(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る空気調和機について説明する。
図1は本実施形態に係る空気調和機の概略を示す全体構成図(サイクル系統図)である。
図1に示すように、空気調和機1は、室内ユニット100と、室外ユニット200と、室内ユニット100と室外ユニット200とを接続する配管51,52と、備えて構成されている。
【0014】
室内ユニット100は、冷媒と室内空気とを熱交換させる室内熱交換器11と、冷媒を減圧する室内膨張弁(減圧装置)12と、室内熱交換器11へ室内空気を供給する室内ファン13と、配管51を接続する接続口14と、配管52を接続する接続口15と、を備える。
【0015】
室外ユニット200は、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器21と、冷媒を減圧する室外膨張弁22と、室外熱交換器21へ外気を供給する室外ファン23と、冷媒を圧縮する圧縮機24と、蒸発器(室内熱交換器11、室外熱交換器21)で蒸発しきれなかった液冷媒を分離貯留するアキュムレータ25と、冷媒の流れ方向を切り替える四方弁26と、圧縮機24から四方弁26への流れを許容し、その逆の流れを阻止する逆止弁29と、圧縮機24の吐出側とアキュムレータ25の吸入側とを連通するバイパス管(バイパス経路)28と、バイパス管28内の流れをコントロールする(バイパス管28を開閉する)開閉弁27と、を備える。
【0016】
また、空気調和機1の制御に必要な情報を収集するために、各種のセンサが用いられている。例えば、室外ユニット200には、圧縮機24の吐出側における冷媒圧力(以下、吐出圧力)を検出するための圧力センサ66と、アキュムレータ25の吸入側における冷媒圧力(以下、吸入圧力)を検出するための圧力センサ65と、圧縮機24の吐出側における冷媒温度を検出するための温度センサ61と、室外熱交換器21の出入口における冷媒温度を検出するための温度センサ62、63と、外気温度を検出するための温度センサ64と、が設けられている。
【0017】
また、室外ユニット200には、電気箱が設けられ、この電気箱内に制御装置70が設けられている。制御装置70は、室内膨張弁12、開閉弁27、温度センサ61〜64、圧力センサ65,66と電気的に接続されている。温度センサ61〜64、圧力センサ65,66は、制御装置70へ、測定結果に応じた信号を送信する。室内膨張弁12、開閉弁27は、制御装置70から送信される信号に基づいて動作する。この制御装置70は、例えばマイコン(Microcomputer)と周辺回路とが基板に実装されて構成されている。マイコンは、ROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が実行することで各種処理が実現される。周辺回路は、A/D変換器、各種モータの駆動回路、センサ回路等を有している。また、制御装置70は、温度センサ61〜64に検出された各温度、圧力センサ65によって検出された吸入圧力(圧縮機の吸入側の圧力)、圧力センサ66によって検出された吐出圧力(圧縮機の吐出側の圧力)を取得する。
【0018】
次に、
図1を参照しながら、空気調和機1の動作について説明する。
図1において、実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れ方向を示し、破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れ方向を示している。
【0019】
冷房運転時には、室外熱交換器21は凝縮器として機能し、室内熱交換器11は蒸発器として機能する。冷媒は、実線矢印で示すように、圧縮機24によって圧縮され、高圧高温のガス状態で吐出された後、四方弁26を経て、室外熱交換器21内で室外ファン23によって送られた外気に熱を放出し凝縮する。そして、高圧中温の液状態となった冷媒は、室外膨張弁22と、配管52と、室内膨張弁12とを通過し減圧され、低圧低温の気液二相状態に変化する。そして、気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器11内で室内ファン13によって送られた室内空気から熱を奪い蒸発し、低圧低温のガス状態となる。そして、ガス冷媒は、配管51と四方弁26とを経て、アキュムレータ25に流入し、室内熱交換器11で蒸発しきれなかった液冷媒が分離された後、圧縮機24に吸入される。
【0020】
その一方で、四方弁26によって冷媒の流れ方向を切り替えると、暖房運転となる。この場合、室外熱交換器21は蒸発器として機能し、室内熱交換器11は凝縮器として機能する。冷媒は、破線矢印で示すように、圧縮機24、四方弁26、配管51、室内熱交換器11、室内膨張弁12、配管52、室外膨張弁22、室外熱交換器21、四方弁26、アキュムレータ25、圧縮機24の順に状態変化をしながら空気調和機1内を循環する。
【0021】
以下、本発明の特徴とする配管容積の評価方法について
図2および
図3を参照(適宜
図1を参照)して説明する。
図2は本実施形態に係る配管容積を評価するプロセスを示すフローチャート、
図3はバイパス開放過程における吸入圧力変化を示すグラフである。
【0022】
一般的に、空気調和機1の出荷時には、室外ユニット200内に予め一定の冷媒が封入されている。また、空気調和機1の据付が終了した後にも、必要に応じて冷媒の追加封入が行われる。例えば、配管の長さが指定長さ以下であれば、冷媒の追加は不要であり、指定長さを超えると、冷媒の追加が必要になる。このような事情に鑑みて、空気調和機1が冷媒を保有する状態で配管容積評価を行うプロセスについて説明する。
【0023】
図2に示すように、ステップS10において、制御装置70は、冷媒回収運転を実行する。すなわち、制御装置70は、圧縮機24を起動する前に、四方弁26を
図1中の破線で示す状態に切り替え、室内膨張弁12と開閉弁27とを全閉状態にする。これによって、室内熱交換器11と、配管51とからなる圧縮機吐出側(圧縮機24の吐出側)は、配管52と、室外熱交換器21と、アキュムレータ25と、圧縮機24とからなる圧縮機吸入側(圧縮機24の吸入側)から、遮断される。そして、制御装置70は、圧縮機24を運転させ、圧縮機吸入側の冷媒を、圧縮機吐出側に送り込む。これにより、冷媒の圧力が、圧縮機吐出側で上昇し、圧縮機吸入側で低下する。
【0024】
ステップS20において、制御装置70は、圧力センサ65で検出される吸入圧力Ps(圧縮機吸入側の圧力)が所定圧1、例えば、0.3MPa以下であるか否かを判定する。制御装置70は、吸入圧力が所定圧1以下ではないと判定した場合には(S20、No)、圧縮機吸入側の冷媒を回収し、圧縮機吐出側に送る処理を継続する。また、制御装置70は、吸入圧力が所定圧1以下であると判定した場合には(S20、Yes)、ステップS30の処理に進む。なお、所定圧1は、圧縮機24を保護することができる最低値(圧縮機24が壊れることがない最低値)に設定されることが望ましい。
【0025】
ステップS30において、制御装置70は、圧縮機24を停止する。これにより、圧縮機吐出側において冷媒が蓄積された状態である冷媒蓄積状態になり、圧縮機吸入側において冷媒をほぼ保有しない状態である略真空状態になる。なお、圧縮機吸入側に残留する冷媒の評価精度への影響を抑えるために、冷媒回収運転終了時の吸入圧力を、空気調和機1が運転可能な範囲内で低く設定すればよい。また、室外ユニット200に複数台の圧縮機24を備えた空気調和機の場合には、すべての圧縮機を運転させればよい。
【0026】
ステップS40において、制御装置70は、バイパス開放を実行する。すなわち、制御装置70は、開閉弁27を開くとともに、時間カウントを開始する(タイマをスタートする)。この場合、開閉弁27を開くことによって、空気調和機1内の冷媒のほとんどを収容し、圧力の高い圧縮機吐出側から、バイパス管28を介して、冷媒をほとんど保有しない(略真空状態の)圧縮機吸入側へ、冷媒が流れる。そして、圧縮機吸入側の冷媒が増加するにつれて、圧力センサ66で検出される吐出圧力Pd(圧縮機24の吐出側の圧力)が低下し、圧力センサ65で検出される吸入圧力Ps(圧縮機24の吸入側の圧力)が上昇する。
【0027】
このようなバイパス開放過程においては、一定の時間間隔、例えば1秒ごとに、各センサの検出値を取得し、所定の記憶装置(メモリ)に記憶する。なお、各センサとは、圧力センサ65,66、温度センサ61,62,63,64である(
図1参照)。なお、温度センサ61,62,63からは、冷媒の状態(例えば、ガス状態であるのか、気液二相状態であるのか)を確認することが可能であり、必要に応じて適宜選択して使用すればよい。
【0028】
ステップS50において、制御装置70は、圧力センサ65で検出された吸入圧力Psが所定圧2以上であるか否かを判定する。制御装置70は、吸入圧力が所定圧2以上であると判定した場合には(S50、Yes)、ステップS60の処理に進み、吸入圧力が所定圧2以上ではないと判定した場合には(S50、No)、ステップS50の処理を繰り返す。なお、所定圧2は、開閉弁27の開弁からの時間カウントを終了して、配管容積の評価に移行するための閾値である。
【0029】
ここで、
図3に示すように、配管容積が小さい場合には(破線参照)、吸入圧力Psが所定圧2まで上昇するのに必要な時間t1は短くなり、配管容積が大きい場合には(実線参照)、吸入圧力Psが所定圧2まで上昇するのに必要な時間t2は長くなる(t1<t2)。
【0030】
そして、
図2に戻って、ステップS60において、制御装置70は、配管容積評価を実行する。すなわち、ステップS40のバイパス開放過程で取得した各センサ(圧力センサ65,66、温度センサ64)の検出値を用いて、配管52の容積を評価する。
【0031】
具体的には、圧縮機24と接続口31との間の配管は、冷媒回収運転時に圧縮機24から吐出された高温ガスによって加熱されている。このため、圧縮機吐出側からバイパス管28へ流れる冷媒は、一定の時間内でガス状態に保たれる。このように冷媒がガス状態に保たれるのは、例えば、圧縮機24が熱容量の大きい鉄製であり、また配管51が熱容量の大きい銅製であり、圧縮機24および配管51が冷えにくいことによる。
【0032】
ここで、バイパス管28における圧力差ΔP(=吐出圧力Pd−吸入圧力Ps)が、バイパス管28の入口圧力(=吐出圧力Pd)の1/2以上であれば、単位時間当たりにバイパス管28を通過する冷媒の量は、入口圧力と入口温度にのみ依存する。入口圧力は、圧力センサ66によって検出され、吐出圧力Pdに対応する。入口温度は、温度センサ61によって検出され、吐出温度Tdに対応する。
【0033】
つまり、ある経路を流れる流体がガスの場合、一般的に圧力差ΔPが入口圧力の1/2より小さいとき、流量Qは、(ΔP・Pm)/(G・T)に比例するが、圧力差ΔPが入口圧力の1/2以上であると、閉塞流れになり、流量Qは、P1/(G・T)に比例する。ここでPmは平均絶対圧力((P1+P2)/2)、Gは比重、Tは温度、P1は入口圧力、P2は出口圧力である。また、比重Gは、圧力と温度とから見積もることができる。
【0034】
したがって、バイパス管28における圧力差ΔPを、バイパス管28の入口圧力(=吐出圧力Pd)の1/2以上にすることで、比較的簡易な式(吐出圧力(入口圧力)Pdおよび吐出温度(入口温度)Td)によって流量(バイパス管28を通過する冷媒量)を見積もることができる。つまり、圧縮機吸入側へ流れる冷媒量を簡単、かつ、正確に見積もることが可能になる。
【0035】
一方で、圧縮機吸入側においては、冷媒圧力(=吸入圧力Ps)が外気温度(周囲温度)に対応する飽和圧力より低ければ、つまり冷媒温度が外気温度より低いので、冷媒が凝縮することがなく、ガス状態に保たれる。このように冷媒がガス状態に保たれることで、圧縮機吸入側の冷媒の増加に伴う圧力の上昇(吸入圧力の変化)は、容積にのみ影響されることになる。すなわち、
図3に示すように、配管容積が小さい場合には、吸入圧力Psの上昇が早くなり、配管容積が大きい場合には、吸入圧力Psの上昇が遅くなる。なお、
図3に示す経過時間t1,t2は、圧力変化(所定圧2−所定圧1)に要した時間に相当する。ちなみに、冷媒の凝縮が発生し、気液二相状態になると、圧縮機吸入側の冷媒が増加しても、冷媒圧力が飽和圧力に保たれる、すなわち変化しなくなるので、配管容積を精度よく評価することができない恐れがある。よって、配管容積の評価精度を確保するために、バイパス開放終了時の圧縮機吸入側圧力に相当する所定圧2が外気温度に対応する飽和圧力を超えないように設定する。要するに、所定圧2は、バイパス管28における圧力差ΔPがバイパス管28の入口圧力(=吐出圧力Pd)の1/2以上であり、かつ、温度センサ64によって検出される外気温度に対応する飽和圧力より低くなるように設定される。
【0036】
したがって、ステップS40のバイパス開放過程における、前記した吸入圧力の変化(吸入圧力変化)と、前記した圧縮機吐出側から圧縮機吸入側へ流れる冷媒量とから、配管52と、室外熱交換器21と、アキュムレータ25と、圧縮機24とからなる圧縮機吸入側の容積を求めることができる。ここで、室外熱交換器21と、アキュムレータ25と、圧縮機24の各容積は既知であるため、求めた圧縮機吸入側の容積から、これら室外熱交換器21と、アキュムレータ25と、圧縮機24の各容積を差し引くことで、配管52の容積(配管容積)を求めることができる。また、配管52の管径が分かれば、配管52の長さ(配管長さ)を算出できる。なお、配管52の長さは、配管51の長さと同じである。
【0037】
前記したように、圧力差ΔPが入口圧力の1/2以上である場合、一定の時間で、圧縮機吐出側から圧縮機吸入側へ流れる冷媒量は、入口圧力(=吐出圧力)と温度(=吐出温度)に依存する。一方、圧縮機吸入側の圧力変化(吸入圧力変化)は、容積と、保有冷媒の増加量(=圧縮機吐出側から圧縮機吸入側へ流れる冷媒量)と、に左右される。これらによって、圧縮機吸入側の容積は、吸入圧力変化と、吸入圧力変化に要した時間と、吐出圧力と、吐出温度との関数で表現できるので、この関係を予め求めておくことで、配管52の容積を比較的簡単に評価できる。
【0038】
例えば、配管容積をV=f(Pd,Td,ΔPs,t)で表すことができる。なお、Pdは、吐出圧力を示し、圧力センサ66によって検出される値である。Tdは、吐出温度を示し、温度センサ61によって検出される値である。ΔPsは、吸入圧力の変化を示し、圧力センサ65によって検出される値の変化である。tは、開閉弁27を開いてからの経過時間を示す。
【0039】
なお、吐出温度Tdは、他のパラメータより影響が小さいので、必要とする精度によって採用するか否かを判断すればよい。また、吐出圧力Pdは、装置によって、また、保有している冷媒量によって異なるものであり、コントロールできないものである。そこで、吸入圧力変化と、この吸入圧力変化に要した時間とについては、最初にその機器に合わせて設定すると、いずれか一つが一定になって、所定値が与えられる。つまり、
図3に示すように、吸入圧力Psが所定圧2に設定される。これにより、前記した式より、吐出圧力Pdと時間tによって容積が求められる。
【0040】
そして、ステップS70において、制御装置70は、評価結果を表示する。例えば、空気調和機1の表示部に、配管52の容積の推定値を表示する。なお、表示部は、室外ユニット200内部の電気箱の基板に設けられたLEDに表示してもよく、空気調和機1のリモコンの液晶画面に表示してもよい。
【0041】
本発明では、配管容積の評価に用いる圧縮機吸入側の圧力変化は、配管の容積と、保有冷媒の増加量(圧縮機吐出側から圧縮機吸入側へ流れる冷媒量)にのみ依存するため、配管形状等の詳細な仕様を把握する必要がない。また、適切な冷媒が封入されていなくても、気温が低くても、冷媒回収と配管容積評価を実行できる。さらに、配管容積の評価に必要なパラメータを少なくできるので、センサの検出誤差が評価精度に与える影響を抑制できて、配管容積を正確に評価できる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の空気調和機1では、圧縮機24と室外熱交換器21とを備えた室外ユニット200と、室内熱交換器11と室内膨張弁12とを備えた室内ユニット100と、室外ユニット200と室内ユニット100とを接続する配管51,52と、を備える。室外ユニット200は、圧縮機24の吐出側と圧縮機24の吸入側とを連通するバイパス管28と、バイパス管28を開閉する開閉弁27と、圧縮機24、室内膨張弁12および開閉弁27を制御する制御装置70と、を備える。制御装置70は、圧縮機24が停止した状態で開閉弁27を開くことで、冷媒が蓄積された冷媒蓄積状態の圧縮機24の吐出側から略真空状態の圧縮機24の吸入側に、バイパス管28を介して冷媒を流通させるバイパス開放を実行する。バイパス開放における、圧縮機24の吐出圧力Pdと圧縮機24の吸入圧力変化ΔPsに要した時間tとに基づき、室外ユニット200と室内ユニット100とを接続する配管51,52の容積を評価する(容積を求める)。これによれば、少ないパラメータで、配管51,52の容積を正確に評価する(求める)ことができる。
【0043】
また、本実施形態では、制御装置70が、バイパス開放を実行する前に室内膨張弁12を全閉にした状態で、圧縮機24を運転させ、圧縮機24の吸入側の冷媒を圧縮機24の吐出側に送る冷媒回収運転を実行することで、圧縮機24の吸入側を略真空状態に、圧縮機24の吐出側を冷媒蓄積状態にする。これにより、配管容積の評価を適切に行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、バイパス開放時のバイパス管28における圧力差ΔPが、バイパス管28の入口における圧力(圧縮機吐出側圧力)の1/2以上である。これにより、圧縮機吸入側に流れる冷媒量をパラメータの少ない簡単な計算式で見積もることができるので、配管の評価精度を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態では、バイパス開放の終了時における圧縮機24の吸入圧力Psが、外気温度(周囲温度)に対応する飽和圧力(所定圧2)より低く設定される。これにより、冷媒がガス状態に保たれるので、配管の評価精度を高めることができる。
【0046】
なお、前記した実施形態では、空気調和機1として、室外ユニット1台と室内ユニット1台とを接続した構成を例示して説明したが、この変形例として、室外ユニット1台に複数台の室内ユニットを接続した構成、複数台の室外ユニットと複数台の室内ユニットとを接続した構成に適用してもよい。
【0047】
図4は本実施形態の変形例に係る配管容積を評価するプロセスを示すフローチャート、
図5はバイパス開放過程における吸入圧力変化を示すグラフである。なお、
図4では、
図2のフローチャートのステップ50に替えてステップS51としたものであり、以下では、異なる部分のみ説明する。
【0048】
図4に示すように、ステップS51において、制御装置70は、バイパス開放を開始してから(開閉弁27を開いてから)の経過時間が所定時間となったか否かを判定する。制御装置70は、所定時間が経過していないと判定した場合には(S51,No)、ステップS51の処理を繰り返し、所定時間が経過したと判定した場合には(S51,Yes)、ステップS60の処理に進む。なお、所定時間は、時間カウントを終了して、配管容積の評価に移行するための閾値であり、バイパス開放終了時のバイパス管28における圧力差ΔPが、バイパス管28の入口における圧力(圧縮機吐出側圧力)の1/2以上を満たすように設定される。
【0049】
そして、ステップS60の配管容積評価では、例えば、配管容積Vを、V=f(Pd,Td,ΔPs,t)の関数によって表すことができる。なお、tは、吸入圧力変化に要した時間を示し、タイマによって検出される値である。
【0050】
図5に示すように、開閉弁27を開いてからの経過時間t3が設定されると、経過時間t3における吸入圧力の変化ΔPs1,ΔPs2が求められる。例えば、配管容積が小さい場合には、吸入圧力変化ΔPs1は大きくなり、配管容積が大きい場合には、吸入圧力変化ΔPs2は小さくなる。すなわち、容積の小さい方が吸入圧力の上昇は速くなり、開閉弁27の開弁から一定の時間(経過時間t3)の間に、より大きな圧力変化を示す。なお、時間t3は、時間t3が経過したときの吸入圧力Ps(バイパス開放の終了時における圧縮機吸入圧力)が周囲温度に対応する飽和圧力より低くなるように設定する。
【0051】
このように、
図4および
図5に示す実施形態では、圧縮機吸入側の圧力変化ΔPs(ΔPs1、ΔPs2)に要した時間t3を設定することで、前記した関数により、吸入圧力変化ΔPsと吐出圧力Pdとで配管51,52の評価を正確に行うことができる。
【0052】
なお、前記実施形態では、
図2および
図4において、冷媒回収運転を実行した場合を例に挙げて説明したが、冷媒回収運転を実行しないで、配管容積の評価を行うようにしてもよい。例えば、室内ユニット100が冷媒蓄積状態であり、この室内ユニット100に、略真空状態の室外ユニット200が接続された場合である。この場合には、冷媒回収運転(ステップS10〜S30)を実行することなく、バイパス開放運転(ステップS40)から始めることができる。
【0053】
また、圧縮機24の吸入圧力変化ΔPsと、圧縮機24の吸入圧力変化ΔPsに要した時間tのいずれも設定せず、圧縮機24の吐出圧力Pdと、圧縮機24の吸入圧力変化ΔPsと、圧縮機24の吸入圧力変化ΔPsに要した時間tと、に基づき、配管容積を評価してもよい。
制御装置(70)は、室内膨張弁(12)を閉じた状態で圧縮機(24)を運転して、冷媒を圧縮機吸入側から圧縮機吐出側に送り、圧縮機吐出側を冷媒蓄積状態、圧縮機吸入側を略真空状態にする。そして、圧縮機(24)を停止した状態で開閉弁(27)を開くことで、圧縮機吐出側から圧縮機吸入側に、バイパス管(28)を介して冷媒を流通させるバイパス開放を実行する。このバイパス開放において、吸入圧力が所定圧に到達したところで、圧縮機吐出側の圧力と、圧縮機の吸入圧力変化および圧縮機の吸入圧力変化に要した時間の少なくとも一方と、に基づき、配管容積を評価する。