(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444493
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】プリント基板に導電性の圧入ピンをはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/00 20060101AFI20181217BHJP
H01R 12/58 20110101ALI20181217BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H01R12/58
H05K3/32 Z
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-513194(P2017-513194)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-530520(P2017-530520A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015063799
(87)【国際公開番号】WO2016037716
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】102014217927.0
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オットー
(72)【発明者】
【氏名】シンシア ハルム
【審査官】
山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0195271(US,A1)
【文献】
特開平01−300599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 − 12/91
H01R 43/027 − 43/28
H01R 4/02
H01R 43/00
H05K 3/32 − 3/34
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板(100)に導電性の圧入ピン(210)をはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法であって、
プリント基板(100)を実質的に垂直に貫通する、圧入コンタクト用の少なくとも1つのコンタクト開口部(130)を有するプリント基板(100)を用意するステップと、
少なくとも1つの導電性の圧入ピン(210)を有する少なくとも1つの圧入素子(200)を用意するステップと、
力及び超音波エネルギを印加するソノトロード(500)を用意するステップと、
を有する方法において、
前記少なくとも1つの圧入素子(200)を、圧入ステップの間、前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記少なくとも1つの圧入ピン(210)と共に固定し、
前記圧入ステップでは、前記ソノトロード(500)によって前記プリント基板(100)に力(F)及び超音波エネルギ(I)を直接加えることで、前記ソノトロード(500)によって直接加えられない、前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記少なくとも1つの圧入ピン(210)の上に、前記プリント基板(100)の、前記少なくとも1つのコンタクト開口部(130)の位置が押し付けられるようにし、
前記プリント基板(100)は、前記圧入ステップの前に既に素子(150)が実装されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの圧入素子(200)を、前記圧入ステップの間、前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記少なくとも1つの圧入ピン(210)と共に、位置を固定するように保持する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プリント基板(100)への素子の実装は、前記少なくとも1つの圧入素子(200)を実装するための前記圧入ステップを除いて完全に終了している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ソノトロード(500)の、前記プリント基板(100)に面した側(502)は、前記プリント基板(100)の、前記ソノトロード(500)に面した側(104)の、素子(150)が実装されている場所に前記圧入ステップのときに対向することとなる位置に、凹部を有する、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記プリント基板(100)は、前記少なくとも1つの圧入素子(200)に面した第1側(102)と、前記第1側の反対側にある第2側(104)とを有し、
前記ソノトロード(500)は、前記圧入ステップのときに前記第2側(104)の上に被せられる、
請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ソノトロード(500)は、前記第2側(104)の面積の少なくとも75%を覆う、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
プリント基板(100)に導電性の圧入ピン(210)をはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法であって、
プリント基板(100)を実質的に垂直に貫通する、圧入コンタクト用の少なくとも1つのコンタクト開口部(130)を有するプリント基板(100)を用意するステップと、
少なくとも1つの導電性の圧入ピン(210)を有する少なくとも1つの圧入素子(200)を用意するステップと、
力及び超音波エネルギを印加するソノトロード(500)を用意するステップと、
を有する方法において、
前記少なくとも1つの圧入素子(200)を、圧入ステップの間、前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記少なくとも1つの圧入ピン(210)と共に固定し、
前記圧入ステップでは、前記ソノトロード(500)によって前記プリント基板(100)に力(F)及び超音波エネルギ(I)を直接加えることで、前記ソノトロード(500)によって直接加えられない、前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記少なくとも1つの圧入ピン(210)の上に、前記プリント基板(100)の、前記少なくとも1つのコンタクト開口部(130)の位置が押し付けられるようにし、
前記ソノトロード(500)は、前記プリント基板(100)を、前記圧入ステップの間、前記少なくとも1つのコンタクト開口部(130)の延在方向に沿って距離Sにわたって前記少なくとも1つの圧入ピン(210)の上に押し付けて、前記プリント基板(100)を前記少なくとも1つの圧入ピン(210)に形状結合又は力結合によって結合し、
前記ソノトロード(500)に、前記圧入ステップの間、前記距離Sに沿って第1力(F1)及び第1超音波エネルギ(I1)を印加し、
前記距離Sの達成後、前記ソノトロード(500)は、前記プリント基板(100)に前記第1力(F1)に比べて小さい第2力(F2)を加え、且つ第2超音波エネルギ(I2)を加えて、前記プリント基板(100)と前記少なくとも1つの圧入ピン(210)との間における形状結合又は力結合による結合を、材料結合による成分によってさらに補う、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第2力(F2)は、前記第1力(F1)の最大10%である、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも大きい、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも少なくとも25%だけ大きい、
請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも小さい、
請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも少なくとも25%だけ小さい、
請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)と同じ大きさである、
請求項7記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの圧入ピン(210)を、アルミニウム又は銅又は鉄を含むグループからの金属又は金属合金を含む材料から形成する、
請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの圧入ピン(210)を、中実に形成する、
請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの圧入ピン(210)を、中空空間及び弾性部分なしに、中実に形成する、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの圧入素子(200)に、複数の圧入ピン(210)を設け、
前記少なくとも1つの圧入素子(200)の前記圧入ピン(210)の個数に少なくとも一致する個数のコンタクト開口部(130)を有するプリント基板(100)を用意する、
請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの圧入素子(200)に、少なくとも4つの圧入ピン(210)を設ける、
請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の特徴を有する、プリント基板に導電性の圧入ピンをはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法に関する。
【0002】
従来技術
“冷間コンタクト技術”なる用語で、解除不能な力結合又は形状結合による電気的なコンタクトのグループがまとめられている。全ての実施形態に共通する特徴は、接合パートナーの圧着又は挟着のみによって電気的なコンタクトが製造されるということである。
【0003】
プリント基板を直接コンタクトさせるための圧入結合は、多数の製品で使用されている。実施形態の多様性は、ボードコンピュータにおける個別の圧入ピン(Pins)から、制御装置の何百個にもなる圧入ピンを有するエッジコネクタにもわたっている。圧入すべき圧入ピンの個数が多い場合には、圧入ピン同士の間隔及び方向性の精度、並びに、プリント基板におけるコンタクト開口部の間隔及び方向性の精度、並びに、押圧工程前及び押圧工程中のコンタクト開口部に対する圧入ピンの位置決めの精度、に対する要求が増加する。
【0004】
一般的に個別の圧入ピン(Pins)は、回路支持体に圧入される。この場合には、大きな力(ピンの個数に応じて、ピン1つ当たり約100〜300ニュートン)、及び、高い精度要求、及び、隣り合う構造体同士の損傷を最小化するためのタブーゾーンが必要である。プリント基板にピンを圧入する際に超音波を用いることによって、上記の点が改善される。
【0005】
独国特許出願公開第4242837号明細書からは、プリント基板に金属製の要素を圧入する方法が公知である。
【0006】
発明の開示
本発明は、中実の圧入ピンを圧入する際にプリント基板のコンタクト開口部が比較的に容易に損傷する可能性があるという認識に基づいている。中実の圧入ピンを使用する場合にはさらに、非常に狭い製造公差が必要となる。圧入方向を横切る方向に弾性に可逆的に押し合わせることが可能なフレキシブルな圧入ピンの場合には、圧入ピンのばね形状によって原材料の選択肢が制限されてしまう。
【0007】
圧入工程時に超音波を使用することにより、コンタクト開口部を損傷する危険性を格段に低減することができる。しかしながら従前の方法では、プリント基板に複数の圧入ピンを圧入するために多大な時間が必要である。なぜなら、それぞれのピンごとに順次に、すなわちシーケンシャルに圧入が実施されるからである。さらには、複数のコンタクトピンを有する素子(例えばSOICハウジングの形態の集積回路、センサ等)の圧入を超音波圧入技術によって実施することは不可能であるか、又は簡単には不可能である。
【0008】
従って、多数のピン又は圧入ピンを冷間コンタクト技術によって超音波を用いて1つのプリント基板に同時に圧入可能にする方法を提供する必要性が存在しうる。特に、既に実装がほぼ完了したプリント基板に、それぞれに少なくとも1つの又は複数の圧入ピンを有する1つ又は複数の素子を、超音波を用いた冷間コンタクト技術によってできるだけ短い時間間隔で実装する必要性が存在しうる。
【0009】
発明の利点
上記の必要性は、独立請求項に記載された本発明の対象によって満たすことができる。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
以下では、プリント基板に導電性の圧入ピンをはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法の特徴、詳細、及び、考えられる利点について、本発明の複数の実施形態に基づいてより詳細に議論する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、プリント基板に導電性の圧入ピンをはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法が提案される。この方法により、プリント基板に1つ又は複数の圧入素子を同時に実装することが可能となる。この場合、1つ又は複数の圧入素子は、それぞれ少なくとも1つの圧入ピン、好ましくは複数の圧入ピンを有する。
【0012】
このことは、以下のステップを有する方法によって達成される:プリント基板を実質的に垂直に貫通する、圧入コンタクト用の少なくとも1つのコンタクト開口部を有するプリント基板を用意するステップ。少なくとも1つの導電性の圧入ピンを有する少なくとも1つの圧入素子を用意するステップ。力及び超音波エネルギを印加するためのソノトロードを用意するステップ。前記方法において、前記少なくとも1つの圧入素子を、圧入ステップの間、前記少なくとも1つの圧入素子の前記少なくとも1つの圧入ピンと共に固定し、特に位置を固定するように保持し、前記圧入ステップでは、前記ソノトロードによって前記プリント基板に力(F)及び超音波エネルギ(I)を直接加えることで、前記ソノトロードによって直接加えられない、前記少なくとも1つの圧入素子の前記少なくとも1つの圧入ピンの上に、前記プリント基板の、前記少なくとも1つのコンタクト開口部の位置が押し付けられるようにする、ことが提案される。
【0013】
従来技術に比べて、本発明に係る方法は、プリント基板に多数の圧入素子又は多数の圧入ピンを同時に、ひいては特に省時間で圧入することが可能となるという利点を有する。超音波を用いた冷間コンタクト技術を使用することにより、従来の方法に比べて、冷間溶接による高強度の結合、つまり材料結合による結合を生じさせることが可能となる。コンタクトパートナー(プリント基板と圧入素子)は、有利には(超音波の摩擦工程による)熱的負荷に曝されない、又は、僅かしか曝されない、又は、圧入ピンとコンタクト開口部との間のコンタクト箇所での局所的な(超音波の摩擦工程による)熱的負荷にしか曝されない。
【0014】
提案される本方法によればさらに、超音波を用いた冷間コンタクト技術を、支持体に固定的に配置された圧入ピンのために使用することも可能である。なお、この支持体は、例えばプラグコネクタであり、このプラグコネクタの上にプリント基板がコンタクトのために押し付けられる。少なくとも1つの圧入ピンを有するこのような支持体は、本出願においては圧入素子として理解することができる。有利には、提案される本方法によれば、従来技術に比べて構造的な公差チェーンを低減することができ(例えば素子間の最小間隔を決定するため)、これによってプリント基板に圧入素子をより密に実装することが可能となる。同様にして有利には、圧入ピンを製造するための製造公差を大きくすることができ、これによってより低い欠陥品率を実現することが可能となり、コストを格段に低減することが可能となる。
【0015】
有利には、提案される本方法によれば、超音波結合のための複雑なツールを省略することができる。というのは、ソノトロードがプリント基板に直接作用するからである。最後に、提案される本方法は、プリント基板に圧入すべき圧入ピンの個数とは実質的に関係がない。
【0016】
有利には、提案される本方法によれば、弾性の圧入ピンを省略することもでき、これによって、少なくとも1つの圧入ピンの材料のための材料の選択肢が大幅に拡大される。もちろん本方法が、弾性の圧入ピンを用いても機能することを言及しておく。
【0017】
これらの利点は、少なくとも1つの圧入素子が、圧入ステップの間固定され、すなわち特に位置を固定するように保持され、超音波による直接の印加に曝されないことによってもたらされる。特にソノトロードは、少なくとも1つの圧入素子には作用しない。少なくとも1つの圧入素子の少なくとも1つの圧入ピンの上にプリント基板を被せることによって、且つ、ソノトロードによってプリント基板に力(圧入力)及び超音波エネルギを直接印加することによって、接合パートナーだけ、すなわちプリント基板だけをソノトロードに接触させればよくなる。これによって、プリント基板に接触された全ての圧入ピンを、ただ1つの工程で簡単に圧入することが可能となる。ソノトロードは、力及び超音波の印加工程の間、例えば真空吸引、一時的なねじ留め、又は、磁力による保持によって、プリント基板に(一時的に)固定的に結合させることができる。
【0018】
換言すれば、従来の方法とは異なり、個々のピンのそれぞれが超音波を用いてプリント基板に圧入されるわけではない。そうではなく、ソノトロードによってプリント基板に超音波エネルギ及び力が加えられ、このようにしてプリント基板は、少なくとも1つの保持された圧入ピンの上にただ1つのステップで押し付けられる。このようにして有利には、例えばSOICハウジングの形態の例えば集積回路又はセンサのような圧入素子も、プリント基板に圧着させることが可能となる。こうすることによって概して、既にハウジング内に例えば射出成形によってプラスチックで取り囲まれた圧入ピンを有する素子を、プリント基板に圧着させることができる。中実のピンを有するプラグコネクタの上にプリント基板を押し付けることも可能であり、この場合には、ピンは、既に圧入工程の前にプラグコネクタのハウジング内に固定されており、例えば射出成形によってプラスチックで取り囲まれている。
【0019】
本方法では、少なくとも1つの圧入ピンも超音波励起を受けうる。しかしながらこの超音波励起は、超音波が加えられるプリント基板と圧入ピンとのコンタクトによって与えられているだけである。従って、圧入ピンは、このようなシナリオでは受動的に共振するにすぎない。ソノトロードによる超音波エネルギを用いた圧入ピンの直接的な励起は、実施されない。
【0020】
プリント基板は、FR4材料又はより良好なものからなるリジッドプリント基板とすることができる。プリント基板を、セラミックプリント基板とすることも可能である。プリント基板は、その表面上又は内部に少なくとも1つの導電性の導体路を有する。プリント基板のコンタクト開口部は、導電性のスリーブとして、例えばプリント基板に圧入されたスリーブとして構成することができる。コンタクト開口部は、プリント基板を貫通する孔部として構成することもでき、この孔部の例えば内壁は、導電性のコーティング、例えば金属被覆を有する。従って、コンタクト開口部の内壁を例えば完全に金属被覆することができる。コンタクト開口部は、略円形の断面を有することができる。しかしながら別の断面、例えば楕円形、長方形、又は長孔状の断面も可能である。
【0021】
ソノトロードは、最大70kHz又は最大140kHzの周波数を有する超音波をプリント基板に印加することができる。超音波振動の振幅は、マイクロメータ範囲とすることができる。例えば、超音波振動の振幅は、最大10μm又は最大20μm、好ましくは最大50μm、極めて特に好ましくは最大100μmとすることができる。超音波振動は、圧入ピンに関して縦方向及び/又は横方向の超音波振動とすることができる。超音波エネルギは、特に超音波振動の周波数及び振幅に依存している。
【0022】
少なくとも1つの圧入ピンは、該圧入ピンの長手軸線を横切る方向に、例えば正方形又は長方形又は三角形又は円形又は楕円形の断面を有することができる。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、前記プリント基板は、前記圧入ステップの前に既に素子が実装されており、特に前記プリント基板への素子の実装は、前記少なくとも1つの圧入素子を実装するための前記圧入ステップを除いて終了している。これによって有利には、完全に実装済みのプリント基板を、例えばプラグコネクタの圧入ピンの上に押し付けることが可能となり、これによって例えば熱的負荷なしに制御装置を組み立て完了することができる。さらに、これによって有利には、例えば熱的負荷に対して脆弱でない素子を、はんだ付け工程又はボンディング工程によってまずプリント基板の上に固定させて、その後、温度に脆弱な素子を、超音波を用いた圧入技術によってただ1つのステップで、従って非常に省時間に、プリント基板に電気的且つ機械的に接続させることが可能である。これによって、圧入方法に過剰に時間をかけることなくそれぞれの方法の利点を利用することができる。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、前記ソノトロードの、前記プリント基板に面した側は、前記プリント基板の、前記ソノトロードに面した側の、素子が実装されている場所に前記圧入ステップのときに対向することとなる位置に、凹部を有する。これによって有利には、既にプリント基板の上に存在する素子がソノトロードによって損傷されなくなる。これによって特に有利には、ソノトロードをプリント基板の表面に直接当接させることが可能となる。なぜなら、ソノトロードには、プリント基板の実装済みの場所のために空間が残されているからである。これによって、プリント基板に超音波エネルギが特に効果的に入力される。
【0025】
本発明の1つの実施形態によれば、前記プリント基板は、前記少なくとも1つの圧入素子に面した第1側と、前記第1側の反対側にある第2側とを有する。前記ソノトロードは、前記圧入ステップのときに前記第2側の上に被せられる。前記ソノトロードは、前記第2側の面積の少なくとも50%を覆うことができ、特に好ましくは、前記ソノトロードは、前記第2側の面積の少なくとも75%を覆うことができ、極めて特に好ましくは、前記第2側の面積の少なくとも90%を覆うことができる。これによって有利には、圧入ステップのための力と、圧入ステップのための超音波エネルギとが、プリント基板にできるだけ平坦且つ均等に印加又は入力される。これによって、圧入ステップのときにおけるプリント基板の負荷、又は、既にプリント基板の上に固定されている素子の負荷が特に小さくなる(これによって例えば、プリント基板の撓みを小さく抑えることができ、又は、大きい点状の超音波負荷を回避することができる)。これによって有利には、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板との間の結合が特に均一になる。
【0026】
本発明の1つの実施形態によれば、前記ソノトロードは、前記プリント基板を、前記圧入ステップの間、前記少なくとも1つのコンタクト開口部の延在方向に沿って距離Sにわたって前記少なくとも1つの圧入ピンの上に押し付ける。このとき前記ソノトロードには、前記圧入ステップの間、前記距離Sに沿って第1力(F1)及び第1超音波エネルギ(I1)が加えられる。これによって有利には、圧入深さを特に精確に調整することができる。圧入深さは、距離Sによって表される。この場合、距離Sは、プリント基板と少なくとも1つの圧入ピンとの間の第1接触点から測定される。
【0027】
本発明の1つの実施形態によれば、前記距離Sの達成後、前記ソノトロードは、前記プリント基板に第2力(F2)を加え、前記第2力(F2)は、前記第1力(F1)に比べて非常に小さく、特に前記第2力(F2)は、前記第1力(F1)の最大10%である。さらには、前記距離Sの達成後、前記ソノトロードは、前記プリント基板に第2超音波エネルギ(I2)を加え、前記第2超音波エネルギ(I2)は、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも大きく、特に前記第1超音波エネルギ(I1)よりも少なくとも25%だけ大きい。この場合、前記第2力(F2)は、ほぼゼロとすることができる。この場合、前記第1超音波エネルギ(I1)は、ゼロ又はほぼゼロとすることができる。これによって有利には、距離Sに沿って実施される本来の押し付け工程において、この押し付けが、実質的に第1力(F1)の印加によって実施される。圧入ステップのこの部分では、超音波エネルギ、すなわち第1超音波エネルギ(I1)は、特に押し付け工程を容易にするため又は促進するために使用される。このことは、超音波の印加が押し付け時の滑り工程を形成する又は容易にすることによって引き起こされる(超音波エネルギは、コンタクト開口部における圧入ピンの引っ掛かり又は傾斜を阻止する)。距離Sの達成後、第2超音波エネルギ(I2)へと超音波エネルギを増加させることによって、特に超音波エネルギを格段に増加させることによって、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板との間に摩擦溶接を生じさせることができる。これによって、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板との間の材料結合による結合が可能となる。このような材料結合による結合(例えば摩擦溶接による結合)は、純粋な形状結合又は力結合による結合に比べて高い保持力を有しており、従って、純粋な押し付け工程から生じる結合よりも安定的である。
【0028】
これに代えて、前記第2超音波エネルギ(I2)を、前記第1超音波エネルギ(I1)よりも小さく、特に前記第1超音波エネルギ(I1)よりも少なくとも25%だけ小さくすることができる。さらには、これに代わる別の実施形態では、前記第2超音波エネルギ(I2)を、前記第1超音波エネルギ(I1)と同じ大きさにすることができる。
【0029】
前記少なくとも1つの圧入ピンを、アルミニウム又は銅又は鉄を含むグループからの金属又は金属合金を含む材料から形成することによって、有利には、特に低コストの材料を使用することが可能となる。有利には、このような材料を使用することによって、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板との間、又は、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板のコンタクト開口部の内壁との間における、超音波印加による材料結合による結合を、特に簡単に生じさせることが可能となる。特に有利には、このような材料によって、少なくとも1つの圧入ピンとプリント基板との間に特に安定的な材料結合による結合を生じさせることができ、これによって、プリント基板における少なくとも1つの圧入ピンの保持力は、従来の圧入ピンに比べて特に大きく増加されている。これによって有利には、プリント基板と圧入素子の結合の機械的耐性を特に増加させることができる。
【0030】
前記少なくとも1つの圧入ピンを、特に中空空間及び弾性部分なしに中実に形成することによって、有利には、少なくとも1つの圧入ピン、ひいては少なくとも1つの圧入ピンを有する圧入素子を、特に低コストに製造することが可能となる。これによって特に有利には、少なくとも1つの圧入ピンを製造するために、弾性特性がさほど良好ではない材料を使用することも可能となる。特に有利には、銅・鉄の合金を使用することができる。これによって有利には、全体として、圧入ピンの選択時又は製造時におけるデザイン自由度が向上する。
【0031】
本発明の1つの実施形態によれば、前記少なくとも1つの素子に、複数の圧入ピン、特に少なくとも2つの圧入ピン、好ましくは少なくとも4つの圧入ピンが設けられている。この場合には、前記少なくとも1つの素子の前記圧入ピンの個数に少なくとも一致する個数のコンタクト開口部を有するプリント基板が用意される。換言すれば、プリント基板には、それぞれの圧入ピンに対して少なくとも1つのコンタクト開口部が設けられている。これによって有利には、圧入素子又は多数の圧入ピンを、ただ1つのステップで特に省時間で、プリント基板に電気的且つ機械的に結合させることが可能となる。
【0032】
図面
当業者は、本発明のさらなる特徴および利点を、例示的な実施形態の以下の説明から添付の図面を参照して理解するだろう。但し、これらの例示的な実施形態は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】圧入ステップの前における、本発明に係る方法を実施するための装置の第1実施形態の断面図である。
【
図1b】圧入ステップの後における、
図1aの装置を示す図である。
【
図2a】圧入ステップの前における、本発明に係る方法を実施するための装置の第2実施形態の断面図である。
【
図2b】圧入ステップの後における、
図2aの装置を示す図である。
【
図3】本発明に係る方法の1つの実施形態を示す図である。
【0034】
図面は全て、本発明に係る方法、又は方法のステップ、又は装置を、本発明の複数の実施例に基づいて、方法の複数の異なるステップにおいて概略的にのみ図示したものである。特に間隔及び寸法関係は、図面では縮尺通りには示されていない。複数の異なる図面において、対応している素子同士には同一の参照符号が付されている。
【0035】
図1aには、本発明に係る方法を実施するための装置が図示されている。
図1aの装置は、圧入ステップの前のステップにおける本方法を図示している。プリント基板100に導電性の圧入ピン210をはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法を実施するために、プリント基板100と、力及び超音波エネルギを印加するためのソノトロード500と、圧入ピン210を有する圧入素子200とが用意される。圧入ピン210は、本断面図では2つ見て取れる。
【0036】
プリント基板100は、ここでは圧入素子200とソノトロード500との間に配置されている。
【0037】
プリント基板100は、FR4材料又はより良好なものから形成することができるか、又は、セラミックプリント基板として形成することができる。プリント基板は、圧入素子200に面した第1側102を有する。プリント基板100はさらに、第1側102の反対側にある第2側104を有する。第2側104は、ソノトロード500に面している。
【0038】
プリント基板100は、少なくとも1つの導体路110を有しており、この導体路110は、図示された実施例ではプリント基板100の内部に位置している。少なくとも1つの導体路110をプリント基板100の表面102,104の一方に配置することも、同じく良好に可能である。プリント基板100は、該プリント基板100を通り抜ける又は突き抜けるコンタクト開口部130を有する。コンタクト開口部130は、導体路110に導電的に接続させることができる。コンタクト開口部130の内壁132は、金属被覆されたコーティングを有し、好ましくは、コンタクト開口部130の内壁132は、完全に金属被覆されている。プリント基板100には、該プリント基板100の上に固定される電気的及び/又は電子的な素子150を実装しておくことができる。電気的又は電子的な素子150は、例えばコンデンサ又は抵抗のような受動素子152とすることができるか、又は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)154のような集積回路とすることもできる。これらの素子150は、プリント基板100の上に例えばはんだ付け工程又はボンディング工程によって固定しておくことができる。
【0039】
圧入素子200は、プリント基板100に面した複数の圧入ピン210を有しており、図示された断面図では、これらの圧入ピン210のうちの2つを見て取ることができる。圧入ピン210は、プリント基板100に面した自由端部212を有しており、この自由端部212は、プリント基板100のコンタクト開口部130と一直線に並んでいる。圧入素子200は、このときには位置を固定するように固定されているが、圧入素子を固定するための保持部は、図面には図示されていない。圧入素子200は、図示された実施例では一種のプラグハウジングとして構成されており、このプラグハウジングには圧入ピン210が、例えば射出成形によってプラスチックで取り囲まれた状態で固定されている。圧入素子200の、プリント基板100に面した側は、カップ状に形成されており、このカップ形状体の内側240は、例えば環状の外壁242によって画定されている。圧入ピン210は、この場合、このカップ形状体の内側240に配置されている。カップ形状体の内側240の底部244には、スペーサ部材220又は支持素子220が配置されている。プリント基板100は、圧入ピン210の上に押し付けられた状態では、このスペーサ部材220又は支持素子220の上に当接することができる(
図1b)。圧入ピン210の自由端部212は、支持素子220から押し付け方向280に沿って距離Sだけ突出している。
【0040】
ソノトロード500の、プリント基板100に面した側は、接触面502を有しており、この接触面502は、プリント基板100の第2側104の上に直接被せられるために適している。ソノトロード500の外側は、縁部形状の外壁520を有しており、この外壁520は、ソノトロード500がプリント基板100の上に被せられた場合に、プリント基板100を画定する。ソノトロードの、プリント基板100に面した側では、接触面502に凹部510が設けられている。ソノトロード500をプリント基板100の上に被せたときに、プリント基板100の上の素子150が存在する場所の上方にくることとなる位置に、凹部510が設けられている。これによって、ソノトロード500の接触面502が、プリント基板の第2側104に任意の位置で直接接触すること、すなわち実装済みの素子150に押し付け方向280に沿って接触しないこと、ひいては実装済みの素子150に超音波が直接加えられないことが保証される。ソノトロード500には、該ソノトロード500を圧入ステップの間プリント基板100と結合させるための図示されていない手段が設けられている。例えば、ソノトロード500の接触面502が、真空吸引によってプリント基板100を吸引するようにしてもよい。ソノトロード500を、圧入ステップの間、プリント基板100とねじ留めすることも、又は、磁力によってプリント基板100と一時的に固定的に結合させることも可能である。
【0041】
図1aには、プリント基板100のコンタクト開口部130が圧入素子200のコンタクトピン210の自由端部212の上に被せられた時点であって、且つ、ソノトロード500がまだプリント基板100と結合されていない時点における、圧入ステップ又は押し付け工程が図示されている。ここに図示されていない実施形態では、まずプリント基板100をソノトロード500に固定し、その後、ソノトロード500と結合されたプリント基板100を圧入ピン210の上に被せるようにして、本方法を実施することもできる。さてここで、プリント基板100を圧入ピン210の上に押し付けるために、ソノトロード500が、第1力(F1)及び第1超音波エネルギ(I1)によって押し付け方向280に圧入ピン210に向けて押し付けられる。圧入素子200は、このときには位置を固定するように固定されている。
【0042】
図1bには、プリント基板100が圧入ピン210の上に押し付けられた状態における、
図1aの装置が図示されている。このときプリント基板100は、圧入素子200の圧入ピン210の上に距離Sだけ押し付けられた状態である。圧入ピン210は、プリント基板100を貫通して突出している。ソノトロード500には、今やプリント基板100を貫通して突出している圧入ピン210の自由端部212のために、凹部510も設けられていることを言及しておく。プリント基板100は、この押し付けられた状態では支持素子220の上に当接している。この状態、つまりプリント基板100が距離Sだけ圧入ピン210の上に押し付けられた後の状態では、圧入ピン210とプリント基板100との間における、従前の実質的な形状結合又は力結合による結合を、さらに材料結合による成分によって補うことが可能である。このためにソノトロードには、第2力(F2)が加えられる。この第2力(F2)は、ほぼゼロとすることができるか、又はそれどころかちょうどゼロとすることができる。しかしながら、ソノトロードには、特に第1超音波エネルギ(I1)よりも大きい第2超音波エネルギ(I2)が加えられる。第2超音波エネルギ(I2)は、第1超音波エネルギ(I1)よりも格段に大きく、例えば少なくとも25%だけ、好ましくは50%だけ大きくすることができる。このために、超音波振動の振幅及び/又は周波数を増加させることができる。こうして、第2超音波エネルギ(I2)の印加によって振動させられるプリント基板100の、コンタクト開口部130の内壁132を、圧入ピン210の表面と摩擦溶接させることができる。このような結合は、特に高い保持力と、特に高い電気的信頼性と、特に小さい電気的接触抵抗とを有する。しかしながら上述したように、第2超音波エネルギ(I2)を第1超音波エネルギ(I1)と同じ大きさにすることも可能である。しかしながら、第2超音波エネルギ(I2)を第1超音波エネルギ(I1)よりも小さく、例えば少なくとも25%だけ小さくすることも可能である。第2超音波エネルギ(I2)は、例えば第1超音波エネルギ(I1)と同じエネルギの場合でも、超音波振動のパラメータによって、例えば別の周波数にすると同時に別の振幅にすることによって、第1超音波エネルギ(I1)とは異ならせることができる。
【0043】
図2a及び2bでは、本発明に係る方法が
図1a及び1bと同じように図示されている。しかしながらここでは、
図1a及び1bとは異なり、圧入素子200が一種のプラグコネクタ又はプラグとして構成されている。さらには、支持体300の上に複数のスペーサ部材320又は複数の支持素子320が配置されている。複数の支持素子320の間には、圧入素子200、例えばSOICハウジング202(SOIC = "Small Outline Integrated Circuit")の形態の、例えばセンサ又は集積回路が配置されており、圧入素子200の圧入ピン210が、支持体300とは逆方向を向いてプリント基板100に面するようにされている。プリント基板100には、上述した実施形態に即して、それぞれの圧入ピン210に対応するコンタクト開口部130が配置されている。同じようにして、プリント基板100に力及び超音波を印加することが可能なソノトロード500には、凹部510が設けられている。ここでも、プリント基板100の第2側104上の素子150が設けられている位置に、又は、プリント基板100のコンタクト開口部130を貫通して突出する圧入ピン200の自由端部212が圧入ステップ後にくることとなる位置に、凹部510が設けられている。
【0044】
圧入素子200,202は、例えば真空吸引によって支持体300の上に一時的に固定させることができる。圧入素子200,202を、容易に開閉可能な機械的な保持部によって支持素子300の上に固定させることもできる。
【0045】
図2bには、プリント基板がソノトロード500によって圧入ピン210の上に押し付けられた状態が図示されている。この実施例でも、ソノトロード500によってプリント基板100に第2超音波エネルギ(I2)を印加することによって、プリント基板100のコンタクト開口部130又はコンタクト開口部130の内壁132と圧入ピン210との間に、材料結合による結合を生じさせることが可能である。さてここで、ソノトロード500を除去して、圧入素子200の保持部を支持体300から解除すると、プリント基板100には圧入素子200が実装完了しており、支持体300から除去することが可能になっている。
【0046】
このようにすると、例えばリフローはんだ付けの場合のようにプリント基板100又は実装すべき圧入素子200の熱的負荷を生じさせることなく、超音波を用いた圧入コンタクト又は冷間コンタクト技術によって、プリント基板100にただ1つのステップで多数の圧入素子200,202を実装することが可能となる(材料結合による結合を含む)。
【0047】
図3には、プリント基板100に導電性の圧入ピン210をはんだフリーで電気的に圧入コンタクトさせる方法が概略的に図示されている。第1ステップ710では、プリント基板100を実質的に垂直に貫通する少なくとも1つのコンタクト開口部130を有するプリント基板100が用意される。コンタクト開口部130は、圧入コンタクトのために適している。第2ステップ720では、少なくとも1つの導電性の圧入ピン210を有する圧入素子200,202が用意される。第3ステップ730では、力及び超音波エネルギを印加するためのソノトロード500が用意される。上記の3つのステップ710,720,730は、別の順序で実施すること、又は、同時に実施することが可能である。
【0048】
さらには、最初の3つのステップに引き続き、圧入ステップ740が設けられている。このとき少なくとも1つの圧入素子200は、圧入ステップ740の間、該圧入素子200の少なくとも1つの圧入ピン210と共に固定され、特に位置を固定するように保持される。圧入ステップ740ではさらに、ソノトロード500によってプリント基板100に力(F)、特に第1力(F1)と、超音波エネルギ(I)、特に第1超音波エネルギ(I1)とが直接加えられ、これによって、ソノトロード500によって直接加えられない、少なくとも1つの圧入素子200の少なくとも1つの圧入ピン210の上に、プリント基板100の、少なくとも1つのコンタクト開口部130の位置が押し付けられるようにする。換言すれば、プリント基板100だけに、超音波エネルギ(I)及び力(F)が加えられる。圧入ステップ740では、プリント基板100を少なくとも1つの圧入ピン210の上に距離Sだけ押し付けることができる。距離Sの達成後、圧入ステップ740には別のステップ750が後続することができ、この別のステップ750は、圧入ステップ740の後に配置される、圧入ステップ740の部分ステップとしてみなすことができる。この別のステップ750では、ソノトロードがプリント基板100に第2力(F2)を印加することができる。なお、第2力(F2)は、第1力(F1)に比べて非常に小さくすることができ、例えば第1力(F1)の最大10%であるか、又はそれどころかゼロである。この別のステップ750ではさらに、ソノトロード500は、プリント基板100に第2超音波エネルギ(I2)を印加することができる。なお、第2超音波エネルギ(I2)は、第1超音波エネルギ(I1)よりも大きくすることができる。第2超音波エネルギ(I2)は、特にプリント基板と少なくとも1つの圧入ピン210との間に材料結合による摩擦溶接が実現されるような大きさにすることができる。これに代えて、第2超音波エネルギ(I2)を第1超音波エネルギ(I1)と同じ大きさにすることも、又は、第1超音波エネルギ(I1)よりも小さくすることも、もちろん可能である。
【0049】
本発明に係る方法は、例えば、製造工程での熱的負荷を小さく抑えるためにはんだフリーの電気的なコンタクトが必要となる製品の製造において、例えば、自動車用の電気的又は電子的な制御装置において、若しくは、コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、及び、他の民生用電子機器のためのプリント基板のコンタクトにおいて、若しくは、高速データ伝送のためのネットワークプラグの製造において、実施するために適している。