特許第6444574号(P6444574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6444574
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】水処理システムおよび水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20181217BHJP
   C02F 3/20 20060101ALI20181217BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20181217BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   C02F3/12 D
   C02F3/12 A
   C02F3/12 B
   C02F3/12 N
   C02F3/12 P
   C02F3/12 S
   C02F3/20 Z
   C02F1/78
   C02F11/06 A
   C02F11/06 B
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-548237(P2018-548237)
(86)(22)【出願日】2018年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2018022007
【審査請求日】2018年9月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(72)【発明者】
【氏名】明田川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】平敷 勇
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253994(JP,A)
【文献】 特開2017−209662(JP,A)
【文献】 特開2013−226536(JP,A)
【文献】 特開平11−42494(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/189677(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/185533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/12
C02F 1/78
C02F 3/20
C02F 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水を満たす曝気槽と、
前記曝気槽の底部に配置され、前記曝気槽内に気体を放出する散気装置と、
前記曝気槽内において前記廃水から生成された汚泥含有処理水を移送してオゾンガスにより反応浄化処理を行うオゾン浄化槽と、
前記オゾン浄化槽にオゾンガスを供給するオゾン発生器と、
前記曝気槽から前記オゾン浄化槽に前記汚泥含有処理水を移送する移送配管と、
前記オゾンガスを注入された前記汚泥含有処理水を、前記オゾン浄化槽から前記曝気槽に返送する返送配管とを有し、
前記曝気槽は、下方に前記散気装置が配置されている曝気促進部と下方に前記散気装置が存在しない曝気抑制部とに区画され、
前記移送配管の、前記曝気槽内に設けた末端口は、前記曝気促進部と、前記曝気抑制部との境界上または前記曝気抑制部内、かつ、前記汚泥含有処理水の表層部に位置し、前記末端口は、上方に開口している水処理システム。
【請求項2】
前記曝気促進部と前記曝気抑制部との前記境界上、かつ、前記曝気槽の底部に、上方に向かって曝気遮断壁が設けられている請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記曝気遮断壁は、前記曝気抑制部側に向かって湾曲又は傾斜している請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記曝気遮断壁に隣接する前記曝気抑制部側の領域の前記曝気槽の底部に、前記曝気抑制部の底部の沈殿物を排出する沈殿物排出配管が設けられている請求項2又は請求項3に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記曝気槽に接続され、前記汚泥含有処理水を、浄化した処理水と濃縮汚泥とに分離する第一固液分離槽と、
前記濃縮汚泥の一部を前記曝気槽に返送する濃縮汚泥返送配管とを有し、
前記濃縮汚泥返送配管の、前記曝気槽との接続部は、前記曝気槽の側面かつ前記曝気抑制部側に位置する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記末端口の位置は、前記接続部よりも高い請求項に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記末端口の位置における前記汚泥含有処理水の汚泥濃度を測定する第一センサと、
前記第一センサの測定結果に基づき、前記オゾン浄化槽へ移送する前記汚泥含有処理水の量を制御する移送量制御装置とを有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記移送量制御装置は、一定期間毎に記録された前記第一センサの測定値の平均値に基づき、前記オゾン浄化槽へ移送する前記汚泥含有処理水の量を制御する請求項に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記末端口の位置における前記汚泥含有処理水の有機汚泥の濃度を測定する第二センサと、
前記第二センサの測定結果に基づき前記オゾン発生器を制御するオゾン発生器制御装置とを有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記オゾン発生器制御装置は、一定期間毎に記録された前記第二センサの測定値の平均値に基づき、前記オゾン浄化槽に注入するオゾン量を制御する請求項に記載の水処理システム。
【請求項11】
前記オゾン浄化槽による処理済みの前記汚泥含有処理水を、沈殿物と上澄み液とに分離する第二固液分離槽と、前記上澄み液の紫外光の吸光度を測定する第三センサとを備え、
前記吸光度の値は、前記オゾン発生器制御装置に入力される請求項又は請求項10に記載の水処理システム。
【請求項12】
曝気槽内において気体を放出する散気装置を用いて廃水に曝気を行い微生物を育成する曝気工程と、
前記微生物を含む汚泥を用いて汚泥含有処理水を生成する生物処理工程と、
前記曝気槽から前記汚泥含有処理水を、オゾン浄化槽に移送する移送工程と、
前記オゾン浄化槽において前記汚泥含有処理水にオゾンガスを注入するオゾン処理工程と、
前記オゾン浄化槽において、前記オゾンガスが注入された前記汚泥含有処理水を前記曝気槽に返送する返送工程とを有し、
前記移送工程において、前記曝気槽の内部の内、下方に前記散気装置が配置されている領域である曝気促進部と、下方に前記散気装置が存在しない領域である曝気抑制部との境界上または前記曝気抑制部内、かつ、前記汚泥含有処理水の表層部から前記汚泥含有処理水を、上から下に向かって引き抜いて前記オゾン浄化槽に移送する水処理方法。
【請求項13】
前記オゾン処理工程において、オゾンガスを注入された前記汚泥含有処理水を、沈殿物と上澄み液とに分離した後、前記上澄み液の紫外光の吸光度を測定する紫外吸光度測定工程を有し、
前記吸光度の値に基づき、前記オゾン処理工程における有機汚泥の単位重量当たりの前記オゾンガスの量の設定値を調整する請求項12に記載の水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、水に処理を行う水処理システムおよび水処理方法に関し、特に、有機性物質を含有する廃水に対しオゾンを用いて処理をする水処理システムおよび水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物を含有する廃水などの水を処理する方法として、微生物を利用した標準活性汚泥法などの水処理方法が知られている。この処理方法では、微生物を含んだ汚泥を用いて廃水の処理を行う。廃水の処理の進行に伴い廃水の浄化が促されるが、一方で微生物の増殖が進行する。廃水の処理が進む一方で汚泥中の微生物が増殖した場合、微生物と他の浮遊物などとを含む汚泥が、廃棄物として過剰に発生し得る。このようにして過剰に発生した汚泥は、余剰汚泥と呼ばれる。
【0003】
微生物を含んだ汚泥を用いて廃水の処理を行う上述の処理方法では、具体的には、曝気を行う生物処理槽に微生物を存在させ、この生物処理槽に廃水を流入させることで生物処理を行う。このとき、生物処理によって生物処理槽内に汚泥が過剰に発生し得るため、生物処理槽内では廃水の浄化に必要な汚泥と、廃水の浄化に必要のない過剰に発生した汚泥(余剰汚泥)を共に含有する汚泥含有処理水が生成される。
【0004】
余剰汚泥は、水処理に不必要な汚泥であるため、廃水処理系外へと排出する必要がある。排出された余剰汚泥は、産業廃棄物として、焼却処分、埋め立て処分、または嫌気条件下での発酵処分が施される。余剰汚泥の処分には、多大なエネルギー、コスト、および新たな用地が必要となる。そのため、水処理システムおよび水処理方法では、余剰汚泥の発生量の低減が求められている。
【0005】
余剰汚泥の発生量を低減させる方法のひとつとして、オゾンガスを利用した汚泥の減容化処理が知られている。具体的には、汚泥を含有する汚泥含有処理水を生物処理槽から槽外に移送し、移送した汚泥含有処理水にオゾンガスを注入する(例えば、特許文献1、2参照)。また、生物処理槽から移送した汚泥含有処理水ではなく、固液分離槽において処理水から分離された汚泥に対してオゾンガスを注入しても良い(例えば、特許文献2、3参照)。生物処理槽から槽外に移送されて、オゾンガスが注入された汚泥含有処理水は再び、生物処理槽に返送される。
【0006】
生物処理の対象となる廃水などの水は、有機物だけでなく砂、金属などの無機物も含まれるため、生物処理槽内の汚泥は、微生物および有機物が集まった有機汚泥と、砂や金属などの無機物から構成される無機汚泥とからなる。無機物は、鉄、マンガンなどのオゾンガスと反応して酸化物を形成する酸化物形成無機物と、砂、リン酸アルミニウムなどのオゾンガスを消費しない非反応無機物とに分かれる。
【0007】
ところで、オゾンガスは、汚泥中の無機物を分解することはできず、汚泥中の有機汚泥のみを分解するため、分解された有機汚泥の量だけ余剰汚泥の量が減少し得る。このとき、鉄、マンガンなどのオゾンガスと反応して酸化物を形成する酸化物形成無機物によって、注入したオゾンガスの一部が消費されるため、消費されるオゾンガスの量だけ、汚泥含有処理水に注入する必要のあるオゾンガスの量が増加する。
【0008】
オゾンガスを利用した汚泥の減容化処理では、注入するオゾンガスの量が過剰であると、生物処理槽内の廃水の浄化に必要な有機汚泥も分解されて処理水質が悪化し得る。これにより、オゾンガスの調達コストが増加する。一方、注入するオゾンガスの量が不足すると廃水の浄化に必要がない、過剰に発生された有機汚泥を分解できない虞があり、汚泥の処分コストが増加する。そのため、廃水の浄化に必要のない過剰に発生した有機汚泥のみを分解できるように、過不足のない量のオゾンガスを注入することが重要である。そこで、特許文献1では、生物処理槽内の汚泥含有処理水の微生物活性度を測定し、微生物活性度に応じて、注入するオゾンガスの量を制御している。また、特許文献3では、生物処理槽内の汚泥含有処理水中の汚泥量を測定し、汚泥量に応じて、注入するオゾンガスの量を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−226536号公報
【特許文献2】特開2004−141746号公報
【特許文献3】特開平11−347596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
オゾンガスを利用した汚泥の減容化処理を適用した従来の水処理システムでは、有機汚泥、酸化物形成無機物、および非反応無機物で構成される汚泥を含有する汚泥含有処理水を生物処理槽から槽外に移送してオゾン処理を行っているが、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物の槽外への移送を抑制する機構を有していない。そのため、酸化物形成無機物によって、注入したオゾンガスの一部が消費され、汚泥含有処理水に注入する必要のあるオゾンガスの量が増加し、これによりオゾンガスの調達コストが増加するという課題があった。
【0011】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、汚泥を含有する汚泥含有処理水を生物処理槽から槽外に移送し、移送した汚泥含有処理水にオゾンガスを注入する水処理システムおよび水処理方法において、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物の槽外への移送量を抑制することによって、汚泥含有処理水に注入する必要のあるオゾンガスの量の増加を抑制し、汚泥含有処理水中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを低減することが可能な水処理システムおよび水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願に開示される水処理システムは、
廃水を満たす曝気槽と、
前記曝気槽の底部に配置され、前記曝気槽内に気体を放出する散気装置と、
前記曝気槽内において前記廃水から生成された汚泥含有処理水を移送してオゾンガスにより反応浄化処理を行うオゾン浄化槽と、
前記オゾン浄化槽にオゾンガスを供給するオゾン発生器と、
前記曝気槽から前記オゾン浄化槽に前記汚泥含有処理水を移送する移送配管と、
前記オゾンガスを注入された前記汚泥含有処理水を、前記オゾン浄化槽から前記曝気槽に返送する返送配管とを有し、
前記曝気槽は、下方に前記散気装置が配置されている曝気促進部と下方に前記散気装置が存在しない曝気抑制部とに区画され、
前記移送配管の、前記曝気槽内に設けた末端口は、前記曝気促進部と、前記曝気抑制部との境界上または前記曝気抑制部内、かつ、前記汚泥含有処理水の表層部に位置し、前記末端口は、上方に開口しているものである。
【0013】
本願に開示される水処理方法は、
曝気槽内において気体を放出する散気装置を用いて廃水に曝気を行い微生物を育成する曝気工程と、
前記微生物を含む汚泥を用いて汚泥含有処理水を生成する生物処理工程と、
前記曝気槽から前記汚泥含有処理水を、オゾン浄化槽に移送する移送工程と、
前記オゾン浄化槽において前記汚泥含有処理水にオゾンガスを注入するオゾン処理工程と、
前記オゾン浄化槽において、前記オゾンガスが注入された前記汚泥含有処理水を前記曝気槽に返送する返送工程とを有し、
前記移送工程において、前記曝気槽の内部の内、下方に前記散気装置が配置されている領域である曝気促進部と、下方に前記散気装置が存在しない領域である曝気抑制部との境界上または前記曝気抑制部内、かつ、前記汚泥含有処理水の表層部から前記汚泥含有処理水を、上から下に向かって引き抜いて前記オゾン浄化槽に移送するものである。
【発明の効果】
【0014】
本願に開示される水処理システムおよび水処理方法によれば、汚泥を含有する汚泥含有処理水を生物処理槽から槽外に移送し、移送した汚泥含有処理水にオゾンガスを注入する水処理システムにおいて、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物の槽外への移送量を抑制することによって、汚泥含有処理水に注入する必要のあるオゾンガスの量の増加を抑制し、汚泥含有処理水中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを低減することが可能な水処理システム、および水処理方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態1に係る水処理方法のフローチャートである。
図3】実施の形態2に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
図4】実施の形態3に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
図5】実施の形態4に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
図6】実施の形態5に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
図7】実施の形態5に係る水処理システムに用いる有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量と、上澄み液の紫外吸光度の関係を説明する図である。
図8】実施の形態5に係る水処理方法のフローチャートである。
図9】実施の形態5に係る水処理方法の他のフローチャートである。
図10】曝気遮断壁の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る水処理システムおよび水処理方法を図を用いて説明する。
本明細書において、高さに言及するとき、高さの高低に言及するときは、鉛直方向の高さをいうものとする。また、上、下、上面等、上下関係について言及するときは、鉛直方向の上下関係をいうものとする。
図1は、水処理システム100の構成を示す模式図である。水処理システム100は、曝気槽1、散気装置2、第一固液分離槽6、オゾン浄化槽8等を備える。
【0017】
曝気槽1には、有機物を含んだ未処理の廃水4が導入され、満たされる。廃水4は、これから処理すべき水の一例である。
【0018】
曝気槽1の底部の所定の部分には、散気装置2が備えられている。そして散気装置2は、曝気槽1の外部に設置された空気供給装置3に接続されている。散気装置2は、空気供給装置3から取得した空気を曝気槽1内に放出して供給し、曝気槽1を好気性条件下におく。空気供給装置3としては、必要となる空気供給量によって異なるが、ブロア、コンプレッサ、又はポンプ等が用いられる。
【0019】
曝気槽1内では、育成された微生物等の集合体である汚泥によって、廃水4が好気性条件下で処理され、汚泥を含有する汚泥含有処理水5が生成される。
【0020】
曝気槽1内で生成された汚泥含有処理水5は、曝気槽1に接続されている第一固液分離槽6に排出される。第一固液分離槽6は、汚泥含有処理水5を、浄化した処理水7と濃縮汚泥とに分離する。第一固液分離槽6において分離された濃縮汚泥は、余剰汚泥配管101を介して固液分離槽の外部に輸送される。また、濃縮汚泥の一部は、濃縮汚泥返送配管102を介して曝気槽1に返送される。
【0021】
第一固液分離槽6から流出する処理水7の流出方法は特に限定されないが、オーバーフロー方式を採用すると、ポンプなどの動力を必要とせずに、第一固液分離槽6から処理水7を流出させることができる。
【0022】
第一固液分離槽6としては、沈殿槽、または膜分離槽等を用いる。膜分離槽を用いる場合、いわゆる膜分離活性汚泥法で使用される膜モジュールを使用すれば良い。
【0023】
オゾン浄化槽8は、移送配管103を介して曝気槽1に接続されている。オゾン浄化槽8においては、曝気槽1から移送された汚泥含有処理水5に対してオゾンガスを用いた反応浄化処理が行われる。移送配管103上にはポンプ9が設置されている。移送配管103の曝気槽1側の端部を、末端口103tとする。
【0024】
曝気槽1内の汚泥含有処理水5は、末端口103tが位置する場所から、ポンプ9の駆動によって、移送配管103を介してオゾン浄化槽8へ移送される。汚泥含有処理水5は、連続的にオゾン浄化槽8へ移送することが可能である。なお、ポンプ9は、汚泥含有処理水5をオゾン浄化槽8へ移送する手段の一例である。
【0025】
また、オゾン浄化槽8は、オゾンガス配管104を介してオゾン発生器11に接続されている。オゾン発生器11は、ガス状のオゾンを発生させる装置である。オゾン発生器11で発生させたオゾンガスは、オゾンガス配管104からオゾン浄化槽8に供給され、オゾン浄化槽8に移送された汚泥含有処理水5中の有機汚泥と反応させてこれを分解処理する。
【0026】
オゾンガスにより有機汚泥が分解された汚泥含有処理水5は、返送配管105を介して曝気槽1に返送される。返送配管105上には、返送ポンプ12が設置されており、返送ポンプ12の駆動によって、オゾン浄化槽8内の汚泥含有処理水5を連続的に曝気槽1へ返送することが可能となる。
【0027】
なお、返送ポンプ12は、汚泥含有処理水5を曝気槽1へ返送させる手段の一例であり、この返送手段に限定されるものではない。返送手段として、例えば、オゾン浄化槽8が曝気槽1よりも高い位置にある場合は、自然落下により返送しても良い。
【0028】
なお、オゾン浄化槽8の構成は、汚泥含有処理水5にオゾンガスを供給することができる公知の技術を使用すれば良く、特に限定されない。例えば、オゾン浄化槽8が汚泥含有処理水5を貯留でき、かつ散気管や気液混合器であるエジェクタ等が設置されている槽であり、散気管やエジェクタを介して槽にオゾンガスを供給しても良いし、オゾン浄化槽8がエジェクタ等の気液混合器そのものであり、オゾンガス配管104から直接オゾンガスが槽内に供給される構成としても良い。
【0029】
オゾン浄化槽8内におけるオゾンガスと有機汚泥の反応方式も、バッチ方式、CSTR(連続槽型反応器)方式、PFR(プラグフロー)方式など公知の技術を使用すればよく、特に限定されない。
【0030】
例えば、オゾン浄化槽8が汚泥含有処理水5を貯留できる槽であり、ポンプ9により汚泥含有処理水5をオゾン浄化槽8に貯留、保持し、この汚泥含有処理水5に対してオゾン発生器11で発生したオゾンガスを散気管やエジェクタ等の気液混合器を介して供給した後、返送ポンプ12を用いて汚泥含有処理水5を曝気槽1に返送する場合は、バッチ方式となる。
【0031】
また、例えば、オゾン浄化槽8が汚泥含有処理水5を貯留できる槽であり、ポンプ9により汚泥含有処理水5をオゾン浄化槽8に流入させると同時に返送ポンプ12を用いて汚泥含有処理水5を曝気槽1に返送し、その間にオゾン発生器11で発生したオゾンガスを散気管やエジェクタ等の気液混合器を介して供給する場合はCSTR方式となる。
【0032】
さらに、オゾン浄化槽8がエジェクタ等の気液混合器そのものである場合は、PFR方式となる。
【0033】
オゾン発生器11は、オゾン発生器11にオゾンガスの原料を供給する原料供給装置(図示せず)、およびオゾン発生器11を冷却する冷却装置(図示せず)に接続されている。
【0034】
オゾン発生器11に供給されるオゾンガスの原料は、特に限定されない。例えば、液体酸素、又はPSA(Pressure Swing Adsorption)、若しくはPVSA(Pressure Vacuum Swing Adsorption)で生成した酸素を用いることができる。必要に応じ、供給される酸素の流量に対して0.05〜5%の窒素、空気、又は二酸化炭素を添加する添加ガス供給部を配置しても良い。
【0035】
冷却装置は、オゾン発生器11を冷却するための冷却媒体を循環させる循環ポンプと、オゾン発生器11において発生した熱を吸収して温度が上昇した冷却媒体を冷却する冷却器とを備える。冷却器としては、液体−液体型及び液体−気体型から選択した熱交換型冷却器、又は液体−フロン冷媒型のチラー等を用いても良い。
【0036】
また、極低温下で冷却を行う場合には、冷凍機を用いても良い。冷却媒体としては、一例として、一般的な水道水を用いても良い。その他、不凍液又はスケール除去剤等が混入された水、イオン交換水、又は純水を用いても良い。更に、エチレングリコール又はエタノール等を用いても良い。
【0037】
オゾン発生器11で発生させるオゾンガスの濃度は特に限定されないが、汚泥含有処理水5中の有機汚泥を効率的に分解して生分解性を向上させ、曝気槽1における余剰汚泥の減量を促進させること、および現状のオゾン発生器11のみで生成可能なオゾンガス濃度を考慮し、オゾンガス濃度は100g/Nm3以上400g/Nm3以下が好ましく、250g/Nm3以上400g/Nm3以下がより好ましい。
【0038】
オゾンガス濃度が上記範囲よりも低い場合、汚泥含有処理水5中の有機汚泥の生分解性の向上が進まず、曝気槽1内において余剰汚泥を減量させることができない可能性がある。また現状では、濃度400g/Nm3以上のオゾンガスをオゾン発生器11単独で発生させることは困難である。
【0039】
曝気槽1の内部は、下方に散気装置2が配置されている領域である曝気促進部13と、下方に散気装置2が存在しない領域である曝気抑制部14に区画されている。
【0040】
移送配管103の曝気槽1内に設けた末端口103tは、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上で、かつ、曝気槽1内の汚泥含有処理水5の水面の表層部に位置する。そのため、曝気槽1の汚泥含有処理水5は、末端口103tが位置する曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上で、かつ、曝気槽1の水面の表層部から排出され、移送配管103を介してオゾン浄化槽8へと送られる。そして、オゾン浄化槽8において汚泥含有処理水5にオゾンガスが注入される。
【0041】
汚水処理方法である標準活性汚泥法などにおいて、曝気槽1内の微生物および有機物が集まった有機汚泥の密度は、水とほぼ同等の密度である1.1g/cm3程度である。一方で、鉄やマンガンなどのオゾンガスと反応して酸化物を形成する酸化物形成無機物と、砂やリン酸アルミニウムなどのオゾンガスを消費しない非反応無機物は、一般的に水、および有機汚泥と比べて密度が高く、例えば、酸化物形成無機物は、5.0g/cm3以上、非反応無機物は、2.0g/cm3以上である。これらの物質は、密度が高い物質ほど沈降性が高い傾向にある。
【0042】
よって、下方に散気装置2が存在しない曝気抑制部14においては、気体による汚泥含有処理水5の対流が抑制されるので、汚泥含有処理水5は、鉛直方向で有機汚泥と無機物の存在比率が異なる。すなわち、曝気抑制部14においては、表層側では、無機物に対する有機汚泥の存在比率が高くなり、底に近づくほど、有機汚泥に対する無機物の存在比率が高くなる。
【0043】
また、一般的に曝気により空気等の酸素が供給されている好気性条件下で生育する微生物(有機汚泥)の増殖速度は、空気等の酸素が供給されていない嫌気性条件下で生育する微生物の増殖速度の20倍程度である。よって、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界Kから離れた曝気抑制部14側の領域では、境界Kから離れれば離れるほど嫌気性条件下に近づくため、好気性条件下で生育する微生物に対する嫌気性条件下で生育する微生物の存在比率が高くなる。余剰汚泥発生量の低減の効率性の観点からは、増殖速度の大きい好気性条件下で生育する微生物にオゾンガスを注入して分解することが望ましい。
【0044】
そこで、曝気槽1から汚泥含有処理水5が排出される末端口103tの位置を、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上、かつ、曝気槽1汚泥含有処理水の表層部分とすることで、無機物に対する有機汚泥の存在比率が高く、かつ、嫌気性条件下で生育する微生物に対する好気性条件下で生育する微生物の存在比率が高い汚泥含有処理水5をオゾン浄化槽8に移送し、当該汚泥含有処理水5にオゾンガスを注入することができる。
【0045】
これにより、増殖速度の大きい好気性条件下で生育する微生物が多く含まれる有機汚泥を効率的に分解しつつ、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物のオゾン浄化槽8への移送量を抑制することが可能となる。また、酸化物形成無機物のオゾン浄化槽8への移送量が抑制されることから、必然的に、汚泥含有処理水5中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクも低減される。
【0046】
なお、上述した通り、余剰汚泥発生量の低減の効率性の観点からは増殖速度の大きい好気性条件下で生育する微生物の存在比率が高い曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上に末端口103tを設けることが望ましいが、冬季で水温が低くなり微生物の活性が低下して曝気槽1内の余剰汚泥発生量が少ない場合など、無機物のオゾン浄化槽8への移送量の抑制のみを重視しても余剰汚泥発生量の低減の効率性が維持されるのであれば、末端口103tを曝気抑制部14内に位置させても良い。
【0047】
ところで、先述の通り、第一固液分離槽6において分離された濃縮汚泥の一部は、濃縮汚泥返送配管102を介して曝気槽1に返送される。濃縮汚泥は、曝気槽1の返送配管接続部15から曝気槽1内に流入する。返送配管接続部15は、曝気槽1の側面で、かつ、曝気抑制部14側に位置することが望ましい。
【0048】
次に、移送配管103の末端口103tと、返送配管接続部15との位置関係について説明する。末端口103tは、返送配管接続部15よりも、高い位置に位置することが好ましく、さらに、返送配管接続部15の高さよりも1m以上、高い位置であることがより好ましい。つまり、反対に、末端口103tを返送配管接続部15よりも低い位置に設けると、返送配管接続部から曝気槽1に流入した濃縮汚泥に含まれる無機物が、下方に沈降する前に、末端口103tからオゾン浄化槽8に移送される虞があるからである。
【0049】
また、末端口103tは、曝気槽1の汚泥含有処理水5の水面から鉛直方向に0.5m以上下方であることが好ましい。末端口103tの位置が、曝気槽1の汚泥含有処理水5の水面から下方に0.5m未満であると、汚泥含有処理水5の水面に形成し得るスカム(細菌、大腸菌、尿素分解菌、懸濁物質、繊維質、油脂質、炭酸ガス等が汚泥とともに浮上して、曝気由来の気泡がスポンジ質の厚い膜状になったもの)をオゾン浄化槽8に移送してしまう虞があり、ポンプ9にスカムが混入することによるポンプ9の劣化、故障の原因となったり、オゾン浄化槽8におけるオゾンガスと有機汚泥の接触効率がスカムによって阻害されたりするリスクが高くなるからである。
【0050】
曝気抑制部14の水平方向(鉛直方向と垂直に交わる方向)の長さ、すなわち、返送配管接続部15から、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界Kまでの水平方向の距離は、下記の式1を満足することが好ましく、式2を満足することがより好ましい。式1、式2は、水(20度C)を分散媒として粒子径0.00005mの粒子にストークス則を適用した式3から得られる関係式である。
[式3:ρS=1100](m)≧ 返送配管接続部15から曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界Kまでの水平方向の距離(m)≧[式3:ρS=5000](m)・・式1
[式3:ρS=1100](m)≧ 返送配管接続部15から曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界Kまでの水平方向の距離(m)≧[式3:ρS=2000](m)・・式2
(Q/A)×18×η×H/(ρS−1000)/g/(0.00005)2・・式3
ここで、式3において、Qは、濃縮汚泥返送配管102における濃縮汚泥の流量(m3/s)、Aは、曝気槽1の側面の断面積(m2)、ηは、水の粘度(Pa・s)、Hは、曝気槽1の底部から返送配管接続部15までの高さ(m)、gは、重力加速度(m/s2)をそれぞれ示す。また、各式において、ρSは、粒子密度(kg/m3)であり、ρS1100は、汚泥の粒子(フロック)の粒子密度の代表値、ρS2000は、先述の非反応無機物の粒子密度の代表値、ρS5000は、先述の酸化物形成無機物の粒子密度の代表値を表す。
【0051】
図2は、水処理システム100が実行する水処理方法のフローチャート、すなわち、余剰汚泥を減容するプロセス(減容プロセス)のフローチャートである。図の左側が、バッチ方式のフローチャートであり、右側が、CSTR(連続槽型反応器)方式およびPFR(プラグフロー)方式のフローチャートである。水処理システム100を用いた水処理方法は、移送工程と、オゾン処理工程と、返送工程とを含む。また、図2の各フローチャートでは、各装置の起動と停止の流れを示しており、各工程の進捗は、「S1開始」「S1終了」等により示している。
【0052】
図2では図示しないが、水処理工程は、曝気槽1に流入させた廃水4に、散気装置2により曝気を行い、微生物を生育する曝気工程と、曝気槽1に存在する微生物等を含む汚泥を用いて廃水4を生物処理して汚泥含有処理水5を生成する生物処理工程とを有する。生物処理工程の後、ポンプ9を起動し、曝気槽1から汚泥含有処理水5を、オゾン浄化槽8に移送する(ステップS1、移送工程)。ポンプ9は、手動で稼働させても良いし、あらかじめ設定した制御プログラムに従って自動制御しても良い。このステップS1は、移送工程の一例である。
【0053】
続いて、オゾン発生器11を起動し、放電によってオゾンガスを発生させる。オゾンガスは、オゾンガス配管104を介してオゾン浄化槽8に供給され、オゾン浄化槽8において汚泥含有処理水5にオゾンガスが注入される(ステップS2、オゾン処理工程)。このステップS2は、オゾン処理工程の一例である。
【0054】
オゾン浄化槽8において、オゾンガスを注入された汚泥含有処理水5は、返送ポンプ12の稼働により曝気槽1に返送される(ステップS3、返送工程)。このステップS3は、返送工程の一例である。例えば、上述の通り、オゾン浄化槽8を曝気槽1よりも高い位置に設けて、自然落下を用いて処理済みの汚泥含有処理水5を曝気槽1に返送しても良い。
【0055】
曝気槽1内からの汚泥含有処理水5の移送、オゾンガス注入、および返送という一連の工程を含んだ水処理方法、具体的には、余剰汚泥を減容する減容プロセスは、前述のバッチ方式、CSTR方式およびPFR方式により、移送工程、オゾン処理工程、および返送工程の開始と終了のタイミングが異なる。
【0056】
図2に示すように、バッチ方式では、ステップS1の開始、ステップS1の終了、ステップS2の開始、ステップS2の終了、ステップS3の開始、ステップS3の終了という順序で各処理を進めるのに対して、CSTR(連続槽型反応器)方式およびPFR(プラグフロー)方式では、ステップS1の開始、ステップS2の開始、ステップS3の開始、ステップS2の終了、ステップS1の終了、ステップS3の終了という順序で各処理を進める。
【0057】
余剰汚泥の減容プロセスは、周期的かつ間欠的に行うことが好ましい。減容プロセスの間隔は、特に限定されるものではなく、曝気槽1における微生物の有機物負荷、余剰汚泥発生量などに応じて適宜設定すれば良い。しかしながら、微生物を含む活性汚泥の生物活性維持力と余剰汚泥減容力との両立を考慮した場合、1時間以上24時間以下の間隔が好ましく、2時間以上12時間以下の間隔がより好ましく、4時間以上6時間以下の間隔が更に好ましい。
【0058】
周期的かつ間欠的に行う減容プロセスの間隔が、上記範囲よりも小さい場合、曝気槽1において廃水処理に寄与する微生物までも必要以上に移送してオゾンガスによって分解することになり得る。
【0059】
そのため、廃水処理に寄与する微生物の活性が低下し、曝気槽1における廃水処理が十分に行われず、処理後の処理水7の水質を悪化させる虞がある。一方、オゾン処理を行った場合、汚泥中の微生物が分解され、微生物内成分(溶解性有機物)が汚泥含有処理水5中に放出される。そのため、周期的かつ間欠的に行う減容プロセスの間隔が、上記範囲よりも大きい場合、分解によって放出された微生物内成分を基質として増加する微生物の増殖量の方が大きくなり、全体として余剰汚泥量を減少できない虞がある。
【0060】
本実施の形態に係る水処理システム100および水処理方法によれば、曝気槽1から汚泥含有処理水5が排出される末端口103tの位置を、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上、または曝気抑制部14内で、かつ、曝気槽1の水面の表層部分とすることで、無機物に対する有機汚泥の存在比率が高い汚泥含有処理水5をオゾン浄化槽8に移送し、これにオゾンガスを注入することができる。そのため、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物のオゾン浄化槽8への移送量が抑制されて、汚泥含有処理水5に注入する必要のあるオゾンガスの量の増加が抑制されるとともに、汚泥含有処理水5中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを低減することが可能な水処理システムおよび水処理方法を提供することができる。
【0061】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る水処理システムについて説明する。
図3は、水処理システム200の構成を示す模式図である。
図中、実施の形態1に係る水処理システム100と同様の構成機器及び部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
【0062】
水処理システム200の基本的な構成および動作は、実施の形態1と同様であるが、曝気促進部13と曝気抑制部14の境界K上、かつ、曝気槽1の底部に、上方に向かって曝気遮断壁16が設けられており、さらに、曝気遮断壁16に隣接する曝気抑制部14側の領域の底部に沈殿物排出配管106が設けられている点が異なる。
【0063】
水処理システム200においては、上述のように、曝気促進部13と曝気抑制部14の境界K上、かつ、曝気槽1の底部に曝気遮断壁16が設けられている。これにより、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K付近の曝気抑制部14の底部に沈殿した無機物が、散気装置2の曝気によって再浮上させられることを防止することができる。したがって、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物が、移送配管103を介してオゾン浄化槽8に移送されるリスクを実施の形態1よりも低減することができる。
【0064】
また、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K付近の曝気抑制部14の底部の沈殿物は、定期的に沈殿物排出配管106からポンプ(図示せず)等によって、曝気槽1の外に排出される。この排出作業は、手動で行っても良いし、あらかじめ設定した制御プログラムに従って弁を開閉する自動制御としても良い。
【0065】
図10は曝気遮断壁の他の例を示す図である。
曝気遮断壁16の構成は、特に限定されない。図10の曝記遮断壁16a、16bに示すように、曝気遮断壁は、曝気抑制部14側に向かって湾曲又は傾斜している構成としても良い。このように構成すれば、曝気促進部13と曝気抑制部14の境界K付近の曝気抑制部14の底部に沈殿した無機物が、曝気によって再浮上させられることを防止する効果をさらに大きくすることができる。
【0066】
また、曝気遮断壁16の上面の高さも特に限定されないが、散気装置2の高さよりも高く、返送配管接続部15の高さよりも低いことが好ましい。曝気遮断壁16の上面の高さが、散気装置2の高さよりも低い場合、散気装置2から放出される空気等のガスが、曝気抑制部14の底部へ流入することを遮断することができず、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K付近の曝気抑制部14の底部に沈殿した無機物が、散気装置2の曝気によって再浮上することを防止する効果が得られない虞があるからである。
【0067】
また、曝気遮断壁16の上面の高さが、返送配管接続部15の高さよりも高い場合、返送配管接続部15から曝気槽1に流入した濃縮汚泥に含まれる密度の大きい無機物だけでなく、密度の小さい有機汚泥が、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K付近の曝気抑制部14の底部に沈殿しやすくなるとともに、境界K付近の曝気抑制部14の底部への曝気が過剰に遮断され過ぎて、汚泥含有処理水5に酸素が行き渡らなくなることで、汚泥が腐敗する虞があるからである。
【0068】
なお、一般的に、散気装置2の高さは、返送配管接続部15の高さよりも低い。散気装置2の高さが、返送配管接続部15の高さよりも高い場合、散気装置2と、返送配管接続部15との間に存在する汚泥に酸素が行き渡らなくなり、汚泥が腐敗し得るからである。
【0069】
本実施の形態2に係る水処理システム200によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K上、かつ、曝気槽1の底部に曝気遮断壁16が設けられているので、曝気促進部13と、曝気抑制部14との境界K付近の曝気抑制部14の底部に沈降した無機物が、散気装置2の曝気によって再浮上することを防止することができる。したがって、オゾンガスを消費する酸化物形成無機物が、末端口103tを介してオゾン浄化槽8に移送されるリスクを低減することができる。
【0071】
実施の形態3.
以下、実施の形態3に係る水処理システムについて説明する。
図4は、水処理システム300の構成を示す模式図である。図中、実施の形態2に係る水処理システム200と同様の構成機器及び部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
【0072】
水処理システム300の基本的な構成および動作は、実施の形態2の水処理システム200と同様であるが、移送配管303の下方端部が、曝気抑制部14側に、U字型に曲げられており、末端口303tは、上方に開口している点が異なる。
【0073】
このように、移送配管303の下端部が、曝気抑制部14側に、U字型に曲げられた構成なので、末端口303tは、曝気抑制部14内に位置することになる。また、曝気槽1内の汚泥含有処理水5は、曝気抑制部14内において、上方に開口する末端口303tに対して上から下に向かって引き抜かれ、オゾン浄化槽8に移送される。このため、散気装置2によって下から上に向かって浮上する空気等のガスが、直接、末端口303tからポンプ9によってオゾン浄化槽8に移送されることを抑制することができる。
【0074】
これにより、ポンプ9の騒音や振動が小さくなるとともに、ポンプ9による汚泥含有処理水5の移送流量を安定させることができる。このように、オゾン浄化槽8に移送される有機汚泥の量を安定させることにより、有機汚泥の量に対してオゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクをさらに低減できる。
【0075】
なお、散気装置2によって下から上に向かって浮上する空気等のガスが、直接、末端口からポンプ9によってオゾン浄化槽8に移送されることを抑制できれば良いため、曝気槽1内において、下から上に向かって汚泥含有処理水5が、移送配管に吸入されない限り、移送配管の下端部の構成はU字型に限定されず、末端口が、少なくとも水平より上方に向いていれば良い。
【0076】
本実施の形態3に係る水処理システム300によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、移送配管303の下方端部が、曝気抑制部14側に、U字型に曲げられており、末端口303tは、上方に開口しており、かつ、曝気抑制部14内に位置するので、曝気槽1内の汚泥含有処理水5を、曝気抑制部14内において上から下に向かって吸引し、オゾン浄化槽8に移送することができ、散気装置2によって下から上に向かって浮上する空気等のガスが直接、末端口303tからポンプ9に混入することを抑制できる。これにより、ポンプ9の汚泥含有処理水5の移送流量を安定させることが可能となり、有機汚泥の量に対してオゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクがさらに低減できる。
【0078】
実施の形態4.
以下、実施の形態4に係る水処理システムについて説明する。
図5は、水処理システム400の構成を示す模式図である。図中、実施の形態3に係る水処理システム300と同様の構成機器及び部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
【0079】
水処理システム400の基本的な構成および動作は、実施の形態3の水処理システム300と同様であるが、水処理システム400は、曝気槽1内の末端口303tの近傍の位置の汚泥濃度を測定する第一センサ17と、第一センサ17の測定結果に基づきポンプ9を制御する第一ポンプ制御装置18(移送量制御装置)と、曝気槽1内の末端口303tの近傍の位置の有機汚泥の濃度を測定する第二センサ19と、第二センサ19の測定結果に基づきオゾン発生器11を制御するオゾン発生器制御装置20とが設けられている点が異なる。
【0080】
水処理システム400においては、曝気槽1内に汚泥含有処理水5の汚泥濃度を測定する第一センサ17を備えるため、曝気槽1における有機物負荷(曝気槽1内の微生物が処理する有機物の量=曝気槽1内の汚泥含有処理水5の水量x有機物の濃度)の変動に伴う汚泥含有処理水5の汚泥濃度の変動を検知することができる。
【0081】
第一センサ17で測定された汚泥濃度の値は、第一ポンプ制御装置18に入力される。第一ポンプ制御装置18は、入力された汚泥濃度の値に応じて、ポンプ9が、曝気槽1からオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の流量を変化させる。
【0082】
1日あたりにポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の量を、1日あたりの余剰汚泥発生量で除した商を、汚泥処理比として定義する。水処理システム400の汚泥処理比は、曝気槽1における微生物の有機物負荷、および余剰汚泥発生量等に応じ、適宜設定される。
【0083】
ここで、余剰汚泥の量は、次のように求める。すなわち、まず、必要な汚泥の量としては、一般的な標準値、あるいは、現場管理者の経験に基づく設計値が存在する。その標準値、あるいは設計値を満たす曝気槽1内の汚泥濃度が計算できる。この計算値に曝気槽1の容積を乗じた値が必要な汚泥の量である。そして、第一センサ17で測定した現実の汚泥濃度と曝気槽1の容積を乗じた値から、必要な汚泥の量を減じた値が余剰汚泥量となる。
【0084】
上述の汚泥処理比は、特に限定されるものではない。しかしながら、2.0以上4.0以下が好ましく、2.6以上3.4以下がより好ましい。汚泥処理比が2.0未満である場合は、オゾンガスの注入に起因した汚泥の減少量が小さく、余剰汚泥量を十分に減少させることができない虞がある。一方、汚泥処理比が4を超る場合は、曝気槽1内の微生物量が過度に減少して微生物の活性が低下し、処理水7の水質が悪化する虞がある。汚泥処理比が2.6以上3.4以下の範囲である場合は、曝気槽1内の微生物の活性を維持しつつ、効率的に余剰汚泥を減量させることができる。
【0085】
第一ポンプ制御装置18は、(1)第一センサ17で測定された汚泥濃度の値と、(2)上述の計算によって求めた余剰汚泥発生量と、(3)設定された汚泥処理比の値から、ポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の流量を算出してポンプ9を制御する。
【0086】
この制御方法は特に限定されず、インバータによるポンプの回転数制御により流量を調整しても良いし、移送配管303上に電動弁を設置して、電動弁により移送配管303の圧力損失を変化させることで流量を調整しても良い。
【0087】
第一センサ17は、曝気槽1内の汚泥含有処理水5の汚泥濃度を測定することができれば特にその構成は限定されず、SS(Suspended Solids)濃度計、濁度計などの公知センサを使用することができる。また、手分析による手動測定でも良いし、自動測定装置を用いた自動測定でも良い。
【0088】
また、水処理システム400においては、曝気槽1内に汚泥含有処理水5の有機汚泥の濃度を測定する第二センサ19を備えるため、曝気槽1における有機物負荷(曝気槽1内の微生物が処理する有機物の量)の変動、および流入する廃水4に含まれる無機物の量の変動などに伴う汚泥含有処理水5の有機汚泥の濃度の変動を検知することができる。
【0089】
第二センサ19で測定された有機汚泥の濃度の値は、オゾン発生器制御装置20に入力される。オゾン発生器制御装置20は、入力された有機汚泥の濃度の値に応じて、オゾン発生器11がオゾン浄化槽8に移送された汚泥含有処理水5に注入するオゾンガスの量を制御する。
【0090】
有機汚泥を分解するのに必要な、”有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量”は、汚泥含有処理水5中の有機汚泥を効率的に分解できれば特に限定されない。しかしながらオゾンガスの利用効率を考慮した場合、有機汚泥の単位重量1g当たりのオゾンガスの量は、30mg以上、85mg以下が好ましく、40mg以上55mg以下がより好ましい。
【0091】
有機汚泥の単位重量1g当たりのオゾンガスの量が、上記範囲よりも小さい場合は、汚泥含有処理水5中の有機汚泥が十分に分解されず、曝気槽1において余剰汚泥を減量させることができない可能性がある。また、有機汚泥の単位重量1g当たりのオゾンガスの量が、上記範囲よりも大きい場合は、必要以上のオゾンガスを注入することによって水中の残存オゾンガスを増加させるとともに、未反応のオゾンガスを増加させる可能性がある。
【0092】
オゾン発生器制御装置20は、(1)第二センサ19で測定された有機汚泥の濃度の値と、(2)第一ポンプ制御装置18によって決定されるポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の量と、(3)予め設定された、有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量から、オゾン発生器11が、オゾン浄化槽8に移送された汚泥含有処理水5に注入すべきオゾンガスの量を算出してオゾン発生器11のオゾンガス濃度、オゾンガス流量、オゾン処理時間を調整する。
【0093】
前述の通り、オゾン発生器11で発生させるオゾンガス濃度は100g/Nm3以上400g/Nm3以下が好ましく、250g/Nm3以上400g/Nm3以下がより好ましい。オゾンガス濃度が上記範囲よりも低い場合、汚泥含有処理水5中の有機汚泥の生分解性の向上が進まず、曝気槽1において余剰汚泥を減量させることができない可能性がある。また現状では、濃度400g/Nm3以上のオゾンガスをオゾン発生器11単独で発生させることは困難である。
【0094】
1回当たりのオゾン処理時間は、特に限定されるものではないが、20分以上90分以下が好ましく、30分以上50分以下がより好ましい。1回当たりのオゾン処理時間が上記範囲よりも短い場合、ポンプ9、及び返送ポンプ12のサイズと動力が大きくなるため、イニシャルコスト、およびランニングコストが増加する虞がある。
【0095】
また、1回当たりのオゾン処理時間が上記範囲よりも長い場合、オゾン処理に伴い有機汚泥中の微生物が分解されて汚泥含有処理水5中に放出される微生物内成分(溶解性有機物)が長時間にわたって汚泥含有処理水5中に流出し続けるため、処理水7の水質が悪化する虞がある。
【0096】
第二センサ19は、曝気槽1内の汚泥含有処理水5の有機汚泥の濃度を測定することができれば特に限定されず、強熱減量試験などの公知の技術を使用することができる。
【0097】
第一ポンプ制御装置18は、第一センサ17の汚泥濃度の測定値に応じて、ポンプ9を制御し、オゾン発生器制御装置20は、第二センサ19の有機汚泥の濃度の測定値に応じて、オゾン発生器11を制御するが、曝気槽1内の汚泥の攪拌が不十分であったり、第一センサ17、および第二センサ19の測定精度が低かったりする場合、第一センサ17、および第二センサ19の測定値が大きくばらつく虞がある。
【0098】
これらの測定値にばらつきがあると、第一ポンプ制御装置18によって制御されるポンプ9の流量、およびオゾン発生器制御装置20によって制御されるオゾン発生器11が生成するオゾンガスの量が過剰に大きく変動し、余剰汚泥減容プロセスが不安定となり得る。
【0099】
そのため、第一ポンプ制御装置18、およびオゾン発生器制御装置20は、それぞれ第一センサ17、および第二センサ19から送られてくる測定値を、ある一定の期間、例えば一週間記録しておき、期間毎に得られた測定値の平均値を算出し、その平均値に基づいてポンプ9、およびオゾン発生器11を制御しても良い。
【0100】
ある一定の期間毎の平均値を採用することで、測定値が平滑化されるため、ポンプ9、およびオゾン発生器11が、汚泥濃度、および有機汚泥の濃度の異常値に従って稼働するリスクを低減することができ、余剰汚泥減容プロセスの安定化が可能となる。
【0101】
なお、余剰汚泥の有機汚泥の濃度が測定できる場合は、オゾン発生器制御装置20が、(1)第二センサ19で測定された有機汚泥の濃度の値と、(2)余剰汚泥のうちの有機汚泥の発生量と、(3)設定された汚泥処理比の値から、ポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の流量を算出してポンプ9を制御しても良い。
【0102】
本実施の形態4に係る水処理システム400によれば、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、曝気槽1内に汚泥含有処理水5の汚泥濃度を測定する第一センサ17と、その測定値に基づいてポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の流量を制御する第一ポンプ制御装置18とを備えるので、オゾン浄化槽8に移送されてオゾンガスが注入される汚泥含有処理水5の量を制御することができる。
【0104】
さらに、曝気槽1内に汚泥含有処理水5の有機汚泥の濃度を測定する第二センサ19と、その測定値に基づいてオゾン発生器11のオゾンガスの量を制御するオゾン発生器制御装置20とを備えるので、汚泥含有処理水5中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを大幅に低減することが可能となる。
【0105】
実施の形態5.
以下、実施の形態5に係る水処理システムについて説明する。
図6は、水処理システム500の構成を示す模式図である。図中、実施の形態4に係る水処理システム400と同様の構成機器及び部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
【0106】
水処理システム500の基本的な構成および動作は、実施の形態4と同様であるが、サンプリング配管107を介して返送配管105と、処理済みの汚泥含有処理水5の固液を分離する第二固液分離槽21とが接続され、サンプリング配管107上にサンプリング弁22が設けられており、さらに第二固液分離槽21に、当該槽内の汚泥含有処理水5の紫外光の吸光度を測定する第三センサ23を備える点が異なる。
【0107】
水処理システム500においては、オゾン浄化槽8においてオゾンガスが注入されて曝気槽1に返送される汚泥含有処理水5の一部を、サンプリング弁22を開くことによって第二固液分離槽21に回収することができる。
【0108】
第二固液分離槽21では、採取されたオゾン処理後の汚泥含有処理水5が、沈殿物と上澄み液に分離される。そして、第三センサ23により上澄み液の紫外光の吸光度が測定される。第三センサ23によって測定された吸光度の値は、オゾン発生器制御装置20に入力されて次回のオゾン処理にフィードバックされる。すなわち、オゾン発生器制御装置20が算出したオゾン量を、オゾン浄化槽8の汚泥含有処理水5に注入した結果として得られた上澄み液の吸光度の値に基づいて、次回のオゾン処理におけるオゾンガスの量を調整するようにオゾン発生器制御装置20に対してフィードバック制御が行われる。
【0109】
より具体的には、オゾン発生器制御装置20が(1)第二センサ19で測定された有機汚泥の濃度の値と、(2)第一ポンプ制御装置18によって決定される、ポンプ9がオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の量と、(3)設定された有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量から算出したオゾンガスの量と、(4)当該算出した量のオゾンガスを汚泥含有処理水5に注入した結果として得られた吸光度の値とに基づいて、次回のオゾン処理における有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量の設定値(本段落の(3))を修正する。
【0110】
前述の通り、有機汚泥の単位重量1g当たりのオゾンガスの量は、汚泥含有処理水5中の有機汚泥を十分に分解するため、30mg以上、85mg以下が好ましく、40mg以上55mg以下がより好ましい。しかしながら、廃水4中に含まれる無機物、特にオゾンガスを消費する酸化物形成無機物の量が変動するなどして、曝気槽1内の汚泥含有処理水5中に含まれる酸化物形成無機物の量が大幅に増減し、移送配管303を介してオゾン浄化槽8に移送される酸化物形成無機物が大幅に増減する場合は、有機汚泥の単位重量1gにつき上記の範囲内の量のオゾンガスを注入しても、酸化物形成無機物によって注入したオゾンガスが予想以上に消費され、或いは消費されずに、実際に必要な有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量は、上記の範囲よりも大きくなったり、或いは、小さくなったりする虞がある。
【0111】
本願発明者らは、有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量と、オゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外吸光度の値に相関関係があることを見出したため、水処理システム500においては、曝気槽1内の汚泥含有処理水5中に含まれる酸化物形成無機物の量が大幅に増減し、移送配管303を介してオゾン浄化槽8に移送される酸化物形成無機物が大幅に増減した場合であっても、第三センサ23の測定結果に応じて、次回のオゾン処理における有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量の設定値をフィードバック制御により適切な値に修正することができる。
【0112】
そのため、廃水4中に含まれる酸化物形成無機物の量が変動するなどして、曝気槽1内の汚泥含有処理水5中に含まれる酸化物形成無機物の量が大幅に増減し、その結果、移送配管303を介してオゾン浄化槽8に移送される酸化物形成無機物が大幅に増減した場合であっても、汚泥含有処理水5中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを極めて大幅に低減することが可能となる。
【0113】
図7は、有機汚泥の単位重量1g当たりのオゾンガスの量と、オゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外吸光度の値の相関関係を示す図である。本水処理システム500が導入される廃水処理場ごとに、有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量に対して紫外吸光度の値は一意に決まる。また、移送配管303を介してオゾン浄化槽8に移送される酸化物形成無機物の量の増減に応じてオゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外吸光度の値も増減する。
【0114】
したがって、同じ有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量において、紫外吸光度の値が任意の基準値よりも減少した場合は、間接的に汚泥含有処理水5中の酸化物形成無機物の量が増加したことが分かる。このため、オゾン発生器制御装置20は、次回のオゾン処理において、紫外吸光度の値が基準値となるように、有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量を増加させる修正を行う。
【0115】
一方、同じ有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量において、紫外吸光度の値が任意の基準値よりも増加した場合は、間接的に汚泥含有処理水5中の酸化物形成無機物の量が減少したことが分かるため、オゾン発生器制御装置20は、次回のオゾン処理において、紫外吸光度の値が基準値となるように有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量を減少させる修正を行う。
【0116】
第三センサ23は、オゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外吸光度を測定することができれば特にその構成は限定されず、分光光度計などを公知の範囲で使用することができる。紫外光の波長は230nm以上300nm以下が好ましく、260nm以上280nm以下がより好ましい。上記の範囲に含まれない波長の紫外光の場合、吸光度と、有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量との相関がとれない虞がある。
【0117】
また、紫外吸光度と、TOC(Total Organic Carbon)やCOD(Chemical Oxygen Demand)などには相関関係があるため、TOC計やCOD計を用いて、間接的に紫外吸光度を算出しても良い。
【0118】
図8は、水処理システム500が実行する水処理方法(バッチ方式)のフローチャートである。
図9は、水処理システム500が実行する水処理方法(CSTR方式およびPFR方式)のフローチャートである。
本実施の形態に係る水処理方法は、汚泥濃度測定工程、有機汚泥濃度測定工程、移送工程、オゾン処理工程、返送工程、サンプリング工程、紫外吸光度測定工程、フィードバック工程を含む。
【0119】
曝気槽1に流入した廃水4は、曝気槽1内において生物処理が施され、汚泥を含有した汚泥含有処理水5となる。第一センサ17により、汚泥含有処理水5中の汚泥濃度が測定される(ステップC1、汚泥濃度測定工程)。測定のタイミングは特に限定されず、1日に1回など間欠的に測定しても良いし、連続的に測定し続けても良い。
【0120】
また、第二センサ19により、汚泥含有処理水5中の有機汚泥の濃度が測定される(ステップC2、有機汚泥濃度測定工程)。測定のタイミングは特に限定されず、1日に1回など間欠的に測定しても良いし、連続的に測定し続けても良い。
【0121】
汚泥濃度測定工程で得られた汚泥濃度の値に応じて、第一ポンプ制御装置18によってポンプ9が曝気槽1からオゾン浄化槽8に移送する汚泥含有処理水5の流量が算出され、算出された流量値でポンプ9を稼働する。曝気槽1から汚泥含有処理水5が排出され、オゾン浄化槽8に移送される(ステップS1、移送工程)。
【0122】
有機汚泥濃度測定工程で得られた有機汚泥の濃度の値に応じて、オゾン発生器制御装置20によって、オゾン発生器11がオゾン浄化槽8に移送された汚泥含有処理水5に注入すべきオゾンガスの量が算出され、当該量を生成するようにオゾン発生器11を稼働する。オゾンガスは、オゾンガス配管104を介してオゾン浄化槽8に供給され、オゾン浄化槽8において汚泥含有処理水5に、算出された量のオゾンガスが注入される(ステップS2、オゾン処理工程)。
【0123】
オゾン浄化槽8において、オゾンガスを注入された汚泥含有処理水5は、返送ポンプ12の稼働により曝気槽1に返送される(ステップS3、返送工程)。
【0124】
続いて、オゾン浄化槽8においてオゾンガスが注入されて曝気槽1に返送される汚泥含有処理水5の一部を、サンプリング弁22を開くことによって第二固液分離槽21に採取する(ステップS4、サンプリング工程)。
【0125】
第二固液分離槽21において、オゾン処理後の汚泥含有処理水5を沈殿物と上澄み液に分離した後、第三センサ23によりオゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外光の吸光度が測定される。第三センサ23によって測定された吸光度の値は、オゾン発生器制御装置20に入力される(ステップS5、紫外吸光度測定工程)。
【0126】
入力された吸光度の値に基づき、オゾン発生器制御装置20は、次回のオゾン処理工程における有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量の設定値を調整する(ステップS6、フィードバック工程)。
【0127】
曝気槽1内からの汚泥含有処理水5の移送、オゾンガス注入、および返送という一連の工程を含んだ水処理方法、具体的には、余剰汚泥を減容する減容プロセスは、前述のバッチ方式、CSTR(連続槽型反応器)方式およびPFR(プラグフロー)方式で、移送工程、オゾン処理工程、返送工程、サンプリング工程の開始と終了のタイミングが異なる。
【0128】
図8に示すバッチ方式では、ステップC1の開始・終了、ステップC2の開始・終了、ステップS1の開始、ステップS1の終了、ステップS2の開始、ステップS2の終了、ステップS3の開始、ステップS4の開始・終了、ステップS3の終了、ステップS5の開始・終了、ステップS6の開始・終了という順序で処理する。
【0129】
一方、図9に示すCSTR(連続槽型反応器)方式およびPFR(プラグフロー)方式では、ステップC1の開始・終了、ステップC2の開始・終了、ステップS1の開始、ステップS2の開始、ステップS3の開始、ステップS4の開始・終了、ステップS2の終了、ステップS1の終了、ステップS3の終了、ステップS5の開始・終了、ステップS6の開始・終了という順序となる。
【0130】
本実施の形態5に係る水処理システム500によれば、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0131】
また、オゾン処理後の汚泥含有処理水5の上澄み液の紫外光の吸光度を測定できる第三センサ23を備え、第三センサ23の測定結果に応じて、次回のオゾン処理における有機汚泥の単位重量当たりのオゾンガスの量の設定値をフィードバック制御により調整することができるため、廃水4中に含まれる酸化物形成無機物の量が変動するなどして、曝気槽1内の汚泥含有処理水5中に含まれる酸化物形成無機物の量が大幅に増減し、移送配管303を介してオゾン浄化槽8に移送される酸化物形成無機物が大幅に増減した場合であっても、汚泥含有処理水5中のオゾン処理すべき有機汚泥の量に対して、オゾンガスの注入量が過剰、あるいは不足となるリスクを極めて大幅に低減することが可能となる。
【0132】
本願は、以上のように説明し且つ記述した特定の詳細、および代表的な実施の形態に限定されるものではない。当業者によって容易に導き出すことのできる変形例、および効果も含まれる。例えば、嫌気槽、無酸素槽を含むA2O法(嫌気・無酸素・好気法)やOD法(OXIDATION DITCH法)など公知の水処理技術にも使用できる。その際、オゾン浄化槽8においてオゾンガスが注入された汚泥含有処理水5は、嫌気槽、無酸素槽、曝気槽のいずれの槽に返送しても良い。したがって、特許請求項の範囲、およびその均等物によって定義される総括的な概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0133】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0134】
100,200,300,400,500 水処理システム、1 曝気槽、2 散気装置、3 空気供給装置、4 廃水、5 汚泥含有処理水、6 第一固液分離槽、7 処理水、8 オゾン浄化槽、9 ポンプ、11 オゾン発生器、12 返送ポンプ、13 曝気促進部、14 曝気抑制部、K 境界、15 返送配管接続部、16 曝気遮断壁、17 第一センサ、18 第一ポンプ制御装置、19 第二センサ、20 オゾン発生器制御装置、21 第二固液分離槽、22 サンプリング弁、23 第三センサ、101 余剰汚泥配管、102 濃縮汚泥返送配管、103,303 移送配管、103t,303t 末端口、104 オゾンガス配管、105 返送配管、106 沈殿物排出配管、107 サンプリング配管。
【要約】
水処理システム(100)は、曝気槽(1)と、曝気槽(1)散気装置(2)と、オゾン浄化槽(8)と、オゾン発生器(11)と、曝気槽(1)からオゾン浄化槽(8)に汚泥含有処理水(5)を移送する移送配管(103)と、オゾンガスを注入された汚泥含有処理水(5)を、曝気槽(1)に返送する返送配管(105)とを有し、曝気槽(1)は、下方に散気装置(2)が配置されている曝気促進部(13)と下方に散気装置(2)が存在しない曝気抑制部(14)とに区画され、移送配管(103)の、曝気槽(1)内に設けた末端口(103t)は、曝気促進部(13)と、曝気抑制部(14)との境界K上または曝気抑制部(14)内、かつ、汚泥含有処理水の表層部に位置する。
図1
図2
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図10