(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444597
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】成形された貯蔵タンクの支持構造を有するカップリング
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20181217BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B65D25/02 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-2840(P2014-2840)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-141246(P2014-141246A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年12月6日
(31)【優先権主張番号】61/752512
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/133712
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500385968
【氏名又は名称】ティーアイ オートモーティヴ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TI Automotive Technology Center GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ヨット ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴェー ドブマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】アレックス エーラー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック グムンド
(72)【発明者】
【氏名】ペーター グラウアー
(72)【発明者】
【氏名】ゲリット アー ミヒャエリス
(72)【発明者】
【氏名】マチアス ベー オルブリッヒ
【審査官】
葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0138606(US,A1)
【文献】
特開昭61−024897(JP,A)
【文献】
米国特許第04960153(US,A)
【文献】
特開2005−088882(JP,A)
【文献】
特開昭50−101719(JP,A)
【文献】
特開2012−035914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B65D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された貯蔵タンクに支持され、前記成形された貯蔵タンクの内側に向かって開口し、端壁を有する凹部と、全体的に横方向に突出し、前記端壁から全体的に縦方向に間隔をあけ、前記端壁の一部に重なる少なくとも1つの第一フランジを備える側壁と、を有するアンカーと、
前記アンカーと別体で形成され、前記凹部に収容され前記端壁に載るように構成された端部と、全体的に横方向に突出し前記凹部に収容されるように構成された少なくとも1つの第二フランジと、を有する支持構造とからなる、成形された貯蔵タンクの支持構造を有するカップリングで、
前記第二フランジが前記第一フランジと重なり合って、前記アンカーと前記支持構造の長手方向の分離を抑制することを特徴とするカップリング。
【請求項2】
前記支持構造は、前記第一フランジと前記第二フランジが重ならない第一位置と、前記第一フランジと前記第二フランジが重なり合う第二位置の間で、前記アンカーに対して移動自在であることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項3】
前記支持構造は、前記アンカーに対して回転して前記第一フランジと前記第二フランジを重ね合わせることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項4】
前記アンカーが、外側凹部と、全体的に前記外側凹部と同軸の内側凹部をさらに備え、前記側壁と前記端壁が少なくとも部分的に前記内側凹部を形成していることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第一フランジが前記側壁の周囲に互いに間隔をあけて設けられた3つの別体の第一フランジであり、前記少なくとも1つの第二フランジが前記支持構造の周囲に互いに間隔をあけて設けられた3つの別体の第二フランジであって、少くなくとも1つの前記第一フランジとそれぞれ重なり合うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第一フランジ、前記少なくとも1つの第二フランジ、又はその両方が、互いを重ね合わせるのを容易にする全体的にらせん状に延在した部分を有していることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第一フランジは、全体的に分割された環形状を有し、前記少なくとも1つの第二フランジは、全体的にらせん状に延在した部分を有し、前記少なくとも1つの第一フランジは上面を有し、前記少なくとも1つの第二フランジは底面を有し、前記少なくとも1つの第一フランジと前記少なくとも1つの第二フランジが重なり合うと、前記上面と前記底面が互いに突き合わされることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第一フランジは脚部を介して前記支持構造に依存した隆起部分を有し、回転時に、前記隆起部分は前記脚部のまわりで屈曲して、非隆起位置に向かって移動し、前記アンカーと前記支持構造が完全に相互接続した時に、この屈曲によって前記少なくとも1つの第二フランジは前記少なくとも1つの第一フランジに向かって付勢されることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項9】
前記支持構造の前記端部が上壁と前記上壁から延在する側壁を有し、前記少なくとも1つの第二フランジが前記上壁から前記支持構造の前記側壁を越えるように全体的に横方向に突出し、前記少なくとも1つの第二フランジは上壁より上に縦方向に突出する部分を有し、回転時に前記少なくとも1つの第二フランジの前記突出部分が前記少なくとも1つの第一フランジと重なり合うことを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項10】
前記アンカーが成形された貯蔵タンクと同じ材料片で一体に形成されて、成形された貯蔵タンクの壁の一部となっていることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
【請求項11】
少なくとも部分的に燃料を保持するための内部空間を形成し、前記内部空間に燃料タンク壁の第一部分から全体的に横方向に突出した第一フランジを少なくとも有し、前記内部空間に前記燃料タンク壁の第二部分から全体的に横方向に突出した第三フランジを少なくとも有する燃料タンク壁と、
前記燃料タンク壁の前記第一部分と前記第二部分とを固定し、全体的に横方向に突出した第二フランジを少なくとも備えた第一端部と、全体的に横方向に突出した第四フランジを少なくとも備えた第二端部とを有する支持構造と、からなる燃料タンクであって、
前記第一フランジと前記第二フランジが横方向及び縦方向に重なり合い、前記第三フランジと前記第四フランジが横方向及び縦方向に重なり合って、前記支持構造が前記燃料タンク壁から分離するのを抑制し、
前記第一フランジ、前記第三フランジ、前記第二フランジ、前記第四フランジ、又はこれらの組み合わせが、前記燃料タンク壁に対する回転を容易にする全体的にらせん状に延在した部分を有している
ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項12】
前記燃料タンク壁が、前記第一部分に設けられた第一アンカーと前記第二部分に設けられた第二アンカーとを備え、
前記第一フランジが前記第一アンカーから全体的に横方向に突出し、前記第二フランジが前記第二アンカーから全体的に横方向に突出していることを特徴とする請求項11に記載の燃料タンク。
【請求項13】
前記第一フランジ、前記第三フランジ、前記第二フランジ、前記第四フランジ、又はこれらの組み合わせが、前記らせん状に延在した部分から自由で、構造的に前記らせん状に延在した部分を補完して回転を容易にする分割された環状部分を有していることを特徴とする請求項11に記載の燃料タンク。
【請求項14】
前記第二フランジと前記第四フランジが軸方向に前記第一フランジと前記第三フランジとを通過し、前記支持構造の回転が、前記第三フランジと前記第四フランジを重ね合わせるのと同様に、前記第一フランジと前記第二フランジを重ね合わせるように、前記支持構造と前記第二フランジと前記第四フランジが設けられていることを特徴とする請求項11に記載の燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に成形された貯蔵タンクに関し、より具体的には、成形された貯蔵タンクと支持構造の間のカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のコンテナ又は貯蔵タンクは、液体や可燃材料を保持することができる。例えば、燃料タンクは、例えば自動車の燃料システムのような車両用燃料システムのための燃料を保持する。この燃料は、最終的に内燃エンジンのような原動機に供給される。燃料を保持することに加えて、燃料タンクは一般的にその内部にポンプやバルブ等のコンポーネントを収容している。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも幾つかの実施例において、成形された貯蔵タンクの支持構造を有するカップリングはアンカーと支持構造とを備えている。このアンカーは、成形された貯蔵タンクに支持され、少なくとも1つの第一フランジが全体的に横方向に突出する側壁を有する。この支持構造はアンカーと別体で形成され、全体的に横方向に突出した少なくとも1つの第二フランジを有する。第二フランジが第一フランジと重なり合って、アンカーと支持構造の長手方向の分離を抑制する。少なくとも幾つかの実施例において、支持構造はフランジ同士が重なり合わない位置に設けられ、その後、重なり合う位置に移動する。これは、例えば支持構造とアンカーの間の相対的な回転によって達成される。
【0004】
少なくとも幾つかの実施例において、燃料タンクは、少なくとも部分的に燃料を保持するための内部空間を形成し、前記内部空間に燃料タンク壁の第一部分から全体的に横方向に突出した第一フランジを少なくとも有する燃料タンク壁を備えている。燃料タンク壁は、前記内部空間に前記燃料タンク壁の第二部分から全体的に横方向に突出した第
三フランジを少なくとも有している。支持構造は、前記燃料タンク壁の前記第一部分と前記第二部分とを固定し、全体的に横方向に突出した第
二フランジを少なくとも備えた第一端部と、全体的に横方向に突出した第四フランジを少なくとも備えた第二端部とを有する。組み立て時に、前記第一フランジと前記第
二フランジが横方向及び縦方向に重なり合い、前記第
三フランジと前記第四フランジが横方向及び縦方向に重なり合って、前記支持構造が前記燃料タンク壁から分離するのを抑制する。
【0005】
成形された貯蔵タンクの支持構造を有するカップリングはアンカーと支持構造とを備えている。このアンカーはこのアンカーの側壁から全体的に横方向に突出した1つ以上の第一フランジを有している。この支持構造はそこから全体的に横方向に突出した1つ以上の第二フランジを有している。このアンカーとこの支持構造とを相互接続するために、アンカーと支持構造は長手方向に接合され、1つ以上の第二フランジの端部が1つ以上の第一フランジの端部を越して先行する。また、アンカー、支持構造、又はその両方が回転して、1つ以上の第一フランジと1つ以上の第二フランジが互いに重ね合されて、フランジ間の面対面の突き合わせが、アンカーと支持構造の長手方向の分離を抑制する。
【0006】
燃料タンクは、燃料タンク壁と支持構造を備えている。燃料タンク壁は、少なくとも部分的に燃料を保持するための内部空間を形成し、1つ以上の第一フランジと1つ以上の第
三フランジを有している。1つ以上の第一フランジは燃料タンク壁の第一部分から全体的に横方向に突出している。1つ以上の第
三フランジは燃料タンク壁の第二部分から全体的に横方向に突出している。1つ以上の第一フランジは第一上面を有し、1つ以上の第
三フランジは第二上面を有している。支持構造は燃料タンク壁の第一部分と第二部分とを固定する。支持構造は第一端部と第二端部とを有している。第一端部は、第一端部から又はその近傍から全体的に横方向に突出した1つ以上の第
二フランジを有し、第二端部は、第二端部から又はその近傍から全体的に横方向に突出した1つ以上の第四フランジを有している。1つ以上の第
二フランジは第一底面を有し、1つ以上の第四フランジは第二底面を有している。燃料タンク壁と支持構造を相互接続するために、1つ以上の第一フランジと1つ以上の第
二フランジは互いに隣接して長手方向に接合し、1つ以上の第
三フランジと1つ以上の第四フランジは互いに隣接して長手方向に接合する。燃料タンク壁、支持構造、又はその両方が回転して、1つ以上の第一フランジの第一上面が1つ以上の第
二フランジの第一底面と突き合わされ、1つ以上の第
三フランジの第二上面が1つ以上の第四フランジの第二底面と突き合わされる。それぞれの上面と底面の突き合わせが、アンカーと支持構造の分離を抑制する。
【0007】
燃料タンク壁は、燃料タンク壁と支持構造を備えている。燃料タンク壁は、少なくとも部分的に燃料を保持するための内部空間を形成している。燃料タンク壁は、側壁を備えたアンカーを有している。燃料タンク壁は、側壁から全体的に横方向に突出した1つ以上の第一フランジを有している。そして燃料タンク壁は、側壁に設けられ、1つ以上の第一フランジに隣接した1つ以上の間隙を有している。支持構造は燃料タンク壁を固定するように構成されている。支持構造は、そこから全体的に横方向に突出した1つ以上の第二フランジを有している。1つ以上の第一フランジ、1つ以上の第二フランジ、又はその両方が、隆起部分を有している。そして1つ以上の第一フランジ、1つ以上の第二フランジ、又はその両方が、隆起部分から自由で、隆起部分を有しておらず、分割された環状部分を有している。燃料タンク壁と支持構造を相互接続するために、支持構造はアンカーに挿入されて、1つ以上の第二フランジは1つ以上の間隙を貫通する。燃料タンク壁、支持構造、又はその両方が回転して、1つ以上の第一フランジと1つ以上の第二フランジが互いに重ね合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は燃料タンクの実施例の断面図であって、支持構造とその間のカップリングの実施例を示している。
【
図3】
図3は
図1の燃料タンクと支持構造と共に用いることができる燃料タンク支持構造を有するカップリングの実施例を示す展開図である。
【
図4】
図4は
図3の燃料タンク支持構造を有するカップリングの部分上面図である。
【
図6】
図6は
図3の燃料タンク支持構造を有するカップリングの別の部分の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
より詳細には図面を参照して、支持構造を有するカップリング10は、より大きな自動車燃料システムの一部である低圧自動車燃料タンクのような車両燃料タンク12等の成形された貯蔵タンクに使用することができる。支持構造を有するカップリング10は、燃料タンクの1つ以上の壁を固定するための燃料タンク12と支持構造14との間の効果的な機械的インターロックを提供する。より詳細には以下に記載するが、支持構造を有するカップリング10のアンカーは、燃料タンクを形成する関連した成形工程の間に、燃料タンク12の壁16に形成することができ、ひとたび成形工程が完了すると、支持構造14が続いてアンカーと結合することができる。自動車燃料システム及びタンクと関連して記載されているが、支持構造を有するカップリング10は、例えばボート分野やRV車分野などの他の用途にも用いることができる。ところで、ここで用いられる用語「軸方向」「半径方向」及び「円周方向」は、支持構造を有するカップリング10の各コンポーネントの全体的に円形状や円筒形状に対する方向を示しており、「軸方向」はこのコンポーネントの軸に沿った方向を示し、「半径方向」はコンポーネントの半径に沿った方向を示し、「円周方向」はコンポーネントの円周に沿った方向を示している。これらの用語は、支持構造を有するカップリングのコンポーネントが全体的に円形状や円筒形状でない場合でも、適用される。
【0010】
図1を参照して、燃料タンク12は、1つ以上の壁16と、液体燃料が保持される内部空間20を形成する本体と、を有している。壁16は、上壁部22と、底壁部24と、上壁部と底壁部の間に延在する側壁部26と、を備えている。図示しない他の実施例において、燃料タンク12の形状と幾何学的配置は、
図1に示したものより複雑であって、段状の上壁部と底壁部と、異なる内部区画を備えている。当業者には理解できるように、燃料タンク12は、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)層、エチレンビニルアルコール(EVOH)層、接着層、又は他の異なる層からなるような多層プラスチック材料で構成することができるし、又は単一層材料で構成することもできる。燃料タンク12は吹き込み成形工程又は他の工程を経て製造することができる。
【0011】
また
図1を参照して、壁部を固定し、最終的に燃料タンク壁16の構造的完全性を支持するために、支持構造14は燃料タンク12の1つ以上の壁部の間を延在し、それらと接触している。この実施例において、支持構造14は上壁部22と底壁部24を固定している。また、図示していないが、支持構造14は、バルブ、燃料レベル送信機、又は他のコンポーネントを含む、燃料タンク12の内部空間20内に収容されたコンポーネントを支持することができる。
図1の実施例においては、支持構造14はポスト又は梁の形状をしているが、柱や横材又は内部バッフルを含む他の形状をとることもできる。梁は、梁本体28と第一端部又は上端部30、及び第二端部又は底端部32を有している。
【0012】
支持構造を有するカップリング10は、異なるデザイン、構造、及び、燃料タンク12のデザインと構造と支持構造14のデザインと構造に依存した、コンポーネントを有することができる。図示の実施例において、支持構造を有するカップリング10は支持構造14のパーツと燃料タンク壁16のパーツを備えている。支持構造14の第一端部30と第二端部32は、燃料タンク壁16の第一アンカー34及び第二アンカー36と同様に、支持構造を有するカップリング10の一部である。
【0013】
第一端部30と第二端部32は、単体構造で梁本体28のワンピースの延長部分とすることができ、又は、機械的接続、圧入、熱接着、融着、又は他の取り付け技術を介して梁本体28に取り付けられた個別コンポーネントとすることもできる。第一端部30と第二端部32は、第一アンカー34及び第二アンカー36のデザインと構造に依存した異なるデザインと設計を有することができる。
図6ないし12に示した実施例において、第一端部30と第二端部32は、それぞれ、閉じた上壁40とこの上壁から延在した側壁42を有している。他の実施例において、上壁は閉じている必要はなく、代わりに開いていたり、又は他の構造をとることができる。第一端部30と第二端部32は、全体的に環状の円筒形状を有し、例えばガラス繊維強化HDPEのようなプラスチック材料、又は他のプラスチック材料、又は金属材料で構成することができる。
【0014】
第一アンカー34及び第二アンカー36と相互接続するために、第一端部30と第二端部32はそれぞれ、1つ以上の接続特徴点を有している。図示の実施例において、接続特徴点は
3つのフランジ44
、46
、48で構成されている。図示しない他の実施例において、単一のフランジ又は3つ以下又は3つ以上のフランジを採用することができる。
図6ないし12に示すように、フランジ44,46,48は全体的に側壁42の円周上に設けられた間隙50によって互いに間隔をあけている。フランジ44,46,48は上壁40から横方向に突出しており(この例では半径方向外向きに)、この実施例ではある意味上壁40の半径方向の延長部分になっている。他の実施例において、フランジは上壁から突出する必要はなく、代わりに上壁から軸方向に間隔をあけた側壁から突出する、又は、側壁と上壁の両方から突出することができる。ここで用いたように、「横方向」という用語は、詳細は以下で記載するが、端部30、32とアンカー34、36が回転前の初期に接合する方向と全体的に直交する方向を示している。
図3の例において、横方向は矢印L1で示されており、この場合、横方向は半径方向と合致する。また、フランジ44,46,48は側壁42を越えて横方向に突出し、かつ、上壁40の上に縦方向に(この例では軸方向に)突出している。ここで用いたように、「縦方向」という用語は、詳細は以下で記載するが、端部30、32とアンカー34、36が回転前の初期に接合する方向と全体的に平行な方向を示している。
図3の例において、縦方向は矢印L2で示されており、この場合、縦方向は軸方向と合致する。
【0015】
また
図6ないし12を参照して、各個別のフランジ44,46,48は、それぞれ上面51と底面53を有している(それぞれ
図8と9に示す)。各フランジ44,46,48はそれぞれ上壁40のところの側壁42から延在した接続ウェブ又はステム52と、ステムから延在したリップ54を有することができる。
図12の断面図に最も良く示されるように、ステム52は各フランジの薄い壁部分であり、一方リップ54は、全体的に円形の断面形状を有している。各フランジ44,46,48の真下で、側壁42とステム52とリップ54の間に、アンダーカット又は溝部(furrow)60が形成されている。溝部60は、全体的に円周方向に各フランジ44,46,48の薄い壁部分と共に延在している。
【0016】
また、各フランジ44,46,48はそれぞれ、らせん状に延在した形状の隆起又は長手方向に傾斜した部分62と、隆起していない円周方向に延在した部分64を有している。他の実施例において、傾斜した部分は、例えば段差部分又は湾曲部分のような他の形状をとることができる。らせん状に延在した部分62は、第一アンカー34、第二アンカー36の補完部分と初期的に相互接続するのを容易にし、全体的に分割したらせん形状をトレースする。らせん状に延在した部分62は、初期的に支持構造とアンカーを共に回転させることのできるカム作用を提供する。
図6ないし12において、らせん状に延在した部分62はステム52に力が加えられていない第一の状態又は非屈曲状態を示しており、アンカーと初期的に接合する時のアンカーの補完的特徴部分を全体的に収容する位置にある。支持構造の端部30、32とアンカー34、36の間の相互接続が完了すると、らせん状に延在した部分62は付勢されてステム52のまわりに屈曲し、円周方向に延在した部分64及び上壁40と一直線上の隆起していない位置まで縦方向に移動した第二の状態又は屈曲状態になる。この実施例において、ステム52は付勢によって単にたわむが、屈曲して第二状態になっても壊れたり折れたりしない。また、
図10と11に最も良く示されているように、らせん状に延在した部分62の頂点は、先端部分66を構成している。そして先端部に対して縦方向に傾斜した後端部68は、円周方向に延在した部分64に繋がっている。
【0017】
らせん状に延在した部分62とは対照的に円周方向に延在した部分64は、縦方向に逸脱することなく、側壁42の周囲をトレースする。また、らせん状に延在した部分62とは異なり、円周方向に延在した部分64は側壁42からステム52より厚い延長部分で延在しており、相互接続時に実質的に屈曲しない。図示例では一体化しているが、他の実施例において、らせん状に延在した部分62と円周方向に延在した部分64は、互いに間隔をあけて設けることができる。また、図示していない他の実施例において、支持構造は相互接続構造を両端に有する必要はなく、代わりにフランジのような相互接続構造を一端に有することができ、他端は、単に燃料タンク壁を付勢するか、他のコンポーネントを付勢するか、又は単に燃料タンクの内部でぶら下がった状態を維持するような、別の構造を有することができる。
【0018】
次に
図2ないし5を参照して、第一アンカー34と第二アンカー36は、燃料タンク壁16のワンピースの単一構造部分として形成されている。ここで、第一アンカー34は上壁部22に設けられ、第二アンカー36は底壁部24に設けられている。第一アンカー34と第二アンカー36は、第一端部30と第二端部32のデザインと構造に依存して、異なるデザインと構造をとることができる。
図3ないし5に示す実施例において、第一アンカー34と第二アンカー36のそれぞれは、燃料タンク壁16内に形成された第一凹部70と第二凹部72を備えている。図示しない他の実施例において、アンカーのために一対の凹部は用いる必要が無く、代わりに単に単一の凹部のみを用いることができる。第一凹部70と第二凹部72は、全体的に円形で、互いに対して同心円状であり、第一凹部70は第二凹部72の横方向外側に設けられ、同様に第二凹部72は第一凹部70の横方向内側に設けられている。特に
図5を参照して、燃料タンク12の内部空間20から見て、第一凹部70は縦方向内側に向かう突起部である。そして反対に、燃料タンク12の内部空間20から見て、第二凹部72は縦方向外側に向かう突起部である。ここで、用語「内側」と「外側」は、内部空間20に対して用いられ、「内側」は内部に向かう方向を示し、「外側」は内部から遠ざかる方向を示している。それらの形状によって、第一凹部70と第二凹部72は、第一側壁76と第二側壁78を形成している。
【0019】
第一端部30及び第二端部32と相互接続するために、第一アンカー34と第二アンカー36のそれぞれの第二凹部72は、1つ以上の接続特徴点を有している。図示の実施例において、この接続特徴点は、
3つのフランジ80
、82
、84で構成されている。図示しない他の実施例において、単一のフランジ又は3つ以上又は3つ以下のフランジを設けることができる。相互接続する支持構造に対して、このフランジの数は依存してもしなくても良い。この実施例において、フランジ80,82,84は突起状であり、以下では突起と称す。また
図3ないし5を参照して、突起80,82,84は、間隙86を介して互いに間隔をあけて全体的に第二側壁78の円形外周まわりに設けられている。突起80,82,84は、第二側壁78から横方向に(この例では半径方向内側に)突出している。また、突起80,82,84は、燃料タンク壁16のそして第二凹部72の内面88から縦方向内側に間隔をあけて設けられて、その間に溝90を形成している。各個別に突起80,82,84は、上面92と底面94を有している(上と底は、図面を参照して絶対的なものではない)。各突起80,82,84は分割された環形状で、縦方向と軸方向に逸脱することなく、全体的に第二側壁78の外周を第一外周端96から第二外周端98までトレースする。図示しない他の実施例において、突起は縦方向に傾けることができる。
【0020】
上述のように、第一アンカー34、第二アンカー36、及び突起80,82,84は、燃料タンク12の成形工程の間に形成することができる。1つの例として、突起80,82,84は、「Component Mounting Arrangement」と題するTI Automotive Technology Center GmbHの出願した米国特許出願公開第2011/0140314号明細書に記載された吹き込み成形工程を改良したが、まだ幾分同等な成形工程によって、燃料タンク壁16内に形成することができる。ここで、改良工程において、一つ一つが3つの突起のそれぞれに対応した3本の治具アーム(スライダとも呼ぶ)が前進して、その作業端がまだ部分的に溶融した柔軟な燃料タンク壁材料(この実施例において、壁材料は第二側壁78のものを指す)と係合する。柔軟な壁材料は横方向内向きに移動して、突起80,82,84の分割された環形状を形成する。内向きに移動した壁材料は冷却され硬化して、治具アームの作業端は後退し、最終的に突起80,82,84が形成されて残る。第一凹部70と第二凹部72も燃料タンク12の成形工程の間に形成することができる。1つの例として、第一凹部70と第二凹部72は、吹き込み成形型の補完形状形成面によって形成することができる。
【0021】
燃料タンク12と支持構造14とを相互接続するために、支持構造はアンカーの1つに挿入されて、この2つは相互に回転して、それらの接続特徴点が互いに連結して、支持構造と燃料タンクを共に保持する。初期的に、端部30、32はそれぞれのアンカー34、36に隣接して設けられる。この工程は、燃料タンク12の成形工程後に、他のより関連する工程を含むことなく行うことができる。幾つかの例において、より関連する工程が適切であり、むしろ好ましい場合には、付随した吹き込み成形工程の最中に支持構造アセンブリのまわりに貯蔵タンクを成形する工程を含むことができ、又は貯蔵タンクの切断された半分ずつを分割して支持構造アセンブリのまわりに配置する工程を含むことができる。対照的に、ここで記載している支持構造を有するカップリング10は、単に、すでに成形された燃料タンク12の開口部を用いて、支持構造14を挿入し、1つ以上のアンカー34、36と共に1つ以上の端部30、32を挿入するだけである。
【0022】
説明のために1つの端部と1つのアンカーを取り上げると、第一端部30を第一アンカー34に挿入するために、第一端部30は第一アンカー34に向かって縦方向に前進する。その前進の前又は前進中に、第一端部30は各フランジ44,46,48の先端部分66が円周方向及び斜め方向に対応する第一アンカー34の間隙86と位置合わせされた第一位置にまで回転される。縦方向にさらに前進すると、先端部分66は隣接する突起の外周端96,98の間の間隙86を通過する。ひとたび第一端部30が完全に第一アンカー34に挿入されると、各フランジ44、46,48の上面51、特にらせん状に延在した部分62は、第一アンカー34の内面88と突き合わせられ、接触する。相互接続のこの時点で、らせん状に延在した部分62はその第一の状態であって、非屈曲状態になる。
【0023】
この第一位置から、燃料タンク12と支持構造14のうちの1つ又は両方が円周方向に回転して、切断と縦方向の分離を避けるように燃料タンク12と支持構造14が相互接続して連結する第二位置になる。この第二位置において、各フランジ44,46,48は半径方向に各突起80,82,84と重なり合って、各部分62,64の上面51が内面88と密に突き合わされ又は接触し、そして、各部分62、64の底面53が上面92と密に突き合わされ又は接触する。らせん状に延在した部分62は溝90内に移動し、さらに回転を続けると、らせん状に延在した部分62は第二状態で屈曲状態になって、燃料タンク壁16の内面88に対して当接し付勢する。ひとたびらせん状に延在した部分62が第二状態になると、円周方向に延在した部分64も溝90内に移動し、各突起80,82、84と燃料タンク壁16との間に閉じ込められる。圧入態様で各フランジ44,46,48と各突起80,82,84が共に第二位置に移動すると、支持構造14と燃料タンク12の間に緩みがないように保持される。第二位置において、そしてらせん状に延在した部分62の第二状態で屈曲状態において、らせん状に延在した部分62は燃料タンク壁16の内面88に対して力を及ぼして、支持構造を有するカップリング10における緊張した状態を維持する。ひとたび
図2に示す第二位置に完全に移動すると、各フランジ44,46,48の底面53は各突起80,82,84の上面92と突き合わされ接触するが、この突き合わせと接触はらせん状に延在した部分62と各突起80,82,84の間でも生じ、円周方向に延在した部分64と各突起80,82,84の間でも生じる。この突き合わせと接触が、燃料タンク12と支持構造14間の分離を抑制する。
【0024】
図示しない他の実施例において、支持構造を有するカップリング10は異なるデザインと構造とコンポーネントを有することができる。例えば、支持構造のフランジは隆起部分のない分割された環形状とすることができ、その一方でアンカーの突起がらせん状に延在した部分の形状の隆起部分を有することができる。また別の例において、支持構造とアンカーの両方のフランジがらせん状に延在した部分を有することができる。また別の例において、支持構造のフランジは横方向かつ半径方向内向きに突出し、その一方でアンカーの突起は横方向かつ半径方向外向きに突出することができる。この例において、支持構造の端部は雌構造(図示の実施例における雄構造の反対)であり、アンカーが縦方向内側に形成された凹部から突出する。
【0025】
ここに開示した発明の形態は現在の好ましい実施例を構成するが、他の多くの形態が可能である。ここに発明のすべての可能性のある等価な形態又は効果を記載することは意図していない。当然のことながら、ここで用いた用語は限定するためよりむしろ単に記述的なものであって、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形が可能である。