特許第6444822号(P6444822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6444822群管理エレベータ制御装置、及び乗りかごの待機階床を決定する乗りかご制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444822
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】群管理エレベータ制御装置、及び乗りかごの待機階床を決定する乗りかご制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20181217BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B66B1/18 J
   B66B3/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-134097(P2015-134097)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13983(P2017-13983A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】西田 武央
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】星野 孝道
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/070124(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/168217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の号機を群管理制御する群管理手段を備えた群管理エレベータ制御装置において、
前記群管理手段は、
ロビー階の乗場の乗降口に向かう利用者を検出する乗場到着検出手段と、
前記乗場到着検出手段が利用者を検出したときに、利用者が乗降口に到着するまでの移動時間を算出する移動時間算出手段と、
前記移動時間算出手段からの移動時間に基づいて決められた所定時間内に乗りかごがロビー階の乗降口に到着することができるロビー階以外の待機階床と、前記待機階床に前記乗りかごを待機させるための少なくとも一台の号機を評価する号機評価手段と、
前記号機評価手段による評価結果に基づいて前記少なくも一台の号機と前記待機階床を決定し、決定された前記少なくも一台の号機の前記乗りかごを決定された前記待機階床に待機させる号機決定手段とを備え、
前記号機評価手段によって、前記待機階床に前記乗りかごが待機していると評価されると、前記群管理手段は、前記乗場到着検出手段によって前記利用者を検出すると、前記待機階床で待機している前記乗りかごを前記乗降口に向けて移動させ、
更に、前記号機評価手段が前記待機階床に前記乗りかごが待機していると評価し、次に前記ロビー階に他の号機の前記乗りかごがあると評価すると、前記号機評価手段による評価結果に基づいて前記号機決定手段は、前記ロビー階にいる前記他の号機の前記乗りかごを前記待機階床に移動させることを特徴とする群管理エレベータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の群管理エレベータ制御装置において、
前記所定時間とは、前記乗場到着検出手段で前記利用者の到着が検出され、前記利用者が前記乗降口に到着するために必要とする時間であることを特徴とする群管理エレベータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の群管理エレベータ制御装置において、
前記待機階床は店舗、病医院等の特別施設が設置されている階床であることを特徴とする群管理エレベータ制御装置。
【請求項4】
複数の号機を群管理制御する群管理手段を備えた群管理エレベータ制御装置において、
前記群管理手段は、
ロビー階の乗場の乗降口に向かう利用者を検出する乗場到着検出手段と、
前記乗場到着検出手段が利用者を検出したときに、利用者が乗降口に到着するまでの移動時間を算出する移動時間算出手段と、
前記移動時間算出手段からの移動時間に基づいて決められた所定時間内に乗りかごがロビー階の乗降口に到着することができるロビー階以外の待機階床と、前記待機階床に前記乗りかごを待機させるための少なくとも一台の号機を評価する号機評価手段と、
前記号機評価手段による評価結果に基づいて前記少なくも一台の号機と前記待機階床を決定し、決定された前記少なくも一台の号機の前記乗りかごを決定された前記待機階床に待機させる号機決定手段とを備え、
更に、前記乗降口からの距離が前記乗場到着検出手段より長く、前記ロビー階の前記乗場に繋がる出入口にビル到着検出手段を配置し、
前記移動時間算出手段は前記ビル到着検出手段から前記乗場までの移動時間を求め、
前記号機評価手段及び前記号機決定手段は、前記待機階床に前記乗りかごが待機していない場合は、前記乗場までの前記移動時間内に前記待機階床に到着することができる号機を割り出して前記待機階床に前記乗りかごを移動させることを特徴とする群管理エレベータ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の群管理エレベータ制御装置において、
前記ビル到着検出手段は異なる出入口にそれぞれ配置されていることを特徴とする群管理エレベータ制御装置。
【請求項6】
複数の号機を群管理制御する群管理手段を備え、前記群管理手段によって乗りかごの待機階床を決定する乗りかごの制御方法において、
前記群管理手段は、
利用者がロビー階の乗場の所定位置から乗降口に到着するまでの利用者の移動時間を求め、
この求められた移動時間に対応した所定時間内に前記乗りかごが前記乗降口に到着することができるロビー階以外の前記待機階床と、前記待機階床に前記乗りかごを待機させるための少なくとも一台の号機を求め、
前記少なくも一台の号機と前記待機階床を決定し、決定された前記少なくも一台の号機の前記乗りかごを決定された前記待機階床に待機させると共に、
更に、前記ロビー階の前記乗場に繋がる出入口の所定位置から前記乗場までの利用者の移動時間を求め、
前記待機階床に前記乗りかごが待機していない場合は、前記乗場までの移動時間内に前記待機階床に到着することができる号機を割り出して前記待機階床に前記乗りかごを移動させることを特徴とする乗りかごの待機階床を決定する乗りかご制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は群管理エレベータ制御装置に係り、特に乗りかごの待機階を制御する群管理エレベータ制御装置及び乗りかごの待機階床を決定する乗りかご制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的規模の大きなビルにおいては、エレベータによる乗客輸送能力を向上させるため複数のエレベータを併設し、乗場での呼び登録に際して、最適な乗りかごを選択してサービスさせるシステムを導入している。更にビルの規模が大きくなるにつれ、併設されるエレベータの台数も多くなり、これら複数のエレベータを群管理装置により、適切に制御して利用者に対する待ち時間の低減などのサービス向上を図っている。
【0003】
このような群管理エレベータ装置においては、例えば、特開平8−85681号公報(特許文献1)、特開平3−67873号公報(特許文献2)、特開2005−231881号公報(特許文献3)等において種々のシステムが提案されている。
【0004】
特許文献1においては、ホール呼びに対して適当な評価関数を用いて応答するのに最適なエレベータを選択する手段と、割当てホール呼びもかご呼びも持たない待機エレベータを検出する手段と、待機エレベータが発生すると再割当て見直しを要求する手段とを有する群管理エレベータ装置が記載されている。これによれば、割当てホール呼びもかご呼びも持たず、戸閉め待機している待機エレベータを検出した場合に、待機エレベータの近傍階の割当て済みホール呼び、又は混雑階、優先階、ロビー階の割当て済みホール呼びの割当てを再見直しすることで、待機エレベータの温存による利用者のサービス低下を防止することができる。
【0005】
また、特許文献2においては、検出された空かごの中から適正なものを選択して待機指令を出力する分散待機指令出力手段と、同様に待機指令を出力する特定階指令手段と、分散待機指令を記憶する分散待機指令記憶手段と、分散待機指令を記憶する特定階待機指令記憶手段とを設け、分散待機指令出力手段及び特定階待機指令出力手段は分散待機指令記憶手段及び特定階待機指令記憶手段に記憶されている待機指令を受けたかごを除外したかごから待機かごを選択する群管理エレベータ装置が記載されている。これによれば、分散待機指令記憶手段及び特定階待機指令記憶手段により、空きかごを既に1度待機させたことがあるものと、そうでないものとに区別し、既に待機させたことのあるものは除外して空きかごを選択待機させることで、空きかごの無駄な走行を排除することができる。
【0006】
また、特許文献3においては、在館者の位置検出等により、W階の在館者がW階でホール呼びを押すまでに必要な利用推定時間Te(W)を推定し、この間はW階でホール呼びが発生しないとの推定に基き、X階に発生したホール呼びに対する割当て制御を行うようにするもので、例えば、k号機について、W階の利用推定時間Te(W)と、X階ホール呼びサービス後のW階の到着予測時間Ta(k、X→W)との差が所定値より小さければ、近い将来にW階でホール呼びを押すであろう利用者の待ち時間が長くはならないと見て、
X階ホール呼びに割当てる群管理エレベータ装置が記載されている。これによれば、ホール呼びの発生が有り得ない情報を利用して、利用者の待ち時間を短く、サービス性を向上して輸送能力を増大することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−85681号公報
【特許文献2】特開平3−67873号公報
【特許文献3】特開2005−231881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1乃至特許文献3には開示されていないが、最近ではオフィスビルが大規模化してきており、このオフィスビルのエレベータ装置も群管理されるようになってきている。そして、このオフィスビルにおいてはセキュリティ管理の観点から、利用者に識別情報であるID認証コードが割り当てられている。例えば、ICカードにID認証コードを記憶させておき、このID認証コードを無線で読み込んだり、タッチセンサで読み込んでいる。
【0009】
したがって、群管理エレベータ装置では、利用者がエレベータの乗場にくることが読み込まれたID認証コードから把握できるので、予めロビー階に乗りかごを待機させておくことで待ち時間を短縮させるシステムが提案されている。このようなシステムは、基本的には人の出入りの多い出勤時に、ロビー階に乗りかごを待機させて待ち時間の短縮を図っているものである。
【0010】
ところで、近年ではオフィスビルの利用形態が変化し、出勤時のような想定された時間帯以外の時間帯において、ロビー階以外の階床にある施設を利用する利用者が多くなっている。例えば、昼食のための社員食堂が設置されている階床、コンビニエンスストア等の店舗が設置されている階床、病院、医院が設置されている階床、喫煙所が設置されている階床等の利用がある。尚、これ以外の施設についても同様である。これらの施設をまとめて特別施設と定義する。そして、このような特別施設を利用した利用者は、別の目的(例えば帰宅)のためにロビー階に移動することがある。尚、本発明はこの特別施設が設けられていない階床も対象とすることができるものである。
【0011】
このように、ロビー階以外の階床からロビー階へ移動する利用者が増加しており、従来のようにロビー階で乗りかごを待機させていると、利用者がいるロビー階以外の階床までロビー階から乗りかごを移動させる必要がある。このため、ロビー階以外の階床の利用者の待ち時間が長くなるという新たな課題が発生する。したがって、ロビー階及びロビー階以外の階床においても利用者の待ち時間をできるだけ短縮することが要請されている。
【0012】
本発明の目的は、ロビー階の待ち時間を短縮すると共に、ロビー階以外の階床の待ち時間をも短縮することができる新規な群管理エレベータ制御装置及び乗りかごの待機階床を決定する乗りかご制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、ロビー階の乗場の乗降口に向かう利用者を検出する乗場到着検出手段と、乗場到着検出手段が利用者を検出したときに、利用者が乗降口に到着するまでの移動時間を算出する移動時間算出手段と、移動時間算出手段からの移動時間に基づいて決められた所定時間内に乗りかごが乗降口に到着することができるロビー階以外の階床とこの階床に乗りかごを待機させるための少なくとも一台の号機を評価する号機評価手段と、号機評価手段による評価結果に基づいてロビー階以外の階床と少なくも一台の号機を決定し、決定された号機の乗りかごを決定された階床に待機させる号機決定手段を備えた、ところにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロビー階の待ち時間を短縮すると共に、ロビー階以外の待ち時間をも短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態になる群管理エレベータ装置の要部を示すブロック構成図である。
図2図1に示したビル到着検出手段及び乗場到着検出手段の設置例を示す乗場近傍の平面図である。
図3図1に示した利用者情報管理手段で管理している乗降口までの移動時間を示す説明図である。
図4図1に示した群管理エレベータ装置の分散待機処理動作を示すフローチャートである。
図5図1に示した分散号機決定手段による分散号機と分散階の決定方法を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施形態になる群管理エレベータ装置における分散待機処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態になる群管理エレベータ制御装置の要部を示すブロック構成図である。
【0018】
群管理エレベータ制御装置は、複数台のエレベータの号機1A〜1Nと、各号機1A〜1Nをそれぞれ制御する号機制御手段2A〜2Nと、乗場からの利用者情報を取り込む利用者管理手段3と、利用者管理手段3及び号機制御手段2A〜2Nからの各種情報を取り込んで各号機1A〜1Nを群管理制御する群管理制御手段4とを備えている。利用者管理手段3と群管理制御手段4をまとめて群管理手段という。尚、この群管理手段は後述するビル到着検出手段及び乗場到着検出手段を含むものである。
【0019】
利用者管理手段3は、オフィスビルのようなビルの所定の位置に配置されて、利用者がビルに到着したことを検出してビル到着信号と利用者自身の識別情報等を出力するビル到着検出手段5A〜5Nと、エレベータ乗場近傍に配置されて識別情報等が取り込まれた利用者が乗場に到着したことを検出して乗場到着信号を出力する乗場到着検出手段6と接続されている。
【0020】
そして、利用者管理手段3は、ビル到着検出手段5A〜5N及び乗場到着検出手段6からの信号を取り込む到着検出手段7と、ビル到着検出手段5A〜5N及び乗場到着検出手段6から乗降口までの平均移動時間を予め格納して管理する利用者情報管理手段8と、詳細は後述するが群管理制御手段4から現在の運行情報と将来の運行情報を取得して管理する運行情報管理手段9とを備えている。
【0021】
更に、ビル到着検出手段5A〜5N及び乗場到着検出手段6から到着検出手段7を介して取得した情報や運行情報管理手段9から取得した情報から、利用者が乗場にいず、かつビル内に利用者が到着した状態を検出して、利用者情報管理手段8から対応する乗場又は乗降口までの移動時間を算出する移動時間算出手段10と、移動時間算出手段10で算出した乗場又は乗降口までの移動時間を群管理制御手段4へ送信する利用者情報送信手段11とを備えている。
【0022】
一方、群管理制御手段4は、号機制御手段2A〜2Nからの各種情報を取り込んで現在の運行情報と将来の運行情報とを管理する運行情報管理手段12と、利用者管理手段3の利用者情報送信手段11から受信した情報を取り込んで利用者の乗場又は乗降口までの移動時間を管理する利用者情報管理手段13を備えている。
【0023】
更に、利用者情報管理手段13の乗場から乗降口までの移動時間を取り込んだとき、運行情報管理手段12から各種情報を取り込んで移動時間に対応した(或いは関連した)所定時間内に、乗りかごが乗降口に到着することができるロビー階以外の階床に乗りかごを待機させる少なくとも一台の分散号機を評価する分散号機評価手段14と、分散号機評価手段14による評価結果に基づいて少なくとも一台の号機とロビー階以外の階床を決定する分散号機決定手段15とを備えている。
【0024】
尚、分散号機決定手段15は更に分散台数、戸開閉待機有無等を決定することもできる。更に、待機する階床は1つの階床に特定されるものではなく、複数の階床で、かつ複数の号機で待機することも可能である。したがって、以下では、複数の階床を待機階床エリアと表記する場合もある。
【0025】
図2は、上述したビル到着検出手段5及び乗場到着検出手段6の設置場所の一例を示すものであり、ロビー階の乗場近傍の平面図である。尚、ビル到着検出手段5及び乗場到着検出手段6の設置場所はこれに限定されることなく、任意の位置に設置できることはいうまでもない。
【0026】
ロビー階にはエレベータの各号機の乗降口に至る乗場20が設けられており、この乗場20に通じるようにビルの各出入口16、17、18が設けられている。利用者は破線に示しているように、各出入口16、17、18を通過してロビー階の乗場20の乗降口に進むものである。そして、各出入口16〜18には、利用者がビルに到着したことを検出するビル到着検出手段5A〜5Nがそれぞれ設置されている。
【0027】
本実施例では、このビル到着検出手段5A〜5Nは無線を使用して利用者のICカードから利用者が到着したことや、利用者の識別情報を読み取っている。尚、タッチセンサを利用してこれらの情報を読み取ることもできる。オフィイスビルである場合は、セキュリティの観点から入出場ゲートが設けられていることが多くあり、入出場ゲートに設けられているタッチセンサを用いて上記した情報を読み取ることができる。
【0028】
また、各出入口16〜18から入場した利用者が、ロビー階の乗場20の各号機の乗降口に行くために通過する乗場入口19には、利用者が乗場に到着したことを検出する乗場到着検出手段6が設置されている。この乗場到着検出手段6は無線を使用して利用者のICカードから利用者が到着したことや、利用者の識別情報を読み取っても良い。また、タッチセンサを利用してこれらの情報を読み取ることもできる。この場合も、乗場入口19に入出場ゲートを設置し、入出場ゲートに設けられているタッチセンサを用いて上記した情報を読み取ることができる。
【0029】
ここで、ビル到着検出手段5A〜5Nは、それぞれの出入口の所定の設置場所に分散して設置されているので、利用者がそれぞれのビル到着検出手段5A〜5Nを通過して乗降口に到着するまでに時間差が発生する。これについては図3を用いて説明する。そして、この時間差を正しく検出するために、各ビル到着検出手段5A〜5Nは、通過する利用者を検出したときに、ビル到着情報に利用者自身の識別情報を付加して到着検出手段7を介して利用者管理手段3に与えるようにしている。
【0030】
乗場到着検出手段6は、ビル到着検出手段5A〜5Nと同様に利用者が乗場に到着したことを検出する手段でも良いし、呼び登録手段として構成して呼び登録操作を行ったときに利用者が乗場に到着したことを検出しても良いものである。
【0031】
前者のように利用者がエレベータの各号機の乗降口に行くときに通過することのみを検出する乗場到着検出手段6の場合、乗場に利用者がいない状況を判定する情報として使用するために、この情報を利用者管理手段3に与えるようにしている。
【0032】
一方、後者のように呼び登録手段として構成した場合、呼び登録手段の呼び登録操作によって、群管理制御手段4によって適切な号機が割り当てられる。ここで、適切な号機とは、詳細は後述するが、待機階床エリア内に待機させられた号機が優先されるものである。また呼び登録手段として構成した場合、乗場到着検出手段6は、乗場到着検出手段6で検出された利用者に対して、音声又は表示又はこれらの併用出力によって割当てられた号機を通知するようにしている。
【0033】
図3は、利用者情報管理手段8で管理しているロビー階の乗場の乗降口までの移動時間を説明する説明図である。
【0034】
図3において、出入口16に配置したビル到着検出手段5Aを通過した利用者が、ロビー階の乗場20の乗降口に到着するまでの平均移動時間は20秒であり、ロビー階の乗場20に到着するまでの平均移動時間は「20秒−10秒」で10秒である。この「20秒−10秒」の式で用いる10秒は、乗場入口19から乗降口までの平均移動時間である。
【0035】
また、出入口17に配置したビル到着検出手段5Bを通過した利用者が、ロビー階の乗場20の乗降口に到着するまでの平均移動時間は30秒であり、ロビー階の乗場20に到着するまでの平均移動時間は「30秒−10秒」で20秒である。
【0036】
また、出入口18に配置したビル到着検出手段5Nを通過した利用者が、ロビー階の乗場20の乗降口に到着するまでの平均移動時間は30秒であり、ロビー階の乗場20に到着するまでの平均移動時間は「30秒−10秒」で20秒である。
【0037】
尚、このビル到着検出手段5A〜5Nで検出された利用者情報から求められる平均移動時間は、本実施例とは異なる割り当て号機を決定するための群管理制御に使用される。このため、ビル到着検出手段5A〜5Nから求められる平均移動時間に関する説明はここでは省略する。
【0038】
また、乗場到着検出手段6を通過した利用者が、ロビー階の乗場20の乗降口に到着するまでの平均移動時間は10秒である。このように、乗降口から最も近い乗場検出手段6の利用者情報を採用する理由は、乗場到着検出手段6を通過した利用者がエレベータを利用することが確定しているからであり、これによって無駄な乗りかごの移動を抑制することができる。
【0039】
これらの移動時間は、各ビル到着検出手段5A〜5Nからの情報及び乗場到着検出手段6からの情報に関連付けしたタイムテーブルとして、利用者情報管理手段8に格納されており、好ましくは学習して補正を加えても良いものである。
【0040】
図4は、図1に示した群管理エレベータ制御装置の分散待機処理動作を示すフローチャートである。
【0041】
先ず、ステップS1で、乗場到着検出手段6からの情報によってロビー階の乗場20に利用者がいるかどうかを判断している。ロビー階に利用者がいれば、本実施例である分散待機処理を実行せず終了に抜けて処理を終了する。この時、群管理エレベータ制御装置はロビー階にいる利用者にサービスを実行するものである。
【0042】
一方、ステップS1でロビー階の乗場20に利用者がいないと判断されるとステップS2に進み、ステップS2では、ビル到着検出手段5A〜5Nによってビルに利用者がいるかどうかを判断している。つまり、利用者管理手段3における移動時間算出手段10では、群管理制御手段4から取り込んでいる運行情報管理手段9からの情報と、ビル到着検出手段5A〜5N及び乗場到着検出手段6からの情報を取り込んでいる到着検出手段7からの情報とを用いて、上述の状態を監視している。
【0043】
ステップS2で、ビル内に利用者がいないと判断されると、本実施例である分散待機処理を実行せずに、ステップS1に戻って同じ監視処理を繰り返すものである。一方、ビル内に利用者がいると判断されると、ステップS3に進むことになる。
【0044】
ここでは、移動時間算出手段10は、乗場到着検出手段6からの乗場到着情報に付加された情報に基づき、図3に示したタイムテーブルから、乗場入口19から乗降口までの平均移動時間を読み出し、利用者情報送信手段11から群管理制御手段4の利用者情報管理手段13に出力する。
【0045】
これを受けた利用者情報管理手段13は、分散号機評価手段14に情報を与え、分散号機評価手段14ではステップS3の処理を行う。
【0046】
つまり、ステップS3において、分散号機評価手段14は、運行情報管理手段12から各種情報を取得し、次いで、図3に示す乗降口平均移動時間を用いて乗降口から最も近い乗場到着検出手段6までの平均移動時間に対応する所定時間、つまり、ロビー階以外の階床からロビー階に至る所定時間内の待機階床エリア(ロビー階以外の階床)に、待機状態の号機の乗りかごがあるかどうか判定する。ここで、乗降口から最も近い乗場到着検出手段6までの平均移動時間とは、図2及び図3に示すように乗場到着検出手段6の乗降口平均移動時間「10秒」である。
【0047】
図5は、分散号機決定手段15による分散号機と分散階を決定するための説明図である。例えば、各号機1A〜1Nの乗りかご21A〜21Nが図示の各階に分散待機しているとき、各乗りかご21A〜21Nがロビー階まで移動するのに要する平均時間を夫々示している。
【0048】
号機1Aの乗りかご21Aが3階に待機しているとき、ロビー階まで移動するのに要する平均時間は10秒である。また、号機1Bの乗りかご21Bが4階に待機しているとき、ロビー階まで移動するのに要する平均時間は15秒である。また、号機1Nの乗りかご21Nが5階に待機しているとき、ロビー階まで移動するのに要する平均時間は20秒である。更に、乗りかご21A〜21Nのいずれかの乗りかごが2階に待機しているとき、ロビー階まで移動するのに要する平均時間は5秒である。
【0049】
したがって、上述したステップS3で分散号機評価手段14が、図3に示した乗降口平均移動時間を用いて、乗降口から最も近い乗場到着検出手段6までの平均移動時間「10秒」以内の待機階床エリア22に、待機状態の乗りかごがあるかどうか判定する。この場合、待機階床エリア22に待機している乗りかごは号機1Aの乗りかご21Aである。
【0050】
そして、ステップS3の判定の結果、上述した待機階床エリア22内にあるのは乗りかご21Aであるので、待機状態有りと判断されて再びステップS1に戻って監視動作に復帰する。乗場到着検出手段6により実際の利用者が到着したことが検出されると、到着検出信号は群管理制御手段4に与えられ、詳細を省略しているが待機階床エリア22内に待機している乗りかご20Aがふさわしい号機として割り当てられ、号機制御手段2Aに乗場呼び登録情報が与えられ、ロビー階に向けて乗りかご20Aが移動される。
【0051】
したがって、この場合、利用者が乗場入口19を通過して号機1Aの乗降口に歩いていく間に、乗りかご21Aがロビー階に向けて移動する。これによってロビー階にいる利用者に対して待ち時間を短縮することができる。尚、乗場到着検出手段6からエレベータの各号機の乗降口までの平均移動時間を長くしたい場合は、乗場到着検出手段6からエレベータの各号機の乗降口までの距離を長くすればよく、この距離は乗りかごの移動速度等を考慮することによって適切に選ぶことができる。
【0052】
一方、ステップS3の判定の結果、上述した待機階床エリア22内に待機状態の乗りかごが存在しない場合はステップS4に進む。このステップS4では、分散号機決定手段15によって上述した待機階床エリア21内に最低一台の乗りかごを待機させるように配車する。このとき、上述した待機階床エリア22内に待機させる乗りかごがない場合、一般的にロビー階以外の階床では、下(DOWN)方向にロビー階へ向かう利用者が多いため、上述した待機階床エリア22内で待機状態とならない乗りかごであっても、ロビー階に向かっている乗りかごを選定し、ロビー階で事前検出した利用者を優先的に割当てることで、空かごの配車回数を低減することができ、省エネ効果を高めることができる。
【0053】
一方、ロビー階に利用者がいない場合は、乗りかごはロビー階以外の所定の待機階床エリア22に配車されて待機状態となっているため、待機階床エリア22の施設を利用した利用者がロビー階に移動する場合は、待機階床エリア22に乗りかごが待機している確度確率が高くなり、ロビー階以外での利用者の待ち時間を短縮することができる。
【0054】
尚、本実施例ではビル到着検出手段5A〜5Nの情報を採用しないことを前提として説明したが、ビル到着検出手段5A〜5Nによって利用者がエレベータを利用するものと見做して、乗りかごを先行して移動させることも可能である。
【0055】
つまり、上述したようにビル到着検出手段5A〜5Nによって、利用者が乗場に到着するまでの平均移動時間を予測することができる。このため、待機階床エリア22に乗りかごが待機していない場合は、乗場20までの平均移動時間内に待機階床エリア22に到着することができる号機を割り出して乗りかごを移動して待機させることが可能である。このようにすれば、待機階床エリア22に乗りかごが待機している確度を高めることができ、ロビー階でエレベータを利用する利用者の待ち時間を短縮することができる。
【0056】
更に、ビル到着検出手段5A〜5Nから乗場到着検出手段6までの移動時間より、利用者の歩行時間を予測することで、ロビー階へ配車するかごや配車タイミングを調整し、ロビー階の利用者と他階の利用者、双方の待ち時間の最適化を図ることもできる。
【0057】
このように、本実施例においては、ロビー階の乗降口に向かう利用者の移動時間から得られた所定時間内に、ロビー階の乗場に到着することができるロビー階以外の待機階床エリアと待機号機を求め、この求められた階床で乗りかごを待機させている。
【0058】
これによれば、ロビー階以外の待機階床から呼び登録がされた場合でも、ロビー階からロビー階以外の待機階床に乗りかごを移動させる必要がないことから、ロビー階以外の待機階床からロビー階に向かう利用者の待ち時間を少なくできる。
【0059】
更に、ロビー階の乗降口に向かう利用者は、乗降口に到着するまでの時間内にロビー階以外の待機階床から乗りかごが乗降口に向けて移動するのでロビー階の乗降口に向かう利用者の待ち時間を少なくできる。
【0060】
尚、利用者がビルに到着したことを検出するビル到着検出手段5A〜5Nと、利用者が乗場に到着したことを検出する乗場到着検出手段6とを有しているため、ロビー階の利用が全く無い時間帯を検出できる。これによって、この時間帯にロビー階から他階への空かごの配車を行うことで、配車直後に別かごを呼び戻すといった無駄な運転を防止できる。
【0061】
尚、上述した分散号機評価手段14は、利用者情報管理手段13の移動時間を取り込んだとき、運行情報管理手段12から各種情報を取り込んで所定時間内に乗降口に到着することができる待機階床エリアに少なくとも一台の乗りかごを待機するようにしたが、移動時間に関連した他の所定時間内に乗降口に到着することができる待機階床エリアに少なくとも一台の乗りかごを待機するようにした構成でもほぼ同等の効果を得ることができる。
【0062】
尚、待機階床エリア22の利用者発生人数が少ないと予測される場合、待機階床エリア22を利用者発生人数が多いと予測される階床まで広げることで、他階の待ち時間を更に短縮しながら、ロビー階の待ち時間も短縮することができる。
【実施例2】
【0063】
次に本発明の他の実施形態について説明するが、この実施例はロビー階に乗りかごが配車されている時の対応を行う点で実施例1と異なっている。
【0064】
図6は、本発明の他の実施例による群管理エレベータ手段における分散待機処理動作を示すフローチャートである。尚、実施例1と同じ符号のステップは同じ処理であるので説明は省略する。
【0065】
本実施例ではステップS3で、図3に示した乗降口平均移動時間を用いて乗降口から最も近い乗場到着検出手段6までの平均移動時間「10秒」以内の待機階床エリア22に、待機状態の乗りかごがあるかどうか判定している。このステップS3で待機状態の乗りかごがあると判定されるとステップS5に進む。
【0066】
ステップS3で待機状態の乗りかごがあると判定された場合、ステップS5ではロビー階に他の号機の乗りかごがあるかどうかを判定する。ロビー階に他の号機の乗りかごがないと判定されるとステップS1に戻り、ロビー階に他の号機の乗りかごがあると判定されるとステップS6に進む。ステップS6では分散号機決定手段15によって、ロビー階の他の号機の乗りかごを待機階床エリア22内に配車する。
【0067】
ロビー階以外の階床では一般的に下(DOWN)方向でロビー階へ向かう利用形態が多いため、上述した待機階床エリア22内で待機状態とならない乗りかごであっても、ロビー階に停止中の乗りかごが存在する場合、利用客が退出してしまうので後に待機状態となる可能性が高い。
【0068】
この乗りかごを待機階床エリア22に移動させて待機させることにより、先の実施例の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。しかも、ロビー階の乗りかごを、ロビー階に所定時間内に到着することができる待機階床エリア21へ待機させることになるため、乗りかごの移動距離は短く省エネ効果を高めることができる。
【0069】
以上述べた通り、本発明によればロビー階の待ち時間を短縮すると共に、ロビー階以外の待ち時間をも短縮することができるものである。
【0070】
尚、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。またある実施例の構成の一手段を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一手段について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1A〜1N…号機、3…利用者管理手段、4…群管理制御手段、5A〜5N…ビル到着検出手段、6…乗場到着検出手段、10…移動時間算出手段、12…運行情報管理手段、14…分散号機評価手段、15…分散号機決定手段、20…乗場。
図1
図2
図3
図4
図5
図6