特許第6444892号(P6444892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧 ▶ センター ナショナル ド ラ ルシェルシュ サイエンティフィークの特許一覧 ▶ ユニベルシテ ドゥ ロレーヌの特許一覧

特許6444892懸濁液から耐食コーティングを堆積させる方法
<>
  • 特許6444892-懸濁液から耐食コーティングを堆積させる方法 図000002
  • 特許6444892-懸濁液から耐食コーティングを堆積させる方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444892
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】懸濁液から耐食コーティングを堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/24 20060101AFI20181217BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20181217BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20181217BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B05D7/24 301E
   B05D7/24 303C
   B05D7/24 303A
   B05D7/00 K
   B05D3/02 Z
   C23C26/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-557492(P2015-557492)
(86)(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公表番号】特表2016-513007(P2016-513007A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】FR2014050194
(87)【国際公開番号】WO2014125188
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】1351228
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】センター ナショナル ド ラ ルシェルシュ サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】512079439
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ロレーヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】マゼ、ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ビラシ、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】リシェ、ニコラ
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−194561(JP,A)
【文献】 特開2006−199988(JP,A)
【文献】 特開2001−254163(JP,A)
【文献】 特開平08−303986(JP,A)
【文献】 特表2009−519596(JP,A)
【文献】 特開2009−091659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D1/00−7/26
C23C24/00−30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小等価直径ecmの少なくとも1つのキャビティを有する金属製熱交換器である基材上に、コーティングを堆積させるための方法であって、以下の連続工程:
a)活性化剤の粉末および前記基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程;
b)工程a)において粉砕した前記粉末と液体とを混合して懸濁液を形成する工程;
c)コーティングすべき前記基材の部分を清浄化する工程;
d)コーティングすべき前記基材の部分に前記懸濁液を塗布する工程;
e)150℃〜400℃の温度で、20〜60分の期間、基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記液体を少なくとも部分的に除去する第1の工程;
f)500℃〜堆積すべき前記金属または前記合金のうち最も耐火性の低い元素の融点の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して、前記活性化剤と堆積すべき前記金属または前記合金とを反応させる第2の工程;
g)粉末状の残留物を除去する工程;および
h)基材−コーティングアセンブリを回収する工程
を含み、
前記粉砕工程a)を、d≦ecm/10である等価直径dを有する粒子のみを得るように行う方法。
【請求項2】
最小等価直径ecmの少なくとも1つのキャビティを有する金属製熱交換器である基材上に、コーティングを堆積させるための方法であって、以下の連続工程:
a)清浄化フラックスの粉末および前記基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程;
b)工程a)において粉砕した前記粉末と液体とを混合して懸濁液を形成する工程;
c)コーティングすべき前記基材の部分を清浄化する工程;
d)コーティングすべき前記基材の部分に前記懸濁液を塗布する工程;
e)50℃〜300℃の温度で、30分〜5時間の期間、基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記液体を少なくとも部分的に除去する第1の工程;
f)前記清浄化フラックスの融点を超える温度で、20分〜6時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して、前記清浄化フラックスと堆積すべき前記金属または前記合金とを反応させる第2の工程;
g)前記清浄化フラックスの粉末残留物を除去する工程;および
h)基材−コーティングアセンブリを回収する工程
を含み、
前記粉砕工程a)を、d≦ecm/10である等価直径dを有する粒子のみを得るように行う方法。
【請求項3】
工程e)を、1分≦x≦20分でx分毎に更新した雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
工程f)を、静的な不活性ガス雰囲気下で行い、前記不活性ガスはたとえばアルゴンであることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)において、少なくとも1つの有機化合物を前記混合物に添加することを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機化合物を、バインダー、潤滑剤および分散剤から選択することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、工程e)と工程f)との間に、400℃〜堆積すべき前記金属または前記合金のうち最も耐火性の低い元素の融点の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記有機化合物を除去または分解する工程i)を含むことを特徴とする、請求項5または6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
工程i)を、1分≦x≦20分でx分毎に更新された雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
塗布工程d)を、
−前記基材を前記懸濁液に浸漬するか;
−前記懸濁液を前記基材の前記キャビティに注入するか;または
−前記懸濁液の前記基材の前記キャビティへのはけ塗りによって
行うことを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記残留物を除去する工程g)を、振動または水溶液による洗浄によって行うことを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、工程h)の後、900℃〜1200℃の温度で、1〜5時間の期間、前記基材−コーティングアセンブリを加熱する最後の工程を含むことを特徴とする、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程h)において回収した前記基材−コーティングアセンブリのコーティングは、5μm〜200μm、好ましくは5〜80μm、より好ましくは20〜60μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記基材は、Niを含む、金属基材、合金からなるか超合金からなる基材、1種以上の金属および/または合金および/または超合金を含む複合基材から選択され、堆積すべきAlと反応させてNiAlを形成することを特徴とする、請求項1から12の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、キャビティを有する基材上への耐食コーティングの生成に関する。
【0002】
コーティングを生成させるための技術は、3つの大きな系統に分類できるであろう:
−溶射、
−化学気相成長、および
−物理気相成長。
【0003】
溶射技術たとえばプラズマ溶射またはフレーム溶射は、溶融したまたは部分的に溶融した粒子を、高速で、保護すべき部品の表面に送ることにある。コーティングは連続層から構築される。これらの技術は、オープンなまたは容易にアクセス可能な表面に使用できるだけである。
【0004】
気相成長技術は、形成すべきコーティングのガス状前駆体を使用する。この前駆体は、コーティングすべき表面に直接近接して生成させてもよいし(パックセメンテーション)、ガスを経由してコーティングすべき表面に輸送してもよい(パック以外、ガスボンベまたはガス混合物を使用するCVDなど)。パックセメンテーションの場合に遭遇する主な困難は、複雑な形状または非常に小さい寸法(数mm)を有する部品の、接合剤粉末(コーティングの前駆体混合物)による充填に関連している。ガス状前駆体を使用する技術の主な制限は、コーティングの化学組成および/または厚さの不均一性をもたらす、ガス状混合物からの反応種の急速な欠乏に関する。大きな表面上または複雑な形状中に均一なコーティングを得ることは非常に困難である。
【0005】
物理気相成長技術は、コーティングの構成元素を蒸発させてから、コーティングすべき部品の表面上にこれらを凝縮させることにある。蒸発は一般に、ターゲットに高エネルギービーム(電子またはイオン)を衝突させることによって起こる。ターゲットとコーティングすべき表面との間の距離は、堆積の厚さの均一性のための主要なパラメータである。これらの技術は、複雑な形状の部品またはアクセスできない表面に使用するのが非常に困難である。
【0006】
工業プロセスの強化は、材料をますます過酷な条件下で使用し、使用する部品のサイズを減少させることをもたらす。
【0007】
ほとんどの場合、部品をそれらの周囲からコーティングによって保護することが必要である。先の段落において示したように、複雑な形状およびアクセスできない表面は従来の技術を用いたコーティングの生成に問題を引き起こす。
【0008】
したがって、新しい堆積技術を開発するか、または既存の技術を新たな制約に適合させることが必要である。
【0009】
パックセメンテーションは、部品上にコーティングを生成させるための非常に古い方法である。部品を接合剤粉末(これは高温で反応性雰囲気を発生することが可能な生成物の混合物である)の層中に配置する。この接合剤をコーティングすべき表面近傍に配置しなければならない。厚さおよび化学組成に関して均一なコーティングを生成させるためである。通常、コーティングを、数センチメートルのキャビティを有する部品上に、その部品を接合剤粉末で充填することによって生成させる。
【0010】
しかし、キャビティがミリメートルのオーダーの特徴サイズおよび高アスペクト比(長さ/幅の比)を有する場合、接合剤の導入は一段と煩雑である。これが、パックセメンテーションタイプの粉末を使用する方法が、アクセスするのが困難な領域が全くないかまたはほとんどない部品に一般に使用される理由である。
【0011】
したがって、直面する1つの問題は、アクセスするのが困難な表面、すなわちキャビティを有する表面上にコーティングを堆積させるための方法を改善することである。
【0012】
本発明の1つの解決策は、少なくとも1つのキャビティを有する基材上にコーティングを堆積させるための方法であって、以下の連続工程を含む方法である:
a)活性化剤の粉末および前記基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程;
b)工程a)において粉砕した前記粉末と液体とを混合して懸濁液を形成する工程;
c)コーティングすべき前記基材の部分を清浄化する工程;
d)コーティングすべき前記基材の部分に前記懸濁液を塗布する工程;
e)150℃〜400℃の温度で、20〜60分の期間、基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記液体を少なくとも部分的に除去する第1の工程;
f)500℃〜堆積すべき前記金属または前記合金のうち最も耐火性の低い元素の融点の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して、前記活性化剤と堆積すべき前記金属または前記合金とを反応させる第2の工程;
g)粉末状の残留物を除去する工程;および
h)基材−コーティングアセンブリを回収する工程。
【0013】
変形例によれば、本発明による方法は、少なくとも1つのキャビティを有する基材上にコーティングを堆積させるための方法であって、以下の連続工程を含む:
a)清浄化フラックスの粉末および前記基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程;
b)工程a)において粉砕した前記粉末と液体とを混合して懸濁液を形成する工程;
c)コーティングすべき前記基材の部分を清浄化する工程;
d)コーティングすべき前記基材の部分に前記懸濁液を塗布する工程;
e)50℃〜300℃の温度で、30分〜5時間の期間、基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記液体を少なくとも部分的に除去する第1の工程;
f)前記清浄化フラックスの融点を超える温度で、20分〜6時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して、前記清浄化フラックスと堆積すべき前記金属または前記合金とを反応させる第2の工程;
g)前記清浄化フラックスの粉末残留物を除去する工程;および
h)基材−コーティングアセンブリを回収する工程。
【0014】
活性化剤は、堆積すべき元素の前駆体を含むガス種を形成する化合物である。その後、このガス種はコーティングすべき部品の表面に堆積されてコーティングを形成するであろう。活性化剤はフッ化物または塩化物であってもよい。
【0015】
場合によって、本発明による2つの方法は、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい:
−工程e)を、1分≦x≦20分でx分毎に更新した雰囲気下で行う;
−工程f)を、静的な不活性ガス雰囲気下で行い、前記不活性ガスはたとえばアルゴンである;
−工程b)において、少なくとも1つの有機化合物を前記混合物に添加する;
−前記有機化合物を、バインダー、潤滑剤および分散剤から選択する;
−前記方法は、工程e)と工程f)との間に、400℃〜堆積すべき前記金属または前記合金のうち最も耐火性の低い元素の融点の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた前記基材−懸濁液アセンブリを加熱して前記有機化合物を除去または分解する工程i)を含む;
−工程i)を、1分≦x≦20分でx分毎に更新された雰囲気下で行う;
−塗布工程d)を、前記基材を前記懸濁液に浸漬するか;前記懸濁液を前記基材の前記キャビティに注入するか;または前記懸濁液の前記基材の前記キャビティへのはけ塗りによって行う。
【0016】
−前記残留物を除去する工程g)を、振動または水溶液による洗浄によって行う;
−前記方法は、工程h)の後、900℃〜1200℃の温度で、1〜5時間の期間、前記基材−コーティングアセンブリを加熱する最後の工程を含む;
−基材は最小等価直径ecmのキャビティを有し、粉砕工程a)を、d≦ecm/10である等価直径dを有する粒子のみを得るように行う;
−工程h)において回収した前記基材−コーティングアセンブリのコーティングは、5μm〜200μm、好ましくは5〜80μm、より好ましくは20〜60μmの厚さを有する;
−前記基材は、Niを含む、金属基材(たとえば鉄またはニッケルをベースとする)、合金からなるか超合金からなる基材、1種以上の金属および/または合金および/または超合金を含む複合基材から選択され、堆積すべきAlと反応させてNiAlを形成する。
【0017】
前記基材は、チューブの内部、タービンブレード、熱交換器、反応器交換器、貯蔵容器など、好ましくは金属製熱交換器から選択される。
【0018】
接合剤粒子のサイズをレーザー粒径分析またはスクリーニングによって測定し、必要なサイズを超える接合剤粒子または接合剤粒子の凝集物がないことを確実にしてもよい。
【0019】
必要なサイズを超えることがありうる個々の粒子の凝集物を「破壊」するために、解凝集工程が必要であろう。
【0020】
粒子のサイズは、通常、1μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。
【0021】
等価直径は、コーティングすべき表面にアクセスできる最小の断面内に内接する円柱または円の直径と定義される。具体的には、後者は必ずしも標準形状を有している必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明による方法の様々な工程を概略的に示す図。
図2図2は、変形方法の様々な工程を概略的に示す図。
【0023】
図1は、本発明による方法の様々な工程を概略的に示す。
【0024】
第1の工程(工程a)は活性化剤の粉末および基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程である。この粉砕工程は、コーティングすべき部品に適した粒径を得ることを可能にする。好ましくは、基材は最小等価直径ecmのキャビティを有し、粉砕工程a)を、d≦ecm/10である等価直径dを有する粒子のみを得るように行う。これらの粉末は、液相中に均質に分散させることができなければならない。凝集物の存在は、基材キャビティの入口の閉塞をもたらすかもしれない。主な困難は、異なる性質の粉末を同じ懸濁液内に分散させて、懸濁液中の元素の均質分布および均質な堆積を得るようにすることにある。
【0025】
第2の工程(工程b)は、工程a)において粉砕した前記粉末と液体とを混合して懸濁液を形成する工程である。バインダーまたは潤滑剤タイプの有機化合物を懸濁液に添加して、特にコーティングすべき表面上の濡れを促進し、堆積される厚さを制御してもよい。懸濁液の特性も選択した塗布技術に適合させなければならない。
【0026】
第3の工程(工程c)は、コーティングすべき基材の部分を清浄化する工程である。コーティングすべき部品の表面の清浄化がなければ、堆積は不可能である。清浄化は、基材上へのコーティングのより良好な付着および堆積の良好な均一性を可能にする。前駆体が部品の表面で、その表面の触媒効果により分解されるためである。不純物が存在する場合、堆積物を分解させるであろう。
【0027】
第4の工程(工程d)は、コーティングすべき基材の部分に懸濁液を塗布する工程である。塗布、特に基材のキャビティ内部への塗布を、いくつかの方法に従って行ってもよい:懸濁液中への基材の浸漬;基材のキャビティ内への懸濁液の注入;または基材のキャビティへの懸濁液のはけ塗りである。被覆すべきでない領域を、加熱工程の前または間に除去することになるマスクで保護してもよい。基材の表面での懸濁液の堆積の後に、必要に応じて、過剰量を除去してもよい。
【0028】
第5の工程(工程e)は、50℃〜300℃の温度で、30分〜5時間の期間、基材−懸濁液アセンブリを加熱して液体を少なくとも部分的に除去する第1の工程である。温度は、液体(例:エタノール、水)の性質の関数として設定される。液体の除去を促進するために、ガスフラッシングを部品の内部に導入して雰囲気を更新してもよい。この工程の間、重要な点は堆積物を分解させないことである。
【0029】
以下の工程(工程i)は中間工程である。この工程が懸濁液中の有機化合物の存在または不在に依存するためである。この工程は、400℃〜堆積すべき金属または合金のうち最も耐火性の低い元素の融点の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた基材−懸濁液アセンブリを加熱して有機化合物を除去または分解する工程である。液体の除去については、ガスフラッシングを行い、雰囲気を更新して有機化合物の分解による生成物を除去してもよい。
【0030】
第6の工程(工程f)は、500℃〜堆積すべき金属または合金のうち最も耐火性の低い元素の融点(たとえばアルミニウムの場合660℃)の温度で、1〜10時間の期間、工程e)から生じた基材−懸濁液アセンブリを加熱して、活性化剤と堆積すべき金属または合金とを反応させる第2の工程である。この処理は静的雰囲気中で行うことが好ましいであろう。雰囲気からのコーティング(アルミニウム)を形成する元素の急速な欠乏を回避するためである。このために、キャビティを閉塞してもよい。後者の場合、部品中の圧力の増加に特に注意を払う必要があるだろう。また、接合剤粉末の層中にオープンキャビティを配置して、後者が堆積すべき元素の前駆体である雰囲気を飽和させるようにすることもできるであろう。
【0031】
有機物の分解の温度(工程i)と、活性化剤と堆積すべき金属または合金との間の反応の温度(工程f)との温度差が十分に大きい場合(50〜100℃の温度差)には、工程e)およびi)を同時にまたは連続的に行うことができるであろう。逆の場合には、同時に行うことができる工程i)およびf)と独立して、工程e)を行うことが好ましいであろう。
【0032】
第7の工程(工程g)は粉末状の残留物を除去する工程である。いくつかの技術、たとえば水溶液による洗浄、化学エッチング、浸食などを用いてもよい。
【0033】
第8の工程(工程h)は、基材−コーティングアセンブリを回収する工程である。
【0034】
本発明による方法は、900℃〜1200℃の温度で、1〜5時間の期間、基材−コーティングアセンブリを加熱する最後の工程を含んでいてもよい。
【0035】
図2は、変形方法の様々な工程を概略的に示す。
【0036】
変形方法は、上述した方法に非常に類似しているので、変更した工程のみを詳細に説明する。
【0037】
第1の工程(工程a)は清浄化フラックスの粉末および基材上に堆積すべき金属または合金の粉末を粉砕する工程である。好ましくは、清浄化フラックスは低融点であり、すなわち。清浄化フラックスの例はK3AlF6−KAlF4である。
【0038】
第6の工程(工程f)は、清浄化フラックスの融点を超える温度で、20分〜6時間の期間、工程e)から生じた基材−懸濁液アセンブリを加熱して、清浄化フラックスと堆積すべき金属または合金とを反応させる第2の工程である。
【0039】
この変形方法は、堆積すべき元素の最も低い融点によって制限される第1の方法よりも高い温度での加熱処理を可能にするという利点を有する。この自由度は、懸濁液の生成に使用される有機化合物の除去に有利であろう。具体的には、これらの有機化合物を完全に分解するいくつかの場合には、600〜800℃の温度が必要であろう。
図1
図2