS on)に示すように、横置きエンジン2と第1クラッチ3とモータジェネレータ4とメインオイルポンプ14と第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づくイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるHEVイナーシャ量を加え、合計トルクが入力されてもプーリ6a、6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cとの間で滑りが生じないトルク容量を達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。なお、DレンジとRレンジでは、変速比の違いによりABS作動中のブレーキトルク補正量が異なる。
【0039】
ステップS6では、ステップS5でのABS非作動であるとの判断に続き、WSCモードの選択状態であるか否かを判断する。YES(WSCモード状態)の場合はステップS7へ進み、NO(WSCモード以外の状態)の場合はステップS8へ進む。ここで、「WSCモード状態」は、第2クラッチ5(CL2)の締結容量が要求駆動力相当であり、第2クラッチ5(CL2)がスリップ締結状態であるとの判定により行う。
【0040】
ステップS7では、ステップS6でのWSCモード状態であるとの判断に続き、WSCイナーシャ量によるブレーキトルク補正量を算出し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値を決め、ステップS11へ進む。ここで、WSCイナーシャ量は、図3(WSC)に示すように、第2クラッチ5とベルト式無段変速機6のプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づく補正量が小のイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるWSCイナーシャ量を加え、合計トルクが入力されてもプーリ6a、6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cとの間で滑りが生じないトルク容量を達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。なお、DレンジとRレンジでは、変速比の違いによりWSCイナーシャ量が異なる。
【0041】
ステップS8では、ステップS6でのWSCモード以外の状態であるとの判断に続き、EVモードの選択状態であるか否かを判断する。YES(EVモード状態)の場合はステップS9へ進み、NO(HEVモード)の場合はステップS10へ進む。ここで、「EVモード状態」は、第1クラッチ3(CL1)が開放状態で、かつ、第2クラッチ5(CL2)が締結状態であるとの判定により行う。
【0042】
ステップS9では、ステップS8でのEVモード状態であるとの判断に続き、EVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量を算出し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値を決め、ステップS11へ進む。ここで、EVイナーシャ量は、図3(EV)に示すように、モータジェネレータ4とメインオイルポンプ14と第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づく補正量が中のイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるEVイナーシャ量を加え、合計トルクが入力されてもプーリ6a、6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cとの間で滑りが生じないトルク容量を達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。なお、DレンジとRレンジでは、変速比の違いによりEVイナーシャ量が異なる。
【0043】
ステップS10では、ステップS8でのHEVモード状態であるとの判断に続き、HEVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量を算出し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値を決め、ステップS11へ進む。ここで、HEVイナーシャ量は、図3(HEV)に示すように、横置きエンジン2と第1クラッチ3とモータジェネレータ4とメインオイルポンプ14と第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づく補正量が大のイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるHEVイナーシャ量を加え、合計トルクが入力されてもプーリ6a、6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cとの間で滑りが生じないトルク容量を達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。なお、DレンジとRレンジでは、変速比の違いによりHEVイナーシャ量が異なる。また、WSCイナーシャ量とEVイナーシャ量とHEVイナーシャ量の大きさ関係は、WSCイナーシャ量<EVイナーシャ量<HEVイナーシャ量という関係にある。
【0044】
ステップS11では、ステップS5,ステップS7,ステップS9,ステップS10の何れかでの補正に続き、プーリ圧補正制御の解除条件が成立しているか否かを判断する。YES(解除条件成立)の場合はステップS12へ進み、NO(解除条件不成立)の場合はステップS4へ戻る。ここで、「プーリ圧補正制御の解除条件」としては、ブレーキOFF操作条件、又は、車速VSPが停車判定車速以下になったという車速条件が成立したときとする。
【0045】
ステップS12では、ステップS11での解除条件の成立であるとの判断に続き、解除条件成立から規定時間だけブレーキトルク補正量を維持した後、ブレーキトルク補正量を下げてゼロにし、終了へ進む。ここで、「規定時間」としては、補正延長時間としての適正時間を予めタイマー時間、等により決める。
【0046】
次に、作用を説明する。実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置における作用を、「ブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理作用」、「ブレーキ減速時を含むプーリ圧補正制御作用」、「プーリ圧補正制御の特徴作用」に分けて説明する。
【0047】
[ブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理作用]
図4はWSCモード選択時、図5はEVモード選択時、図6はHEVモード選択時、図7はHEVモードからEVモードへモード遷移時を示すタイムチャートである。図8は一定型ブレーキトルク補正パターン・下降型ブレーキトルク補正パターン・凹凸型ブレーキトルク補正パターンの各特性を示す。以下、図2及び図4図8に基づき、ブレーキトルク補正パターンを含みブレーキ減速時のプーリ圧補正制御処理作用を説明する。
【0048】
まず、ブレーキ非操作時は、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→終了へと進む。又、ブレーキ操作時であるがD,Rレンジ以外のレンジ位置選択時は、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→終了へと進み、何れの場合もプーリ圧補正が行われない。
【0049】
ブレーキ操作時、レンジ信号がDレンジ又はRレンジであり、かつ、ABS作動中であるときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS11へと進む。ステップS5では、HEVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出され、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。即ち、ABS作動中は、ブレーキトルク補正量が大のHEVイナーシャ量とされる(図6を参照)。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるHEVイナーシャ量を加え、合計トルクを達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。
【0050】
ブレーキ操作時、レンジ信号がDレンジ又はRレンジであり、かつ、WSCモード状態であるときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS6→ステップS7→ステップS11へと進む。ステップS7では、WSCイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出され、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。即ち、WSCモード選択時には、図4に示すように、ブレーキトルク補正量が小のWSCイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるWSCイナーシャ量を加え、合計トルクを達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。
【0051】
ここで、図4の時刻t1はプーリ圧補正制御の開始条件成立時刻である。図4の時刻t2は車速条件(車速≦停車判定車速)によるプーリ圧補正制御の解除条件成立時刻である。図4の時刻t3はブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻である。なお、WSCモードの選択時には、エンジン回転数は閾値以下による停止状態であり、CL2差回転数は閾値以上によるスリップ締結状態であり、第1クラッチCL1は開放又はスタンバイ状態である。
【0052】
ブレーキ操作時、レンジ信号がDレンジ又はRレンジであり、かつ、EVモード状態であるときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS6→ステップS8→ステップS9→ステップS11へと進む。ステップS9では、EVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出され、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。即ち、EVモード選択時には、図5に示すように、ブレーキトルク補正量が中のEVイナーシャ量とされ、ブレーキトルク補正量が大の比較例(破線特性)に比べて下げられる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるEVイナーシャ量を加え、合計トルクを達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。
【0053】
ここで、図5の時刻t1はプーリ圧補正制御の開始条件成立時刻である。図5の時刻t2はブレーキ操作条件(ブレーキON→OFF)によるプーリ圧補正制御の解除条件成立時刻である。図5の時刻t3はブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻である。なお、EVモードの選択時には、エンジン回転数は閾値以下による停止状態であり、CL2差回転数は閾値以下によるCL2締結状態であり、第1クラッチCL1は開放又はスタンバイ状態である。
【0054】
ブレーキ操作時、レンジ信号がDレンジ又はRレンジであり、かつ、HEVモード状態であるときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS6→ステップS8→ステップS10→ステップS11へと進む。ステップS10では、HEVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出され、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。即ち、HEVモード選択時には、図6に示すように、ブレーキトルク補正量が大のHEVイナーシャ量とされる。そして、液圧トルクや回生トルク等によるベルト式無段変速機6への入力トルク分に、イナーシャトルク補正分であるHEVイナーシャ量を加え、合計トルクを達成するプライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecのプーリ圧指示値が決められる。
【0055】
ここで、図6の時刻t1はプーリ圧補正制御の開始条件成立時刻である。図6の時刻t2はブレーキ操作条件(ブレーキON→OFF)によるプーリ圧補正制御の解除条件成立時刻である。図6の時刻t3はブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻である。なお、HEVモードの選択時には、エンジン回転数は閾値以上による運転状態であり、CL2差回転数は閾値以下によるCL2締結状態であり、第1クラッチCL1は締結(LU ON)又はスリップ状態である。
【0056】
レンジ信号がDレンジ又はRレンジであるブレーキ操作中、駆動モードがHEVモードからEVモードへとモード遷移するときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS6→ステップS8→ステップS10→ステップS11へと進む。その後、ステップS11からステップS4→ステップS6→ステップS8→ステップS9→ステップS11へと進む。ステップS10では、HEVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出され、ステップS9では、EVイナーシャ量によるブレーキトルク補正量が算出される。即ち、HEVモードが選択されている時刻t1〜時刻t2までは、図7に示すように、ブレーキトルク補正量が大のHEVイナーシャ量とされ、EVモードが選択されている時刻t2〜時刻t3までは、図7に示すように、ブレーキトルク補正量が中のEVイナーシャ量とされ、ブレーキトルク補正量が大の比較例(破線特性)に比べて下げられる。
【0057】
ここで、図7の時刻t1はプーリ圧補正制御の開始条件成立時刻である。図7の時刻t2はエンジン回転数条件により決められたモード遷移時刻である。図7の時刻t3はブレーキ操作条件(ブレーキON→OFF)によるプーリ圧補正制御の解除条件成立時刻である。図7の時刻t4はブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻である。なお、エンジン回転数が閾値以上の間をHEVモード区間と判定し、エンジン回転数が閾値未満になるとEVモード区間と判定する。CL2差回転数は閾値以下によるCL2締結状態であり、第1クラッチCL1は締結(LU ON)又はスリップ状態から開放又はスタンバイ状態へと移行する。
【0058】
ブレーキトルク補正パターンとしては、図8に示すように、一定型ブレーキトルク補正パターンと、下降型ブレーキトルク補正パターンと、凹凸型ブレーキトルク補正パターンと、を有する。
【0059】
一定型ブレーキトルク補正パターンは、プーリ圧補正制御の開始条件成立時刻t1から解除条件成立時刻t4を経過し、ブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻t5に至るまでブレーキトルク補正量を一定値で与えるパターンであり、図4図6がこれに相当する。この一定型ブレーキトルク補正パターンは、プーリ圧補正制御中に第1クラッチCL1と第2クラッチCL2の切り替え無し、又は、第2クラッチCL2が常にOFFのとき選択される。そして、油圧応答遅れでベルト6cが滑らないように、ブレーキON開始時からブレーキトルク補正量を足している。
【0060】
下降型ブレーキトルク補正パターンは、プーリ圧補正制御の開始条件成立時刻t1から時刻t2まではブレーキトルク補正量を大で与え、時刻t2からゼロ低下時刻t5に至るまではブレーキトルク補正量を中で与えるパターンであり、図7がこれに相当する。この下降型ブレーキトルク補正パターンは、プーリ圧補正制御中に第1クラッチCL1又は第2クラッチCL2がOFFに切り替わるときに選択される。補正量が減少するモードでは、差回転数の大きさによる誤判定を防ぎ、確実にクラッチが外れている状況で切り替える。又、補正量が下がるとプーリ油圧も下がるが、プーリ油圧が下がるときには減少率制限があるため、アンダーシュートによるベルト6cの滑りはない。
【0061】
凹凸型ブレーキトルク補正パターンは、例えば、プーリ圧補正制御の開始条件成立時刻t1から時刻t2まではブレーキトルク補正量を中で与え、時刻t2から時刻t3まではブレーキトルク補正量を小で与え、時刻t3から時刻t5まではブレーキトルク補正量を大で与えるパターンである。この凹凸型ブレーキトルク補正パターンは、プーリ圧補正制御中に第1クラッチCL1がOFFで第2クラッチCL2がONから第2クラッチCL2がスリップ締結状態になり、さらに、第1クラッチCL1に締結後に第2クラッチCL2がONに切り替わるときに選択される。矢印Aで示す補正量が減少時の影響は下降型と同じで問題なし。矢印Bで示す補正量が増加時は、油圧応答遅れを考慮し、クラッチ締結開始の判定直後から補正量を上げる。
【0062】
[ブレーキ減速時を含むプーリ圧補正制御作用]
図9は、モード遷移を伴ってブレーキ操作からブレーキ解放に移行するときのタイムチャートを示す。以下、図9に基づき、ブレーキ減速時を含むプーリ圧補正制御作用を説明する。図9において、時刻t1はプーリ圧補正制御の開始条件成立時刻である。時刻t2はブレーキトルク補正量の低下時刻である。時刻t3はブレーキトルク補正量の上昇時刻である。時刻t4はプーリ圧補正制御の解除条件成立時刻である。時刻t5はブレーキトルク補正量のゼロ低下時刻である。時刻t6はHEVモードからEVモードへのモード遷移時刻である。時刻t7はEVモードからHEVモードへのモード遷移時刻である。
【0063】
HEVモードが選択されている時刻t1にてブレーキOFF→ON操作すると、HEVモードが維持されている時刻t2まで第1クラッチCL1は締結状態が維持され、ブレーキトルク補正量として補正量大のHEVイナーシャ量とされる。そして、時刻t2にてEVモードにモード遷移されると、時刻t2〜時刻t3までは第1クラッチCL1が解放状態となり、ブレーキトルク補正量として補正量中のEVイナーシャ量とされる。これに伴い、プーリ指示圧も、時刻t2〜時刻t3の間は、ブレーキトルク補正量として補正量大を与える比較例(破線特性)に比べて下げられる。そして、時刻t3にてHEVモードにモード遷移され、第1クラッチCL1が締結状態となり、時刻t4にてブレーキON→OFF操作すると、時刻t3〜時刻t5まではブレーキトルク補正量として補正量大のHEVイナーシャ量とされる。
【0064】
時刻t5以降は、時刻t6にてHEVモードからEVモードへモード遷移され、第1クラッチCL1が解放状態となり、さらに、時刻t7にてEVモードからHEVモードへモード遷移され、第1クラッチCL1が解放状態となる。しかし、時刻t5以降は、ブレーキOFF状態であり、ブレーキトルク補正条件であるブレーキON条件が不成立であるため、ブレーキトルク補正及びプーリ指示圧補正は行われない。
【0065】
[モータアイドル制御の特徴作用]
実施例1では、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくする構成とした。即ち、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量を決めるときの考慮すべき駆動系の構成要素はEVモードとHEVモードで異なる。つまり、モータジェネレータ4のみを駆動源とするEVモードの場合、横置きエンジン2とモータジェネレータ4を駆動源とするHEVモードに比べてイナーシャトルクが小さい。このため、横置きエンジン2とベルト式無段変速機6が非直結であるEVモードでのブレーキトルク補正量を、HEVモードでのブレーキトルク補正量から切り分け、EVモードでのイナーシャトルクに合わせ、HEVモードの選択時より小さいブレーキトルク補正量に設定する。この結果、EVモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機6でのベルトノイズの悪化が抑制される。この効果については、EVモード(周波数2.5kHz)のとき、HEVイナーシャ量によるセカンダリプーリ圧を与えた比較例と、EVイナーシャ量によるセカンダリプーリ圧を与えた実施例1との比較による確認試験を行った。この確認試験の結果、図10に示すように、比較例での音響パワーがC点であったのに対し、実施例1での音響パワーはD点まで低下したものとなり、ベルトノイズの低減目標値をクリアするという結果が得られ、ベルトノイズの悪化抑制効果の高さが確認された。EVモードでは、エンジンが停止状態になるため、HEVモードでエンジンが駆動している状態に比べ、ベルトノイズが運転者に与える影響が大きくなるが、EVモードでのベルトノイズが低減されることで、エンジンが停止していても運転者へ与えるベルトノイズの影響を低減することができる。なお、ノイズ発生の明確なメカニズム解析はなされていないが、ベルト6cのエレメントがセカンダリプーリ6bのシーブ面に噛み込まれるときに音が発生し、そのときの噛み込み力(プーリ推力)が大きいほど音が大きくなるという現象は確認されている。
【0066】
実施例1では、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、モータジェネレータ4と第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づくEVイナーシャ量とする。HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、EVモードの構成要素に横置きエンジン2と第1クラッチ3を加えたイナーシャトルクに基づくHEVイナーシャ量とする構成とした。即ち、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量を決めるときの考慮すべき駆動系の構成要素が、EVモードとHEVモードで的確に切り分けられる。従って、ブレーキトルク補正量としてのEVイナーシャ量とHEVイナーシャ量が精度良く得られる。
【0067】
実施例1では、WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、EVモードでのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくする構成とした。即ち、WSCモードでは、第2クラッチ5がスリップ締結される。よって、駆動系のうち第2クラッチ5より上流側の構成要素は、イナーシャトルク補正分として考慮すべき構成要素から除外される。従って、WSCモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機6でのベルトノイズの悪化が抑制される。
【0068】
実施例1では、WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づくWSCイナーシャ量とする構成とした。即ち、WSCイナーシャ量で考慮する駆動系の構成要素として、第2クラッチ5より上流側の構成要素を除外し、第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを選択した。従って、WSCモードが選択されているとき、精度の良いWSCイナーシャ量が得られる。また、WSCモードが選択されているときは、第2クラッチ5の伝達容量トルク分をWSCイナーシャ量に加える構成としてもよい。これにより第2クラッチ5を介してイナーシャトルクが入力されたとしてもベルトスリップを防止しつつ、ベルトノイズの悪化を抑制することができる。
【0069】
実施例1では、ブレーキ減速中にABS制御が作動するABS作動時のブレーキトルク補正量を、駆動モードにかかわらずHEVイナーシャ量とする構成とした。即ち、ABS制御は、急制動時等においてブレーキ液圧の減圧・保持・増圧を繰り返すことで実施される。このABS制御中にベルト式無段変速機6においてベルト滑りが生じると、制動力抜けにより制動ロックを抑えるABS制御機能が損なわれる。よって、ABS作動時には、ベルト式無段変速機6への入力トルク変動が大きくても確実にベルト滑りを抑える必要がある。従って、ABS作動時、補正量が大きなHEVイナーシャ量とすることで、制動ロックを抑えるABS制御機能が確保される。また、ABS作動時は、前後輪10R,10L、11R,11Lが回転している状態と回転していない状態を短周期で繰り返すことになるので、車両としての振動が大きく、ベルトノイズは問題とならない。
【0070】
実施例1では、プーリ圧補正制御の解除条件が成立すると、解除条件成立から規定時間だけブレーキトルク補正量を維持した後、ブレーキトルク補正量を下げる構成とした。例えば、解除条件成立すると直ちにブレーキトルク補正量を下げた場合、ブレーキOFF操作直後に再踏み込みによるブレーキON操作があったとき、油圧の抜け応答より入り応答が遅れることで、プーリ油圧の落ち込みがある。これに対し、プーリ圧補正制御の解除条件が成立したとき、解除条件成立から規定時間だけブレーキトルク補正量を維持することで、ブレーキOFF操作直後に再踏み込みによるブレーキON操作があったときにプーリ油圧の落ち込みが防止される。
【0071】
次に、効果を説明する。実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0072】
(1) 駆動系に、エンジン(横置きエンジン2)と、モータ(モータジェネレータ4)と、ベルト式無段変速機6と、を備え、ベルト式無段変速機6は、プライマリプーリ6aとセカンダリプーリ6bにベルト6cを掛け渡し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecでベルト6cをクランプするよう構成されて、駆動モードとして、エンジン(横置きエンジン2)とモータ(モータジェネレータ4)を駆動源とするHEVモードと、モータ(モータジェネレータ4)のみを駆動源とするEVモードと、を有するハイブリッド車両(FFハイブリッド車両)の制御装置において、ブレーキ減速時、ベルト式無段変速機6への入力トルク分と、イナーシャトルク補正分であるブレーキトルク補正量とに基づいて、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecを決めるプーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84)を設け、プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくする。このため、EVモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機6でのベルトノイズの悪化を抑制することができる。
【0073】
(2) 駆動系に、更にエンジン(横置きエンジン2)とモータ(モータジェネレータ4)とを断接可能な第1クラッチ3と、モータ(モータジェネレータ4)とベルト式無段変速機6とを断接可能な第2クラッチ5と、を備え、プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、EVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、モータ(モータジェネレータ4)と第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づくEVイナーシャ量とし、HEVモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、EVモードの構成要素にエンジン(横置きエンジン2)と第1クラッチ3を加えたイナーシャトルクに基づくHEVイナーシャ量とする。このため、(1)の効果に加え、ブレーキトルク補正量としてのEVイナーシャ量とHEVイナーシャ量を精度良く得ることができる。
【0074】
(3) 駆動モードとして、HEVモードとEVモード以外に、第1クラッチ3を締結し第2クラッチ5をスリップ締結するWSCモードを加え、プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、EVモードでのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量より小さくする。このため、(2)の効果に加え、WSCモードでのブレーキ減速時、ベルト式無段変速機6でのベルトノイズの悪化を抑制することができる。
【0075】
(4) プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、WSCモードが選択されているときのブレーキ減速時のブレーキトルク補正量を、第2クラッチ5とプライマリプーリ6aを合わせたイナーシャトルクに基づくWSCイナーシャ量とする。このため、(3)の効果に加え、WSCモードが選択されているとき、精度の良いWSCイナーシャ量を得ることができる。
【0076】
(5) 制動系に、ブレーキ操作時、ブレーキ液圧コントロールにより制動輪の制動ロックを抑えるアンチロックブレーキ制御手段(ブレーキコントロールユニット85)を設け、プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、ブレーキ減速中にアンチロックブレーキ制御(ABS制御)が作動するABS作動時のブレーキトルク補正量を、駆動モードにかかわらずHEVイナーシャ量とする。このため、(1)〜(4)の効果に加え、ABS作動時、補正量が大きなHEVイナーシャ量とすることで、制動ロックを抑えるABS制御機能を確保することができる。
【0077】
(6) プーリ圧補正制御手段(CVTコントロールユニット84、図2)は、プーリ圧補正制御の解除条件が成立すると、解除条件成立から規定時間だけブレーキトルク補正量を維持した後、ブレーキトルク補正量を下げる。このため、(1)〜(5)の効果に加え、プーリ圧補正制御の解除条件が成立した直後に再踏み込みによるブレーキON操作があったとき、プーリ油圧の落ち込みを防止することができる。
【0078】
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0079】
実施例1では、ハイブリッド駆動系として、横置きエンジン2とモータジェネレータ4との間に第1クラッチ3を介装し、第1クラッチ3の締結/開放によりEVモードとHEVモードを切り替える例を示した。しかし、ハイブリッド駆動系としては、プラネタリギアセットを用いた動力分割機構等によりEVモードとHEVモードを切り替える例であっても良い。
【0080】
実施例1では、本発明の制御装置を、FFハイブリッド車両に適用する例を示した。しかし、本発明の制御装置は、FRハイブリッド車両や4WDハイブリッド車両等に対しても適用することができる。要するに、駆動系に、エンジンと、モータと、ベルト式無段変速機と、を備え、駆動モードとして、HEVモードとEVモードを有するハイブリッド車両に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10