特許第6444513号(P6444513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6444513車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法
<>
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000003
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000004
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000005
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000006
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000007
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000008
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000009
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000010
  • 特許6444513-車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444513
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びその投影画像の高さの調節方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20181217BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-534331(P2017-534331)
(86)(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公表番号】特表2018-507430(P2018-507430A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】CN2015099015
(87)【国際公開番号】WO2016101917
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】201410820463.2
(32)【優先日】2014年12月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505327398
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】イェ、リイ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、イフェン
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−128000(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0227717(US,A1)
【文献】 特開2008−285105(JP,A)
【文献】 特開2003−341383(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204009230(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−27/64
B60K35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に適用されるように構成されたヘッドアップディスプレイシステムであって、
前記車両内に配置され、運転者の目に投影画像が反射されるように当該投影画像をフロントガラスに投影するように構成された、プロジェクターと、
前記車両内に、且つ、前記運転者の目の前に、固定的に配置され、前記運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像を検出するように構成された、カメラと、
水平方向における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、前記車両内の前記運転者のシートの位置を検出するように構成された、シート検出モジュールと、
前記カメラによって検出された前記画像及び前記シート検出モジュールによって検出された前記実際の水平距離を取得し、前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の位置関係を取得するために前記画像を処理し、前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って前記運転者の目と前記所定の参照点との間の実際の垂直距離を生成し、前記実際の垂直距離に従って前記プロジェクターからの前記投影画像の高さを自動的に調節するように構成された、ヘッドアップコントローラと、
を備える、ヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項2】
前記カメラは、前記車両内のダッシュボード表面上、前記フロントガラス表面上又は当該車両の屋根に配置されている、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項3】
前記プロジェクターは、
表示部と、
前記表示部の出射光の光路に配置され、前記フロントガラスが前記運転者の目に前記投影画像を反射するように、前記表示部によって投影された前記投影画像を前記フロントガラスに反射するように構成された、3ミラー光アセンブリであって、
ズームレンズアセンブリと、
画質補正レンズアセンブリと、
前記フロントガラスによって引き起こされる画像の歪みを補正し、前記出射光の角度を調節するように構成された、フロントガラス補正レンズアセンブリと、を備える、
3ミラー光アセンブリと、を備える、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項4】
前記ズームレンズアセンブリ、前記画質補正レンズアセンブリ及び前記フロントガラス補正レンズアセンブリは、前記出射光の前記光路に順に配置されている、
請求項3に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項5】
前記フロントガラス補正レンズアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に配置されたブラケットと、
前記ハウジングに配置され、前記ブラケットと接続され、前記ヘッドアップコントローラの制御下で前記ブラケットを回転するように駆動するように構成された角度調節部と、
前記ブラケットに配置され、前記フロントガラスによって引き起こされる前記歪みを補正し、前記出射光の前記角度を調節するように構成された、フロントガラス補正レンズと、を備える、
請求項3又は4に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項6】
前記角度調節部は、調節ハウジングと、電気モーターと、歯車列と、プッシャーと、を備え、
前記電気モーター、前記歯車列及び前記プッシャーは、前記調節ハウジング内に配置され、
前記電気モーターは、前記ヘッドアップコントローラに接続されると共に、前記歯車列と係合したねじ軸を備え、
前記プッシャーは、前記ブラケットの背面に接続されたプッシュエンドと、前記歯車列と係合した係合端と、を有し、
前記歯車列の回転運動は、前記プッシャーの直線運動に変換される、
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項7】
前記ヘッドアップコントローラには、内部又は外部に画像処理モジュールが設けられ、
前記画像処理モジュールは、前記画像における前記運転者の目と前記参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理するように構成された、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステムを備えた車両。
【請求項9】
前記カメラによって、前記運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像を検出することと、
前記シート検出モジュールによって、前記水平方向における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の水平距離を取得するために、前記車両内の前記運転者の前記シートの前記位置を検出することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記画像及び前記実際の水平距離を取得することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って、前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の垂直距離を生成することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節することと、
を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の高さを調節するための方法。
【請求項10】
前記所定の参照点の高さは、前記運転者の目の平均的な高さとして判別され、前記カメラは、前記所定の参照点と前記運転者の目の両方を同時に撮影するように構成された、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理するステップは、
前記運転者の目と前記所定の参照点との間の直線を取得すると共に、垂直方向における前記直線の高さ対前記水平方向における前記直線の長さの比K=|y1−y0|/|x1−x0|を取得するために、前記画像における前記運転者の目の座標(x1,y1)及び前記所定の参照点の座標(x0,y0)を取得すること、
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って、前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の垂直距離を取得するステップは、
前記シート検出モジュールによって、前記実際の垂直距離を取得するために、前記実際の水平距離に前記比Kを乗じること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記画像における前記運転者の目の座標(x1,y1)及び前記所定の参照点の座標(x0,y0)を取得するステップは、
前記カメラによって、前記運転者の目の位置を取得することと、
前記所定の参照点を見やすい画像又は特定の赤外線を反射する画像と定義することと、
前記所定の参照点の位置を取得するために、前記画像において前記見やすい画像又は前記特定の赤外線を反射する前記画像を位置づけることと、
前記運転者の目の前記座標(x1,y1)及び前記所定の参照点の前記座標(x0,y0)を取得するために、前記運転者の目及び前記所定の参照点を同一の標準参照に配置することと、
を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像における前記運転者の目の座標(x1,y1)及び前記所定の参照点の座標(x0,y0)を取得するステップは、
顔認識技術に従って前記画像における前記運転者の顔を認識し、当該顔における前記運転者の目の位置を計算することと、
前記所定の参照点を見やすい画像と定義し、前記所定の参照点の位置を取得するために、前記画像における前記見やすい画像を位置づけることと、
前記運転者の目の前記座標(x1,y1)及び前記所定の参照点の前記座標(x0,y0)を取得するために、前記運転者の目及び前記所定の参照点を同一の標準参照に配置することと、
を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記実際の垂直距離に従って、前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節するステップは、
前記角度調節部が前記ブラケットを回転させるように制御するように、前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記角度調節部の動きを自動的に制御することと、
前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節するために、前記ブラケットによって、前記フロントガラス補正レンズを回転させるように駆動することと、
を含む、請求項9乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記角度調節部が前記ブラケットを回転させるように制御するように、前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記角度調節部の動きを自動的に制御するステップは、
前記電気モーターが前記プッシャーを駆動して動かし、当該プッシャーが前記ブラケットを押して当該ブラケットの回転を制御するように、前記実際の垂直距離に従って、前記電気モーターの回転を自動的に制御すること、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
デバイスのプロセッサによって実行されるとき、当該デバイスに請求項9乃至16のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を格納した不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2014年12月25日に国家知識産権局、P.R.Cに出願された、中国特許出願第201410820463.2号の優先権及び利益を主張する、2015年12月25日に出願された国際出願番号PCT/CN2015/099015号に基づき、これらの全ての内容がここに参照によって取り込まれる。
(分野)
本開示は、概して車両の分野に関し、特に、ヘッドアップディスプレイシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の改善とともに、車両に対するより多くの要求がなされている。車両に対する要求が多くなっている。現在、一部の車両にヘッドアップディスプレイシステムが備えられている。ヘッドアップディスプレイシステムは、車両のダッシュボード上に配置され、光学反射原理を用いてテキスト及び画像の形式でフロントガラスに情報を投影する。そして、投影画像の高さと運転者の目の高さは、概して同じレベルにある。運転者は、ヘッドアップディスプレイシステムによって投影された投影画像とともに、フロントガラスによって反射されたバーチャル画像を見ることができる。このように、運転中に運転者が外景とヘッドアップディスプレイシステムによって表示された情報とを組み合わせることは容易である。運転者は、自分の頭を下げることなく、ナビゲーション情報、車両の速度及び他の情報を見ることができる、道路前方から注意をそらす問題が避けられるため、運転の安全性が向上する。
【0003】
関連技術において、ヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の位置は、特定の位置に限定されている。しかし、身長は人によって異なる。投影画像の高さを調節する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、投影画像が運転者に快適に見られる適切な位置を見つけることが不便であり、且つ、困難であるという問題を解決するために、車両、ヘッドアップディスプレイシステム及びヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の高さを調節するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の観点に係る実施形態によれば、ヘッドアップディスプレイシステムが提供される。そのヘッドアップディスプレイシステムは、車両内に配置され、運転者の目に投影画像が反射されるように、投影画像をフロントガラスに投影するように構成された、プロジェクターと、車両内に、且つ、運転者の目の前に、固定的に配置され、運転者の目の位置及び所定の参照点を含む画像を検出するように構成された、カメラと、水平方向における運転者の目と所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、車両内の運転者のシートの位置を検出するように構成された、シート検出モジュールと、カメラによって検出された画像及びシート検出モジュールによって検出された実際の水平距離を取得し、画像における運転者の目と所定の参照点との間の位置関係を取得するために、画像を処理し、位置関係及び実際の水平距離に従って、運転者の目と所定の参照点との間の実際の垂直距離を生成し、実際の垂直距離に従ってプロジェクターからの投影画像の高さを自動的に調節するように構成された、ヘッドアップコントローラと、を含む。
【0006】
本開示によるヘッドアップディスプレイシステムは、カメラによって運転者の目の位置及び所定の参照点を含む画像を自動的に検出し、シートと所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、シート検出モジュールによって、運転者のシートの位置を自動的に検出し、そして、ヘッドアップコントローラによって、運転者の目と所定の参照点との間の実際の垂直距離を計算し、実際の垂直距離に従って、プロジェクターの投影画像の高さを制御する。いかなる手動の介入もなく、投影画像は、運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0007】
本開示の第2の観点に係る実施形態によれば、車両が提供される。その車両は、上記のヘッドアップディスプレイシステムを含む。
【0008】
本開示による車両は、ヘッドアップディスプレイシステムを備える。ヘッドアップディスプレイシステムは、カメラによって、運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像を自動的に検出し、シートと所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、シート検出モジュールによって、運転者のシートの位置を自動的に検出し、そして、ヘッドアップコントローラによって、運転者の目と所定の参照点との間の実際の垂直距離を計算し、実際の垂直距離に従って、プロジェクターの投影画像の高さを制御する。いかなる手動の介入もなく、投影画像は、運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0009】
本開示の第3の観点に係る実施形態によれば、ヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の高さを調節するための方法が提供される。このヘッドアップディスプレイシステムは、上記のヘッドアップディスプレイシステムである。その方法は、シート検出モジュールによって、水平方向における運転者の目と所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、車両における運転者のシートの位置を検出することと、ヘッドアップコントローラによって、画像及び実際の水平距離を取得することと、ヘッドアップコントローラによって、画像における運転者の目と所定の参照点との間の位置関係を取得するために、画像を処理することと、ヘッドアップコントローラによって、位置関係及び実際の水平距離に従って、運転者の目と所定の参照点との間の実際の垂直距離を生成することと、ヘッドアップコントローラによって、実際の垂直距離に従って、プロジェクターから投影された投影画像の高さを自動的に調節することと、を含む。
【0010】
本開示によるヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の高さを調節するための方法では、カメラによって、運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像が自動的に検出され、シート検出モジュールによって、シートと所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、運転者のシートの位置が自動的に検出され、そして、ヘッドアップコントローラによって、運転者の目と所定の参照点との間の実際の垂直距離が計算され、実際の垂直距離に従って、プロジェクターの投影画像の高さが制御される。いかなる手動の介入もなく、投影画像は、運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0011】
本開示の第4の観点に係る実施形態によれば、デバイスのプロセッサによって実行されるとき、そのデバイスに本開示の第3の観点に係る方法を実行させる命令を格納した不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0012】
本開示の実施形態の追加的な観点及び利点が、以下の記載において部分的に説明され、その記載から部分的に明らかになるか、又は、本開示の実施例から理解されよう。
【0013】
上記及び他の観点及び本開示の実施形態の利点は、図面を参照してなされる以下の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の特定の実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの概略図である。
図2a図2aは、本開示の特定の実施形態による画像における目と所定の参照点との三角関係を説明する概略図である。
図2b図2bは、本開示の特定の実施形態による実際のシーンにおける目と所定の参照点との三角関係を説明する概略図である。
図3図3は、本開示の特定の実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムのブロック図である。
図4図4は、本開示の特定の実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムにおける光路を説明する概略図である。
図5図5は、本開示の特定の実施形態によるフロントガラス補正レンズアセンブリの断面図である。
図6図6は、本開示の特定の実施形態によるフロントガラス補正レンズアセンブリの斜視図である。
図7図7は、本開示の特定の実施形態によるブラケットの斜視図である。
図8図8は、図5のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態への参照が詳細になされる。図面を参照してなされる本書に記載の実施形態は、例示的、説明的であり、本発明を一般的に理解するために用いられる。実施形態は、本開示を限定するように解釈されるべきではない。同一又は類似の要素及び同一又は類似の機能を有する要素は、説明全体を通して似ている参照番号によって示される。
【0016】
実施形態1
この実施形態においては、ヘッドアップディスプレイシステムが提供される。図1及び3に示されているように、ヘッドアップディスプレイシステムは、プロジェクター100と、カメラbと、シート検出モジュール7と、ヘッドアップコントローラ6と、を含む。
【0017】
プロジェクター100は、車両200内に配置され、投影画像dが運転者の目aに反射されるように、投影画像dをフロントガラスに投影するように構成されている。
【0018】
カメラbは、車両200内に、且つ、運転者の目aの前に、固定的に配置され、運転者の目aの位置及び所定の参照点cの位置を含む画像を検出するように構成されている。
【0019】
シート検出モジュール7は、水平方向における運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の水平距離を取得するために、車両200内の運転者のシートeの位置を検出するように構成されている。
【0020】
ヘッドアップコントローラ6は、カメラbによって検出された画像及びシート検出モジュール7によって取得された実際の水平距離を取得し、画像における運転者の目aと所定の参照点cとの間の位置関係を取得するために画像を処理し、位置関係及び実際の水平距離に従って、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離を生成し、実際の垂直距離に従ってプロジェクター100からの投影画像dの高さを自動的に調節するように構成されている。
【0021】
運転者はシートeに座る必要があるので、たとえ異なる人が運転者としての役割を果たすためにシートに座るとしても、運転者の水平方向における位置は概して変化せず、すなわち、シートeに座っている運転者の目aの位置は、シートeの位置を取得することによって得られ得ることが見出される。これに基づき、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の水平距離が、シートeの位置を検出することによって取得され得る。運転者の大きさによって僅かな誤差はあるかもしれないが、投影画像の高さを調節する間の僅かな誤差の影響は小さい。シートeに座っている運転者の目aの平均的な位置は、統計によって得られるので、水平方向における運転者の目aと所定の参照点cとの間の平均的な実際の水平距離が計算され得る。上記の僅かな誤差は、補正によって修正され得る。例えば、運転者のシートeの位置に対する経験の実験によって得られた補正係数を加えることにより、運転者の目aとシートeとの間のより正確な関係が取得され得る。このように、シートeの位置を取得することによって、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の水平距離が得られる。
【0022】
シート検出モジュール7は、別々に配置された位置センサであってもよく、シートeの位置に関する情報を特定し得る。シート検出モジュール7は、一部の車両200に配置されている。そのため、シート検出モジュール7を用いることによって、ヘッドアップコントローラ6は、CANバスを介してシート検出モジュール7からデータを読み得る。もし車両200がシート検出モジュール7を備えないならば、シート検出モジュール7が配置される必要がある。一般に、車両200に配置された既存のシート検出モジュール7は、シート制御モジュールに組み込まれ、シート制御モジュールによって制御される。しかし、シート検出モジュール7の機能は影響を受けない。従って、シート検出モジュール7をヘッドアップコントローラ6に組み込むことに問題はない。
【0023】
カメラbは、車両200内で運転者の目aと所定の参照点cとが同時に撮影され得る任意の位置に配置されてもよい。例えば、カメラbは、車両200内のダッシュボードg表面上に、フロントガラス5表面上に、又は、車両200の屋根fに配置されてもよい。
【0024】
ヘッドアップコントローラ6の内部又は外部に画像処理モジュールが設けられる。画像処理モジュールは、画像における運転者の目aと所定の参照点cとの間の位置関係を取得するために、画像を処理するように構成される。すなわち、ヘッドアップコントローラ6は、画像処理機能を有する。又は、ヘッドアップコントローラ6は、ヘッドアップコントローラ6の外部に配置された画像処理モジュールによってカメラbで取得された画像を処理してもよい。
【0025】
実施例として、本開示によるヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクター100は、図4に示されているように、表示部1と3ミラー光アセンブリを含む。3ミラー光アセンブリは、表示部1の出射光の光路に配置され、フロントガラス5が投影画像を運転者の目aに反射するように、表示部1によって投影された投影画像を、車両200のフロントガラス5に反射するように構成されている。
【0026】
3ミラー光アセンブリは、出射光の光路に順に配置されたズームレンズアセンブリ2と、画質補正レンズアセンブリ3と、フロントガラス補正レンズアセンブリ4と、を含む。
【0027】
フロントガラス補正レンズアセンブリ4は、ブラケット42と、ハウジング43と、角度調節部44と、フロントガラス補正レンズ41と、を含む。フロントガラス補正レンズ41は、フロントガラス5によって引き起こされた画像の歪みを補正し、出射光の角度を調節するように構成されている。フロントガラス補正レンズ41は、ブラケット42上に配置されている。そして、ブラケット42は、ハウジング43上に回転可能に配置されている。角度調節部44は、ハウジング43上に配置されると共に、ブラケット42に接続され、ヘッドアップコントローラ6の制御下でブラケット42を駆動して回転させるように構成されている。
【0028】
ズームレンズアセンブリ2は、表示部1によって投影された投影画像を拡大縮小するためのズームレンズと、ズームレンズの焦点を調節するように構成された第1焦点調節部と、を含む。
【0029】
画質補正レンズアセンブリ3は、ズームレンズの焦点の変更の間に引き起こされる画質の歪みを補正するように構成された画質補正レンズと、画質補正レンズの焦点を調節するように構成された第2焦点調節部と、を含む。
【0030】
ズームレンズアセンブリ2は、投影画像の拡大倍率が調節され得るように、表示部1によって投影された投影画像を拡大縮小し、第1焦点調節部によってズームレンズの焦点を調節するように構成されている。ズームレンズアセンブリ2による画像の拡大縮小後、画像は歪められ、画質が低下している可能性がある。このように、画質補正レンズアセンブリ3は、出射光の光路においてズームレンズアセンブリ2の後に配置されている。ヘッドアップディスプレイシステムによって投影された投影画像の画質が焦点の変更の間にあまり劣化しないように、画質補正レンズアセンブリ3は、ズームレンズアセンブリ2による光路の変更に起因する画質を調節し、規則的に画質補正レンズの焦点を変更し、オブジェクト平面が静止している場合における画質を補正する。車両200のフロントガラス5はアークガラスであるため、フロントガラス5に投影された投影画像にピンクッション歪み又はバレル歪みが生じる可能性がある。歪みを除去するため、フロントガラス補正レンズアセンブリ4は、光路に配置され、フロントガラス補正レンズアセンブリ4は、投影画像dの高さを調節するように構成されている。
【0031】
上記のズームレンズ及び画質補正レンズのそれぞれは、凹面鏡である。そして、フロントガラス補正レンズ41は、サドルミラーである。
【0032】
表示部1は、任意の既知の構造であってもよい。表示部1は、透過型表示スクリーンと、その透過型表示スクリーン下部の光源部と、を含む。光源部によって生成される光源は、透過型表示スクリーン上に表示される画像を投影するために、透過型表示スクリーンに照射される。本実施形態においては、光源部は、バックライトプレートと、バックライトプレート上に整列して(in an array way)分配されている複数のバックライトとを含む。好適な実施例として、光源部には、複数のバックライトにそれぞれ対応し、整列して分配されている複数の集光レンズが備えられてもよい。集光レンズは、バックライトプレート上に直接配置されていてもよく、集光レンズは、バックライトを覆っていてもよい。集光レンズは、集光基板上に積み重ねられていてもよく、集光基板と一体化されていてもよい。集光レンズは、光を集め、光の利用効率を改善し、出射光を均等にすることを可能にし、より良好な照射効果を達成し得る。
【0033】
「ズームレンズアセンブリ2、画質補正レンズアセンブリ3及びフロントガラス補正レンズアセンブリ4は、出射光の光路に順に配置されている」とは、ズームレンズアセンブリ2が表示部1の出射光の光路に配置され、画質補正レンズアセンブリ3がズームレンズアセンブリ2の出射光の光路に配置され、フロントガラス補正レンズアセンブリ4が画質補正レンズアセンブリ3の出射光の光路に配置され、且つ、フロントガラス補正レンズアセンブリ4の出射光がフロントガラス5に投影されることを意味する。
【0034】
第1焦点調節部及び第2焦点調節部のそれぞれは、特定の形式に限定されない。焦点調節部(第1焦点調節部又は第2焦点調節部)が制御可能であり、且つ、焦点を変更することができる限り、焦点調節部は、電気的に又は機械的に制御され得る。画質補正レンズ及びズームレンズは、総称してレンズと呼ばれることがある。画質補正レンズ又はズームレンズの焦点は、直接に又は間接に変更され得る。例えば、レンズの曲率を変更することによって、焦点は間接的に変更され得る。第1焦点調節部は、第1曲率調節部と呼ばれ、第2焦点調節部は、第2曲率調節部と呼ばれることがある。曲率は、電気的な制御モードによって調節され得る。レンズ上に導電性フィルムを貼り付け、そのレンズの下に導電性基板を配置することによって、導電性フィルムと導電性基板との間に電界が生成され、上向き又は下向きの静電駆動力が生じる。レンズの曲率を変化させるために、レンズの上向き又は下向きの変形が生成されるように、静電駆動力がレンズに加えられる。電界の電圧の値及び方向を変化させることによって、静電駆動力の大きさ及び方向が制御され得る。それゆえ、導電性フィルムと導電性基板との間に加えられる電圧を変化させることにより、ヘッドアップディスプレイシステムの焦点が変えられる。
【0035】
フロントガラス補正レンズアセンブリ4は、投影画像dをフロントガラス5に反射する。フロントガラス5が投影画像dを反射した後、運転者の目aは、フロントガラス5の前に形成された投影画像d(バーチャル画像)を見ることができる。角度調節部44がフロントガラス補正レンズ41を回転させる場合、フロントガラス補正レンズ41の傾斜角度は、投影画像dの高さが変更されるように、変えられる。このようにして、投影画像dの高さは、異なる運転者に応じて自動的に調節され得る。
【0036】
角度調節部44は、フロントガラス補正レンズ41の反射の角度が変更され、ヘッドアップディスプレイシステムの投影画像dの高さが調節され得るように、ブラケット42上のフロントガラス補正レンズ41を僅かな角度で調節するために、ブラケット42を僅かな角度で回転させることにより、ブラケット42を調節するように構成されている。本開示による角度調節部44は、ブラケット42を僅かな角度で調節する機能を有する限り、特定の構造に限定されない。この実施形態においては、特定の実施例が提供される。図5及び6に示されるように、角度調節部44は、調節ハウジング4aと、電気モーター4fと、歯車列と、プッシャー4cと、を含む。
【0037】
電気モーター4fは、ヘッドアップコントローラ6に接続され、ヘッドアップコントローラ6によって制御される。電気モーター4f、歯車列及びプッシャー4cは、調節ハウジング4a内に配置されている。電気モーター4fは、歯車列と係合しているねじ軸4gを含む。プッシャー4cは、ブラケット42の背面に接続されたプッシュエンド4c1と、歯車列と係合した係合端4c2と、を含む。歯車列がプッシャー4cと係合しているため、歯車列の回転運動は、プッシャー4cの直線運動に変換される。プッシャー4cはブラケット42上で動作し、すなわち、投影画像dの高さが調節され得るように、フロントガラス補正レンズ41の反射の角度を調節するために、プッシャー4cは、ブラケット42内のフロントガラス補正レンズ41上で動作する。
【0038】
電気モーター4fは、ステッピングモーター(stepper motor)であってもよい。歯車列によって伝達された電気モーター4fの正転及び逆転は、ブラケット42の反射の角度が調節され得るように、プッシャー4cがねじ込み/ねじ外し(screw in/out)をすることを可能にする。
【0039】
歯車列は、電気モーター4f上のねじ軸4gの回転運動をプッシャー4cに伝達するように構成されている。そして、回転運動は、プッシャー4cの直線運動に変換される。歯車列が回転運動を伝達することができる限り、歯車列における歯車の数は限定されない。歯車の数は、ユーザの要求に応じて決められてもよい。例えば、この実施形態においては、歯車列は、第1歯車4bと、第2歯車4dと、第3歯車4eと、を含む。第3歯車4eは、電気モーター4f上のねじ軸4gと係合している。第2歯車4dは、第1歯車4bと第3歯車4eとにそれぞれ係合している。第1歯車4bには、中央に雌ねじ穴が設けられている。プッシャー4cには、係合端4c2において、雄ねじが設けられている。係合端4c2における雄ねじは、第1歯車4bの雌ねじ穴と係合している。
【0040】
特に、第1歯車4bは、その中央に凸面4b1が設けられ、凸面4b1に雌ねじ穴が配置されている。凸面4b1は、概して、多数の円盤の爪構造4b2の形状である。雌ねじ穴は、爪構造4b2の中央に形成されている。爪構造4b2は、爪構造4b2の外側のガーターばねによって固定されている。爪構造4b2は、取り付け易く、過負荷からの保護に用いられる。
【0041】
プッシャー4cのプッシュエンド4c1は、球である。ブラケット42の背面には、球取付開口422が設けられている。球は、球取付開口422に配置されている。さらに、ハウジング43は、プッシャー4cが貫通するための孔が設けられている。球構造では、ブラケット42の曲線運動(ブラケット42が前後に動き、又は、上下に動く)が実施され得る。球は、任意の角度で回転でき、滑らかに動く。
【0042】
プッシャー4cには、回転運動よりもむしろ直線運動が期待される。従って、回転防止構造が提供される。本開示による回転防止構造は、それがプッシャー4cの回転を防止し得る限り、特定の構造に限定されない。例えば、図8に示されているように、球には回転防止突起4c11が備えられ、回転運動が制限されるように、回転防止突起4c11に対応する回転防止溝423が、ブラケット42の背面上の球取付開口422に配置されている。
【0043】
圧縮ばね4hがハウジング43と角度調節部44との間に配置されている。具体的には、図5−7に示されているように、ハウジング43には、ばね取付カラム4h1が設けられ、角度調節部44にはばね取付カラム4h1のための開口が設けられている。ばね取付カラム4h1は、開口部に挿入されている。圧縮ばね4hは、ばね取付カラム4h1を囲んで配置されている。ハウジング43には、ばね取付カラム4h1が貫通するための孔も設けられている。角度調節部44とブラケット42との間の間隔が調節され、圧縮ばね4hの弾性力と、プッシャー4cからブラケット42へのジャッキ力との間の相互作用によって、ブラケット42が固定されるように、圧縮ばね4hが設けられている。
【0044】
図7に示されているように、ブラケット42が回転軸421の周りを回転できるように、ブラケット42の両側面には回転軸421が設けられ、ハウジング43には回転軸421が配置される対応する軸穴が設けられている。回転軸421は、ブラケット42の背面の中心に配置され、プッシャー4cは、ブラケット42の背面の縁に配置されている。プッシャー4cと回転軸421との間の距離はLである。Lが十分長ければ、ブラケット42が僅かな角度(1°未満)単位で調節され得るように、回転半径が増大され、調節範囲が広げられる。
【0045】
本開示によるヘッドアップディスプレイシステムは、カメラbによって運転者の目aの位置と所定の参照点cの位置とを含む画像を自動的に検出し、シートeと所定の参照点cとの間の実際の水平距離を取得するために、シート検出モジュール7によって運転者のシートeの位置を自動的に検出し、その後、ヘッドアップコントローラ6によって、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離を計算して、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100の投影画像dの高さを制御する。いかなる手動の介入もなく、投影画像dは、投影画像が運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0046】
実施形態2
図1に示されているように、車両200が提供される。車両200は、実施形態1において開示されたヘッドアップディスプレイシステムを含む。
【0047】
車両200のヘッドアップディスプレイシステムのみが改善され、車両200の他の部分は変更されない。ヘッドアップディスプレイシステムは、実施形態1において詳細に説明されているため、ヘッドアップディスプレイシステムについてはここでは説明されない。
【0048】
本開示による車両200は、ヘッドアップディスプレイシステムを含む。ヘッドアップディスプレイシステムは、カメラbによって、運転者の目aの位置及び所定の参照点cの位置を含む画像を自動的に検出し、シートeと所定の参照点cとの間の実際の水平距離を取得するため、シート検出モジュール7によって、運転者のシートeの位置を自動的に検出し、そして、ヘッドアップコントローラ6によって、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離を計算し、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100の投影画像dの高さを制御する。いかなる手動の介入もなく、投影画像dは、投影画像が運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0049】
実施形態3
この実施形態においては、ヘッドアップディスプレイシステムの投影画像dの高さを調節するための方法が提供される。このヘッドアップディスプレイシステムは、実施形態1において説明されたヘッドアップディスプレイシステムである。
【0050】
その方法は、車両内に、且つ、運転者の目aの前に、固定的に配置されたカメラによって、運転者の目aの位置及び所定の参照点cの位置を含む画像を検出することと、シート検出モジュール7によって、水平方向における運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の水平距離を取得するために、車両内の運転者のシートeの位置を検出することと、ヘッドアップコントローラ6によって、画像及び実際の水平距離を取得することと、ヘッドアップコントローラ6によって、画像における運転者の目aと所定の参照点cとの間の位置関係を取得するために、画像を処理することと、ヘッドアップコントローラ6によって、位置関係及び実際の水平距離に従って、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離を生成することと、ヘッドアップコントローラ6によって、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100によって投影された投影画像dの高さを自動的に調節することと、を含む。
【0051】
所定の参照点cの高さは、運転者の目aの平均的な高さとして設定され、カメラbは、所定の参照点cと運転者の目aとを同時に撮影することができる。
【0052】
特に、画像における運転者の目aと所定の参照点cとの間の位置関係を取得するために、画像を処理することは、図2aに示されているように、運転者の目と所定の参照点との間の直線を取得し、垂直方向における直線の高さ対水平方向における直線の長さの比K=|y−y|/|x−x|を取得するために、画像における、運転者の目の座標(x,y)及び所定の参照点の座標(x,y)を取得すること、を含む。直線の長さはRである。直線の水平方向に投影された長さはXであり、X=|x−x|という公式によって表され得る。直線の垂直方向に投影された長さはYであり、Y=|y−y|という公式によって表され得る。このように、高さ対長さの比は、K=Y/Xである。三角形は、直線と、その直線が水平方向に投影された直線と、その直線が垂直方向に投影された直線とによって構成され、当該構成されたものは、画像において三角形と呼ばれることがある。運転者の目aの座標(x,y)と所定の参照点cの座標(x,y)が知られているならば、三角形の形状が決定される。このようにして、直線とその直線が水平方向に投影された直線との間の角度Q1と、直線とその直線が垂直方向に投影された直線との間の角度Q2と、直線、水平方向にその直線が投影された直線及び垂直方向にその直線が投影された直線の各々の長さ、高さ対長さの比が計算され得る。
【0053】
図2bに示されているように、実際のシーンにおいては、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の直線と、水平方向における実際の直線の投影線と、垂直方向における実際の直線の投影線とは、実際の三角形をなす。実際の三角形と画像における三角形は相似の三角形である。このように、実際の直線と実際の直線が水平方向に投影された直線との間の角度はQ1であり、実際の直線と実際の直線が垂直方向に投影された直線との間の角度はQ2であり、実際の直線の水平方向に投影された直線の長さ対実際の直線の垂直方向に投影された直線の長さの比はKである。シート検出モジュール7によって、実際の水平距離Lが取得されるならば、比K及び実際の水平距離Lを用いて、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離H=K*Lが計算され得る。さらに、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の距離が計算され得る。
【数1】
【0054】
位置関係及び取得された実際の水平距離に従って、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離を取得することは、シート検出モジュール7によって、実際の垂直距離を取得するために、取得された実際の水平距離に比Kを乗じることを含む。
【0055】
画像を撮影すること又は画像を処理することの両方において、運転者の目aと所定の参照点とが位置づけられ、それらの座標が取得され得る。例えば、所定の参照点cは、見やすい画像として定義され得る。カメラbが画像を撮影した後、所定の参照点cは画像と見やすい画像とを比較することにより位置づけられ得る。同様に、運転者の目aは、様々な目認識技術によって位置づけられ得る。例えば、運転者の目aは、データベースにおける運転者の目aを目の写真と比較することによって位置づけられ得る。運転者の目aの座標と所定の参照点cの座標が取得されるように、運転者の目aと所定の参照点cとが同一の標準参照に配置される。さらに、運転者の目aと所定の参照点cは、運転者の目aと所定の参照点cを赤外線検出技術によって検出することで位置づけられてもよい。運転者の目aは、顔認識技術によって運転者の顔を識別し、顔における運転者の目の位置を計算することによって、位置づけられ得る。
【0056】
特に、画像における運転者の目の座標(x,y)及び所定の参照点の座標(x,y)を取得することは、カメラbによって、赤外光源で運転者の目aの位置を取得すること(すなわち、運転者の目aの位置は、一般的な赤外線照射の能動的検出方法で検出される。目の生理学的特徴に基づき、つまり、運転者の目aが位置づけられるように、網膜による、異なる波長での赤外線の反射は異なって、運転者の目aの位置は画像において強調表示される。)と、所定の参照点cを見やすい画像又は特定の赤外線を反射する画像として定義することと、所定の参照点cの位置を取得するために、カメラbによって撮影された見やすい画像又は画像における特定の赤外線を反射する画像を位置づけることと、運転者の目aの座標(x,y)及び所定の参照点cの座標(x,y)を取得するために、運転者の目a及び所定の参照点cを同一の参照標準に配置することと、を含む。
【0057】
代替的実施例として、画像における運転者の目の座標(x,y)及び所定の参照点の座標(x,y)を取得することは、顔認識技術によって画像における運転者の顔を特定し、顔における目aの位置を計算することと(特に、ケンブリッジ大学提供の顔データベースAT&Tでは、2次元主成分分析及びフィッシャー線形判別分析と組み合わせられた顔認識技術によって、運転者の顔が特定され得る。)、所定の参照点cを見やすい画像として定義することと、所定の参照点cの位置を取得するために、カメラbによって撮影された画像における見やすい画像を位置づけることと、運転者の目aの座標(x,y)及び所定の参照点cの座標(x,y)を取得するために、運転者の目a及び所定の参照点cを同一の参照標準に配置することと、を含む。
【0058】
実際の垂直距離に従ってプロジェクター100によって投影された投影画像dの高さを自動的に調節することは、角度調節部がフロントガラス補正レンズアセンブリ内のブラケットを制御して回転させるように、ヘッドアップコントローラによって、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100内のフロントガラス補正レンズアセンブリの角度調節部の動きを自動的に制御することと、プロジェクター100から投影された投影画像dの高さを自動的に調節するために、ブラケットによって、フロントガラス補正レンズを回転させるように駆動することと、を含む。
【0059】
角度調節部がフロントガラス補正レンズアセンブリ内のブラケットを制御して回転させるように、ヘッドアップコントローラによって、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100内のフロントガラス補正レンズアセンブリの角度調節部の動きを自動的に制御することは、ブラケットを回転させるように制御するため、電気モーターがプッシャーを駆動して動かし、プッシャーがブラケットを押してブラケットの回転を制御するように、実際の垂直距離に従って、角度調節部内の電気モーターの回転を自動的に制御すること、を含む。
【0060】
本開示によるヘッドアップディスプレイシステムの投影画像dの高さの調節方法では、カメラbによって、運転者の目aと所定の参照点cの位置を含む画像が自動的に検出され、シートeと所定の参照点cとの間の実際の水平距離を取得するために、シート検出モジュール7によって、運転者のシートeの位置が自動的に検出され、ヘッドアップコントローラ6によって、運転者の目aと所定の参照点cとの間の実際の垂直距離が計算され、実際の垂直距離に従って、プロジェクター100の投影画像dの高さが制御される。いかなる手動の介入もなく、投影画像は、投影画像が運転者によって快適に見られる適切な位置に配置され得る。
【0061】
説明のための実施形態が示され、説明されたが、当業者においては、上記の実施形態は、本開示を限定するように解釈されず、本開示の本質、原理及び範囲から離れることなく、変更、代替、改変が可能であることを理解されたい。
【0062】
(付記)
(付記1)
車両内に適用されるように構成されたヘッドアップディスプレイシステムであって、
前記車両内に配置され、運転者の目に投影画像が反射されるように当該投影画像をフロントガラスに投影するように構成された、プロジェクターと、
前記車両内に、且つ、前記運転者の目の前に、固定的に配置され、前記運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像を検出するように構成された、カメラと、
水平方向における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の実際の水平距離を取得するために、前記車両内の前記運転者のシートの位置を検出するように構成された、シート検出モジュールと、
前記画像及び前記実際の水平距離を取得し、前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の位置関係を取得するために前記画像を処理し、前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って前記運転者の目と前記所定の参照点との間の実際の垂直距離を生成し、前記実際の垂直距離に従って前記プロジェクターからの前記投影画像の高さを自動的に調節するように構成された、ヘッドアップコントローラと、
を備える、ヘッドアップディスプレイシステム。
【0063】
(付記2)
前記カメラは、前記車両内のダッシュボード表面上、前記フロントガラス表面上又は当該車両の屋根に配置されている、
付記1に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0064】
(付記3)
前記プロジェクターは、
表示部と、
前記表示部の出射光の光路に配置され、前記フロントガラスが前記運転者の目に前記投影画像を反射するように、前記表示部によって投影された前記投影画像を前記フロントガラスに反射するように構成された、3ミラー光アセンブリであって、
ズームレンズアセンブリと、
画質補正レンズアセンブリと、
前記フロントガラスによって引き起こされる画像の歪みを補正し、前記出射光の角度を調節するように構成された、フロントガラス補正レンズアセンブリと、を備える、
3ミラー光アセンブリと、を備える、
付記1又は2に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0065】
(付記4)
前記ズームレンズアセンブリ、前記画質補正レンズアセンブリ及び前記フロントガラス補正レンズアセンブリは、前記出射光の前記光路に順に配置されている、
付記3に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0066】
(付記5)
前記フロントガラス補正レンズアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に配置されたブラケットと、
前記ハウジングに配置され、前記ブラケットと接続され、前記ヘッドアップコントローラの制御下で前記ブラケットを回転するように駆動するように構成された角度調節部と、
前記ブラケットに配置され、前記フロントガラスによって引き起こされる前記歪みを補正し、前記出射光の前記角度を調節するように構成された、フロントガラス補正レンズと、を備える、
付記3又は4に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0067】
(付記6)
前記角度調節部は、調節ハウジングと、電気モーターと、歯車列と、プッシャーと、を備え、
前記電気モーター、前記歯車列及び前記プッシャーは、前記調節ハウジング内に配置され、
前記電気モーターは、前記ヘッドアップコントローラに接続されると共に、前記歯車列と係合したねじ軸を備え、
前記プッシャーは、前記ブラケットの背面に接続されたプッシュエンドと、前記歯車列と係合した係合端と、を有し、
前記歯車列の回転運動は、前記プッシャーの直線運動に変換される、
付記5に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0068】
(付記7)
前記ヘッドアップコントローラには、内部又は外部に画像処理モジュールが設けられ、
前記画像処理モジュールは、前記画像における前記運転者の目と前記参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理するように構成された、
付記1乃至6のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【0069】
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステムを備えた車両。
【0070】
(付記9)
前記カメラによって、前記運転者の目の位置及び所定の参照点の位置を含む画像を検出することと、
前記シート検出モジュールによって、前記水平方向における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の水平距離を取得するために、前記車両内の前記運転者の前記シートの前記位置を検出することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記画像及び前記実際の水平距離を取得することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って、前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の垂直距離を生成することと、
前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節することと、
を含む、付記1乃至7のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステムの投影画像の高さを調節するための方法。
【0071】
(付記10)
前記所定の参照点の高さは、前記運転者の目の平均的な高さとして判別され、前記カメラは、前記所定の参照点と前記運転者の目の両方を同時に撮影するように構成された、
付記9に記載の方法。
【0072】
(付記11)
前記画像における前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記位置関係を取得するために、前記画像を処理することは、
前記運転者の目と前記所定の参照点との間の直線を取得すると共に、垂直方向における前記直線の高さ対前記水平方向における前記直線の長さの比K=|y−y|/|x−x|を取得するために、前記画像における前記運転者の目の座標(x,y)及び前記所定の参照点の座標(x,y)を取得すること、
を含む、付記9又は10に記載の方法。
【0073】
(付記12)
前記位置関係及び前記実際の水平距離に従って、前記運転者の目と前記所定の参照点との間の前記実際の垂直距離を取得することは、
前記シート検出モジュールによって、前記実際の垂直距離を取得するために、前記実際の水平距離に前記比Kを乗じること、
を含む、付記11に記載の方法。
【0074】
(付記13)
前記画像における前記運転者の目の座標(x,y)及び前記所定の参照点の座標(x,y)を取得することは、
前記カメラによって、前記運転者の目の位置を取得することと、
前記所定の参照点を見やすい画像又は特定の赤外線を反射する画像と定義することと、
前記所定の参照点の位置を取得するために、前記画像において前記見やすい画像又は前記特定の赤外線を反射する前記画像を位置づけることと、
前記運転者の目の前記座標(x,y)及び前記所定の参照点の前記座標(x,y)を取得するために、前記運転者の目及び前記所定の参照点を同一の標準参照に配置することと、
を含む、付記11又は12に記載の方法。
【0075】
(付記14)
前記画像における前記運転者の目の座標(x,y)及び前記所定の参照点の座標(x,y)を取得することは、
顔認識技術に従って前記画像における前記運転者の顔を認識し、当該顔における前記運転者の目の位置を計算することと、
前記所定の参照点を見やすい画像と定義し、前記所定の参照点の位置を取得するために、前記画像における前記見やすい画像を位置づけることと、
前記運転者の目の前記座標(x,y)及び前記所定の参照点の前記座標(x,y)を取得するために、前記運転者の目及び前記所定の参照点を同一の標準参照に配置することと、
を含む、付記11又は12に記載の方法。
【0076】
(付記15)
前記実際の垂直距離に従って、前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節することは、
前記角度調節部が前記ブラケットを回転させるように制御するように、前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記角度調節部の動きを自動的に制御することと、
前記プロジェクターから投影された前記投影画像の前記高さを自動的に調節するために、前記ブラケットによって、前記フロントガラス補正レンズを回転させるように駆動することと、
を含む、付記9乃至14のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
(付記16)
前記角度調節部が前記ブラケットを回転させるように制御するように、前記ヘッドアップコントローラによって、前記実際の垂直距離に従って、前記角度調節部の動きを自動的に制御することは、
前記電気モーターが前記プッシャーを駆動して動かし、当該プッシャーが前記ブラケットを押して当該ブラケットの回転を制御するように、前記実際の垂直距離に従って、前記電気モーターの回転を自動的に制御すること、
を含む、付記15に記載の方法。
【0078】
(付記17)
デバイスのプロセッサによって実行されるとき、当該デバイスに付記9乃至16のいずれか1つに記載の方法を実行させる命令を格納した不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8