特許第6444699号(P6444699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444699
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20181217BHJP
   H01F 29/02 20060101ALI20181217BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01F29/04 502B
   H01F29/02 C
   H01H33/666 L
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-234385(P2014-234385)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-100388(P2016-100388A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓
(72)【発明者】
【氏名】篠田 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 泰志
(72)【発明者】
【氏名】小川 慧
【審査官】 堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−015357(JP,A)
【文献】 特公昭45−012765(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
H01F 29/02
H01H 33/666
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電極と対の可動電極を一端部に有し他端部が外部に突出する可動軸を備えた真空バルブと、
前記真空バルブと対向するように前記可動軸の前記他端部に固定された中継用端子部となる引出導体と、
絶縁油と共に前記真空バルブ及び前記引出導体を収容する油槽と、
前記真空バルブの閉極動作によって前記引出導体が前記真空バルブに近付くときの前記絶縁油の流動に伴う負圧の発生を低減する負圧低減機構と、
を備え、
前記負圧低減機構は、前記可動軸の軸方向に沿って前記引出導体を貫通するように形成された油抜き用の貫通穴を含む、負荷時タップ切換装置。
【請求項2】
固定電極と対の可動電極を一端部に有し他端部が外部に突出する可動軸を備えた真空バルブと、
前記真空バルブと対向するように前記可動軸の前記他端部に固定された中継用端子部となる引出導体と、
絶縁油と共に前記真空バルブ及び前記引出導体を収容する油槽と、
前記真空バルブの閉極動作によって前記引出導体が前記真空バルブに近付くときの前記絶縁油の流動に伴う負圧の発生を低減する負圧低減機構と、
を備え、
前記負圧低減機構は、前記引出導体の前記真空バルブとの対向面上における前記可動軸の周囲に設けられたテーパ部を含む、負荷時タップ切換装置。
【請求項3】
固定電極と対の可動電極を一端部に有し他端部が外部に突出する可動軸を備えた真空バルブと、
前記真空バルブと対向するように前記可動軸の前記他端部に固定された中継用端子部となる引出導体と、
絶縁油と共に前記真空バルブ及び前記引出導体を収容する油槽と、
前記真空バルブの閉極動作によって前記引出導体が前記真空バルブに近付くときの前記絶縁油の流動に伴う負圧の発生を低減する負圧低減機構と、
記可動軸における前記真空バルブと前記引出導体との間の周面を保護する保護部材と、
を備える負荷時タップ切換装置。
【請求項4】
前記保護部材は、弾性を有する請求項記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項5】
前記保護部材は、Oリングである請求項記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項6】
前記負圧低減機構は、前記真空バルブの閉極動作によって前記引出導体が前記真空バルブに近付くときの前記引出導体の動作速度を制限する速度制限機構を含む、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項7】
前記速度制限機構は、ダンパを有する請求項記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項8】
前記速度制限機構は、バネを有する請求項記載の負荷時タップ切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷時タップ切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷電流を遮断せずに変圧器のタップを切り換える例えば真空バルブ遮断方式の負荷時タップ切換装置が知られている。この種の負荷時タップ切換装置は、真空バルブの他、例えば平編線を接続するための中継用端子部として機能する引出導体などを備えている。
【0003】
真空バルブは、固定電極と対の可動電極を一端部に有し他端部が外部に突出する可動軸を備えている。一方、引出導体は、真空バルブと対向するように可動軸の他端部に固定されている。また、真空バルブ及び引出導体は、絶縁油と共に油槽内に収容されている。
【0004】
なお、引出導体は、通電時の熱を放散させるために比較的大きな体積を必要とする。さらに、引出導体は、タップ切換時の通電性能を確保するために、特に閉極動作時には、可動電極を有する可動軸と共に高速で駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−235308号公報
【特許文献2】特開平3−83310号公報
【特許文献3】特開2002−50267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、真空バルブの閉極動作時には、可動軸と共に引出導体が真空バルブに高速で近付く動作によって、真空バルブと引出導体との間の絶縁油が急速に流出することに伴い、負圧が生じる場合がある。この際、絶縁油に溶け込んでいる気体が飽和状態になり、気泡として現れる、いわゆるエアレーションの発生を招く。
【0007】
さらに、閉極動作完了後の急激な動作の停止に伴い、真空バルブと引出導体との間に絶縁油が流入して圧力が回復すると、絶縁油に生じた気泡が崩壊し、崩壊時のエネルギによって大きな衝撃が生じることになる。真空バルブの閉極動作の度に、エアレーションによる気泡の発生と崩壊が繰返されると、引出導体における真空バルブとの対向面や、真空バルブと引出導体との間の可動軸の周面などが壊食(浸食)する場合があり、壊食が進行すると壊食痕を発端として可動軸が折損するおそれもある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エアレーションの発生を抑制することができる負荷時タップ切換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態の負荷時タップ切換装置は、真空バルブ、引出導体、油槽、及び負圧低減機構を有する。真空バルブは、固定電極と対の可動電極を一端部に有し他端部が外部に突出する可動軸を備えている。引出導体は、真空バルブと対向するように可動軸の他端部に固定された中継用端子部である。油槽は、絶縁油と共に真空バルブ及び引出導体を収容する。負圧低減機構は、真空バルブの閉極動作によって引出導体が真空バルブに近付くときの絶縁油の流動に伴う負圧の発生を低減する。前記負圧低減機構は、前記可動軸の軸方向に沿って前記引出導体を貫通するように形成された油抜き用の貫通穴を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る負荷時タップ切換装置を示す正面図。
図2図1の負荷時タップ切換装置が備える切換開閉器の構造を示す斜視図。
図3図2の切換開閉器が備える真空バルブ及び引出導体の周辺の構造を部分的に断面で示す正面図。
図4図3の真空バルブと引出導体との間に生じ得る壊食現象について説明するための図。
図5】負圧低減機構を備える図3の引出導体の構造を示す斜視図。
図6】比較例の引出導体の構造を示す斜視図。
図7図5の引出導体を適用したときの流体解析の結果を示す図。
図8図6の比較例の引出導体を適用したときの流体解析の結果を示す図。
図9図5の負圧低減機構とは一部構造が異なる他の負圧低減機構を備えた引出導体の構造を示す斜視図。
図10図9の引出導体を適用したときの流体解析の結果を示す図。
図11図3の真空バルブと引出導体との間に保護部材を配置した形態を示す図。
図12図3の引出導体の動作速度を制限する速度制限機構を真空バルブの周辺に設けた形態を概略的に示す斜視図。
図13図12の速度制限機構としてダンパを適用したときの形態を示す図。
図14図12の速度制限機構としてバネを適用したときの形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
図1図2に示すように、本実施形態に係る負荷時タップ切換装置10は、真空バルブ遮断方式の負荷時タップ切換装置(VI−LTC:Vacuum Interrupter type on-Load Tap Changer)であって、送配電系統に接続される変圧器に組み込まれている。
【0012】
図1に示すように、負荷時タップ切換装置10は、切換開閉器12、タップ選択器11、油槽15を主に備えている。油槽15は、変圧器の筐体となるタンク内に設置されている。油槽15内には絶縁油が充填されている。切換開閉器12は、絶縁油と共に油槽15内に収容されている。
【0013】
タップ選択器11は、タップ巻線と中性点との間に可動接触子を備えており、この可動接触子によってタップ巻線のタップを選択する。一方、図1に示すように、切換開閉器12は、切換スイッチを備えており、タップ選択器11にて選択された一対のタップ間に、抵抗を介した短絡状態を作り、切換スイッチによって負荷電流を流すタップの切換を行う。つまり、切換開閉器12は、負荷電流を遮断することなく、電圧を切り換えることを可能とする。
【0014】
具体的には、図2に示すように、切換開閉器12は、タップを切り換えるための動力を蓄勢(弾性エネルギを蓄積)する蓄勢機構16と、タップ切換時に通電部の循環電流を抑制する限流抵抗17と、通電経路を変更する三相分の通電切換機構14と、駆動軸19と、を主に備えている。通電切換機構14は、真空バルブ(VCB:vacuum circuit breaker)18や、上記した切換スイッチなどを備えている。
【0015】
ここで、切換開閉器12の通電切換機構14は、通電経路を変更する際の切換方式として、個々の相毎(三相あるうちの一相毎)に2つの限流抵抗17と3つの真空バルブ18を用いる2抵抗3真空バルブ方式を適用している。2抵抗3真空バルブ方式は、切換時に流れる循環電流を限流抵抗17が抑制し、真空バルブ18が回路の遮断動作を行う。
【0016】
つまり、真空バルブ18は、主真空バルブと2つの抵抗真空バルブとで一組となる。また、切換スイッチは、2つの固定接点と可動接点とからなる。主真空バルブは、切換スイッチと直列に接続されている。抵抗真空バルブは、主真空バルブに並列に接続され、かつ限流抵抗17と直列に接続されている。
【0017】
これら3つの真空バルブの開閉動作について簡易的に説明すると、切換スイッチの切換動作前の状態として、主真空バルブが閉極状態、通電タップ側の抵抗真空バルブが閉極状態、非通電タップ側の抵抗真空バルブが開極状態にあるとする。この状態から、切換スイッチが切換動作を開始すると、切換動作の途中で非通電タップ側の抵抗真空バルブが閉極する。次に、主真空バルブが開極し、切換スイッチの切換動作が終わると、主真空バルブが閉極する。最後に切換動作前に通電していた抵抗真空バルブが開極する。
【0018】
このような通電切換機構14は、蓄勢機構16から開放される弾性エネルギにより駆動軸19が回転すると、図2図3に示すように、この回転力が、カム21に伝達されて真空バルブ18を開閉動作させる。また、上記した切換スイッチは、カム21の回転と連動して切換動作を行う。
【0019】
次に、真空バルブ18の周辺の構造及び真空バルブ18の内部構造について図3に基づき説明する。なお、図3は、真空バルブ18の中心軸から左側を断面で図示している。図3に示すように、真空バルブ18の周辺には、銅製の引出導体22、連結ロッド23、圧縮バネ24、駆動ボス25、カムフロア36、上記カム21が設けられている。また、真空バルブ18は、固定電極27、可動軸28、碍子29、ベローズ(可とう管)30を内部に備えている。
【0020】
可動軸28は、固定電極27と対の可動電極31を一端部28aに有し、他端部28bが真空バルブ18の本体内から外部に突出している。真空バルブ18は、可動軸28の一端部28aにおける可動電極31と固定電極27との接点部分32が真空になるように、碍子29と下部フランジ33と上部フランジ34とベローズ30とによって密封構造を構成する。
【0021】
引出導体22には、平編線(フレキシブルケーブル)が接続される。引出導体22は、この平編線を介して他の通電部と接続される中継用端子部(中継用のターミナル導体)である。図3に示すように、引出導体22は、真空バルブ18と対向するように可動軸28の他端部28bに固定されている。具体的には、可動軸28の他端部28bの周面には雄ねじが形成されている。一方、引出導体22の中央部分には、可動軸固定用のねじ穴(雌ねじ)22aが形成されている。これにより、引出導体22は、ねじ穴22aを介して、可動軸28の他端部28bと締結(固定)されている。
【0022】
また、連結ロッド23の一端部23aの周面には、雄ねじが形成されている。可動軸28の他端部28bには、ねじ穴が形成されている。これにより、連結ロッド23の一端部23aと可動軸28の他端部28bとは、引出導体22のねじ穴22a内で互いに締結されている。ここで、連結ロッド23は、断面L字状の駆動ボス25に設けられた所定のロッド挿通穴と圧縮バネ24の内径部分とを共に挿通するように配置されている。
【0023】
詳述すると、図3に示すように、連結ロッド23の他端部に設けられたロッド頭部23bと引出導体22との間に駆動ボス25を介して圧縮バネ24を挟持するようにして、連結ロッド23は、可動軸28と締結されている。これにより、引出導体22と固定された可動軸28の一端部28aにある可動電極31は、圧縮バネ24の弾性力によって、固定電極27側に(矢印Y2方向に)付勢されている。
【0024】
さらに、図3に示すように、駆動ボス25の側面には、上述したカム21のカム溝21aと係合するカムフロア36が固定されている。したがって、図2図3に示すように、通電切換機構14の駆動軸19の回転に連動するカム21は、真空バルブ18の開極動作時には、カムフロア36を矢印Y1方向に上昇させるように動作し、これに伴い、駆動ボス25、連結ロッド23、引出導体22、及び可動軸28が一体となって上昇し、可動軸28の一端部28aにある可動電極31は、固定電極27側から離間するように動作する。
【0025】
一方、真空バルブ18の閉極動作時には、カム21は、カムフロア36を矢印Y2方向に下降させるように動作し、これに伴い、駆動ボス25、連結ロッド23、引出導体22、及び可動軸28が一体となって下降し、可動軸28の一端部28aにある可動電極31は、固定電極27側に接触するように動作する。
【0026】
ここで、真空バルブ18の閉極動作時に、真空バルブ18と引出導体22との間に生じ得る壊食現象について主に図4(a)〜図4(f)に基づき説明する。前述したように、真空バルブ18及び引出導体22を含む切換開閉器12は、絶縁油と共に油槽15内に収容されている。このため、図3に示した真空状態の接点部分32などを除き真空バルブ18及び引出導体22の周囲は、絶縁油で満たされている。
【0027】
まず、図4(a)に示すように、真空バルブ18の閉極動作の開始時、可動軸28を介して引出導体22は、動作速度S1を大きく加速させながら真空バルブ18側に近接する。この際、引出導体22によって絶縁油が圧縮されることによって、比較的小さい流体(絶縁油)nの流れが生じる。つまり、絶縁油の流体速度S2が小さいため、引出導体22における真空バルブ18との対向面22eには、引出導体22の動作方向とは逆向きの流体圧力が作用し正圧が生じる。
【0028】
図4(b)に示すように、閉極動作の進行に伴い、引出導体22の動作速度S1は減速するものの、絶縁油の流体速度S2は慣性力によって維持される。このため、引出導体22の動作速度S1と絶縁油の流体速度S2との相対的な速度の大小関係が逆転し、引出導体22と真空バルブ18との間には、流体nの流れ方向に沿った流体圧力が作用し負圧が生じる。
【0029】
図4(c)に示すように、閉極動作が完了すると、引出導体22の動作速度S1に対する相対的な流体速度S2が最大となり、この際、引出導体22と真空バルブ18との間には、最大負圧が発生する。この場合、飽和蒸気圧以下まで圧力が低下すると、図4(d)に示すように、絶縁油中に溶解している空気が気化して気泡pとなって現れるエアレーションが発生する。
【0030】
閉極動作完了の後に、引出導体22と真空バルブ18との間に絶縁油が戻り圧力が回復して正圧になると、図4(e)に示すように、気泡pに圧縮力が加わり、気泡pが崩壊することになる。この場合、図4(f)に示すように、気泡の崩壊エネルギにより、引出導体22における対向面22eや、引出導体22と真空バルブ18との間における可動軸28の周面28cに、壊食痕kが生じる可能性がある。
【0031】
そこで、本実施形態の負荷時タップ切換装置10は、図5に示すように、引出導体22に負圧低減機構35が設けられている。負圧低減機構35は、真空バルブ18の閉極動作によって引出導体22が真空バルブ18に近付くときの絶縁油の流動に伴う負圧の発生を低減する。
【0032】
具体的には、図5に示すように、矩形状の引出導体22における中央の可動軸固定用のねじ穴22aとこのねじ穴22aを両側から挟む位置に穿孔された一対の平編線取付穴22bとの間に、それぞれ一対の油抜き用の貫通穴22c、22dが、負圧低減機構35として引出導体22に形成されている。油抜き用の貫通穴22c、22dは、可動軸28の軸方向に沿って引出導体22を貫通するように穿孔されている。
【0033】
油抜き用の貫通穴22c、22dは、真空バルブ18の閉極動作時において、引出導体22が真空バルブ18に近付く際に絶縁油を圧縮せずに円滑に通過させることができるため、引出導体22と真空バルブ18との間に負圧が生じることを抑制できる。これにより、絶縁油中でのエアレーション(気泡)の発生を抑えることができるので、引出導体22の対向面22eや可動軸28の周面28cが壊食されることなどを回避することが可能となる。
【0034】
ここで、図7は、油抜き用の貫通穴22c、22dを有する図5の引出導体22を適用して、真空バルブ18を閉極動作させたときの絶縁油の圧力分布を表す流体解析の結果を示している。一方、図8は、油抜き用の貫通穴のない図6に示す比較例の引出導体62を適用して、真空バルブ18を閉極動作させたときの絶縁油の圧力分布を表す流体解析の結果を示している。
【0035】
図7及び図8では、その中央の領域に可動軸固定用のねじ穴22aの配置部分22fが表されており、色が濃い程、負圧の値が大きいことを示している。つまり、図7図8に示す流体解析の結果から、油抜き用の貫通穴22c、22dを有する引出導体22は、比較例の引出導体62と比べて、負圧の発生が低減されており(負圧の値が約11%小さく)、これによりエアレーションの発生を抑えることが可能となる。
【0036】
図9は、負圧低減機構35を備えた引出導体42を示している。引出導体42の負圧低減機構45は、上述した油抜き用の貫通穴22c、22dに加え、引出導体42の真空バルブ18との対向面22e上における可動軸28の周囲に設けられたテーパ部46をさらに含んで構成されている。テーパ部46は、可動軸28の外縁部分(最大負圧が発生する部分)が真空バルブ18側に隆起するように傾斜を与えている。このテーパ部46は、真空バルブ18の閉極動作時に当該テーパ部46と接触する流体(絶縁油)を可動軸28の外縁側から放射状に分散させることで負圧の発生を抑制する。
【0037】
テーパ部46の角度(対向面22eにおける平坦な表面との間の傾斜角度)は、例えば30°であり、少なくとも20°以上、45°以下の範囲に収まっていること望ましい。テーパ部46の角度が20°未満であったり、45°を超えていたりすると、真空バルブ18の閉極動作時にテーパ部46と接触する流体(絶縁油)を適切に分散することが難しくなる。
【0038】
図10は、負圧低減機構45を有する図9の引出導体42を適用して、真空バルブ18を閉極動作させたときの絶縁油の圧力分布を表す流体解析の結果を示している。この流体解析の結果からわかるように、図9に示す引出導体42は、図6に示す比較例の引出導体62と比べて、負圧の発生が低減されており(負圧の値が約21%小さくなっており)、壊食などが生じるリスクが低減される。
【0039】
また、図11は、上記した負圧低減機構を設けることに加えて、弾性を有する保護部材としてOリング47をさらに配置した形態を例示している。Oリング47は、可動軸28における真空バルブ18と引出導体22との間の周面(雄ねじの部分)28cを保護している。
【0040】
Oリング47は、真空バルブ18の閉極動作時に、仮に気泡が発生して崩壊したとしても、気泡崩壊時に生じる衝撃から可動軸28の周面をガードすることができるので、可動軸28の損傷を防ぐことが可能となる。
【0041】
図12は、速度制限機構56を含む負圧低減機構55を例示している。速度制限機構56は、真空バルブ18の閉極動作によって引出導体22が真空バルブ18に近付くときの引出導体22の動作速度を制限(減速)する。速度制限機構56は、ブレーキパッド57を備えている。
【0042】
ブレーキパッド57は、駆動ボス25に固定されており、真空バルブ18の閉極動作時に例えば切換開閉器12の筐体の内壁部分などと摺動させるようにすることで、駆動ボス25や可動軸28などと共に一体となって動作する引出導体22の動作速度を制限する。これにより、真空バルブ18と引出導体22との間での絶縁油の急激な圧縮や流動を回避させることが可能となり、負圧が生じることに起因するエアレーションの発生を抑制できる。
【0043】
図13は、速度制限機構76を含む負圧低減機構75を示している。速度制限機構76は、ゴムなどの弾性体によって構成されたダンパ77を有している。このダンパ77は、真空バルブ18の閉極動作時に、駆動ボス25に押されて弾性変形することによって、駆動ボス25と共に一体となって動作する引出導体22の動作速度を制限する。
【0044】
また、図14は、速度制限機構86を含む負圧低減機構85を例示している。速度制限機構86は、真空バルブ18と引出導体22との間に介在させた圧縮バネ87を有している。この圧縮バネ87は、真空バルブ18の閉極動作時に引出導体22に押されて弾性変形することによって、引出導体22の動作速度を制限する。
【0045】
図13図14に示す速度制限機構76、86を含む負圧低減機構75、85によっても、エアレーションの発生を抑制できるので、引出導体22や可動軸28の壊食などを防止することが可能となる。また、図13図14に示すダンパ77や圧縮バネ87を適用することで、閉極動作を減速させ、一方、開極動作を、ダンパ77や圧縮バネ87の弾性力によって加速させることが可能なので、タップの切換操作に適した閉極動作及び開極動作を実現できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10…負荷時タップ切換装置、15…油槽、18…真空バルブ、22,42…引出導体…引出導体、22c,22d…油抜き用の貫通穴、22e…対向面、27…固定電極、28…可動軸、28a…可動軸の一端部、28b…可動軸の他端部、28c…可動軸の周面、31…可動電極、35,45,55,75,85…負圧低減機構、46…テーパ部、47…Oリング、56,76,86…速度制限機構、57…ブレーキパッド、77…ダンパ、87…圧縮バネ。
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