特許第6444905号(P6444905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6444905油圧機械、リングカム及び再生可能エネルギー型発電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444905
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】油圧機械、リングカム及び再生可能エネルギー型発電装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/04 20060101AFI20181217BHJP
   F03C 1/053 20060101ALI20181217BHJP
   F03D 9/28 20160101ALI20181217BHJP
【FI】
   F04B1/04
   F03C1/053
   F03D9/28
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-12332(P2016-12332)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-133389(P2017-133389A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年1月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】落合 宏泰
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将志
(72)【発明者】
【氏名】内田 満哉
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−524871(JP,A)
【文献】 特表平08−508557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/04
F03C 1/053
F03D 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアルピストン式の油圧機械であって、
前記油圧機械の軸方向に延在する回転軸と、
前記油圧機械の周方向に延在し、前記回転軸とともに回転するように構成されたリングカムと、
前記リングカムの回転に連動して往復運動するように構成されたピストンアセンブリと、を備え、
前記油圧機械は、前記ピストンアセンブリの往復運動によって圧油を生成するための油圧ポンプであり、
前記リングカムは、
前記ピストンアセンブリが上死点から下死点へと移動する間に前記ピストンアセンブリと当接するブリージング面と、
前記ピストンアセンブリが下死点から上死点へと移動する間に前記ピストンアセンブリと当接するワーキング面と、
を含み、
前記リングカムは、前記周方向に配列される複数のカムセグメントを含み、
前記複数のカムセグメントのうち、隣り合うカムセグメントの少なくとも1組は、先行セグメントと、前記リングカムの回転方向において前記先行セグメントに後続する後行セグメントとを含み、
前記先行セグメントは、前記先行セグメントの後縁端部において前記後行セグメント側に向かって突出する第1係合部を有し、
前記後行セグメントは、前記後行セグメントの前縁端部において前記先行セグメント側に向かって突出し、前記先行セグメントの前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有し、
前記先行セグメントの前記第1係合部と、前記後行セグメントの前記第2係合部との係合領域は、前記リングカムの前記ブリージング面に設けられ、
前記第1係合部は、前記先行セグメントの前記後縁端部のうち前記軸方向の中央部に設けられた凹部を含み、
前記第2係合部は、前記後行セグメントの前記前縁端部のうち前記軸方向の中央部に設けられて前記凹部に係合する凸部を含み、
前記先行セグメントの前記後縁端部における前記第1係合部の前記ピストンアセンブリに対向する第1カム面は、前記後行セグメントの前記前縁端部における前記第2係合部の前記ピストンアセンブリに対向する第2カム面の前方端において、該第2カム面よりも前記油圧機械の半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に位置し、
前記第1カム面と前記第2カム面とは、前記第1係合部と前記第2係合部との係合領域内において、互いに交差することを特徴とする油圧機械。
【請求項2】
前記第2カム面は、前記第1カム面の後方端において、前記第1カム面よりも前記油圧機械の半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に位置することを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項3】
前記第1カム面および前記第2カム面は、前記ピストンアセンブリに向かって隆起する凸曲面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧機械。
【請求項4】
前記第1カム面と前記第2カム面とが交差する位置Pにおける前記第1カム面の接線を第1接線Lとし、前記位置Pにおける前記第2カム面の接線を第2接線Lとしたとき、前記位置Pよりも前記リングカムの回転方向下流側において、前記第1接線Lの方が前記第2接線Lよりも前記ピストンアセンブリ側に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の油圧機械。
【請求項5】
前記第1カム面は、前記先行セグメントのうち前記第1係合部よりも前方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の油圧機械。
【請求項6】
前記第2カム面は、前記後行セグメントのうち前記第2係合部よりも後方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の油圧機械。
【請求項7】
前記第1係合部の周方向長さLとしたとき、前記第1カム面の後方端を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、前記第1カム面と前記第2カム面とが互いに交差することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の油圧機械。
【請求項8】
前記第2係合部の周方向長さLとしたとき、前記第2カム面の前記前方端を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、前記第1カム面と前記第2カム面とが互いに交差することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の油圧機械。
【請求項9】
前記ピストンアセンブリのピストンとともに作動室を形成するシリンダをさらに含み、
前記リングカムの前記ピストンアセンブリに対向するカム面は、前記作動室の圧力が高圧のときに前記ピストンアセンブリと当接するワーキング面と、前記作動室の圧力が低圧のときに前記ピストンアセンブリと当接するブリージング面と、を含み、
前記先行セグメントの前記第1係合部と、前記後行セグメントの前記第2係合部との係合領域は、前記ブリージング面の延在範囲内に含まれることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の油圧機械。
【請求項10】
前記リングカムの前記カム面は、前記半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に最も近い複数の頂点と、前記半径方向に関して前記ピストンアセンブリから最も離れた複数の底点と、を含み、前記頂点と前記底点とは前記周方向に関して交互に並んでおり、
前記先行セグメント及び前記後行セグメントは、それぞれ、少なくとも一つの前記頂点と少なくとも一つの前記底点とを含むことを特徴とする請求項9に記載の油圧機械。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の油圧機械に用いられるリングカムであって、
前記周方向に配列される複数のカムセグメントを備え、
前記複数のカムセグメントのうち、隣り合うカムセグメントの少なくとも1組は、前記先行セグメントと、前記リングカムの回転方向において前記先行セグメントに後続する前記後行セグメントとを含むことを特徴とする油圧機械のリングカム。
【請求項12】
再生可能エネルギーを受け取って回転するように構成されたロータと、
前記ロータによって駆動されて作動油を昇圧するように構成された油圧ポンプと、
前記作動油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備え、
前記油圧ポンプは、請求項1乃至10の何れか一項に記載の油圧機械であることを特徴とする再生可能エネルギー型発電装置。
【請求項13】
前記再生可能エネルギー型発電装置は、前記再生可能エネルギーとして風エネルギーを利用して発電を行うように構成された風力発電装置であることを特徴とする請求項12に記載の再生可能エネルギー型発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧機械、リングカム及び再生可能エネルギー型発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアルピストン式の油圧機械において、回転シャフトの回転運動とピストンの往復運動とを変換するためのカムとして、複数のカムセグメントで構成されたリングカムが用いられることがある。
このようなリングカムの例として、特許文献1には、先行セグメントと後行セグメントとを含む複数のカムセグメントにより構成されるリングカムが開示されている。このリングカムにおいて、先行セグメントと後行セグメントとはリングカムの回転方向において隣り合っており、先行セグメントに設けられた凸状の舌部構造と、後行セグメントに設けられた凹状の舌部構造とが係合することによって、2つのカムセグメントが連結している。それぞれのカムセグメントはピストンに対向するカム面を有しており、リングカムが回転シャフトとともに回転すると、ピストンローラは、これら二つのカムセグメントが連結している領域において、先行セグメントの舌部構造におけるカム面から、後行セグメントの舌部構造におけるカム面へと移行するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5409920号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のカムセグメントにより構成されたリングカムでは、カムセグメント同士の接続領域において、一方のカムセグメントから他方のカムセグメントへのピストンローラ(ピストンアセンブリ)の移行が滑らかでない場合、これに起因してピストンローラ又はカム面において摩耗が生じる場合がある。したがって、カムセグメント間においてピストンローラが滑らかに移行できるようにすることが望ましい。
この点、特許文献1には、カムセグメント間においてピストンローラ(ピストンアセンブリ)を滑らかに移行させるための構成について、後行セグメントの舌部構造の最先端部及び先行セグメントの舌部構造の最後端部のピストン対向面がカム作動面から窪んでいることを規定しているのみである。
したがって、カムセグメント間においてピストンアセンブリを滑らかに移行させるためのより具体的な構成の提案が望まれる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、カムセグメント間でのピストンアセンブリの滑らかな移行を可能とする油圧機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械は、
ラジアルピストン式の油圧機械であって、
前記油圧機械の軸方向に延在する回転軸と、
前記油圧機械の周方向に延在し、前記回転軸とともに回転するように構成されたリングカムと、
前記リングカムの回転に連動して往復運動するように構成されたピストンアセンブリと、を備え、
前記リングカムは、前記周方向に配列される複数のカムセグメントを含み、
前記複数のカムセグメントのうち、隣り合うカムセグメントの少なくとも1組は、先行セグメントと、前記リングカムの回転方向において前記先行セグメントに後続する後行セグメントとを含み、
前記先行セグメントは、前記先行セグメントの後縁端部において前記後行セグメント側に向かって突出する第1係合部を有し、
前記後行セグメントは、前記後行セグメントの前縁端部において前記先行セグメント側に向かって突出し、前記先行セグメントの前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有し、
前記先行セグメントの前記後縁端部における前記第1係合部の前記ピストンアセンブリに対向する第1カム面は、前記後行セグメントの前記前縁端部における前記第2係合部の前記ピストンアセンブリに対向する第2カム面の前方端において、該第2カム面よりも前記油圧機械の半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に位置し、
前記第1カム面と前記第2カム面とは、前記第1係合部と前記第2係合部との係合領域内において、互いに交差する。
【0007】
上記(1)の構成では、先行セグメントの第1係合部の第1カム面は、第1係合部に係合する後行セグメントの第2係合部の第2カム面の前方端において、第2カム面よりも油圧機械の半径方向に関してピストンアセンブリ側に位置し、第1カム面と第2カム面とは、第1係合部と第2係合部との係合領域内において、互いに交差する。すなわち、回転軸の回転に伴い、ピストンアセンブリがカム面上をリングカムの回転方向の上流側に向かって移動するに際し、ピストンアセンブリは、係合領域の開始点(即ち周方向における第2カム面の前方端の位置)から、係合領域内において第1係合部と第2係合部とが互いに交差する交差点までは第1カム面と当接し、該交差点からは第2カム面と当接する。したがって、上記(1)の構成によれば、先行セグメントと後行セグメントとの間で、ピストンアセンブリが滑らかに移行できる。
なお、上記(1)の構成において、係合領域は、回転軸の周方向において長さを有するため、第1係合部と第2係合部の周方向又は半径方向における相対的な位置がずれたとしても、第1カム面と第2カム面とが交差する位置がその分周方向又は半径方向にずれるものの、カムセグメント間におけるピストンアセンブリの移行の滑らかさが受ける影響は小さい。したがって、上記(1)の構成によれば、カムセグメントの加工公差を大きくとることができ、これによりリングカムの加工が容易となる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第2カム面は、前記第1カム面の後方端において、前記第1カム面よりも前記油圧機械の半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に位置する。
上記(2)の構成では、ピストンアセンブリは、第1係合部と第2係合部との交差点から係合領域の終了点(すなわち周方向における第1カム面の後方端の位置)まで、第2カム面を追従するように当接し、そのまま後行セグメントのうち第2係合部よりも後方の部位のカム面を追従する。したがって、上記(1)の構成によれば、先行セグメントと後行セグメントとの間で、ピストンアセンブリが滑らかに移行できる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記第1カム面および前記第2カム面は、前記ピストンアセンブリに向かって隆起する凸曲面を有する。
上記(3)の構成によれば、第1カム面及び第2カム面は、ピストンアセンブリに向かって隆起する凸曲面を有するので、第1カム面及び第2カム面が平面により構成される場合に比べて、先行セグメントと後行セグメントとの間におけるピストンアセンブリのより滑らかな移行が可能となる。
【0010】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記第1カム面と前記第2カム面とが交差する位置Pにおける前記第1カム面の接線を第1接線Lとし、前記位置Pにおける前記第2カム面の接線を第2接線Lとしたとき、前記位置Pよりも前記リングカムの回転方向下流側において、前記第1接線Lの方が前記第2接線Lよりも前記ピストンアセンブリ側に位置する。
上記(4)の構成によれば、
第1カム面と第2カム面とが交差する位置Pよりもリングカムの回転方向下流側において、第1カム面の第1接線Lの方が第2カム面の第2接線Lよりもピストンアセンブリ側に位置するので、先行セグメントと後行セグメントとの間におけるピストンアセンブリのより滑らかな移行が可能となる。
【0011】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れかの構成において、
前記第1カム面は、前記先行セグメントのうち前記第1係合部よりも前方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成する。
上記(5)の構成によれば、第1カム面は、先行セグメントのうち第1係合部よりも前方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成するので、第1カム面を含む先行セグメントのカム面をピストンアセンブリが滑らかに追従することができる。
【0012】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記第2カム面は、前記後行セグメントのうち前記第2係合部よりも後方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成する。
上記(6)の構成によれば、第2カム面は、後行セグメントのうち第2係合部よりも後方の部位のカム面とともに連続した曲面を形成するので、第2カム面を含む後行セグメントのカム面をピストンアセンブリが滑らかに追従することができる。
【0013】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れかの構成において、
前記第1係合部の周方向長さLとしたとき、前記第1カム面の前記後方端を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、前記第1カム面と前記第2カム面とが互いに交差する。
上記(7)の構成によれば、第1カム面と第2カム面とは、第1係合部の周方向における中央に近い位置で交差するため、第1係合部と第2係合部の周方向又は半径方向における相対的な位置のずれの大きさの許容範囲を大きくすることができる。よって、カムセグメントの加工公差をより大きくすることができ、これによりリングカムの加工がより容易となる。
【0014】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(7)の何れかの構成において、
前記第2係合部の周方向長さLとしたとき、前記第2カム面の前記前方端を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、前記第1カム面と前記第2カム面とが互いに交差する。
上記(8)の構成によれば、第1カム面と第2カム面とは、第2係合部の周方向における中央に近い位置で交差するため、第1係合部と第2係合部の周方向又は半径方向における相対的な位置のずれの大きさの許容範囲を大きくすることができる。よって、カムセグメントの加工公差をより大きくすることができ、これによりリングカムの加工がより容易となる。
【0015】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(8)の何れかの構成において、
前記ピストンアセンブリのピストンとともに作動室を形成するシリンダをさらに含み、
前記リングカムの前記ピストンアセンブリに対向するカム面は、前記作動室の圧力が高圧のときに前記ピストンアセンブリと当接するワーキング面と、前記作動室の圧力が低圧のときに前記ピストンアセンブリと当接するブリージング面と、を含み、
前記先行セグメントの前記第1係合部と、前記後行セグメントの前記第2係合部との係合領域は、前記ブリージング面の延在範囲内に含まれる。
上記(9)の構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合領域がブリージング面の延在範囲内に含まれるため、作動室の圧力が低圧のときに、第1係合部の第1カム面から第2係合部の第2カム面へとピストンアセンブリが移行する。よって、ピストンアセンブリのカムセグメント間移行時における、ピストンアセンブリとカムセグメントとの間の衝突による衝撃を比較的小さくすることができ、カムセグメントの寿命を比較的長くすることができる。
【0016】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記リングカムの前記カム面は、前記半径方向に関して前記ピストンアセンブリ側に最も近い複数の頂点と、前記半径方向に関して前記ピストンアセンブリから最も離れた複数の底点と、を含み、前記頂点と前記底点とは前記周方向に関して交互に並んでおり、
前記先行セグメント及び前記後行セグメントは、それぞれ、少なくとも一つの前記頂点と少なくとも一つの前記底点とを含む。
上記(10)の構成によれば、先行セグメント及び後行セグメントをそれぞれ1以上の頂点と1以上の底点とを含むように構成したので、リングカムの分割数(=カムセグメント数)を減少可能であるとともに、上記(9)で述べたようなブリージング面に先行セグメント−後行セグメント間の係合領域を形成することができる。
【0017】
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係るリングカムは、上記(1)〜(10)の何れかに記載の油圧機械に用いられるリングカムであって、
前記周方向に配列される複数のカムセグメントを備え、
前記複数のカムセグメントのうち、隣り合うカムセグメントの少なくとも1組は、前記先行セグメントと、前記リングカムの回転方向において前記先行セグメントに後続する前記後行セグメントとを含む。
【0018】
上記(11)の構成では、先行セグメントの第1係合部の第1カム面は、第1係合部に係合する後行セグメントの第2係合部の第2カム面の前方端において、第2カム面よりも油圧機械の半径方向に関してピストンアセンブリ側に位置し、第1カム面と第2カム面とは、第1係合部と第2係合部との係合領域内において、互いに交差する。すなわち、回転軸の回転に伴い、ピストンアセンブリがカム面上をリングカムの回転方向の上流側に向かって移動するに際し、ピストンアセンブリは、係合領域の開始点(即ち周方向における第2カム面の前方端の位置)から、係合領域内において第1係合部と第2係合部とが互いに交差する交差点までは第1カム面と当接し、該交差点からは第2カム面と当接する。したがって、上記(11)の構成によれば、先行セグメントと後行セグメントとの間で、ピストンアセンブリが滑らかに移行できる。
なお、上記(11)の構成において、係合領域は、回転軸の周方向において長さを有するため、第1係合部と第2係合部の周方向又は半径方向における相対的な位置がずれたとしても、第1カム面と第2カム面とが交差する位置がその分周方向又は半径方向にずれるものの、カムセグメント間におけるピストンアセンブリの移行の滑らかさが受ける影響は小さい。したがって、上記(11)の構成によれば、カムセグメントの加工公差を大きくとることができ、これによりリングカムの加工が容易となる。
【0019】
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生可能エネルギー型発電装置は、
再生可能エネルギーを受け取って回転するように構成されたロータと、
前記ロータによって駆動されて作動油を昇圧するように構成された油圧ポンプと、
前記作動油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備え、
前記油圧ポンプ又は油圧モータの少なくとも一方は、上記(1)〜(10)の何れかに記載の油圧機械である。
【0020】
上記(12)の構成では、先行セグメントの第1係合部の第1カム面は、第1係合部に係合する後行セグメントの第2係合部の第2カム面の前方端において、第2カム面よりも油圧機械の半径方向に関してピストンアセンブリ側に位置し、第1カム面と第2カム面とは、第1係合部と第2係合部との係合領域内において、互いに交差する。すなわち、回転軸の回転に伴い、ピストンアセンブリがカム面上をリングカムの回転方向の上流側に向かって移動するに際し、ピストンアセンブリは、係合領域の開始点(即ち周方向における第2カム面の前方端の位置)から、係合領域内において第1係合部と第2係合部とが互いに交差する交差点までは第1カム面と当接し、該交差点からは第2カム面と当接する。したがって、上記(12)の構成によれば、先行セグメントと後行セグメントとの間で、ピストンアセンブリが滑らかに移行できる。
なお、上記(12)の構成において、係合領域は、回転軸の周方向において長さを有するため、第1係合部と第2係合部の周方向又は半径方向における相対的な位置がずれたとしても、第1カム面と第2カム面とが交差する位置がその分周方向又は半径方向にずれるものの、カムセグメント間におけるピストンアセンブリの移行の滑らかさが受ける影響は小さい。したがって、上記(12)の構成によれば、カムセグメントの加工公差を大きくとることができ、これによりリングカムの加工が容易となる。
【0021】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、
前記再生可能エネルギー発電装置は、前記再生可能エネルギーとして風エネルギーを利用して発電を行うように構成された風力発電装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、カムセグメント間でのピストンアセンブリの滑らかな移行を可能とする油圧機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る風力発電装置の概略構成図である。
図2】一実施形態に係る油圧機械の半径方向に沿った断面図である。
図3A】一実施形態に係る油圧機械のシリンダ周辺の構造を示す断面図である。
図3B】一実施形態に係る油圧機械のシリンダ周辺の構造を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る先行セグメント及び後行セグメントの構成を示す概略図である。
図5】一実施形態に係る先行セグメントと後行セグメントの構成を示す、回転軸方向から視た拡大図である。
図6】一実施形態に係るカムセグメントの構成を示す図である。
図7】一実施形態に係るカムセグメントの構成を示す図である。
図8】一実施形態における第1カム面と第2カム面の構成を示す図である。
図9】一実施形態における第1カム面と第2カム面の構成を示す図である。
図10】カム面が凸曲面であることによる効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
以下の実施形態では、油圧機械又は油圧トランスミッションが適用される装置の一例として風力発電装置について説明する。ただし、本発明の油圧機械又は油圧トランスミッションの用途は、例えば、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー発電装置であってもよいし、あるいは建設機械等の他の装置であってもよく、その用途は特に限定されない。
また、以下では、主として外向きカム(リングカム)を備えた油圧機械の実施形態について説明するが、油圧機械は内向きカム(リングカム)を備えていてもよく、その場合、下記内容の方向に関する記載を適宜逆方向に読み替えたものも本発明の実施形態に含まれる。さらに、以下では、主としてリングカムが回転する場合について例示しているが、リングカムは固定でシリンダ及びピストンが回転する構成としてもよい。
【0026】
図1は、一実施形態に係る風力発電装置の概略構成図である。同図に示すように、風力発電装置1は、少なくとも一本のブレード2及びハブ4で構成されるロータ3を備える。なお、ハブ4はハブカバー(スピナー)5によって覆われていてもよい。
【0027】
一実施形態では、ロータ3には、回転シャフト6を介して油圧ポンプ8が連結される。油圧ポンプ8には、高圧油ライン12及び低圧油ライン14を介して油圧モータ10が接続される。具体的には、油圧ポンプ8の出口が高圧油ライン12を介して油圧モータ10の入口に接続され、油圧ポンプ8の入口が低圧油ライン14を介して油圧モータ10の出口に接続される。
ロータ3が再生可能エネルギーとしての風を受けて回転すると、油圧ポンプ8は、ロータ3の回転によって駆動されて作動油を昇圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ8で生成された圧油は高圧油ライン12を介して油圧モータ10に供給され、この圧油によって油圧モータ10が駆動される。油圧モータ10で仕事をした後の低圧の作動油は、油圧モータ10の出口と油圧ポンプ8の入口との間に設けられた低圧油ライン14を経由して、油圧ポンプ8に再び戻される。なお、本実施形態においては、油圧ポンプ8及び油圧モータ10を含んで油圧トランスミッションが構成される。
【0028】
油圧モータ10には発電機16が連結され、油圧モータ10によって発電機16が駆動される。一実施形態では、発電機16は、電力系統に連系されるとともに、油圧モータ10によって駆動される同期発電機である。
【0029】
なお、回転シャフト6の少なくとも一部は、タワー19上に設置されたナセル18によって覆われている。一実施形態では、油圧ポンプ8、油圧モータ10及び発電機16は、ナセル18の内部に設置される。
【0030】
幾つかの実施形態では、油圧ポンプ8又は油圧モータ10の少なくとも一方は、以下で説明するラジアルピストン式の油圧機械である。
【0031】
図2は、一実施形態に係る油圧機械の半径方向に沿った断面図である。図3A及び図3Bは、それぞれ、一実施形態に係る油圧機械のシリンダ周辺の構造を示す断面図である。
【0032】
図2に示す油圧機械20は、油圧機械20の軸方向に延在する回転シャフト(回転軸)30と、油圧機械20の周方向に延在し、回転シャフト30とともに回転するように構成されたリングカム32と、複数のピストンアセンブリ28と、を備える。ピストンアセンブリ28の各々は、ピストン24と、ピストン24に設けられるローラ26とを備える。 油圧機械20は、複数のシリンダ22をさらに備え、各ピストン24は、複数のシリンダ22内にそれぞれ設けられる。
なお、図2及び図3A,Bに示す例示的な実施形態では、回転シャフト30の外周側に環状の外向きカム(リングカム)32が設けられ、さらに外向きカム32の外周側にシリンダ22、ピストン24及びローラ26が配置されている。ここで、外向きカムとは、ローラ26と接触するカム面を外周側に有するカムをいう。他の実施形態では、回転シャフト30の内周側に環状の内向きカム(リングカム)32が設けられ、さらに内向きカム32の内周側にシリンダ22、ピストン24及びローラ26が配置される。ここで、内向きカムとは、ローラ26と接触するカム面を内周側に有するカムをいう。
【0033】
複数のシリンダ22は、シリンダブロック21内において油圧機械20の周方向に配列される。シリンダブロック21は、油圧機械20の周方向において複数のセグメント21Sに分割されていてもよい。
【0034】
各々のピストン24は、各々のシリンダ22内に摺動可能に設けられる。各ピストン24は、各シリンダ22によって案内され、シリンダ22の中心軸に沿って、下死点と上死点との間で往復運動するようになっている。ピストン24の往復運動の結果、各々のシリンダ22と各々のピストン24とで囲まれた作動室25の容積は周期的に変化する。
【0035】
こうした作動室25の周期的な容積変化を伴うピストン24の往復運動は、リングカム32の回転運動との間で運動モードが変換されるようになっている。
例えば、油圧機械20が油圧ポンプ8である場合、油圧機械20の回転シャフト30とともに回転するリングカム32の回転運動がピストン24の往復運動に変換され、作動室25の周期的な容積変化が起こり、作動室25で高圧の作動油(圧油)が生成される。これに対し、油圧機械20が油圧モータ10である場合、作動室25への圧油の導入によってピストン24の往復運動が起こり、この往復運動がリングカム32の回転運動に変換される結果、リングカム32とともに油圧機械20の回転シャフト30が回転する。
こうして、リングカム32の働きにより、油圧機械20の回転シャフト30の回転エネルギー(機械的エネルギー)と作動油の流体エネルギーとの間でエネルギーが変換され、油圧機械20が油圧ポンプ8又は油圧モータ10としての所期の役割を果たすようになっている。
【0036】
各々のローラ26は、回転可能に各々のピストン24に係合しており、リングカム32のカム面33に当接している。リングカム32が回転シャフト30とともにカム中心O(油圧機械20の中心軸)周りに回転すると、各々のローラ26は回転しながら、リングカム32のカム面33上を走行する。
【0037】
リングカム32のカム面33は、油圧機械20の周方向に沿って並ぶ複数のローブ34によって形成される。各々のローブ34は、シリンダ22に向かって突出している。各々のローブ34は、一対の底点38と、該一対の底点38間に位置する1個の頂点36とを通る滑らかな曲線によって形成される。ローブ34の頂点36及び底点38は、油圧機械20の回転軸(rotation axis)Oからの距離が最大又は最小となるカム面33上の位置であり、頂点36は底点38よりもシリンダ22寄りに位置する。ローブ34の頂点36は、ピストン24の往復運動の周期における上死点に対応するカム面33上の点である。一方、ローブ34の底点38は、ピストン24の往復運動の周期における下死点に対応するカム面33上の点である。
図2及び図3A,Bに示す例示的な実施形態では、外向きカム32の外周側にシリンダ22が配置されており、ローブ34の頂点36で外向きカム32の中心軸(油圧機械20の回転軸)Oからの距離(カム径)が最大となり、ローブ34の底点38で中心軸Oからの距離(カム径)が最小となる。これに対し、内向きカムの内周側にシリンダ22が配置された他の実施形態では、ローブ34の頂点36で内向きカムの中心軸Oからカム面33までの距離は最小となり、ローブ34の底点38で内向きカムの中心軸Oからカム面33までの距離は最大となる。なお、各々のローブ34の頂点36及び底点38では、カム面33の法線が油圧機械20の半径方向と一致する。
【0038】
幾つかの実施形態では、図3A,Bに示すように、油圧機械20は、各々の作動室25と低圧油ライン14との間に設けられる低圧弁40と、各々の作動室25と高圧油ライン12との間に設けられる高圧弁50とをさらに備える。
油圧機械20が油圧ポンプである場合、低圧弁40は低圧油ライン14から作動室25に低圧の作動油を供給するために用いられ、高圧弁50は作動室25で生成された高圧の作動油を高圧油ライン12に供給するために用いられる。
一方、油圧機械20が油圧モータである場合、高圧弁50は高圧油ライン12から作動室25に高圧の作動油を供給するために用いられ、低圧弁40は作動室で仕事をした作動油を低圧油ラインに排出するために用いられる。
【0039】
幾つかの実施形態では、図2及び図3A,Bに示すように、リングカム32は、油圧機械20の周方向に配列される複数のカムセグメント58を含む。そして、複数のカムセグメント58のうち、隣り合うカムセグメントの少なくとも1組(60,60)は、以下に説明する先行セグメント60及び後行セグメント80を含む。なお、後行セグメント80は、リングカム32の回転方向において先行セグメント60に後続するカムセグメント58である。
【0040】
なお、一実施形態では、各カムセグメント58の回転シャフト30に面する対向面56は、図3Aに示すように円弧状の曲面によって形成される。この場合、この場合、回転シャフト30の外周面は、回転軸方向から視て円形状を有する。
あるいは、一実施形態では、各カムセグメント58の回転シャフト30に面する対向面56は、図3Bに示すように平面によって形成される。この場合、回転シャフト30の外周面は、回転軸方向から視て多角形の形状を有する。このように、対向面56が平面により形成されていると、各カムセグメント58の加工が容易となる。
また、各カムセグメント58は、ボルト、キー、ピン等の任意の固定部材31を介して、回転シャフト30に取り付けられていてもよい。
【0041】
図4は、一実施形態に係る先行セグメント60及び後行セグメント80の構成を示す概略図である。また、図5は、一実施形態に係る先行セグメント60と後行セグメント80の係合領域を示す、回転軸方向から視た拡大図である。なお、図4は、先行セグメント60及び後行セグメント80を回転シャフト30の半径方向内側向きに視た図である。
【0042】
図4及び図5に示すように、先行セグメント60は、先行セグメント60の後縁端部62において後行セグメント80側に向かって突出する第1係合部64を有する。また、後行セグメント80は、後行セグメント80の前縁端部81において先行セグメント60側に向かって突出し、先行セグメント60の第1係合部64と係合する第2係合部84を有する。
すなわち、先行セグメント60の第1係合部64と、後行セグメント80の第2係合部84とは、係合領域内において係合している。
【0043】
また、図4及び図5に示すように、先行セグメント60の後縁端部62において、第1係合部64は、ローラ26(ピストンアセンブリ28)に対向する第1カム面66を有する。また、後行セグメント80の前縁端部81において、第2係合部84は、ローラ26(ピストンアセンブリ28)に対向する第2カム面86を有する。
そして、図5に示すように、第2カム面86の前方端85において、第1カム面66は、第2カム面86よりも油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28側に位置するとともに、第1カム面66と第2カム面86とは、第1係合部64と第2係合部84との係合領域内において、互いに交差する。
なお、図5においては、第1カム面66と第2カム面86とは、第1係合部64と第2係合部84との係合領域内において、位置Pにおいて互いに交差している。
【0044】
上述の油圧機械20では、回転シャフト30の回転に伴い、ローラ26(ピストンアセンブリ28)がカム面33上をリングカム32の回転方向の上流側に向かって移動するに際し、ローラ26は、係合領域の開始点(即ち周方向における第2カム面86の前方端85の位置)から、係合領域内において第1係合部64と第2係合部84とが互いに交差する位置Pまでは第1カム面66と当接し、交差位置Pからは第2カム面86と当接する。したがって、上述の油圧機械20によれば、先行セグメント60と後行セグメント80との間で、ローラ26が滑らかに移行できる。
【0045】
なお、係合領域は、回転シャフト30の周方向において長さを有するため、第1係合部64と第2係合部84の周方向又は半径方向における相対的な位置がずれたとしても、第1カム面66と第2カム面86とが交差する位置Pがその分周方向又は半径方向にずれるものの、先行セグメント60と後行セグメント80との間におけるローラ26の移行の滑らかさが受ける影響は小さい。したがって、先行セグメント60及び後行セグメント80を含むカムセグメント58の加工公差を大きくとることができ、これによりリングカム32の加工が容易となる。
【0046】
幾つかの実施形態では、図5に示すように、第1カム面66の後方端65において、第2カム面86は、第1カム面66よりも油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28側に位置する。
このような油圧機械20では、ローラ26(ピストンアセンブリ28)は、第1係合部64と第2係合部84との交差位置Pから係合領域の終了点(すなわち周方向における第1カム面66の後方端65の位置)まで、第2カム面86を追従するように当接し、そのまま後行セグメント80のうち第2係合部84よりも後方の部位のカム面87を追従する。したがって、先行セグメント60と後行セグメント80との間で、ローラ26(ピストンアセンブリ28)が滑らかに移行できる。
【0047】
なお、図4に示す先行セグメント60の前縁端部61において、先行セグメント60よりも前方(カム回転方向の下流側)のカムセグメント58に向かって突出し、該カムセグメント58に係合するための第2係合部84を有していてもよい。また、後行セグメント80の後縁端部82において、後行セグメント80よりも後方(カム回転方向の上流側)のカムセグメント58に向かって突出し、該カムセグメント58に係合するための第1係合部64を有していてもよい。
このようにして、1つのカムセグメント58が第1係合部64及び第2係合部84の両方を備えることで、周方向に配列された多数のカムセグメント58において、隣り合うカムセグメント58同士を係合させることができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、図5に示すように、先行セグメント60の第1カム面66は、先行セグメント60のうち第1係合部64よりも前方の部位のカム面67とともに連続した曲面を形成する。ここで、先行セグメント60のうち第1係合部64よりも前方の部位とは、先行セグメント60のうち、第1係合部64の前方端63よりも前方(カム回転方向の下流側)の部位のことである。
このように、先行セグメント60において、第1カム面66と、第1係合部よりも前方の部位のカム面67とが連続した曲面を形成することで、第1カム面66を含む先行セグメント60のカム面をローラ26(ピストンアセンブリ28)が滑らかに追従することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、図5に示すように、後行セグメント80の第2カム面86は、後行セグメント80のうち第2係合部84よりも後方の部位のカム面87とともに連続した曲面を形成する。ここで、後行セグメント80のうち第2係合部84よりも後方の部位とは、後行セグメント80のうち、第2カム面86の後方端83よりも後方(カム回転方向の上流側)の部位のことである。
このように、後行セグメント80において、第2カム面86と、第2係合部よりも後方の部位のカム面87とが連続した曲面を形成することで、第2カム面86を含む後行セグメント80のカム面をローラ26(ピストンアセンブリ28)が滑らかに追従することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、第1係合部64の周方向長さ(即ち第1カム面66の前方端63から後方端65までの周方向長さ)をLとしたとき、第1カム面66の後方端65を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、第1カム面66と第2カム面86とが互いに交差する。
例えば、図5に示す実施形態では、第1係合部64の周方向長さをLとしたとき、第1カム面66の後方端65を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内に、第1カム面66と第2カム面86との交差位置Pが存在する。
【0051】
また、幾つかの実施形態では、第2係合部84の周方向長さ(即ち第2カム面86の前方端85から後方端83までの周方向長さ)をLとしたとき、第2カム面86の前方端85を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内において、第1カム面66と第2カム面86とが互いに交差する。
例えば、図5に示す実施形態では、第2係合部84の周方向長さをLとしたとき、第2カム面86の前方端85を基準として0.3L〜0.7Lの範囲内に、第1カム面66と第2カム面86との交差位置Pが存在する。
【0052】
上述の実施形態では、第1カム面66と第2カム面86とは第1係合部64の周方向における中央に近い位置で交差するため、あるいは、第1カム面66と第2カム面86とは第2係合部84の周方向における中央に近い位置で交差するため、第1係合部64と第2係合部84の周方向又は半径方向における相対的な位置のずれの大きさの許容範囲を大きくすることができる。よって、先行セグメント60及び後行セグメント80を含むカムセグメント58の加工公差をより大きくすることができ、これによりリングカム32の加工がより容易となる。
【0053】
幾つかの実施形態では、リングカム32のローラ26(ピストンアセンブリ28)に対抗するカム面33は、作動室25の圧力が高圧のときにローラ26と当接するワーキング面と、作動室25の圧力が低圧のときにローラ26ピストンアセンブリと当接するブリージング面と、を含む。そして、先行セグメント60の第1係合部64と、後行セグメント80の第2係合部84との係合領域は、ブリージング面の延在範囲内に含まれる。
【0054】
ここで、図6及び図7は、それぞれ、一実施形態に係るカムセグメント58の構成を示す図であり、それぞれ(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
例えば、油圧機械20が油圧ポンプである場合、ピストン24が上死点から下死点に移動する間、低圧弁40が開けられるとともに高圧弁50が閉じられて、作動室25には低圧の作動油が供給される。したがって、ピストン24が上死点から下死点に移動する間にローラ26が当接するカム面は、低圧領域(LA)のカム面、すなわちブリージング面である。また、ピストン24が下死点から上死点に移動する間、高圧弁50が開けられるとともに低圧弁40が閉じられて、作動室25において作動油が昇圧されて、高圧の作動油が生成される。したがって、ピストン24が下死点から上死点に移動する間にローラ26が当接するカム面は、高圧領域(HA)のカム面、すなわちワーキング面である。
【0055】
そこで、幾つかの実施形態では、油圧機械20が油圧ポンプである場合、先行セグメント60及び後行セグメント80として、図6に示すカムセグメント58を採用してもよい。図6に示すカムセグメント58は、油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28側に最も近い頂点36と、油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28から最も離れた底点38と、を有する。
図6に示すカムセグメント58を周方向に複数並べてリングカム32を構成した場合、ピストン24が上死点から下死点に移動するまでにローラ26が当接するカム面の領域であるブリージング面において係合領域が形成される。
【0056】
また、例えば、油圧機械20が油圧モータである場合、ピストン24が上死点から下死点に移動する間、高圧弁50が開けられるとともに低圧弁40が閉じられて、作動室25には高圧の作動油が供給されて、ピストン24の運動がリングカム32の回運動に変換される。したがって、ピストン24が上死点から下死点に移動する間にローラ26が当接するカム面は、高圧領域(HA)のカム面、すなわちワーキング面である。また、ピストン24が下死点から上死点に移動する間、低圧弁40が開けられるとともに高圧弁50が閉じられて、作動室25から仕事を終えた低圧の作動油が排出される。したがって、ピストン24が下死点から上死点に移動する間にローラ26が当接するカム面は、低圧領域(LA)のカム面、すなわちブリージング面である。
【0057】
そこで、幾つかの実施形態では、油圧機械20が油圧モータである場合、先行セグメント60及び後行セグメント80として、図7に示すカムセグメント58を採用してもよい。図7に示すカムセグメント58は、油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28側に最も近い頂点36と、油圧機械20の半径方向に関してピストンアセンブリ28から最も離れた底点38と、を有する。
図7に示すカムセグメント58を周方向に複数並べてリングカム32を構成した場合、ピストン24が下死点から上死点に移動するまでにローラ26が当接するカム面の領域であるブリージング面において係合領域が形成される。
【0058】
上述のように、第1係合部64と第2係合部84との係合領域がブリージング面の延在範囲内に含まれるようにすれば、作動室25の圧力が低圧のときに、第1係合部64の第1カム面66から第2係合部84の第2カム面86へとローラ26(ピストンアセンブリ28)が移行する。よって、ローラ26の先行セグメント60と後行セグメント80との間での移行時における、ローラ26と先行セグメント60及び後行セグメント80との間の衝突による衝撃を比較的小さくすることができるこれにより、先行セグメント60及び後行セグメント80の寿命を比較的長くすることができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、リングカム32のカム面33は、複数の頂点36と、複数の底点38と、を含み、頂点36と底点38とは周方向に関して交互に並んでいる。すなわち、リングカム32は複数のローブを含むマルチローブカムである。そして、先行セグメント60及び後行セグメント80は、それぞれ、少なくとも一つの頂点36と少なくとも一つの底点38とを含む。
例えば、図3A又は図3Bに示す油圧機械20は、上述のリングカム32と、先行セグメント60及び後行セグメント80とを含む。
このように、先行セグメント60及び後行セグメント80をそれぞれ1以上の頂点36と1以上の底点38とを含むように構成すれば、リングカム32の分割数(=カムセグメント58数)を減少可能であるとともに、上述したブリージング面に先行セグメント60−後行セグメント80間の係合領域を形成することができる。
【0060】
図8及び図9は、一実施形態における第1カム面と第2カム面との交差位置付近における構成を示す図である。なお、図8に示す実施形態では、ローラ26がカム面において、頂点36から底点38に向かって移動している領域において(即ちピストン24が上死点から下死点に向かっている領域において)、第1係合部64と第2係合部84とのに係合領域が存在している。また、図9に示す実施形態では、ローラ26がカム面において、底点38から頂点36に向かって移動している領域において(即ちピストン24が下死点から上死点に向かっている領域において)、第1係合部64と第2係合部84とのに係合領域が存在している。
【0061】
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示すように、第1係合部64の第1カム面66および第2係合部84の第2カム面86は、ピストンアセンブリ28に向かって隆起する凸曲面を有する。
この場合、第1カム面66及び第2カム面86が平面により構成される場合に比べて、先行セグメント60と後行セグメント80との間におけるピストンアセンブリ28のより滑らかな移行が可能となる。
【0062】
このように考えられる理由は以下のようになる。
図10は、カム面が凸曲面であることによる効果を説明するための図であり、図8に示した第1カム面と第2カム面との交差位置付近における構成と同様の構成が示されている。
図10に示すように、凸曲面である第1カム面66と凸曲面である第2カム面86の交差位置P付近をローラ26が移動するとき、交差位置Pにおいて凸曲面同士が交わっていることから、ローラ26は、実際には交差位置Pには接せず、交差位置Pから少し離れた位置P及びPにおいて、第1カム面66及び第2カム面86と、それぞれ接する。
ここで、図10を見ればわかるように、位置Pにおける第1カム面66の接線LP1の傾きと、位置Pにおける第2カム面86の接線LP2の傾きとの差は、交差位置Pにおける第1カム面66の接線L1の傾きと、交差位置Pにおける第2カム面86の接線L2の傾きとの差よりも小さい。したがって、第1カム面66及び第2カム面86が凸曲面により構成される場合には、第1カム面66及び第2カム面86が平面により構成される場合に比べて、先行セグメント60と後行セグメント80との間におけるピストンアセンブリ28のより滑らかな移行が可能となる、と考えられる。
【0063】
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示すように、第1カム面66と第2カム面86とが交差する位置Pにおける第1カム面66の接線を第1接線Lとし、位置Pにおける第2カム面86の接線を第2接線Lとしたとき、位置Pよりもリングカム32の回転方向下流側において、第1接線Lの方が第2接線Lよりもピストンアセンブリ28側に位置する。
このように、第1カム面66と第2カム面86とが交差する位置Pよりもリングカム32の回転方向下流側において、第1カム面66の第1接線Lの方が第2カム面86の第2接線Lよりもピストンアセンブリ28側に位置するので、先行セグメント60と後行セグメント80との間におけるピストンアセンブリ28のより滑らかな移行が可能となる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0065】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0066】
1 風力発電装置
2 ブレード
3 ロータ
4 ハブ
6 回転シャフト
8 油圧ポンプ
10 油圧モータ
12 高圧油ライン
14 低圧油ライン
16 発電機
18 ナセル
19 タワー
20 油圧機械
21 シリンダブロック
22 シリンダ
24 ピストン
25 作動室
26 ローラ
28 ピストンアセンブリ
30 回転シャフト
31 固定部材
32 リングカム
33 カム面
34 ローブ
36 頂点
38 底点
40 低圧弁
50 高圧弁
56 対向面
58 カムセグメント
60 先行セグメント
61 前縁端部
62 後縁端部
63 前方端
64 第1係合部
65 後方端
66 第1カム面
67 カム面
80 後行セグメント
81 前縁端部
82 後縁端部
83 後方端
84 第2係合部
85 前方端
86 第2カム面
87 カム面
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10