(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中央領域及び外周(120;220;320;420)を有するメッシュ状の可撓性基本構造(104;204;304;404)を備える外科用インプラントにおいて、前記外周(120;220;320;420)が、N個のコーナー(122;222;322;422)を有する多角形状を含み、Nが少なくとも3であり、
前記インプラント(100;200;300;400)が、少なくとも2つのポケット(124;224;324;424)を備え、各ポケット(124;224;324;424)が、前記基本構造(104;204;304;404)の前記中央領域に向かって、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の2つのコーナー(122;222;322;422)を接続する周囲線(114;214;314;414)から延在しており、
メッシュ状の前記基本構造(104;204;304;404)及び前記ポケット(124;224;324;424)が、共通ブランク(102;202;302;402)から、折り線(114;214;314;414)のまわりに折り畳まれ、前記折り線(114;214;314;414)が、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)に配置され、前記ポケット(124;224;324;424)が、前記折り線(114;214;314;414)の反対側の各エッジ(126;226;326;426)を介してアクセス可能であり、
所与のポケット(124;224;324;424)の材料が、各重なり領域(118;218;318;418)において、隣接するポケット(124;224;324;424)の材料と重なっており、前記重なり領域(118;218;318;418)において、前記隣接するポケット(124;224;324;424)の材料が互いに接続されていることを特徴とする、外科用インプラント。
前記重なり領域(518)の少なくとも1つが、以下の形状:ストリップ状、湾曲、ジグザグ状、非対称及びダイヤモンド状、のうちの1つを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記重なり領域(118;218;318;418)のうちの少なくとも1つにおいて、前記隣接するポケット(124;224;324;424)の材料が、以下の方法:溶接、接着、縫製、常置、吸収、部分的吸収、のうちの少なくとも1つで接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記ポケット(124;224;324;424)から離れる方に向いている前記基本構造(104;204;304;404)の表面に配置されている、抗接着フィルム(112;212;312;412)を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が、前記基本構造(104;204;304;404)の領域を被覆し、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)を越えて延在し、前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が前記ポケット(124;224;324;424)の材料と一体に折り返されることを特徴とする、請求項7に記載の外科用インプラント。
前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が、以下の方法:前記抗接着フィルム(312;412)の全表面にわたる付着、前記抗接着フィルム(112;212)の表面の一部にわたる付着、積層、溶接、接着、縫製、常置、吸収、部分的吸収、のうちの少なくとも1つにおいて前記基本構造(104;204;304;404)の材料に接続されることを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記メッシュ状の基本構造(104;204;304;404)の前記中央領域が、中央マーキング(130;230;330;430;630)によってマーキングされ、方向指標(132;232;332;432;632)が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の少なくとも2つのコーナー(122;222;322;422)に向いていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記方向指標(132;232;332;432;632)が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の全てのコーナー(122;222;322;422)に向いていることを特徴とする、請求項12に記載の外科用インプラント。
前記方向指標(132;232;332;432;632)の少なくとも一部が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の各コーナー(122;222;322;422)まで延在している線状マークとして設けられることを特徴とする、請求項12又は13に記載の外科用インプラント。
前記中央マーキング(130;230;330;430;630)及び前記方向指標(132;232;332;432;632)のうちの少なくとも1つが、以下の特性:前記基本構造(104)に接続されたフィルム構造(108)から成形される、前記基本構造(204;304;404)に接続された、糸を通した構造(208;308;408)から形成される、前記基本構造上に刺繍される、前記基本構造(204;304;404)上に縫合される、前記基本構造と一体に作製される、着色される(108;208;308;408)、無着色である、吸収性である(108;208;308)、非吸収性である(408)、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
前記基本構造(104;204;304;404)が、以下のリスト:ポリプロピレン、フッ素化ポリオレフィン、ポリ−p−ジオキサノン、グリコリド及びラクチドの共重合体、比90:10でのグリコリド及びラクチドの共重合体、グリコリド及びε−カプロラクトンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン並びにフッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロペンの共重合体の混合物、に含まれる材料のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の外科用インプラント。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2 032 073号明細書は、細胞の内方成長のために適合された少なくとも1つの側を有する両側(面)及び外周(周囲)を有する組織修復材料を含む移植可能な医療器具を開示している。カフは、組織修復材料側に重なるように外周から形成され、カフと組織修復材料との間に開口を形成する。カフは、患者の組織に器具を接合するのに使用するために器具の外側エッジに固定領域を形成する。
【0003】
米国特許出願公開第2008/0147099号明細書は、第1の層と第2の層とを含むヘルニア修復のための2層パッチ器具を示している。第1の層は、位置決めフレークを形成するように切断される。第1の層及び第2の層のエッジは、ポケットを形成するように接続されている。第2の層は、さらに、補助層を含む。パッチは、ヘルニアを修復するために腹膜の空洞に取り付けられることができる。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0118851号明細書は、解剖学的弱点や欠陥を修復又は増強するための移植可能なプロテーゼを開示しており、軟組織及び筋肉壁の開口の修復に特に適している。プロテーゼは、組織の内方成長を可能とするように構成されて配置され且つ浸食及び組織や臓器との癒着の形成の影響を受けやすい修復ファブリックを含む。プロテーゼの1つ以上の領域は、浸食及び/又は癒着の形成を阻害するように構成されることができる。プロテーゼは、食道などの管状構造を受けるように適合された開口に沿って設けることができる耐浸食性エッジを含むことができる。
【0005】
現在市販されているポケット状のインプラントは、いくつかの欠点を示している。ポケットは、互いの上に様々な材料層を配置し、続いて、例えばエッジにおいてシーム接続することによって形成される。時には、エッジ領域にサポートリングが同様に含まれる。インプラント固定は、これらのエッジ接続の内部において許容されるにすぎない。これは、隆起及び/又は折り畳まれたエッジ領域をもたらすことができる非固定エッジ材料をもたらす。さらにまた、例えば支持リングなどの硬い材料は、(曲げたり又は破壊することによって)故障する傾向がある。組織の内方成長のみならず臓器の炎症やけがに関する問題は、上述した不利益をもたらすことができる。組立プロセス(互いの上に異なる材料層を配置する)の結果として、いくつかのポケット状のインプラントの外側エッジは、抗接着材料によって被覆されず、接着について潜在的な危険性をもたらす。
【0006】
今日では、そのようなポケット状のインプラントの固定は、大抵の場合、ステープラー又はタッカーを用いて行われる。現在開いているIPOM(腹腔内オンレイメッシュ技術)器具の形状(楕円形、円形又はかなり丸みを帯びたエッジを有する矩形)に起因して、最初の固定点の事前に定義された位置はみつけることができない。
【0007】
さらにまた、腹腔内に挿入した後にインプラントの配向及びセンタリングの面で正しい配置は、大抵の場合に困難である。
【0008】
国際公開第2011/159700号は、ヘルニア、特に腹腔内用途についての切開ヘルニアを修復するために使用可能な複合インプラントを記載している。このインプラントは、非対称であり且つインプラントの中心及びインプラントについての好ましい配置方向を示すように適合された位置合わせマーカーを含む。
【0009】
国際公開第2003/037215号は、メッシュ状の基本構造と、インプラントの中心を示す中心領域にあるマーキングとを有する面状インプラントを開示している。マーキングラインは、中央マーキングを通じて延びている。中央マーキング及びマーキング線は、組織を補強するために外科的開口上にインプラントを位置合わせするために使用可能である。
【0010】
これらのインプラントは、インプラントの方向に指示を与えることができる。しかしながら、それらは、身体組織によって隠される可能性があるインプラントの周囲の実際の位置について術者に明確に通知しない。インプラントは、一般に、その周辺領域における身体組織に固定されることから、そのような情報は重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に容易に取り扱うことができ且つ外科的処置を容易とするヘルニア修復のために有用である外科用インプラントを提供することである。
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を有する外科用インプラントによって達成される。本発明の有利な変形形態が従属請求項から得られる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる外科用インプラントは、中央領域及び外周を有するメッシュ状の可撓性基本構造を備える。外周は、N個のコーナーを有する多角形状を含み、Nは少なくとも3である。用語「コーナー」はまた、やや丸みを帯びた形状を含む。好ましくは、外科用インプラントは、六角形又は八角形、すなわち、N=6又はN=8の形状を有する。
【0014】
多角形状のインプラントは、インプラントの一部が身体組織によって隠される可能性があるため、大抵の場合に容易ではないインプラントの境界を推定する際に術者を支援する一般によく定義されたコンパクトな形状を有する。
【0015】
本発明の主要な態様にかかる有利な実施形態において、外科用インプラントは、少なくとも2つのポケットを備え、各ポケット(又はポーチ)は、基本構造の中央領域に向かって、(基本構造の外周の2つのコーナーを接続する)周囲線又はエッジ線から延在している。好ましくは、インプラントは、N個のポケットを備える。
【0016】
ポケットは、別個に製造され、基本構造に取り付けられることができる。有利な実施形態においては、しかしながら、メッシュ状の基本構造及びポケットは、共通ブランクから、折り線のまわりに折り畳まれ、折り線は、基本構造の外周に配置される。ポケットは、折り線の反対側の各エッジを介してアクセス可能である。この用語において、共通ブランクは、メッシュ状の材料から構成され、基本構造の材料に加えて折り線に沿って基本構造に向かって折り返されるポケットフラップの材料を備え、ポケットの一方の面は、ポケットフラップから形成されているのに対して、ポケットの反対の面は、基本構造の一部である。
【0017】
例えばヘルニア修復のために、本発明にかかる外科用インプラントが使用される場合、ポケットフラップを含む面(頭頂側、固定層)は術者を指すのに対して、インプラントの反対側の面(内臓側、修復層)は患者の内部に面する。
【0018】
本発明の有利な実施形態において、所与のポケットの材料は、各重なり領域において、隣接するポケットの材料と重なっており、重なり領域において、隣接するポケットの材料は互いに接続されている。重なり領域は、例えば、ストリップ状、湾曲、ジグザグ状、非対称又はダイヤモンド状に設計されることができる。重なり領域において、隣接するポケットの材料は、例えば、溶接、接着又は縫製によって接続されている。接着(例えば、フィルム材料)又は縫製(例えば、糸材料)に使用される材料は、常置(非吸収性)、吸収(吸収性)又は部分的吸収とすることができる。
【0019】
ポケットフラップの材料はまた、重なり領域の外側において基本構造に接続されることができる。これは、ポケットがアクセス可能とされるポケットフラップのエッジが比較的長い場合には、身体組織にインプラントを固定するために使用された場合にポケットを安定化することから有利であり得る。例えば、この接続は、点状とすることができ、方向指標(以下を参照)がそのような点状の接続領域を狙う場合には有利である。
【0020】
一方、隣接するポケットが重なり領域において互いに取り付けられていないこと又はさらにポケットフラップが隣接するポケット間で重なりがないように形成されていることもまた考えられる。そのような場合、ポケットの形状は、それにもかかわらず、インプラントについての固定層の機能を有効とするのに十分に剛性であってもよい。
【0021】
本発明の有利な実施形態において、抗接着フィルム(又は、より一般的には抗粘着層)がポケットから離れる方、すなわち、インプラントの内臓側に向いている基本構造の表面に配置されている。抗接着フィルムは、メッシュ状の基本構造への身体組織の内方成長に抵抗して防ぎ、抗接着剤として機能する。好ましくは、抗接着フィルム/層は、これが重要である場合に、初期治癒期間中にその効果を発揮するように吸収性である。抗接着フィルム/層は、基本構造の領域を被覆することができ、また、基本構造の外周を越えて延在し、抗接着フィルム/層は、ポケットの材料(フラップ)と一体に折り返されることができる。好ましくは、ポケットフラップの材料の面積の50%未満は、抗接着層によって被覆される。このように、外科用インプラントのエッジはまた、身体組織に対して一般に望ましくない接着から保護される。
【0022】
抗接着フィルム/層に適した材料は、例えば、ポリ−p−ジオキサノン(PDS)、ε−カプロラクトン、グリコリド及びε−カプロラクトンの共重合体(例えば、Ethicon社のMONOCRYL(商標)フィルム)、酸化再生セルロース(ORC)、コラーゲン又はそれらの組み合わせであるが、当該技術分野において公知の他の抗接着剤及び生体適合性材料も同様に考えることができる。抗接着フィルムは、例えば、2μmから1000μmの範囲の任意の厚さを有することができる。典型的な厚さは、5μmから100μm、好ましくは8μmから30μmの範囲である。
【0023】
抗接着フィルム又は層は、例えば、積層、溶接、接着及び/又は縫製(例えば、MONOCRYLフィルム及びPDSフォルムからなる2層フィルムの積層)によって抗接着フィルム/層の全表面又は抗接着フィルム/層の表面の一部にわたって基本構造の材料に接続されることができる。積層、接着及び/又は縫製に使用されるさらなる材料は、常置(非吸収性)、吸収(吸収性)又は部分的吸収とすることができる。
【0024】
本発明の他の主要な態様において、外科用インプラントは、インプラントの境界が身体組織によって隠蔽されていても、その位置及び向きに対する明確な指標を術者に提供する。この目的のために、メッシュ状の基本構造の中央領域は、中央マーキングによってマーキングされ、方向指標は、中央マーキングから、基本構造の外周の少なくとも2つのコーナーに向いている。好ましくは、方向指標は、中央マーキングから、基本構造の外周の全てのコーナーに向いている。中央マーキングは、例えば交差などのインプラントの重心のような特定点を示すマーキングとすることができるが、異なるが明確な方法でインプラントの中央領域をマークする拡張したマーキング構成とすることもできる。そのような中央マーキング及び方向指標はまた、ポケットなしのメッシュ状の基本構造によって使用されることができる。
【0025】
本発明の有利な実施形態において、方向指標は、中央マーキングから、基本構造の外周の各コーナーまで延在している線状マーク(例えば、連続線又は破線など)として設けられ、これは手術中におけるインプラントの位置及び向きの明確な指標の所望の効果を最大化する傾向にある。
【0026】
中央マーキング及び/又は方向指標は、基本構造に接続されたフィルム構造から成形されることができる。それらはまた、例えば、基本構造上に刺繍される又は基本構造上に縫合される、基本構造に接続された、糸を通した構造形成されることができる。中央マーキング及び/又は方向指標は、例えば、縦編みニットプロセスに組み込まれるなど、基本構造と一体に作製されることも考えられる。好ましくは、中央マーキング及び/又は方向指標は着色されるが、同様に無着色とすることができ、外科用インプラントの残りの部分に良好なコントラストが提供される。中央マーキング及び/又は方向指標は、吸収性又は非吸収性材料から構成されることができる。
【0027】
基本構造についての有利な材料は、例えば、全て非吸収性である、ポリプロピレン、フッ素化ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン並びにフッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロペンの共重合体の混合物(例えば、Ethicon社のPRONOVA(商標)ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−VDF)材料)、又は、全て吸収性である、ポリ−p−ジオキサノン(PDS)、グリコリド及びラクチドの共重合体、比90:10でのグリコリド及びラクチドの共重合体(例えば、Ethicon社のVICRYL(商標)(ポリグラクチン910)合成吸収性フィラメント)、グリコリド及びε−カプロラクトンの共重合体(例えば、Ethicon社のMONOCRYL吸収性材料)を含む。当該技術分野において一般に知られている基本構造についての他の生体適合性材料も同様に考えられる。さらに、基本構造は、混合物又は吸収性及び非吸収性の材料を含む異なる材料の混合物を含むことができる。
【0028】
有利な実施形態において、基本構造は、例えば、少なくとも1mmの孔サイズを有するマクロ多孔質である。好ましくは、50g/m
2未満の面積重量を有する軽量構造であるが、より重くすることもできる。基本構造は、例えば、縦編みニット、横編みニット、かぎ針編みニット、織物及び/又は穿孔フィルムを備える。繊維が含まれている場合、繊維は、生体吸収性又は非吸収性とすることができ、また、繊維は、単繊維及び/又は多繊維(異なる材料から構成される多繊維を含む)を備えることができる。テープ糸及び/又は延伸フィルムテープも同様に考えられる。
【0029】
まとめると、ポケットを備える外科用インプラントは、特に組織分離特性(抗接着フィルム)を有する「腹壁ヘルニア器具」(VHD)として設計された場合に、従来技術に比べて複数の利点を提供する。現在市販されているインプラントとは対照的に、VHDの修復層及び固定層(ポケット)は、1つの可撓性ブランクのみを折り畳むことによって形成されることができる。この文脈において、固定層は、隣接するフラップとエッジにおいて重なり合うことができるいくつかの折り畳まれたフラップから構成されている。これらの好ましいストリップ状材料を折り重ねて融合することは、インプラントのコーナーに向いている触知可能領域をもたらす。したがって、融合ストリップは、コーナーに対する優れた触知制御及び案内を可能とし、器具の改善された術中扱いをもたらす。さらにまた、1つの可撓性ブランクのみからのポーチ(ポケット)の形成は、器具のエッジ及びコーナーの最外側位置における固定を可能とする。不利な結果を有する非固定エッジ領域が回避される。VHDは、抗接着剤によって内臓側(修正層)、頭頂側(固定層)まで延びている吸収層に被覆されることができる。被覆されたエッジは、癒着の形成に関するさらなる保護を提供する。
【0030】
可撓性ブランクからの外科用インプラントの折り畳みはまた、基礎構造の周囲に沿った継ぎ目が回避されることができるため、大幅な材料の削減及び組織の内方成長について利用可能な増大した領域をもたらす。固定層の剛性は、ポケットの重なり領域の形状及び重なり領域における接続の種類によって影響されることがある。
【0031】
さらに、修復層は、インプラントの外側形状にリンクされ且つインプラントの中央及びコーナーの位置を示すマーキングガイド(中央マーキング及び方向指標)を含むことができる。このマーキングガイドは、インプラントの現在の位置及び向きを知ることにおいて術者を支援し、均等に配置されたステープルによる制御された固定を可能とし、手術中に標準化された固定的アプローチの可能性を提供する(最初の固定点は、予め定義されており、マーキングガイドにしたがうことによって直感的にみつけることができる)。
【0032】
本発明にかかる中央マーキング及び方向指標を備えた外科用インプラントはまた、ポケットなしの設計に有用とすることができる。
【0033】
以下において、本発明は実施形態によってより詳細に説明される。図面において、各図は次のとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、参照符号100によって指定される外科用インプラント及びインプラント100の製造プロセスの第1の実施形態を図示している。
【0036】
図1(a)の分解図に示されるように、インプラント100は、3つの部分から構成されている。1つの部分は、実施形態においては、89μmの繊維厚を備えたニット、着色されていない単繊維ポリプロピレンメッシュ(Ethicon社のPROLENE(商標)ポリプロピレンメッシュ;非吸収性)であるメッシュ状の材料からなるブランク102である。ブランク102は、インプラント100の基本構造104及び6つのフラップ106を定義する。
【0037】
ブランク102の上部において、
図1(a)は、50μmの厚さを有するポリ−p−ジオキサノン(PDS)の染色(紫)フィルム(吸収性)からなり且つ合計8つの開口110を含むマーキング層108を示している。開口110は、例えば、レーザ切断などによって穿孔又は切断されることができる。
【0038】
図1(a)にみえる第3の部分は、抗接着フィルム112のブランクである。実施形態において、抗接着フィルム112は、厚さ20μmのMONOCRYLフィルム(未染色)である。MONOCRYL材料(Ethicon社)は、グリコリド及びε−カプロラクトンの吸収性共重合体であり、抗接着特性を有する。
【0039】
3層102、108及び112は、互いの上に配置され、熱によって積層されている。そのステップにおいて、ポリ−p−ジオキサノンの層108は、溶融又は非常に柔らかくなり、ブランク102の孔を貫通し、したがって、良好にブランク102に取り付けられ、さらに、ブランク102に抗接着フィルム112を接着し、抗接着フィルム112の領域の一部は、ブランク102に接着される。
【0040】
その後、
図1(b)に示されるように、フラップ106は、同様に折り畳まれるが完全にフラップ106を被覆しない抗接着フィルム112のゾーン116が形成されるように抗接着フィルム112のエッジ領域を通る各折り線114の周りに折り畳まれる。
【0041】
隣接するフラップ106は、重なり領域118が設けられるようにそれらの共通エッジ領域において若干重なる。重なり領域118において、隣接するフラップ106の材料は、ストリップ状に超音波溶接によって融合された実施形態において相互に接続される。
【0042】
図1(c)は、平面図で完成したインプラント100を図示している。折り線114は、基本構造104の外周120を定義する。実施形態において、基本構造104、すなわち、完成したインプラント100は、6個のコーナー122を含む六角形の形状を有する。6個のポケット124は、フラップ106及び基本構造104の反対側材料によって形成される。これらのポケットは、元のブランク102の外側エッジの一部によって定義されたエッジ126を介してアクセス可能である。
【0043】
マーキング層108は、中央マーキング130と、コーナー122を指し且つコーナー122まで延材している6個の方向指標132と、インプラント100の外周120まで同様に延材しているさらに中央線指標134とを設けている。
図1(c)において、重なり領域118はハッチングされているが、ブランク102のメッシュ材料が半透明であるため、方向指標132及び中央線指標134は、インプラント100が
図1(c)において表示されたその上部側からみたときにフラップ106を介して良好に視認可能である。
【0044】
図1(d)は、上部からのインプラント100の等角図である。
【0045】
外科用インプラント100は、可撓性であり、メッシュ状の面積構造を含む。中央マーキング130及び方向指標132は、その外周120が完全にみえない場合であっても、インプラント100の位置及び向きの特定の評価を可能とする。重なり領域118において、材料は、触知応答を提供する二重の厚さを有し、それゆえに外科的処置を容易とする。さらに、(それにもかかわらず、非外傷性的にやや丸みを帯びることができる)6つの明確に定義されたコーナー122を有するインプラント100の六角形状は、インプラント100の取り扱い性をさらに向上させる。
【0046】
マーキング層108の材料はまた、折り線114の領域内に存在していることから、インプラント100の外周120もまた、(身体組織によって隠されていない限り)良好に視認可能である。
【0047】
好ましくは、インプラント100は、ポケット124内にステープリング器具を導入し、それらが基本構造104の形態から離れて向いているだけでフラップ106を貫通するようにステープルを排出することにより、身体組織に取り付けられる。この手順は、明確に定義された方法で行うことができ、例えば、1つのステープルは、二重の厚さのために強力な重なり領域118内のフラップ106の材料を貫通するように各コーナー122の領域に配置されことができる。
【0048】
参照符号200によって指定された外科用インプラントの第2の実施形態が
図2に図示されている。インプラント200は、インプラント100と同様である。そのため、インプラント200の部品及び構成要素は、再度詳細には説明されない。以下では、インプラント100及び200の差異のみが指摘される。
図2において、
図1からの各関連する参照符号は100だけ増やされている。
【0049】
ブランク202は、ポリプロピレンからなる着色されていない単繊維(厚さ89μm;PROLENEポリプロピレン)及び着色(紫)されたポリ−p−ジオキサノンの多繊維(厚さ81μm;PDS)から作られた、ニット編みされた部分的吸収性のメッシュ材料から切断される。
【0050】
インプラント200において、中央マーキング230及び方向指標232は、フィルム状のマーキング層を介して設けられておらず、中央マーキング230、6個の方向指標232、中央線指標234とともにインプラント200の外周220に沿った六角形線を形成するためにブランク202に縫合される吸収性の紫ポリ−p−ジオキサノン単繊維(厚さ109μm;PDS)の糸208によって設けられている。
図2(a)を参照のこと。
【0051】
可撓性のブランク202及び抗接着剤、吸収層212(
図2(b)を参照)は、厚さ20μmの着色されていないMonocrylフィルムの実施形態において、PDSからなる縫製されたマーキング糸208の領域及びゾーン216に部分的に接続されている。
図2(c)を参照のこと。この目的のために、アセンブリは、ブランク202のPDS材料及びマーキング糸208がこれらの領域において溶融し、第1の実施形態と同様に、接着剤として機能するように、予め選択された領域(
図2(c)における斜線部)において加熱される。重なり領域218において、折り畳まれたフラップ206は、ストリップ状に超音波溶接によって融合される。
図2(d)を参照のこと。
図2(e)及び
図2(f)は、完成したインプラント200を示している。
【0052】
参照符号300によって指定された外科用インプラントの第3の実施形態が
図3に図示されている。インプラント300は、インプラント200と同様である。同様に、各関連する参照符号は100だけ増やされている。インプラント300において、ブランク302及び縫合されるマーキング糸308についての材料は、それぞれ、インプラント200におけるものと同じである。
【0053】
インプラント200と対照的に、抗接着フィルム312(同様に、着色されていないMONOCRYLフィルム)は、厚さ10μmにすぎず、その表面全体にわたってブランク302に接続されている。後者を達成するために、積層プロセス中において、抗接着フィルム312と反対側の且つマーキング糸308のみではないブランク302におけるPDS繊維を十分に柔らかくする又は溶融するために熱が制御される。重なり領域318において、折り畳まれたフラップ306は、他の実施形態におけるように、ストリップ状に超音波溶接によって融合される。
【0054】
図3(a)は、マーキング糸308を有するブランク302を示しており、
図3(b)は、さらに抗接着フィルム312を示しており、
図3(c)は、部分的に完成したインプラント300を示しており、
図3(d)及び
図3(e)は、完成したインプラント300を示している。
【0055】
図4は、参照符号400によって指定された外科用インプラントの第4の実施形態を図示している。他の実施形態との類似性のため、各関連する参照符号は、同様に100だけ増やされている。
【0056】
ブランク402は、厚さ89μmのポリプロピレン単繊維(PROLENEポリプロピレン;着色された及び着色されていない)のニット編みされたメッシュから構成されており、着色されたポリプロピレン単繊維(厚さ89μm;PROLENEポリプロピレン)によって縫合されたマーキングガイド408を中央領域に含む。
図4(a)を参照のこと。
【0057】
酸化再生セルロース(ORC;着色されていない)からなる可撓性のブランク402及び抗接着剤、吸収層412は、厚さ20μmの着色されていないPDSフィルムから構成された中間層411と、ホットメルト接着剤としての厚さ5μmの着色されていない吸収性PDSフィルムから構成された追加層413とを使用することによって接続されている。
図4(b)を参照のこと。重なり領域418において、折り畳まれたフラップ406は、他の実施形態におけるように、ストリップ状に超音波溶接によって融合される。
図4(c)は、部分的に完成したインプラント400を示しており、
図4(d)及び
図4(e)は、完成したインプラント400を示している。
【0058】
図5は、外科用インプラント500の隣接するフラップ506が互いに接続された重なり領域518(斜線)の様々な形状を図示している。重なり領域518のサイズ及び形状を設計することにより、(特に可撓性の点で)ポケット524の特性に影響を与えることができる。通常、形状は、外科用インプラント100、200、300及び400のように、所与のインプラントにおける全ての重なり領域について同じであるが、
図5におけるようなアセンブリは、特に軸に対して対称であるときに同様に考えられる。
【0059】
外科用インプラントの異なる実施形態において、隣接するフラップは、重なり領域に接続されていない又は全く重なっていない。
【0060】
図6は、外科用インプラントの実施形態についての基本構造の形状と中央マーキング及び方向指標のいくつかの概略図を示している。
【0061】
図6(a)において、解剖学的環境に関して3から6個のコーナーを有する多角形インプラントの好ましい向きが示されている。
【0062】
図6(b)は、中央マーキング630が点状であり、各インプラントの重心を示している等辺多角形の例を示している。方向指標632は、インプラントのコーナーまで延材している。追加のマーキング線636は、インプラントの外周に沿って設けられている。
【0063】
図6(c)の例におけるインプラントは、インプラント100、200、300及び400のような六角形の形状を有している。2つの場合において、マーキング線636は、インプラントの周囲に沿って含まれる。他の例においては、そのようなマーキング線は存在しない。全ての場合において、方向指標632は、コーナーまで延材している。1つの場合において、コーナーは、拡張されたドット638によってさらにマーキングされる。しかしながら、方向指標は、それらがコーナーに到達しない場合であっても参考になる。いくつかの場合において、追加の中央線指標634が設けられている。中央マーキング630が点状でない場合であっても、各インプラントの中央領域が容易に評価可能であることは
図1(c)から明らかである。マーキング線の構成についての多くの他の例も同様に考えられる。
【0064】
上述した実施形態は、好ましい変形で腹壁ヘルニア器具(VHD)として設計された本発明にかかる外科用インプラントの一般的な概念を図示している。まとめると以下のとおりである。
【0065】
腹壁ヘルニア器具(VHD)は、開腹腔内オンレイメッシュ技術を使用した腹切開及び大きな臍ヘルニア修復における腹壁の強化とブリッジングのための組織分離特性を有するポケット状の器具である。
【0066】
VHDは、中央領域(補修層)及び周辺フラップ(固定層)を有する多角形の可撓性基本構造を備える。フラップは、ポケットを形成するが、固定層の幾何学的中心までは延材しておらず、固定層は中央開口を有し、ポケットは、この中央開口を介して容易にアクセス可能なポーチのようなものを形成する。重なり領域におけるフラップの折り畳み及び融合は、ストリップがコーナーに向けられるように、固定層の好ましいストリップ状の折り重ねをもたらし、折り重ねの領域は、固定層の面積の1%から50%、好ましくは1%から20%を被覆することができる。融合ストリップは、コーナーに対する優れた触知制御及び案内を可能とし、インプラントの改善された術中扱いをもたらす。
【0067】
固定層の中央開口は、内臓と頭頂部側との間に形成された空間、すなわちポケットへの指やステープラーなどの手術器具のエントリを可能とする。1つの可撓性のブランクの折り畳みのみによるポケットの形成は、インプラントの周囲及びコーナーの最外側位置における固定を可能とし、平坦に広がってインプラントになる。(異なる層を接続するために支持リング又は継ぎ目を有する製品の場合のように)非固定エッジ材料は、非固定エッジ材料の膨張又は折り畳みは通常発生しないように回避される。
【0068】
内臓側(修復層)上において、インプラントは、一方側から基本構造に固定されてインプラントの周囲においてエッジを被覆し且つ内臓側から頭頂側へと延材して部分的に被覆された固定層をもたらす抗接着剤、吸収層によって被覆される。好ましくは、固定層の50%未満は、非常に良好な組織の内方成長を可能とする吸収層によって被覆される。さらに、そのような拡張された吸収層は、癒着形成に関するさらなるエッジ保護を提供する。
【0069】
メッシュポケットを有する外科用インプラントは、腹壁ヘルニアの修復のためのいわゆるオープンIPOM技術において使用されることができる。メッシュポケットの固定のため、通常の公知の技術にしたがって、頭蓋側/尾側の軸におけるメッシュポケットの固定を開始し、次に他の頂点を固定し、次に固定を完了することが有利であることがわかっている。この手順において、頭蓋/尾側の軸における固定から始めると、比較的柔らかい腹壁におけるメッシュポケットの不均一な固定によって引き起こされるインプラントにおいて折り畳みを形成する傾向が明らかに低減し、インプラントが腹壁において有意に良好に統合されている(組織内方成長)ことが観察された。
【0070】
インプラントの外形にリンクされ且つインプラントの中央及びコーナーの位置を示している修復層におけるマーキングガイド(中央マーキング及び方向指標)は、身体組織のさらなる持ち上げ又はインプラントの操作を行わずに実際の器具の位置及び向きを知ることにおいて術者を助け、均等に配置されたステープル又はクリップによる制御された固定を可能とする。これはまた、標準化された固定的アプローチの可能性を術者に提供する(例えば、最初の固定点は、予め定義されており、マーキングガイドにしたがうことによって直感的にみつけることができる)。メッシュポケットの形状及びメッシュエッジ/コーナーのより良好な視覚化は、かなりの程度まで術中処理を改善する。
【0071】
マーキングガイド(中央マーキング及び方向指標)はまた、ポケットなし(特にメッシュ状構造において)面積外科的インプラントに非常に有用である。
【0072】
一般に、従来技術にかかるインプラントメッシュの外形又は形状は、欠陥のある特定の範囲や重なり、メッシュの伸縮特性、固定中の向き、最初の固定点に対するガイド又は固定する領域の明確な特定を達成するなど、修復メッシュの方向依存特性を考慮するための術者への参照を提供しない。一方、欠陥上におけるインプラントの向き及びセンタリングの面で正しい配置は、修復が成功するために重要である。また、固定中のインプラントのしわや折り畳みは、しわの空洞(及び結果として漿液腫形成)をもたらし、腹壁へのインプラントの不十分な一体化をもたらす。
【0073】
インプラントのメッシュ状の基本構造が多角形の形状を有する場合及びインプラントがマーキングガイド、すなわちマーキング中央からコーナーに向いている中央マーキング及び方向指標を含む場合には、そのような問題は回避されることができる。形状とマーキングガイドとのリンクは、単に組織のさらなる持ち上げ又はインプラントの操作を行わずに欠陥の中心をみることによってインプラントの現在の位置及び向きを知るように術者を支援する。例えば、インプラントのコーナー先端が胸骨のような骨構造の下方に置かれたときには、インプラントは、従来技術と比べてより良好な方法で配置されることができる。
【0074】
インプラントの中心から頂点まで固定器具によって連続的なマーキングガイドにしたがうことによってインプラントの頂点(コーナー領域)において固定を開始すると、均等に配置されたステープルによって平坦なインプラントの拡張をもたらす。これは、例えば、最初の固定点は、予め定義されており、マーキングガイドにしたがうことによって直感的にみつけることができる点で、構造化され且つ標準化された固定的アプローチの可能性を術者に提供する。六角形のインプラントは、特に有利である。
【0075】
例えば、正方(正方形又は矩形)メッシュによって切開創ヘルニアの修復のための移植中において、
図6(a)に示されるような頂点又はコーナーを指し示すマーキングガイド「1」及び「3」は、頭蓋側−尾側の方向を示すことができる。六角形の場合、コーナー「1」及び「4」は、頭蓋側−尾側方向を示している。頭蓋側−尾側の向きは、コーナー点「1」並びにコーナー点3及び4の間の基礎の中心を通る五角形メッシュ状において示されることができる。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) 中央領域及び外周(120;220;320;420)を有するメッシュ状の可撓性基本構造(104;204;304;404)を備える外科用インプラントにおいて、前記外周(120;220;320;420)が、N個のコーナー(122;222;322;422)を有する多角形状を含み、Nが少なくとも3であることを特徴とする、外科用インプラント。
(2) Nが以下の集合:{6,8}から選択されることを特徴とする、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(3) 前記インプラント(100;200;300;400)が、少なくとも2つのポケット(124;224;324;424)を備え、各ポケット(124;224;324;424)が、前記基本構造(104;204;304;404)の前記中央領域に向かって、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の2つのコーナー(122;222;322;422)を接続する周囲線(114;214;314;414)から延在していることを特徴とする、実施態様1又は2に記載の外科用インプラント。
(4) 前記インプラントが、N個のポケット(124;224;324;424)を備えることを特徴とする、実施態様3に記載の外科用インプラント。
(5) 前記メッシュ状の基本構造(104;204;304;404)及び前記ポケット(124;224;324;424)が、共通ブランク(102;202;302;402)から、折り線(114;214;314;414)のまわりに折り畳まれ、前記折り線(114;214;314;414)が、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)に配置され、前記ポケット(124;224;324;424)が、前記折り線(114;214;314;414)の反対側の各エッジ(126;226;326;426)を介してアクセス可能であることを特徴とする、実施態様3又は4に記載の外科用インプラント。
【0077】
(6) 所与のポケット(124;224;324;424)の材料が、各重なり領域(118;218;318;418)において、隣接するポケット(124;224;324;424)の材料と重なっており、前記重なり領域(118;218;318;418)において、隣接するポケット(124;224;324;424)の材料が互いに接続されていることを特徴とする、実施態様5に記載の外科用インプラント。
(7) 前記重なり領域(518)の少なくとも1つが、以下の形状:ストリップ状、湾曲、ジグザグ状、非対称及びダイヤモンド状、のうちの1つを有することを特徴とする、実施態様6に記載の外科用インプラント。
(8) 前記重なり領域(118;218;318;418)のうちの少なくとも1つにおいて、前記隣接するポケット(124;224;324;424)の材料が、以下の方法:溶接、接着、縫製、常置(permanent)、吸収、部分的吸収、のうちの少なくとも1つで接続されていることを特徴とする、実施態様6又は7に記載の外科用インプラント。
(9) 少なくとも1つのポケット(124;224;324;424)の材料が、重なり領域(118;218;318;418)の外側において前記基本構造(104;204;304;404)に接続されていることを特徴とする、実施態様6から8のいずれかに記載の外科用インプラント。
(10) 前記ポケット(124;224;324;424)から離れる方に向いている前記基本構造(104;204;304;404)の表面に配置されている、抗接着フィルム(112;212;312;412)を特徴とする、実施態様5から9のいずれかに記載の外科用インプラント。
【0078】
(11) 前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が、前記基本構造(104;204;304;404)の領域を被覆し、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)を越えて延在し、前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が前記ポケット(124;224;324;424)の材料と一体に折り返されることを特徴とする、実施態様10に記載の外科用インプラント。
(12) 前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が吸収性であり、好ましくは、以下の物質:ポリ−p−ジオキサノン、ε−カプロラクトン、グリコリド及びε−カプロラクトンの共重合体、酸化再生セルロース、コラーゲン、それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、実施態様10又は11に記載の外科用インプラント。
(13) 前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が、以下の範囲:2μmから1000μm、5μmから100μm、8μmから30μm、のうちの1つの厚さを有することを特徴とする、実施態様10から12のいずれかに記載の外科用インプラント。
(14) 前記抗接着フィルム(112;212;312;412)が、以下の方法:前記抗接着フィルム(312;412)の全表面にわたる付着、前記抗接着フィルム(112;212)の表面の一部にわたる付着、積層、溶接、接着、縫製、常置、吸収、部分的吸収、のうちの少なくとも1つにおいて前記基本構造(104;204;304;404)の材料に接続されることを特徴とする、実施態様10から13のいずれかに記載の外科用インプラント。
(15) 前記メッシュ状の基本構造(104;204;304;404)の前記中央領域が、中央マーキング(130;230;330;430;630)によってマーキングされ、方向指標(132;232;332;432;632)が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の少なくとも2つのコーナー(122;222;322;422)に向いていることを特徴とする、実施態様1から14のいずれかに記載の外科用インプラント。
【0079】
(16) 前記方向指標(132;232;332;432;632)が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の全てのコーナー(122;222;322;422)に向いていることを特徴とする、実施態様15に記載の外科用インプラント。
(17) 前記方向指標(132;232;332;432;632)の少なくとも一部が、前記中央マーキング(130;230;330;430;630)から、前記基本構造(104;204;304;404)の前記外周(120;220;320;420)の各コーナー(122;222;322;422)まで延在している線状マークとして設けられることを特徴とする、実施態様15又は16に記載の外科用インプラント。
(18) 前記中央マーキング(130;230;330;430;630)及び前記方向指標(132;232;332;432;632)のうちの少なくとも1つが、以下の特性:前記基本構造(104)に接続されたフィルム構造(108)から成形される、前記基本構造(204;304;404)に接続された、糸を通した構造(208;308;408)から形成される、前記基本構造上に刺繍される、前記基本構造(204;304;404)上に縫合される、前記基本構造と一体に作製される、着色される(108;208;308;408)、無着色である、吸収性である(108;208;308)、非吸収性である(408)、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、実施態様15から17のいずれかに記載の外科用インプラント。
(19) 前記基本構造(104;204;304;404)が、以下のリスト:ポリプロピレン、フッ素化ポリオレフィン、ポリ−p−ジオキサノン、グリコリド及びラクチドの共重合体、比90:10でのグリコリド及びラクチドの共重合体、グリコリド及びε−カプロラクトンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン並びにフッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロペンの共重合体の混合物、に含まれる材料のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、実施態様1から18のいずれかに記載の外科用インプラント。
(20) 前記基本構造(104;204;304;404)が、以下のリスト:マクロ多孔質である、少なくとも1mmの孔サイズを有する、50g/m
2未満の面積重量(areal weight)を有する、縦編みニットを備える、横編みニットを備える、かぎ針編みニットを備える、織物を備えるか、穿孔フィルムを備える、生体吸収性繊維を備える、非吸収性繊維を備える、単繊維を備える、多繊維を備える、テープ糸を備える、延伸フィルムテープを備える、に含まれる特性のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、実施態様1から19のいずれかに記載の外科用インプラント。