特許第6444812号(P6444812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧
特許6444812走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法
<>
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000002
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000003
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000004
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000005
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000006
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000007
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000008
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000009
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000010
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000011
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000012
  • 特許6444812-走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444812
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20181217BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61B1/00 523
   A61B1/00 630
   A61B1/06 612
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-116866(P2015-116866)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-379(P2017-379A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
【審査官】 森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/089053(WO,A1)
【文献】 特開2012−143264(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111604(WO,A1)
【文献】 特開2012−143265(JP,A)
【文献】 特開2012−110479(JP,A)
【文献】 特開2014−46141(JP,A)
【文献】 特開2014−61227(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/020943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部から供給される照明光により被写体を走査するように構成された走査型内視鏡と、
前記走査型内視鏡から出射される前記照明光を受光領域で受光した際の受光位置に応じて異なる電圧または電流を発生する位置検出素子から出力されるアナログ信号を量子化してデジタル信号として出力するように構成された量子化部と、
前記受光領域が前記被写体として走査されている際に、前記量子化部におけるフルスケール電圧よりも狭い所定の入力電圧範囲から逸脱した信号強度を有する前記アナログ信号が前記位置検出素子から出力されないように、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を変化させるための制御を行う制御部と、
を有することを特徴とする走査型内視鏡システム。
【請求項2】
前記量子化部から出力される前記デジタル信号に基づき、前記受光領域における前記照明光の受光位置を特定するための処理を行う位置特定部をさらに有し、
前記制御部は、前記位置特定部の処理により特定された前記照明光の受光位置に基づき、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を前記受光領域の中心部から外周部にかけて増加させるための制御を行うとともに、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を前記受光領域の外周部から中心部にかけて減少させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記走査型内視鏡から出射される前記照明光により前記受光領域が渦巻状の走査経路で走査されている際に、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を前記渦巻状の走査経路の中心部から外周部にかけて増加させるための制御を行うとともに、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を前記渦巻状の走査経路の外周部から中心部にかけて減少させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記受光領域の走査に伴い、前記量子化部に入力される前記アナログ信号により示される電圧値である入力電圧値が時間的に減少して前記所定の入力電圧範囲の下限値に近づいたことを検出した際に、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を現在の出射強度から増加させるための制御を行うとともに、前記受光領域の走査に伴い、前記入力電圧値が時間的に増加して前記所定の入力電圧範囲の上限値に近づいたことを検出した際に、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を現在の出射強度から減少させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項5】
光源部から供給される照明光により被写体を走査するように構成された走査型内視鏡の較正方法であって、
量子化部が、前記走査型内視鏡から出射される前記照明光を受光領域で受光した際の受光位置に応じて異なる電圧または電流を発生する位置検出素子から出力されるアナログ信号を量子化してデジタル信号として出力するステップと、
制御部が、前記受光領域が前記被写体として走査されている際に、前記量子化部におけるフルスケール電圧よりも狭い所定の入力電圧範囲から逸脱した信号強度を有する前記アナログ信号が前記位置検出素子から出力されないように、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を変化させるための制御を行うステップと、
較正部が、前記受光領域における前記照明光の受光位置に基づいて前記走査型内視鏡の較正に用いられる情報を取得するステップと、
を有することを特徴とする走査型内視鏡の較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型内視鏡システムに関し、特に、被写体を走査して画像を取得する走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡においては、被検者の負担を軽減するために、当該被検者の体腔内に挿入される挿入部を細径化するための種々の技術が提案されている。そして、このような技術の一例として、前述の挿入部に相当する部分に固体撮像素子を有しない走査型内視鏡、及び、当該走査型内視鏡を具備して構成されたシステムが知られている。
【0003】
具体的には、走査型内視鏡を具備するシステムは、例えば、光源から発せられた照明光を照明用の光ファイバにより伝送し、当該照明用の光ファイバの先端部を揺動させるためのアクチュエータを駆動することにより被写体を所定の走査経路で2次元走査し、当該被写体からの戻り光を受光用の光ファイバで受光し、当該受光用の光ファイバで受光された戻り光に基づいて当該被写体の画像を生成するように構成されている。
【0004】
一方、走査型内視鏡を具備するシステムにおいては、被写体を走査して得られる画像の歪みを極力発生させないようにするために、例えば、前述のアクチュエータの個体差等に起因して生じる製造ばらつきを考慮しつつ、2次元走査における実際の走査経路と理想的な走査経路との間の誤差を抑制するような較正を行う必要がある。そして、例えば、特許文献1には、前述の走査型内視鏡に相当する走査ビーム・デバイスを具備する走査ビーム・システムにおいて、PSD(以降、位置検出素子とも称する)を用いて前述の較正を行っているものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、位置検出素子を用いた走査型内視鏡の較正においては、実際の走査経路における照明光の照射位置の検出に用いられる信号として、例えば、位置検出素子の受光面に設けられた受光領域の全域における相対的な位置を示すアナログ信号が位置検出素子から出力される。また、前述のアナログ信号の信号強度は、位置検出素子の受光領域で照明光を受光した際の受光強度に応じて決定される。
【0006】
そのため、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際には、例えば、位置検出素子の受光領域に照射される照明光の照射位置の時間的な変位に伴い、当該受光領域で受光される当該照明光の受光強度が変化することに起因し、当該照明光の照射位置の検出に適さない信号強度を有するアナログ信号が出力されてしまう場合がある、という問題点が生じている。
【0007】
しかし、特許文献1には、前述の問題点を解消可能な手法等について特に言及されていない。従って、特許文献1に開示された構成によれば、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度が低下してしまう、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度を従来よりも向上させることが可能な走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の走査型内視鏡システムは、光源部から供給される照明光により被写体を走査するように構成された走査型内視鏡と、前記走査型内視鏡から出射される前記照明光を受光領域で受光した際の受光位置に応じて異なる電圧または電流を発生する位置検出素子から出力されるアナログ信号を量子化してデジタル信号として出力するように構成された量子化部と、前記受光領域が前記被写体として走査されている際に、前記量子化部におけるフルスケール電圧よりも狭い所定の入力電圧範囲から逸脱した信号強度を有する前記アナログ信号が前記位置検出素子から出力されないように、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を変化させるための制御を行う制御部と、を有する。
【0010】
本発明の一態様の走査型内視鏡の較正方法は、光源部から供給される照明光により被写体を走査するように構成された走査型内視鏡の較正方法であって、量子化部が、前記走査型内視鏡から出射される前記照明光を受光領域で受光した際の受光位置に応じて異なる電圧または電流を発生する位置検出素子から出力されるアナログ信号を量子化してデジタル信号として出力するステップと、制御部が、前記受光領域が前記被写体として走査されている際に、前記量子化部におけるフルスケール電圧よりも狭い所定の入力電圧範囲から逸脱した信号強度を有する前記アナログ信号が前記位置検出素子から出力されないように、前記光源部から供給される前記照明光の出射強度を変化させるための制御を行うステップと、較正部が、前記受光領域における前記照明光の受光位置に基づいて前記走査型内視鏡の較正に用いられる情報を取得するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明における走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡の較正方法によれば、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度を従来よりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係る走査型内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の構成を説明するための図。
図3】走査型内視鏡のアクチュエータ部に供給される駆動信号の信号波形の一例を示す図。
図4】中心点Aから最外点Bに至るまでの照明光の照射位置の時間的な変位を説明するための図。
図5】最外点Bから中心点Aに至るまでの照明光の照射位置の時間的な変位を説明するための図。
図6】第1の実施例において、照明光の出射強度を段階的に変化させる際の判定基準として用いられる領域の一例を説明するための図。
図7】第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を段階的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図。
図8図7の制御に伴う照明光の出射強度の変化を説明するための図。
図9】第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を漸次かつ線形的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。
図10】第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を漸次かつ非線形的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。
図11】第2の実施例において、照明光の出射強度を変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図。
図12図11の制御を行う際に参照される入力電圧値Viの時間的な変動の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0014】
(第1の実施例)
図1から図10は、本発明の第1の実施例に係るものである。図1は、実施例に係る走査型内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0015】
走査型内視鏡システム1は、例えば、図1に示すように、光源部2と、光ファイバ3と、走査型内視鏡4と、アクチュエータ部5と、走査駆動部6と、光ファイババンドル7と、光検出部8と、画像生成部9と、表示装置10と、入力装置11と、制御部12と、を有して構成されている。
【0016】
光源部2は、被写体を照明するための照明光を生成して光ファイバ3へ供給することができるように構成されている。また、光源部2は、制御部12の制御に応じ、光ファイバ3への照明光の供給を実施または停止するとともに、当該照明光の出射強度を所定の範囲内で変化させることができるように構成されている。
【0017】
具体的には、光源部2は、例えば、制御部12の制御に応じて発光状態(オン状態)または消光状態(オフ状態)に切替可能な赤色(R)光用レーザ光源、緑色(G)光用レーザ光源、及び、青色(B)光用レーザ光源を具備して構成されている。また、光源部2は、R光、G光及びB光のうちの少なくとも1つの色の光を照明光として光ファイバ3に供給することができるとともに、制御部12の制御に応じて各レーザ光源の出力を変化させることにより、当該照明光の出射強度を所定の範囲内で変化させることができるように構成されている。
【0018】
光ファイバ3は、例えば、シングルモードファイバ等により構成されている。光ファイバ3の光入射面を含む入射端部は、光源部2に接続されている。また、光ファイバ3の光出射面を含む出射端部は、走査型内視鏡4の先端部に配置されている。すなわち、光ファイバ3は、光源部2から供給される照明光を伝送し、当該伝送した照明光を出射端部から被写体へ出射することができるように構成されている。
【0019】
走査型内視鏡4は、被検者の体腔内に挿入可能な細長形状を具備し、光源部2から供給される照明光により当該体腔内に存在する被写体を走査することができるように構成されている。
【0020】
走査型内視鏡4の内部には、光ファイバ3と、光ファイババンドル7と、がそれぞれ挿通されている。また、走査型内視鏡4の内部には、走査駆動部6から供給される駆動信号に応じて光ファイバ3の出射端部を揺動するように構成されたアクチュエータ部5と、渦巻状の走査経路に沿って被写体を走査するための信号波形を示す情報が少なくとも格納されているメモリ16と、が設けられている。
【0021】
光ファイバ3及びアクチュエータ部5は、走査型内視鏡4の長手軸方向に垂直な断面において、例えば、図2に示す位置関係を具備するようにそれぞれ配置されている。図2は、走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の構成を説明するための図である。
【0022】
光ファイバ3とアクチュエータ部5との間には、図2に示すように、接合部材としてのフェルール41が配置されている。具体的には、フェルール41は、例えば、ジルコニア(セラミック)またはニッケル等により形成されている。
【0023】
フェルール41は、図2に示すように、四角柱として形成されており、走査型内視鏡4の長手軸方向に直交する第1の軸方向であるX軸方向に対して垂直な側面42a及び42cと、走査型内視鏡4の長手軸方向に直交する第2の軸方向であるY軸方向に対して垂直な側面42b及び42dとを有している。また、フェルール41の中心には、光ファイバ3が固定配置されている。なお、フェルール41は、柱形状を具備する限りにおいては、四角柱以外の他の形状として形成されていてもよい。
【0024】
アクチュエータ部5は、走査駆動部6から供給される駆動信号に基づいて光ファイバ3の出射端部を揺動することにより、当該出射端部を経て被写体へ出射される照明光の照射位置を所定の走査経路に沿って変位させることができるように構成されている。また、アクチュエータ部5は、図2に示すように、側面42aに沿って配置された圧電素子5aと、側面42bに沿って配置された圧電素子5bと、側面42cに沿って配置された圧電素子5cと、側面42dに沿って配置された圧電素子5dと、を有している。
【0025】
圧電素子5a〜5dは、予め個別に設定された分極方向を具備するとともに、走査駆動部6から供給される駆動信号に応じて伸縮するように構成されている。
【0026】
走査駆動部6は、例えば、駆動回路を具備して構成されている。また、走査駆動部6は、制御部12の制御に基づき、アクチュエータ部5を駆動させるための駆動信号を生成し、当該生成した駆動信号をアクチュエータ部5に供給するように構成されている。
【0027】
光ファイババンドル7は、例えば、複数の光ファイバを束ねて構成されている。光ファイババンドル7の入射端部は、走査型内視鏡4の先端部に配置されている。また、光ファイババンドル7の光出射面を含む出射端部は、光検出部8に接続されている。すなわち、光ファイババンドル7は、走査型内視鏡4の先端部において被写体からの戻り光(反射光)を受光するとともに、当該受光した戻り光を光検出部8へ伝送することができるように構成されている。
【0028】
光検出部8は、例えば、光検出素子及びA/D変換器等を具備して構成されている。また、光検出部8は、光ファイババンドル7の出射端部を経て入射される戻り光を検出し、当該検出した戻り光の出射強度に応じた電気信号を生成し、当該生成した電気信号をデジタル信号に変換して順次出力するように構成されている。
【0029】
画像生成部9は、例えば、画像処理回路等を具備して構成されている。また、画像生成部9は、制御部12の制御に基づき、例えば、第1の渦巻状の走査経路(後述)及び第2の渦巻状の走査経路(後述)のうちの一方の走査経路で被写体を走査している期間中に光検出部8から出力されるデジタル信号に応じた輝度値を画素情報としてマッピングするマッピング処理等を行うことにより1フレーム分の観察画像を生成し、当該生成した観察画像を表示装置10へ出力するように構成されている。
【0030】
表示装置10は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成されている。また、表示装置10は、画像生成部9から出力される観察画像等を表示することができるように構成されている。
【0031】
入力装置11は、例えば、ユーザ及び作業者等の人物による操作が可能なスイッチ及び/またはボタン等の入力インターフェースを具備して構成されている。また、入力装置11は、ユーザ及び作業者等の人物の操作に応じた種々の指示を制御部12に対して行うことができるように構成されている。具体的には、入力装置11には、例えば、走査型内視鏡4の較正に係る動作を実施させるための指示を行うことが可能なスイッチであるキャリブレーションスイッチ(不図示)が設けられている。
【0032】
制御部12は、例えば、制御回路を具備し、光源部2、走査駆動部6及び画像生成部9のそれぞれに対して制御を行うように構成されている。
【0033】
制御部12は、例えば、走査型内視鏡システム1の電源が投入された際に、メモリ16に格納されている情報を読み込むように構成されている。また、制御部12は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、例えば、R光、G光及びB光を時分割で被写体に照射しつつ、渦巻状の走査経路で当該被写体を走査するための制御を行うように構成されている。
【0034】
具体的には、制御部12は、例えば、図3の破線で示すような第1の信号波形と、図3の一点鎖線で示すような第2の信号波形と、がメモリ16に格納されている場合において、当該第1の信号波形を具備する第1の駆動信号と、当該第2の信号波形を具備する第2の駆動信号と、を生成させるための制御を走査駆動部6に対して行うとともに、光ファイバ3への照明光の供給を実施させるための制御を光源部2に対して行う。また、走査駆動部6は、制御部12の制御に基づいて生成した第1の駆動信号をアクチュエータ部5の圧電素子5a及び5cに供給するとともに、制御部12の制御に基づいて生成した第2の駆動信号をアクチュエータ部5の圧電素子5b及び5dに供給する。なお、図3の破線で示した第1の信号波形は、例えば、所定の変調を正弦波に施して得られる波形である。また、図3の一点鎖線で示した第2の信号波形は、例えば、前述の第1の信号波形の位相を90°ずらして得られる波形である。図3は、走査型内視鏡のアクチュエータ部に供給される駆動信号の信号波形の一例を示す図である。
【0035】
そして、以上に述べたような制御及び動作が行われることにより、光ファイバ3の出射端部が渦巻状に揺動されるとともに、図4及び図5に示すような渦巻状の走査経路に沿って被写体の表面が走査される。図4は、中心点Aから最外点Bに至るまでの照明光の照射位置の時間的な変位を説明するための図である。図5は、最外点Bから中心点Aに至るまでの照明光の照射位置の時間的な変位を説明するための図である。
【0036】
具体的には、まず、時刻T1においては、被写体の表面における照明光の照射位置の中心点Aに相当する位置に照明光が照射される。その後、第1及び第2の駆動信号の振幅が時刻T1から時刻T2にかけて増加するに伴い、被写体の表面における照明光の照射位置が、中心点Aを起点として外側へ向かう第1の渦巻状の走査経路に沿って変位し、さらに、時刻T2に達すると、被写体の表面における照明光の照射位置の最外点Bに照明光が照射される。そして、第1及び第2の駆動信号の振幅が時刻T2から時刻T3にかけて減少するに伴い、被写体の表面における照明光の照射位置が、最外点Bを起点として内側へ向かう第2の渦巻状の走査経路に沿って変位し、さらに、時刻T3に達すると、被写体の表面における中心点Aに照明光が照射される。
【0037】
制御部12は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、例えば、第1の渦巻状の走査経路及び第2の渦巻状の走査経路のうちの一方の走査経路で被写体を走査している期間中に光検出部8から出力されるデジタル信号を用いて1フレーム分の画像を生成させるとともに、当該一方の走査経路とは異なる他方の走査経路で当該被写体を走査している期間中に光検出部8から出力されるデジタル信号を用いた画像を生成させないようにするための制御を画像生成部9に対して行うように構成されている。
【0038】
制御部12は、A/D変換回路121と、演算処理回路122と、を有して構成されている。また、制御部12は、キャリブレーションスイッチの操作に応じた指示がなされたことを検知した際に、メモリ16から読み込んだ情報と、PSD101から出力される出力信号と、に基づき、走査型内視鏡4の較正に係る動作を行うように構成されている。また、制御部12は、走査型内視鏡4の較正に係る動作を行っている最中に、すなわち、走査型内視鏡4から出射される照明光によりPSD101の受光領域が走査されている際に、A/D変換回路121の所定の入力電圧範囲(後述)から逸脱した信号強度を有するアナログ信号がPSD101から出力されないように、光源部2から供給される照明光の出射強度を変化させるための制御を行うように構成されている。
【0039】
PSD101は、走査型内視鏡4から出射される照明光を、受光面に設けられた受光領域で受光することができるように構成されている。また、PSD101は、走査型内視鏡4から出射される照明光を受光領域で受光した際に、当該照明光の受光位置に応じて異なる電圧または電流を発生するとともに、当該発生した電圧または当該発生した電流の大きさに相当する電圧値を信号強度(振幅)とするアナログ信号を生成して出力するように構成されている。すなわち、PSD101は、走査型内視鏡4から出射される照明光の照射位置を検出し、当該検出した照射位置を受光領域の全域における相対的な位置として示すアナログ信号を生成して出力するように構成されている。
【0040】
A/D変換回路121は、例えば、PSD101から出力されるアナログ信号により示される電圧値を所定の入力電圧範囲及び所定の分解能に応じたデジタルデータに変換し、当該変換したデジタルデータを有するデジタル信号を出力するように構成されている。なお、前述の所定の入力電圧範囲は、例えば、A/D変換回路121のフルスケール電圧の5%〜95%のような、A/D変換回路121のフルスケール電圧よりも狭い範囲として規定されるものとする。また、前述の所定の入力電圧範囲は、演算処理回路122がA/D変換回路121から出力されるデジタル信号に基づいてPSD101の受光領域における照明光の受光位置を正確に特定することが可能な電圧の範囲として規定されるものとする。
【0041】
演算処理回路122は、位置特定部としての機能を有し、キャリブレーションスイッチの操作に応じた指示がなされたことを検知した際に、A/D変換回路121から出力されるデジタル信号に基づき、PSD101の受光領域における照明光の受光位置を特定するための処理を行うように構成されている。具体的には、演算処理回路122は、キャリブレーションスイッチの操作に応じた指示がなされたことを検知した際に、A/D変換回路121から出力されるデジタル信号に基づき、例えば、PSD101の受光領域における照明光の受光位置を所定のメッシュパターン上の座標値としてマッピングする処理を行うように構成されている。なお、前述の所定のメッシュパターンは、例えば、A/D変換回路121における所定の入力電圧範囲及び所定の分解能に応じてPSD101の受光領域を格子状の小領域に分割するような図形パターンであるとともに、格子状に分割された各小領域の位置を座標値として得ることが可能な図形パターンとして設定されるものとする。
【0042】
演算処理回路122は、前述の所定のメッシュパターン上にマッピングした各座標値と、当該所定のメッシュパターン上における理想的な走査経路を示す各座標値と、を比較することにより、走査型内視鏡4の較正に用いられるデータである較正用データを取得するとともに、当該取得した較正用データをメモリ16に格納するように構成されている。
【0043】
すなわち、演算処理回路122は、較正部としての機能を具備し、PSD101の受光領域における照明光の受光位置に基づいて走査型内視鏡4の較正に用いられる情報を取得するように構成されている。
【0044】
なお、本実施例においては、前述の理想的な走査経路を示す各座標値が、例えば、メモリ16に格納されている(図3に示したような)信号波形に応じた渦巻状の走査経路で被写体を走査した際の照明光の照射位置を示す座標値として取得されるものとする。
【0045】
また、本実施例においては、前述の較正用データとして、例えば、図3に示した信号波形の振幅等のパラメータを調整するためのデータが取得されるものであってもよく、または、画像生成部9において生成される観察画像の歪みを抑制するためのデータが取得されるものであってもよい。
【0046】
続いて、本実施例に係る走査型内視鏡システム1の動作等について説明する。
【0047】
作業者は、走査型内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、走査型内視鏡4の先端部をPSD101の受光面に対向する位置に配置した状態において、入力装置11のキャリブレーションスイッチを操作することにより、走査型内視鏡4の較正に係る動作を実施させるための指示を行う。なお、以降においては、渦巻状の走査経路における中心点Aと、PSD101の受光領域RAの中心と、が一致するように配置された状態でキャリブレーションスイッチが操作された場合を例に挙げて説明を行う。
【0048】
制御部12は、走査型内視鏡システム1の電源が投入された際に、メモリ16に格納されている情報を読み込む。また、制御部12は、キャリブレーションスイッチが操作されたことを検知した際に、メモリ16に格納されている情報に基づき、渦巻状の走査経路でPSD101の受光領域RAを走査するための制御を行う。そして、このような制御部12の制御に伴い、走査型内視鏡4から出射される照明光の受光位置に応じて生成されたアナログ信号がPSD101から出力され、当該アナログ信号に応じたデジタルデータを有するデジタル信号がA/D変換回路121から出力され、当該デジタル信号に基づいて受光領域RAにおける照明光の受光位置を座標値として特定するための処理が演算処理回路122により行われる。
【0049】
制御部12は、演算処理回路122の処理により得られた座標値に基づき、光源部2から供給される照明光の出射強度を、最小出射強度Pminより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい範囲内において段階的に変化させるための制御を行う。
【0050】
具体的には、制御部12は、演算処理回路122の処理により得られた座標値に基づき、例えば、PSD101の受光領域RAに照射された照明光の現在の照射位置が、図6に示すような、受光領域RAの中心部に位置しかつ受光領域RAの中心を中心とする矩形形状の領域として設定された領域AS1、受光領域RAの中間部に位置しかつ領域AS1の周囲を囲う矩形枠状の領域として設定された領域AS2、及び、受光領域RAの外周部に位置しかつ領域AS2の周囲を囲う矩形枠状の領域として設定された領域AS3のうちのいずれに属するかを判定する。図6は、第1の実施例において、照明光の出射強度を段階的に変化させる際の判定基準として用いられる領域の一例を説明するための図である。
【0051】
なお、本実施例においては、例えば、PSD101の受光領域RAの走査が開始される前までに、領域AS1、AS2及びAS3の設定に係る処理等が行われることにより、当該領域AS1、AS2及びAS3のそれぞれに含まれ得る座標値に関する情報を制御部12が既知の情報として扱うことが可能な状態になっているものとする。
【0052】
そして、制御部12は、例えば、PSD101に照射された照明光の現在の照射位置が領域AS1に属するとの判定結果を得た際には、光源部2から供給される照明光の出射強度を、最小出射強度Pminより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PLに設定するための制御を行う。
【0053】
制御部12は、例えば、PSD101に照射された照明光の現在の照射位置が領域AS2に属するとの判定結果を得た際には、光源部2から供給される照明光の出射強度を、出射強度PLより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PMに設定するための制御を行う。
【0054】
制御部12は、例えば、PSD101に照射された照明光の現在の照射位置が領域AS3に属するとの判定結果を得た際には、光源部2から供給される照明光の出射強度を、出射強度PMより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PHに設定するための制御を行う。
【0055】
すなわち、本実施例に係る制御部12は、演算処理回路122の処理により特定された照明光の受光位置に基づき、光源部2から供給される照明光の出射強度を受光領域RAの中心部から外周部にかけて段階的に増加させるための制御を行うとともに、光源部2から供給される照明光の出射強度を受光領域RAの外周部から中心部にかけて段階的に減少させるための制御を行っている。
【0056】
演算処理回路122は、光源部2から供給される照明光の出射強度を変化させるための制御が行われた後にA/D変換回路121から出力されるデジタル信号に基づいて得られた各座標値と、理想的な走査経路を示す各座標値と、を比較することにより、走査型内視鏡4の較正に用いられるデータである較正用データを取得する。そして、演算処理回路122は、較正用データをメモリ16に格納することにより、走査型内視鏡4の較正に係る動作を完了する。
【0057】
以上に述べたように、本実施例によれば、例えば、PSD101の受光領域RAの中心部が走査されている場合に、光源部2から供給される照明光の出射強度を相対的に低めるような制御が行われることにより、A/D変換回路121における入力電圧範囲の上限電圧値よりも大きな信号強度を具備するアナログ信号がPSD101から出力されることを極力抑制することができる。また、本実施例によれば、例えば、PSD101の受光領域RAの外周部が走査されている場合に、光源部2から供給される照明光の出射強度を相対的に高めるような制御が行われることにより、A/D変換回路121における入力電圧範囲の下限電圧値よりも小さな信号強度を具備するアナログ信号がPSD101から出力されることを極力抑制することができる。従って、本実施例によれば、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度を従来よりも向上させることができる。
【0058】
なお、本実施例においては、演算処理回路122の処理により特定された照明光の受光位置に基づき、光源部2から供給される照明光の出射強度を領域AS1、AS2及びAS3毎に段階的に変化させるための制御が行われるものに限らず、例えば、光源部2から供給される照明光の出射強度を受光領域RAの中心部から外周部にかけて無段階にまたは漸次増加させるための制御が行われるとともに、光源部2から供給される照明光の出射強度を受光領域RAの外周部から中心部にかけて無段階にまたは漸次減少させるための制御が行われるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例は、光源部2から供給される照明光の出射強度を、光源部2から供給される照明光の光量に置き換えた場合であっても略同様に適用される。
【0060】
一方、本実施例においては、光源部2から供給される照明光の出射強度を変化させるための制御が、PSD101に照射された照明光の現在の照射位置の検出結果に基づいて行われるものに限らず、例えば、渦巻状の走査経路でPSD101の受光領域RAを走査する際に用いられる信号波形に基づいて行われるようにしてもよい。このような変形例に係る具体的な制御について、以下に説明する。なお、以降においては、簡単のため、既述の構成等に関する具体的な説明を適宜省略するものとする。
【0061】
制御部12は、PSD101の受光領域RAの走査が開始される前に、メモリ16から読み込んだ情報に含まれる信号波形に基づき、時刻T1、T2及びT3に相当する各タイミングを特定するとともに、時刻T1からT3までの期間内において、時刻T2から時間tpだけ前のタイミングに相当する時刻Taと、時刻T2から時間tpより短い時間tqだけ前のタイミングに相当する時刻Tbと、時刻T2から時間tqだけ後のタイミングに相当する時刻Tcと、時刻T2から時間tpだけ後のタイミングに相当する時刻Tdと、をそれぞれ設定する。
【0062】
制御部12は、前述のように特定した時刻T1〜T3と、前述のように設定した時刻Ta〜Tdと、に基づき、光源部2から供給される照明光の出射強度を、最小出射強度Pminより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい範囲内において段階的に変化させるための制御を行う。
【0063】
具体的には、制御部12は、前述のように特定した時刻T1〜T3と、前述のように設定した時刻Ta〜Tdと、に基づき、例えば、図7に示すように、時刻T1からTaまでの期間、及び、時刻TdからT3までの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PLに設定するための制御を行う。そして、このような制御部12の制御に伴い、例えば、図8のような領域として示される、受光領域RAの中心部に位置しかつ受光領域RAの中心を中心とする略円形形状の領域AC1が渦巻状に走査される際に、出射強度PLの照明光が走査型内視鏡4から出射される。図7は、第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を段階的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。図8は、図7の制御に伴う照明光の出射強度の変化を説明するための図である。
【0064】
また、制御部12は、前述のように特定した時刻T1〜T3と、前述のように設定した時刻Ta〜Tdと、に基づき、例えば、図7に示すように、時刻TaからTbまでの期間、及び、時刻TcからTdまでの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PMに設定するための制御を行う。そして、このような制御部12の制御に伴い、例えば、図8のような領域として示される、受光領域RAの中間部に位置しかつ領域AC1の周囲を囲う略円環形状の領域AC2が渦巻状に走査される際に、出射強度PMの照明光が走査型内視鏡4から出射される。
【0065】
また、制御部12は、前述のように特定した時刻T1〜T3と、前述のように設定した時刻Ta〜Tdと、に基づき、例えば、図7に示すように、時刻TbからTcまでの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PHに設定するための制御を行う。そして、このような制御部12の制御に伴い、例えば、図8のような領域として示される、受光領域RAの外周部に位置しかつ領域AC2の周囲を囲う略円環形状の領域AC3が渦巻状に走査される際に、出射強度PHの照明光が走査型内視鏡4から出射される。
【0066】
すなわち、本変形例に係る制御部12は、走査型内視鏡4から出射される照明光により受光領域RAが渦巻状の走査経路で走査されている際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を当該渦巻状の走査経路の中心部から外周部にかけて増加させるための制御を行うとともに、光源部2から供給される照明光の出射強度を当該渦巻状の走査経路の外周部から中心部にかけて減少させるための制御を行っている。
【0067】
そして、以上に述べたような本変形例に係る制御が行われた場合においても、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度を従来よりも向上させることができる、という作用効果が得られる。
【0068】
なお、本変形例においては、渦巻状の走査経路でPSD101の受光領域RAを走査する際に用いられる信号波形に基づき、光源部2から供給される照明光の出射強度を段階的に変化させるための制御が行われるものに限らず、例えば、図9及び図10に示すように、光源部2から供給される照明光の出射強度を無段階にまたは漸次変化させるための制御が行われるようにしてもよい。図9は、第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を漸次かつ線形的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。図10は、第1の実施例の変形例において、照明光の出射強度を漸次かつ非線形的に変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。
【0069】
具体的には、例えば、図9に示すように、時刻T1からT2までの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PLからPHへ漸次かつ線形的に増加させてゆくような制御が行われ、時刻T2からT3までの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PHからPLへ漸次かつ線形的に減少させてゆくような制御が行われるようにしてもよい。
【0070】
または、例えば、図10に示すように、時刻T1からT2までの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PLからPHへ漸次かつ非線形的に増加させてゆくような制御が行われ、時刻T2からT3までの期間において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PHからPLへ漸次かつ非線形的に減少させてゆくような制御が行われるようにしてもよい。
【0071】
(第2の実施例)
図11及び図12は、本発明の第2の実施例に係るものである。
【0072】
なお、本実施例は、第1の実施例と同様の構成を有する走査型内視鏡システム1において、PSD101の受光領域RAを走査する際に光源部2から供給される照明光の出射強度を第1の実施例とは異なる制御により変化させるものである。そのため、本実施例においては、走査型内視鏡システム1の各部の構成に関する詳細な説明を省略するとともに、走査型内視鏡システム1の動作に関する部分に主眼を置いて説明を行う。
【0073】
また、本実施例においては、A/D変換回路121のフルスケール電圧が最小電圧値Vminから最大電圧値Vmaxまでの範囲で設定されているとともに、当該フルスケール電圧の範囲内において、PSD101から出力されるアナログ信号を好適に量子化することが可能なA/D変換回路121の入力電圧範囲の下限電圧値VL及び上限電圧値VHが設定されている場合を例に挙げて説明を行う。
【0074】
作業者は、走査型内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、走査型内視鏡4の先端部をPSD101の受光面に対向する位置に配置した状態において、入力装置11のキャリブレーションスイッチを操作することにより、走査型内視鏡4の較正に係る動作を実施させるための指示を行う。
【0075】
制御部12は、走査型内視鏡システム1の電源が投入された際に、メモリ16に格納されている情報を読み込む。また、制御部12は、キャリブレーションスイッチが操作されたことを検知した際に、メモリ16に格納されている情報に基づき、渦巻状の走査経路でPSD101の受光領域RAを走査するための制御を行う。そして、このような制御部12の制御に伴い、走査型内視鏡4から出射される照明光の受光位置に応じて生成されたアナログ信号がPSD101から出力され、当該アナログ信号に応じたデジタルデータを有するデジタル信号がA/D変換回路121から出力され、当該デジタル信号に基づいて受光領域RAにおける照明光の受光位置を座標値として特定するための処理が演算処理回路122により行われる。
【0076】
制御部12は、A/D変換回路121から出力されるデジタル信号に基づき、A/D変換回路121に入力されるアナログ信号により示される電圧値である入力電圧値Viの時間的な変動をモニタリングすることにより、当該入力電圧値ViがA/D変換回路121の入力電圧範囲から逸脱しないように、光源部2から供給される照明光の出射強度を変化させるための制御を行う。このような制御の具体例について、図11及び図12を参照しつつ以下に説明する。図11は、第2の実施例において、照明光の出射強度を変化させる際に行われる制御の一例を説明するための図である。図12は、図11の制御を行う際に参照される入力電圧値Viの時間的な変動の一例を示す図である。
【0077】
制御部12は、例えば、図11に示すように、時刻T1において、光源部2から供給される照明光の出射強度を、最小出射強度Pminより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PTLから、当該出射強度PTLより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PTMに漸次増加させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図12に示すように、入力電圧値Viの大きさが上限電圧値VHから漸次減少してゆく。
【0078】
制御部12は、入力電圧値Viの時間的な変動をモニタリングすることにより、例えば、図11及び図12に示すように、時刻T1よりも後でありかつ時刻T2よりも前のタイミングである時刻Teにおいて、入力電圧値Viの大きさが、上限電圧値VHよりも小さな電圧閾値VHTに達したことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMに維持させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図12に示すように、入力電圧値Viの大きさが電圧閾値VHTから漸次減少してゆく。
【0079】
ここで、PSD101とA/D変換回路121との組み合わせ次第では、例えば、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMに維持したまま受光領域RAの走査を続けた際に、入力電圧値Viの大きさが下限電圧値VLよりも小さくなることにより、渦巻状の走査経路の最外周付近に照射された照明光の照射位置を正確に特定することができなくなってしまう場合がある、という問題が発生する。
【0080】
これに対し、本実施例においては、中心点Aから最外点Bへ向かう第1の渦巻状の走査経路で受光領域RAを走査している期間中に、入力電圧値Viの大きさが漸次減少して下限電圧値VLに近づいたことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を増加させるための制御を行うことにより、前述のような問題の発生を防ぐようにしている。
【0081】
具体的には、制御部12は、入力電圧値Viの時間的な変動をモニタリングすることにより、時刻Teよりも後でありかつ時刻T2よりも前のタイミングである時刻Tfにおいて、入力電圧値Viの大きさが、電圧閾値VHTよりも小さくかつ下限電圧値VLよりも大きな電圧閾値VLTに達したことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を、出射強度PTMから、当該出射強度PTMより大きくかつ最大出射強度Pmaxより小さい出射強度PTHに漸次増加させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図11及び図12に示すように、時刻Tfから時刻T2までの期間における入力電圧値Viの大きさの時間的な減少度合いを、時刻Teから時刻Tfまでの期間における入力電圧値Viの大きさの時間的な減少度合いに比べて緩やかにすることができ、その結果、入力電圧値Viの大きさが漸次減少して下限電圧値VLよりも小さくなることを防ぐことができる。
【0082】
一方、制御部12は、例えば、図11に示すように、時刻T2において、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTHから出射強度PTMに漸次減少させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図12に示すように、入力電圧値Viの大きさが下限電圧値VLから漸次増加してゆく。
【0083】
制御部12は、入力電圧値Viの時間的な変動をモニタリングすることにより、例えば、図11及び図12に示すように、時刻T2よりも後でありかつ時刻T3よりも前のタイミングである時刻Tgにおいて、入力電圧値Viの大きさが電圧閾値VLTに達したことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMに維持させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図12に示すように、入力電圧値Viの大きさが電圧閾値VLTから漸次増加してゆく。
【0084】
ここで、PSD101とA/D変換回路121との組み合わせ次第では、例えば、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMに維持したまま受光領域RAの走査を続けた際に、入力電圧値Viの大きさが上限電圧値VHよりも大きくなることにより、渦巻状の走査経路の中心部付近に照射された照明光の照射位置を正確に特定することができなくなってしまう場合がある、という問題が発生する。
【0085】
これに対し、本実施例においては、最外点Bから中心点Aへ向かう第2の渦巻状の走査経路で受光領域RAを走査している期間中に、入力電圧値Viの大きさが漸次増加して上限電圧値VHに近づいたことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を減少させるための制御を行うことにより、前述のような問題の発生を防ぐようにしている。
【0086】
具体的には、制御部12は、入力電圧値Viの時間的な変動をモニタリングすることにより、時刻Tgよりも後でありかつ時刻T3よりも前のタイミングである時刻Thにおいて、入力電圧値Viの大きさが電圧閾値VHTに達したことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMから出射強度PTLに漸次減少させるための制御を行う。そして、このような制御によれば、例えば、図11及び図12に示すように、時刻Thから時刻T3までの期間における入力電圧値Viの大きさの時間的な増加度合いを、時刻Tgから時刻Thまでの期間における入力電圧値Viの大きさの時間的な増加度合いに比べて緩やかにすることができ、その結果、入力電圧値Viの大きさが漸次増加して上限電圧値VHよりも大きくなることを防ぐことができる。
【0087】
すなわち、本実施例に係る制御部12は、受光領域RAの走査に伴い、入力電圧値Viが時間的に減少して下限電圧値VLに近づいたことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMから出射強度PTHに増加させるための制御を行っている。また、本実施例に係る制御部12は、受光領域RAの走査に伴い、入力電圧値Viが時間的に増加して上限電圧値VHに近づいたことを検出した際に、光源部2から供給される照明光の出射強度を出射強度PTMから出射強度PTLに減少させるための制御を行っている。
【0088】
そして、以上に述べたような本実施例に係る制御が行われた場合においても、位置検出素子を用いて走査型内視鏡を較正する際の較正精度を従来よりも向上させることができる、という第1の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0089】
なお、本発明は、上述した各実施例及び変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1 走査型内視鏡システム
2 光源部
3 光ファイバ
4 走査型内視鏡
5 アクチュエータ部
6 走査駆動部
7 光ファイババンドル
8 光検出部
9 画像生成部
10 表示装置
11 入力装置
12 制御部
16 メモリ
101 PSD
121 A/D変換回路
122 演算処理回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】日本国特許第5190267号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12