(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る車載装置および車載システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る車載装置を備える車載システムの一例を示す図である。
図1(a)に示すように、実施形態に係る車載システムは、車両に搭載される複数の車載装置を備えており、これらの車載装置は、車載ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。
【0014】
車載ネットワークは、例えば、CAN(Controller Area Network)であるが、その他のネットワークを用いてもよい。車載装置は、例えば、走行制御装置、ライト制御装置、ルーフ制御装置、ドア制御装置、エアコン制御装置、オーディオ制御装置、カーナビゲーション装置などである。
【0015】
かかる車載装置は、通信部と、制御部とを備える。通信部は、車載ネットワークに接続される。制御部は、通信部を介して他の車載装置と通信可能に接続され、制御対象への制御を行う。制御対象は、例えば、車載装置がライト制御装置の場合、ヘッドライトやハザードランプなどである。また、車載装置がオーディオ制御装置の場合、制御対象は、例えば、スピーカやディスプレイである。
【0016】
これらの車載装置は、バッテリー電圧Vbatを電源電圧として動作する。バッテリー電圧Vbatが低下した場合、制御対象に対する制御を適切に行うことができない場合が生じることから、各車載装置では、制御対象への制御を適切に行うことができるように、制御対象への制御を行うことができる電圧Vth1(以下、最低制御電圧Vth1と記載する)が設定される。
【0017】
図1(b)は、
図1(a)に示す車載装置の状態とバッテリー電圧との関係の一例を示す図である。
図1(b)に示すように、電源電圧であるバッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1(第1閾値の一例)以上である場合、車載装置は、通常動作モードであり、制御対象への制御を行うことができる。
【0018】
一方、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満である場合、車載装置は、制御対象への制御は行わない。これにより、制御対象への制御が不安定な状態で行われることを防止することができる。
【0019】
そして、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満であっても所定電圧Vth2(以下、最低通信電圧Vth2と記載する)以上である場合、車載装置は、待機モードであり、制御対象への制御は行わないが、他の車載装置と通信可能な状態である。
【0020】
かかる待機モードにおいて、車載装置は、バッテリー電圧Vbatの監視を行っており、バッテリー電圧Vbatが待機モードの電圧範囲(Vth1>Vbat≧Vth2)であるかを検出することによって待機モードに維持できるかを判定している。
【0021】
一方、バッテリー電圧Vbatが最低通信電圧Vth2未満である場合、車載装置は、動作停止モードであり、制御対象への制御は行わず、また、他の車載装置との通信も行わない状態になる。
【0022】
このように、車載装置は、バッテリー電圧Vbatが低くなって制御対象への制御を行わない電圧になった場合でも、他の車載装置と通信することができる。そのため、例えば、車載装置の制御部は、待機モードにある場合であっても、適切に他の車載装置との通信を行うことができる。
【0023】
例えば、車載装置は、他の車載装置からの情報を取得したり、他の車載装置からの問い合わせに対して返答を行ったりすることができる。また、最低通信電圧Vth2を車載装置間で同じにすることによって、車載装置間の通信をより適切に行うことができる。
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る車載システムの具体的構成例を説明する。
図2は、
図1に示す車載システムの具体的構成例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、車載システム1は、オーディオ制御装置10、ディスプレイ装置11、操作検出装置12、ライト制御装置13およびドア制御装置14などの車載装置を備える。これらの車載装置は、車載ネットワークの通信バス15に接続されている。車載ネットワークは、上述したように、例えば、CANなどのネットワークである。また、各車載装置は、バッテリー16から供給される電圧であるバッテリー電圧Vbatを電源電圧として動作する。
【0026】
オーディオ制御装置10は、操作部(図示せず)を備えており、かかる操作部へのユーザの操作などに基づいて、例えば、ラジオ、音楽、映画、テレビ映像などの再生処理を行い、スピーカ17から音響信号を出力させ、また、ディスプレイ装置11に映像を表示させる。
【0027】
操作検出装置12は、例えば、車両に配置された各種のスイッチの状態を検出し、検出結果を他の車載装置へ通信バス15を介して通知する。ライト制御装置13は、例えば、操作検出装置12から通知されるスイッチ(例えば、ヘッドライトやハザードランプの操作スイッチ)の検出結果に基づいて、ヘッドライトやハザードランプなどの各種ランプのON/OFFなどを制御する。
【0028】
ドア制御装置14は、例えば、操作検出装置12から通知されるスイッチ(例えば、パワーウィンドウの操作スイッチ)の検出結果に基づいて、パワーウィンドウモータなどを制御する。また、ドア制御装置14は、例えば、ドア開閉センサによって検出された車両のドアの開閉状態を他の車載装置へ通信バス15を介して通知する。
【0029】
ここで、車載装置のうち、オーディオ制御装置10を例に挙げて、その構成例について説明する。
図3は、オーディオ制御装置10の具体的構成例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、オーディオ制御装置10は、DC/DC変換部21、電圧レギュレータ22、23、CAN通信部24、バッファ回路25、マイクロコンピュータ26、低電圧検出部27、アンプ部28、抵抗R1〜R9、コイルL1〜L6、ツェナーダイオードD1などを備える。なお、図示しないが、オーディオ制御装置10には、例えば、CD(Compact Disk)などのメディアからデータを読み取るディスクドライブ、ラジオチューナ回路およびその他の構成が含まれる。
【0031】
DC/DC変換部21は、バッテリー電圧Vbatをデジタル系の電源電圧である電圧VDD(例えば、3.3V)へ変換する。かかる電圧VDDは、コイルL1、L2、L3を介してバッファ回路25、マイクロコンピュータ26および低電圧検出部27などへ供給される。
【0032】
電圧レギュレータ22は、バッテリー電圧Vbatをアナログ系の電源電圧である電圧VCC(例えば、8.0V)へ変換する。かかる電圧VCCは例えばコイル(図示せず)を介してアンプ部28などへ供給される。また、電圧レギュレータ23は、バッテリー電圧Vbatを通信バス系の電圧Vbusへ変換する。かかる電圧Vbusは例えばコイルL4を介してCAN通信部24などへ供給される。
【0033】
CAN通信部24は、コイルL5、L6を介して通信バス15に接続されており、他の車載装置のCAN通信部と互いにデータの送受信を行う。また、CAN通信部24は、例えば、入出力端子CANH、CANLを有しており、2線差動電圧方式によって、通信バス15との間で信号の送受信を行う。
【0034】
また、CAN通信部24は、シリアル送信端子RXDとシリアル受信端子TXDを有しており、バッファ回路25および抵抗R1〜R4を介して、マイクロコンピュータ26とシリアルデータの送受信を行う。なお、抵抗R1〜R4は、ダンピング抵抗の機能を有し、抵抗R5、R6は、プルアップ抵抗としての機能を有する。
【0035】
CAN通信部24は、例えば、通信バス15から入出力端子CANH、CANLにCAN通信形式による信号(以下、CAN信号と記載する)が入力された場合、かかる信号に応じたシリアル信号Rxをシリアル送信端子RXDから出力する。
【0036】
また、CAN通信部24は、マイクロコンピュータ26からシリアル受信端子TXDへシリアル信号Txが入力された場合、かかる信号に応じたCAN信号を入出力端子CANH、CANLから通信バス15へ出力する。
【0037】
なお、上述したコイルL1〜L6や抵抗R1〜R4等は、例えば、高周波ノイズ除去のために配置されるが、高周波ノイズの影響が少ない場合には必ずしも配置しなくてもよい。
【0038】
マイクロコンピュータ26は、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、入出力(I/O)ポート34、35およびA/D変換器36、37などを備える。
【0039】
CPU31は、ROM33に記憶されているプログラムを読み出し、RAM32を作業領域としてプログラムを実行する。これにより、マイクロコンピュータ26は、制御部として、例えば、
図4に示すように、オーディオ制御部41、ディスプレイ制御部42、通信処理部43、モード設定部44および電源電圧監視部45として機能する。
図4は、マイクロコンピュータ26である制御部の機能ブロック図の一例を示す図である。
【0040】
オーディオ制御部41は、例えば、車両の乗員からオーディオ制御装置10(
図2参照)の入力部(図示せず)やディスプレイ装置11(
図2参照)への入力操作に応じて記憶媒体(例えば、CDやDVDなどの光ディスク)からデータを読み出し、かかるデータに応じた音響信号をアンプ部28(
図3参照)へ出力する。アンプ部28は、オーディオ制御部41から出力される音響信号を増幅してスピーカ17へ出力する。
【0041】
かかるオーディオ制御部41は、A/D変換器37(
図3参照)を含み、例えば、CPU31の処理によって生成した音響データをA/D変換器37によってアナログ信号へ変換し、アンプ部28(
図3参照)へ出力する。
【0042】
ディスプレイ制御部42は、例えば、車両の乗員からオーディオ制御装置10の入力部への入力操作やディスプレイ装置11(
図2参照)への入力操作に応じた操作画面を生成し、かかる操作画面の情報をディスプレイ装置11へ通信処理部43を介して送信する。なお、オーディオ制御部41やディスプレイ制御部42は、ディスプレイ装置11への入力操作の情報を、ディスプレイ装置11から通信処理部43を介して取得することができる。
【0043】
通信処理部43は、I/Oポート35(
図3参照)を含み、CAN通信部24(
図3参照)からシリアル信号RxをI/Oポート35によって受信すると、シリアル信号Rxに含まれる情報を抽出し、かかる情報を、オーディオ制御部41、ディスプレイ制御部42およびモード設定部44のうち対応する宛先へ通知する。
【0044】
また、通信処理部43は、CAN通信部24(
図3参照)を介して他の車載装置へ送信する情報がある場合、かかる情報をシリアル信号Txへ変換し、CAN通信部24へ出力する。通信処理部43は、例えば、オーディオ制御部41、ディスプレイ制御部42およびモード設定部44から取得した情報をシリアル信号Txへ変換し、CAN通信部24へ出力することができる。
【0045】
I/Oポート35は、割り込みポートであり、通信処理部43は、CAN通信部24からシリアル信号RxをI/Oポート35によって受信すると、かかる割り込み(以下、CAN割り込みと記載する)の情報をモード設定部44へ通知する。
【0046】
CAN割り込みは、例えば、ライト制御装置13やドア制御装置14から情報(例えば、ステータスやコマンド)が送信された場合に行われる。例えば、ライト制御装置13は、ヘッドライトをオンにした場合やハザードランプをオンにした場合に、その状態を示すCAN信号を通信バス15へ送信する。これにより、CAN通信部24からシリアル信号RxがI/Oポート35へ入力される。
【0047】
また、ドア制御装置14は、例えば、ドア開閉センサによってドアが開いたことやドアが閉まったことが検出された場合に、ドアが開いたことやドアが閉まったことを示すCAN信号を通信バス15へ送信する。これにより、CAN通信部24からシリアル信号RxがI/Oポート35へ入力される。
【0048】
このように、ヘッドライトやハザードランプが操作された場合やドアの開閉が行われた場合に、CAN割り込みを行うが、上述した例は、CAN割り込みが発生する一例であり、他の車載装置から通信バス15へ送信された情報がある場合にCAN割り込みが行われる。例えば、図示しない車載装置から車載装置のLED等を点灯させる要求(例えば、ウェルカムモード)を示す信号が入力された場合に、CAN割り込みが行われる。
【0049】
モード設定部44は、通常動作モード、待機モードおよび動作停止モードのいずれかを設定する。モード設定部44によって通常動作モードが設定された場合、マイクロコンピュータ26は、通常の動作を行う。例えば、オーディオ制御部41やディスプレイ制御部42はそれぞれ制御対象(例えば、スピーカ17やディスプレイ装置11)への制御を行う状態になり、また、通信処理部43は他の車載装置との通信が可能な状態である。
【0050】
モード設定部44によって待機モードが設定された場合、オーディオ制御部41やディスプレイ制御部42は、停止状態になるが、通信処理部43は他の車載装置との通信が可能な状態である。かかる状態は、例えば、マイクロコンピュータ26がスタンバイの状態である。
【0051】
モード設定部44によって動作停止モードが設定された場合、オーディオ制御部41、ディスプレイ制御部42および通信処理部43は、停止状態である。かかる状態は、例えば、マイクロコンピュータ26がディープスタンバイの状態である。
【0052】
かかるモード設定部44は、バッテリー電圧Vbatの電圧に応じて、通常動作モード、待機モードおよび動作停止モードのいずれかを設定する。以下、かかるモード設定について、詳細に説明する。
図5は、オーディオ制御装置10の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5に示すフローチャートは、動作停止モードから始まるものとする。
【0053】
動作停止モードに設定している状態において、CAN割り込みがあった場合、モード設定部44は、
図5に示すように、低電圧検出部27の検出結果VdectがHighレベルか否かを判定する(ステップS10)。なお、ステップS10の処理は、例えば、CAN割り込みによってCPU31(
図3参照)が動作を開始し、I/Oポート34(
図3参照)を監視することによって行われる。
【0054】
低電圧検出部27は、バッテリー電圧Vbatと最低制御電圧Vth1を比較するコンパレータ(
図3参照)を有している。かかる低電圧検出部27は、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1以上である場合に、Lowレベルの検出結果Vdectを出力する。低電圧検出部27は、このように構成されることから、モード設定部44は、I/Oポート34により迅速にバッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1以上であるか否かを検出することができる。
【0055】
一方、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満である場合に、低電圧検出部27は、Highレベルの検出結果Vdect(低電圧検出信号の一例)を出力する。このように、低電圧検出部27は、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満である場合に、バッテリー電圧Vbatが低電圧であることを検出する。
【0056】
なお、最低制御電圧Vth1は、例えば、オーディオ制御部41から出力される音量の品質が維持できない電圧よりも高く設定され、また、例えば、音量のボリュームが最大時に電圧降下によって低電圧検出部27の誤検出が発生する電圧よりも低く設定される。
【0057】
モード設定部44は、低電圧検出部27の検出結果VdectがHighレベルであると判定した場合(ステップS10;Yes)、電源電圧監視部45(
図4参照)を停止状態から動作状態へ移行させる。これにより、電源電圧監視部45は、バッテリー電圧Vbatの電圧値の検出を行う(ステップS11)。このように、CAN割り込みがあった場合、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満であれば、電源電圧監視部45によるバッテリー電圧Vbatの監視が開始される。
【0058】
かかる電源電圧監視部45は、A/D変換器36(
図3参照)を含む。A/D変換器36は、
図3に示す抵抗R7〜R9およびツェナーダイオードD1によって生成された検出用電圧をデジタルデータに変換し、CPU31は、かかるデジタルデータに基づいてバッテリー電圧Vbatの値を検出する。
【0059】
ここで、抵抗R7〜R9は直列に接続され、両端にバッテリー電圧Vbatが印加される。ツェナーダイオードD1の両端電圧は、ツェナーダイオードD1のツェナー電圧に保たれる。かかるツェナー電圧が抵抗R8、R9によって分圧されて生成された検出用電圧が、A/D変換器36へ入力される。
【0060】
モード設定部44は、電源電圧監視部45で検出されたバッテリー電圧Vbatの電圧値が最低通信電圧Vth2以上であるか否かを判定する(ステップS12)。バッテリー電圧Vbatの電圧値が最低通信電圧Vth2以上である場合(ステップS12;Yes)、モード設定部44は、マイクロコンピュータ26を待機モードに設定する(ステップS13)。
【0061】
なお、最低通信電圧Vth2は、例えば、電圧VDDおよび電圧Vbusのうち低い電圧以上の電圧に設定され、これにより、バッテリー電圧Vbatの電圧値が最低通信電圧Vth2以上であれば、マイクロコンピュータ26、バッファ回路25およびCAN通信部24は動作することができる。
【0062】
このように、CAN割り込みがあった場合に、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1未満であっても最低通信電圧Vth2以上であれば、マイクロコンピュータ26は待機モードに設定される。
【0063】
そのため、マイクロコンピュータ26は、他の車載装置とCAN通信部24を介して通信可能であり、車載システム1において、オーディオ制御装置10の最低制御電圧Vth1よりも低い最低制御電圧Vth1を有する他の車載装置が含まれている場合であっても、他の車載装置はオーディオ制御装置10と適切に通信を行うことができる。
【0064】
また、CAN割り込みによって待機モードに移行することから、バッテリー電圧Vbatが最低通信電圧Vth2以上であっても、CAN割り込みまでは待機モードを継続しなくてもよく、バッテリー電力の消費を抑えることができる。
【0065】
なお、通信処理部43は、待機モードに設定されている場合、他の車載装置からCAN通信部24を介してシリアル信号Rxを受信した場合、待機モードである旨の情報を含むシリアル信号Txに応じたCAN信号を他の車載装置へ送信することができる。これにより、他の車載装置へ待機モードである旨を通知することができる。また、電源電圧監視部45は、待機モードに設定されている場合、バッテリー電圧Vbatの電圧値を検出する処理(ステップS11の処理)を継続して行う。
【0066】
また、通信処理部43は、他の車載装置からCAN通信部24を介してシリアル信号Rxを受信した場合、かかるシリアル信号Rxから情報を取得し、取得した情報を内部の記憶部に記憶しておくこともできる。これにより、待機モードから通常動作モードへ移行した場合に、オーディオ制御部41およびディスプレイ制御部42は、待機モードで得られた情報に基づいて制御を行うことができる。
【0067】
その後、モード設定部44は、タイムアウトになったか否かを判定する(ステップS14)。例えば、モード設定部44は、CAN割り込みがあってから所定時間(例えば、5秒)を経過するまでに、次のCAN割り込みがない場合、または、最後のCAN割り込みから所定時間(例えば、5秒)を経過するまでに、次のCAN割り込みがない場合に、タイムアウトになったと判定する。また、モード設定部44は、例えば、他の車載装置からのスリープ要求が通信処理部43によって受信された場合に、タイムアウトになったと判定することもできる。
【0068】
ステップS14において、モード設定部44は、タイムアウトになっていないと判定した場合(ステップS14;No)、処理をステップS10へ移行する。一方、モード設定部44は、タイムアウトになったと判定した場合(ステップS14;Yes)、マイクロコンピュータ26を動作停止モードに設定し(ステップS15)、
図5に示す処理を終了する。これにより、電源電圧監視部45によるバッテリー電圧Vbatの監視およびモード設定部44によるモード判定処理が停止される。
【0069】
また、ステップS12において、モード設定部44は、バッテリー電圧Vbatの電圧値が最低通信電圧Vth2未満である場合(ステップS12;No)、ステップS15の処理を行って
図5に示す処理を終了する。これにより、CAN割り込みがあった場合であっても、バッテリー電圧Vbatの電圧値が最低通信電圧Vth2未満であれば、すぐに、動作停止状態へ移行することができ、バッテリー電力の消費を抑えることができる。
【0070】
ステップS10において、タイムアウトになるまでに、低電圧検出部27の検出結果VdectがHighレベルでないと判定した場合(ステップS10;No)、モード設定部44は、ACC(アクセサリ)がオンであるか否かを判定する(ステップS16)。
【0071】
ACCの状態は、例えば、操作検出装置12(
図2参照)によって検出され、通信バス15を介してオーディオ制御装置10に通知される。モード設定部44は、CAN通信部24および通信処理部43を介してACCの状態を示す情報を取得し、かかる情報に基づいてACCがオンであるか否かを判定することができる。なお、ACCは、例えば、オーディオを含む電装装置を動作させる状態であり、エンジンスイッチがACCに位置している場合に、ACCがオンになる。
【0072】
ACCがオフであると判定すると(ステップS16;No)、モード設定部44は、ステップS13の場合と同様に、マイクロコンピュータ26を待機モードに設定する(ステップS17)。
【0073】
その後、モード設定部44は、ステップS14と同様に、タイムアウトになったか否かを判定し(ステップS18)、タイムアウトになっていないと判定すると(ステップS18;No)、処理をステップS10へ移行する。一方、タイムアウトになったと判定すると(ステップS18;Yes)、処理をステップS15へ移行する。これにより、マイクロコンピュータ26は動作停止モードに設定される。
【0074】
ステップS16において、ACCがオンであると判定すると(ステップS16;Yes)、モード設定部44は、マイクロコンピュータ26を通常動作モードに設定する(ステップS19)。このように、マイクロコンピュータ26は、CAN割り込みがあった場合に、バッテリー電圧Vbatが最低制御電圧Vth1以上であり、かつ、ACCがオンであれば、通常動作モードに移行する。
【0075】
なお、通常動作モードに移行した後、低電圧検出部27の検出結果VdectがHighレベルになった場合、モード設定部44は、ステップS11の処理に移行することができ、また、動作停止モードへ移行することもできる。動作停止モードへ移行することで、CAN割り込みがあるまで、バッテリー電力の消費を抑えることができる。
【0076】
なお、モード設定部44は、例えば、バッテリー電圧Vbatが最低通信電圧Vth2以上となる状態と最低通信電圧Vth2未満となる状態を頻繁に繰り返す場合(所定期間に所定回数以上)、最低通信電圧Vth2を上げることもできる。これにより、
図5に示す処理が頻繁に繰り返されることを抑制することができる。
【0077】
また、モード設定部44は、例えば、他の車載装置や操作検出装置12から通信バス15を介して通信処理部43へ送信される設定情報に基づいて、最低通信電圧Vth2を設定することもできる。これにより、例えば、車載装置間で最低通信電圧Vth2を共通にすることを容易に行うことができる。
【0078】
なお、上述した例では、オーディオ制御装置10の制御について具体的に説明したが、例えば、ディスプレイ装置11、ライト制御装置13、ドア制御装置14などの車載装置も同様に
図3に示す構成(アンプ部28を除く)および
図5に示す処理を適用できる。
【0079】
この場合、車載装置毎に、最低制御電圧Vth1や最低通信電圧Vth2を異ならせることができ、また、最低通信電圧Vth2を全ての車載装置で統一することで、車載装置間の通信をより適切に行うことができる。
【0080】
また、上述した電源電圧監視部45は、A/D変換器36を用いてバッテリー電圧Vbatを検出する構成であるが、
図3に示す低電圧検出部27のように、基準電圧(最低通信電圧Vth2)とバッテリー電圧Vbatとを比較するコンパレータを有する構成であってもよい。このようにすることで、マイクロコンピュータ26からA/D変換器37を減らすことができる。
【0081】
なお、バッテリー電圧Vbatが低下するのは、バッテリー16の蓄積電荷が少なくなった場合や、車両のエンジンを起動するときである。したがって、例えば、モード設定部44は、バッテリー電圧Vbatの低下に伴って最低通信電圧Vth2を上げることで、バッテリー電力の消費を低減するようにしてもよい。
【0082】
また、モード設定部44は、ACCがONになった後、最低通信電圧Vth2を所定期間だけ下げることで、エンジン起動時における待機モードの電圧範囲を広げることもできる。これによって、他の車載装置との通信をさらに適切に行うことができる。