特許第6444593号(P6444593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444593
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】エンジンルームの構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B62D25/08 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-241182(P2013-241182)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-48071(P2015-48071A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年11月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0103590
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン,チョ
(72)【発明者】
【氏名】チュン−ホ,イ
(72)【発明者】
【氏名】チョン−ウ,ナム
(72)【発明者】
【氏名】ハン−シン,チョン
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−118640(JP,A)
【文献】 特開2007−022214(JP,A)
【文献】 実開昭63−180451(JP,U)
【文献】 特開2005−343454(JP,A)
【文献】 特開2005−263146(JP,A)
【文献】 実開平03−125637(JP,U)
【文献】 特開平03−284480(JP,A)
【文献】 実開昭55−023910(JP,U)
【文献】 特開2001−334889(JP,A)
【文献】 特開2004−249801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方にFEMが配置して後方にダッシュパネルが配置し、前記FEMとダッシュパネルの間で両側それぞれにハウジングパネルが配置するエンジンルームの構造であって、
ダッシュパネルと平行に配置する横部b、および前記横部の両側終端それぞれで前方側に折り曲げられて両側のハウジングパネルと並んで配置する縦部aで構成されたハウジング部材を含み、
前記ハウジング部材は、内部が開通するように形成されており、
前記ハウジング部材は、横部b1と縦部a1を有して下部に配置されるサポートパネル、および横部b2と縦部a2を有して前記サポートパネル上に定載するカバーリングメンバが結合して構成され、
前記サポートパネルには、横部の両側で上面が開口したボックス形状の支え部がそれぞれ形成されることを特徴とする、エンジンルームの構造。
【請求項2】
前記サポートパネルは、上側に向かって開口した形状を有して内周面から第1突起部が突出し、
前記カバーリングメンバは、サポートパネルに定載可能な大きさを有し、下側に向かって開口した形状を有して外周面は第2突起部が突出し、
前記カバーリングメンバがサポートパネル上に定載するとき、前記第2突起部が第1突起部を通過して下降するように、サポートパネルまたはカバーリングメンバのうちの少なくともいずれか1つ以上は弾性変形することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンルームの構造。
【請求項3】
前記カバーリングメンバには、支え部に定載する拡張部が両側それぞれに形成されることを特徴とする、請求項1〜2のうちのいずれか一項に記載のエンジンルームの構造。
【請求項4】
前記ハウジングパネルおよびダッシュパネルには、サポートパネルが定載されるブラケットが装着されることを特徴とする、請求項に記載のエンジンルームの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のエンジンルームに関し、より詳しくは、エンジンルーム内に付設されるワイヤハーネス(wire hanrness)とエアコンパイプ、およびESCチューブ(Electronic Stability Control Tube)などをモジュール化させて組み立てることができ、車体の剛性を向上させることができるようにハウジング部材を備えるエンジンルームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルームは、車体内でエンジンおよびトランスミッションを装着できるように設けられた空間である。一般的な乗用車のエンジンルームでは、ラジエータが装着されるFEM(Front End Module)のキャリア(以下、FEMとする)が前方に配置され、後方には運転席との境界を形成するダッシュパネルが配置され、両側それぞれにはショックアップソーバが装着されるハウジングパネルが配置される。
【0003】
このようなエンジンルームには、エンジンとトランスミッションだけではなく、操向装置や空調装置などはもちろん、これに伴う各種電気部品が搭載される。すなわち、図1に示すように、エンジンルームには、ワイヤハーネス6、エアコンパイプ7、ESCチューブ8、ジャンクションボックス4、およびスタートモータ5などが位置するようになる。これらのそれぞれは、車体に穿孔されたホール(hole)を利用して装着される。
【0004】
すなわち、このような部品を車体に組み立てるためには、エンジンルームの周辺に配置されたFEM1、ダッシュパネル3、ダッシュパネル上に配置されたカウルパネル3a、フェンダエプロン2a、(ショックアップソーバの)ハウジングパネル2などに多様な大きさで多数のホールを穿孔しなければならなかった。このようなホールの穿孔は車体の剛性が弱化する原因となり、NVH(Noise、vibration、and harshness)を低下させるようになる。
【0005】
また、このような部品それぞれは、互いに異なる工程によって組み立てられる。これによって組み立て工程数が増加するようになり、生産効率性を低下させるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、上述したような問題点を解消するために発明されたものであって、エンジンルームに装着される多くの部品を1つの工程で短時間内に装着できるように部品のモジュール化を図ることができ、組み立て工程を減らして生産効率性を増大させると同時に、車体に穿孔されるホールの個数を減らして車体の剛性およびNVH性能を改善することができるエンジンルームの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような目的を達成するために、本発明は、前方にFEMが配置して後方にダッシュパネルが配置し、前記FEMとダッシュパネルの間で両側それぞれにハウジングパネルが配置されるエンジンルームの構造であって、ダッシュパネルと平行に配置する横部bと、前記横部の両側終端それぞれで前方側に折り曲げられ、両側のハウジングパネルと並んで配置する縦部aとで構成されたハウジング部材を含み、前記ハウジング部材は、内部が開通したパイプ形状に形成されたことを特徴とする。
【0008】
前記ハウジング部材は、横部b1と縦部a1を有して下部に配置するサポートパネルと、横部b2と縦部a2を有して前記サポートパネル上に定載するカバーリングメンバとが(分離可能に)結合して構成される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記サポートパネルは、上側に向かって開口した形状を有して内周面から第1突起部が突出し、前記カバーリングメンバは、サポートパネルに定載可能な大きさを有し、下側に向かって開口した形状を有して外周面から第2突起部が突出し、前記カバーリングメンバがサポートパネル上に定載するとき、前記第2突起部が第1突起部を通過して下降するように、サポートパネルまたはカバーリングメンバのうちの少なくともいずれか1つ以上は弾性変形する。
【0010】
また、前記サポートパネルには、ジャンクションボックスおよびエンジンスタートモータが定載されるように、横部の両側に上面が開口したボックス形状の支え部がそれぞれ形成される。
【0011】
また、前記ジャンクションボックスおよびエンジンスタートモータに連結するワイヤがハウジング部材内に内蔵されるように、前記カバーリングメンバには、支え部に定載する拡張部が両側それぞれに形成される。
【0012】
なお、前記ハウジング部材が水平に配置して装着の便宜性を向上させるために、前記ハウジングパネルおよびダッシュパネルには、サポートパネルが定載するブラケットが装着される。
【発明の効果】
【0013】
上述したような構成の本発明は、内部が開通した「U」字形状のハウジング部材を有することにより、ワイヤハーネスおよび車両に装着されるパイプを前記ハウジング部材の内部に積載できることによって部品の組み立て工程を単純化させることができ、車体に形成されるホールの数を減らすことによって車体の剛性およびNVH性能を向上させることができる効果がある。
【0014】
本発明のハウジング部材は、サポートパネルとカバーリングメンバが上下方向に分離可能に構成されることにより、組み立ての便宜性を向上させることができ、積載された部品を容易に交換することができる効果がある。
【0015】
前記サポートパネルは、両側にボックス形状の支え部を有することにより、ジャンクションボックスとスタートモータを容易に結合させることができる。また、カバーリングメンバは、拡張部を有することにより、ジャンクションボックスとスタートモータに連結するワイヤを内部に収納することができる。
【0016】
また、本発明のサポートパネルとカバーリングメンバは、弾性変形による第1突起部と第2突起部の嵌め合いによって結合するため、容易に分解および結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のエンジンルーム内部の様子を示した図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によってハウジング部材がエンジンルームに装着された様子を示した図である。
図3】サポートパネルがエンジンルームに結合した状態で、その上にカバーリングメンバが結合する前の様子を示した図である。
図4】サポートパネルにジャンクションボックスとスタートモータが定載した状態で、カバーリングメンバがワイヤハーネスと結合した状態でサポートパネルに結合される様子を示した図である。
図5図2のA−A部分の断面図である。
図6図2のB−B部分の断面図と、サポートパネルおよびカバーリングメンバ部分の拡大断面図である。
図7図2のC−C部分の断面図である。
図8図2のD−D部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態に係るエンジンルームの構造をより詳細に説明する。
【0019】
図2図3を参照すれば、本発明に係るエンジンルームの構造は、前方にFEM1が配置して後方にダッシュパネル3が配置し、前記FEM1とダッシュパネル3の間で両側それぞれに(ショックアップソーバが結合する)ハウジングパネル2が配置し、「U」字形状に折り曲げられたパイプ形状のハウジング部材が装着されることを特徴とする。
【0020】
本発明のハウジング部材は、エンジンルームの後方に配置されたダッシュパネル3と平行に配置する横部b、および前記横部bの両側終端それぞれで前方側に折り曲げられてFEM1まで伸び、両側のハウジングパネル2と並んで配置する縦部aで構成される。また、前記横部bと縦部aの間には、所定の角度に折り曲げられた折曲部(c)が追加で形成され、前記折曲部(c)の両側では、ジャンクションボックス30およびスタートモータ40が定載するように、上面が開口したボックス形状の支え部11(11a、11b)がそれぞれ形成される。
【0021】
また、前記ジャンクションボックス30およびエンジンのスタートモータ40に連結するワイヤがハウジング部材内に内蔵されるように、前記カバーリングメンバ20には、支え部(11a、11b)に定載する拡張部21が両側それぞれに形成される。すなわち、本発明に係る前記ハウジング部材は、サポートパネル10とカバーリングメンバ20それぞれが横部(b1、b2)と縦部(a2、a2)、および折曲部(c1、c2)を同じように有する形状で構成され、前記サポートパネル10には支え部(11a、11b)が形成され、カバーリングメンバ20には拡張部21が形成される。
【0022】
本発明において、エンジンルームに内蔵される部品(ワイヤハーネス、ESCチューブなど)を容易に組み立てることができるように、前記サポートパネル10とカバーリングメンバ20は分離可能に結合して構成される。図3に示すように、前記ハウジング部材は、サポートパネル10が車体内に固定された状態で、カバーリングメンバ20がその上に脱去可能に結合される方式によって結合される。
【0023】
図4を参照すれば、本発明のハウジング部材は、サポートパネル10が車体に装着された状態で、支え部(11a、11b)それぞれにジャンクションボックス30およびスタートモータ40が装着されれば、(ESCチューブなどと共に)ワイヤハーネス20aと結合したカバーリングメンバ20がサポートパネル10上に定載して結合される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、(図6にさらに明確に記載したように)前記サポートパネル10は、上側に向かって開口した形状を有して内周面から第1突起部12が突出し、前記カバーリングメンバ20は、サポートパネル10に定載可能な大きさを有し、下側に向かって開口した形状を有して外周面から第2突起部22が突出する。また、前記カバーリングメンバ20がサポートパネル10上に定載するとき、前記第2突起部22が第1突起部12を通過して下降するように、サポートパネル10またはカバーリングメンバ20のうちの少なくともいずれか1つ以上は弾性変形する。
【0025】
一方、前記サポートパネル10が車体に結合した様子を図5図8を参照しながら詳察する。図5に示すように、FEM1は上端でボルトによってカバーリングメンバ20およびサポートパネル10と結合する。また、図6に示すように、(ショックアップソーバの)ハウジングパネル2には、ブラケットaが溶接した状態で、前記ブラケットa上にサポートパネル10が定載してボルトで固定される。また、カバーリングメンバ20の拡張部の断面図が示された図7に示すように、拡張部の終端はフェンダエプロン2aまで延び、ボルトによって締結される。さらに、図8に示すように、ダッシュパネル3の前方側(図面上で右側)にはブラケットbが溶接された後、ハウジング部材の横部aを構成するサポートパネル10が定載されてボルトによって締結される。上述したように、本発明では、ハウジング部材の大きさおよび位置によって前記ハウジング部材が水平に配置され、装着の便宜性を向上させるために、サポートパネルが定載されるブラケット(ブラケットa、ブラケットb)が追加で装着されてもよい。
【0026】
本発明に係るハウジング部材は、サポートパネル10が下部構造物としてFEM1、ハウジングパネル2、およびダッシュパネル3と強く連結し、上部構造物であるカバーリングメンバ20が、ワイヤハーネス20aはもちろん、ESCチューブ(図示せず)とエアコンパイプ(図示せず)などと結合して前記サポートパネル10に装着する構造を有することにより、車体の剛性を向上させてNVH性能を改善することができる。
【0027】
また、本発明の構造では、サポートパネル10にジャンクションボックス30およびエンジンスタートモータ40が先に組み立てられた状態で車体に組み立てられ、前記カバーリングメンバ20も一体型に製作されたワイヤハーネス20a、ESCチューブ、エアコンパイプなどと先に組み立てられた状態で車体に固定されているサポートパネル10と結合するため、組み立て工程を単純化させることができる。
【0028】
すなわち、従来の構造では、エンジンルームに装着されるワイヤハーネス、エアコンパイプ、ESCチューブそれぞれを互いに異なる工程によって組み立てていたが、本発明が適用されるエンジンルームの構造では、一体型に製作された部品を上側のカバーリングメンバ20と組み立てられた状態で、1つの工程によって組み立てることができる。また、ジャンクションボックス30とスタートモータ40も、サポートパネル10と先に組み立てられた後、1つの工程によって車両に組み立てることができる。
【0029】
また、本発明のハウジング部材は、カバーリングメンバ20とサポートパネル10が、組み立てを通じて1つの閉断面構造を形成する。これにより、車両の前方側ではFEM1と連結し、車幅方向ではフェンダエプロン2aおよび(ショックアップソーバの)ハウジングパネル2と連結し、後方側ではダッシュパネル3およびカウルパネル3aと連結することにより、1つの環型の補強構造を構成する。
【0030】
すなわち、エンジンルーム周辺のパネルが互いを有機的に連結させることにより、車両の走行時にコーナリングによる車両の捩じれ現象が発生した場合、エンジンルームの左右を支持することによって車両の拗じれを抑制させることができる。さらに、従来の構造では、ワイヤハーネス、ESCチューブなどを装着するためにダッシュパネル、FEMなどに多数のホールを穿孔しなければならず、このようなホールの穿孔はNVH性能に悪影響を及ぼしていたが、本発明の構造ではホールの穿孔数を大きく減らすことができるため、NVH性能を改善することができる。
【0031】
一方、本明細書に開示された本発明の実施形態は、理解を助けるために特定の実施例を提示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。ここに開示された実施形態の他にも、本発明の技術的思想に基づいた他の変形例の実施が可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0032】
10 サポートパネル
11a、11b 支え部
12 第1突起部
20 カバーリングメンバ
21 拡張部
22 第2突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8