【文献】
山下 恵, 吉村 充則,全天カメラを用いた空の状態観測手法の開発,写真測量とリモートセンシング,日本,社団法人日本写真測量学会,2008年 3月14日,Vol.47 (2008) No.2,P50-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記太陽位置算出部は、前記太陽位置算出部が想定している方位と、前記天空画像の方位を一致させるように、前記天空画像の中心を軸にして前記太陽位置を回動させる、請求項1に記載の天候判断装置。
前記天候判断ユニット領域は、前記太陽位置を含む太陽ユニット領域と、前記太陽ユニット領域を取り囲む周縁ユニット領域を含む、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の天候判断装置。
前記天候判断部は、特定の領域状態が割り当てられた天候判断ユニット領域の数が基準値以上存在しているかどうかに基づいて天候判断を行う、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の天候判断装置。
前記天候判断部は、互いに異なる時刻に撮像された複数の天空画像のそれぞれについて割り当てられた領域状態の分布に基づいて、現在時刻の天候及び将来時刻の天候の判断を行い、
前記電動ブラインド制御部は、現在時刻の天候及び将来時刻の天候に基づいて前記電動ブラインドの制御を行う、請求項12〜請求項15の何れか1つに記載の電動ブラインド制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。また、本発明は、天候判断ユニット領域に割り当てた領域状態の分布に基づいて天候判断を行うという点を基本としているが、以下に示す説明中には、このような天候判断方法には限定されない技術的事項があり、そのような技術的事項は、別方法による天候判断にも適用可能である。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、天候判断装置を備えたブラインド制御装置を示す。天候判断装置1は、天空に向けて設置された魚眼レンズ2の下方にシャッターユニット3が配設され、そのシャッターユニット3の下方に例えばCCD素子のイメージセンサー4が配設されている。また、天候判断装置1にはCPU5及びメモリ6が備えられている。CPU5は、メモリ6に記憶されたプログラムを読みだして種々のデータ処理を行うことによって、単独で又は他の構成要素と協働して、特許請求の範囲の「撮像部」、「太陽位置算出部」、「ユニット領域設定部」、「天候判断ユニット領域選択部」、「状態割り当て部」、「天候判断部」、「雲量算出部」、「電動ブラインド制御部」、「無効ユニット領域設定部」、「影判断部」、「空明るさ検出部」等の種々の機能を実現する。
【0014】
CPU5は、あらかじめ設定されたプログラムに基づいて動作し、シャッターユニット3を一定時間ごとに開閉駆動する。そして、シャッターユニット3が開閉されると、魚眼レンズ2及びシャッターユニット3を介して取り込まれる天空画像がイメージセンサー4で撮像され、CPU5はその天空画像をメモリ6に格納する。なお、魚眼レンズ2には、撮像される天空画像の白とびを防止する減光フィルター2aが装着されている。
【0015】
また、CPU5は、天空画像に基づいて後述する処理を行うことによって現在の天候を判断し、その判断信号を電動ブラインドシステム7に出力する。
【0016】
電動ブラインドシステム7は、メインコントローラー8に通信線9を介して多数の電動ブラインド10が接続される。各電動ブラインド10にはメインコントローラー8から出力される制御信号に基づいてモーターを駆動して、スラットの高さ及び角度を制御するブラインドコントローラー11が配設されている。
【0017】
そして、メインコントローラー8にはCPU5から出力される判断信号が入力され、メインコントローラー8はその判断信号に基づいて各電動ブラインド10を制御する。
【0018】
具体的には、CPU5から晴天を示す判断信号がメインコントローラー8に入力されると、各電動ブラインド10のスラットが外光を遮る角度に回動される。また、曇天を示す判断信号がメインコントローラー8に入力されると、各電動ブラインド10のスラットが水平方向に回動されるか、あるいはスラットが引き上げられて外光を採り入れ得る状態に制御される。
【0019】
魚眼レンズ2は、画面の対角線より撮像サークルの径が小さい全周魚眼レンズが使用され、例えば等立体角射影方式で天空画像を撮像する。等立体角射影方式で撮像した天空画像の一例を
図2に示す。等立体角射影方式は、天球の中心に対する天球の各部分の立体角と、その部分の射影面積が比例する方式である。天空画像に写っている物体と高度の関係は、
図3に示す通りである。
図3の円P中の数値は、水平面からの角度を表しており、中心に近い位置に存在しているものほど、高角度位置に存在していることになる。また、等立体角射影方式での天空画像上では、太陽が占める面積は、太陽高度が高くなるにつれて大きくなる。なお、射影方式は、画面の中心からの距離と角度が比例する等距離射影方式や、半球上の図形をそのまま平面に射影する正射影方式などの別の方式であってもよい。
【0020】
また、CPU5は、カレンダー機能と、天空画像の撮像日毎の太陽軌跡を算出する機能を備える。そして、天空画像を撮像した日時に対応する太陽軌跡を天空画像に重ね合わせることができる。
【0021】
図3において、太陽軌跡Aは夏至、太陽軌跡Bは春分及び秋分、太陽軌跡Cは冬至の太陽軌跡を示す。一年間の各撮像日の太陽軌跡は、太陽軌跡Aから同Cの間で順次移動する。
【0022】
次に、天候判断装置1のCPU5の動作を
図4に従って説明する。
<ステップS1:日没後、日の出前であるかどうかの判断>
ステップS1では、CPU5は、現在時刻が日没後で日の出前であるかどうかを判断する。現在時刻が日没後で日の出前であれば、天候判断を行う必要がないので、最初にこの判断を行うことによって撮像回数を減らしてシャッターユニット3の負荷を低減する。この判断は、単純に行う場合には、例えば、現在時刻が夜の8:00〜朝の4:00の間であれば日没後で日の出前であると判断してもよく、より高精度に行う場合には、現在時刻が前日の日の入時刻と当日の日の出時刻の間であれば日没後で日の出前であると判断してもよい。現在時刻が日没後で日の出前であると判断されている間はステップS1が繰り返され(ステップS1のY)、現在時刻が日の出後であると判断されると(ステップS1のN)、ステップS2に移動する。
【0023】
<ステップS2:天空画像の撮像>
ステップS2では、CPU5は、シャッターユニット3を開閉駆動して、イメージセンサー4で天空画像を撮像する。この撮像動作は、あらかじめ設定された所定時間毎(例えば5分毎)に行われ、撮像された天空画像がメモリ6に格納される。
【0024】
<ステップS3:天空画像にユニット領域を設定>
ステップS3では、CPU5は、格納した天空画像に
図5(a)に示すように多数のユニット領域を設定する。
図5(a)中の円Pは天空画像の撮像範囲を示している。また、
図5(a)のユニット領域を天空画像に重ね合わせたものを
図5(b)に示す。
【0025】
図5(a)では、正方形の領域を80×80のマス目状のユニット領域を設定しているが、ユニット領域の数はこれよりも多くても少なくてもよい。また、縦横の分割数は同じであっても異なっていてもよい。本実施形態では、ユニット領域の設定は、ユニット領域の面積が、快晴時に減光率1/10000のフィルターを介して得られた天空画像中の高度35度での太陽領域(太陽が占める領域)の面積とほぼ等しくなるように行っている。このように設定したユニット領域中に高度20度の太陽を配置した画像を
図6(a)に示す。
図6(a)は、4つのユニット領域を示している。このような画像中において、
図6(b)に示すように、輝度値が十分に高くて白飛びしている領域が太陽領域である。高度20度の場合は、太陽領域の面積は、ユニット領域の面積よりも小さいが、太陽高度が高くなるにつれて、太陽領域の面積が大きくなり、高度35度の場合に、太陽領域の面積は、ユニット領域の面積とほぼ等しくなる。なお、ユニット領域の設定は、例えば、ユニット領域の面積が、高度35度での太陽領域の0.2〜5(好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.5)倍になるように行ってもよい。
【0026】
なお、ユニット領域は別の方法で設定してもよく、例えば、等立体角射影方式での天空画像上では、太陽高度が高くなるにつれて太陽領域の面積が大きくなることを考慮して、
図5の円Pの中心に向かうにつれてユニット領域のサイズが大きくなるようにしてもよい。また、太陽高度に応じてユニット領域のサイズを変えてもよい。例えば、太陽高度が35度未満の場合は、80×80のユニット領域にし、太陽高度が35度以上の場合は、40×40のユニット領域にしてもよい。また、ユニット領域の形状は、マス目状である必要はなく、例えば正六角形であってもよい。ユニット領域の数は、100以上であればよく、上限は、特に規定されないが、例えば100000以下が好ましい。ユニット領域の数が少なすぎると天候判断の精度が低下し、ユニット領域の数が多すぎると計算処理の負荷が増大するからである。ユニット領域の数は、具体的には例えば100、500、1000、5000、10000、50000、100000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、ユニット領域がマス目状態である場合、縦横それぞれのマス目数は、具体的には例えば10、20、40、80、120、160、200、300であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
<ステップS4:天候判断ユニット領域を選択>
次に、ステップS4では、CPU5は、ステップS3で設定したユニット領域の中から、天候判断を行うために用いる天候判断ユニット領域を選択する。本実施形態では、天候判断ユニット領域として、計算によって算出した太陽位置を含む太陽ユニット領域と、この太陽ユニット領域を取り囲む8つのユニット領域(「周縁ユニット領域」)を選択している。なお、太陽が複数のユニット領域にまたがって存在している場合には、これら複数のユニット領域のそれぞれについて平均輝度値を算出し、平均輝度値が最も高いユニット領域を太陽ユニット領域とすることができる。なお、天候判断ユニット領域の選択方法は、本実施形態のものに限定されず、ユニット領域の中から、太陽位置を含むように5以上の天候判断ユニット領域を選択すればよい。
【0028】
天候判断ユニット領域の数の上限は、特に限定されないが、天候判断ユニット領域の数/全ユニット領域の数の値は、0.1以下が好ましい。この場合、全ユニット領域の数に比べて天候判断ユニット領域の数が十分に少ないので天候判断の計算負荷が低減されるからである。また、上記値は、0.05以下がさらに好ましく、0.01以下がさらに好ましい。また、別の表現では、天候判断ユニット領域の数は、例えば、5〜100であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、7、80、90、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
(方位のズレの補正)
ところで、太陽ユニット領域を選択するに際し、CPU5は、計算によって算出した太陽位置を天空画像に重ね合わせる。この際、CPU5(太陽位置算出部)が想定している方位と、天空画像の方位が完全に一致していれば、計算によって算出した太陽位置は、天空画像に写っている太陽位置に一致する。しかし、天候判断装置1を設置する際にその方位を厳密に合わせることは容易ではなく、
図7(a)に示すように、天空画像の方位と、CPU5が想定している方位とずれる場合がある。その場合、
図7(b)に示すように、計算によって算出した太陽位置SC1が、天空画像中の太陽位置SC2とずれる場合がある。そこで、このズレを補正すべく、天空画像の方位を正しい方位に直すために、天空画像を
図7(b)の矢印X方向に天空画像を回転させることを試みた。しかし、このデータ処理を行うには、天空画像内の全ての点(400万画素のデータであれば400万個の点)のそれぞれについてデータ処理を行う必要があり、データ処理の負荷が大きい。そこで、本発明者は発想を変えて、CPU5が想定している方位を、天空画像の中心Cを軸にして
図7(b)の矢印Y方向に回転させて天空画像の方位に合わせることにした。矢印Y方向への回転角度αは、計算によって算出した太陽位置SC1が、天空画像中の太陽位置SC2に一致するように設定される。この方法によれば、計算によって算出した太陽位置についてのみデータ処理を行えばいいので、データ処理の負荷が軽減される。また、このような方法は、計算によって算出した太陽の軌跡を、天空画像に重ね合わせる際にも利用することができる。この場合、太陽の軌跡を構成する曲線又は多数の点を回転角度αで
図7(b)の矢印Y方向に回転させればよい。
【0030】
さらに、この方法は、本発明に限らず、太陽位置算出部が算出した太陽位置を天空画像に重ね合わせる処理が必要な種々の用途に適用可能である。天空画像の方位と、太陽位置算出部が想定している方位との間のズレによって生じる問題を、少ないデータ処理で解決できるという同様の効果が得られるからである。
【0031】
(太陽位置算出頻度低減によるCPU負荷の低減)
ところで、特許文献1では太陽位置を中心とする領域の平均輝度値を算出するために、太陽位置を正確に算出することが必須である。このため、全ての撮像時刻に対応した太陽位置の算出が必須であるので、CPU5の負荷が大きい。一方、本発明では、太陽位置は、太陽ユニット領域を適切に選択できる程度に特定すればよく、全ての撮像時刻に対応した太陽位置の算出は必ずしも必要ない。例えば、撮像周期が1分間隔で、太陽が1ユニット領域を移動する時間が約10分であれば、太陽位置の更新は、数分おき(例えば5分おき)でよい。このように、本発明においては、ユニット領域を用いて天候判断を行うので、太陽位置の計算を適宜間引くことが可能にあり、CPU5の負荷を低減することができる。
【0032】
<ステップS5:各天候判断ユニット領域について領域状態の割り当て>
次に、ステップS5では、CPU5は、ステップS4で選択した各天候判断ユニット領域について領域状態の割り当てを行う。この領域状態の割り当ては、本実施形態では、各天候判断ユニット領域について平均輝度値を算出し、この平均輝度値が第1閾値以上のものを状態1、第2閾値以上であって第1閾値未満のものを状態2、第2閾値未満のものを状態3としている。平均輝度値の範囲を0〜1とすると、第1及び第2閾値は、例えば、0.9,0.6といった値に設定することができる。第1及び第2閾値は、季節や太陽高度などに応じて適宜変更してもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、輝度の平均値を用いて領域状態の割り当てを行っているが、必ずしも平均値を用いる必要はなく、各天候判断ユニット領域についての輝度の最大値など、別の値を用いて領域状態の割り当てを行ってもよい。また、領域状態の割り当ては、輝度値を用いた方法に限定されず、輝度値、R値、B値、G値の少なくとも1つからなる指標に基づいて行えばよい。領域状態については、本実施形態では、状態1〜3の3種類にしているが、2種類であってもよく、4種類以上であってもよい。
【0034】
図8に、快晴の日の天空画像を用いて領域状態の割り当てを行った結果の例を示す。
図8(a)及び(b)は、それぞれ、太陽高度が20度及び60度の場合の結果である。太陽高度が20度の場合は、状態1のユニット領域が2つで、状態3のユニット領域が7つである。一方、太陽高度が60度の場合は、状態1のユニット領域が4つで、状態3のユニット領域が5つである。どちらも快晴の日の天空画像であるにも関わらず、状態1の数が異なっているのは、等立体角射影方式で撮像された天空画像では、太陽高度が高いほど太陽が占める面積が大きくなるからである。
【0035】
<ステップS6:領域状態の割り当て結果に基づいて天候判断>
次に、ステップS6では、得られた領域状態の割り当て結果に基づいて天候判断を行う。以下、
図9を用いて、領域状態の割り当て結果に基づく天候判断方法について説明する。
【0036】
ステップSA1では、太陽高度が35度以上であるかどうかを判断する。この判断は、太陽の実際の高度に基づいて行ってもよく、太陽ユニット領域の高度に基づいて行ってもよい。このような判断を行うのは、上記のように、等立体角射影方式で撮像された天空画像では、太陽高度が高いほど太陽領域の面積が大きくなるので、太陽高度に応じて、天候判断の条件の場合分けを行った方が天候判断の精度が向上するからである。また、太陽高度35度で区切っている理由は、上記のように、太陽高度35度の場合に、ユニット領域の面積と、太陽領域の面積がほぼ等しくなるようにユニット領域が設定されているからである。
【0037】
太陽高度が35度未満の場合(ステップSA1のN)、ステップSA2に移動し、
図8(a)に示すような領域状態の割り当て結果での状態1のユニット領域数を数える。状態1のユニット領域数が0の場合、天空画像中に明るい部分が存在しておらず、現在の天候が「濃い曇り又は雨」であると判断する。一方、状態1のユニット領域数が5以上の場合、太陽の周辺の大部分の領域が明るくなっていることを意味し、これは、太陽の周辺に薄い雲がかかっていて、その薄い雲が太陽光を反射することによって、明るい状態が実現されていると判断できる。従って、状態1のユニット領域数が5以上の場合は、現在の天候が「薄曇り」であると判断する。状態1のユニット領域数が1〜4の場合、ステップSA3に移動し、状態2のユニット領域が存在しているかどうかを調べる。状態1のユニット領域数が1〜4である場合、「濃い曇り又は雨」でもなく、「薄曇り」でもないことはすでに確定しているので、「濃い雲がある晴れ」と「快晴」のどちらかである。一般に、濃い雲は、太陽光を反射するので、青空よりも明るい。このため、濃い雲があるユニット領域は、状態2になりやすく、青空のユニット領域は、状態3になりやすい。そこで、ステップSA3において、状態2のユニット領域が1つ以上存在する場合(ステップSA3のY)は、「濃い雲がある晴れ」があると判断し、状態2のユニット領域が存在しない場合(ステップSA3のN)は、「快晴」と判断する。
【0038】
また、太陽高度が35度以上の場合(ステップSA1のY)、ステップSA4に移動し、
図8(b)に示すような領域状態の割り当て結果での状態1のユニット領域数を数える。ステップSA4での判断方法は、ステップSA2での判断方法に類似しているが、太陽高度が35度以上の場合は、太陽領域が1ユニット領域内に収まらないので、雲一つ無い快晴の場合でもユニット領域4つ程度が状態1になってしまう。このため、ステップSA2と同じ基準で薄曇りの判断を行うと、薄い雲がわずかに存在するが「快晴」と判断すべき天候の場合でも、「薄曇り」と判断されてしまい、都合が悪い。そこで、ステップSA4では、状態1のユニット領域数が7以上の場合に「薄曇り」と判断することによって、このような不都合を解消している。ステップSA5の判断方法は、ステップSA3と同様である。
【0039】
以上の方法によって、領域状態の割り当て結果に基いて、現在の天候が「濃い曇り又は雨」、「薄曇り」、「濃い雲がある晴れ」、「快晴」の何れであるかについての判断を行うことができる。
【0040】
天候判断の具体例は、以下の通りである。
図8(a)の領域状態の割り当て結果の場合、太陽高度が35度未満であり、状態1のユニット領域数が2であり、状態2のユニット領域数が0なので、「快晴」と判断される。
図8(b)の領域状態の割り当て結果の場合、太陽高度が35度以上であり、状態1のユニット領域数が4であり、状態2のユニット領域数が0なので、「快晴」と判断される。また、
図10〜
図11に、様々な天候の領域状態の割り当て結果を示す。
図10及び
図11は、それぞれ、太陽高度が20度、60度の場合の結果を示す。
図10(a)及び
図11(a)は、太陽とその周辺が厚い雲で覆われていて、空全体が暗くなっている天空画像についての領域状態の割り当て結果である。これらの領域状態の割り当て結果では、状態1のユニット領域数が0であり、「濃い曇り又は雨」と判断される。
図10(b)及び
図11(b)は、太陽とその周辺に薄い雲がかかっていて、空全体が明るくなっている天空画像についての領域状態の割り当て結果である。
図10(b)の領域状態の割り当て結果では、状態1のユニット領域数が6であり、太陽高度が35未満の場合の基準値である5以上であるので、「薄曇り」と判断される。一方、
図11(b)の領域状態の割り当て結果では、状態1のユニット領域数が7であり、太陽高度が35以上の場合の基準値である7以上であるので、「薄曇り」と判断される。
図10(c)及び
図11(c)は、太陽ユニット領域のすぐ下に濃い雲が存在しているが、それ以外には雲が存在していない天空画像についての領域状態の割り当て結果である。
図10(c)の領域状態の割り当て結果では、状態1のユニット領域数が2であり、且つ状態2のユニット領域数が2であるので、「濃い雲がある晴れ」と判断される。
図11(c)の領域状態の割り当て結果では、状態1のユニット領域数が2であり、且つ状態2のユニット領域数が2であるので、「濃い雲がある晴れ」と判断される。
【0041】
なお、ここでは、天候を4種類に分類したが、3種類又は5種類以上に分類してもよい。また、ここで示した天候判断方法は、一例であり、例えば、状態2又は状態3のユニット領域数を最初に数えて場合分けを行う等、別の判断方法を採用することも可能である。また、ここでは、太陽高度が35度以上かどうかで場合分けを行っているが、場合分けは必ずしも行う必要はなく、別の方法で場合分けを行ってもよい。また、場合分けの閾値となる太陽高度は、別の値であってもよく、3通り以上の場合分けを行ってもよい。
【0042】
<ステップS7:天候判断結果に基づいてブラインド制御>
次に、ステップS7では、得られた天候判断結果に基づいてブラインド制御を行う。このブラインド制御は、予め設定されたブラインド制御条件に基づいて行われる。ユーザーは、どの天候のときに電動ブラインド10をどのように制御するのかを予め設定することができる。多くのユーザーは、天候判断結果が「濃い曇り又は雨」の場合にはスラットを水平方向に回動させるか又はスラットを引き上げることによって外光を取り入れ、天候判断結果が「快晴」の場合には直射光を遮る角度にスラットを回動させるが、「薄曇り」及び「濃い雲がある晴れ」の場合に、外光を取り入れたいかどうかはユーザーの好みによって異なる。外光を積極的に活用したいユーザーは、「薄曇り」と「濃い雲がある晴れ」のどちらの場合でも外光を取り入れるように設定し、外光をなるべく遮断したいユーザーは、「薄曇り」と「濃い雲がある晴れ」のどちらの場合でも外光を遮断するように設定し、その中間のユーザーは、「薄曇り」の場合は外光を取り入れ、「濃い雲がある晴れ」の場合は外光を遮断するように設定することができる。このように、本発明によれば、天候が4種類に分類され、各天候に対応させて電動ブラインド10の制御方法を設定することができるので、ユーザーの好みに合致した電動ブラインド10の制御が可能になる。
【0043】
ところで、天候判断結果が頻繁に変化して電動ブラインド10が頻繁に開閉することはユーザーを不快にさせる場合がある。一方、直射光が室内に入り込む状態になっているにも関わらず、この直射光を遮るように電動ブラインド10が動作するまでの時間が長いこともユーザーを不快にさせる。そこで、電動ブラインド10が外光を取り込む状態(「開状態」)のときに、天候が好転した場合は、即座に、外光を遮断する状態(「閉状態」)になるように電動ブラインド10を制御する。一方、電動ブラインド10が閉状態のときに、天候が悪化した場合は、その悪化した状態が複数回連続して認識されたときに、開状態になるように電動ブラインド10を制御する。このように制御することによって、天候が好転した場合には、開状態から閉状態に迅速に切り替えられるのに対し、天候の悪化時には、その状態が継続されることが確認された後に、閉状態から開状態に切り替えられるので、電動ブラインド10がむやみに開閉されることが抑制される。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に類似しているが、本実施形態では、
図12に示すように、ステップS3の後に、ステップS8において、太陽位置が無効ユニット領域にあるかどうかの判断を行う。この判断は、ステップS4において太陽ユニット領域を決定した後に、太陽ユニット領域が無効ユニット領域であるかどうかに基づいて行ってもよい。
無効ユニット領域とは、山脈や建築物などの遮蔽物が写っているユニット領域であり、太陽位置が無効ユニット領域にある場合、太陽からの直射光は遮蔽物に遮られるので、電動ブラインド10は、開状態にすることができる。このため、ステップS8において、太陽位置が無効ユニット領域にあると(ステップS8のY)、ステップS6の天候判断が行われずに、現在の天候が「濃い曇り又は雨」と設定され、ステップS7に移動して、電動ブラインド10の制御が行われる。なお、太陽位置が無効ユニット領域にあると判断された後の処理は、現在の天候を「濃い曇り又は雨」と設定する代わりに「薄曇り」などの別の天候を設定して行ってもよく、「無効ユニット領域」という分類を設けて、「無効ユニット領域」である場合の電動ブラインド10の制御方法をユーザーが設定可能にしてもよい。
【0045】
無効ユニット領域は、自動設定、手動設定又はその組み合わせによって設定可能である。自動設定では、例えば撮像時刻が異なる複数枚の天空画像を取得し、これらの天空画像中で変化のない部分を無効ユニット領域として設定する。変化のない部分は、山や建築物などの遮蔽物であると考えられるからである。また、別の自動設定の方法としては、天空画像中の物体の色に基づいて行う方法が挙げられる。例えば、あるユニット領域が緑色や茶色であるとすると、このユニット領域は、山肌を写しているものと考えられるので、無効ユニット領域に設定する。また、あるユニット領域が赤色や黄色である場合、このユニット領域は、何らかの人工構造物を写しているものと考えられるので、無効ユニット領域に設定する。
【0046】
無効ユニット領域の手動設定では、天空画像上にユニット領域を設定したものを画面に表示し、その画面上で無効ユニット領域とすべきユニット領域を選択することによって、無効ユニット領域の設定を行う。
【0047】
自動設定は、手間がかからず便利であるが、天空画像の内容によっては精度が低い場合がある。そこで、自動設定によって無効ユニット領域を仮設定した後に、手動設定によって高精度な設定を行うことによって、短時間で高精度に無効ユニット領域の設定を行うことができる。
【0048】
ここで、無効ユニット領域の設定の具体例を
図13(a)〜(b)を用いて説明する。
図13(a)は、天空画像に40×40のユニット領域を設定したものである。
図13(a)の天空画像中には多くのビルが写っており、太陽がこのビルの裏側にあるときは直射光が当たる心配がないので、これらのビルが含まれるユニット領域は、無効ユニット領域として設定される。なお、ユニット領域に部分的にビルが写っていて、その残りに天空が写っているユニット領域は、有効ユニット領域とした。無効ユニット領域の設定結果を
図13(b)に示す。
図13(b)を参照すると、
図13(a)のビルの形に沿って無効ユニット領域ICが設定されていることが分かる。
【0049】
(第3実施形態)
第1〜第2実施形態では、建築物の屋上などの高い位置に設置されることが多い天候判断装置1の設置位置を基準にして天候判断を行って、電動ブラインド10の制御を行っている。しかし、
図14(a)に示すように、電動ブラインド10は、建築物21の低層階から高層階にまで多数設置され、高層階には直射光が照射される場合でも、低層階は、建築物23の影になって、直射光が入らない場合があるので、全ての電動ブラインド10を画一的に制御するのではなく、各電動ブラインド10の設置位置に基づいて電動ブラインド10の制御を個別に行うことが好ましい。
【0050】
建築物23によって影になる領域Rは、
図14(a)において、太陽Sと建築物23とを結ぶ直線Dよりも下の領域である。太陽Sの位置(高度及び方位)は、撮像日時から算出することができるので、建築物21から建築物23までの距離Lと建築物23の立体形状が分かれば、領域Rを求めることができる。しかし、建築物21の周辺に、次々とビルが建設されるような状況においては、ビルが建設される度にそのビルの立体形状を取得し、天候判断装置1のデータベースに登録するには多大な手間がかかる。
【0051】
この手間をできる限り省くために、本実施形態では、
図15に示すように、建築物23が写った天空画像を取得し、この天空画像から建築物23の仰角βと方位角θと取得し、これらの角度と、別途入力した距離Lとを用いて、領域Rを求めることを可能にしている。
【0052】
図15の円P、Qは、それぞれ、
図14(a)の直線P、Qに対応し、
図15の直線T,Uは、それぞれ、
図14(b)の直線T,Uに対応する。
図15において、仰角βは、円Pと円Qの間の間隔に相当する角度であり、
図14(a)の直線Pと直線Qの間の角度に相当する。また、
図15での建築物23の方位角θは、直線Tと直線Uの間の角度であり、
図14(b)の直線Tと直線Uの間の角度に相当する。
【0053】
距離Lと仰角βと方位角θが分かると、
図14(a)に示す建築物23の高さHは、天候判断装置1の設置位置の高さ+L×tanβによって算出可能であり、
図14(b)に示す建築物23の奥行きWは、2L×tan(θ/2)によって算出可能である。そして、建築物23の高さHと奥行きWが求まれば、領域Rの二次元形状が求められ、建築物21のどの位置に影が形成されるのかの判断が可能になる。
【0054】
なお、距離Lは、天空画像からは求めることができないので、別の方法で取得又は測定して入力する必要がある。距離Lを取得又は測定する方法としては、別途準備した地図上で距離を測定する方法や、三角測量などの測距技術によって測定する方法が挙げられる。
【0055】
本実施形態においては、ステップS7のブラインド制御を実行する際には、全ての電動ブラインド10について同じ制御を行うのではなく、上述した方法によって各電動ブラインド10が遮蔽物の影になるかどうかの判断を行い、遮蔽物の影になる電動ブラインド10については、天候判断の結果が電動ブラインド10を閉状態にすべきものであったとしても、電動ブラインド10を開状態にするように制御することができる。このような制御を行うことによって実際は影になっているにも関わらず、電動ブラインド10が閉状態になることを防ぐことができる。なお、遮蔽物の影にならない電動ブラインド10については、天候判断の結果が電動ブラインド10を閉状態にすべきものであれば、その判断に従って、電動ブラインド10を閉状態にする。
【0056】
(第4実施形態)
これまでの実施形態では、天空に存在する雲量を考慮することなく、所定時間毎に天空画像を撮像していたが、天空に雲がほとんど存在していない快晴の場合には、短時間で天候が大きく変化するとは考えにくいので、撮像周期を長くしても問題ない。そこで、本実施形態では、天空画像から雲量を算出し、算出した雲量に応じて天空画像の撮像周期を変化させる。これによって、撮像回数を減らしてシャッターユニット3の負荷を低減することができる。
【0057】
天空画像中の雲量算出方法は、特に限定されないが、本実施形態では、
図16に示すように、太陽ユニット領域を中心とする9×9のユニット領域について、第1実施形態のステップS5と同様の方法によって、各ユニット領域について領域状態の割り当てを行い、その結果に基づいて雲量を推測する。領域状態の割り当てでは、各ユニット領域について状態1〜3の何れかを割り当てるが、状態2のユニット領域は、曇が存在している可能性が高いので、状態2のユニット領域の割合に基づいて雲量を算出することにしている。なお、雲が存在しているユニット領域であっても状態1又は状態3になる場合があるが、雲がかかっていない太陽ユニット領域は必ず状態1になるので、状態1を雲量算出に用いることは好ましくなく、雲が全くない青空のユニット領域は、通常、状態3になるので、状態3を雲量算出に用いることも好ましくない。そこで、状態2の割合に基づいて雲量算出を近似的に行うことにしている。なお、状態2の割合と、実際の雲量とは必ずしも一致する必要はなく、撮像周期を決定するのに十分な程度に相関していればよい。また、別の方法として、状態2又は状態3であり且つ白色であるユニット領域を雲が存在しているユニット領域であると判断して、雲量を算出してもよい。
【0058】
雲量に基づいて撮像周期を変化させる方法の一例としては、雲量が40%未満である場合には撮像周期を5分毎とし、雲量が40%以上の場合には撮像周期を1分毎にするものである。雲量の閾値は、40%にする必要はなく、設置現場の状況に合わせて適宜決定できる。また、撮像周期も適宜決定可能である。
【0059】
図16に9×9のユニット領域について領域状態の割り当てを行った結果を示す。これは、太陽の周りに雲がまばらに存在している天空画像についての領域状態の割り当て結果である。この領域状態の割り当て結果では、81ユニット領域中33ユニット領域が状態2であるので、雲量は33/81=41%であると算出され、雲量が40%以上であるので、撮像周期は1分毎となる。
【0060】
なお、天空に雲が非常に多く存在している場合にも、短時間で天候が大きく変化する可能性が低いので、雲量が閾値以上の場合に、撮像周期を長くしてもよい。
【0061】
(第5実施形態)
これまでの実施形態では、ステップS6において、1枚の天空画像に基づいて天候判断を行い、その天候判断の結果に基づいて電動ブラインド10の制御を行っていたが、この方法による制御では、「濃い曇り又は雨」の状態から急に「快晴」に変わった場合には、電動ブラインド10が閉状態になるまでには若干のタイムラグがあるので、その間は、室内に強い太陽光が差し込んでしまうという問題があり得る。そこで、本実施形態では、このような問題を解消するために、複数枚の天空画像を用いて天候の変化を予測することによって、例えば、現時点の天候が電動ブラインド10を開状態にすべきものであったとしても、近い将来に電動ブラインド10を閉状態にすべき天候に変化することが予測される場合に、電動ブラインド10を予め閉状態にすることを可能にする。
【0062】
本実施形態では、このような予測天候判断は、雲の位置の変化を検出することによって行う。雲は、一定の方向に一定の速度で移動する傾向があるため、異なる時刻に撮影された複数枚の天空画像中での雲の位置を比較することによって、雲が将来、どちらの方向にどのような速度で移動するのを予測することができ、従って、特定時刻での雲の位置を予測することができるからである。また、特定時刻での太陽位置は計算によって求めることができるので、特定時刻での太陽位置と雲の位置とに基づいて特定時刻での天候の予測可能である。
【0063】
以下、
図4のフローチャートを用いて、具体的な判断方法について説明する。
ステップS1〜S3は、第1実施形態と同様である。
【0064】
ステップS4では、第1実施形態では、太陽ユニット領域と、この太陽ユニット領域を取り囲む8つの周縁ユニット領域を天候判断ユニット領域として選択したが、本実施形態では、雲の位置の変化を検出するために、天候判断ユニット領域としてより多くの領域を選択することが好ましく、例えば、
図17(b)に示すように、太線で囲った太陽ユニット領域と、この太陽ユニット領域を取り囲む80個の周縁ユニット領域を選択することができる。天候判断ユニット領域の数は、これよりも少なくても多くてもよく、また、全ユニット領域と天候判断ユニット領域として選択してもよい。
【0065】
次に、ステップS5では、第1実施形態と同様に各天候判断ユニット領域に領域状態の割り当てを行う。
図17(a)は、前回の撮像時刻(例えば5分前)T1に撮像された天空画像についての領域状態であり、
図17(b)は、現在時刻T2の天空画像についての領域状態である。ここでは、ほぼ全天が濃い雲で覆われていて状態2となっているが、薄い雲がところどころに存在していて状態1になっているような天候を想定している。
図17(a)では、81個の天候判断ユニット領域のうち、右上の12個と、左下の6個の天候判断ユニット領域がそれぞれ状態1になっていて、残りの天候判断ユニット領域が状態2になっている。一方、
図17(b)では、右上の6個の天候判断ユニットと左下の12個の天候判断ユニット領域が状態1になっていて、残りの天候判断ユニット領域が状態2になっている。
図17(a)と
図17(b)を比較すると、
図17(a)において右上と左下にそれぞれ存在していた薄い雲がどちらも右上に向かって移動していることが分かる。
【0066】
次に、ステップS6では、第1実施形態と同様の方法で現在時刻T2の領域状態に基づく天候判断を行い、さらに、以下に示す方法で、将来時刻T3の予測天候判断を行う。
まず、
図17(a)と
図17(b)との比較から雲の移動方向と速度を算出する。次に、この移動方向と速度が継続すると仮定して、将来の任意の時刻での雲の位置を予測する。
図17(c)は、将来時刻T3が、現在時刻T2から、(時刻T2−時刻T1)だけ経過した後の時刻であるときの、将来時刻T3の領域状態予測である。
図17(a)で左下にあった薄い雲が右上に向かって移動した結果、
図17(c)では、太陽ユニット領域のすぐ下に薄い雲がかかっていることが分かる。将来時刻T3の予測天候判断は、
図17(c)のような将来時刻T3の領域状態予測に基づいて行う。なお、
図17(a)〜(c)は、説明の便宜上、太陽ユニット領域の位置を移動させていないが、実際は、各時刻での太陽位置に基づいて太陽ユニット領域の位置が決定される。
【0067】
現在時刻T2と将来時刻T3での天候判断は、第1実施形態と同様に、
図9の天候判断フローに基づいて行うことができる。太陽高度が35度未満であると過程すると、現在時刻T2の天候は、「濃い曇り又は雨」であると判断され、将来時刻T3での天候は、「濃い雲がある晴れ」であると判断される。
【0068】
ステップS7では、現在時刻T2の天候と将来時刻T3の天候に基づいて電動ブラインド10の制御が行われる。一例では、現在時刻T2の天候と将来時刻T3の天候の少なくとも一方において、電動ブラインド10を閉状態にするように設定されている場合に、電動ブラインド10が閉状態にされる。
【0069】
ここは、電動ブラインド10は、「濃い曇り又は雨」のときに開状態とされ、「濃い雲がある晴れ」のときに閉状態とされるように設定されていると過程する。第1実施形態のように、現在時刻T2の天候のみに基づいて電動ブラインド10を制御する場合、現在時刻T2の天候が「濃い曇り又は雨」であるので、電動ブラインド10は開状態にされる。しかし、本実施形態では、将来時刻T3の天候が「濃い雲がある晴れ」であることが考慮されて、現在の天候が「濃い曇り又は雨」であるにも関わらず、電動ブラインド10が閉状態にされる。このような制御を行うことによって天候が急に変化する場合でも室内に強い太陽光が差し込んでしまうことを防ぐことができる。
【0070】
ここで、比較のために、前回撮像時刻T1の領域状態が異なる例を
図18に示す。
図18(b)に示す現在時刻T2の領域状態は、
図17(b)と同一であるが、
図18(a)に示す前回撮像時刻T1の領域状態が
図17(a)と異なっている。そして、
図18(a)と
図18(b)を比較すると、
図18(a)の左下と右上に存在する状態1の薄い雲は、左方向に移動していることが分かる。このため、将来時刻T3の領域状態予測は、
図18(c)に示すように、
図17(c)とは異なるものになる。
図18(b)及び(c)の領域状態に基づいて天候判断を行うと、現在時刻T2の天候と将来時刻T3での天候は、どちらも「濃い曇り又は雨」であると判断される。この場合、天候が急に変化して室内に強い太陽光が差し込む恐れが低いので、電動ブラインド10は開状態にされる。
【0071】
このように、本実施形態によれば、現在時刻T2の天候と将来時刻T3の天候を考慮することによって、電動ブラインド10の制御をより適切に行うことができる。
【0072】
なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、太陽ユニット領域を中心とする9つの天候判断ユニット領域を用いて天候判断を行ったが、天候判断は、81個全ての天候判断ユニット領域を用いて行ってもよい。また、本実施形態では、前回の撮像時刻T1の天空画像と現在時刻T2の天空画像を用いたが、これに限定されず、例えば撮像周期が1分のときに、10分前の天空画像と、5分前の天空画像を用いて現在時刻と将来時刻(例:3分後)の領域状態を予測してもよい。また、例えば、10分前の天空画像と、5分前の天空画像と、現在の天空画像のように、3枚以上の天空画像を用いて雲の移動方向と速度を算出することによって、その精度を向上させることができる。
【0073】
本実施形態の方法は、第4実施形態の方法と組み合わせることができ、現在時刻T2の領域状態に基づいて雲量を算出し、その結果に基づいて撮像周期を変化させることができる。
【0074】
(第6実施形態)
本実施形態では、ステップS2の天空画像の撮像は、絞りを固定にしてシャッタースピードをオートにして行う。このようにして撮像を行うと、イメージセンサー4に取り込まれる光量が少ないほどシャッタースピードが遅くなる。従って、シャッタースピードが非常に遅いということは、天空全体が厚い雲で覆われていてイメージセンサー4に入射する光量が非常に少ないということを意味している。このような天候の場合には、ステップS3〜ステップS6での天候判断を行うことなく、天候は、「濃い曇り又は雨」であると判断することができる。
そこで、本実施形態では、
図19に示すように、ステップS2の後に、シャッタースピードが基準値(例:1/50秒)以上であるかどうかを判断するステップS9を実行し、シャッタースピードが基準値以上である場合(ステップS9のY)にはステップS3以降の処理を実行し、シャッタースピードが基準値未満の場合(ステップS9のN)は、ステップS6の天候判断が行われずに、現在の天候が「濃い曇り又は雨」と設定され、ステップS7に移動して、電動ブラインド10の制御が行われる。
【0075】
(第7実施形態)
これまでの実施形態では、ステップS1においては、現在時刻が日没後で日の出前であるかどうかが判断され、日没後についてはステップS2の天空画像の撮像は行われなかった。従来の電動ブラインド10では、日没後は、空の明るさに基づく制御は行われておらず、単純に、開状態又は閉状態にされていた。しかし、日没後の所定時間(例えば1時間)は、外が明るい場合があり、この場合は、電動ブラインド10を閉めてしまうのはもったいない。
【0076】
そこで、本実施形態では、
図20に示すように、ステップS1で現在時刻が日没後で日の出前であると判断された場合(ステップS1のY)は、ステップS10で現在時刻が日没後から所定時間内であるかどうかを判断する。日没後から所定時間経過後(ステップS10のN)は、以降の処理を行わない。日没後から所定時間内であれば(ステップS10のY)、ステップS11において、ステップS2と同様に天空画像の撮像を行い、ステップS12において、得られた天空画像から空の明るさを算出する。「空の明るさ」としては、第6実施形態と同様に、絞りを固定にしてシャッタースピードをオートにしたときのシャッタースピードを指標として用いることができる。また、「空の明るさ」としては、撮影した天空画像から全天の平均輝度値又は最高輝度値を得て、この値を指標として用いてもよい。次に、ステップS13では、空の明るさに基づいて電動ブラインド10の制御が行われる。
【0077】
電動ブラインド10は、例えば、空の明るさが基準値を超える場合には、外光を取り入れるために開状態になるように制御され、空の明るさが基準値を下回る場合には、室内光を電動ブラインド10で反射させるために閉状態になるように制御される。
【0078】
(第8実施形態)
これまでの実施形態では、ステップS5において、各天候判断ユニット領域の平均輝度値に基づいて領域状態の割り当てを行い、各天候判断ユニット領域の色成分については、考慮していなかった。しかし、薄曇りの日の夕方には、太陽光がまぶしく感じられるにも関わらず、平均輝度値は低い場合があり、平均輝度値に基づく領域状態の割り当てでは、天候判断結果が人間の感覚からずれる場合がある。
【0079】
そこで、本実施形態では、各天候判断ユニット領域について、輝度値に加えて、R値、B値、及びG値の少なくとも1つに基づいて各天候判断ユニット領域について領域状態の割り当てを行う。
【0080】
本実施形態の領域状態の割り当ては、一例では、以下のように行う。まず、平均R/B値、平均R値、平均B値、平均輝度値のそれぞれの指標について個別に第1及び第2閾値を設定し、各指標について第1閾値以上のものに2点、第2閾値以上であって第1閾値未満のものに1点、第2閾値未満のものに0点のスコアを割り当てる。次に、これら4つの指標についてのスコアを合計し、合計スコアが6点以上の天候判断ユニット領域を状態1、3〜5点の天候判断ユニット領域を状態2、2点以下の天候判断ユニット領域を状態3とする。
【0081】
本実施形態による領域状態の割り当ての具体例を
図21に示す。
図21は、太陽高度が20度であり、天候判断ユニット領域の左上に薄い雲がかかっている天空画像についての結果を示す。
図21(a)は、各天候判断ユニット領域に対して平均R/B値、平均R値、平均B値、平均輝度値のそれぞれについて0〜2点のスコアを割り当てた状態を示す。そして、
図21(b)は、このスコアの合計値に基づいて、各天候判断ユニット領域に対して状態1〜3を割り当てた状態を示す。
【0082】
以上の方法で、各天候判断ユニット領域について領域状態の割り当てを行った後は、これまでの実施形態と同様にステップS6以降を実施することができる。