特許第6444571号(P6444571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444571
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】アレーアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/22 20060101AFI20181217BHJP
   H01Q 3/32 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01Q13/22
   H01Q3/32
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-536548(P2018-536548)
(86)(22)【出願日】2016年8月30日
(86)【国際出願番号】JP2016075289
(87)【国際公開番号】WO2018042508
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2018年10月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】横川 佳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 準
(72)【発明者】
【氏名】紀平 一成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智宏
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】中本 成洋
(72)【発明者】
【氏名】深沢 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 友宏
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−135239(JP,A)
【文献】 特開2004−229124(JP,A)
【文献】 特開2007−018923(JP,A)
【文献】 実公昭50−29400(JP,Y1)
【文献】 特開平05−63436(JP,A)
【文献】 特開2009−253940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの管壁に複数の放射部が配置された導波管を備え、
前記導波管は、前記一つの管壁と対向する管壁の内側に配置した複数の溝と、前記溝の内壁と電気的に短絡する可動短絡面と、前記可動短絡面の位置を変更する可動短絡面制御機構とを有し、
前記可動短絡面制御機構は、前記可動短絡面の位置を複数同時に変更することを特徴とするアレーアンテナ装置。
【請求項2】
前記可動短絡面は、前記溝の内壁と接する内壁を有する導体であることを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項3】
前記可動短絡面は、チョーク構造を有することを特徴とする請求項2に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項4】
前記溝の内壁に複数のスイッチを有し、導通すると前記スイッチにより前記可動短絡面を構成するとともに、前記可動短絡面制御機構は、前記複数のスイッチのうち、所定のスイッチのみ導通することによって前記可動短絡面の位置を変更することを特徴とする、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項5】
前記溝は、隣接する溝の間隔が前記導波管の管軸方向に沿って動作周波数の2分の1波長以内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項6】
入力信号の位相を変更する移相器と、
前記移相器が位相を変更した入力信号を増幅し、前記導波管へ出力する増幅器と、
を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項7】
複数の請求項に記載のアレーアンテナ装置を前記導波管の管軸方向が互いに平行になるように配列したことを特徴とするアレーアンテナ装置。
【請求項8】
一つの管壁に複数の放射部が配置された導波管を備え、
前記導波管は、前記一つの管壁と対向する管壁の内側に配置した複数の溝と、前記溝の内壁と電気的に短絡する可動短絡面と、前記可動短絡面の位置を変更する可動短絡面制御機構とを有し、
前記溝の内壁に複数のスイッチを有し、導通すると前記スイッチにより前記可動短絡面を構成するとともに、前記可動短絡面制御機構は、前記複数のスイッチのうち、所定のスイッチのみ導通することによって前記可動短絡面の位置を変更することを特徴とするアレーアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変指向性を有するアレーアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レーダ、無線通信においては、微弱な電波でも送受信を可能とするために高利得であることと、広い角度範囲内で探知、あるいは通信を可能とするための広覆域特性が求められており、可変指向性を有するアレーアンテナ装置が注目されている。
代表的なアレーアンテナ装置の一つである導波管スロットアレーアンテナに可変指向性を実現するためには、導波管に複数配置された放射素子(スロット)の励振位相を変更する機構が必要である。
【0003】
スロットの励振位相を変更するには、導波管の幾何形状を変更する、あるいはスロットが配置されている位置を変更する方法がある。
例えば、特許文献1には、スロットが配列された管壁に対向する面に、可動構造物を導波管内部に突出することで励振位相を変更するアンテナ装置が示されている。
また、特許文献2には、アレーアンテナの全てのスロットにダイオードを装荷し、ダイオードの状態を切り替えることによってスロットの位置を変更するアンテナ装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−205588
【特許文献2】特開平05−063409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、可動構造物を導波管内部に突出させることによって導波管幾何形状を変更しているため、入力インピーダンスが変動し、その結果反射特性が劣化すると言う課題がある。
また、特許文献2では、スロットに直接スイッチを設けているため放射効率が下がると言う課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、一つの管壁に複数の放射部が配置された導波管を備え、前記導波管は、前記一つの管壁と対向する管壁の内側に配置した複数の溝と、前記溝の内壁と電気的に短絡する可動短絡面と、前記可動短絡面の位置を変更する可動短絡面制御機構とを有し、前記可動短絡面制御機構は、前記可動短絡面の位置を複数同時に変更することを特徴とするアレーアンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、反射特性を劣化させることなく、可変指向性を有するアレーアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るアレーアンテナ装置の斜視図である。
図2】実施の形態1に係るアレーアンテナ装置の側面図である。
図3】実施の形態1に係るアレーアンテナ装置の断面図である。
図4】制御回路7のハードウェア構成図である。
図5】制御回路7の動作を示すフローチャート図である。
図6】実施の形態1に係るアレーアンテナ装置に溝3個設置時の断面図である。
図7】実施の形態1に係るアレーアンテナ装置のスミスチャート図である。
図8】実施の形態2に係るアレーアンテナ装置の斜視図である。
図9】実施の形態2に係るアレーアンテナ装置の側面図である。
図10】実施の形態2に係るアレーアンテナ装置の断面図である。
図11】実施の形態3に係るアレーアンテナ装置の斜視図である。
図12】実施の形態3に係るアレーアンテナ装置の側面図である。
図13】実施の形態3に係るアレーアンテナ装置の断面図である。
図14】実施の形態4に係るアレーアンテナ装置の断面図である。
図15】実施の形態5に係るアレーアンテナ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1から図3を用いて、本実施の形態に係るアレーアンテナ装置について説明を行う。
図1は、本実施の形態1に係るアレーアンテナ装置の斜視図、図2は、図1のA−A方向から見た側面図、図3は、図1のB−B方向から見た断面図である。
図1から図3において、1は導波管、2はスロット(放射部)、3および3a〜3fは溝、4および4a〜4fは可動短絡面(短絡面)、41は可動短絡面の側壁、5および5a〜5fは可動短絡面制御機構(動作部)、6および6a〜6fは制御線、7は制御回路、8は導波管終端部、9は入力端子である。
【0010】
可動短絡面4を動作するための可動短絡面制御機構5は、制御線6で制御回路7と接続されている。
スロット2は、導波管1の広壁面に設けられ、動作周波数の約2分の1波長の長さを有する。また、スロット2は、導波管1の管軸に沿って動作周波数の約1波長以内に配置される。この時、広壁面の中心軸を跨って交互に配置される。なお、この場合、管軸方向に直交する面がアンテナの偏波面となる。
【0011】
溝3は、約2分の1波長以内の深さを有し、スロット2が配置されている壁面と対向する位置に動作周波数の約2分の1波長以内の間隔で周期的に設けられる。溝3a〜3fについても同様である。
【0012】
可動短絡面4は、溝3の内部に配置された導体で、導波管1側の面は平面である。可動短絡面4a〜4fについても同様であり、本実施の形態では、可動短絡面4aが溝3aに、可動短絡面4bが溝3bに、可動短絡面4cが溝3cに、可動短絡面4dが溝3dに、可動短絡面4eが溝3eに、可動短絡面4fが溝3fの内部に構成する場合について説明する。
なお、可動短絡面4は、溝3内の任意の位置へ動かすことが可能であり、その可動短絡面4が接している溝3の内壁とは、側壁41を介して電気的に短絡されているものとする。側壁41は、この溝3の内壁と密着して接する可動短絡面4の側面のことである。
側壁は、可動短絡面4a〜4fについても同様である(符号は略す)。
【0013】
可動短絡面制御機構5は、モータやアクチュエータであり、各溝にそれぞれ配置され、各可動短絡面の位置を変更するのに用いる。可動短絡面制御機構5a〜5fについても同様であり、本実施の形態では、可動短絡面制御機構5aが溝3aに構成され可動短絡面4aの位置を変更し、可動短絡面制御機構5bが溝3bに構成され可動短絡面4bの位置を変更し、可動短絡面制御機構5cが溝3cに構成され可動短絡面4cの位置を変更し、可動短絡面制御機構5dが溝3dに構成され可動短絡面4dの位置を変更し、可動短絡面制御機構5eが溝3eに構成され可動短絡面4eの位置を変更し、可動短絡面制御機構5fが溝3fに構成され可動短絡面4fの位置を変更する場合について説明する。
【0014】
制御線6は、シールドされた導体の線で構成され、可動短絡面制御機構5と制御回路7をつなぐのに用いられる。
なお、制御線6は、導波管1に入力される波長と比べて小さい穴を通じて、溝3内の可動短絡面制御機構5に接続される。制御線6a〜6fについても同様であり、本実施の形態では、制御線6aは可動短絡面制御機構5aと制御回路7をつなぎ、制御線6bは可動短絡面制御機構5bと制御回路7をつなぎ、制御線6cは可動短絡面制御機構5cと制御回路7をつなぎ、制御線6dは可動短絡面制御機構5dと制御回路7をつなぎ、制御線6eは可動短絡面制御機構5eと制御回路7をつなぎ、制御線6fは可動短絡面制御機構5fと制御回路7をつな場合について説明する。
本実施の形態では、溝3、可動短絡面4、可動短絡面制御機構5、制御線6の組み合わせを6つ用意した場合について説明しているが、この組み合わせは幾つであっても良い。
【0015】
制御回路7は、設定データに基づいた指示を可動短絡面制御機構5a〜5fに出力し、各溝3a〜3f内に構成されている各可動短絡面4a〜4fを所望の位置に移動する。なお、制御回路7は、可動短絡面制御機構5a〜5fに対して個別に移動の指示を出すことにより、可動短絡面4a〜4fをそれぞれ違う位置に変えることが可能である。
【0016】
図4は、制御回路7のハードウェア構成の具体例を概略的に示すブロック図である。図4に示されるように、制御回路7は、可動短絡面制御機構5a〜5fの制御を行うプロセッサ100と、記憶装置200と、入力装置300と、出力装置400とを有する。
【0017】
記憶装置200は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスクなどの外部記憶装置の総称であり、プロセッサ100によってプログラムやデータの読み書きが行われ、また、一時データの格納先としても使用される。可動短絡面制御機構5a〜5fの制御を行うプログラム(制御プログラム)も記憶装置200に格納される。
【0018】
入力装置300は、キーボードやマウス、タッチパッド、有線や無線の通信インタフェース、音声認識、各種センサなどの入力機器およびこれらを制御するプログラムや通信経路などである。なお、可動短絡面制御機構5の制御を行う制御プログラムが予め設定された情報のみで動作可能であり、操作者からの指示が不要な場合、入力装置300は必要ではない。
出力装置400は、制御線6が接続される基板であってもよいし、プロセッサ100の入出力ポートであってもよい。
【0019】
次に、本実施の形態に係るアレーアンテナ装置の動作について説明する。
本実施の形態に係るアレーアンテナ装置は、導波管終端部8をダミー抵抗による終端あるいは短絡することによって用いられる進行波アンテナであり、入力端子9から入射された電波をスロット2から放射するものとする。
【0020】
また、溝3a〜3fには、内部に導体で構成される可動短絡面4a〜4fが設けられており、全ての溝内の可動短絡面4a〜4fは、可動短絡面制御機構5a〜5fによりそれぞれ個別に位置の変更ができるものとする。
【0021】
溝3a〜3fの内部の可動短絡面4a〜4fの位置が変化すると、導波管1の管内波長が変化する。この管内波長の変化により、スロット2の励振位相が変化し可変指向性が可能になる。
溝3a〜3fは、内部の可動短絡面4a〜4fの位置が導波管1の内壁から管内波長の4分の1波長以内であれば、誘導性の負荷として動作する。また、4分の1波長から2分の1波長であれば容量性の負荷として動作する。
すなわち、可動短絡面4a〜4fの溝内の位置によって、入力インピーダンスが変動し、反射特性に劣化が生じる。そこで、本実施の形態では、次のように可動短絡面位置を動作させることで、可動短絡面4a〜4fの位置によって、入力インピーダンスが変動し、反射特性に劣化が生じる課題を解消する。
【0022】
図5は、本実施の形態に係る制御回路7が動作する際の処理フローである。本実施の形態では、操作者から、指向性の変更指示を受け取った場合について述べる。
制御回路7は、操作者からの指向性の変更指示を受けつける(S101)。
次に、制御回路7は、受け付けた指向性に対応する設定データを参照する(S102)。
そして、制御回路7は、設定データに基づき、各溝の可動短絡制御機構5a〜5fを操作し、可動短絡面4a〜4fの位置を動作させる(S103)。
【0023】
次に図6図7を用いて、設定データの説明をする。
図6は、本実施の形態に係るアレーアンテナ装置に溝10a、溝10b、溝10cの3つを設置した場合の断面図である。
図7は、図6に示す溝10a、10b、10cを誘導性の負荷として、それぞれの溝を等間隔配置される場合のスミスチャートである。
【0024】
スミスチャート11上で溝10a、10b、10cが存在しない場合、入力インピーダンスは中心に位置する。
溝10cを1つ配置することで誘導性に動作することから軌跡12aのように入力インピーダンスが変化する。この時、入力インピーダンスの変化量は、可動短絡面位置により調整可能である。
【0025】
更に2分の1波長以内の距離離れたところに溝10bを配置することによって軌跡13a及び12bを通り入力インピーダンスが変化する。
また、同様の構造が等間隔配置されていることから13b及び12cを通り入力インピーダンスをスミスチャート上の中心に戻すことができる。軌跡13a、13bの変化量は、溝が配置される間隔に起因することから固定である。
一方で、軌跡12a、12b、12cは可動短絡面位置によって変化量を調節することができる。上記の軌跡12a、12b、12cの変化量を変えることで、管内波長が変化し可変指向性が可能となる。
【0026】
なお、本実施の形態で用いたスミスチャート11の例では、軌跡12aの変化量が比較的大きい場合を描いているが、軌跡12aの変化量が小さい場合、すなわち可動短絡面の位置が導波管1の底面近くに配置している場合、軌跡12cあるいは軌跡12bの変化量も小さくすればよい。
溝内の可動短絡面の位置を調整することで入力インピーダンスを一定に保つことができる。
【0027】
本実施の形態では、溝が3個の場合について説明したが、溝が4個以上の場合であっても、同様にスミスチャートから求めた設定データを用い、各溝の可動短絡面の位置を調整することにより、入力インピーダンスを一定に保つことができる。
以上のように、スミスチャートから求めた設定データに基づいて、各可動短絡面の位置を調整することにより、指向性を変化させても入力インピーダンスが一定であることから、反射特性が劣化しない高効率なアンテナを実現できる。
なお、本実施の形態で用いたスロット2は、管軸に沿った矩形状で描いているが、任意の形状でもよい。また、放射素子はスロットではなく、プローブ給電の素子でもよい。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、可動短絡面4が側壁41を介して溝3の内壁が接触している構造であった場合のアレーアンテナ装置について述べた。
本実施の形態では、可動短絡面4の摩耗を防止するようにしたアレーアンテナ装置について述べる。
図8図9及び図10はこの発明の実施の形態2に係るアレーアンテナ装置を模式的に示す図である。
【0029】
図8は、本実施の形態に係るアンテナ装置の斜視図であり、図9は、図8のC−C方向から見た断面図、図10図8のD−D方向から見た断面図を示している。
図8図9及び図10において、14および14a〜14fは、本実施の形態で説明する可動短絡面である。また、141は、本実施の形態で説明する可動短絡面14の側壁である。なお、図8図9および図10において、図1図3と同一符号は、同一または相当部分を示している。
本実施の形態によるアレーアンテナ装置は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、可動短絡面が溝と接していない点が異なる。
【0030】
本実施の形態では、図10に示すように、可動短絡面14a〜14fの側壁41に対して、溝の底面に向かって4分の1波長の奇数倍の長さを有したチョーク構造を有する。そしてこのチョーク構造により、可動短絡面14a〜14fと溝3a〜3fとの間には隙間を設けてある。
以上により、可動短絡面4より下に電磁界が侵入しないため、入力インピーダンスに影響が出ず一定であることから、反射特性が劣化しないだけではなく、可動短絡面の摩耗を防止することが可能となる。
【0031】
実施の形態3.
実施の形態1および2では、可動短絡面が導体で構成されていた場合のアレーアンテナ装置について述べた。本実施の形態では、可動短絡面の代わりにダイオードなどのスィッチを複数用いた場合のアレーアンテナ装置について述べる。
図11図12及び図13は本実施の形態に係るアレーアンテナ装置を模式的に示す図である。
【0032】
図11は、本実施の形態に係るアンテナ装置の斜視図であり、図12は、図11のE−Eの位置における断面図、図13図11のF−Fの位置における断面図を示している。
図11図12及び図13において、161a〜161c、162a〜162r、163a〜163cはダイオードであり、制御線6によって制御回路7に接続されている。
本実施の形態では、制御線6は、ダイオードに電流を供給するための導線であり、制御回路7は各ダイオードに個別に電流を供給するための電源(図示せず)を操作するものとする。図11図12及び図13において、図1図3図8図9と同一符号は、同一または相当部分を示している。なお図11図12及び図13は、ダイオードが全てOFFの状態を示す。
【0033】
本実施の形態では、可動短絡面をダイオードに変更した構造である。溝内の複数の異なる高さに所定の間隔でダイオードを装荷し、各々の高さには1つ以上のダイオードを装荷する。図11、12及び図13では、一つの高さ(可動短絡面)を形成するのに3つのダイオードを用い、その高さを3段階とした場合の例を示している。
そして、制御回路から配線される制御線6により、各溝内のダイオードのうち一つの高さのダイオードをONにすることで当該ダイオード位置に電気的な短絡面が形成される。例えば、図12において、ダイオード161b、162b、163bのみをONにすることで、真ん中の高さに電気的な短絡面を形成することができる。
上記ダイオードによる電気的な短絡面位置の制御方法は、実施の形態1と対応している。すなわち、溝内のダイオード位置を制御することで入力インピーダンスをスミスチャート上の中心付近に移動させる。
【0034】
しかし、実施の形態1では、可動短絡面位置が連続的に制御可能である一方、実施の形態3では、ダイオードを異なる高さに所定の間隔で配置していることから離散的な位置にしか短絡面を制御できない。従って、実施の形態3における図7に示す軌跡12a、12b、12cに対応する短絡面の位置は、実施の形態1の可動短絡面位置に近い高さのダイオードをON状態とすることで、スミスチャートの中心付近に移動させる。
以上のように、各溝内に複数のスイッチを配置する構成としたことにより、実施の形態1と同等の効果が得られると共に、高速に短絡面位置を制御できる。
なお、本実施の形態では、ダイオードを用いているがMEMSスイッチ、FETスイッチ等のスイッチでも代替可能である。
【0035】
実施の形態4.
実施の形態1、2では、各溝の内部に構成される可動短絡面の位置を制御回路が各溝内部に用意した可動短絡面制御機構を個別に制御した場合のアレーアンテナ装置について述べた。本実施の形態では、各溝に用意した可動短絡面制御機構を共通化し、複数の可動短絡面を同時に制御する共通制御機構を用いた場合のアレーアンテナ装置について述べる。
図14は本実施の形態に係るアレーアンテナ装置を模式的に示す図であり断面図を示している。図14において、6xと6yは制御線、19aと19bは共通制御機構である。図14において、図3と同一符号は、同一または、相当部分をしめしている。なお、図14では便宜的に実施の形態1で用いた可動短絡面4に対する構成を示しているが、実施の形態2で用いた可動短絡面14に対する構成であってもよい。
【0036】
共通制御機構19aは、制御線6xを介して制御機構7によって制御される。同様に、共通制御機構19bは、制御線6yを介して制御機構7によって制御される。
共通制御機構は、可動短絡制御機構と同様、モータやアクチュエータなどで構成されてよく、複数の可動短絡面を同時に同じ高さ(溝内の位置)に移動できるよう、例えば図14に示すような板から可動短絡面を操作するための棒のようなもので構成されていても良い。
図14では、共通制御機構19aは可動短絡面4b、4eを同時に制御し、共通制御機構19bは可動短絡面4a、4c、4d、4fを同時に制御する場合の一例を示す。
【0037】
実施の形態1で記載したように、本発明では、可動短絡面位置を溝毎に制御を行っている。そして図6に示すように溝10a、溝10b、溝10cの3つを設置した場合、図7に示したスミスチャートを見てわかる通り、溝10b及び溝10cの可動短絡面位置は、溝10aの誘導成分を打ち消すように設定されることから、溝10aと溝10cは同等の高さに配置される。
つまり、同等の高さに配置される可動短絡面が複数ある場合、共通制御機構19a、19bを利用することで、同時に可動短絡面を動作させることができる。
以上のように、同じ高さに配置される可動短絡面を同時に制御する共通制御機構を用いたことにより、実施の形態1と同等の効果が得られると共に、制御回路を簡略化することができ、低コストでアレーアンテナ装置を実現できる。
【0038】
実施の形態5.
実施の形態1から4では、放射素子を管軸に沿って配列した場合のアレーアンテナ装置について述べた。本実施の形態では、放射素子を面状に複数配置した場合のアレーアンテナ装置について述べる。
15は、本実施の形態に係るアレーアンテナ装置を模式的に示す斜視図である。図15において、20はアレーアンテナ装置、21は移相器、22は増幅器である。アレーアンテナ装置20に増幅器22が接続され、増幅器22に移相器21が接続されている。
なお、アレーアンテナ装置20は、実施の形態1から4で記載したアレーアンテナ装置のいずれかであってよい。
また、図15の例では実施の形態1で記載したアレーアンテナ装置を4つ合わせたものを例として説明しているが、アレーアンテナ装置20の数はどのような数であっても良い。アレーアンテナ装置20を複数用いる場合は、アレーアンテナ装置20の管軸方向が平行になるように並列に配列する。
【0039】
移相器21は、入力信号の位相を変更し、増幅器22へ出力する。
増幅器22は、移相器21から出力された、位相が変更された信号を増幅し、アレーアンテナ装置20へ出力する。
このように、アレーアンテナ装置20に増幅器22及び移相器21を接続し、アレーアンテナ装置20の管軸方向が平行になるように並列に配列、つまり、アレーアンテナ装置を面に配列することで、2次元的な指向性可変が可能となる。
以上のように、実施の形態1と同等の効果が得られだけでなく、従来よりも高い利得が得られる。
【符号の説明】
【0040】
1 導波管、2 スロット、3、3a〜3f 溝、4、4a〜4f 可動短絡面、5、5a〜5f 可動短絡面制御機構、6、6a〜6f、6y、6z 制御線、7 制御回路、8 導波管終端部、9 入力端子、10a、10b、10c 溝、11 スミスチャート、12a、12b、12c、13a、13b 入力インピーダンス変動に伴う軌跡の変化、14、14a〜14f チョーク構造を有する可動短絡面、161a〜161c、162a〜162r、163a〜163c ダイオード、19a、19b 共通制御機構、20 アレーアンテナ装置、21 増幅器、22 移相器、41、141 側壁、100 プロセッサ、200 記憶装置、300 入力装置、400 出力装置。
図1
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