(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1組ないし複数組の前記導子に電気刺激の出力を供給する出力回路と、マニュアル操作で前記出力を調節する1個の出力調節器と、が設けられ、前記出力調節器は、前記導子装着検出手段により出力開始前に人体に装着されていることが検出されている導子に対して、その出力を同時に調節可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
前記チャンネル選択解除手段は、前記出力の開始または調節後、スイッチ操作を行うか一定時間経過すると、チャンネル選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の電気刺激装置。
前記出力の開始または調節後、新たなチャンネルの導子の装着が検出されると、当該導子が接続されているチャンネルをチャンネル選択状態に移行すると共に、前記チャンネル選択解除手段は、前記出力の開始または調節が行われた各組の導子が接続されているチャンネルのチャンネル選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする請求項6または7に記載の電気刺激装置。
前記出力中のチャンネルの導子の装着が外れた後、再度、当該導子が装着され導子装着が検出されても、導子装着検出またはチャンネル選択状態に移行しないようにした機能を有する、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電気刺激装置。
前記出力の同時調節が開始されてから一定時間を経過することを検知することにより、前記複数組の導子の組み合わせを確定する、ことを特徴とする請求項10に記載の電気刺激装置。
導子コードと、前記導子コードの一端側に設けられた導子コネクタと前記導子コードの他端側に設けられた導子と前記導子の種類に対応した信号を発生する手段とを備えた電気刺激装置用導子セットを、さらに具備する、ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の電気刺激装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、上記特許文献1または特許文献2のような従来の電気刺激装置においては、意図せず電極同士が接触する等して通電してしまい電極の人体への実装未実装を判別する手段が誤作動する場合があり、その場合には、実際には人体に装着していない電極から刺激電流が出力され、誤って患者や使用者が手を触れて意図しない刺激電流が通電されてしまう、或いは、人体に装着されている電極から意図しないモードや治療条件の刺激電流が患者に通電されるといった不具合があり、信頼性・安全性の確保が難しいという課題があった。更に、特許文献3や特許文献4のような電気刺激装置も含め、以下に示すように「操作性」「安全性」「省スペース/コスト削減」においても課題があった。
【0008】
(操作性)
どのチャンネルを同時に出力調整可能にするのかを自動認識することができないので、マニュアル操作により認識させる必要があり、面倒で手間がかかる。その際の機器の操作方法に習熟していないと判りづらい。導子が正しく人体に装着されていないと、適切な治療が行えない。また、出力調節器が複数設けられているので、連動モードの際にどれが目標設定出力調節器かが判りづらい。また、治療を開始した後に連動モードから独立モードに切り替わると、出力調節方法が治療途中で変わるので、使い方自体が判りづらい。また、人体に装着されていることを認識している導子に対して、適切な治療条件を設定し、通電を行い、人体に装着されていない導子には通電しない技術があるが、出力調節器が複数設けられているので人体に装着されている導子全ての出力調節を個々に行う必要があり、調節に手間がかかる、あるいは、出力連動機能が搭載されていても、どの出力調節器を操作するのか判りづらい。
【0009】
(安全性)
連動モードが解除され、独立モードに切り替わると、出力調節を行うために出力調節器に手を近付けた際に、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触してしまうと、意図しない出力変動が患者に作用し極めて危険である。また、この対策として最大出力抑制機能を搭載しても、目標出力以上の出力が患者に作用する可能性は残り危険である。また、一定時間の経過後に目標出力以上に調節できないようにするロック機構を設けると、治療途中でどうしても出力調節したい場合に、ロック機構を解除する操作を行うか、最初からやり直しをするなどの対応が必要となり煩わしい。
【0010】
(省スペース/コスト削減)
出力連動を実現するためには、複数設けられた出力調節器それぞれに出力調節器を駆動する駆動部を設ける必要があり、装置が複雑且つ高額となる他、故障頻度増大のリスクが伴う。仮に駆動部が故障すると、出力連動機能が使用不能となり、複数の出力調節器を個々に調節する必要が生じ、連動モードで習慣化したユーザの場合、適切な治療感が得られるように出力調節を行うことが困難である。また、出力調節器がチャンネル毎に設けられているので、装置が大型化し、手狭な施設ではスペースの確保が困難である。また、同一のインタフェースで低周波・中周波・干渉波治療を行える機器は存在せず、使用者は低周波・中周波・干渉波治療の治療器を個々に購入する必要があり、機器設置スペースや導入コストが増大する他、個々の機器の使用方法に熟練する必要もあり、機器導入の妨げとなっている。さらに、従来の多チャンネルを有する電気刺激装置では、出力調節器がチャンネル毎に必要なので遠隔操作手段を小型化することができず、チャンネル毎に無線リモコンを設ける必要があり、取り扱いが煩雑で、携帯することが困難等の不都合があり、実用化には至っていない。
【0011】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、主として、安全性において優れた電気刺激装置及び電気刺激装置用導子セットを提供することを目的とする。本発明はまた、安全性に加えて、操作性、及び省スペース/コスト削減において、優れた電気刺激装置及び電気刺激装置用導子セットを提供することを他の目的とする
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、導子の人体への装着を検出する導子装着検出手段と、電気刺激装置に接続された導子の種類を導子側からの導子種類信号により識別する導子種類識別手段と、導子へ
の電気刺激出力の供給を開始する前に、導子種類識別手段による識別
結果に基づいて、導子装着検出手段の検出結果に応答するか否かを判断する応答可否判断手段と、
を備え、導子の種類は、人体への装着を誤検出する可能性のある導子と誤検出する可能性のない導子である、ことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、導子へ電気刺激出力の供給を開始する前に、導子種類識別手段において導子種類信号に基づいて導子の種類を識別するので、例えば、人体への装着を誤検出する可能性のある導子と誤検出する可能性のない導子とを識別することができる。このような識別結果に基づいて応答可否判断手段が、導子装着検出手段の検出結果に応答するか否かを判断する際には、誤検出の可能性のない導子が装着されている状態では導子装着検出手段の検出結果に応答し、誤検出の可能性のある導子が装着されている状態では導子装着検出手段の検出結果に応答しない、という制御を応答可否判断手段で行うことができる。
【0014】
ここで、導子装着検出手段の検出結果に対する応答とは、以下のものを例示することができる。すなわち、電気刺激装置には、導子に電気刺激の出力を供給する出力回路と出力回路の出力を調節する出力調節器とを有するものがある。このような構成を有する電気刺激装置の出力調節器では、導子装着検出手段の検出結果に基づいて人体への装着を確認した導子に対して選択的に出力回路の出力を調節している。このような出力調節を、導子装着検出手段の検出結果に対する応答の一例としてあげることができる。この場合、誤検出の可能性のある導子が人体に装着されている状態では導子装着検出手段の検出結果に応答しない制御は、導子に対して出力回路の出力を自動調節しない(自動的に供給しない)制御となる。
【0015】
このような制御を実施すると、人体に装着されていないにもかかわらず装着されていると誤検出された導子に対して誤って出力回路が出力を供給することがなくなる。そのため、人体に装着されていないにもかかわらず装着されていると誤検出された導子に対して誤って出力回路が出力を供給してしまい、そのために電気刺激装置の操作者(施術者)等に導子を介して誤って電気刺激信号が付与される、といった不具合がなくなり、結果として、安全性が大きく向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、1組ないし複数組の導子に電気刺激の出力を供給する出力回路と、マニュアル操作で出力を調節する1個の出力調節器と、が設けられ、出力調節器は、導子装着検出手段により出力開始前に人体に装着されていることが検出されている導子に対して、その出力を同時に調節可能であることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、チャンネル選択手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項2によれば、導子装着検出手段により同時に出力調節すべき複数の導子の組み合わせが自動認識され、1個の出力調節器で同時に出力調節を行えるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練を要することなく誰でも簡単に使用できる。しかも、請求項1の作用効果により、電気刺激装置の操作者(施術者)等に導子を介して誤って電気刺激信号が付与される、といった不具合を生じさせることもない。
【0018】
また、導子装着確認後、1個の出力調節器を操作するのみで、通電作業が完了するので、手間がかからず、ヒューマンエラーによる事故発生のストレスが軽減され、操作者、患者共に安心して使用できる。
【0019】
さらに、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、装置が小型化でき、構造も簡素で故障も少なく、製造・管理コストが低減する。
【0020】
さらにまた、出力調節器をチャンネル毎に設ける構成に比べて、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触し、意図しない出力変動が患者に作用する心配がない。
【0021】
これら請求項2,3によれば、複数組の導子の出力を、1個の出力調節器で個々に調節することが可能なので、使用者や患者の要望に応じて、治療中に一部の導子の出力を変更したり、最初から個々に出力調節を行ったりすることが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、治療モード選択手段が設けられていることを特徴とする。請求項4によれば、多種多様な治療条件の電気刺激治療を同一のインタフェースで使用できるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練することなく、誰でも簡単に使用できる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、治療モード選択手段により低周波治療、干渉波治療、中周波治療のモードを選択可能であることを特徴とする。
【0024】
請求項5によれば、多種多様な治療条件の電気刺激治療を同一のインタフェースで使用できるので、使用方法が判りやすく、機器の使用に熟練することなく、誰でも簡単に使用できる。
【0025】
また、請求項5によれば、低周波治療、中周波治療、干渉波治療の治療器を個々に複数台購入するケースに比べて、場所をとらず、導入費用を格段に軽減できる。さらに、一般的に電気治療器を導入している医療施設では、患者を待たせることなく、より多くの患者を治療できるようにすることが課題であるが、特に請求項5に記載の治療器を導入すれば、複数の患者や患部に対して、低周波治療、中周波治療、干渉波治療等の多種多様な治療を同時に行えるので、例えば低周波治療目的の患者が集中するようなことがあっても患者の待ち時間が大幅に削減され、医療施設の評判が改善されて当該医療施設を利用する患者が増えると共に、より多くの患者を効率良く治療することで医療施設の収益が改善される効果も期待できる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、導子装着検出解除及び/またはチャンネル選択解除手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項6によれば、導子装着検出解除手段及び/またはチャンネル選択解除手段により、例えば使用者が従来の治療器の使い方に熟練しているのでその使い方で使用したい場合や、一人の患者の複数の患部に治療を行う際に患部によって出力の大きさを微調整したい場合等であっても、使用者や患者の要望に応じて従来と同様に使用できる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、チャンネル選択解除手段が、前記出力の開始または調節後、スイッチ操作を行うか一定時間経過すると、チャンネル選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする。
【0029】
請求項7によれば、前記出力の開始または調節後にそのチャンネルの通電状態を簡易な操作で保持でき、誤って出力調節器に手が触れて出力が変動する心配がなく安心して治療を継続することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、前記出力の開始または調節後、新たなチャンネルの導子の装着が検出されると、当該導子が接続されているチャンネルをチャンネル選択状態に移行すると共に、前記チャンネル選択解除手段は、前記出力の開始または調節が行われた各組の導子が接続されているチャンネルのチャンネル選択を解除する機能を有する、ことを特徴とする。
【0031】
請求項8によれば、例えば、通電を開始した後に異なる患者や対象部位を新たに通電したい場合でも、既に通電を開始している導子の出力を維持したまま新たに導子を装着するだけで当該導子のみ出力調節が可能となり、簡便に安心して使用できる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、出力中のチャンネルの導子の装着が外れた後、再度、導子が装着され導子装着が検出されても、導子装着検出またはチャンネル選択状態に移行しないようにした機能を有する、ことを特徴とする。
【0033】
請求項9によれば、導子の剥がれや接触不良等で生じる誤動作を防止することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、複数組の導子のうち、何組の導子を組み合わせるかを確定する導子組み合わせ確定手段が設けられていることを特徴とする。また、請求項11に記載の発明は、同時出力調節が開始されてから一定時間を経過することを検知することにより、複数の導子の組み合わせを確定することを特徴とする。
【0035】
請求項10及び11によれば、複数の導子の組み合わせを確定することにより、例えば二人同時、あるいは異なる治療部位を同時に通電準備を行う際にも、治療対象患者や対象部位毎に確実に複数の導子の組み合わせを確定することができるので、途中で一旦、装着した導子が脱落したりしても、導子の組み合わせの誤認識の心配がなくなり更に安全性が向上する。
【0036】
請求項12に記載の発明は、導子選択表示手段及び/または導子組み合わせ表示手段が設けられていることを特徴とする。
【0037】
請求項12によれば、導子選択表示手段及び/または導子組み合わせ表示手段により、治療対象患者や対象部位に対する複数の導子の組み合わせが一目で確認できるので、安全確認が容易に行え、更に安心して使用することができる。
【0038】
請求項13に記載の発明は、導子コードと、導子コードの一端側に設けられた導子コネクタと、導子コードの他端側に設けられた導子とからなる電気刺激装置用導子セットであって、導子の種類に対応した信号を発生する手段を備えたことを特徴とする。この発明によれば、導子セットを電気刺激装置にセットするのみで、電気刺激装置の導子種類識別手段は、導子セットからの導子種類に対応した前記信号に基づいて導子の種類を識別できる。前記信号は、電圧、電流、電力、磁気、或いは光等、何でも良く、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、操作性、安全性及び省スペース/コスト削減において優れた電気刺激装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態に係る電気刺激装置及び電気刺激装置用導子セットを、図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係る電気刺激装置の外観図である。
図1において、電気刺激装置1は、各種操作及び各種表示を行うための操作・表示部2と、電気刺激治療に関する出力調節を行うときに操作される1個の出力調節器3と、図示略の導子コードが接続される導子コード接続部4と、を備える。
【0043】
導子コードは、一端側にコネクタを、また、他端側に導子を備えたものである。これら導子コード、導子コネクタ及び導子を含めて導子セットと称する。
【0044】
導子コード接続部4には、導子コネクタが差し込まれ、これにより導子が電気刺激装置1に接続される。導子には、各種タイプがあり、本実施形態では特定のタイプに限定されるものではない。導子コード接続部4は、導子を電気刺激装置1に接続するものであり、その名称に特に限定されるものではない。
【0045】
電気刺激装置1は、操作・表示部2からの操作に応じて電気刺激治療を行うことができると共に、後述する遠隔操作器100との間で電気刺激治療に関する通信を行い、電気刺激治療を行うことができる。
【0046】
操作・表示部2は、操作者のタッチ操作で操作ができる、所謂タッチパネル式が好ましい。操作・表示部2は、タッチパネル式に限定されない。出力調節器3はマニュアル式で使用者により出力調節時に操作される。出力調節器3における調節のための操作形式は、把持して回転させる摘み式でもよいが、これに限定されない。
【0047】
導子コード接続部4には、チャンネル数に応じた導子セット71〜7nが接続される。導子セット71〜7nの接続可能数はチャンネル数以上であれば、任意である。導子コードは、可撓性である。
【0048】
図2を参照して、電気刺激装置1及び導子セット71〜7nの構成を説明する。電気刺激装置1は、操作・表示部2、出力調節器3、導子コード接続部4(41〜4n)、主制御部5、及び出力/検出部6、を備える。
【0049】
操作・表示部2は、チャンネル選択手段8、治療モード選択手段9、導子装着検出解除手段10、チャンネル選択解除手段11、導子組み合わせ確定手段12、導子選択表示手段13、導子組み合わせ表示手段14、治療開始手段15、治療終了手段16、及び、出力調節確定手段17、を備える。
【0050】
これら各手段のうち、チャンネル選択、治療モード選択、導子装着検出解除、チャンネル選択解除、導子セット確定、治療開始、治療終了、及び出力調節確定の各手段8〜12,15〜17は、使用者等が操作・表示部2のパネル画面上に手指でタッチして操作できるように表示され、また、表示手段13,14は、パネル画面上に表示される。
【0051】
主制御部5には、出力調節器3から出力調節信号が、また、操作・表示部2から各種の操作信号が入力される一方、主制御部5は、操作・表示部2に表示信号を出力する。
【0052】
主制御部5は、内蔵するメモリに電気刺激装置に関する各種プログラムが格納され、また、内蔵するCPUは、前記各種プログラムに基づいて、操作・表示部2からの操作信号や出力調節信号に応答して実行すると共に、操作・表示部2に表示信号を出力して、操作・表示部2で所要の表示を行わせる。
【0053】
出力/検出部6は、チャンネル(ch1〜chn)毎に波形作成回路6a1〜6an、出力回路6b1〜6bn、導子装着検出回路6c1〜6cn、及び導子種類信号入力回路6d1〜6dnを備える。
【0054】
71〜7nは、導子セットである。導子セット71〜7nは、それぞれ、導子コネクタ71a〜7na、導子コード71b〜7nb、及び導子71c〜7ncから構成される。
【0055】
導子コネクタ71a〜7naは、それぞれ、対応する導子コード接続部41〜4nに差込接続される。
【0056】
導子コネクタ71a〜7naは、複数のコネクタ端子を有しており、一部のコネクタ端子群は導子71c〜7ncに接続され、他のコネクタ端子群は、抵抗81〜8nに接続される。抵抗81〜8nは、その導子セット71〜7n固有の抵抗値を有する抵抗から構成されており、出力/検出部6の導子種類信号入力回路6d1〜6dnから上述した他のコネクタ端子群を介して抵抗81〜8nに電流が供給されると、抵抗81〜8nの両端間には、主制御部5が導子の種類を識別するための電圧が発生する。導子種類識別の信号発生としては、抵抗81〜8nに代えて、ICチップ、等でもよい。抵抗81〜8nの両端間の電圧は、導子種類信号入力回路6d1〜6dnに導子種類信号として入力される。
【0057】
導子セット71〜7nの種類識別のための信号としては、抵抗81〜8n両端間の電圧以外に、電流、磁気、光等、他の信号であってもよい。また、導子コネクタ71a〜7naが各導子セット71〜7nの種別固有のコネクタ形状を備えている場合、どの導子コネクタ71a〜7naに接続されるかにより導子セット71〜7nの種類を識別することもできる。この構成では、導子コネクタ71a〜7naに接続された導子セット71〜7nから送信されているどのような電気信号であっても、導子セット71〜7nの種類識別のための信号として利用することができる。
【0058】
また操作者は、導子セット71〜7nの種類をマニュアル操作で決定することもできる。例えば、導子種類選択スイッチを内蔵させてもよい。要するに、導子種類を主制御部5が識別できるものであれば、例示したものに限定されない。
【0059】
導子セット71〜7nは、2つ1組で人体16に装着される。
図3では、導子セット71〜7nのうち、導子セット71の導子コネクタ71a、導子コード71b及び導子71cが図示されている。
【0060】
出力/検出部6において、各チャンネルの波形作成回路6a1〜6anは、主制御部5により制御されて人体16に付与する電気刺激電流の波形を治療モードに応じて作成し、各チャンネルの出力回路6b1〜6bnにその電気刺激波形出力を出力する。
【0061】
各チャンネルの出力回路6b1〜6bnは、波形作成回路6a1〜6anからの電気刺激波形に対応した電流を電気刺激電流として出力すると共に、その電気刺激電流の出力の強さ等を主制御部5によって制御される。
【0062】
各チャンネルの出力回路6b1〜6bnからの電気刺激電流が、導子セット71〜7nを介して人体16に付与されることで電気刺激治療が行われる。
【0063】
導子装着検出回路6c1〜6cnは、一対の導子を介して、人体16に電気刺激電流が流れたことを検出し、この検出出力を主制御部5に出力する。一対の導子セットは、人体16に装着されると、一対の導子間の抵抗は下がり、これにより、導子装着検出回路6c1〜6cnは、前記抵抗が下がったことに対応する電流等から人体16に導子が装着されたことを検出する。主制御部5では、この検出出力の入力により導子が人体16に装着されたことを認識して、この認識に対応した所要の制御を行う。
【0064】
また、主制御部5には、導子種類信号入力回路6d1〜6dnから導子種類信号が入力される。この導子種類信号は、前記したように、例えば、導子コネクタ内部の抵抗81〜8nの両端間電圧である。この電圧は、主制御部5が導子の種類を識別するための固有の電圧となる。この場合、抵抗81〜8nの両端間電圧はアナログ電圧であるので、導子種類信号入力回路6d1〜6dnでは、このアナログ電圧をデジタル電圧に変換して主制御部5に出力するようになっている。主制御部5は、導子種類信号入力回路6d1〜6dnからの信号から、人体16に装着された導子セット71〜7nの種類を識別し、その識別に対応した所要の制御を行う。
【0065】
主制御部5は、導子種類信号入力回路6d1〜6dnからの電圧信号から導子セット71〜7nの種類を識別すると、その識別した導子セット71〜7nに対して、出力回路6b1〜6bnからの出力開始前に、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答するか否かを判断する。主制御部5は、メモリ及びCPUを含み、そのメモリには、前記応答可否判断のためのプログラムが格納され、CPUは、メモリに格納されたプログラムに従い、前記応答可否判断を行う。以下、詳細に説明する。
【0066】
主制御部5は、導子種類信号入力回路6d1〜6dnからの電圧信号(導子種類信号)に基づいて導子セット71〜7nの種類を、人体16に装着されたことを誤検出する可能性のある導子セット71〜7nと誤検出する可能性のない導子セット71〜7nとに識別する。ここで、人体16に装着されたことを誤検出する可能性のある導子セット71〜7nとは、例えば、次のような導子セット71〜7nである。
【0067】
すなわち、導子セットには、
・複数の電極を備えると共に、導子電極上に湿らせたスポンジが装着されておりかつ折り畳み可能である第1の導子セット、
・人体に導子を装着するための吸引装着機能と複数の電極を備えると共に、導子電極上に湿らせたスポンジが装着されておりかつ不使用時に導子トレイに仮保管される第2の導子セット、
・2組のゲル2極導子を1枚の絶縁フィルムを挟んで対向貼付させた状態で保管される第3の導子セット、
・電極上に湿らせたスポンジが装着されておりかつ該スポンジを対向させるようにして固定ベルトで固定して保管される第4の導子セット、
という各種の導子セットがある。
【0068】
第1の導子セットは、折り畳んだ状態にしておくと、湿らせたスポンジを介して、導子電極の間で電流が流れるので、これによって人体装着と誤検出される可能性がある。第2の導子セットは、導子トレイに仮保管すると吸引装着機能の作動に伴って導子が導子トレイに吸着してスポンジが圧縮されることにより、電極周辺の水分量が通電可能なレベルにまで増大して、導子電極の間で電流が流れるので、これによって人体装着と誤検出される可能性がある。第3の導子セットは、わずかでもゲル2極導子が絶縁フィルムからはみ出て互いに接すると、ゲル2極導子の間で電流が流れるので、これによって人体装着と誤検出される可能性がある。第4の導子セットは、スポンジを対向させるようにして固定ベルトで固定して保管するので、湿らせたスポンジを介して、導子電極の間で電流が流れ、これによって人体装着と誤検出される可能性がある。
【0069】
応答可否判断に戻って説明を続ける。上述した識別結果に基づいて、主制御部5は、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答するか否かを判断する。その際、主制御部5は、上述した誤検出が生じる可能性のない導子セット71〜7nが装着されている状態では導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答し、上述した誤検出が生じる可能性のある導子セット71〜7nが装着されている状態では導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答しない制御を実施する。
【0070】
ここで、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に対する応答とは、以下のような主制御部5の制御が例示される。すなわち、主制御部5は、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に基づいて人体16への装着を確認した導子セット71〜7nに対して出力調節器3が出力回路6b1〜6bnの出力を調節するように、出力調節器3の出力を制御しているが、このような主制御部5の制御が上述した応答の一例となる。
【0071】
したがって、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出出力に基づいて、誤検出の可能性のある導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断すると主制御部5は、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節しない(自動的に供給しない)制御を、出力調節器3の出力に行う。一方、誤検出の可能性のない導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断すると主制御部5は、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節する(自動的に供給する)制御を、出力調節器3の出力に行う。
【0072】
なお、誤検出の可能性のある導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断された場合であっても、実際には導子セット71〜7nが人体16に正確に装着されており誤検出が生じていない状況も考えられる。そのような状況が生じた場合、上述した制御だけでは通常の施術治療を行うことができなくなる可能性もある。そのような不都合を防止するために、主制御部5は、誤検出の可能性のある導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断すると、例えば次の制御をさらに実施するのが好ましい。すなわち、主制御部5は、操作・表示部2に、導子セット71〜7nの人体装着の確認を促す表示を行ったうえで、導子セット71〜7nの人体装着を確認した操作者(施術者)が人体装着を確認した結果を操作・表示部2に入力するか否かを待つ。そして人体装着を確認した入力が操作者によって操作・表示部2になされたことを確認すると、主制御部5は、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節する(自動的に供給する)制御を、出力調節器3に行う。
【0073】
図2以降を参照して、出力調節器3及び操作・表示部2の回路構成及びその動作を説明する。
【0074】
出力調節器3は、各チャンネルの出力回路6b1〜6bnの出力調節を使用者あるいは患者がマニュアル操作で行うためのものであり、電気刺激装置1において、1個だけ設けられる。
【0075】
主制御部5は、出力調節器3からの調節信号を入力すると共に、導子種類信号入力回路6d1〜6dnから入力する導子種類信号に基いて、導子コード接続部41〜4nに接続された導子セット71〜7nの種類を識別すると共に、その種類の識別に対応して、出力回路6d1〜6dnからの出力開始前に、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答するか否かを判断する。
【0076】
誤検出の可能性のある導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断すると主制御部5は、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答しない制御、すなわち、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節しない(自動的に供給しない)制御を、出力調節器3の出力に行う。一方、誤検出の可能性のない導子セット71〜7nが人体に装着されていると判断すると主制御部5は、導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答する制御、すなわち、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節する(自動的に供給する)制御を、出力調節器3の出力に行う。
【0077】
導子装着検出回路6c1〜6cnの検出結果に応答する制御を行う場合、主制御部5は、出力調節器3から入力した出力調節信号に基づいて出力回路6b1〜6bnの出力調節を同時に行い、同時に出力調節した電気刺激電流出力を各組の導子セット71〜7nに出力する。これにより、出力調節器3により、出力回路6b1〜6bnからの出力の開始前に各組の導子セット71〜7nの出力を同時調節することが可能となる。
【0078】
この場合、本実施形態の電気刺激装置1によれば、1個の出力調節器3により、各組の導子セット71〜7nの出力を同時に調節することが可能であるので、装置の使用方法が判り易く、したがって装置の使用に熟練を要しない。
【0079】
また、主制御部5により導子装着が認識されてから、出力回路6b1〜6bnから電気刺激電流が人体に付与されるようにしたので、ヒューマンエラーによる事故発生が軽減され、操作者、患者共に安心して使用できる。
【0080】
特に、出力調節器3が1個だけであるので、出力調節器を各チャンネル毎に設けていた従来構成と比較して、電気刺激装置1の小型化が可能となり、その構造も簡素となり、これに伴い故障が少なくなり、その製造や管理コストを低減することができる。
【0081】
加えて、出力調節器を各チャンネル毎に設けていた従来構成では、他のチャンネルの出力調節器に誤って手が接触し、意図しない出力変動が患者に作用する心配があったが、本実施形態では出力調節器3が1個であり、かかる心配はない。
【0082】
また、導子装着の誤検出の可能性がある導子セット71〜7nと、それ以外の導子セット71〜7nとを識別して、誤検出の可能性のない導子セット71〜7nが装着された状態である場合のみ、電気刺激装置1に接続された導子セット71〜7nに対して出力回路6b1〜6bnの出力を自動調節する(自動的に供給する)制御を行うことにより、誤って操作者等に治療用電気刺激用電極を付与するといった誤操作が発生することを防止できる。
【0083】
主制御部5では、各チャンネルの出力回路6b1〜6bnから導子セット71〜7nへの電気刺激電流の出力を、1個の出力調節器3でもって、前記した同時調節と共に、個々に調節することも可能としている。
【0084】
そのため、チャンネル選択手段8で調節対象の導子セット71〜7nを選択し、選択した各チャンネル毎に出力調節器3で出力調節をし、出力調節が終了すると、出力調節確定手段17で出力調節を確定する。
【0085】
そして、こうした出力調節が各チャンネル毎に確定し、治療開始手段15を操作すると、主制御部5は、各チャンネル毎に前記個々に出力調節した電気刺激電流を各チャンネルの出力回路6b1〜6bnから出力させる。
【0086】
治療モード選択手段9は、低周波治療モード、中周波治療モード、及び干渉波治療モードの3つの治療モードを選択するためのものである。なお、実施形態では、治療モードは3種類であるが、これに限定されない。
【0087】
低周波治療モードは、
図4(a)〜(c)のいずれかの波形を有する低周波(1Hz〜数百Hz)の電気刺激電流で電気刺激治療を行うモードであり、この波形には
図4(a)に示すようにパルス状の単相波形、
図4(b)に示すようにパルス状の二相波形、
図4(c)に示すように正弦波形状の二相波形があり、これらいずれかの波形を有する低周波の電気刺激電流により電気刺激治療を行うモードである。
【0088】
中周波治療モードは、
図5(a)(b)に示すように、中周波(1kHz〜10kHz程度)の電気刺激電流で電気刺激治療を行うモードであり、この波形には
図5(a)に示すように連続波形、
図5(b)に示すように断続波形があり、これらいずれかの波形を有する中周波の電気刺激電流により電気刺激治療を行うモードである。
【0089】
干渉波治療モードは、
図6(a)〜(c)に示すように、比較的高い中周波を使用し、周波数が2種類以上異なる、例えば
図6(a)の任意チャンネルと
図6(b)の別の任意チャンネルそれぞれの波形を有する電気刺激電流で電気刺激治療を行うモードであり、これら
図6(a)と
図6(b)それぞれの中周波の周波数差に相当した干渉電流(うなり)を発生させ、この中周波うなり干渉電流により電気刺激治療を行うモードである。
【0090】
治療モード選択手段9により治療モードが選択された信号が主制御部5に入力されると、主制御部5は、この治療モード選択信号に対応して、出力/検出部6内の各波形作成回路6a1〜6anから前記選択した波形に対応する波形を作成させ、作成させた波形に対応した電気刺激出力が出力回路6b1〜6bnから各導子セット71〜7nに付与されるよう制御する。
【0091】
導子装着検出解除手段10は、操作されると、各チャンネルの導子セット71〜7nの検出が解除され、また、チャンネル選択解除手段11は、操作されると、各チャンネルの選択が解除される。
【0092】
これら導子装着検出解除手段10及びチャンネル選択解除手段11は、使用者や患者の要望に応じ、操作されることで、最初から各チャンネルの導子セット71〜7nを個々に出力調節することができる。
【0093】
この場合、導子装着検出解除手段10及びチャンネル選択解除手段11は両方備えてもよいが、いずれか一方のみ備えてもよい。
【0094】
また、チャンネル選択解除手段11は、マニュアルのスイッチ操作に限定されることなく、出力の開始または調節後一定時間経過するとチャンネル選択を解除するように構成してもよい。さらに解除するまでの時間も不図示のスイッチ操作等により所望の時間に変更できるように構成してもよい。
【0095】
導子組み合わせ確定手段12は、使用者や患者により各チャンネルの導子セット71〜7nの組み合わせが確定すると、それを確定させるために操作されるものである。
【0096】
すなわち、導子組み合わせ確定手段12により、複数組の導子セット71〜7nのうち、何組の導子セット71〜7nを組み合わせるかを確定することができる。実施形態の電気刺激装置1が導子組み合わせ確定手段12を備えることにより、例えば、患者が二人同時、あるいは患者一人でも異なる治療部位を同時に通電準備を行う際にも、治療対象の患者や対象部位毎に確実に各組の導子セット71〜7nの組み合わせを確定することができ、途中で一旦、装着した導子セット71〜7nが脱落したりしても、導子セット71〜7nの組み合わせを誤認識する心配がなくなり、安全性が向上する。
【0097】
また、主制御部5は、出力調節器3で、前記したように同時出力調節が開始されてから一定時間を経過すると、これを検知して、複数の導子セット71〜7nの組み合わせを確定するようにしてもよい。こうすれば、より確実に、途中で一旦、装着した導子セット71〜7nが脱落したりしても、導子セット71〜7nの組み合わせを誤認識する心配がなくなり、更に安全性が向上する。
【0098】
導子選択表示手段13は、主制御部5からの表示信号に応答してどの導子セット71〜7nが選択されたかを表示する。主制御部5は、導子セット71〜7nが選択されると、導子選択表示手段13にその選択に対応した表示信号を出力して、導子選択表示手段13にどの導子セット71〜7nが選択されたかを表示させる。
【0099】
導子組み合わせ表示手段14は、主制御部5からの表示信号に応答してどの導子セット71〜7nが選択されたかを表示する。主制御部5は、導子セット71〜7nが選択されると、導子組み合わせ表示手段14にその選択に対応した表示信号を出力して、導子組み合わせ表示手段14にどの導子セット71〜7nが選択されたかを表示させる。
【0100】
この表示により、治療対象患者や対象部位に対する複数の導子セット71〜7nの組み合わせが一目で確認できるので、安全確認が容易に行え、更に安心して使用することができる。
【0101】
治療開始手段15は、前記したように電気刺激治療を開始するときに操作されるものであり、主制御部5は、治療開始手段15からの治療開始信号に応答して電気刺激治療開始の制御を行う。
【0102】
治療終了手段16は、電気刺激治療を終了するときに操作されるものであり、主制御部5は、治療終了手段16からの治療終了信号に応答して電気刺激治療終了の制御を行う。
【0103】
出力調節確定手段17は、前記したように、出力調節器3による出力調節が確定したときに操作されるものであり、主制御部5はこの出力調節確定手段17からの信号の入力に応答して、各チャンネルの出力回路6b1〜6bnからの電気刺激電流出力を出力調節器3で調節された出力に確定する。
【0104】
次に、
図7を参照して電気刺激装置を遠隔操作する場合を説明する。
図7に示す電気刺激装置1は、遠隔操作器100により電気刺激装置1を装置本体として遠隔制御できるようにしている。
【0105】
装置本体は、
図2で説明した構成に加えて、遠隔操作器100との通信のための構成を備える。遠隔操作器100は、以下で説明する構成を備えたことにより、無線通信で電気刺激装置1を遠隔操作することが可能である。
【0106】
この電気刺激装置1には、遠隔操作器100を含めてもよいし、遠隔操作器100とは別のものとしてもよい。なお、電気刺激装置1と遠隔操作器100とを有線で接続してもよく、有線で電気刺激装置を遠隔操作することができる。
【0107】
この実施形態では、遠隔操作手段としての遠隔操作器100により電気刺激装置1を無線で遠隔操作することができるようにしている。
【0108】
この遠隔操作器100は、1個の出力調節器20を備える。この出力調節器20は、電気刺激装置1の出力調節器3と同様の機能を備える。遠隔操作器100には、1個の出力調節器20が設けられるので、該遠隔操作器100の小型化ができる。
【0109】
遠隔操作器100は、さらに、治療開始手段21、治療終了手段22、治療終了報知手段23、異常報知手段24、チャンネル選択手段25、チャンネル選択表示手段26、出力モード選択操作手段27、出力モード表示手段28、自動パワーOFF手段29、通信手段30、設定内容記憶手段31、前回設定内容表示手段32、電源33、制御手段34及び通信アンテナ35を備える。
【0110】
これら各手段のうち、治療開始、治療終了、チャンネル選択、出力モード選択の各手段21,22,25,27は、使用者等が操作・表示部2のパネル画面上に手指でタッチして操作できるように表示され、また、治療終了報知や異常報知の手段23,24は、パネル画面上に表示する手段であってもよいし、音声で報知する手段であってもよい。
【0111】
チャンネル選択表示、出力モード表示、前回設定内容表示の各手段26,28,32は、パネル画面上に表示してよい。自動パワーOFF手段29、通信手段30、設定内容記憶手段31、電源33、制御手段34は、遠隔操作器100の内部に内蔵する。通信アンテナ35は、遠隔操作器100の外側に外付けのアンテナであってもよいし、内蔵アンテナであってもよい。
【0112】
制御手段34は、マイクロコンピュータにより構成され、前記各手段を制御すると共に、電源33も制御する。電源33は、遠隔操作器100全体の各部に電源を供給するもので、例えばバッテリにより構成される。
【0113】
一方、電気刺激装置1は、
図2の構成に加えて、遠隔操作器100との間での通信のために通信アンテナ36及び通信手段37を備える。
図7に示す主制御部5は、通信手段37で処理された通信信号に応答することで、遠隔操作器100による電気刺激装置1の遠隔操作を可能としている。
【0114】
遠隔操作器100において、出力調節器20で出力調節の操作が行われると、制御手段34は、その操作信号を通信手段30を制御して通信アンテナ35から電気刺激装置1の通信アンテナ36に無線送信する。
【0115】
電気刺激装置1はこの送信信号を通信アンテナ36で受信すると、受信信号が通信手段37で処理されたうえで主制御部5に入力される。主制御部5においては、遠隔操作器100から受信した出力調節信号に応答する結果、電気刺激装置1においてその出力調節に対応した電気刺激治療が開始される。
【0116】
治療開始手段21が操作されると、制御手段34は、その操作信号を通信手段30を制御して通信アンテナ35から電気刺激装置1の通信アンテナ36に無線送信する。電気刺激装置1はこの送信信号を通信アンテナ36で受信すると、受信信号が通信手段37で処理されたうえで主制御部5に入力される。
【0117】
主制御部5においては、遠隔操作器100から受信した操作信号に応答する結果、電気刺激装置1において電気刺激治療が開始される。治療終了手段12が操作された場合も、前記と同様に、電気刺激装置1において電気刺激治療が終了する。
【0118】
これによれば、遠隔操作器100と電気刺激装置1とを接続するコードがなく、操作者が遠隔操作器100を持ち運びや移動することができ、何処にいても治療の開始/停止、及び出力調節等の操作や治療状況の確認が行えるので、電気刺激装置1周辺のレイアウトに左右されることなく、患者のケアをしながら電気刺激装置1の治療開始/停止、及び出力調節操作を行うことができ、操作者は治療期間中に遠位監視で他の業務を行うことができる。
【0119】
更に、導子接続コードの長さや配線をする経路などを気にすることなく、電気刺激装置1を設置する場所と実際に治療を行う場所を自由にレイアウトできる。したがって電気刺激装置本体(遠隔操作器100側から見た場合の電気刺激装置1)の設置場所を治療を行う場所から患者の手が届かない場所にすることにより、誤って患者がスイッチやボリュームを操作し事故が発生する等の危険な事態を回避することもでき安全である。
【0120】
治療終了報知手段23は電気刺激治療が終了したことを報知する手段であり、異常報知手段24は、電気刺激治療に関して異常が発生したことを報知する手段である。使用者は、治療期間中に遠位監視で他の業務を行っていても、治療終了報知手段23により治療が終了したこと、異常報知手段24により前記異常が発生したことを直ちに認識できる。
【0121】
チャンネル選択手段25は、電気刺激装置1のチャンネルを選択する際に操作されるものであり、この操作信号は前記同様、遠隔操作器100から電気刺激装置1に送信され、電気刺激装置1の主制御部5はこの送信信号に応答してチャンネルを選択する。また、チャンネル選択表示手段26は、どのチャンネルを選択したかを表示するものである。これによれば、複数チャンネルを有する電気刺激装置1台に対し、一台の遠隔操作器100でチャンネル毎の操作を行える。
【0122】
出力モード選択手段27は、電気刺激装置1における治療モードを選択操作することができるものであり、また、出力モード表示手段28は、その出力モードを表示するものである。これらは、電気刺激装置1から離れて出力モードを選択することができると共に、患者から離れていても、常時どのような出力モードでの治療が行われているか把握することができる。
【0123】
自動パワーOFF手段29は、電源33がバッテリ電源であれば、例えば治療が終了してから一定時間が経過したりした場合に、自動的に電源33を遮断(OFF)するものであり、これにより、電源33を長時間維持して遠隔操作器100を操作することができる。
【0124】
通信手段30は、前記通信処理を行うものである。設定内容記憶手段31は、遠隔操作器100の電源33をOFFする際に、治療条件や動作状況の設定内容を記憶するものであり、前回設定内容表示手段32は、電源再投入時に設定内容記憶手段31から前回設定内容を読み出し、その読み出した前回設定内容を表示するものであり、これにより、電源33が自動的にOFFしても、電源33を再投入すれば、どのような治療が行われているかを前回設定内容表示手段32の表示から把握することができる。
【0125】
上述したように本実施形態の電気刺激装置1は、操作性、安全性及び省スペース/コスト削減において優れた電気刺激装置である。なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々適宜に変更可能である。
【0126】
上述の実施形態においては、導子種類識別手段により識別された導子の種類に応じて導子装着検出手段の検出結果に応答するか否かを応答可否判断手段で判断し、導子装着検出手段の検出結果に応答可能と判断されかつ人体への装着が検出された導子に対してその出力を1個の出力調節器で同時に調節可能に制御する構成を例示しているが、出力調節の構成のみに限定されるものではなく、治療周波数や波形、治療モードなどの各種治療条件の設定や、出力制限、導子剥離検出、導子装着状態の監視と表示などの安全機能に係る制御など、治療の準備段階および治療の開始から終了に至るまでの一連の制御を応答可否判断手段の結果に基づいて行われるように構成してもよい。
【0127】
また、例えば、出力調節器は1個としているが、複数組の導子セット71〜7nに対し出力調節器を1個設けたユニットを、1台の治療器に複数ユニット組み込んで構成してもよく、さらにこの場合においては、他のユニットの導子セット71〜7nの装着を検出して別のユニットの出力調節器で調整することも可能なように構成することで、1台の治療器で様々な症例の患者や治療部位に対し多種多様な電気治療を同時に行えるようにしてもよい。
【0128】
なお、前記出力の開始または調節後、不図示の決定スイッチを操作するか、一定時間経過すればチャンネル選択を解除する機能を有してもよい。こうすれば、その後、操作しても出力が変わらず、また出力調節器3を誤操作するおれそがなくなり、安全性がより高まる。
【0129】
また、前記出力の開始または調節後、新たなチャンネルの導子セット71〜7nの装着が検出されると、その前におけるチャンネル選択状態が解除され、前記新たなチャンネルに選択状態が移行する機能を有してもよい。こうすれば、例えば、通電を開始した後に異なる患者や対象部位に対して新たに通電したい場合でも、新たに導子セット71〜7nを装着するだけで当該導子セット71〜7nのみ出力調節が可能となり、既に通電を開始している他の導子セット71〜7nに意図しない出力変動が生じることなく簡便に安心して使用できる。
【0130】
さらに、前記出力中のチャンネルの導子セット71〜7nの装着が外れた場合、再度、導子セット71〜7nの装着が検出されても、チャンネル選択状態とならないようにした機能を有してもよい。こうすれば、導子セット71〜7nの剥がれや接触不良等で生じる誤動作を防止することができる。