特許第6444535号(P6444535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000002
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000003
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000004
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000005
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000006
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000007
  • 特許6444535-スクロール圧縮機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444535
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   F04C18/02 311M
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-551420(P2017-551420)
(86)(22)【出願日】2015年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2015082240
(87)【国際公開番号】WO2017085783
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2017年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 祐司
(72)【発明者】
【氏名】永田 英彰
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−343454(JP,A)
【文献】 特開平07−151080(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/042977(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/194000(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定スクロールと、
前記固定スクロールに対して揺動する揺動スクロールと、
前記揺動スクロールに回転駆動力を伝達する主軸と、
前記主軸の一端に設けられ、前記主軸の中心軸に対して所定の偏芯方向に偏芯した偏芯軸部と、
前記偏芯軸部を摺動自在に嵌入させるスライド溝が形成されたスライダと、
前記揺動スクロールに設けられ、前記スライダを回転自在に支持する揺動軸受と、を備え、
前記スライダは、
前記揺動軸受に支持されるスライダ部材と、
前記スライダ部材と別部材であって前記スライダ部材に対して固定され、前記揺動スクロールに作用する遠心力を相殺するバランサ部材と、を有しており、
前記バランサ部材は、
前記偏芯方向の逆方向を反偏芯方向としたとき、
前記スライダの回転中心よりも前記反偏芯方向側に設けられたメインウエイト部と、
前記スライダ部材を前記偏芯方向側から支持する支持部と、を有しており、
前記スライダ部材は、
前記支持部に当接し、前記反偏芯方向における前記バランサ部材の荷重を支持する反偏芯方向荷重支持面と、
前記反偏芯方向荷重支持面よりも前記偏芯方向側に設けられ、前記中心軸と平行な一方向における前記バランサ部材の荷重を支持する第1軸方向荷重支持面と、
前記反偏芯方向荷重支持面よりも前記反偏芯方向側に設けられ、前記一方向とは逆方向における前記バランサ部材の荷重を支持する第2軸方向荷重支持面と、を有しているスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記第1軸方向荷重支持面は、前記支持部に当接しており、
前記第2軸方向荷重支持面は、前記メインウエイト部に当接している請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
前記反偏芯方向荷重支持面は平面状に形成されている請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記反偏芯方向荷重支持面は円弧状に形成されている請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記バランサ部材は、前記スライダ部材に対して接着材のみによって固定されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記バランサ部材は、前記第1軸方向荷重支持面と当接する第1当接面と、前記第2軸方向荷重支持面と当接する第2当接面と、を有しており、
前記第1当接面と前記第2当接面との間の前記中心軸方向における距離h1と、前記第1軸方向荷重支持面と前記第2軸方向荷重支持面との間の前記中心軸方向における距離h2とは、0.5[mm]>(h2−h1)>0[mm]の関係を満たしている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動ガスを圧縮するスクロール圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スクロール形流体機械のスイングリンクが記載されている。このスイングリンクは、それぞれ各別に分割形成されたブッシュ部とウエイト部とを備えている。ブッシュ部は、駆動軸のドライブピンに挿嵌される挿嵌孔を有しており、可動スクロールの筒状ボス部内にジャーナル軸受を介して嵌合する。ブッシュ部は、挿嵌孔が偏芯位置に形成されたストレートな筒体である。ブッシュ部とウエイト部とは、平板を介して結合されている。ブッシュ部は、平板に形成された挿通孔に圧入されている。ウエイト部は、複数の連結ピンを介して平板に結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−74588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたスイングリンクでは、ウエイト部の回転により発生する遠心力が連結ピンに作用する。これにより、連結ピンが破損してしまうおそれがある。また、特許文献1に記載されたスイングリンクでは、ウエイト部の遠心力により、平板には転覆しようとするモーメントが発生する。これにより、平板とブッシュ部との間にずれが発生してしまうおそれがある。したがって、特許文献1に記載されたスクロール形流体機械では、スイングリンクにおける信頼性が低いという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクロール圧縮機は、固定スクロールと、前記固定スクロールに対して揺動する揺動スクロールと、前記揺動スクロールに回転駆動力を伝達する主軸と、前記主軸の一端に設けられ、前記主軸の中心軸に対して所定の偏芯方向に偏芯した偏芯軸部と、前記偏芯軸部を摺動自在に嵌入させるスライド溝が形成されたスライダと、前記揺動スクロールに設けられ、前記スライダを回転自在に支持する揺動軸受と、を備え、前記スライダは、前記揺動軸受に支持されるスライダ部材と、前記スライダ部材と別部材であって前記スライダ部材に対して固定され、前記揺動スクロールに作用する遠心力を相殺するバランサ部材と、を有しており、前記バランサ部材は、前記偏芯方向の逆方向を反偏芯方向としたとき、前記スライダの回転中心よりも前記反偏芯方向側に設けられたメインウエイト部と、前記スライダ部材を前記偏芯方向側から支持する支持部と、を有しており、前記スライダ部材は、前記支持部に当接し、前記反偏芯方向における前記バランサ部材の荷重を支持する反偏芯方向荷重支持面と、前記反偏芯方向荷重支持面よりも前記偏芯方向側に設けられ、前記中心軸と平行な一方向における前記バランサ部材の荷重を支持する第1軸方向荷重支持面と、前記反偏芯方向荷重支持面よりも前記反偏芯方向側に設けられ、前記一方向とは逆方向における前記バランサ部材の荷重を支持する第2軸方向荷重支持面と、を有しているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バランサ部材の遠心力によって生じる反偏芯方向におけるバランサ部材の荷重は、スライダ部材の反偏芯方向荷重支持面で支持される。反偏芯方向荷重支持面まわりのモーメントによって生じる中心軸方向におけるバランサ部材の荷重は、スライダ部材の第1軸方向荷重支持面及び第2軸方向荷重支持面で支持される。これにより、バランサ部材の遠心力によってスライダ部材とバランサ部材との間に作用する力は、反偏芯方向荷重支持面、第1軸方向荷重支持面及び第2軸方向荷重支持面のそれぞれを介した押付け荷重によって釣り合う。したがって、バランサ部材の遠心力によってスライダ部材とバランサ部材とがより強固に固定されるため、スクロール圧縮機の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の概略の軸方向断面を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す上面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す下面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダ30の軸方向断面を示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の運転中においてバランサ部材50に作用する遠心力と、この遠心力によってバランサ部材50からスライダ部材40に作用する荷重と、を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダ部材40及びバランサ部材50のそれぞれの軸方向断面を示す断面図である。
図7】本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機について説明する。図1は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機の概略の軸方向断面を示す模式図である。スクロール圧縮機は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍機、給湯装置等に用いられる冷凍サイクル装置の構成要素の1つとなるものである。本実施の形態では、スクロール圧縮機として、主軸が鉛直方向に沿って配置される縦置き型のスクロール圧縮機を例示している。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明における各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、スクロール圧縮機を使用可能な状態に設置したときのものである。
【0010】
スクロール圧縮機は、冷凍サイクル装置の冷媒回路を循環する冷媒(作動ガスの一例)を吸入して圧縮し、高温高圧の状態にして吐出するものである。図1に示すように、スクロール圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部20と、圧縮機構部20を駆動する電動機部21と、圧縮機構部20及び電動機部21を収容する密閉容器1と、を有している。圧縮機構部20は、密閉容器1内の上部に配置されている。電動機部21は、密閉容器1内において圧縮機構部20よりも下方に配置されている。
【0011】
密閉容器1は、円筒状の胴部1aと、胴部1aの上端に配置された蓋部1bと、胴部1aの下端に配置された底部1cと、を有している。胴部1aと蓋部1bとの間、及び胴部1aと底部1cとの間は、溶接等により互いに気密に接合されている。
【0012】
圧縮機構部20は、フレーム2を介して密閉容器1に対して固定された固定スクロール3と、固定スクロール3に対して揺動(すなわち、公転運動)する揺動スクロール4と、を有している。固定スクロール3は、台板3aと、台板3aの一方の面に設けられた渦巻状のラップ部3bと、を有している。揺動スクロール4は、台板4aと、台板4aの一方の面に設けられた渦巻状のラップ部4bと、を有している。固定スクロール3及び揺動スクロール4は、それぞれのラップ部3b、4b同士が噛み合うように組み合わされている。ラップ部3bとラップ部4bとの間には、冷媒が圧縮される圧縮室が形成される。
【0013】
固定スクロール3の台板3aの中心部には、圧縮された冷媒を圧縮室から吐出する吐出ポート22が台板3aを貫通して形成されている。吐出ポート22の出口側には、吐出チャンバー23が設けられている。吐出チャンバー23の吐出口には、リード弁構造の吐出弁24が設けられている。
【0014】
揺動スクロール4の台板4aにおいてラップ部4bが形成された面とは反対側の面の中心部には、円筒状のボス部4cが形成されている。ボス部4cの内周側には、後述するスライダ30の円筒部41を回転自在に支持する揺動軸受14(ジャーナル軸受)が設けられている。揺動軸受14の中心軸は、主軸7の中心軸と平行になっている。
【0015】
揺動スクロール4とフレーム2との間には、オルダムリング12が設けられている。オルダムリング12は、リング部と、リング部の上面に形成された一対のオルダムキーと、リング部の下面に形成された一対のオルダムキーと、を有している。上面のオルダムキーは、揺動スクロール4に形成されたキー溝に挿入されており、一方向に摺動自在となっている。下面のオルダムキーは、フレーム2に形成されたキー溝に挿入されており、上記一方向と交差する方向に摺動自在となっている。この構成により、揺動スクロール4は、自転せずに公転運動するようになっている。
【0016】
電動機部21は、密閉容器1の内周に固定されたステータ5と、ステータ5の内周側に配置されたロータ6と、ロータ6に固定された主軸7と、を有している。ステータ5に通電されると、ロータ6は、主軸7と一体となって回転するようになっている。主軸7の上部は、主軸受部16を介してフレーム2によって回転自在に支持されている。主軸7の下部は、副軸受部17(例えば、ボールベアリング)を介してサブフレーム18によって回転自在に支持されている。以下、主軸7の中心軸と平行な方向を単に「軸方向」という場合がある。
【0017】
主軸7の上端部には、偏芯軸部7aが設けられている。偏芯軸部7aは、主軸7の中心軸に対して所定の偏芯方向に偏芯して配置されている。偏芯軸部7aは、後述するスライダ30のスライド溝43に摺動自在に嵌入している。
【0018】
密閉容器1の底部には、潤滑油を貯留する油溜め8が設けられている。主軸7の下端には、油溜め8の潤滑油を吸い上げるオイルポンプ9が設けられている。主軸7の内部には、主軸7の軸方向に延伸した油穴13が形成されている。オイルポンプ9によって油溜め8から吸い上げられた潤滑油は、油穴13を通って、揺動軸受14を含む各摺動部に供給されるようになっている。また、フレーム2には、フレーム2内の潤滑油を油溜め8に戻す排油パイプ15が接続されている。
【0019】
主軸7の上部には、揺動スクロール4の揺動によるアンバランスを相殺する第1バランサ19aが設けられている。ロータ6の下部には、揺動スクロール4の揺動によるアンバランスを相殺する第2バランサ19bが設けられている。
【0020】
また、密閉容器1には、外部から低圧のガス冷媒を吸入する吸入管10と、圧縮された高圧のガス冷媒を外部に吐出する吐出管11と、が設けられている。
【0021】
ここで、スクロール圧縮機の全体的な動作を簡単に説明する。ステータ5に通電されると、ロータ6が回転する。ロータ6の回転駆動力は、主軸7、偏芯軸部7a及びスライダ30を介して揺動スクロール4に伝達される。回転駆動力が伝達された揺動スクロール4は、オルダムリング12により自転を規制され、固定スクロール3に対して揺動運動を行う。
【0022】
揺動スクロール4の揺動運動に伴い、吸入管10から密閉容器1内に吸入された低圧のガス冷媒は、フレーム2に形成された不図示の吸入ポートを通って圧縮室に取り込まれ、圧縮室内で圧縮される。圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出ポート22を介して吐出チャンバー23内に吐出される。吐出チャンバー23内の高圧のガス冷媒は、吐出弁24を押し上げて固定スクロール3と密閉容器1との間の高圧空間に吐出された後、吐出管11からスクロール圧縮機の外部に吐出される。
【0023】
図2は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す上面図である。図3は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す下面図である。図2及び図3では、揺動スクロール4の偏芯方向(すなわち、主軸7の中心軸に対する偏芯軸部7aの偏芯方向)を白抜き太矢印で示している。また、図2及び図3では、主軸7の中心軸に直交する平面内において、スライダ30の回転中心Oを原点とし、揺動スクロール4の偏芯方向と平行にX軸をとり、X軸と直交する方向にY軸をとっている。X軸において、揺動スクロール4の偏芯方向の逆方向(反偏芯方向)を正とする。すなわち、+X方向は揺動スクロール4の反偏芯方向と一致し、−X方向は揺動スクロール4の偏芯方向と一致する。X軸とY軸との交点は、回転中心Oである。回転中心Oは、主軸7の中心軸上に位置している。
【0024】
スライダ30は、揺動スクロール4の公転半径を固定スクロール3のラップ部3bの側面形状に沿って変更させる可変クランク機構を構成するものである。図2及び図3に示すように、スライダ30は、揺動軸受14に回転自在に支持されるスライダ部材40と、揺動スクロール4に作用する遠心力の少なくとも一部を相殺するバランサ部材50と、を有している。スライダ部材40及びバランサ部材50は、互いに別体に形成された別部材であり、例えば互いに異なる素材で形成されている。スライダ部材40及びバランサ部材50のそれぞれは、一体構造となっている。スライダ部材40及びバランサ部材50は、締結部材70(例えば、ボルト、リベット、ピン等)を用いて互いに固定されている。なお、図2及び図3では、スライダ部材40及びバランサ部材50のそれぞれの形状を把握しやすくするために、バランサ部材50にドットハッチングを付している。
【0025】
スライダ部材40は、揺動軸受14に回転摺動自在に支持される円筒部41と、円筒部41の下端部付近から外周側に張り出した平板部42と、を有している。円筒部41及び平板部42を含むスライダ部材40は、一体構造となっている。円筒部41は、揺動軸受14に対する摺動面となる円筒形状の外周面を備えている。円筒部41の内周側には、偏芯軸部7aを一方向に摺動自在に嵌入させる長穴形状のスライド溝43が形成されている。本例では、偏芯軸部7aとスライド溝43との摺動方向は、揺動スクロール4の偏芯方向に対して傾いている。平板部42は、円筒部41に対して+X側に偏って形成されている。平板部42は、円筒部41の下端部の外周に形成される円環状鍔部72(図4参照)の一部を構成する。
【0026】
バランサ部材50は、回転中心Oよりも+X側に設けられたメインウエイト部51と、スライダ部材40の下端部を−X側から支持してスライダ30の転覆を防止する支持部52と、を有している。メインウエイト部51及び支持部52を含むバランサ部材50は、一体構造となっている。以下の説明では、支持部52を転覆防止ウエイト部という場合もある。支持部52の大部分は回転中心Oよりも−X側に形成されており、支持部52の一部は回転中心Oよりも+X側に形成されている。支持部52は、スライダ部材40の平板部42と概ね同一面内に配置され、+Y方向、−X方向及び−Y方向の三方から平板部42を囲むU字状の平面形状を有している。支持部52は、円筒部41の下端部の外周に形成される円環状鍔部72(図4参照)の他部を構成する。すなわち、支持部52と平板部42とが組み合わされると、円筒部41の下端部の外周には、当該円筒部41と同軸の円環状鍔部72が形成される。円環状鍔部72は、揺動スクロール4のボス部4c及び揺動軸受14よりも下方に位置する。
【0027】
バランサ部材50は全体として、揺動スクロール4の遠心力を相殺するために、回転中心Oよりも+X側に偏芯して設けられている。バランサ部材50の遠心力によって揺動スクロール4の遠心力が相殺されることにより、揺動スクロール4のラップ部4bに作用する半径方向の荷重が低減される。このため、揺動スクロール4の信頼性を向上できるとともに、揺動スクロール4のラップ部4bと固定スクロール3のラップ部3bとの間の摺動損失を低減できる。
【0028】
ここで、スライダ部材40及びバランサ部材50に求められる形状及び機能について説明する。スライダ部材40の円筒部41は、揺動軸受14と摺動するため、高精度の真円度、円筒度及び面粗さが要求される。一方、バランサ部材50は、大きな遠心力を発生させるために、高密度素材で形成されることが要求される。
【0029】
また、揺動軸受14における片当たりを防止するためには、軸方向において、スライダ30の遠心力作用中心の位置と、揺動軸受14の中心位置とを一致させる必要がある。スライダ30の遠心力作用中心の位置と揺動軸受14の中心位置とがずれると、スライダ30が転覆しようとし、スライダ部材40の円筒部41と揺動軸受14との間で片当たりが発生する。したがって、スライダ30には、揺動スクロール4の遠心力を相殺するためのメインウエイト部51に加えて、メインウエイト部51とは逆向きに偏芯した転覆防止ウエイト部を設ける必要がある。
【0030】
次に、スライダ30の製造上の課題について説明する。上述の通り、揺動軸受14と摺動する円筒部41の外周面は、高精度の仕上げ加工を要する。しかしながら、スライダ30のスライダ部とバランサ部とが一体成型されている場合、バランサ部が邪魔になるため、円筒部41の外周面に回転研磨等の仕上げ加工を行うことが困難となる。また、本来、スライダ部には摺動特性(例えば、耐焼付性、耐摩耗性等を含む)が求められ、バランサ部には高密度及び高強度が求められる。スライダ部とバランサ部とが一体成型される場合には、スライダ部とバランサ部とを同一素材で形成する必要があるため、スライダ部に求められる特性とバランサ部に求められる特性とを両立させるのが困難である。一方、本実施の形態のように、スライダ30がスライダ部材40とバランサ部材50とに分割された分割構造である場合には、円筒部41の仕上げ加工が容易になるため、円筒部41の真円度、円筒度及び面粗さの精度を向上できる。また、スライダ30を分割構造とした場合には、スライダ部材40を摺動特性に優れた素材で形成し、バランサ部材50を高密度素材又は高強度素材で形成することができる。このため、スライダ部材40に求められる特性とバランサ部材50に求められる特性とを両立させることができる。
【0031】
バランサ部材50の支持部52は、スライダ部材40の空転を防止する平面状の回転止め面52a、52bを有している。回転止め面52a、52bは、例えばいずれもY軸に垂直な平面であり、スライダ部材40の平板部42を挟んで互いに対向している。回転止め面52a、52bは、平板部42に形成された平面状の端面42a、42bとそれぞれ当接している。これにより、スライダ部材40に対するバランサ部材50の空転を防ぐことができるため、スライダ部材40とバランサ部材50との間に位相ずれが生じるのを防ぐことができる。
【0032】
図4は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機のスライダ30の軸方向断面を示す断面図である。図4中において右方向は+X方向を表しており、左方向は−X方向を表している。図4に示すように、回転中心Oよりも−X側において、支持部52とスライダ部材40との接触部分には、概ね相補的な段差構造60が形成されている。段差構造60は、軸方向で互いに隣接する上段部60aと下段部60bとを備えている。
【0033】
スライダ部材40側の上段部60aには、平板部42の一部として、−X方向に突出する突出部44が形成されている。突出部44の先端には、概ね−X方向を向いた先端面44aが形成されている。先端面44aの少なくとも一部は、X軸に垂直な平面となっている。支持部52側の上段部60aには、概ね+X方向を向いた対向面52cが形成されている。対向面52cは、隙間61を介して先端面44aと対向している。対向面52cの少なくとも一部は、X軸に垂直な平面となっている。
【0034】
スライダ部材40側の下段部60bには、平面状の水平方向荷重支持面44bが形成されている。水平方向荷重支持面44bは、X軸に垂直に形成され、−X方向を向いている。水平方向荷重支持面44bは、先端面44aよりも+X側に位置している。支持部52側の下段部60bには、平面状の当接面52dが形成されている。当接面52dは、X軸に垂直に形成され、+X方向を向いている。当接面52dは、対向面52cよりも+X側に位置している。当接面52dは、水平方向荷重支持面44bに当接(例えば、面接触)している。
【0035】
スライダ部材40において突出部44の下面、すなわち、先端面44aと水平方向荷重支持面44bとの間には、第1鉛直方向荷重支持面44cが形成されている。第1鉛直方向荷重支持面44cは、軸方向と垂直となるように水平に形成され、下方向を向いている。第1鉛直方向荷重支持面44cは、水平方向荷重支持面44bよりも−X側に位置している。
【0036】
支持部52において、対向面52cと当接面52dとの間には、当接面52eが形成されている。当接面52eは、軸方向と垂直となるように水平に形成され、上方向を向いている。当接面52eは、当接面52dよりも−X側に位置している。当接面52eは、第1鉛直方向荷重支持面44cに当接(例えば、面接触)している。
【0037】
メインウエイト部51は、概ね部分円筒状の形状を有している。メインウエイト部51は、円筒部41の外周側であって回転中心Oよりも+X側となる部分に設けられている。メインウエイト部51は、揺動スクロール4の揺動軸受14及びボス部4cが配置される隙間71を介して、円筒部41に沿って形成されている。なお、本例のメインウエイト部51は回転中心Oよりも+X側となる部分のみに設けられているが、メインウエイト部51の一部は回転中心Oよりも−X側となる部分に設けられていてもよい。
【0038】
また、メインウエイト部51の一部は、平板部42上に配置されている。平板部42の上面のうち、メインウエイト部51に当接する部分は、第2鉛直方向荷重支持面42cとなる。第2鉛直方向荷重支持面42cは、軸方向と垂直となるように水平に形成され、上方向を向いている。第2鉛直方向荷重支持面は、水平方向荷重支持面44bよりも+X側に位置している。第2鉛直方向荷重支持面42cには、メインウエイト部51の下面の一部である当接面51aが当接している。当接面51aは、軸方向と垂直となるように水平に形成され、下方向を向いている。第2鉛直方向荷重支持面42c及び当接面51aは、スライダ部材40とバランサ部材50との間の締結面を兼ねている。すなわち、スライダ部材40とバランサ部材50とは、互いに当接する第2鉛直方向荷重支持面42c及び当接面51aを介して、締結部材70(例えば、ボルト、リベット、ピン等)によって締結されている。
【0039】
図5は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機の運転中においてバランサ部材50に作用する遠心力と、この遠心力によってバランサ部材50からスライダ部材40に作用する荷重と、を示す図である。図5は、図4と同一の断面を示している。また図5では、図4で付した符号の一部を省略している。
【0040】
図5に示すように、スクロール圧縮機の運転中には、スライダ30が回転中心Oを中心として回転するため、スライダ30の一部であるバランサ部材50には+X方向の遠心力Fcが作用する。遠心力Fcにより、スライダ部材40の水平方向荷重支持面44bには、バランサ部材50からの+X方向の水平方向荷重Fhが作用する。バランサ部材50は、水平方向荷重支持面44bから−X方向の反力を受ける。この反力は、バランサ部材50に作用する+X方向の遠心力Fcと逆向きで等しい大きさを有する。
【0041】
ここで、バランサ部材50の遠心力作用中心C1は、揺動軸受14の軸方向中心とほぼ同じ高さに位置している。一方、水平方向荷重支持面44bは、揺動軸受14よりも下方に位置している。すなわち、遠心力作用中心C1の位置は、水平方向荷重支持面44bの位置よりも上方にずれている。このため、バランサ部材50には、水平方向荷重支持面44bを中心として、図5中の時計回り方向の転覆モーメントが生じる。
【0042】
この転覆モーメントにより、バランサ部材50には、水平方向荷重支持面44bよりも−X側では上向きの鉛直方向荷重Fv1が作用し、水平方向荷重支持面44bよりも+X側では下向きの鉛直方向荷重Fv2が作用する。上向きの鉛直方向荷重Fv1は、スライダ部材40の第1鉛直方向荷重支持面44cで支持され、下向きの鉛直方向荷重Fv2は、スライダ部材40の第2鉛直方向荷重支持面42cで支持される。
【0043】
このように、スライダ部材40とバランサ部材50との間に作用する力は、水平方向荷重支持面44b、第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cのそれぞれを介した押付け荷重によって釣り合う。これにより、締結部材70に剪断荷重や引張荷重などの荷重が作用するのを防ぐことができるため、締結部材70の信頼性を向上させることができる。
【0044】
支持部52は、スライダ部材40に+X方向の水平方向荷重Fhを作用させるとともに、スライダ部材40から−X方向の反力を受ける。支持部52は、バランスウエイトとしての機能上、大きな半径方向幅を有しているため、半径方向で高い強度及び剛性を持っている。したがって、スライダ部材40からの−X方向の反力を支持部52で支持することにより、高い信頼性が得られる。
【0045】
特に、本実施の形態では、スライダ部材40の水平方向荷重支持面44bに当接する当接面52dが、支持部52の下段部60bに設けられている。支持部52の下段部60bは、支持部52の上段部60aよりも大きい半径方向幅を有しているため、上段部60aよりも高い強度及び剛性を持っている。したがって、本実施の形態の構成ではより高い信頼性が得られる。
【0046】
また、本実施の形態では、第1鉛直方向荷重支持面44cは支持部52の当接面52eに当接しており、第2鉛直方向荷重支持面42cはメインウエイト部51の当接面51aに当接している。第1鉛直方向荷重支持面44cと第2鉛直方向荷重支持面42cとの間の距離は十分に長いため、バランサ部材50に生じる転覆モーメントを長い腕長さで支持することができる。したがって、第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cのそれぞれに作用する荷重を小さく抑えることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、スライダ30がスライダ部材40とバランサ部材50とに分割された分割構造である。したがって、円筒部41の仕上げ加工が容易になるため、円筒部41の真円度、円筒度及び面粗さの精度を向上できる。さらに、本実施の形態では、圧入や焼嵌め等を用いずにスライダ部材40とバランサ部材50とを組み立てることができる。したがって、スライダ30の組立工程で円筒部41の真円度及び円筒度が悪化してしまうのを防ぐことができる。
【0048】
また、本実施の形態では、水平方向荷重支持面44b及び当接面52dの双方が平面状であるため、水平方向荷重支持面44bと当接面52dとの接触面積を容易に調整できる。
【0049】
図6は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機のスライダ部材40及びバランサ部材50のそれぞれの軸方向断面を示す断面図である。図6に示すように、バランサ部材50において、上方向を向いた当接面52eは、下方向を向いた当接面51aよりも下方に位置している。当接面52eと当接面51aとの間の軸方向距離をh1とする。
【0050】
また、スライダ部材40において、下方向を向いた第1鉛直方向荷重支持面44cは、上方向を向いた第2鉛直方向荷重支持面42cよりも下方に位置している。第1鉛直方向荷重支持面44cと第2鉛直方向荷重支持面42cとの間の軸方向距離をh2とする。
【0051】
本実施の形態では、第1鉛直方向荷重支持面44cと第2鉛直方向荷重支持面42cとの間の軸方向距離h2は、当接面52eと当接面51aとの間の軸方向距離h1よりも大きくなっている(h2>h1)。さらに、軸方向距離h2と軸方向距離h1との差は、0.5mmよりも小さくなっている。すなわち、軸方向距離h1、h2は、0.5[mm]>(h2−h1)>0[mm]の関係を満たしている。
【0052】
これにより、スライダ部材40とバランサ部材50とを固定する際、バランサ部材50をスライダ部材40に対して微小傾斜させた状態で、第1鉛直方向荷重支持面44cと当接面52eとの間、及び第2鉛直方向荷重支持面42cと当接面51aとの間の双方を確実に接触させることができる。このとき、スライダ部材40に対するバランサ部材50の傾斜角度は微小であるため、遠心力の設計値からのずれは無視できる。
【0053】
これに対し、仮に、軸方向距離h2が軸方向距離h1よりも小さくなっている場合、第2鉛直方向荷重支持面42cと当接面51aとの間を締結したときに、第1鉛直方向荷重支持面44cと当接面52eとが離れてしまう。これにより、スクロール圧縮機の運転時にバランサ部材50の転覆モーメントが締結部材70に作用してしまうため、締結部材70が破損してしまうおそれがある。
【0054】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機について説明する。図7は、本実施の形態に係るスクロール圧縮機のスライダ30の構成を示す図である。図7では、スライダ30の上面図(a)と軸方向断面図(b)とを併せて示している。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。図7に示すように、本実施の形態では、水平方向荷重支持面44bが凸状の円弧状(部分円筒状)に形成されており、水平方向荷重支持面44bに当接する当接面52dが凹状の円弧状(部分円筒状)に形成されている。水平方向荷重支持面44bの曲率半径は、当接面52dの曲率半径と同一又はそれより小さくなっている。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0055】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機について説明する。実施の形態1で説明したように、スクロール圧縮機の運転中において、スライダ部材40とバランサ部材50との間に作用する力は、水平方向荷重支持面44b、第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cのそれぞれを介した押付け荷重によって釣り合う。このため、締結部材70は、スクロール圧縮機の停止中にスライダ部材40とバランサ部材50とが分離しないための仮止めの機能を有していればよい。したがって、スライダ部材40とバランサ部材50との固定には、締結部材70を用いずに、接着材のみを用いることができる。この構成によれば、スライダ30の製造工程を簡略化できるとともにスライダ30の部品点数を削減できるため、スクロール圧縮機の製造コストを削減することができる。
【0056】
以上説明したように、上記実施の形態1〜3に係るスクロール圧縮機は、固定スクロール3と、固定スクロール3に対して揺動する揺動スクロール4と、揺動スクロール4に回転駆動力を伝達する主軸7と、主軸7の一端に設けられ、主軸7の中心軸に対して所定の偏芯方向に偏芯した偏芯軸部7aと、偏芯軸部7aを摺動自在に嵌入させるスライド溝43が形成されたスライダ30と、揺動スクロール4に設けられ、スライダ30を回転自在に支持する揺動軸受14と、を備えている。スライダ30は、揺動軸受14に支持されるスライダ部材40と、スライダ部材40と別部材であってスライダ部材40に対して固定され、揺動スクロール4に作用する遠心力を相殺するバランサ部材50と、を有している。バランサ部材50は、偏芯方向(−X方向)の逆方向を反偏芯方向(+X方向)としたとき、スライダ30の回転中心Oよりも反偏芯方向側に設けられたメインウエイト部51と、メインウエイト部51と一体的に形成され、スライダ部材40を偏芯方向側から支持する支持部52と、を有している。スライダ部材40は、支持部52に当接し、反偏芯方向におけるバランサ部材50の荷重を支持する水平方向荷重支持面44b(反偏芯方向荷重支持面の一例)と、水平方向荷重支持面44bよりも偏芯方向側に設けられ、主軸7の中心軸と平行な一方向におけるバランサ部材50の荷重を支持する第1鉛直方向荷重支持面44c(第1軸方向荷重支持面の一例)と、水平方向荷重支持面44bよりも反偏芯方向側に設けられ、上記一方向とは逆方向におけるバランサ部材50の荷重を支持する第2鉛直方向荷重支持面42c(第2軸方向荷重支持面の一例)と、を有している。
【0057】
この構成によれば、バランサ部材50の遠心力によって生じる反偏芯方向におけるバランサ部材50の荷重は、スライダ部材40の水平方向荷重支持面44bで支持される。水平方向荷重支持面44bまわりのモーメントによって生じる中心軸方向におけるバランサ部材50の荷重は、スライダ部材40の第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cで支持される。これにより、バランサ部材50の遠心力によってスライダ部材40とバランサ部材50との間に作用する力は、水平方向荷重支持面44b、第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cのそれぞれを介した押付け荷重によって釣り合う。したがって、バランサ部材50の遠心力によってスライダ部材40とバランサ部材50とが密着してより強固に固定されるため、スライダ30及びスクロール圧縮機の信頼性を高めることができる。
【0058】
また、上記実施の形態に係るスクロール圧縮機において、第1鉛直方向荷重支持面44cは、支持部52に当接しており、第2鉛直方向荷重支持面42cは、メインウエイト部51に当接していてもよい。この構成によれば、バランサ部材50に生じる水平方向荷重支持面44bまわりのモーメントを長い腕長さで支持することができる。したがって、第1鉛直方向荷重支持面44c及び第2鉛直方向荷重支持面42cのそれぞれに作用する荷重を小さく抑えることができる。
【0059】
また、上記実施の形態に係るスクロール圧縮機において、水平方向荷重支持面44bは平面状に形成されていてもよい。この構成によれば、水平方向荷重支持面44bを介したスライダ部材40とバランサ部材50との接触面積を容易に調整できる。
【0060】
また、上記実施の形態に係るスクロール圧縮機において、水平方向荷重支持面44bは円弧状に形成されていてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態に係るスクロール圧縮機において、バランサ部材50は、スライダ部材40に対して、締結部材70を用いずに接着材のみによって固定されていてもよい。この構成によれば、スライダ30の製造工程を簡略化できるとともにスライダ30の部品点数を削減できるため、スクロール圧縮機の製造コストを削減することができる。
【0062】
また、上記実施の形態に係るスクロール圧縮機において、バランサ部材50は、第1鉛直方向荷重支持面44cと当接する当接面52eと、第2鉛直方向荷重支持面42cと当接する当接面51aと、を有しており、当接面52eと当接面51aとの間の軸方向距離h1と、第1鉛直方向荷重支持面44cと第2鉛直方向荷重支持面42cとの間の軸方向距離h2とは、0.5[mm]>(h2−h1)>0[mm]の関係を満たしていてもよい。この構成によれば、スライダ部材40とバランサ部材50とを固定する際、バランサ部材50をスライダ部材40に対して微小傾斜させた状態で、第1鉛直方向荷重支持面44cと当接面52eとの間、及び第2鉛直方向荷重支持面42cと当接面51aとの間の双方を確実に接触させることができる。
【0063】
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、主軸7の中心軸が鉛直方向に沿って配置される縦置き型のスクロール圧縮機を例に挙げたが、本発明は、主軸7の中心軸が鉛直方向に対して傾いて配置される横置き型のスクロール圧縮機にも適用できる。
【0064】
また、上記の各実施の形態は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 密閉容器、1a 胴部、1b 蓋部、1c 底部、2 フレーム、3 固定スクロール、3a 台板、3b ラップ部、4 揺動スクロール、4a 台板、4b ラップ部、4c ボス部、5 ステータ、6 ロータ、7 主軸、7a 偏芯軸部、8 油溜め、9 オイルポンプ、10 吸入管、11 吐出管、12 オルダムリング、13 油穴、14 揺動軸受、15 排油パイプ、16 主軸受部、17 副軸受部、18 サブフレーム、19a 第1バランサ、19b 第2バランサ、20 圧縮機構部、21 電動機部、22 吐出ポート、23 吐出チャンバー、24 吐出弁、30 スライダ、40 スライダ部材、41 円筒部、42 平板部、42a、42b 端面、42c 第2鉛直方向荷重支持面、43 スライド溝、44 突出部、44a 先端面、44b 水平方向荷重支持面、44c 第1鉛直方向荷重支持面、50 バランサ部材、51 メインウエイト部、51a 当接面、52 支持部、52a、52b 回転止め面、52c 対向面、52d、52e 当接面、60 段差構造、60a 上段部、60b 下段部、61 隙間、70 締結部材、71 隙間、72 円環状鍔部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7