【実施例】
【0067】
次に、本発明を、合成例、実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
【0068】
各物性の測定法は以下のとおりとした。
【0069】
(1)(a+b+c)個数
合成実施例1〜6で得られた多価ヒドロキシ化合物(PH−1〜PH−6)および合成比較例1〜5で得られた多価ヒドロキシ化合物(PH−7〜PH−11)の(a+b+c)個数は、JIS-K0070(1992)の水酸基価の測定に基づき、以下のとおり測定した。
【0070】
電位差滴定法により多価ヒドロキシ化合物の水酸基価を求め、分子量を算出し、アルキレンオキシド付加前の分子量との差から、a、b及びcに基づく(a+b+c)個数の確認を行った。
【0071】
(2)(α+β+γ)個数
【0072】
多価ヒドロキシ化合物(PH−1〜PH11)のエポキシ化後のエポキシ樹脂(EP−1〜EP−11)の(α+β+γ)個数は、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)及び質量分析装置(MS)を用いて、α、β及びγに基づく(α+β+γ)個数の確認を行った。
【0073】
UPLCの測定条件は、以下のとおりとした。
・日本ウォーターズ株式会社製「ACQUITY UPLC H−Class」システム
・カラム:Phenomenex社製「Kinetex XB−C18 2.6μm」
・移動相:10mM 酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル(混合割合は、エポキシ樹脂の場合、0分〜10分の間において、10mM 酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=55/45〜50/50(体積比)、10分〜20分の間において、10mM 酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=55/45となるよう変化させた。)
・流量:0.3mL/分
・分検出器:276nm
・測定サンプルの調製:エポキシ樹脂5mgに対し、アセトニトリル1ml加え、0.5質量%−アセトニトリル溶液に調製した。
【0074】
MSの測定条件は、以下のとおりとした。
・日本ウォーターズ株式会社製「Synapt G2」装置
・イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI)
・スキャンレンジ:m/z=50〜2000
・測定サンプルの調製:エポキシ樹脂5mgに対し、アセトニトリル1ml加え、0.5質量%−アセトニトリル溶液に調製した。
【0075】
なお、上記式(3)の(α+β+γ)の平均値等は、
図3に示すように、MSで同定されたUPLCの該当するピーク面積比より求めた。
【0076】
(3)エポキシ当量
JIS K7236に準拠して、エポキシ当量を測定した。
【0077】
(4)全塩素量
JIS K7423−3に準拠して、全塩素量を測定した。
【0078】
(5)粘度
JIS K7117−2(E型粘度計)に準拠して、粘度を測定した。
【0079】
(6)ゲルタイム
JACT試験法 RS−5及びJIS K−6910−1995に準拠して、ゲルタイムを測定した。具体的には、後述の実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂組成物を測定試料とし、ゲル化試験機を用いてゲルタイムを測定した。測定試料を、170℃のホットプレート上で撹拌しながら加熱し、試料と撹拌棒との間で糸を引かなくなるまでの時間をゲルタイムとした。
【0080】
(7)ガラス転移点(Tg)測定
後述の実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂硬化物から、ダイヤモンドカッターを用いて、10mm×30mm×2mmの試験片を作製した。該試験片を固体粘弾性測定装置(DMA;オリエンテック社製「レオバイブロンDDV−25FP」)にセットし、温度範囲40〜300℃(昇温速度:2℃/分)、周波数10Hzの測定条件で測定した。tanδが最大値になったときの温度をガラス転移点(Tg)とした。
【0081】
(8)引張伸度
JIS K7115に準拠して、後述の実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂硬化物の引張伸度を測定した。
【0082】
(9)粘弾性弾性率(DMA弾性率)
JIS K7115に準拠して、後述の実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂硬化物の粘弾性弾性率(DMA弾性率)を測定した。
【0083】
(10)破壊靭性(K
Ic)試験
JIS K6911に準拠して、後述の実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂硬化物の破壊靱性を測定した。
【0084】
[合成実施例1]
EO付加体6.3モル (PH−1)
【0085】
第一の付加工程
ガラス製オートクレーブに4,4’,4”−エチリジントリスフェノール(本州化学工業株式会社製:商品名 TrisP−HAP)390.0g(1.27mol)、2−ブタノール160.0g、及び水酸化カリウム水溶液(48質量%)2.3g(TrisP−HAPに対し1.5mol%)を加え、オートクレーブの窒素置換を行った後、オートクレーブの内温を110℃まで昇温した。
【0086】
オートクレーブの内容物の攪拌を開始し、TrisP−HAPが分散している状態でエチレンオキシド180g(4.09mol)を、110〜115℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、TrisP−HAPに付加反応させた。付加反応が進行すると共に内容物は無色透明粘液状になった。エチレンオキシドの導入時間は4時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は2時間であった。
【0087】
第二の付加工程
オートクレーブの内圧を減圧し、内温を140℃まで昇温し2−ブタノールを留去した。次いで、エチレンオキシド185g(4.20mol)を、140〜145℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、前記第一の付加工程で得られた付加物に、さらに付加反応させた。エチレンオキシドの導入時間は4時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は2時間であった。オートクレーブの内温を120℃まで降温し、オートクレーブの内圧を減圧にし、低沸点物を留去した。
【0088】
精製工程
オートクレーブの内温を80℃まで降温し、オートクレーブの内圧を窒素で常圧に戻してからオートクレーブに水10gを加え内容物を1時間攪拌した。吸着剤としてキョーワード600Sを2.0g(協和化学株式会社製、合成珪酸マグネシウム)、オートクレーブに加え、内容物を80〜90℃で1時間攪拌した後、加圧ろ過処理を行い、ろ液を得た。得られたろ液を、120〜130℃で、内圧を減圧して脱水処理を行い、水分が0.1%以下になったところで冷却し、多価ヒドロキシ化合物(PH−1)717gを得た。
【0089】
[合成実施例2]
EO付加体7.2モル(PH−2)
【0090】
第一の付加工程
ガラス製オートクレーブに4,4’,4”−エチリジントリスフェノール(本州化学工業株式会社製:商品名 TrisP−HAP)390.0g(1.27mol)、トルエン160.0g、及び水酸化カリウム水溶液(48質量%)2.3g(TrisP−HAPに対し1.5mol%)を加え、オートクレーブの窒素置換を行った後、オートクレーブの内温を120℃まで昇温した。
【0091】
オートクレーブの内容物の攪拌を開始し、TrisP−HAPが分散している状態でエチレンオキシド180g(4.09mol)を、120〜125℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、TrisP−HAPに付加反応させた。付加反応が進行すると共に内容物は無色透明粘液状になった。エチレンオキシドの導入時間は4時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は2時間であった。
【0092】
第二の付加工程
オートクレーブの内温を135℃まで昇温させ、エチレンオキシド234g(5.32モル)を、135〜140℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、前記第一の付加工程で得られた付加物に、さらに付加反応させた。エチレンオキシドの導入時間は4時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は2時間であった。オートクレーブの内圧を減圧にし、トルエン及び低沸点物を留去した。
【0093】
精製工程
オートクレーブの内温を80℃まで降温し、オートクレーブの内圧を窒素で常圧に戻してからオートクレーブに水10gを加え内容物を1時間攪拌した。吸着剤としてキョーワード600Sを2.0g(協和化学株式会社製、合成珪酸マグネシウム)、オートクレーブに加え、内容物を80〜90℃で1時間攪拌した後、加圧ろ過処理を行い、ろ液を得た。得られたろ液を、120〜130℃、内圧を減圧して脱水処理を行い、水分が0.1%以下になったところで冷却し、多価ヒドロキシ化合物(PH−2)763gを得た。
【0094】
[合成実施例3]
EO付加体5.2モル(PH−3)
【0095】
第二の付加工程に用いるエチレンオキシドの量を128g(2.91モル)に変更した以外は合成実施例1と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−3)663gを得た。
【0096】
[合成実施例4]
PO付加体6.1モル(PH−4)
【0097】
第一の付加工程
ガラス製オートクレーブに4,4’,4”−エチリジントリスフェノール(本州化学工業株式会社製:商品名 TrisP−HAP)390g(1.27mol)、メチルイソブチルケトン160g、及び水酸化カリウム水溶液(48質量%)2.3g(TrisP−HAPに対し2mol%)を加え、オートクレーブの窒素置換を行った後、オートクレーブの内温を110℃まで昇温した。
【0098】
オートクレーブの内容物の攪拌を開始し、TrisP−HAPが分散している状態でプロピレンオキシド244g(4.21mol)を、110〜120℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、TrisP−HAPに付加反応させた。付加反応が進行すると共に内容物は無色透明粘液状になった。プロピレンオキシドの導入時間は6時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は3時間であった。オートクレーブの内圧を減圧にし、メチルイソブチルケトンを留去した。
【0099】
第二の付加工程
オートクレーブの内温を130℃まで昇温させ、プロピレンオキシド238g(4.10mol)を、130〜135℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でオートクレーブに導入し、前記第一の付加工程で得られた付加物に、さらに付加反応させた。プロピレンオキシドの導入時間は4時間、オートクレーブの内圧が一定となる熟成時間は2時間であった。オートクレーブの内温を120℃まで降温し、オートクレーブの内圧減圧にし、低沸点物を留去した。
【0100】
精製工程
オートクレーブの内温を80℃まで降温し、オートクレーブの内圧を窒素で常圧に戻してからオートクレーブに水10gを加え内容物を1時間攪拌した。吸着剤としてキョーワード600Sを2g(協和化学株式会社製)、オートクレーブに加え、内容物を80〜90℃で1時間攪拌した後、加圧ろ過処理を行いろ液を得た。得られたろ液を、120〜130℃、内圧を減圧して脱水処理を行い、水分が0.1%以下になったところで冷却し、多価ヒドロキシ化合物(PH−4)810gを得た。
【0101】
[合成実施例5]
PO付加体7.1モル(PH−5)
【0102】
第二の付加工程に用いるプロピレンオキシドの量を302g(5.21モル)に変更した以外は合成実施例4と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−5)870gを得た。
【0103】
[合成実施例6]
PO付加体5.1モル(PH−6)
【0104】
第二の付加工程に用いるプロピレンオキシドの量を151g(2.60モル)に変更した以外は合成実施例4と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−6)730gを得た。
【0105】
[合成比較例1]
温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、4,4’,4”−エチリジントリスフェノール(本州化学工業株式会社製:商品名 TrisP−HAP)50g(163mmol)、及びジメチルホルムアミド150gを加え溶解させた。その後、前記フラスコに、炭酸カリウム101.5g(734mmol)を加え、前記フラスコ内の溶液を120℃で撹拌させた。前記フラスコに備えられた滴下ロートに、2−ブロモエタノール20.4g(163mmol)、2−(2−クロロエトキシ)エタノール30.5g(245mmol)及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール55.0g(326mmol)を加え、滴下ロート内の混合溶液を1時間かけて前記フラスコに滴下させた。滴下終了後、さらに3時間反応させた。なお、該反応温度は120℃とし、該反応時間は合計4時間とした。得られた反応生成物の水洗を繰り返して反応生成物から無機塩類を除去した。また、反応生成物から、ジメチルホルムアミド、過剰の2−ブロモエタノール、2−(2−クロロエトキシ)エタノール及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノールを減圧下で蒸留して除去し、多価ヒドロキシ化合物(PH−7)88.6gを得た。
【0106】
[合成比較例2]
反応温度を100℃、反応時間を6時間にした変更した以外は合成比較例1と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−8)66.1gを得た。
【0107】
[合成比較例3]
2−ブロモエタノール20.4g(163mmol)、2−(2−クロロエトキシ)エタノール30.5g(245mmol)及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール55.0g(326mmol)を、2−ブロモエタノール10.2g(82mmol)、2−(2−クロロエトキシ)エタノール30.5g(245mmol)及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール110.0g(652mmol)に変更した以外は合成比較例1と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−9)62.4gを得た。
【0108】
[合成比較例4]
2−ブロモエタノール20.4g(163mmol)、2−(2−クロロエトキシ)エタノール30.5g(245mmol)及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール55.0g(326mmol)を、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール165.2g(980mmol)のみに変更し、反応時間を6時間に延ばした以外は合成比較例1と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−10)80.7gを得た。
【0109】
[合成比較例5]
2−ブロモエタノール20.4g(163mmol)、2−(2−クロロエトキシ)エタノール30.5g(245mmol)及び2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール55.0g(326mmol)を、2−(2−クロロエトキシ)エタノール127.8g(1026mmol)のみに変更した以外は合成比較例1と同様に行い、多価ヒドロキシ化合物(PH−11)63.8gを得た。
【0110】
[実施例1]
温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を備えたフラスコ(反応器)に、多価ヒドロキシ化合物(PH−1)100g、エピクロロヒドリン258.8g(PH−1の水酸基1molに対してエピクロロヒドリン5mol)、及び50質量%テトラメチルアンモニウムクロリド水溶液(5g)を混合し、得られた混合物を、減圧下に加熱して60〜65℃で還流を行った。そして、前記反応器に、50質量%水酸化ナトリウム水溶液134.3gを2時間かけて滴下した。滴下の際、水をエピクロロヒドリンとの共沸混合物として連続的に除去するとともに、凝縮したエピクロロヒドリン層のみを連続的に反応器に戻した。滴下後、さらに2時間反応させた後、混合物(反応生成物)を冷却した。得られた反応生成物の水洗を繰り返して、反応生成物から、副生した塩化ナトリウムを除去した。また、反応生成物から、過剰のエピクロロヒドリンを減圧下で蒸留して除去し、粗樹脂を得た。得られた粗樹脂をメチルイソブチルケトン100gに溶解し、得られた溶液に、0.18gの50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間反応させた。反応終了後、反応生成物の水洗を繰り返して、反応生成物から、副生した塩化ナトリウムを除去した。また、反応生成物から、メチルイソブチルケトンを減圧下で蒸留して除去しエポキシ樹脂(EP−1)115.8gを得た。
【0111】
[実施例2]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−2)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−2)117.2gを得た。
【0112】
[実施例3]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−3)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−3)104.3gを得た。
【0113】
[実施例4]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−4)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−4)98.2gを得た。
【0114】
[実施例5]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−5)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−5)97.5gを得た。
【0115】
[実施例6]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−6)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−6)93.1gを得た。
【0116】
[比較例1]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−7)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−7)104.3gを得た。
【0117】
[比較例2]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−8)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−8)106.5gを得た。
【0118】
[比較例3]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−9)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−9)102.1gを得た。
【0119】
[比較参考例1]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−10)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−10)91.7gを得た。
【0120】
[比較参考例2]
多価ヒドロキシ化合物(PH−1)を(PH−11)に変更した以外は実施例1と同様に行い、エポキシ樹脂(EP−11)92.2gを得た。
【0121】
[各種測定結果]
合成実施例1〜6及び合成比較例1〜5で得られた多価ヒドロキシ化合物(PH−1〜11)の(a+b+c)個数、並びに実施例1〜6で得られたエポキシ樹脂(EP−1〜6)、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(EP−7〜9)及び比較参考例1、2で得られたエポキシ樹脂(EP−10、11)の(α+β+γ)個数、エポキシ当量、全塩素及び粘度を測定した。この結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
[実施例7〜12]
表2に示すとおり、実施例1〜6で得られたエポキシ樹脂(EP−1〜6)に、エポキシ基1当量に対してジアミノジフェニルメタンをアミノ基1当量の割合で添加し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を、180℃、2時間の条件で硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得た。このエポキシ樹脂硬化物について、ガラス転移点(Tg)、引張伸度、DMA弾性率、及び破壊靭性(K
Ic)の測定を行った。そして、硬化前のエポキシ樹脂組成物についてはゲルタイムを測定した。
【0124】
[比較例4〜7、比較参考例3、4]
エポキシ樹脂として、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(EP−7〜9)、比較参考例1、2で得られたエポキシ樹脂(EP−10、11)及びビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:商品名 YL983U(エポキシ当量170g/eq.))をそれぞれ用いた点以外は、実施例7〜12と同様にして、エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物を得て、それらの物性を評価した。
【0125】
[各種評価結果]
実施例7〜12及び比較例4〜7、比較参考例3、4の評価結果を、表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
[実施例13〜18]
実施例1〜6で得られたエポキシ樹脂(EP−1〜6)に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:商品名 YL983U(エポキシ当量170g/eq.))を、表3に記載の配合比で混合して、エポキシ樹脂の混合物を調製した。
【0128】
表3に示すとおり、得られたエポキシ樹脂の混合物に、エポキシ基1当量に対してジアミノジフェニルメタンをアミノ基1当量の割合で添加し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を、180℃、2時間の条件で硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得た。このエポキシ樹脂硬化物について、ガラス転移点(Tg)、引張伸度、DMA弾性率、破壊靭性(K
Ic)の測定を行った。そして、硬化前のエポキシ樹脂組成物についてはゲルタイムを測定した。
【0129】
[比較例8〜10、比較参考例5、6]
エポキシ樹脂(EP−1〜6)に代えて、比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(EP−7〜9)、比較参考例1、2で得られたエポキシ樹脂(EP−10、11)をそれぞれ用いた点以外は、実施例13〜18と同様にして、エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物を得て、それらの物性を評価した。
【0130】
[各種評価結果]
実施例13〜18及び比較例7〜10、比較参考例5、6の評価結果を、表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
表1の結果から、多価フェノール化合物にアルキレンオキシドを付加させることにより製造された多価ヒドロキシ化合物を用いて製造されたエポキシ樹脂は、塩素量が低く、電子部品接着に用いるのに好適であることがわかった。
【0133】
表2及び3の結果から、実施例1〜6で得られたエポキシ樹脂(EP−1〜6)は、液状でありながら優れた反応性を有し、実施例7〜18で得られたエポキシ樹脂硬化物は、少なくとも可撓性に優れ、さらには高耐熱性であることが確認された。