(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
LNG(液化天然ガス)貯槽に貯蔵されたLNGが加圧されてLNGガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとされて消費先に供給される液化天然ガス供給システムにおいて、
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第1の加圧タンクに戻す第1の遮断可能なLNG還流系が形成され、
LNG貯槽に接続された第2の加圧タンクが設けられ、第2の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第2の遮断可能なLNG還流系が形成され、第2の加圧タンク内が降圧され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが第2の加圧タンクに低圧下供給可能とされ、
第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が各加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされ、
第1の加圧タンクに貯蔵されたLNGが加圧ガス蒸発器にLNG水頭圧で移送され、加圧ガス蒸発器で生成されたLNGガスによる加圧圧力が第1のLNG還流系に形成され、第2の加圧タンクにLNG貯槽からLNGが低圧下供給されること
を特徴とする液化天然ガス供給システム。
請求項1に記載された液化天然ガス供給システムにおいて、第2の加圧タンクが加温器を介して消費先に接続され、当該加圧タンク内が降圧されることを特徴とする液化天然ガス供給システム。
請求項1に記載された液化天然ガス供給システムにおいて、LNG貯槽に接続された第3の加圧タンクが設けられ、第3の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第3の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、第3の遮断可能なLNG還流系が形成され、第3のLNG還流系が第3の加圧タンクへの加圧状態のLNGガスの供給が止められたLNG待機系統とされたことを特徴とする液化天然ガス供給システム。
請求項3に記載された液化天然ガス供給システムにおいて、第3のLNG還流系が少なくとも2系統とされ、一方の系統が遮断され、他方の系統が消費先に接続されたことを特徴とする液化天然ガス供給システム。
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第1の加圧タンクに戻す第1の遮断可能なLNG還流系が形成され、LNG貯槽に接続された第2の加圧タンクが設けられ、第2の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第2の遮断可能なLNG還流系が形成され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが加圧されてLNGガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとされて消費先に供給される液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法において、
第2の加圧タンク内を降圧し、LNG貯槽に貯蔵されたLNGを第2の加圧タンクに低圧下供給し、
第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が各加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされて、加圧ガス蒸発器で生成されたLNGガスによる加圧圧力が第1のLNG還流系に作用している状態下で、第1の加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器にLNG水頭圧で移送し、第2の加圧タンクにLNG貯槽からLNGを低圧下供給することを特徴とする液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法。
【背景技術】
【0002】
近年、石油・石炭に代わるネネルギー資源として天然ガスが注目を集めている。天然ガスは、燃焼時における硫黄酸化物・煤塵の発生が極めて少なく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、大気汚染・酸化雨の原因となる窒素酸化物の排出量が石油・石炭に比べて少ないため、地球環境問題に貢献できるエネルギー源といえる。特に、頁岩層から採取される天然ガス(シエールガス)取り出しに関する新技術の出現により、比較的安価で大量の天然ガスの安定供給が可能になったことで、今後のエネルギー源における天然ガスの果たす役割は、ますます大きなものとなることが予想される。
【0003】
石油由来の化石燃料から天然ガスへの燃料転換は、地球温暖化を促進する炭酸ガスの排出削減に大きな効果がある。単純に重油を天然ガスに燃料転換した場合、約30%の削減ができ、地球温暖化抑制に大きな効果を上げることができる。現在建設されているサテライトシステムによる燃料供給の場合と比較しても、約25%程度の炭酸ガス排出量の削減効果を上げることができる。
【0004】
これらの効果があることで、数年前から燃料転換が積極的に推進されており、シエールガス革命と相まって今後LNG化がますます促進されることが予想される。
【0005】
現在、パイプラインにより直接的な天然ガスの供給が可能な地域を除くと、天然ガスの供給方法は、液化天然ガス(以下、LNGと呼ぶ。)貯槽・蒸発器・圧力調整装置を主要な構成要素とする定地設置式LNG供給設備(以下、LNGサテライトと呼ぶ。)を各天然ガス消費場所に建設し、そのLNGサテライトへLNGローリー車によりLNGを輸送・供給する方法が一般的となる。
【0006】
LNGサテライトへLNGローリー車によりLNGを輸送・供給する方法が採用される場合、LNGローリー車から液状のLNGを受入れるが、LNGローリー車は、設計圧力が0.6MPaにとされる。設計圧力が0.6MPaであるため、受入れ貯槽側の圧力は、その圧力より低い状態での運用が求められる。
【0007】
現在までのLNG消費対象は、熱処理炉やボイラーでの燃料として供給されるもので、貯槽圧力は、概ね0.5MPa以下で運用されるため、LNGローリー車からの受け入れには支障がなかった。
【0008】
しかしながら、炭酸ガス排出量の削減目的に加え、シエールガス革命によるLNG価格の低下により、昨今のLNG消費形態には、単なる熱エネルギー代替のみではなく、電気エネルギーへの転換需要が含まれる方向へと変化してきている。更に、東日本大震災が起きた結果、各企業では、BCP(事業継続計画)問題の解決が急務となり、BCP問題の解決には、自家発電の計画が必須となってきており、その燃料としてLNGの供給が求められ始めている。
【0009】
従来、自家発電用の燃料としてのLNGサテライトからのLNG供給はなされてきたが、発電容量の小さなエンジン発電が主であった。企業のBCP対応に、より大きな発電容量が求められ、発電方式もエンジン発電、ガスタービン発電、コージェネレーション発電が増えてきている。このような発電の場合、LNGサテライトからのガス供給圧力の高圧化が求められる。例えば、高圧として、2.2MPa程度まで求められ、LNGポンプによる昇圧や圧縮機での昇圧が採用されてきている。
【0010】
特許文献1には、LNGを昇圧して高圧LNGとする昇圧ポンプと、高圧LNGを加熱する熱交換装置と、高圧LNGを作動流体として電力として回収する膨張タービンを備えることが記載されている。
【0011】
特許文献2には、LNG貯蔵タンク内に発生するBOGをコンプレッサーで昇圧後、熱交換機又は再液化容器に導くこと、及びLNG貯蔵タンクから熱交換器又は再液化容器に導かれる払い出しLNGの一部が過冷却LNGとして、制御弁を介して昇圧ポンプのポンプサクションに導かれることが記載される。
【0012】
特許文献3には、ダウンカマ管の長さを十分に採り、管内LNGの自重に基づく水頭圧と気化器内にある気泡含有LPGに基づく水頭圧の差により、気化器底部から気化器内に自然還流させることが記載される。
【0013】
特許文献4には加圧タンクと加圧蒸発器との間に、水頭圧でLNGが循環する循環系が形成されて加圧圧力が形成され、加圧圧力がLNGローリータンク内に付与されることで、LNG貯槽内が加圧され、加圧されたLNGがLNG気化器に送給されるLNG供給システムが記載される。
【0014】
特許文献5には、LNGモバイルサテライトシステム及びLNGモバイルサテライトシステムの搬送、運用方法が記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、LNGポンプによる昇圧や圧縮機での昇圧による2.2MPa程度まで高圧化するに際して、動力に電気駆動、すなわち発電するための燃料供給に、電気を使用する形態となっている。
【0017】
発電する電気は、非常用のみの使用ばかりでなく常用としても当然使用される。したがって、この電気を用いる昇圧システムにおける燃料供給に当たっては、回転機器の故障対応や故障修理期間に対する対応が求められ、加えて電力使用によるコストを要するという問題がある。また、特許文献1あるいは2に記載される昇圧用のLNGポンプや圧縮機は、定期的なメンテナンスが必須とされ、そのため費用が必要とされる。LNGポンプのメンテナンスには、年間初期コストの1/3必要とされるのが通例であり、そのコストが莫大である。さらに、このようなメンテナンスが、製造企業に返却されてなされる場合、メンテナンス期間が長期になり、信頼性を高め連続運転を継続するためには、予備機を設けておき、さらに予備機の予備機を設けておくといった二重三重の対策が求められ、設備費が膨大なものとなる。
【0018】
特許文献3には、LPGの水頭圧が用いられ自重に基づく自然還流が形成されるが、LPG貯蔵タンク内のLPGを加圧ガス蒸発器への送給するため、加圧されたLNGを形成するのにLPGの水頭圧が用いられ自重に基づく自然還流が形成されるものではない。
【0019】
特許文献4に記載されたシステムでは、LNGローリータンクでサテライト基地にタンクロ−リーでLNGを運搬してきたときに、直ちにLNG貯蔵タンクに移送することができず、移送前にLNGローリータンクを高圧とする操作が必要とされ、大容量のLNG貯蔵タンク内を含めて、LNGの入口から加圧ガス蒸発器までの系統全体の大容量を高圧にすることが必要とされる。
【0020】
特許文献5には、LNGモバイルサテライトシステムが記載されるが、LNGの水頭圧が用いられ自重に基づく自然還流が形成されることが記載されていない。
【0021】
本発明は、かかる点に鑑みてこのような高圧を必要とするLNGポンプや圧縮機などのような回転装置を使用せず、回転に伴う故障を回避することでき、LNGのLNGガス蒸発器への加圧連続供給を無動力で達成し、LNGローリータンクから加圧ガス蒸発器へのLNG移送を、系統全体を高圧化することなく、LNG貯槽からガス蒸発器へのLNG移送を部分的な系統を高圧化することで迅速・簡便にして、操作性・信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する加圧タンク及び加圧タンクに接続されてLNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧し、加圧状態のLNGガスを加圧タンクに戻す加圧ガス蒸発器を備えて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間にLNG還流系が形成され、当該LNG還流系が、加圧タンク内に貯蔵されたLNGを当該加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間の水頭圧によって移送する無動力移送系を有し、もってLNG貯槽から加圧ガス蒸発器へのLNG移送を部分的な系統を無動力で高圧化することで、LNGを無動力でLNGガス蒸発器に供給することを特徴とする。本発明で「直接」とは、特許文献5に記載されるように、LNGローリータンク、貯槽タンク、その他の機器を介することなく、ということである。
【0023】
また、本発明は、LNGの加圧運転操作に供された加圧タンクで派生されたLNGガスを消費先に供給するLNGガス供給系統が形成され、水頭圧によって移送する無動力移送系が有効に活用されるようにしたことを特徴とする。
【0024】
本発明は、具体的には、
LNG(液化天然ガス)貯槽に貯蔵されたLNGが加圧されてLNGガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとされて消費先に供給される液化天然ガス供給システムにおいて、
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第1の加圧タンクに戻す第1の遮断可能なLNG還流系が形成され、
LNG貯槽に接続された第2の加圧タンクが設けられ、第2の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第2の遮断可能なLNG還流系が形成され、第2の加圧タンク内が降圧され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが第2の加圧タンクに低圧下供給可能とされ、
第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が各加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされ、
第1の加圧タンクに貯蔵されたLNGが加圧ガス蒸発器にLNG水頭圧で移送され、加圧ガス蒸発器で生成されたLNGガスによる加圧圧力が第1のLNG還流系に形成され、第2の加圧タンクにLNG貯槽からLNGが低圧下供給されること
を特徴とする液化天然ガス供給システムを提供する。
【0025】
本発明は、上述された液化天然ガス供給システムにおいて、第2の加圧タンクが加温器を介して消費先に接続され、当該加圧タンク内が降圧されることを特徴とする液化天然ガス供給システムを提供する。
【0026】
本発明は、上述された液化天然ガス供給システムにおいて、LNG貯槽に接続された第3の加圧タンクが設けられ、第3の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第3の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、第3の遮断可能なLNG還流系が形成され、第3のLNG還流系が第3の加圧タンクへの加圧状態のLNGガスの供給が止められたLNG待機系統とされたことを特徴とする液化天然ガス供給システムを提供する。
【0027】
本発明は、上述された液化天然ガス供給システムにおいて、第3のLNG還流系が少なくとも2系統とされ、一方の系統が遮断され、他方の系統が消費先に接続されたことを特徴とする液化天然ガス供給システムを提供する。
【0028】
本発明は、LNG(液化天然ガス)貯槽に貯蔵されたLNGが加圧されてLNGガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとされて消費先に供給される液化天然ガス供給システムにおいて、
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器と間に、加圧状態のLNGガスを加圧タンクに戻すLNG還流系とされ、さらには加圧タンク内が降圧され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが低圧下供給可能とされ、
加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に無動力移送系が形成され、当該無動力移送下、加圧タンク内の加圧されたLNGがLNGガス蒸発器に直接移送される直接移送系が形成されること
を特徴とする液化天然ガス供給システムを提供する。
【0029】
本発明は、LNG貯槽に貯蔵されたLNGがガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとなって消費先に供給される液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法であって、
LNGローリータンクからLNG貯槽へLNGを移送する系統が設けられ、
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する複数の加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、複数の加圧タンクと加圧ガス蒸発器と間に、加圧状態のLNGガスを、複数の加圧タンクに戻すLNG還流系とされ、さらには一部の加圧タンク内が降圧され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが低圧下供給可能とされ、複数の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされて、複数の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に無動力移送系が形成され、LNGローリータンク、LNG貯槽、一部の加圧タンク及び加圧ガス蒸発器間に、無動力移送系を持つ低圧LNG供給系が形成された液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法において、
LNGをLNGローリータンクから貯槽タンクに移送し、貯槽タンク内を加圧することなく、複数の加圧タンクのいずれかの加圧タンクで加圧したLNGをLNGガス蒸発器に移送すること
を特徴とする液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法を提供する。
【0030】
本発明は、LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクに接続され、LNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧する加圧ガス蒸発器を備えて、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第1の加圧タンクに戻す第1の遮断可能なLNG還流系が形成され、LNG貯槽に接続された第2の加圧タンクが設けられ、第2の加圧タンクが加圧ガス蒸発器に接続され、第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧状態のLNGガスを第2の遮断可能なLNG還流系が形成され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが加圧されてLNGガス蒸発器に導かれ、加温されてLNGガスとされて消費先に供給される液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法において、
第2の加圧タンク内を降圧し、LNG貯槽に貯蔵されたLNGを第2の加圧タンクに低圧下供給し、
第1の加圧タンク及び第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が各加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされて、加圧ガス蒸発器で生成されたLNGガスによる加圧圧力が第1のLNG還流系に作用している状態下で、第1の加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器にLNG水頭圧で移送し、第2の加圧タンクにLNG貯槽からLNGを低圧下供給することを特徴とする液化天然ガス供給システムの液化天然ガス供給方法を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧タンクに貯蔵されたLNGを無動力で加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成され、循環加圧することで昇圧し、高圧を得ることができるため、高圧を必要とするLNGポンプや圧縮機などのような回転装置を使用せず、回転に伴う故障を回避することでき、メンテナンスを容易にして、信頼性を高め、LNGのLNGガス蒸発器への加圧連続供給を可能にして、加圧連続供給を無動力とすることができる。
【0032】
LNGローリータンクから加圧ガス蒸発器までのLNG移送系統全体を高圧化することなく、LNG貯槽から加圧ガス蒸発器までのLNG移送の部分的系統を高圧化することができ、もって、LNG貯槽からLNGガス蒸発器へのLNGの加圧連続供給を無動力で達成し、迅速・簡便にLNGを移送し、操作性・信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、
図1は、本発明の実施例である液化天然ガス供給システムを示す図である。
【0035】
本発明で、「高圧」とは、後述する加圧蒸発器(加圧VAP)9におけるLNGのガス化によって達成される加圧された圧力、例えば0.8MPa以上の圧力を示し、「低圧」とは、LNGタンクローリーで運搬されるLNGローリータンク内のLNGの有する圧力、例えば0.5MPa以下の圧力を示す。
【0036】
図1において、本発明の実施例である液化天然ガス供給システム100は、LNG貯槽1、LNGガス送り機能を持つLNGガス蒸発器(LNG送りガス蒸発器ともいう。)2、圧力調整装置3、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)、加圧蒸発器(加圧VAP)9、LNGローリータンクに接続された配管11、ローリー搭載加圧蒸発器17を備える。LNG貯槽1の容量は、例えば300kL、各加圧タンクは、1000Lで、LNG貯槽1の容量は、各加圧タンクの容量、さらには4つの加圧タンクの容量を合わせた容量よりもはるかに大きい。逆のいい方をすれば、各加圧タンクの容量は、LNG貯槽1の容量に比べてはるかに小さい。
【0037】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)は、同一の構造からなり、同一の高さ位置で横方向に並置される。
【0038】
LNG貯槽1には、底部にLNGローリータンク80からのLNGを受入れる受入れ配管11が接続される。LNGローリータンク80は、ローリー搭載加圧蒸発器17を備える。ローリー搭載加圧蒸発器17を備えた循環系81が形成される。ローリー搭載加圧蒸発器17によって生成される加圧力は、LNG貯槽1にLNGを移送するに十分に加圧すれば足りる。
【0039】
また、LNG貯槽1と加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)は、それぞれの底部が配管12及び分岐配管13〜16によって接続される。分岐配管13〜16には、それぞれ弁(AOV)13A〜16Aが設けられる。
【0040】
LNGガス蒸発器2と加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)は、それぞれの底部が配管20及び分岐配管21〜24によって接続される。分岐配管21〜24には、それぞれ弁(AOV、自動開放弁)21A〜24Aが設けられる。
【0041】
LNGガス蒸発器2と圧力調整装置3は、配管30で接続される。圧力調整装置(圧力調整ユニット)3は、サージタンク31とその前後に設けられた弁(PRV,PCV、制御弁)38,39からなる。圧力調整装置3で圧力を調整されたLNGガスは、発電機へと導出33される。
【0042】
LNGガス蒸発器2は、その器内にコイル状の熱交換部を有し、LNGは、配管34から導かれた温水35によって暖められてLNGガスとなる。熱交換に用いられた温水は、配管36から低温水37として戻される。
【0043】
LNGガス蒸発器2と圧力調整装置3とからなる構成は、従来からよく知られた構成である。
【0044】
LNGガス蒸発器2と加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)と加圧蒸発器9は、それぞれの底部が配管40と分岐管41〜44によって接続される。分岐管41〜44には、それぞれ弁(AOV)41A〜44Aが設けられる。
【0045】
LNG貯槽1から加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)に、LNG貯槽1に貯蔵されたLNGが配管を介して供給可能とされる。
【0046】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)から加圧蒸発器9に、LNGが配管を介して供給可能とされる。
【0047】
加圧蒸発器9には、LNGガス蒸発器2と同様に温水が導入され、LNGとの熱交換によってLNGガスが生成される。
【0048】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)と加圧蒸発器9は、それぞれの上部が配管50と分岐管51〜54によって接続される。分岐管51〜54には、それぞれ弁(AOV)51A〜54A及び制御弁(RV)51B〜54Bが設けられる。
【0049】
加圧蒸発器9で生成されたLNGガスは、それぞれの配管を介して、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)に送給可能とされる。
【0050】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)からのLNGが加圧蒸発器9に送給され、加圧蒸発器9からのLNGガスが加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)に戻される還流系統10が配管40(分岐管41〜44を含む。)及び配管50(分岐管51〜54を含む。)から形成される。加圧蒸発器9の出口側の部分で、還流系統10にサージタンク19が設けられる。
【0051】
それぞれの還流系統が形成されるとき、加圧蒸発器9で生成された加圧圧力は、それぞれの還流系統全体に及び、LNGガスの圧力を高圧に均一化する。
【0052】
加圧蒸発器9は、その配置位置が加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)の配置位置よりも低位置とされる。この配置構成に起因して、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)と加圧蒸発器9との間には、高さ位置差に基づくLNGによる水頭圧が生じる。
【0053】
この高さ位置差に基づくLNGによる水頭圧は、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)にそれぞれ貯蔵されたLNGを加圧蒸発器9に移送させる移送力となる。ここで重要なのは、外部からの何らの動力なしに水頭圧でもって加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)にそれぞれ貯蔵されたLNGが加圧蒸発器9に移送されることである。加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)にそれぞれ貯蔵されたLNGを加圧蒸発器9に移送するに当たって、外部からの何らの動力を要しない。
【0054】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)と加温器10は、それぞれの上部が配管60と分岐管61〜64によって接続される。分岐管61〜64には、それぞれ弁(AOV)61A〜64Aが設けられる。
【0055】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)の上部に溜められたLNGガスは、それぞれの配管を介して、加温器67に送給可能とされる。加温器67で加温されたLNGガスは、配管65を介して低圧消費先68に供給される。
【0056】
分岐管61〜64には、外部排出管71〜74が設けられ、外部排出管71〜74には、それぞれ弁(PRV)71A〜74Aが設けられる。また、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)には、底部及び上部を結ぶ上部配管81L〜84Lと下部配管81H〜81Hが設けられる。上部配管81L〜84Lと下部配管81H〜81Hは、差圧伝送器81A〜84Aに接続される。差圧伝送器81A〜84Aで上部配管81L〜84Lと下部配管81H〜81Hとの差圧が計測される。計測された差圧で加圧タンク内のLNG液位を測定でき、加圧タンク内部の液量を算出することができる。
【0057】
図1に示す現在の状況において、加圧タンク5が「供給」の状態、加圧タンク6,7が「待機」の状態、加圧タンク8が「降圧」の状態に設定された。この状態に合わせて各配管に設けられた弁は、開放、閉鎖モードとされた。開放の場合が、各弁は、白表示で、そして閉鎖の場合が、黒表示がなされている。また、
図1において、各機器における容量、液体あるいは気体圧力が示される。
【0058】
・LNGローリータンク内圧力 0.5MPa
・加圧蒸発器入口圧力 0.8MPa+加圧タンク水頭圧
・弁51B〜54Bにおける調整圧力 0.8MPa
・サージタンク入口調整圧力 0.8 MPa +加圧タンク水頭圧
・発電機への供給圧力 0.8MPa
本実施例では、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)の4つの加圧タンクを使用したがLNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転では、供給の状態の加圧タンク5及び降圧の状態の加圧タンク8が必要とされる。いずれかの加圧タンクの故障を想定し、その場合にあってもLNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転を可能にするために、一つの待機状態の加圧タンクが追加される。いずれかの加圧タンクについて定期検査をしながら、LNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転を可能にするために、もう一つの加圧タンクが追加され、待機状態とされる。
【0059】
LNG貯槽圧力は、LNGタンクローリーからの受け入れ可能な0.5MPa以下で運用される。LNG貯槽1から加圧タンクに0.5MPa以下の圧力でLNGが供給される。図示されている状態は、加圧タンクA(5)が高圧のLNGを消費先のユースポイントのLNGガス蒸発器2に供給している状態、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)は、LNGが充填され、供給可能な圧力まで加圧が完了し、待機している状態を、そして加圧タンクD(8)は、供給を終了してLNGを受け入れ可能な圧力まで降圧中の状態を示している。
【0060】
供給中の加圧タンクA(5)が予め設定している下限液面までLNGを使用されると、自動的に加圧タンクB(6)からの供給に切り替わり、LNG供給が継続される。加圧タンクA(5)は、この状態から準備として降圧・液受入れの状態となる。
【0061】
最初に弁(AOV)41Aが閉となり、次に降圧系統を形成する弁(AOV)61Aが開となる。加圧タンクA(5)の気相圧力が低圧消費先66へのLNGガス供給で徐々に低下し、LNG貯槽1からのLNGの受け入れが可能になるまで圧力が降圧される。所定の圧力になると、弁(AOV)61Aは閉、弁(AOV)13Aが開状態に自動制御され、LNG貯槽1からのLNG受入れが開始される。加圧タンクA(5)内のLNG液面が所定の上限液面になると弁(AOV)13Aは、閉とされる。LNGの受け入れ、昇圧による所定の圧力になると、弁(A0V)61Aが自動的に開き、加圧タンクA(5)内の圧力を降下させ、LNGの受け入れに支障がないように自動制御される。
【0062】
加圧タンクA(5)内にLNGが充填された後、弁(AOV)51Aが開になり、制御弁(RV)51Bで所定の加圧圧力に調整された加圧ガスが加圧タンクA(5)に供給される。制御弁(RV)51Bで所定の加圧圧力に調整された加圧ガスが加圧タンクA(5)に供給される。制御弁(RV)51Bの設定圧力まで加圧されると、加圧タンクA(5)は、供給待機の状態となる。
【0063】
このような加圧タンクは、タンク内をLNGの水頭圧の差でもって無動力で自動加圧する。水頭圧の差で、連続的に繰り返して無動力で所定の圧力まで加圧することができる。加圧タンクは、加圧タンク内のLNGがLNGガス蒸発器に移送されるに十分に加圧されることで、LNGガス蒸発器に直接加圧移送する。
【0064】
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)が順次供給・待機・降圧充填の工程を予め定めた時間で順に繰り返すことで、高圧のLNG供給が可能とされる。
【0065】
図1に示されるように、LNGローリータンク、LNGローリータンクに接続された配管11、LNG貯槽1、4つの加圧タンクを含むLNG還流系及び4つの加圧タンクと加圧蒸発器9とを結ぶ系統によって全体系が形成され、LNGローリータンク、LNG貯槽、一部の加圧タンク及び加圧ガス蒸発器間からなる一部系統が、無動力移送系を持つ低圧LNG供給系に形成される。
【0066】
加圧タンクと加圧ガス蒸発器とは、配置位置が加圧タンクに貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される関係とされて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に無動力移送系が形成され、当該無動力移送下、加圧タンク内の加圧されたLNGがLNGガス蒸発器に直接移送される直接移送系が形成される。
【0067】
LNGをLNGローリータンクから貯槽タンクに移送し、貯槽タンク内を加圧することなく、複数の加圧タンクのいずれかの加圧タンクで加圧したLNGをLNGガス蒸発器に移送、すなわち直接的に移送することができる。
【0068】
LNGのLNGガス蒸発器への加圧連続供給を無動力で達成し、LNGローリータンクから加圧ガス蒸発器へのLNG移送を、系統全体を高圧化することなく、LNG貯槽から加圧ガス蒸発器へのLNG移送を部分的な系統を高圧化することで迅速・簡便にして、操作性・信頼性を高めることができる。
【0069】
図2は、液化天然ガス供給システムに採用されるシステム制御装置90を示す。
【0070】
図2において、システム制御装置90は、記憶手段91、演算処理手段92、入出力手段93及び画面表示手段94からなり、典型的にはパソコン内に形成され、外部の計測手段99に接続される。
【0071】
記憶手段91は、
・系統に設けた加圧タンクの運転モード
・加圧タンクの切り替えタイミング
・故障時の運転モードの切り替え方法
を記録する。
【0072】
演算処理手段92は、
・通常運転中における弁操作信号生成による加圧タンクの各運転モードの設定と運転モードの切り替え
・故障時における加圧タンクの各運転モードの設定と運転モードの切り替え
を演算処理して指令信号を生成する。
【0073】
入出力手段93は、
・計測データの入力
・演算処理結果の出力
を行う。
【0074】
画面処理手段94は、
・全体システムと継続運転状態
・故障時、メンテナンス時の継続運転状態
を示す画像を画面に表示する。
【0075】
計測手段99は、次に示される計測データを取得する。
【0076】
・加圧タンクの液面データ
・弁設定圧力データ
・LNG貯槽圧力データ
・加圧タンク圧力データ
・各弁データ
・発電機及び低圧消費先へのLNG供給圧力データ
なお、シーケンサーを利用して演算制御を行うことも可能である。組み合わせDCSの構築も可能である。
【0077】
図3は、供給・待機・降圧充填の工程を持つ各系統の運用状態を示す図である。
【0078】
図3に示されるように、加圧タンクAは、供給中、加圧タンクB,加圧タンクCは待機、加圧タンクDは、降圧⇒受入れ⇒昇圧⇒待機とされ、これらの工程が順次繰り返される。
【0079】
加圧タンクが3塔設けられる場合は、STEP1〜20が繰り返されて、高圧のLNGを連続的に供給可能とする。各系統に設けられる加圧タンクのタンク容量は、切り換えのタイミング時間により決定される。
【0080】
STEP21からのステップは、いずれか一つの系統が故障した場合に、3系統運転となし、故障した系統を、修理・修理完了後手動で待機状態・故障復帰させる工程を含むようにして形成する。
【0081】
図3に示されるシステム、運用とすることで、LNG貯槽1がLNGタンクローリーから受入れ可能な圧力、すなわち低圧力で運用することができ、無動力で所定の高圧のLNGをLNGガス蒸発器2に連続して供給することができる。
このような状況下、
加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)は、上部に貯蔵されたLNGガスが導出されることで、降圧状態が形成可能とされ、またLNGガスの供給が止められ、かつLNGガスの導出が止められることで待機状態が形成可能とされる。
【0082】
LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する第1の加圧タンク及び第1の加圧タンクに接続されてLNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧し、加圧状態のLNGガスを第1の加圧タンクに戻す加圧ガス蒸発器を備えて、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に第1のLNG還流系10が形成される。
【0083】
LNG貯槽に接続された第2の加圧タンクが設けられて第2の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、第2のLNG還流系が形成され、第2の加圧タンクが降圧され、LNG貯槽に貯蔵されたLNGが第2の加圧タンクに供給可能とされる。
【0084】
加圧ガス蒸発器で生成された加圧圧力が第1の加圧タンクのあるLNG還流系に作用している状態下で、第1の加圧タンクと加圧ガス蒸発器とが、第1の加圧タンク貯蔵されたLNGを無動力で加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される配置構成とされ、第1の加圧タンク内のLNGが加圧される。LNG還流系が、加圧タンク内に貯蔵されたLNGをと加圧ガス蒸発器との間の水頭圧によって当該加圧タンク内のLNGを移送する無動力移送系を有し、当該加圧タンク内のLNGを加圧することができる。
【0085】
無動力移送系を形成するには、少なくとも第1の加圧タンクと第2の加圧タンクが必要とされるが、第3、第4の、さらにはそれ以上の加圧タンクを設けることでも無動力移送系を形成することができる。
【0086】
第2の加圧タンクが加温器を介して消費先に接続され、当該加圧タンク内が降圧される液化天然ガス供給システムとすることができる。
【0087】
また、LNG貯槽に接続された第3の加圧タンクが設けられて第3の加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に第3のLNG還流系が形成され、第3のLNG還流系が第3の加圧タンクへの加圧状態のLNGガスの供給が止められたLNG待機系統とされた液化天然ガス供給システムとすることができる。
【0088】
また、第3のLNG還流系が少なくとも2系統とされ、一方の第3のLNG還流系の加圧タンクが加温器を介して消費先に接続された液化天然ガス供給システムとすることができる。
【0089】
また、タンク内のLNGを移送する無動力移送系を有するLNG還流系が形成され、
加圧タンクから加圧されたLNGをガス蒸発器に供給し、LNGガス蒸発器を介して消費先にLNGガスを供給する第1のLNGガス供給系統が形成され、
当該加圧タンクから加温器を介して消費先にLNGガスを供給する第2のLNGガス供給系統が形成された液化天然ガス供給システムとすることができる。消費先は、発電機でもよいし、圧縮機でもよいし、LNGガス供給源であってもよい。
【0090】
この場合、当該加圧タンクから加温器を介して消費先に供給するLNGガスを引き抜くことで降圧させることができる。降圧されたLNGガスは、低圧消費先66に供給される。低圧消費先66への供給に際して、上述した様に加温器10を介すようにして加温してもよい。低圧消費先66がない場合、圧縮機したシステム構成とすることができる。圧縮機で圧縮し、供給系の戻すことが考えられる。圧縮機で圧縮するLNGガスは、加圧タンク内のガスの一部であり、LNGガスを全量圧縮機で供給する場合に比べ、小さな動力による運用となる。
【0091】
上述した構成に基づき、本実施例によって達成されるメンテナンス及び機器故障時の対応の優位性及び液化天然ガス供給システムの優位性を説明する。
【0092】
●システム構成、メンテナンス及び機器故障時の対応の優位性
・システムの簡便性
LNGローリータンク及び貯槽タンク1内を高圧化することなく、加圧タンクから直接にLNGガス蒸発器に加圧されたLNGを移送することができ、高圧化される移送ラインが短くすることが可能とされ、システムが簡便化される。また、還流系を複数形成して機能別に分けることで、「供給」還流系、「待機」還流系及び「降圧」還流系を容易に形成することができ、機能別分別による連続運転供給が可能とされる。
【0093】
・メンテナンス時
設備停止可能な場合には、停止後メンテナンスを行う。設備停止が不可能な場合には、加圧タンク4塔の運用を3塔の運用に切り替えて1つの加圧タンクずつメンテナンスを行う。
【0094】
このように、運転モードを切り替えて1つの加圧タンクを含む1系統を休止することで、メンテナンス時期の制約を無くすことができる。このメンテナンスは、各系統に設けた弁、すなわち切換え弁のメンテナンスが主な作業であり、短時間でのメンテナンスを可能とする。メンテナンスの要するコストも、昇圧ポンプを使用した場合にメーカーに返送してメンテナンスしなければならないといったことをすることを要せず、現場で直接的にメンテナンスすれば済むことになるので、大幅な低減が可能とされる。
【0095】
・機器故障時
各系統での想定故障としては、弁の故障が最も多いものと考えられる。弁が制御信号に基づいて動作しないことが故障の要因となる。制御故障が想定される。制御故障は、制御信号発信後一定時間動作アンサーバックがない場合であり、このような場合が故障と認定される。制御故障と認定した場合、直ちに該当の系統を自動運転系統から除外し、残りの系統で運転操作がなされる。そのような運転操作を可能とする制御が採用される。このような運転制御を採用することで、系統の信頼性を向上させ、より安全な運転を実現できる。
【0096】
●液化天然ガス供給システムの優位性
本実施例になる液化天然ガス供給システムの従来例に比した優位性を説明する。
従来例として、冗長性や故障を想定してポンプを複数台設置するポンプ昇圧システムが採用される。
【0097】
・建設費
従来例に比べて廉価で建設可能である。
【0098】
・建設期間
ポンプ昇圧システムに採用されるポンプは、その製作に一年以上の製作期間を要し、現地工事も接続配管は全て現地での施工となり長期間に及ぶことになる。これに比して、本実施例では、LNG貯槽、加圧タンク及び各系統の製作はユニット化が可能で、工場製作が可能であり、設置に際しても現地工事を少なくすることが可能であり、工期を短くすることができ、製作、設置は、8か月程度で可能である。短期間による液化天然ガス供給システム設置を可能とする。
【0099】
・メンテナンス費及びメンテナンス期間
従来方式の場合、メンテナンスに際しては、ポンプをメーカーに返却されてメンテナンスがなされることになることを上述した。このため、費用が高額となる。メンテナンス期間も長期化し、定期修理期間内に全てのポンプのメンテナンスを行うことを困難とする。このため、一台のポンプのメンテナンスでシステムから外している時にも、システムして運転継続するために、冗長性を考慮すると、定格能力のポンプを3台設置することが必要となり、製造原価、建設費、メンテナンス費共に高額となる。
【0100】
これに対して、本実施例の場合、メンテナンス対象は、弁が主なものとなって、メンテナンス期間を非常に短期間とすることができる。費用についても、本実施例は、従来例に比べて低コストとすることができる。
【0101】
・故障対応
従来例にあっては、運転中のポンプが故障した場合には、予備のポンプを起動して運転が継続される。故障ポンプは、現地における修理は、基本的に困難なため、メーカーに返却されて修理される。このため、正常状態への復帰まで長期間を要し、費用も高いものとなる。
【0102】
本実施例では、故障する可能性のある機器としては、各系統に設置した弁が想定される。いずれかの弁に故障が発生した場合、故障した弁が設置された系統を休止し、残りの系統で運転継続することが可能である。故障した弁は、メーカーに返却することなく現地で修理することが可能であり、故障対応期間を短くすることができる。
【0103】
・運転コスト
従来例にあっては、LNGを移送するために動力電力を必要とする。
【0104】
本実施例では、LNGを無動力で加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成される配置構成とされ、加圧タンク内のLNGが加圧されるので、制御電源に必要な電力のみで運転可能であり、従来例で必要とされるようなLNGを移送するために動力電力を必要としない。
【0105】
本発明と比較例との比較
●低圧供給(0.2MP以下でのLNG供給
・比較例1
図4は、低圧供給用の一般的設備の系統として構成された低圧LNG供給システムを示す図である。
【0106】
図4において、低圧LNG供給システムは、LNG貯槽、LNG送りガス蒸発器、圧力調整ユニットで基本的に構成される。LNGローリーからLNG貯槽にLNGが送給される。LNG貯槽から取り出されたLNGは、送りガス蒸発器で気化され、圧力調整弁を備えた圧力調整ユニットで所定の圧力(0.1MPa以下)に調整され、各ユースポイントに供給される。
【0107】
送りガス蒸発器の熱源は、空気との熱交換、温水との熱交換及び蒸気との熱交換で得られる。LNG貯槽へのLNGの受け入れは、LNGローリーからなされる。LNGローリーのLNGの設計圧力は0.6MPaであることから、LNG貯槽の運転圧力は0.5MPaが上限となり、系統全体の圧力損失を考慮するとユースポイントへのガス供給圧力は、約0.2PMa以下に制限される。
【0108】
ユースポイントへのガス供給圧力は、約0.2PMa以下に制限され、高圧されたLNGの供給がなされない。
【0109】
●高圧供給(0.6MPa)以上でのLNG供給
・比較例2
図5は、LNG貯蔵タンクを高圧で設計し、昇圧は、LNG貯蔵タンク内の液体を加圧蒸発器で加圧し維持する系統である。この方式では、LNG貯蔵タンク自身が常に高圧とされることが必要とされ、LNGは、LNGローリーからの直接の液受入れは不可能である。このため、LNGローリーから取り出した液体を昇圧ポンプで昇圧し、LNG貯蔵タンクに受け入れる必要がある。このため、高額の昇圧ポンプを複数機設置することが必要とされる。また、LNG貯蔵タンクが高圧に耐えられるように製作する必要がある。このため、初期建設費及び機器のメンテナンス費用が高額となる問題がある。
【0110】
・比較例3
図6は、高圧供給用の系統をLNGポンプによる昇圧システムで形成した例を示す図である。LNGポンプによる昇圧システム(高圧LNG供給システム(1)、すなわち昇圧システムA)が採用される。
【0111】
図6において、このLNGポンプによる昇圧システムは、LNG貯槽、LNG貯槽に設備された貯槽加圧蒸発器、LNG昇圧ポンプ、LNG送りガス蒸発器、サージタンク、圧力調整ユニットで基本的に構成される。LNGタンクローリーからLNG貯槽にLNGが送給される。LNG貯槽から取り出されたLNGは、LNG昇圧ポンプによって昇圧される。昇圧されたLNGは、送りガス蒸発器で気化され、圧力調整ユニットで所定の圧力に調整され、各ユースポイントに供給される。
【0112】
貯槽圧力は、貯槽加圧蒸発器から供給される加圧ガスにて一定圧力に保たれる。LNG送りガス蒸発器・貯槽加圧蒸発器の熱源は、空気との熱交換、温水との熱交換、及び蒸気との熱交換で得られる。
【0113】
LNG昇圧ポンプは、極低温のLNGを昇圧するため、特殊な構造を持つポンプが採用される。一般的にブースタポンプとして用いられる形式のポンプは、サクションポットという圧力容器の中に据え付けられる。ポンプのメンテナンスの際には、サクションポット出入り口の弁を閉じて、ポット内部をN
2ガスで置換することによってポンプを取り出すことが形式であり、低温サブマージドポンプと呼ばれるポンプが用いられる。
【0114】
このポンプを故障時及びメンテナンス(1回/年)時を考慮し、二台もしくは三台設置する。メンテナンス時には、常温復帰後にポンプを取り出し分解整備を行う。このために、非常に手間と時間を要する作業が必要とされる。故障時、メーカーへ返送され、修理、整備されることになるため、2台以上の設置が必要になる。メンテナンス時に一台取り外している期間も冗長性を担保するためには、3台の設置が必要になる。
【0115】
したがって、イニシャルコスト及び毎年のメンテナンスコストの高額となる。LNGポンプの一般的なメンテナンスコストは、一回当たりLNG昇圧ポンプコストの1/3必要とされており、三回のメンテナンスでLNG昇圧ポンプ1台分のコストが必要とされる。
【0116】
・比較例4
図7は、LNG昇圧ポンプでの昇圧以外の昇圧方法として採用可能な気体圧縮機を使用する昇圧システム(高圧LNG供給システム(2)すなわち昇圧システムB)を示す。
【0117】
図7において、気体圧縮機を使用する昇圧システムは、気体圧縮機による昇圧システムが採用される。
【0118】
図7において、気体圧縮機による昇圧システム(昇圧システムB)は、LNG貯槽、LNG貯槽に設備された貯槽加圧蒸発器、LNG送りガス蒸発器、サージタンク、圧縮機、サージタンク、圧力調整ユニットで基本的に構成される。LNGタンクローリーからLNG貯槽にLNGが送給される。
【0119】
LNG貯槽から取り出されたLNGは、送りガス蒸発器で気化され、サージタンクを経由し、圧縮機に供給される。圧縮機では、LNGを気体の状態で必要圧力まで昇圧する。一般的には、多段式レシプロ型の圧縮機が採用される。圧縮した後には、圧力調整ユニットで所定の圧力に調整され、各ユースポイントに供給される。
【0120】
貯槽圧力は、貯槽加圧蒸発器から供給される加圧ガスにて一定圧力に保たれる。
【0121】
LNG送りガス蒸発器・貯槽加圧蒸発器の熱源は、空気との熱交換、温水との熱交換、及び蒸気との熱交換で得られる。
【0122】
この圧縮機を故障時及びメンテナンス(1回/年)時を考慮し、二台もしくは三台設置する。メンテナンス時には、圧縮機を取り出し分解整備を行う。このために、非常に手間と時間を要する作業が必要とされる。故障時、場合によりメーカーへ返送され、修理、整備されることになるため、2台以上の設置が必要になる。メンテナンス時に一台取り外している期間も冗長性を担保するためには、3台の設置が必要になる。
【0123】
したがって、イニシャルコスト及び毎年のメンテナンスコストの高額となる。圧縮機の一般的なメンテナンスコストは、LNGポンプメンテナンスコスト程ではないが、高額となる。また、圧縮機の場合、ピストンリング等の寿命の問題でメンテナンス周期が短くなることが想定される。
【0124】
加えて、圧縮機を採用する場合、大きな電気容量が必要とされる。液体昇圧に比べて、気体の圧縮になると、体積が200倍程度になり、気体圧縮には非常に大きな電力が必要とされる。
【0125】
以下に、簡略比較で、上述した例の場合に要する動力との比較を示す。
●駆動動力比較
比較条件
流量 LNG 1000 kg/h =1204 Nm
3/h
昇圧圧力 3MPa
と仮定した。効率を無視して比較する。
・LNG昇圧ポンプを採用した昇圧システムの場合:
駆動軸動力 = 0.163QHγ = 0.8 (Kw)
Q :流量 (m
3/min) =1000kg/h/60min/460 (Kg/m
3)
≒0.036
H :揚程 (m) =3 (MPa) × 100 (m/MPa)
≒300
γ : 溶液の単位体積重量 =460 (kg/m
3) =0.46kg/l
・気体圧縮機を採用した昇圧システムの場合
駆動軸動力 =(z/6120)×V
1×P
1×(m/(m‐1))×((P
e/P
1)
(m−1)/mZ‐1)
=570 kW
Z :圧縮機段数 3段
V
1 :吸込ガス量 1204 Nm
3/h ≒6.7 m
3/min <吸込圧力 3 kg/cm
2A)
P
1 :吸込圧力 3 kg /cm
2A =30000kg/m
2A
P
e :z段圧力 30kg/ cm
2A =300000kg/m
2A
m :圧縮指数 1.2
となる。
【0126】
LNG昇圧ポンプを採用した昇圧システムの場合であっても、気体圧縮機を採用した昇圧システムの場合であっても動力が必要とされる。液体昇圧に比べ、気体昇圧では非常に大きな動力が必要とされる。
【0127】
本実施例による液化天然ガス供給システムにあっては、上述したように、加圧されたLNGを形成するのにLNGの水頭圧が用いられ、無動力とされ、動力が必要とされないばかりか、加圧タンクから直接にLNGガス蒸発器に加圧されたLNGを移送することができ、移送ラインが短くすることが可能とされ、システムが簡便化される。
【0128】
●LNG貯槽を2つ保有して一方を昇圧、他方を降圧してLNGを供給するシステム
このシステムにあっては、LNG貯槽を2つあるいは3つ以上設置される。
【0129】
図8は、当該システム(昇圧システムC)を示す図である。
【0130】
図8において、当該システムには、大型高圧化可能な2つのLNG貯槽が並置して設置される。一方のLNG貯槽、例えば上側記載のLNG貯槽が高圧とされたLNG貯槽とされ、他方のLNG貯槽、例えば下側記載のLNG貯槽が降圧されたLNG貯槽とされる。各LNG貯槽は、貯槽加圧蒸発器を備え、LNG送りガス蒸発器に各配管を介して連結される。このようなLNG貯槽は、LNGを貯蔵する機能とLNGを昇圧するという2つの機能を持つ。
【0131】
今、上側記載のLNG貯槽が降圧されて低圧状態にあるとすると、LNGローリータンクから上側記載のLNG貯槽にLNGが供給され、供給後、上側記載のLNG貯槽に付随された貯槽加圧蒸発器がLNGを蒸発させることで、このLNG貯槽内を昇圧し、高圧のLNG貯槽とする。この状態で、このLNG貯槽は、「待機」となる。
【0132】
この間、下側記載のLNG貯槽から昇圧されたLNGが配管を介してLNG送りガス蒸発器に送給される。送給されたLNGは、LNG送りガス蒸発器で熱を受け、蒸発してLNGガスとなって圧力調整ユニットで圧力が調整され、消費先に供給される。
【0133】
使用側の、すなわち下側記載のLNG貯槽のLNGが所定の量まで送給されると、待機側、すなわち上側記載のLNG貯槽に切り替えられて継続運転される。
【0134】
使用を停止した使用側の、すなわち下側記載のLNG貯槽の内部圧力をLNGローリーからLNG受け入れ可能な圧力まで、貯槽内上部でガス化しているLNGガスを放出あるいは使用することで降圧することがなされる。
【0135】
このLNG貯槽を2つ保有して一方を昇圧、他方を降圧してLNGを供給するシステムにあっては、上述した2つの機能を併せ持つLNG貯槽を2つあるいは3つ以上設置されるため、設置費、設備費が高額となる。
【0136】
これに比して、本実施例の液化天然ガス供給システムにあっては、LNG貯槽はLNG貯槽機能を持ち、加圧タンクを持つLNG還流系が、LNGを無動力で加圧する機能を持つように構成され、LNG還流系をこの機能達成に十分な設備構成とすれば十分であるので、設置費、設備費は安価となる。
【0137】
本実施例によれば、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間に、加圧タンク貯蔵されたLNGを無動力で加圧ガス蒸発器に移送するLNG水頭圧が形成され、高圧を必要とするLNGポンプや圧縮機などのような回転装置を使用せず、回転に伴う故障を回避することができ、メンテナンスを容易にして、信頼性を高め、LNGのLNGガス蒸発器への加圧連続供給を可能にして、加圧連続供給を無動力とすることができる。
【0138】
また、本実施例によれば、加圧タンクから加圧されたLNGをガス蒸発器に供給し、LNGガス蒸発器を介して消費先にLNGガスを供給する第1のLNGガス供給系統が形成され、当該加圧タンクから加温器を介して消費先にLNGガスを供給する第2のLNGガス供給系統が形成されるタンデム方式の液化天然ガス供給システムが形成される。
【解決手段】LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵する加圧されたLNGをLNGガス蒸発器に供給する加圧タンク及び加圧タンクに接続されてLNGの供給を受け、熱交換で加圧LNGガスを生成し、加圧LNGガスを加圧タンクに戻す加圧ガス蒸発器を備えて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間にLNG還流系が形成される。
当該LNG還流系が、加圧タンク内に貯蔵されたLNGを加圧ガス蒸発器との間の水頭圧によって移送する無動力移送系を有し、当該加圧タンク内のLNGがLNGガス蒸発器に移送されるに十分に加圧、移送される。